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HOUSE ハウス

  • posted at:2016-07-18
  • written by:砂月(すなつき)
はうす
東宝映像
配給:東宝
製作年:1977年
公開日:1977年7月30日 併映「泥だらけの純情」
監督:大林宣彦
製作:大林宣彦 山田順彦
原案:大林千茱萸
脚本:桂千穂
撮影:阪本善尚
美術:薩谷和夫
録音:伴利也
照明:小島真二
音楽:小林亜星 ミッキー吉野
演奏:ゴダイゴ
監督助手:小栗康平
スチール:中尾孝
合成:松田博
光学撮影:宮西武史
作画:石井義雄 塚田猛昭
編集:小川信夫
効果:東宝効果集団
整音:東宝録音センター
現像:東洋現像所
製作担当者:広川恭
ピクトリアルデザイン:島村達雄
音響デザイン:林昌平
ファッションコーディネーター:吉田叡子
衣裳協力:(株)西武ピサ (株)西武百貨店
出演:池上季実子 神保美喜 大場久美子 松原愛 佐藤美恵子
スタンダード カラー 88分

東京郊外の女子高に通うオシャレは一週間後に迫る夏休みをとても楽しみにしていた。明日イタリアから帰ってくる最愛の父親と軽井沢の別荘で過ごすことになっていたからだ。親友のファンタは、生物の東条圭介先生の妹が運営する民宿で演劇部の仲間たちと合宿をすることになっていたことから、オシャレが参加出来ないことを残念がった。その日の夕方、オシャレが帰宅すると音楽家の父親が待っていた。彼が帰国した理由の一つは、イタリアで知り合った宝飾デザイナーの江馬涼子を娘と会せることだった。妻を失って8年、親子間の幸せを取り戻す頃合いだと考え再婚に踏み切ることにしたのだが、突然の出来事を受け入れらないオシャレは部屋に閉じこもり、母との思い出に浸った。そしてしばらく会っていない母の姉に当たるおばちゃまのことを思い出していた。

圭介に思いを寄せているファンタにとって長期間一緒に過ごせるこの夏休みは最高の時間になるはずだった。ところが彼の妹が予定よりも早く産気づいたため、民宿を開くことが出来なくなったのだ。困っているファンタたちに救いの手を差し伸べたのはオシャレだった。彼女が誘った宿泊先は軽井沢ではなく、おばちゃまが暮らしている母の実家だった。提案はしたものの先方の了承を得ていないファンタは、子供の頃に一度しか会ったことしかないにもかかわらず母の田舎で母の代わりに甘えてみたいと書いた手紙を送った。すると数日後に待望の返事が届き、ぜひいらっしゃいと書いてあった。

合宿当日、待ち合わせ場所の東京駅には、ファンタの他にガリ、クンフー、マック、スウィート、メロディーの6人が集まったが、演劇部顧問の圭介がいつまで経っても来ないため心配して電話をした。すると家を出た際に軽傷を負ったという。実は階段で転び、尻餅をついた際にバケツがはまって取れなくなったのだ。到着した駅からのバスが一日一本しかなくそれに間に合わないため、彼はバギーで後から追いかけると返事した。ファンタたちのもう一つに心配事は未だにオシャレが来ていないことだった。ホームで待っているに違いないというクンフーの言葉を信じて改札を通ると、オシャレは一人で立っていた。いなくなった猫のシロを探していたのだが、見つからないため落胆していたのだ。列車が到着し7人が自分たちの席に向かうと、シロは先回りしてくつろいでいた。シロはおばちゃまの便りとともにやってきた迷い猫だった。

オシャレがおばちゃまにまつわる話をしているうちにバスは里山村の停留所に到着した。だがどっちに向かっていいかわからず迷っているとシロが指示したため、楽観的な7人はそれに従うことにした。川を渡り、森を抜け、草原を越えた先に民家があり、そこにスイカ売りの主人がいたことから、オシャレはおばちゃまの屋敷について尋ねてみることにした。すると男は彼女を見るなり、あんたはお屋敷のお嬢様の姪御さんだろと言い、山の頂上にある一軒の屋敷を指差したのだった。お礼を言って目的地に向かう7人。男はそれを見送りながら「久しぶりだなあ。お嬢様もさぞかしお喜びなさるだろう。」と高笑いした。

