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主婦の体験レポート おんなの四畳半

  • posted at:2025-05-17
  • written by:砂月(すなつき)
しゅふのたいけんれぽーとおんなのよじょうはん
日活
配給:日活
製作年:1975年
公開日:1975年4月26日 併映「残酷 黒薔薇私刑」
監督:武田一成
プロデューサー:樋口弘美
原作:香山佳代
脚本:田中陽造
撮影:安藤庄平
照明:直井勝正
録音:木村瑛二
美術:徳田博
編集:鈴木晄
助監督:岡本孝二 中川好久
色彩計測:田中正博
現像:東洋現像所
製作担当者:天野勝正
音楽:坂田晃一
主題歌:「おんなの四畳半」
新内:花園一声 富士松亀明
出演:川崎あかね 宮下順子 殿山泰司 絵沢萠子 丘奈保美
アメリカンビスタ カラー 75分

東京の下町にある銭湯・お加女湯。その洗い場で井戸端会議を開いていたのは古びた木造アパート・不動荘の住民の富子、静江、佳代、郁子だった。体のことなどの雑談をしていると隣の男湯から歌声が聞こえてきた。その特徴のあるダミ声から不動荘の大家の春吉だとすぐにわかったが、彼はこのお加女湯だけでなく家屋敷もろとも女と博奕に入れ揚げたのだった。今はまた若い女のところに転がり込んでいるという噂があり、富子たちがそれを話題にすると品子は背中側の洗い場でそれを静かに聞いていた。彼女はその若い女だった。品子は豊満な肉体を富子たちに見せつけるようにして湯船に浸かった。

不動荘はお加女湯のすぐ近くにあるが、春吉は不動荘の名ばかりの大家で実際の管理は娘の野百合が行っていた。品子を連れた春吉は野百合に土産の団子を渡すとここへきた理由を説明した。春吉は品子と同棲をしているが金がないための彼女のヒモに手切れ金を渡せないでいた。しかも方々にある借金も滞っているため今いるアパートを追い出されたのだ。行くところのない彼らはひと月ばかり置いて欲しいと頭を下げるが、不動荘の部屋は一間しかないため野百合は自業自得だと断った。私に悪い男がついていたばかりにこんなことになってすみませんと品子が謝ると、春吉は親の苦労を見ないフリをする娘なんてこっちからお断りだと言って出て行こうとした。そうすれば引き留めてくれると思ったが野百合はどうぞご自由にと突っぱねた。とは言ってもやっぱり親子。私は店の方に泊まるから帰っておいでよと野百合が言うと、春吉はたった一人の娘にそう言われたんじゃしょうがねえなあと品子に目配せした。

野百合はおでん屋を営んでいたが、よく客としてくるのは幼馴染で今は不動荘の地主の真太郎だった。彼は野百合に好意を持っており度々結婚したいと話すがいつもはぐらかされていた。ある日、真太郎は銀行からあの土地にビルを建てたいという申し出があると話した。その場合、不動荘は取り壊されて住民には相応の立退料を払うことになるだろうと説明すると、野百合はこの土地が好きで住んでいる人たちに札束で顔を叩くような真似をしたらへそを曲げちゃうだろうなと富子たちを心配した。

