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次郎長青春篇 つっぱり清水港

  • posted at:2020-04-14
  • written by:砂月(すなつき)
じろちょうせいしゅんへんつっぱりしみずみなと
松竹
配給:松竹
製作年:1982年
公開日:1982年12月28日 併映「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」
監督:前田陽一
製作:名島徹 佐藤正
脚本:前田陽一 南部英夫
撮影:長沼六男
美術:重田重盛
音楽:田辺信一
録音:小林英男
調音:小尾幸魚
照明:佐久間丈彦
編集:太田和夫
スチール:金田正
監督助手:梶浦政男
装置:川添善治
装飾:印南昇
美床:吉野桂子
殺陣:國井正廣
浪曲:三代目 廣澤虎造
進行:田沢連二
衣裳:松竹衣裳
かつら:八木かつら
現像:東京現像所
製作主任:池田義徳
出演:中村雅俊 佐藤浩市 田中好子 柄本明 明石家さんま
アメリカンビスタ カラー 91分

清水の米屋の一人息子次郎長は気は優しくて力持ち。だが困ったことに大変な博奕打ちで親の嘆きも馬の耳。商売そっちのけで毎日賭場に入り浸っていた。そんな次郎長にもおみつという許婚がおり愛想づかしもせずひたすら所帯を持つ夢を見ていたが、飢饉続きのせいであちらこちらで米騒動が起き次郎長の家も襲われる羽目になった。これが原因で父親が亡くなり、米屋は落ち目に。粗末な長屋住まいとなると今度は母親が不治の病に臥せた。ある日、富士の頂にある白いきれいな雪を口に入れたらどんなに気持ちがいいだろうとその母親が言ったことから、次郎長はその願いを叶えるために富士山に登った。そして幾多の苦難を乗り越えて拳ほどの雪を持って帰ったのだが間に合わなかった。

おみつは母親が今わの際に言った遺言を書き留めていた。米屋の次郎八を元のように再興すること。許婚のおみつとは所帯を持つこと。博奕、賭け事には絶対に手を出さないこと。次郎長は墓前で誓ったが、日が暮れると血が騒ぎ出し懲りずに賭場へ行った。そして負け続けた彼は母親の香典だけでなく、仕舞いにはおみつまで形に差し出したのだ。翌日、おみつはやくざ者たちに連れて行かれ、次郎長は駕籠舁をして取り戻すための資金を貯めることにした。ある日、仕事を終えた次郎長に声を掛けてきたのは幼なじみの小政だった。食うや食わずの百姓よりも任侠の道に進んだ小政は銀蔵親分の身内になった。近々ある出入りには助っ人が必要で、いい銭になるがどうかと誘うが、汚い銭を稼いでいてはお天道様に顔向け出来ないと次郎長は断った。だがどうしてもお前の力が必要だと口説かれ心が動いた。

富士川を挟んで清水の銀蔵と吉原の久兵衛が睨み合っていたが、果たし状の交換ばかりで一向に喧嘩が始まる気配がなかった。そのうちに痺れを切らした久兵衛側から桶屋の鬼吉が飛び出してきて、やる気があるなら掛かってきやがれと煽った。すると挑発に乗った次郎長が向かって行き川の中で大乱闘を演じた。するとそこへ駆けつけた役人たちに捕らえられ牢屋にぶち込まれたのだった。何故こんな目に遭うんだと次郎長たちが叫んでいると、先に入っていた法印の大五郎がこう言った。出入は八百長で、近頃のやくざ程喧嘩をしない人種はいないのだ、と。わが身可愛さに自分の縄張りを後生大事に守るのが今の親分や貸元で、世間の手前時には出入りの真似事をするがまともにやり合うことは滅多にないというのだ。代官所も一枚噛んでおり、頃合いを見計らって駆けつけるとそれを潮時に解散するのが筋書きとなっていた。それを知って馬鹿らしくなった大五郎は出家したのだった。その話に腹の虫が治まらない次郎長たちは牢屋を出たら必ず
仕返しをしてやろうと企んだ。