屋台的映画館
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喜劇 誘惑旅行

  • posted at:2016-07-03
  • written by:砂月(すなつき)
きげきゆうわくりょこう
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1972年
公開日:1972年2月5日 併映「喜劇 女売出します」
監督:瀬川昌治
製作:樋口清
脚本:下飯坂菊馬 瀬川昌治
撮影:丸山恵司
美術:熊谷正雄
音楽:いずみたく
録音:平松時夫
調音:小尾幸魚
照明:佐久間丈彦
編集:太田和夫
監督助手:増田彬
装置:石渡敬之助
装飾:磯崎昇
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
進行:峰順一
製作主任:峰順一
挿入歌:「恋ごよみ」安倍律子
振付:篠井世津子
装飾提供:四谷マブハイ
衣裳提供:伊勢丹
協力:フィリピン航空 阪急交通社フィルパック マニラヒルトン
出演:フランキー堺 倍賞千恵子 森田健作 尾崎奈々 川口まさみ
アメリカンビスタ カラー 93分

優勝賞品が海外旅行の人気テレビ番組「アベックアップダウンクイズ」に出演した大沢夫妻。頼りない夫の泰三に替わって妻の弘子が孤軍奮闘し、優勝とともにフィリピン周遊券1週間分と賞金10万円を獲得した。新幹線ひかり号の専務車掌を務める泰三は翌日から現地女性にもてるためのタガログ語を勉強し始め、車掌室にまでテキストを持ち込んでいた。仕事を終えた彼が帰宅すると、弘子が旅行用小遣い10万円を稼ぐために出場するKTV「ジャンボクイズ」対策の勉強を必死になって行っていた。会社でもらった餞別を渡すと、弘子はもし賞金がもらえたらこの分は貯金しましょうねと言った。「一人じゃそんなにいらないだろうし」。その言葉に疑問を持った泰三が聞きなおすと、スポンサーの日南商事がドルショックの影響で経費を削らなければならなくなったため、今回から賞品は一人分になったと収録後で決まったのだという。曾祖母の妹がフィリピンに住んでいたこともあり、例え一人になっても自分が行くのが当然だと考えていた泰三は、餞別の他に休暇手続きまでしてきた俺の顔を潰してまで行きたいのかと主張したが、内職として始めたクイズの回答で獲得したステレオやカラーテレビなどのことを持ち出されるとぐうの音も出なかった。その日、夜遅く訪ねてきたのはフィリピン航空の客室乗務員・マリだった。弘子が羽田―マニラライン開設10万人目の乗客として選ばれたため、大沢夫妻を1週間のツアーに招待するというのだ。泰三は突然の出来事に言葉を失い号泣した。

海外旅行が初めての二人は飛行機に乗るのも初めてだった。旅行当日、新幹線の自由席のつもりで空いている席に座ろうとする弘子を注意する泰三だったが、やはり慣れない環境にあたふたした。そうこうしているうちに彼は後ろの席に見知った顔の女性がいることに気付いた。彼女の名前は清美といい、先日車中で切符の払い戻しをした際に話し込んだのだ。民族衣装の研究でフィリピンへ行くという清美と話を弾ませる泰三の姿を見て弘子は嫉妬した。やがて飛行機はマニラ国際空港に到着した。マリは会社の車を探すのでこの場所で待つように二人に言い、くれぐれも悪質な客引きには注意するようにと忠告した。泰三はそこいらにいる女性の姿をカメラに収め始めたが、人相の悪い男と目が合い近寄ってきたので慌てて目を逸らした。その男は日南商事のマニラ駐在員の三宅で、本社からの命令で弘子を迎えにきたのだ。早速ホテルへ行きましょうと言うので泰三もついて行こうとしたのだが、御主人を接待しろとは聞いていないと冷たくあしらわれた。戻って来たマリは夫婦を別々に行動させる日南商事のやり方に怒りを感じ二人を連れて行こうとしたが、泰三は強引な客引きの被害に遭っている清美の姿を見つけ助けに行った。それを見てやきもちを焼いた弘美は三宅について行ってしまった。