屋台的映画館
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しゅりけんせんたいにんにんじゃーたいとっきゅうじゃーざむーびーにんじゃいんわんだーらんど
劇場版「ニンニンジャーVSトッキュウジャー」製作委員会(テレビ朝日=東映ビデオ=東映=東映エージエンシー=木下グループ)
配給:東映
製作年:2016年
公開日:2016年1月23日
監督:中澤祥次郎
製作:平城隆司 間宮登良松 鈴木武幸 松田英史 木下直哉
企画:林雄一郎 加藤和夫 白倉伸一郎 竹内淳裕 小助川典子
原作:八手三郎
脚本:下山健人
音楽:山下康介
撮影:松村文雄
照明:柴田守
美術:大谷和正
録音:伝田直樹
編集:柳澤和子
整音・選曲:宮葉勝行
スクリプター:高山秀子
助監督:杉原輝昭 葉山康一郎
製作担当:青木啓二
ラインプロデューサー:青柳夕子 佐々木幸司
音響効果:小川広美
キャラクターデザイン:篠原保 K-SuKe
造型:前澤範 吉川学
デザイン協力:プレックス
企画協力:企画者104
資料担当:松井大 馬場竜太
挿入歌:「なんじゃモンじゃ!ニンジャ祭り!~Rock☆Star ver.~」キンジ・タキガワ
主題歌:「なんじゃモンじゃ!ニンジャ祭り!~忍ばず出発進行! ver.~」伊勢大貴
音楽プロデュース:本谷侑紀 澁谷知子
音楽制作:東映音楽出版 テレビ朝日ミュージック 日本コロムビア
製作プロダクション:東映テレビ・プロダクション
エグゼクティブ・プロデューサー:佐々木基 疋田和樹
プロデューサー:井上千尋 中野剛 武部直美 柴田宏明 矢田晃一 深田明宏
アクション監督:福沢博文
特撮監督:佛田洋
出演:西川俊介 松本岳 中村嘉惟人 矢野優花 山谷花純
アメリカンビスタ カラー 65分

伊賀崎天晴が目覚めるとそこは列車の中だった。弁当を食べてお腹がいっぱいになり思わず眠ってしまったのだ。手裏剣戦隊ニンニンジャーの六人(天晴、妹の風花、いとこの加藤・クラウド・八雲、松尾凪、百地霞、妖怪ハンターのキンジ・タキガワ)が向かっていたのは歴代の伝説忍者と時空を超えて会えるという「夢の忍者ランド」だった。祖父の伊賀崎好天が持つ「ラストニンジャ」の称号を目指して修行する彼らにとってこの体験は有意義なものになるに違いなかった。列車が「夢のニンニンライブ」駅を通過するとキンジはロックスターになり、ステージでギターを弾きながら歌い踊っていた。そんな彼をその世界から連れ出したのはカグラだった。

伊賀崎天晴が目覚めるとそこは列車の中だった。乗客は自分を含めて五人しかいないのに弁当は何故か六個ある。何故なんだろうと頭をひねっていると、列車は「夢のスカイミッション」駅を通過した。するとスパイの凪はアタッシェケースに入った重要機密をミスターツムジに渡さなければならないことを思い出した。銃弾を搔い潜って逃げる凪、そしてそれを援護する八雲と霞。だがついにサングラスの黒服男たちに追い詰められた。するとそこに現れたのはけん玉探偵ことヒカリだった。彼は男たちを倒した後、三人に「俺の推理が正しければ君たちはスパイじゃなくて忍者だ」と告げた。

伊賀崎天晴が目覚めるとそこは列車の中だった。何度も同じようなことを繰り返していることに気づいた天晴は、車内に風花と二人しかいないことに疑問を感じていた。列車が「夢の結婚式」駅を通過すると風花はウエディングドレスを着ていた。彼女の隣にいたのはトカッチだったが、風花にはそれが誰なのかわからなかった。そこにやってきたミオは参列していた天晴も含めた四人で逃げ出そうとするが、それを邪魔したのは出席者に変装していたジュッカラゲだった。訳がわからない天晴と風花がニンニンジャーに変身すると、トカッチとミオもトッキュウジャーに変身して戦った。この世界は妖怪ワニュウドウが作り出した幻であり、騙しているのがバレたことでそれを終わらせると天晴と風花は列車に戻された。そして脱出させることに失敗したトカッチとミオもそこに留まったのだった。人間のイマジネーションを原動力とする鉄道路線・レインボーラインはシャドーラインの残党が活動を始めたという情報を掴んでいだ。そこでトッキュウジャーが呼び戻されニンニンジャーの救出に向かったのだった。