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謝罪の王様

  • posted at:2020-04-07
  • written by:砂月(すなつき)
しゃざいのおうさま
「謝罪の王様」製作委員会(日本テレビ放送網=東宝=讀賣テレビ放送=バップ=電通=読売新聞社=大人計画=札幌テレビ放送=宮城テレビ放送=静岡第一テレビ=中京テレビ放送=広島テレビ放送=福岡放送)
配給:東宝
製作年:2013年
公開日:2013年9月28日
監督:水田伸生
プロデューサー:飯沼伸之 和田倉和利 福島聡司
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠治
製作指揮:城朋子
製作:門屋大輔 市川南 藤門浩之 伊藤和明 寺田篤 松田陽三 長坂まき子
脚本:宮藤官九郎
音楽:三宅一徳
撮影:中山光一
美術・タイトルデザイン:都築雄二
照明:松本憲人
録音:鶴巻仁
編集:平澤政吾
監督補:相沢淳
助監督:足立公良
キャスティング:武重裕子
製作担当:島根淳
ラインプロデューサー:宿崎恵造
音楽プロデューサー:平川智司
主題歌:「ごめんなさいのKissing You」E-girls
制作プロダクション:シネバザール
企画・制作:日本テレビ放送網
出演:阿部サダヲ 井上真央 竹野内豊 岡田将生 尾野真千子
アメリカンビスタ カラー 128分

「弁護士に相談する前に」が謳い文句の東京謝罪センター。所長の黒島譲は「謝罪師」を生業としている。小さなトラブルから舞台挨拶での暴言・失言・暴露、不倫、二股、洒落にならない遅刻などあらゆる局面で最大級のインパクトと説得力を持つ謝罪方法として土下座は長く日本人に愛されてきたが、実はそれを越える謝罪方法があった。「土下座の向こう側」や「土下座越え」または「土下座の彼方」と業界で呼ばれるその方法で黒島は難題を次々と解決していくのだ。

<CASE1>司法書士を目指す帰国子女の倉持典子は、不慣れな車の運転でヤクザが乗る後続の車に衝突してしまった。うまく謝ることが出来ない彼女は相手の弁護士に言われるがままに誓約書へ判子を押してしまい、いつの間にか大阪のデリヘルで働くことになっていた。示談金は400万円、毎月12万円の返済で利子が10日で3割、しかも誓約書にサインをしているという最悪のケースだった。

<CASE2>大手下着メーカーでは系列会社と共同で新製品のプロジェクトを進めることなり、企画部の沼田卓也が本社へ出向することになった。プレゼンで企画が通りそれを祝う食事会が開かれたが、二次会で本社担当の宇部美咲に酔った勢いでセクハラ行為をしたことで訴えられたのだ。

<CASE3>大物俳優として知られる南部哲郎。女優で元妻の壇乃はる香との間に生まれた息子の英里人が傷害事件を起こした。直ちに記者会見を開かなければならないが、最近離婚した影響ではる香は同席することが出来なかった。会見の予定は午後7時に迫っており、黒島は用意された会場で急遽会見のリハーサルを行うことにした。南部の芝居じみた謝罪に辟易した黒島は、彼が主演するドラマを悪い参考例として見せ改善を促した。

<CASE4>美咲の弁護を引き受けたのは、世界27か国の弁護士資格を取得した一流国際弁護士の箕輪正臣だった。コロンビア大学に留学した際、マンハッタンにアパートを借りて家族3人で暮らしていた。人生の目標であるアメリカでの資格取得に熱意を燃やしていた彼は、勉強を邪魔した当時3歳の娘に対し思わず手を上げたのだった。その後、離婚をして別々に暮らしているが、箕輪の心には今でもそのことが引っかかっていた。何故なら講師を務めている大学の法学部にその子が入学してきたからだ。相談を受けた黒島はその名前を聞いてとても驚いた。