屋台的映画館

怪猫夜泣き沼

  • posted at:2016-06-28
  • written by:砂月(すなつき)
かいびょうよなきぬま
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1957年
公開日:1957年6月18日 併映「赤胴鈴之助 月夜の怪人」
監督:田坂勝彦
製作:酒井箴
企画:山崎昭郎
脚本:民門敏雄
撮影:武田千吉郎
録音:大谷巌
音楽:高橋半
照明:島崎一二
美術:内藤昭
編集:西田重雄
和楽:中本利生
製作主任:村上忠男
装置:科田豊一
装飾:後藤栄三郎
背景:北條三郎
美粧:湯本秀夫
結髪:中井つる
衣裳:伊藤ナツ
擬闘:宮内昌平
普通写真:小牧照
助監督:西沢利治
撮影助手:青柳寿博
録音助手:鈴木幸三郎
照明助手:山本正一
美術助手:上里忠男
移動効果:村若由春
音響効果:倉島暢
記録:梶谷美子
演技事務:毛利美津夫
進行:大橋和彦
出演:勝新太郎 三田登喜子 阿井美千子 千葉登四男 浜世津子
スタンダード モノクロ 90分

佐賀水ヶ江城では竜造寺閑斎を審判として招いた藩主鍋島丹後守と近習頭小森一馬との鼓合わせが行われていた。鼓合わせとは鼓の腕比べのことで、勝った者に閑斎の秘伝が譲られることになっており、主催者である丹後守は自分が勝つものと自信を見せていた。だが彼の鼓の革が破れたことで閑斎は勝負を中断し、一馬の方に軍配を上げたのだった。丹後守は運悪く破れただけで勝負はまだ決まっていないと抗議したが、一馬に劣る言われ腹を立てて部屋を出て行った。家老磯早豊前も解せないと主張したが、鼓の事故は勝敗に拘りなく、気迫、技すべてが一馬が遥かに勝っていると閑斎は静かに言った。そして慈悲を曲げてでも殿の機嫌を取れと言うのかと続けると豊前は絶句した。殿の御政道を誤る元だと指摘された豊前は激しく動揺し、さらに一馬からも御家を思えばこその御忠言だと助言されたことから豊前ははらわたが煮えくり返る思いで立ち去った。

丹後守が勝負にこだわる理由は二つあった。一つは鼓の秘伝を手に入れること。そしてもう一つは閑斎の娘園江を嫁に迎えることだった。豊前は、園江の婿になる男だと考えれば一馬に花を持たせるのも当然だと諭し、さらに殿が園江に御執心だと知った閑斎が婿の定まった娘に言い寄るなど正気の沙汰でないと吹聴している、そして二言目には殿の近頃のなされ方では御当家は世も末だと触れ回っていると根も葉もないことを伝えた。続けて豊前は、閑斎が例え御意見番の重職にあっても殿を殿と思わないその思い上がった心根が御家の御意向に拘ると言うと、怒りに満ちた丹後守は鼓が欲しいと訴えた。豊前は閑斎を打ち負かす程の名器があることを知っていた。それは彼の母お杉が閑斎への恨みを晴らすために買い求めた曰くある鼓だった。磯早家は代々主席家老に職がありながら竜造寺家の風下に立ちみじめな思いをしてきたことから、お杉はその思いを丹後守に託すことにしたのだ。豊前から鼓を手渡された丹後守はこれ程の名器を見たことがないととても気に入り、再び鼓合わせを行うことにした。登城の連絡を受けた閑斎が支度をしようとしたところ、愛猫のこまが何故か引き留めようとした。豊前邸に呼び出された一馬は殿の命によって伝授を返上し再び手合わせをしなければならなくなったことに困惑した。抵抗する一馬に手を焼く豊前は懐から上意下達の封書を取り出し、閑斎にへつらって殿の御政道を非難する行状許しおけぬと解任したのだった。面食らった一馬が殿にお目にかかると立ち去ろうとすると、大勢の藩士に命を狙われた。

