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銭形平次(1967年)

  • posted at:2022-09-02
  • written by:砂月(すなつき)
ぜにがたへいじ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1967年
公開日:1967年10月10日 併映「侠客の掟」
監督:山内鉄也
企画:岡田茂 松平乗道
原作:野村胡堂
脚本:田坂啓 山内鉄也
撮影:古谷伸
照明:中山治雄
録音:谷本啓司
美術:矢田精治
音楽:津島利章
編集:宮本信太郎
助監督:大西卓夫
記録:田中美佐江
装置:温井弘司
装飾:西田忠男
美粧:堤野正直
結髪:西野艶子
衣裳:高安彦司
擬斗:谷明憲
進行主任:並河正夫
主題歌:「銭形平次」舟木一夫
出演:大川橋蔵 水野久美 小畠絹子 大辻伺郎 小池朝雄
シネマスコープ カラー 89分

目明しの父に反抗し続け勘当された平次はとび政の政五郎に拾われ一人前の鳶職人となった。だが博奕好きの癖は治らず事あるごとに賭場に出入りした。ある日、差し向かいの渡世人から呼び止められもう一勝負しようとしたが、町奉行所の手入によって牢屋に入れられた。同心笹野新三郎の口利きですぐに出されたが、平次を待っていたのは政五郎だった。怒りの収まらない政五郎は百叩きでも何でもいいから痛い目に遭わせて性根を叩き直してくださいと願い出るが、笹野は百叩きよりはよっぽど効き目がありそうだと政五郎の娘のお静に世話を任せることにした。だがこれには筋書きがあり、平次に灸を据えるために政五郎と笹野が口裏を合わせて一芝居打ったのだ。その帰り道、恋仲の二人を気遣った政五郎はこれからちょっとした野暮用があると言ってお静に小遣いを渡すと去って行った。

翌朝、堀で男女の溺死体が発見された。政五郎が一晩帰ってこなかったことで心配になった平次たちが駆けつけると、そこには若い女と手を繋いだ親方の姿があった。目明しの三ノ輪の万七は女から仕掛けた無理心中だと睨んだ。女は政五郎を刺殺した上に剃刀で喉首を切り、死んでも離れないように手と手を結わえてから自分を刺して堀に飛び込んだと考えたのだ。だが女の傷痕に違和感を覚えた平次は心中に見せ掛けて殺されたんだと言った。何故なら自らの命を絶つのに二度三度しくじった傷がつくためらい傷が見当たらないことと、縛った手首の結び目が女結びではないからだ。見立てを否定された万七は素人のくせに余計なことを言いやがってと掴みかかった。するとそこにやってきた笹野は俺の勘も平次と同じだと言った。平次の見立ては死んだ父親から聞いたことばかりだった。

拾われなかったら今頃は島送りになっていたかもしれない。そう考えていた平次はお静に今日限りとび政から暇をもらうと打ち明けた。親方の疑いを晴らし殺した犯人を自らの手で摑まえることに決めた平次は笹野に岡っ引になりたいと申し出た。無言で聞いていた笹野は押し入れから箱を取り出すと平次に渡した。その中には彼の父親が使っていた十手と捕り縄が入っていた。経緯を聞いた平次は面白い物を見せましょうと空の湯飲みを放り投げ、投げ銭でそれを割った。それも父親から仕込まれた技だった。笹野から正式に目明しとして認められた平次は十手を汚すような真似をしないと誓った。

屋台的映画館
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青春の殺人者

  • posted at:2022-02-28
  • written by:砂月(すなつき)
せいしゅんのさつじんしゃ
今村プロダクション=綜映社=ATG
配給:日本アート・シアター・ギルド
製作年:1976年
公開日:1976年10月23日
監督:長谷川和彦
企画:多賀祥介
製作:今村昌平 大塚和
原作:中上健次
脚本:田村孟
撮影:鈴木達夫
照明:伴野功
美術:木村威夫
録音:久保田幸雄
編集:山地早智子
記録:浅附明子
助監督:石山昭信
製作担当:浅尾政行
音楽:ゴダイゴ
主題歌:「憩いのひととき」ゴダイゴ
出演:水谷豊 原田美枝子 市原悦子 内田良平 桃井かおり
アメリカンビスタ カラー 132分