<CASE5>映画プロデューサーの和田耕作は大ベストセラー小説を映画化したのだが、あるシーンに映ってはいけない人物の姿があった。それはオタク文化に精通しお忍びで何度も日本にきているマンタン王国の皇太子を助監督が知らずにエキストラとして参加させていたのだ。激怒したマンタン政府はクレームをつけてきたのだが、皇族の肖像権を侵害した場合に懲役20年の重罪となることを知った和田は慌てて黒島に相談を持ち掛けたのだった。

<CASE6>昭和46年11月に群馬県で生まれた黒島は小さな旅館を営む両親と二人の姉に育てられた。地元の小学校に入学した彼は友達と旅館の露天風呂で50匹のザリガニを飼育しようとして全て死なせた。8歳のときに家族の前で行った「土下座」の不思議な感覚が今の彼を形成しているのだ。

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色情海女 乱れ壷

  • posted at:2020-02-12
  • written by:砂月(すなつき)
しきじょうあまみだれつぼ
日活
配給:日活
製作年:1976年
公開日:1976年7月31日 併映「犯される」
監督:遠藤三郎
プロデューサー:岡田裕
脚本:大工原正泰
撮影:高村倉太郎
照明:直井勝正
録音:古川恒夫
美術:林隆
編集:堀田好倫
音楽:奥沢散策
助監督:飛河三義
色彩計測:中島光男
現像:東洋現像所
製作担当者:山本勉
出演:八城夏子 渡辺とく子 石津康彦 丘奈保美 堂下かづき
シネマスコープ カラー 71分

外房の小さな町で海女として働く布川初子は兄の浩一を仕事のパートナーとしている。ある日、いつものように鮑を獲った初子がボートで休息を取っているとカップルが浜に打ち上げられているのを見つけた。すぐに意識を取り戻したのは前島鈴子という女の方で、彼女は警官の質問に答えようとせず、一途に杉田安男の回復を願った。その杉田も海女たちの介抱により意識を取り戻した。

初子は、昼は海女として働き、夜は潮路ホテルで海女芸者のアルバイトをしていた。そんな彼女を浩一は心配で見ていられなかった。母親は同じだが父親が違う兄妹の兄。初子がだらしないと死んだ母親までバカにされることになるからだ。たとえ血が繋がっている兄妹とはいえ、時には初子を女として見てしまうこともあった。

民宿の手すりにもたれ掛かり海を眺めていたのは鈴子と安男だった。元々死ぬつもりでいた二人に今後の予定はなく、網元の大高吉太郎のところへ相談に行ったことがきっかけで鈴子は彼が経営するバー・いずみで働くことを勧められた。店を任せられる人がおらず長い間、閉店状態が続いていたことから吉太郎にとって願ったり叶ったりだったのだ。二階には三畳の部屋が備わっていることから鈴子はここに腰を据えることに決めた。

ある日、初子は家を出る決意を口にした。前夜、初子は酔って寝たふりをしたが浩一は体を求めようとしなかった。二人の間には強い愛情があったが、それを阻むのが兄妹という壁だった。それをいつまでも打ち破ろうとしない浩一に初子は苛立っていた。更に浩一がいつまでも結婚しないことを海女仲間の若松玉江たちからバカにされていることもその理由だった。兄のために何かを変えなければならないという自分なりの答えだった。

浩一と口論になり家を飛び出した初子が夜の海岸で時間を潰していると何処からか歌声が聞こえてきた。その声の主は安男だった。彼は初子に助けられたことを誰かから聞いて知っており、いつかお礼をしなくちゃと言って去ろうとした。だが彼女は引き留めて死のうとした理由を聞き出そうとした。すると安男は、身も心もボロボロになりこの町にたどり着いたが海岸に打ち上げられた漂着船を見てその姿を自分に重ね合わせたのだと言った。生きていても意味がないと考えたが、生き返ってみるともう一度船がみたくなり海岸へやってきたのだった。そんな彼に興味を持った初子は家に連れて帰り体を重ねた。隣の部屋にいる浩一に見せつけるように。すると翌日、浩一は町を出て行った。