水ヶ江城では閑斎と丹後守との間で鼓合わせが行われていたが、閑斎は突然演奏を止めその鼓は持ち主が祟られるという「千鳥の鼓」だと言った。それを負けを認めない閑斎の言い訳だと受け取った丹後守は勝ったと高笑いした。そこに入って来た豊前が、一馬が狼藉を働いて逃亡したと伝えると、閑斎は煽てやへつらいに乗ってはなりませぬと忠告した。さらに言葉を続けたことで頭に血が上った丹後守は豊前とともに閑斎を無礼討ちにした。すると亡骸の傍らにこまが寄り添っていたのだった。

屋台的映画館

呪いの館 血を吸う眼

  • posted at:2016-06-22
  • written by:砂月(すなつき)
のろいのやかたちをすうめ
東宝
配給:東宝
製作年:1971年
公開日:1971年6月16日 併映「雨は知っていた」
監督:山本迪夫
製作:田中文雄
脚本:小川英 武末勝
撮影:西垣六郎
美術:育野重一
録音:渡会伸
照明:佐藤幸次郎
音楽:真鍋理一郎
整音:東宝録音センター
監督助手:河崎義祐
編集:近藤久
合成:三瓶一信
現像:東京現像所
製作担当者:橋本利明
出演:高橋長英 江美早苗 藤田みどり 岸田森 高品格
シネマスコープ カラー 81分

富士見湖の畔にある屋敷で妹で大学生の夏子と暮らす中学教師の秋子は、冬休みを利用して趣味の絵画を完成させようとしていた。彼女が頼りにしているのはレストハウスの管理人をしている久作で、愛犬・レオとの散歩の途中に出会うと裏口のドアの鍵を修理して欲しいと頼んだ。二人が話し込んでいるとシェパードのレオが突然走り出し、その拍子に倒れ込んだ秋子の脳裏に幼い頃に見たある夢の記憶がよぎった。心配し久作が彼女を助け起こすと、レオは運送屋のトラックとともに戻って来た。運転手は大きな木箱を降ろすなり、知らないと久作の質問に一切答えずに凍るような眼を向けて走り去った。久作は秋子に別れを告げると建物に木箱を引き入れたが、梱包材を外して包んだ布を取り去ると西洋の白い棺が現れたことから、悪ふざけにも程があると西原運送店に抗議の電話をした。だが先方はそんな荷物は扱った覚えがないという。思案の末、久作は棺を開けてみることにしたのだが、中は空で敷物の一部に血がついていたことから、顔を近づけて調べてみることにした。すると背後から伸びた手が彼の肩にかかった。

秋子が完成させようとしているのは、夕暮れの空から巨大な眼が覗き込んでいる奇妙な絵だった。ただ訳もなく目の底に浮かんでくる様子を描いただけだというその絵を見た夏子は、そのモチーフが5歳のときに見たというあの怖い夢ではないかと言った。するとその内容は忘れていると前置きをしながらも秋子はたぶんそうだと頷いた。それを聞いた夏子は、また彼に叱られるわよと指摘した。秋子の恋人は精神科医の佐伯で、つまらない強迫観念はすぐに忘れるべきだと言われていたからだ。だがどうしてもあの眼だけはどうしても忘れられないことから、何かの手がかりになると思い絵に表すことにしたのだ。これまでは特に動きはなかったが、先ほど起きたことを夏子に話すことにした。レオが運送屋の車目掛けて突然走り出した光景があの夢にそっくりだったことを。夢の中では先代のレオが見向きもせずただひたすら真っ直ぐに走って行くのだ。そして・・・。その先はどうしても思い出すことが出来なかった。

屋敷に遊びにやってきた佐伯は、秋子から話を聞くと運送屋だって機嫌が悪いことだってあるさと笑い飛ばした。そしてとても怖い幼児体験が大人になっても消えない君のような例はよくあり、その怖さに実態がない感覚的なものであることから悪夢や幻覚、架空の敵を作り出してしまうのだと説明した。それを横で聞いていた夏子は、そんな夢の話よりさっさと結婚して姉を幸せにしてあげれば強迫観念なんて吹っ飛んじゃうんじゃないかしらと言った。二人は顔を見合わせて苦笑するしかなかった。