成田空港の近くで父から任されたスナック・キャサリンを幼馴染の常世田ケイ子と切り盛りする斉木順。雨が降るある日、父が勝手に乗って行った車を取り戻すために電車とバスを乗り継いでタイヤ工場を営む実家を目指した。両親に会いたくない彼は事務所に忍び込んで鍵を持ち出したが、エンジンを掛けたところで見つかった。それはケイ子との別れ話をするために順を呼び出す罠だった。父はケイ子の身辺を興信所を使って調べ上げ生活環境が良くないことを知った。彼女の体に溺れてしまうことを恐れそうなる前に二人を引き離そうと考えたのだが、そもそもスナック経営を始めたときにケイ子を連れてきたのは父だった。別れなければ店を取り上げると言われた順はいつだってそうだと不満を口にした。

母が野菜を買って戻ってくると、順の右手に包丁が握られていた。そしてその先には息をしていない父が血まみれで倒れていた。ケイ子は左耳が聞こえなかった。中学生の頃にイチジクの実を盗んだことを順がケイ子の母親に告げ口し、殴られたことで障害を負った。順は理由を本人からそう聞いていたが、父はケイ子の母親が連れ込んだ男にレイプされたことを知って殴られたからだと言った。それを聞いて頭に血が上った順は台所にあった包丁でめった刺しにしたのだった。母は突然の出来事に驚いたが、警察に自首するという彼を引き留め、これは家庭の問題だから他人に口外すべきではないと言った。父が若い女と蒸発をしたことにすれば何事もなかったように二人で暮らせる。思わぬ形で自由を手に入れ重労働から解放された彼女はこう言った。漠然とこうなることを望んでいたのかも知れない、と。母は土地や建物を売りその金で誰もいないところで暮らそうと提案し、大学や大学院に通って時効が成立したらおとなしい人と結婚しなさいと言った。身近にいる人物で母が一番危険だと考えていたのはケイ子だった。彼女にそそのかされて順が自首するようなことになればそれまでの苦労は水泡に帰すことになるからだ。様々なことを考えているうちに彼が自分を置いてケイ子と逃げるのではないかと思い込んだ母は激しく責め立てた。そして順の頭に後ろからシーツを被せると包丁を振り下ろしたのだが、揉み合ううちにそれが腹に刺さり母は死んだ。夜が明けると順は車で実家を離れた。

屋台的映画館

戦後猟奇犯罪史

  • posted at:2021-05-07
  • written by:砂月(すなつき)
せんごりょうきはんざいし
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年6月19日 併映「脱走遊戯」
監督:牧口雄二
企画:杉本直幸
脚本:金子武郎 中島信昭
構成:林圭一
撮影:勝木勝夫
照明:海地栄
録音:坂本浩一
美術:園田一佳
編集:玉木濬夫
音楽:渡辺岳夫
助監督:厨子稔雄
記録:黒川京子
装置:三浦公久
装飾:柴田澄臣
背景:平松敬一郎
結髪:明田多美枝
美粧:枦川芳昭
スチール:中山健司
衣裳:高安彦司
演技事務:西秋節生
擬斗:三好郁夫
進行主任:長岡功
出演:泉ピン子 室田日出男 川谷拓三 橘麻紀 五十嵐義弘
アメリカンビスタ カラー 78分

人気タレントの泉ピン子は東映映画村で「泉ピン子ショウ」と題したまるでテレビのワイドショーのようなイベントを行っていた。司会を務める彼女が数ある事件の中からピックアップした人物は、西本明、風見のぼる、久保清一の三人だった。

『日本縦断、詐欺、殺人事件』
昭和38年10月。福岡県福橋市で理容院を一人で切り盛りする中村スミは客としてやってくる西本に惚れ込んでいた。ある日、子供たちが福岡市で受ける理容師免許の試験に必要な2万円を都合して欲しいとスミが頼むと、西本はどうにかするから任せておけと言った。同月18日、西本は仕事仲間の二人を殺害して金をせしめた。彼は前科四犯のトラック野郎で詐欺や横領の専門だったが、一人殺せば二人も同じだと考え罪を重ねて行った。運送屋から奪った27万円のうち2万円を約束通りスミに渡すと、西本は福岡、唐津、長崎、佐賀と九州各地を遊び歩いた。同月24日に宇高連絡船から飛び降りて自殺を図るのだが、それは警察の目を欺くための嘘だった。11月6日、広島に大学教授として現れた彼はカトリック教会で8万円の詐欺を働き、全国指名手配中にも拘らず今度は浜松に足を運んだ。

