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ふくろう

  • posted at:2015-12-05
  • written by:砂月(すなつき)
ふくろう
近代映画協会
配給:シネマ・クロッキオ=近代映画協会
製作年:2003年
公開日:2004年2月7日
監督:新藤兼人
プロデューサー:新藤次郎
脚本:新藤兼人
撮影:三宅義行 林雅彦
照明:山下博
録音:武進
美術:新藤兼人
編集:渡辺行夫
音楽:林光
助監督:山本保博
ラインプロデューサー:桑原一仁
出演:大竹しのぶ 伊藤歩 柄本明 木場勝己 原田大二郎
アメリカンビスタ カラー 119分

昭和55年頃、東北の山奥にある古びた一軒家でユミエと娘のエミコが激しい飢えに苦しんでいた。家財を売り払い、電気を止められ、蓄えていた食料は底をつき、周囲の生き物は食べつくし、今では松の根を具にした吸い物を作るまでになっていた。いつまでも先の見えないこの生活に限界を感じたユミエは一念発起した。彼女はまず体についた積年の垢を水で洗い流すと、エミコにも同じことをして身だしなみを整えた。次に家財で唯一残っていたミシンを引っ張り出すと、葬式のときの鯨幕と開拓団の団旗を裁断して服をこしらえた。そして隠しておいたダルマの貯金箱を叩き割り、中から出てきた100円玉2枚をユミエは拾い上げた。

昭和14年、長野県姫百合谷村の153名が満州の牡丹江の奥地に開拓団として派遣された。農民たちはタダで土地がもらえるという話に喜んで参加したが、戦争になり男たちは兵隊にとられた。敗戦の色が濃くなると頼みの綱である関東軍は逃げだし開拓団は置き去りにされた。3歳だったユミエは両親とともに何とか帰国することが出来たが、帰る村がなかった。骨を満州に埋める覚悟で行ったため田も畑も売っていたのだ。そんな引揚者を県の福祉課援護係が引き受けたことでユミエ一家は新たな土地に希望ヶ丘開拓団として入植することが出来たのだ。20件がタダでもらった土地に移り住んだが、今はユミエとエミコだけ。耕作地として不向きだったことが原因だった。そしてユミエの夫は東京の地下鉄工事に出稼ぎに行ったまま戻って来なかった。

ある夜、ダム工事に出稼ぎに来ている男が客としてやってきた。ユミエが営業の電話をした際にたまたま飯場の電話当番をしていたのだ。2万円と言われ値切る男。嫌なら帰れと言われ渋々承諾した男はユミエと奥の部屋に消えた。1時間程して部屋から出てきた男は、しばらくぶりだったからよかったと満足していた。エミコが特別サービスとして特製の焼酎を注ぐと、男は天国に登った気持ちだと言って一口飲んだ。おかしな味がしたが、一気に飲まないと本当の味がわからないとユミエに言われたため素直に従った。男は焼酎を飲み干した途端にしゃっくりを繰り返すと泡を吹いて倒れた。そして近寄ってきたユミエの足に触り「よかった」と言い残して本当に天国へ登って行った。二人は用意した手押し車に男を乗せると晴れやかに歌いながら外へ運び出した。森の番人のふくろうはその様子を静かに見ていた。

屋台的映画館
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不良姐御伝 猪の鹿お蝶

  • posted at:2015-08-07
  • written by:砂月(すなつき)
ふりょうあねごでんいのしかおちょう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年2月17日 併映「まむしの兄弟 刑務所暮し四年半」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
原作:凡天太郎
脚本:掛札昌裕 鈴木則文
撮影:わし尾元也
照明:北口光三郎
録音:堀場一朗
美術:石原昭
音楽:荒木一郎
編集:市田勇
助監督:志村正浩
記録:牧野淑子
装置:米沢勝
装飾:柴田澄臣
美粧・結髪:東和美粧
スチール:藤本武
演技事務:上田義一
衣裳:豊中健
擬斗:三好郁夫
進行主任:俵坂孝宏
出演:池玲子 成瀬正孝 衣麻遼子 早乙女りえ 三原葉子
アメリカンビスタ カラー 88分

日露戦争に勝利し国内が湧きかえる明治三十八年、金沢セントラルホテルに滞在している政心会総裁・黒川義一を暴漢が襲った。暴漢は柊修之助という青年で、警備に当たっていた警官隊に右腕を切られると勝ち目なしと見て逃げ出した。街中を逃げ回る修之助を見兼ねて建物の陰に引き込んだのは、ある渡世打ちを捜して全国を旅している女博徒の「猪の鹿お蝶」こと葛西杏子だった。彼の身を気遣うお蝶は追手がいなくなってから病院へ連れて行こうとしたが、修之助は拒否した。するとそこへやってきた柊家に仕える執事の羊川実麿が深々と頭を下げ彼を連れ去った。一人残されたお蝶がふと左手を見ると、無意識に修之助の袂から掏ったロケットペンダントを握っていた。「仕方のない指だねえ」。そうつぶやいてペンダントを開けると、中には外国の女性の写真が入っていた。

稲村組を訪れたお蝶が組長に渡世打ちのことを尋ねると、そんな男がいたことは聞いたことがあるが20年以上も前のことだから覚えていないという答えが返ってきた。お蝶が捜している渡世打ちは、彼女が三歳のときに警視庁の刑事だった父親の徳造を殺した敵だったが、花札博打で猪鹿蝶を操るいかさまの名人としか手がかりがなかったため捜索は難航していたのだ。通り名がそこからきているのかと尋ねられたお蝶は、その札には一生忘れられない思いがこもっているのだと答えた。すると「猪の鹿お蝶」の噂をかねがね知っていた稲村はその手の内を見せてくれないかと言った。その夜、開かれた賭場で稲村からいかさまを指示された舎弟の細谷が裏切られて殺された。今わの際に貯金通帳をお蝶に手渡した細谷は、浅草にいる妹・ゆきが女郎に売られる前に渡して欲しいと言った。賭場での悪い噂が広まることを恐れた稲村は、口封じのために風呂につかる無防備なお蝶を闇討ちした。だが隙のないお蝶は相手の長ドスを交わし奪うと襲い掛かる侠客たちを次々と斬り倒した。

お蝶が浅草にやってきたのは徳造の命日だった。育ての親である仕立て屋お銀を訪ねると、彼女は満面の笑みで迎えた。お銀はスリの女親分で、徳造に世話になっていたことからせめてもの恩返しということで彼女を養女に迎えたのだった。お蝶が次に向かった先は加納組だった。十二階下の女を取り仕切っているのはキズ源しかいないはずで、女衒の平助がゆきを連れてきていることまではわかっていると組員に詰め寄った。だが彼らはこの界隈には女がゴマンといるのだからいちいち身元はわからないと白を切った。するとそこに岩倉建設社長・岩倉直蔵の車が到着し、早く上玉を拝みたいものだと出迎えたキズ源に言った。座敷に通された岩倉がゆきに酌をさせようとしたところ、襖がスッと開きお蝶が入ってきた。そして用意した500円の札束を見せ、これでこの娘を身請けさせて欲しいと言ったが、岩倉はいくら金を積まれようのこの娘を手放すわけにはいかないと態度を変えようとはしなかった。そこでゆきの兄から頼まれてきているのだとお蝶が頭を下げると、岩倉はきれいだねと彼女の手を取った。手のひらに博打だこがあることに気づき堅気ではないことを知った岩倉は、この話を博打で決めようと言った。

屋台的映画館

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