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シベリア超特急2

  • posted at:2020-01-09
  • written by:砂月(すなつき)
しべりあちょうとっきゅうつー
M&T PICTURES
配給:M&T PICTURES
製作年:1996年
公開日:1996年3月2日
監督:MIKE MIZNO
製作:岡田裕 水野晴郎
プロデューサー:伊藤直克
アソシエイトプロデューサー:細谷隆広
原作:水野晴郎
脚色:水野晴郎
脚本:北里宇一郎
監督補:吉原勲
撮影:鈴木耕一
照明:矢部一男
美術監督:木村威夫
美術:丸山祐司
録音:湯脇房雄
編集:冨田伸子
音楽監督:JIM DADDY
スクリプター:奥平治美
助監督:荒川栄二
キャスティングプロデューサー:大畑信政
監督助手:本多繁勝 水野貴之
制作協力:アルゴ・ピクチャーズ 水野晴郎事務所
ナレーター:油井昌由樹
出演:水野晴郎 淡島千景 草笛光子 光本幸子 寺島しのぶ
アメリカンビスタ カラー 92分

1941年、満州の外れにあるシベリア鉄道と直結した満州鉄道の主要駅・満州里駅の近くにある菊富士ホテルで事件が起こった。その建物は革命以前にロシア貴族の別荘として使われていたが、日露戦争後に日本の財閥の手に渡りホテルに改装された。盧溝橋事件、ノモンハン事件と戦争への不安が高まっていたが、ホテルの中は別世界だった。だがある夜、それはついに訪れた。第二次世界大戦前夜、ヨーロッパ情勢を視察し帰国する途中で線路の爆破に遭遇し足止めを食った山下奉文陸軍大将が宿泊を余儀なくされた。ホテルに泊まることになったのは他にアジアの舞姫・楊玲玲、スペイン大使館書記官の池波、戦争成金の田宮とその愛人・片岡双葉、そして田宮に金で買われた中国人少女・メイファン、芸者置屋の女将・立花迪子、神宮寺伯爵夫人と彼女を奥様と慕う河津信江、そしてドイツ帰りの女医・家入歌子だった。ホテル側は突然の宿泊客に対処出来ず相部屋を願い出たが、中にはそれを嫌がる者もいた。特に田宮は武器商人であることから軍人を見下し、山下のために用意した高級な部屋を替われと要求した。そして夕食時には一方的に同席し、お願いがあると言ってテーブルに拳銃を置いた。俺と手を組み2千丁の拳銃と1万発を弾を売り捌けば大儲け出来ると提案した。だが戦争を回避しようと努力する山下は微動だにしなかった。

深夜、田宮がアヘンの吸い過ぎによる急性中毒を起こしたが、歌子の素早い処置で事なきを得た。部屋の鍵はボーイが責任を持って預かることになり、騒動を聞きつけて集まった客たちは各々の部屋に帰って行った。だが目が冴えて眠れなくなった玲玲たちはラウンジへ行き一杯飲むことにした。その頃、山下の部屋には田宮から電話が掛かっていた。商売の話をもう一度検討して欲しいという。これ以上の話はないと受話器を置こうとしたところ、今度はあなたを脅かす二・二六の亡霊の話がしたいと言い出したのだ。山下の側近である佐伯大尉の鞄の中に「二・二六」と朱書きされた紙が入れられていたことを思い出した彼は、その謎が解けるのではないかと考え部屋に向かうことにした。佐伯と鍵を持つボーイを引き連れて中に入ると、田宮はベッドで死んでいた。歌子の見立てによると死因は田宮自身のナイフによる自殺。だが凶器は何処にも見当たらなかった。窓には鍵が掛けられており壊れてもいなかった。浴室や隣の部屋も異常がなかった。着衣に乱れがないことから争った形跡がなく、仮に他殺と考えると鎮静剤で意識が朦朧としている間に殺されたに違いなかった。外が嵐で警察を当てに出来ない状況だったことから独自に捜査を行うことにし、捜査員を歌子と佐伯が、助手をボーイが務めることになった。仮に犯行時間を午前0時の5分前を想定した場合、アリバイを証明出来ないのは山下だけだった。