『K歌手、空港死体遺棄事件』
かつて流行歌手として活躍し紅白歌合戦にも出場したことがある風見のぼるだったが、その後は人気が低迷し活躍の場を失いつつあった。危機感を抱いた彼は音楽関係者との結びつきを深めるために接待を重ね、その結果多額の借金が重く伸し掛かった。銀座のクラブで働くホステスの池島陽子との関係を築いた風見は、自分が結婚していることを隠して交際を続け金を貢がせて借金を全額返済した。そんな生活に味を占めた風見はギャンブルで借金を作っては陽子に穴埋めをさせた。やがてホステスの給料だけでは賄いきれなくなった陽子は特殊浴場で働くようになるが、結婚を夢見る彼女は再起を信じて支え続けた。ある日、北海道でのキャンペーンが決まると陽子は同行するのを楽しみにしていたが、カムバックをする風見にとって彼女の存在は足手まといでしかなかった。いかがわしい仕事で食わせてもらっているのは何処の馬の骨だと言われ逆上した風見は陽子を花瓶で殴り殺した。

『連続強姦殺人事件』
昭和46年3月、高崎駅前に親からもらった金で買ったクーペ車で乗りつけた久保清一は女子高生などに片っ端から声を掛けてナンパをするが誰も相手にしなかった。肩を落として車に乗ると、自分好みの女性がバスを待っている様子が目に留まった。ベレー帽につけ髭といういで立ちで近づいた久保は、行く方向が同じだと嘘をついて彼女を車に乗せた。彼は度々強姦事件を起こし何度も服役していたが、刑務所は彼にとってナンパのバリエーションを考える時間でもあった。懲りない久保は画家や哲学者などの設定を作り、几帳面に成果を全てノートに書き記した。この日も仮出所から間もなかった。同月31日、5分の1の確率で成功した女性を助手席に乗せることに成功した久保だったが、渡辺という名も高校教師という肩書も嘘であることがばれてしまった。久保は彼女を強姦しその際に首を絞めつけたが、勢い余って殺してしまった。だがそのことが性的興奮を呼び起こし新たな犯罪に手を染めた。

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聖獣学園

  • posted at:2020-12-13
  • written by:砂月(すなつき)
せいじゅうがくえん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1974年
公開日:1974年2月16日 併映「学生やくざ」
監督:鈴木則文
企画:高村賢治
原作:鈴木則文 沢田竜治
脚本:掛札昌裕 鈴木則文
撮影:清水政郎
録音:長井修堂
照明:桑名史郎
美術:中村修一郎
音楽:八木正生
編集:田中修
助監督:岡本明久
記録:高津省子
擬斗:日尾孝司
スチール:加藤光男
進行主任:入葉一男
装置:小早川一
装飾:田島俊英
美粧:住吉久良蔵
美容:花沢久子
衣裳:山内三七子
演技事務:石原啓二
現像:東映化学
出演:多岐川裕美 山内えみこ 衣麻遼子 田島晴美 渡辺やよい
アメリカンビスタ カラー 91分

娑婆での生活に別れを告げた多岐川魔矢は人里離れた場所にあるセントクルス修道院に入った。そして洗礼を受けた後に修道服を身に着けることを許可され助修女となった。院長の小笠原綾、副院長の松村貞子らによっておよそ73章に分かれる戒律の説明を受け、それを守ることを神に誓うと今度は服装の説明を受けた。白は潔白、黒は苦行を表し、戒律を守る苦行こそが弱い人間が神の花嫁に近づく道だと貞子は言った。魔矢は助修女の部屋に案内されたが、そこは一つ上の歌隊修女の部屋よりも格段に粗末だった。その差は寄付金の額で決まるというのが専らの噂だ。ある日、魔矢は基礎神学の授業で副院長をからかった型破りの石田松子に興味を持った。その松子が夜中に隠れてウイスキーを飲んだことを副院長に気づかれ、また別の日には倉庫の缶詰などを盗み食いした二人が鞭打ちの刑を受けた。松子は魔矢がきてから急に周囲が騒がしくなったことから彼女を院長が送り込んだスパイだと警戒した。

植物の温室で密会する修道女の高波美恵とジャネットの姿を見つけた魔矢は、助修女の行動を探るのを命じた人物の名を吐かせた。それは副院長であり美恵とジャネットに従わせたのだ。そのことがわかると魔矢は密会したことを口外しない代わりに指示通り動くよう命じた。美恵に鍵を開けさせ院長室に忍び込んだ魔矢は書類の綴りを片っ端から調べ上げその中から篠原美智子という人物の書類を見つけ出した。そこには心因が心臓麻痺と記されており、その担当をしたのが院長だということがわかった。彼女が次に接触したのは修道院に古くからいる賄い婦の菅野さちだった。ベッドに臥せる彼女の担当になった魔矢は明るく声を掛けるが、さちは彼女が首から下げるロザリオを見て顔色を変えた。その裏には「MARY-MICHIKO」と刻まれており、さちは魔矢が美智子の娘であることがわかると小刻みに震えた。魔矢は母のことを教えて欲しいと懇願したが、さちは優しくていい人だったとしか答えなかった。