屋台的映画館

九ちゃん 刀を抜いて

  • posted at:2016-06-17
  • written by:砂月(すなつき)
きゅうちゃんかたなをぬいて
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1963年
公開日:1963年8月31日 併映「海軍」
監督:マキノ雅弘
企画:小川貴也 佐伯明
原作:岡本一平
脚本:城のぼる 吉川透
撮影:山岸長樹
照明:前田光秋
録音:矢部吉三
美術:吉村晟
編集:宮本信太郎
構成:永六輔
音楽:中村八大
助監督:山内鉄也
記録:国定淑子
装飾:前川宗太郎
装置:星益雄
美粧:佐々木義一
結髪:西野艶子
衣裳:豊中健
擬斗:島義一
進行主任:並河正夫
協力:マナセ・プロダクション
主題歌:「九ちゃん 刀を抜いて」坂本九 ダニー飯田とパラダイスキング
出演:坂本九 南田洋子 大村文武 原田甲子郎 西村晃
シネマスコープ カラー 99分

人間が好きなことは何でも人一倍好きだが、その好きなことをするまでの骨折りが好きになれない無精者の三五郎。そんな彼に手を焼いていた父・勘兵衛は、このままでは親子三人飢え死にしてしまうことから、彼を置き去りにして夜逃げしようかと呟いた。それを聞いた母・お才は、若い者が年寄りを置き去りにする話は聞いたことがあるが、そんな話は聞いたことがないと呆れた。この広い世間には無精者でも何か一つぐらいありそうなもんだ。おらに似て器量良し、いい思いをするのが好きで無精者、そしていい男のやれる商売はなんだべとお才が聞くと、勘兵衛はしばらく考えて大名だなと答えた。だが茶店の倅が大名になることなど不可能でしかなかった。お才は役者を提案したが、芸を励まなければならないから奴には向かないと否定した。次に勘兵衛が提案したのは侠客だった。侠客なら幡随院長兵衛のようなピンから端くれのキリまでいるし見かけが立派なら大丈夫だと言うとお才は納得した。その夜、二人は寝ている三五郎に刃物を突き付け、侠客になるか親子で飢え死にするかの選択をさせた。すると彼は、飢え死にすることは満更捨てたものではないが、その死ぬまでの骨折りが何とも億劫だとして侠客になることに決めた。

翌朝、三五郎は江戸に向かって歩き出したはいいが、持ち合わせがないので茶屋に寄っては水を注文して腹を満たした。そうこうするうちに江戸へ到着。太鼓橋近くにある茶屋へ腰を下ろしまたもや水を注文すると、橋のど真ん中で長兵衛の一の子分・唐犬権兵衛と旗本白柄組・阿部四郎五郎による喧嘩が始まった。お互いが刀を抜いてにらみ合う中、そこを通りかかった沢庵禅師が割って入り、ここは天下の往来だから通行人に迷惑だと言った。そして斬り合えばどちらかが死ぬから、素通り出来ない坊主にとっても迷惑だとも言って双方に刀を納めさせた。権兵衛のかっこよさに惚れ込んだ三五郎は、彼の十八番目の子分・出鱈目の半二から一人前の侠客として名を挙げるには人の噂になるような派手なことをしなければならないことを聞き、辻斬りに挑戦してみることにした。その夜、橋の陰で人が来るのを待っていた三五郎は、足音が聞こえたと同時に飛び出した。だがそれが昼間に見かけた権兵衛だと知ると足が震えた。彼は言い訳がましくことの次第を説明すると、お前気は確かかと権兵衛は呆れた。さらに呆れたのは鞘から抜いた長脇差だった。父から貰ったその剣は真っ赤に錆びて、一度抜くと簡単には鞘に収まらないという代物だった。お前みたいな奴に拘るのはごめんだと権兵衛は銭を渡して返そうとしたが、三五郎はどうしても勝負をしろと聞かなかったため一喝すると三五郎は腰を抜かして動けなくなった。その持ち前の愛嬌に惚れ込んだ権兵衛は兄弟分になることを認め、赤鰯の三五郎という名を与えた。

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