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兵隊やくざ

  • posted at:2021-10-26
  • written by:砂月(すなつき)
へいたいやくざ
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1965年
公開日:1965年3月13日 併映「若親分」
監督:増村保造
製作:永田雅一
企画:久保寺生郎
原作:有馬頼義
脚本:菊島隆三
撮影:小林節雄
録音:飛田喜美雄
照明:渡辺長治
美術:下河原友雄
音楽:山本直純
編集:中静達治
助監督:崎山周
製作主任:上嶋博明
出演:勝新太郎 田村高廣 淡路恵子 滝瑛子 山茶花究
シネマスコープ モノクロ 102分

日本から何百里と離れたソ連との国境に近い満州国・孫呉。その街はまるで兵営で、四万の軍隊と兵隊相手の酒場、そして女郎屋しかなかった。遥か南方の都会とはたった一本の鉄道で繋がり、逃げようにも逃げられない荒野に孤立した刑務所だった。そこには猛烈な訓練と厳しい軍律で有名な部隊があり、入隊した兵隊たちは地獄のような苦しみに耐えられず脱走しては逮捕され中には自殺する者までいた。だが大宮貴三郎という男だけは例外だった。

昭和十八年早春の太平洋戦争もそろそろ雲行きが怪しくなってきた頃、六人の初年兵が入隊することになった。その中に前科はないが手をつけられない程の暴れん坊と聞く大宮がいたが、その指導係に任命されたのは三年兵の有田上等兵だった。軍隊が大嫌いな有田は出世よりも自由になることを望み、幹部候補生の試験をわざと滑って翌年の除隊を楽しみに待っていた。ところが柔よく剛を制すが持論の中沢准尉から直接任命されたため引き受けざるを得なくなったのだ。

満州に桜が咲かない春がくると四年兵が満期除隊で内地に帰還した。それと入れ違いに東京からやってきたのが四百人の初年兵だった。暴れ馬の大宮はその中にいた。風邪気味と称して勤務をサボる有田に替わって白井上等兵が初年兵の指導を行い殴って服従させようとした。ところが大宮はビクともせず逆に簡単にひねられたのだった。有田は演習の泥と汗を落としたいという大宮たちの入浴を許可したが、その時間は砲兵隊の順番だった。彼の予想通りに風呂場は乱闘の場と変わったが、大宮は全ての砲兵をノックアウトしたのだ。この事件以来、大宮の名は部隊中に広まり英雄になった。だが軍隊では一つ隊が違えば敵同士、まして砲兵と歩兵は赤の他人である。砲兵隊は大宮をつけ狙い復讐の機会を待っていた。挨拶をしなかったことを理由に黒金伍長から呼び出しを受けた大宮に、有田は何を言われても我慢をして絶対に手を出すなと言い含めた。大宮が出向いた間に白井上等兵が黒金の素性を調べた結果、乙種幹部候補生の二年兵で入隊前に大学でボクシング部にいたことがわかった。有田は部屋に乗り込むと軍隊は襟の星の数よりメンコの数が物を言うんだと黒金に迫り、上官ではないお前が大宮を殴ったのだから報復させてもらうと凄んだ。すると気を失い掛けていた大宮はニヤリと笑い黒金に飛び掛かったのだった。

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男はつらいよ 寅次郎物語

  • posted at:2021-10-23
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうものがたり
松竹映像
配給:松竹
製作年:1987年
公開日:1987年12月26日 併映「女咲かせます」
監督:山田洋次
プロデューサー:島津清
企画:小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:鈴木功
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:横手輝雄
装飾:露木幸次
衣裳:松竹衣裳
美粧:宮沢兼子
現像:東京現像所
進行:副田稔
製作担当:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
撮影機材:パナビジョン
協力:吉野山観光協会 柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 秋吉久美子 五月みどり 下條正巳
シネマスコープ カラー 102分

