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温泉おさな芸者

  • posted at:2016-02-27
  • written by:砂月(すなつき)
おんせんおさなげいしゃ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年7月4日 併映「実録 私設銀座警察」
監督:鷹森立一
企画:太田浩児
脚本:今子正義 鷹森立一
撮影:星島一郎
録音:小松忠之
照明:大野忠三郎
音楽:菊池俊輔
編集:田中修
助監督:田村猛
記録:宮本衣子
スチール:藤井善男
渉外:中川亘
進行主任:岩谷敏明
装飾:装美社
美粧:須々木善三郎
美容:高杉喜美子
衣裳:長谷稔
演技事務:石川通生
現像:東映化学
協力:天城観光協会 天城湯ヶ島温泉旅館組合
出演:深田ミミ 沢リミ子 田辺節子 南廣 小林千枝
アメリカンビスタ カラー 71分

東京の私立高校に通う3年生の速野征代と穴沢良子は、夏休みに入ると残りの10日間を過ごす沖縄旅行の費用を稼ぐためのアルバイト先を探した。お金のない彼女たちが気分転換を兼ねて決めた先は西伊豆。だが20日間をアルバイトに当てることは考えていたものの何をするかは決めていなかった。早速ヒッチハイクで図々しくトラックの荷台に乗り込んだまでは良かったが、行く先は横浜だった。その後もヒッチハイクを繰り返したが、西伊豆に近づくにつれて次の車が拾えなくなり長距離を歩く羽目になった。体はクタクタでもう一歩も歩けなくなっていた彼女たちの目に飛び込んできたのは駐車中の無人のジープだった。後部座席に乗り込んで運転手を待っていると、やってきたのが同世代の女性二人だったことから良子たちは西伊豆まで乗せて欲しいと頼んだ。すると女子高生の方が冗談は顔だけにしてとケンカを売り、カッとなって手を出そうとした征代を車から引きずり降ろしたのだ。尻餅をついた征代を心配して良子が駆け寄ると、背後で大きなクラクションが鳴った。運送会社のトラックが彼女たちのせいで通れずに困っていたのだ。征代たちが運転手に声を掛けた隙にジープは逃げるように走り去った。すると二人はトラックに無理矢理乗り込むと当て逃げをしたあのジープを追いかけて欲しいと頼んだのだった。それをまともに信じた運転手はアクセルを踏み込んだが、登坂で振り切られてしまった。

天城温泉郷についた二人は宿を決める前にまず腹ごしらえをすることにした。茶屋で雑談しているとそこの女将がここで働きなさいよと声をかけてきた。宿泊、三食付きで日当も出るということで持ち合わせのない彼女たちには渡りに舟だった。女将のまん婆さんは多角経営の時代だからと茶屋の他に置屋もやっており人手が不足していたのだ。その夜、旅館の番頭・田村から天城一の売れっ子芸者がまだ来ないという催促の電話があり、前の座敷が長引いていることを知ったまん婆さんは自分が行くことを提案した。だがそれを聞いた田村は、大事な顧客である東日医師会幹事との関係をぶち壊されてはたまらないと全力で拒否したのだった。そこでまん婆さんはある妙案を思いついた。今の時代は何でもインスタント。そこでまんじゅう作りを手伝う征代と良子をインスタント芸者に仕立て上げることにしたのだ。旅館に到着するとそこにジープが停まり芸者が降りてきた。彼女は征代たちを置いて逃げた奈々だった。驚いて指を差し合う征代たちを見て何事かわからないまん婆さんは、大急ぎで二人を座敷に引っ張って行った。首を長くして待っていた須田、毛塚、別所の3人はゼミナールと称した要求を素直に聞く征代たちをとても気に入り、楽し気な笑い声は館内に響いた。噂はあっという間に広がり興味本位の客たちが次々と指名したが、気分が悪かったのは他の芸者衆だった。

屋台的映画館
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かずら

  • posted at:2016-02-20
  • written by:砂月(すなつき)
かずら
「かずら」制作委員会(ホリプロ=ポニーキャニオン)
配給:クロックワークス
製作年:2009年
公開日:2010年1月30日
監督:塚本連平
製作:菅井敦 三宅容介
エグゼクティブプロデューサー:朝長泰司 男全修二 南條昭夫
プロデューサー:三瓶慶介 利光佐和子
原案・監修:小林信也
脚本:福田雄一 石川北二 塚本連平
撮影:北村信也
美術:松塚隆史
装飾:石毛朗
照明:丸山和志
録音:福田伸
VE:高橋正信
ラインプロデューサー:鈴木剛
助監督:島添亮
制作担当:山内君洋 伊藤友子
スタイリスト:棚橋公子
ヘアメイク:五十嵐広美
音楽:藤岡孝章
プログラマー:羽生正貴
ミキシングエンジニア:大竹恵里花
主題歌:「雨のち晴れ」かりゆし58
挿入歌:「夜行列車」かりゆし58
出演:三村マサカズ 芦名星 ベンガル 井森美幸 田中要次
アメリカンビスタ カラー 94分