屋台的映画館

湘南爆走族

  • posted at:2025-04-01
  • written by:砂月(すなつき)
しょうなんばくそうぞく
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1987年
公開日:1987年4月25日 併映「カンフーキッド 好小子」
監督:山田大樹
企画:翁長孝雄 坂上順 佐藤和之
原作:吉田聡
脚本:山田大樹 和泉聖治
撮影:佐々木原保志
美術:大嶋修一
照明:渡辺三雄
録音:林鉱一
音楽:若草恵
編集:田中修
助監督:井上文雄
音楽プロデューサー:嵐ヨシユキ 高桑忠男 石川光
主題歌:「湘南グラフィティ」桃太郎
挿入歌:「ブン・ブン・ブン」翔
・・・:「Boom Boom Boom」織田裕二
記録:小林みどり
音響効果:原尚
音楽事務:新井明美
演技担当:酒井福夫
ヘアー・メイク:アートメーク・トキ
衣裳:大久保富美雄
装置:杉本喜作
装飾:平井浩一
電飾:金田孝夫
背景:松下潔
ファイティング・コーディネーター:國井正廣
擬斗協力:オフィス國井&悪童児
カー・スタント:武士レーシング・チーム
刺繍指導:山本一美
刺繍作品:糸と針の会
コーチング・ディレクター:池田定幸
スチール:原田大三郎
進行主任:竹山昌利
現像:東映化学
企画協力:東映ビデオ
出演:江口洋介 織田裕二 杉浦幸 清水美砂 我王銀次
アメリカンビスタ カラー 90分

湘南界隈を中心に活動する五人の暴走族・湘南爆走族。手先が器用なリーダーの江口洋助が波打際高校手芸部の部長を務めている間、親衛隊長の石川晃、特攻隊長の丸川角児、リーダー補佐の原沢良美、肩書きを持たない桜井信二は慣れないアルバイトに苦労していた。お金があればガソリンを満タンにして単車を走らせることが出来るからだ。失敗の連続で皆がクビになる中、原沢が唯一アルバイトを手に入れたことで湘爆が復活した。久しぶりに湘南の海岸沿いの道路を五人で走っているとライバルで大所帯の暴走族・地獄の軍団がやってきた。相変わらず寂しい同好会だなとリーダーの権田二毛作が馬鹿にすると、江口は何でもいいから頭数を揃えるところとは違うんだよと言い返した。二人は会うといつも言い合いになるがお互いに一目置いていた。権田は横浜を縄張りとする横浜御伽が関東連合を吸収し、次は湘南を狙っていることを噂に聞いていた。困った時にはこの権田様が助けてやるから泣いて頼みに来いと言うと、原沢がじっと彼の顔を見た。権田が思わずたじろぐと原沢はパンクしてるよと忠告した。

湘爆が週刊誌に取り上げられたことに焦る権田は新しいメンバーを募集する手段としてプロモーションビデオを撮影することに決めた。ところが緊張しがちな彼の姿は何処か滑稽で、しかも格好いい走行を見せようとしたがカーブを曲がり損ねて転倒し右足を骨折した。副総長の瀬島渉はコメディータッチな仕上がりとなったビデオを病室に持って行くが ワイルドでハードなものを期待した権田はその完成度に激怒した。同じ頃、湘爆の五人はラーメン屋・じえんとる麺にいた。ここの店主は初代湘爆親衛隊長の茂岡義重でいつも彼らの面倒を見ていた。江口たちは一杯のラーメンをどうやれば平等に食べることが出来るかなどと思案していたが、金を払わないうちにどんぶりを落としてしまい店を逃げ出した。バイトをせずに単車のガソリンを満タンにしてラーメンがいっぱい食べられ、その上リッチなデートが出来る。そんな夢のようなことが出来ないかと海岸で考えていると江口が突然ひらめいた。湘南を愛する部員が湘南の美しさを求めてさすらいそのまま富士山へ行くというアドベンチャー茶道部を学校側に承認させれば全てが解決するのだ。結局、緊急予算委員会で単車による単車のためのクラブは認められなかったが、その代わりに江口はお茶に拘わるアルバイトを見つけた。お金に目が眩み内容を知らされないまま現場に行ったところ、待っていたのは茶摘み娘の格好でお茶を振る舞う接待係だった。