車寅次郎の甥・諏訪満男は学校での三者面談でまだ大学を受験するか決めていないと言った。その言葉に一番驚いたのは母親のさくらだった。息子が何を考えているのかわからない彼女は校門を出ると恥ずかしかったと小言を言うが、罰の悪い満男は母親と一緒なんて格好悪いから先に帰ってくれと突き放した。さくらは仕方なく一人で電車に乗るが、とらやでそのことを叔母のつねに話すとあの子は気が優しいから受験戦争には向いていないんだよと庇った。やがて満男が帰ってくると、その隣には見知らぬ少年が立っていた。佐藤秀吉というその少年は郡山から寅次郎からきた年賀状を頼りに訪ねてきたというのだ。秀吉の父・政吉は寅次郎のテキヤ仲間で、何かあったら寅次郎を訪ねよと病気で死ぬ前に言い聞かせていた。その夜、とらやでは家族会議を開かれ、秀吉をどのように扱うかが話し合われた。警察に届け出ることが筋道だが寅次郎をはるばる訪ねてきたあの子の気持ちを考えれば簡単に引き渡せないとさくらの夫の博が言うと、そんな惨いことはさせないとつねも同調し二、三日様子を見ることになった。

秀吉の今後のことを考えたさくらは小学校のことなどの相談しに福祉事務所へ相談に行った。その頃、とらやには何も知らない寅次郎が帰ってきていた。店を手伝いにきていた印刷工場社長の娘のあけみから秀吉の父親が死んだこと、母親は息子を置いて蒸発したことを説明された寅次郎は、留守中に迷惑を掛けて申し訳なかったと叔父の竜造に詫びた。

背中に般若の彫り物が入っていることで般若の政と呼ばれた政吉は飲む打つ買うの三道楽で挙句の果てに借金地獄に陥った。借金取りから逃げ回っているという噂は聞いていたが、その後どうなったかは知らなかった。秀吉の名付け親であることもあって責任を感じていた寅次郎は、彼の母親であるふでを捜すことにした。蛇の道は蛇。小岩にいるポンシュウなどを訪ねると和歌山の旅館で女中として働いていることがわかった。翌日、秀吉を連れた寅次郎は柴又の人たちに見送られて旅に出た。

屋台的映画館

情炎お七恋唄

  • posted at:2021-10-20
  • written by:砂月(すなつき)
じょうえんおしちこいうた
日活
配給:日活
製作年:1972年
公開日:1972年2月29日 併映「秘事」
監督:小原宏裕
企画:伊地智啓
脚本:新関次郎
撮影:森勝
美術:川崎軍二
録音:高橋三郎
照明:土田守保
編集:鈴木晄
音楽:月見里太一
助監督:八巻晶彦
色彩計測:水野尾信正
現像:東洋現像所
製作担当者:大内利男
出演:小川節子 森竜二 浜口竜哉 牧恵子 高見由紀
シネマスコープ カラー 70分

八百善の一人娘お七は本郷小町と呼ばれる程の器量良しだった。そんな彼女に質屋の近江屋作兵衛との縁談が持ち上がったが、お七は気乗りしなかった。大金持ちの跡取り息子とあって父善助や母おひさはその話を快く受けるつもりでいたが、作兵衛のことが嫌いなお七が了承するはずがなかった。その夜、嵐が江戸の町を襲い川が氾濫したこともあって駒込の吉祥寺に避難すると、和尚は寺小姓の吉三郎に世話するように命じた。夜が明けると雨は幾分小降りになったが水は二、三日は引きそうになかった。お七のことが心配でたまらない作兵衛は差し入れを持って吉祥寺に駆けつけ、茶を出しにきた吉三郎に八百善一家に粗相のないようにと小判を渡した。すると吉三郎は誰にでも同じように気を配るのが務めであるため金でもてなしの区別は出来ないと言った。そのやり取りを聞いていたお七は胸のすく思いで笑みがこぼれた。