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下町の太陽

  • posted at:2019-11-21
  • written by:砂月(すなつき)
したまちのたいよう
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1963年
公開日:1963年4月18日
監督:山田洋次
製作:杉崎重美
脚本:山田洋次 不破三雄 熊谷勲
美術:梅田千代夫
撮影:堂脇博
照明:佐久間丈彦
編集:杉原よ志
録音:西崎英雄
録音技術:石井一郎
音楽:池田正義
監督助手:不破三雄
装置:山中国雄
装飾:鈴木八州雄
衣裳:田口ヨシヱ
進行:池永功
現像:東洋現像所
撮影助手:赤松隆司
録音助手:岸本真一
照明助手:八亀実
主題歌:「下町の太陽」倍賞千恵子
挿入歌:「太陽がギラギラ」青山ミチ
挿入歌:「私の願い」青山ミチ
出演:倍賞千恵子 勝呂誉 早川保 待田京介 青山ミチ
シネマスコープ モノクロ 86分

東京の下町に住む寺島町子は化粧品会社の工場で女工として働いている。父・平八郎、祖母・とめ、弟で高校生の国夫と中学生の健二の五人暮らしで、貧しいご近所さんたちと親しくしていた。ある日、向島警察署に健二が保護されていることを知った町子は仕事が終わると迎えに行った。健二は他の三人と組んで鉄道模型を万引きしたのだ。刑事から家庭内に複雑な事情があるのではないかと疑われた町子はないときっぱり言ったが、母親代わりとなって育てた健二が事件を起こしたことにショックを受けていた。理由を尋ねると、翌年に大学受験を控えている国夫には本を買い与えるが自分には何もないと健二は言った。国夫が新聞配達でお金を貯めて欲しい物を買っていたことを町子は説明するが、返事をしないため理解したかどうかわからなかった。翌日、同じ工場で働く恋人の毛利道男に相談してみるが、一週間後に迫った正社員への登用試験で気持ちに余裕がないと断られた。彼は都心にある本社で正社員として勤務することを夢見ていた。そうなれば将来の結婚生活が楽になるからだ。

何とかしなければと町子が帰りの電車に揺られながら思い悩んでいると、いつも乗り合わせる不良っぽい青年が突然迫ってきた。気持ち悪いと感じた彼女は電車を降りたが駅を出てもついてくるので走って逃げた。だがあまりにもしつこいので理由を尋ねると、青年は北良介と名乗りつき合って欲しいと言った。戸惑いを隠せない町子が家に逃げ帰ると良介は諦めて今きた道を戻って行った。それから数日後、同僚の山元和子の結婚式に出席した町子はその帰りにいつも良介の傍にいる鈴木左衛門という青年から声を掛けられた。しばらく話すうちに健二が彼らのところへよく遊びに行っていることを知った。最近、何処かへふらりと出掛けることは知っていたが、行き先を聞いても答えようとしなかったのだ。平八郎に相談をした結果、左衛門が勤める鉄工所を訪ねることになったが、そこで良介と再会した。驚いた町子はもう二度と健二と会わないように忠告したが、俺と健二が遊ぶのは自由だし嫌ならこさせるなと良介は言った。持ち場へ戻り汗を流しながら仕事に取り組む良介の姿を見た町子は、彼が悪い人間ではないのではないかと考えるようになった。

登用試験の日、面接官たちへの受けがよく道男は合格を確信した。彼の父親は軍隊時代に今の上司である谷崎課長の上官だったこともあってコネも効いていた。試験が終わったら結婚のことを話し合おうと約束した道男だが、結果は次点で不合格となった。一方、合格したのは父親が常務の昔の仲間だった金子だった。合格を確信していた道男にとってこのショックは大きく、言葉を選ばずに愚痴をこぼしたことで町子との溝が急速に深まった。

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