屋台的映画館
しゅりけんせんたいにんにんじゃーざむーびーきょうりゅうとのさまあっぱれにんぽうちょう
劇場版「ドライブ・ニンニンジャー」製作委員会(東映=テレビ朝日=東映アニメーション=東映ビデオ=アサツー ディ・ケイ=東映エージエンシー=バンダイ)
配給:東映
製作年:2015年
公開日:2015年8月8日 併映「劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー」
監督:中澤祥次郎
製作:鈴木武幸 平城隆司 高木勝裕 間宮登良松 高木智悌 松田英史 垰義孝
企画:白倉伸一郎 林雄一郎 鷲尾天 加藤和夫 波多野淳一 疋田和樹 小野口征
原作:八手三郎
脚本:下山健人
音楽:山下康介
撮影:松村文雄
照明:柴田守
美術:大谷和正
録音:伝田直樹
編集:柳澤和子
整音:深井康之
スクリプター:高山秀子
助監督:杉原輝昭
製作担当:柿本裕樹
ラインプロデューサー:青柳夕子
選曲:宮葉勝行
音響効果:小川広美
キャラクターデザイン:篠原保 K-SuKe
造型:前澤範 前澤まさる 吉川学
デザイン協力:プレックス
企画協力:企画者104
資料担当:松井大 馬場竜太
イラスト:A.YAMASHITA
エンディングテーマ:「なんじゃモンじゃ!ニンジャ祭り!」伊勢大貴
音楽プロデューサー:澁谷知子 本谷侑紀
音楽制作:東映音楽出版 日本コロムビア
製作プロダクション:東映テレビ・プロダクション
エグゼクティブ・プロデューサー:佐々木基
プロデューサー:武部直美 柴田宏明 井上千尋 矢田晃一 深田明宏
アクション監督:福沢博文
特撮監督:佛田洋
出演:西川俊介 松本岳 中村嘉惟人 矢野優花 山谷花純
アメリカンビスタ カラー 26分

ラストニンジャという称号を持つ伊賀崎好天は修行中の五人の孫に夏休みの宿題を出した。忍びの者のみが行くことの出来る忍隠れの里。その中心にある忍隠れ城は牙鬼軍団の侍大将・弓張重三に襲われていた。城が落ちるのは時間の問題となっているが、好天はお前たちが城に忍び込んで敵の手から殿様を救い出し忍隠れの里にラブアンドピースをもたらせと命じた。

手裏剣戦隊ニンニンジャーは伊賀崎天晴(アカニンジャー)、妹の風花(シロニンジャー)、いとこの加藤・クラウド・八雲(アオニンジャー)、松尾凪(キニンジャー)、百地霞(モモニンジャー)で構成されている。里の衆が足軽型雑兵ヒトカラゲの侵攻を食い止める中、八雲、凪、霞がそれに加勢し、天晴と風花が殿様の救出に向かうことになった。二人は石垣を駆け登り、橋を駆け抜け、数々の屋根を飛び越えると天守に突入しようとしたが、あまりにも敵の数が多過ぎた。風花は自分が囮になって攪乱させようと考えたが、進言する前に引き留めたのは妖怪ハンターのキンジ・タキガワだった。彼はヒトカラゲの姿に化けると一団の中へ飛び込んで行った。隙が生まれると天晴たちは天守の最上階に忍び込み殿様を捜すが何処にも見当たらなかった。そのうちヒトカラゲを引き連れた重三がやってくると天晴たちはニンニンジャーに変身して戦った。重三が放つ矢の威力は強く、それを喰らった二人は弾き飛ばされた。だがそれが幸いし葛籠の中から驚いた殿様の声が聞こえたことから、風花はその上に横たわった天晴ごとロープで巻きつけると外で待っていた八雲が操るオトモ忍・ドラゴマルに引きずり出させたのだった。