町の水が引き始めた頃にはお七は吉三郎の澄んだ瞳と優しい心遣いに心を奪われていた。店の様子を見に行くという善助からもうすぐ寺を出なければならないことを聞いたお七は、別れの時が迫っていることを感じた。いずれは親が決めた縁談に従わなければならないため、悩んだお七はその前に吉三郎との思い出を作ることにしたのだった。別れの日、お七が借りた掻巻を返しに行くが帰りたくないと駄々をこねた。すると吉三郎は再び体を重ねたが、お七を捜しにきたおひさはその様子を目撃しこれまでのことをなかったことにして欲しいと頭を下げた。

屋敷に戻ったお七は吉三郎への想いが募るばかりで、一目逢いたいと用事を作って出掛けようにも善助の監視の目は厳しかった。一日も早く作兵衛との縁談をまとめたい善助は彼女を部屋に閉じ込め琴や三味線の習い事をさせた。だが今の思いを何としてでも伝えたいお七は身の回りの世話をするお梅に付け文を届けさせたのだった。お七に逢いたいのは吉三郎も同じだったが、和尚からいずれ出家する身なのだから今から心に迷いがあってはならぬと釘を刺されていた。そんな折に付け文を受け取り何か逢うための手段がないかと考えを巡らせた。

屋台的映画館

好色元禄(秘)物語

  • posted at:2021-10-17
  • written by:砂月(すなつき)
こうしょくげんろくまるひものがたり
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1975年
公開日:1975年10月14日 併映「神戸国際ギャング」
監督:関本郁夫
企画:本田達男 上阪久和
脚本:田中陽造
撮影:塩見作治
照明:井上孝二
録音:荒川輝彦
美術:竹川輝夫
編集:堀池幸三
音楽:津島利章
助監督:平野勝司
記録:石田照
装置:温井弘司
装飾:柴田澄臣
スチール:中山健司
美粧:長友初生
結髪:白鳥里子
衣裳:佐々木常久
擬斗:菅原俊夫
演技事務:伊駒実麿
進行主任:野口忠志
出演:ひし美ゆり子 橘麻紀 名和宏 笑福亭鶴光 汐路章
アメリカンビスタ カラー 67分

西念寺住職清海の妾であるお夏は、玉の輿を狙って呉服屋丹波屋の若旦那世之介に近づき誘惑した。その結果、夫婦の契りを交わした上に母親の形見である櫛まで手に入れたのだった。一刻も早く別れたいお夏は着物の下に笊を入れて子を宿したと嘘をつき、清海は檀家に言い訳が出来ないからと暇を出した。実家の長屋に戻ってきた娘の姿を見た父親の忠兵衛は驚いた顔をするが、清海をだまして手切れ金をせしめたことがわかると激怒した。棺桶職人の忠兵衛にとって清海はお得意様なのだ。するとお夏はちゃんと代わりを捉まえてあるから心配しなくてもいいと言った。彼女は世之介の他に薬種問屋の喜兵衛とも深い関係になっていたのだ。ある日、忠兵衛が酔っ払って帰ってきたことから、お夏がそんな銭何処にあったんだいと尋ねた。するとどうやら世之介が祝言を挙げることになり振舞酒をしこたま飲んできたのだという。血相を変えたお夏が丹波屋に乗り込むと、世之介はうろたえながら許してくれと懇願した。だが父親が現れると世之介は知らない女だと白を切り突き飛ばした。お夏は下働きの男たちに川へ捨てられたが、それを助けたのは西念寺の若い僧侶西鶏だった。息を吹き返したお夏は世之介をどうやって見返すか、そんなことばかり考えていたが、西鶏はその夜、初夜を迎えた世之介とお初の寝所に忍び込んで縞蛇を放った。縞蛇はお初の秘所に潜り込み、その驚いた様子を見て西鶏は面白がった。そのことを翌日に知ったお夏は、仕返しなら自分でやると叱った。