ある日、司祭の柿沼信之が修道院を訪ねた。人望の厚い司祭は皆から尊敬される人物で、懺悔をする北野久子に声を掛けてその悩みを聞いた。彼女の父親は脳溢血で倒れ、入院費用をすぐに用意しないと死んでしまうと妹から聞いた。そこで副院長が管理する納入金の中から金を盗んだと正直に話した。すると司祭は神があなたを罰することはないと言い、元へ戻しておきなさいと10万円を渡した。久子が安堵の表情を見せ悩みが跡形もなく消え去ったと言うと、罪の意識が淡雪のように消えて行くお前に神が現れるはずはないと司祭は冷たく言い放った。そして神に替わって罰を与えた。

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性盗ねずみ小僧

  • posted at:2020-10-17
  • written by:砂月(すなつき)
せいとうねずみこぞう
日活
配給:日活
製作年:1972年
公開日:1972年1月29日 併映「濡れた唇」
監督:曽根中生
企画:伊地智啓
脚本:長谷川和彦
撮影:森勝
美術:松井敏行
録音:神保小四郎
照明:土田守保
編集:井上親弥
音楽:多摩零
助監督:小原宏裕
色彩計測:水野尾信正
現像:東洋現像所
製作担当者:大鷲勝道
出演:小川節子 森竜二 五條博 高見由紀 浜口竜哉
シネマスコープ カラー 67分

天保の頃、次郎吉という無宿者が強盗の罪で捕らえられた。水呑百姓の家に生まれた彼は大飢饉により貧苦に見舞われた一家を救うため江戸呉服越後屋に丁稚奉公に出た。ぐうたらで要領の悪い次郎吉を面白がる呉服屋の娘おたかは、わざと風呂場で裸のまま倒れてみたりしてからかった。その後、心を入れ替えて三年間真面目に働いた次郎吉は藪入りで実家に帰ったが、両親は死に妹のおみつは人買いに連れ去られていた。誰もいない家を後にした次郎吉が越後屋に戻ると、女将のおきんと番頭の善助の話し声が聞こえた。丁稚は百姓と同じで、生かさぬように殺さぬように働かせばいいのだ、と。更にはほのかな恋心を抱いていたおたかの松屋との婚礼話が既に結納まで済んでおり、嫁入り道具もほとんど注文済みであとは晴れ着の丈を合わせるだけだという。そしておたかから得体の知れないところがあって気味が悪いと言われるのを聞きカッとなり台所から包丁を持ち出した次郎吉は、三人を縛り上げると善吉の目の前でおたかをおきんを代わる代わる犯した。

仕事を探していた次郎吉は口入れ屋で手頃なものを斡旋された。それはやくざ者同士の喧嘩の助っ人だった。ところがどちらの一家も先頭に立つのは助っ人で、当人たちは後ろで震えているのだ。無駄に命を捨てるのは御免だと考えた次郎吉は刀を抜き仲間とともに威勢よく駆け出したが、睨み合いに終始した。すると相手も同様で斬り掛ってくることはなかった。相手方に入れ墨がきっかけで三年前に知り合った緋桜の金助がいることがわかると一緒に逃げ出した。兄貴面をしたい次郎吉はたらふく酒を飲みその勢いで賭場に向かった。だが目が出ず身包みを剥された彼は裏の戸が開いていた屋敷に忍び込んだ。障子の向こうからよがり声が聞こえたためそっと開けると商家の御寮が春画を見ながら自慰に耽っていたのだ。体を求められたうえに口止め料をもらったことで味を占めた次郎吉は同じような家を選んで忍び込んだ。

複雑な家庭環境から放蕩生活を送り、武士を捨てて入れ墨を背負った緋桜の金助。彼の正体は遠山金四郎景元だった。父景晋に呼び戻された景元は世直しのために働いてみる気はないかと言われた。飢饉に乗じて私腹を肥やす一部の商人、そして結託した悪徳大名を一掃するには腰抜け老中を廃して自らその座に就かなければならないと景晋は考えたのだ。そのためには民衆の声を代弁する偶像が必要だった。そこで景晋は、市中を騒がせている鼠小僧と呼ばれる盗賊に近づいて世直しを吹き込み民衆を扇動させるよう景元に命じた。その鼠小僧の手掛かりは、背中に大蛇の入れ墨をしていることしかわからなかった。

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