天晴たちは殿様を救い出すことに成功した。伊賀崎家の道場に葛籠を運び開けて見るとそこには人間ではなく恐竜がいた。彼は忍隠れ城城主の八角辰之助だったが、城に伝わる悪しき竜の祟りで恐竜の姿に変わってしまったのだ。辰之助は民のために尽くすいい殿様だったが、そのせいで家族がほったらかしになり気づけば奥方に逃げられていた。弱り目に祟り目とはよく言ったもので、やさぐれた彼に追討ちを掛けるように祟りが降り掛かったのだった。

屋台的映画館

序の舞

  • posted at:2025-02-24
  • written by:砂月(すなつき)
じょのまい
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1984年
公開日:1984年1月14日
監督:中島貞夫
企画:日下部五朗 奈村協
原作:宮尾登美子
脚本:松田寛夫
撮影:森田富士郎
音楽:黛敏郎
美術:井川徳道 佐野義和
照明:増田悦章
編集:市田勇
助監督:清水彰
録音:栗山日出登
整音:荒川輝彦
記録:森村幸子
装置:太田正二
装飾:福井啓三
背景:西村三郎
絵画指導・題字:山本六郎
絵画制作・協力:白数徳郎 宮本道夫 藤森哲朗 秋好泰海
美粧結髪:東和美粧
衣裳:黒木宗幸
舞踊振付:藤間紋蔵
演技事務:下川護
進行主任:山本吉應
出演:名取裕子 風間杜夫 三田村邦彦 水沢アキ 小林綾子
アメリカンビスタ カラー 145分

安政五年、貧しい農家で生まれ育った勢以は九歳の時に養女に出された。勢以の養家である島村家は京都でちきりやという葉茶屋を営んでおり、主人の甚八は彼女を本当の子供のように育てた。勢以が十八歳の時に三百年続いた徳川幕府が倒れ、その翌年の明治二年に養父母が相次いで世を去った。翌明治三年、世話人の紹介により壬生寺で御華足という供物を盛る台の彫物職人をしていた若者を婿養子に迎えたが、五年後の明治八年に夫は二児を残して急死した。勢以は二十六歳で若後家となり、心配した母親の麻はちきりやを訪れると女手一つで食べていくのは大変だから、家族が共倒れになるのなら長女の志満を養女として手放した方がいいと助言した。勢以は自分が働けば何とか暮らして行けるだろうと考えており、それを聞いた麻が女子はどうせ嫁に出さなければならないのだから遅いも早いも同じだと言った。それが養女に出された理由だと知った勢以は信念を貫くことにした。その夜、自分が養女に出されるのではないかと不安を覚えた志満は赤ん坊である妹の津也の目を潰そうとした。茶の手揉みをしていた勢以はそのことに気づくと急いで止めさせるが、志満はその時に囲炉裏の鉄瓶を倒してしまい右腕に火傷を負った。この件をきっかけにして勢以はこれまで以上に二人に愛情を注ぐことに決めた。

津也は小学校に上がると担任の西内太鳳のおかげで絵の才能を開花させた。母を描いた絵が展覧会で賞を取ったことから西内は卒業したら画塾へ行くことを勧めた。だが女性が画家として食べて行くのは不可能に近いと考えていた勢以は反対した。すると志満は彼女の分まで家の手伝いをするから望みを叶えて欲しいと懇願した。津也の頑固で気の強い性格は母親譲りで、卒業すると画家の高木松溪が主宰する松溪塾に通った。そこで筆の使い方から始まる技法を習得した彼女は十六歳で島村松翠を名乗り、明治二十三年の第三回内国勧業博覧会に「四季美人図」を出品して一等褒状を受賞した。その絵は来日中だった英国皇族のコンノート殿下が買い上げたということで忽ち話題になり、そのことを新聞の記事で知った勢以は涙ながらに喜んだのだった。

屋台的映画館

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