お夏には奔放な彼女とは正反対の貞淑な妹お七がいた。小間物商いをする夫の久松といつか店を持ちたいという夢を見ながら生活しているが、思うように金が貯まらず忠兵衛の世話になっていた。ある日、久松から出合茶屋へ注文の簪を届けるように言われたお七だったが、それは女房を出汁にして安易に大枚を稼ごうと考える久松の浅知恵だった。十両で自分が売られたことを知り逆上したお七は長屋に戻ると久松を鑿で刺殺し、お夏と協力して死体を池に沈めた。

久松を弔った西鶏はつい最近聞いた堺の港の女郎屋で起きた出来事を話し始めた。千人の男と枕を交わした遊女がそのままふっつりと姿を消したのだという。普賢菩薩が男たちの煩悩を清めるために生まれ変わったのではないかと噂が立ったが、西鶏は大罪を犯した女が償いをするためにしたことではないだろうかと言った。話を聞き終えたお七は久松への供養に繋がるかもしれないと考え同じことをする覚悟を決めた。

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男はつらいよ 知床慕情

  • posted at:2021-10-14
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよしれとこぼじょう
松竹
配給:松竹
製作年:1987年
公開日:1987年8月15日 併映「塀の中の懲りない面々」
監督:山田洋次
プロデューサー:島津清
企画:小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:鈴木功
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男
装飾:町田武
衣裳:松竹衣裳
美粧:宮沢兼子
現像:東京現像所
進行:副田稔
製作担当:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
・・・:「知床旅情」森繁久彌
撮影機材:パナビジョン
協力:北海道 斜里町 羅臼町 中標津町 柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 竹下景子 下條正巳 三崎千恵子
シネマスコープ カラー 107分

桜の季節が終わりツバメが辺りを飛び始めた頃、葛飾柴又の団子屋・くるまやに車寅次郎が帰ってきた。表に当分休業の張り紙があったことから叔父夫婦が温泉旅行にでも行ったのかと思っていたが、妹のさくらから竜造が風邪をこじらせて肺炎を起こして入院していることを聞き顔色が変わった。だがあと数日で退院出来ることがわかると安心したが、居ても立っても居られず病院に行った。元気そうな顔を見た寅次郎が大事にならなくてよかったと声を掛けると、竜造は感謝の言葉を返した。

その夜、疲れた顔をして帰ってきたつねは病院で起きたことをさくらや博に話した。病院の医師に手土産を渡せばそれなりに応えてくれると考える寅次郎は見舞いのついでにウイスキーを渡そうとしたのだが、病院の方針として受け取れないと担当医は突き返した。押し問答が続く中、寅次郎は無理矢理押しつけて帰ってきたのだが、担当医は二度と彼を病院に連れてくるなと激怒しつねにウイスキーを押しつけたのだった。何も知らない寅次郎が二階から下りてくるとあけみが夕食の手伝いにきていた。翌日から店を開けることになり、あけみや印刷工場のゆかりなども総動員で切り盛りすることになっているのだ。自分が除け者にされていると感じた寅次郎は何でもやると言い張るが、団子をこねると体中がかゆくなるだの、串さしは自分の目ん玉を刺すようで嫌だの、餡子を練るのは匂いを嗅いだだけで飽きっぽくなるだのと文句ばかり言ってつねを呆れさせた。それならばとさくらは帳場に座って金庫番でもしていればいいと提案した。するとあけみもその方が絵になるからと煽て、それを聞いた寅次郎は俄然やる気を出した。

翌日、言われた通りに帳場に座るが、注文の電話で相手の名前を聞きそびれ、することがないのでマンガを読み、退屈凌ぎに何度もトイレに立ち、仕舞いには居眠りを始めた。つねがこぼした小言をたまたま聞いた寅次郎は腹を立てて酒を飲みに出掛けたが、反省して帰ってくると閉店後の店の中には暗い空気が漂っていた。肝心な跡取りがあのザマだとつねは嘆き、さくらや様子を見にきた梅太郎は言葉を選んで必死になだめようとしていた。その様子を見た寅次郎は静かに扉を閉めると再び旅に出た。

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