富士山を望む南山梨市在住の森山茂(35歳・独身)。家族と同居し東興住建でデザイナーとして働く彼は若ハゲという大きな悩みを抱えていた。森山家は代々髪が薄く、父親の盛夫はツルツル、二人の弟も既にスカスカの状態だった。洗面所で時間をかけて髪をセットしていると妹からはスタイリングするだけの素材がないから無駄だとバカにされる始末。会社では「薄い」などのワードに敏感に反応して仕事に集中出来ず、愛犬の毛並みを見てはいいなあと呟いた。そんなある日、東京の本社から次のプロジェクトに人が足りないということで茂に転勤の話が出た。そのプロジェクトは集合住宅の開発計画で、各社がプランを提出してその中の1社に施工の権利が与えられるというものだった。ぜひ力を貸して欲しいと言われ悪い気がしない茂はその申し出を引き受けることにした。

上野駅に到着した茂だったが、道を尋ねても誰も立ち止まろうとしないため途方に暮れていた。誰も俺に興味なんてないんだと東京での生活に不安を抱えていた彼がふと大型ビジョンに目をやると、男性がはつらつとした姿を見せるかつらのCMが流れていた。明後日の出社日までが人生を変えるチャンスだと考えた茂は、誰も興味がないのならとかつらメーカーを訪ねることにした。彼が最初に立ち寄ったのは、人工皮膚のかつらを金具で地毛に止めるというポピュラーなタイプの物を扱うA社だった。料金は3段階方式で200万円、仕上がりまでに5週間ほどかかると聞き驚いた。次に訪ねたのは、残っている髪の毛と糸で土台を作りそこにネット製の製品を特殊な糸で固定する編み込み式の物を扱うB社だった。料金は40万から60万円とA社に比べれば安く仕上がりはひと月半ほど。しかも普段通りに洗髪出来るという有利な点があった。だが料金とは別に毎月の手入れ料が1万円かかり、その度に来社して散髪をしなければならないという面倒臭さがあった。3番目に訪ねたのは、ベースそのものに植毛されている強力な粘着シートを直接頭皮に貼り付けるタイプの物を扱うC社だった。年間で100万円ほどだが、全ての頭髪を剃る必要があり頭部全体に施すには45日ほど必要だった。結局、予算面と時間面で踏み切ることが出来ず、茂は会社を後にするのだった。

茂は帰り道に小さい奇妙な張り紙を見つけた。そこには「早い。安い。うまい。あなたのかつら作ります」と書かれてあり、彼は矢印に導かれるように路地裏へ進んで行った。そしてついに辿り付いたのは古びた理容院で、看板には「大和田カツラ」の文字。恐る恐るブザーを押すと中から無表情の男が出てきた。店主の大和田は茂を店内に招き入れると、大手だと1ヶ月以上かかるがうちは即日渡しだと言った。そして個人経営だからこそ小回りが利き、一人だからこそコストが抑えられることで早くて安くてうまいかつらが作れると茂の疑問に答えた。不安を抱きながらも35万円で契約すると、大和田はそれに応えようと夜通し制作に没頭し夜明けとともに茂の新しい頭が完成した。そのクオリティーの高さに驚く茂に、大和田は内側の5つの金具が外側の5つの要素、天、風、水、火、人から守り支えてくれると言った。これが彼のうれしくも悲しいかつら人生の始まりだった。

屋台的映画館

十一人の侍

  • posted at:2016-02-14
  • written by:砂月(すなつき)
じゅういちにんのさむらい
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1967年
公開日:1967年12月16日
監督:工藤栄一
企画:岡田茂 天尾完次
脚本:田坂啓 国弘威雄 鈴木則文
撮影:吉田貞次
照明:井上孝二
録音:溝口正義
美術:塚本隆治
音楽:伊福部昭
編集:神田忠男
助監督:大西卓夫
記録:国定淑子
装置:矢守好弘
装飾:柴田澄臣
美粧:堤野正直
結髪:白鳥里子
衣裳:松田孝
擬斗:上野隆三
制作主任:武久芳三
出演:夏八木勲 里見浩太郎 南原宏治 宮園純子 大川栄子
シネマスコープ モノクロ 100分

天保10年11月、鹿狩りに興じ国境を越えたことに気付かなかった将軍の弟で館林藩藩主の松平斉厚は、道を遮った農夫に矢を放った。そこへ偶然通りかかった忍藩藩主・阿部豊後守正由が何故の御成敗かと尋ねると、斉厚は前を横切ろうとした故に無礼討ちにしたと高らかに言った。それを聞いた正由は、ここは忍藩の領内であり領主たる某に何の挨拶もなく領民を斬り捨てるとは、天下万民の手本となるべき御身をお忘れかと言った。その言葉が癪に障った斉厚は正由に矢を放ち、右目を貫かれた正由は絶命した。この事態に忍藩次席家老・榊原帯刀は訴状に矢を添えて江戸千代田城の老中・水野越前守忠邦に申し出たが、もしそのようなことが諸大名や旗本の模範となるべき人物にあれば徳川家の威信は地に落ちる。そこで忠邦は、国境の仕切りを弁えずに館林領へ馬を乗り入れ斉厚に無礼な雑言、その際の流れ矢に当たった正由の不祥事と、それを斉厚の所業として公儀を謀ったとして帯刀に忍藩取り潰しを言い渡した。この理不尽な判決に言葉を失う帯刀。上意だと言われ歯噛みしながら引き下がった帯刀は、取り潰しの触れ出しを11月の晦日まで待って欲しいと願い出た。訝る水野に彼は、寝耳に水の藩中の者たちが間違いを起こさぬよう説き聞かせ、心を一つにして御上意をお受けせねばなりませんと苦々しく言った。そして水野が斉厚の処置について口を閉ざしたことから、ひと月の猶予を貰えなければその場で腹を切ると帯刀が言うと忠邦はそれを渋々認めた。

藩に戻った帯刀は藩取り潰しの件を重臣たちに隠し、斉厚に不穏な企てを起こす者が現れれば公儀の印象を損ねることから藩士に道理を言い聞かせて行動を慎むようにと言い渡した。その一方で彼は竹馬の友である藩士・仙石隼人と会い、遠乗りと称した密談を行った。忍藩500人の家臣や領民の生活を守るためには、ひと月の猶予の間に行動を起こす必要があった。そこで帯刀は隼人に力を貸して欲しいと願い出たのだった。隼人はしばらく考えた末に脱藩することに決めたと言った。素浪人となれば藩に迷惑がかかることはないからだ。成功の確率は低いが、理非を訴えることが出来ないこの世の中を変えるにはいずれ誰からやらねばならないのだ。引き受ける条件として自分と同じような人間があと10人ほど必要だと隼人がいうと、帯刀はお主に任せるとゆっくり頷いた。隼人は暗殺隊を組織するにあたってまず連絡役に藤堂幾馬を指名した。

斉厚が江戸へ出府するという噂を聞きつけた忍藩藩士・三田村健四郎と仲間たちは、持病の労咳で急死した兄の代わりに参加することになったぬいとともに斉厚を討とうと待ち構えていたが、動きを察していた隼人に阻止された。藩邸に戻ると帯刀はぬいに謹慎、6人には切腹を言い渡した。怖気づく三田村たちに俺が介錯してやると隼人が言うと、彼らは刀を腹に突き立てようとした。すると帯刀の待ての声。6人の死への覚悟と勇気を認めた隼人は真相を話し始めた。

屋台的映画館

喜劇 怪談旅行

  • posted at:2016-02-08
  • written by:砂月(すなつき)
きげきかいだんりょこう
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1972年
公開日:1972年6月10日 併映「喜劇 社長さん」
監督:瀬川昌治
製作:島津清
原作:舟橋和郎
脚本:舟橋和郎 瀬川昌治
撮影:丸山恵司
美術:熊谷正雄
音楽:大森盛太郎
録音:田中俊夫
調音:松本隆司
照明:三浦礼
編集:太田和夫
監督助手:増田彬
装置:石渡敬之助
装飾:磯崎昇
進行:玉生久宗
衣裳:東京衣裳
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
協力:南紀・太地町 南紀・川湯温泉 南紀・湯峰温泉 熊野交通株式会社 吉野熊野観光株式会社
出演:フランキー堺 森田健作 日色ともゑ 野川由美子 川崎あかね
アメリカンビスタ カラー 92分

国鉄紀伊本線の太地駅に新駅長が赴任することになっているのを駅員の坂口庄作は心待ちにしていた。新駅長の大和田信平は庄作の後輩で、おっちょこちょいなのにクソ真面目という彼を叱りつけて立派に育てたという自負があるからだ。ところが予定の列車で着くと連絡を受けたにも拘らず姿を見せないことから、庄平は息子で駅員の大介にあいつはつまらん男だと陰口を叩いていた。すると既に到着し構内のチェックをしていた信平の耳に入り駅長に向かってなんだと怒鳴りつけた。その後、駅員を集めて挨拶を行い、当駅の責任者である私がビシビシやるからそのつもりでいるようにと訓示した。

その夜、庄平は勤務が終わると新公舎が完成するまでの間、国鉄が一時的に借り上げた一軒家に信平を案内した。そこは尼寺に隣接する墓地の裏手にあり、その家に住んでいた後家が首を吊って死んだといういわく付きの物件だった。庄平は見た目にもあばら屋なこの一戸建てを風雅なのにガス、水道完備、バス、トイレ付で格安の家賃だと大事なことは伏せて説明した。さらに尼寺の風呂場が覗ける仕掛けがあるというと、信平は不謹慎だと一喝した。信平には最愛の妻・うめ子がいたが、おととしの10月に子宮外妊娠で眠るようにこの世を去った。自分にも責任を感じていた彼はそれ以来、女性のことを考えることを禁じたのだった。頑固で威張り腐る駅長を快く思っていなかった庄平は、弱みを握るために歓迎会のあとで芸者をお持ち帰りさせたのだが、信平は一方的に拒み続けて叩き出した。だが隣の物干しから尼僧の下着が風に吹かれて飛んできたことから煩悩が顔を出し、風呂場を覗くことにした。その様子を微笑みながら見ていたのは信平のことが心配で成仏出来ないうめ子だった。はけ口を求める彼の苦しみを知るうめ子は浮気を薦めるが、信平は君以外の女性に魅力を感じることはないから絶対にしないと言った。彼女は以前から何事かあると信平の前に姿を現すことから気が抜けなかったのだ。

翌朝、出掛けに会った挨拶された尼僧に裸の姿をダブらせた信平は、煩悩を振り切るためにさらに業務に力を入れた。団体旅行の営業に力を入れている彼はまず漁業組合に出向き、組合長に話を聞いてもらうことにした。だが組合長は肝心の漁師たちが遠洋漁業に出ているためそれは無理だと答えた。それを聞いた信平は、留守を預かる忙しい妻たちを集めて近距離の南紀巡りを計画すればいいと提案したのだが、横で作業をする海女たちの肌が気になってうまく説明することが出来なかった。気を取り直した彼は海女として働く妻たちへの勧誘と、大介の恋人の岡村ちづに駅留めの小包が届いていることを伝えるために海女小屋に向かったのだが、着替え中の女たちの姿を見てまた煩悩が暴れ出すのだった。

屋台的映画館

ザ・スパイダースのバリ島珍道中

  • posted at:2016-01-27
  • written by:砂月(すなつき)
ざすぱいだーすのばりとうちんどうちゅう
日活
配給:日活
製作年:1968年
公開日:1968年8月28日 併映「だれの椅子?」
監督:西河克己
企画:笹井英男
脚本:伊奈洸 村田啓三 智頭好夫
撮影:高村倉太郎
照明:河野愛三
録音:片桐登司美
美術:坂口武玄
編集:鈴木晄
助監督:葛生雅美
色彩計測:舟生幸
特殊技術:日活特殊撮影部
現像:東洋現像所
製作担当者:岡田康房
音楽:かまやつひろし 林一
主題歌:「真珠の涙」田辺昭知とザ・スパイダース
主題歌:「赤いドレスの女の子」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「ヘイ・ボーイ」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「サマー・ガール」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「メラ・メラ」田辺昭知とザ・スパイダース
挿入歌:「波止場の花」田辺昭知とザ・スパイダース
協賛:日清食品
協力:パン・アメリカン航空
出演:田辺昭知 堺正章 井上順 井上孝之 大野克夫
シネマスコープ カラー 86分

1968年の夏の盛り、東京のある屋敷に四人の男が集められた。彼らはブザーを合図に決闘を行い、残った二人(アマゾンの譲次、上海の張)に任務が与えられた。その任務とは広島に落とされた原爆の8倍の破壊力を持つプルトニウム239を東南アジアの某国に届けることだったが、この物質には衝撃に弱いという弱点があった。そこで一週間後に世界演奏旅行へ出かけるグループサウンズのザ・スパイダースが使用するアンプに忍ばせて運ぶことになっていた。衝撃に弱いアンプは扱いに慎重であることと、バンドの楽器に税関が関心を持たないからだった。謎の声は、香港についたアンプからプルトニウムを取り出してマカオに運ぶ際、この計画にスパイダースが気づいた場合は直ちに抹殺せよと命じた。そして万が一任務に失敗した場合は死が待っていることを告げた。

国内の演奏旅行を終え、楽屋で帰り支度をしていたスパイダースだったが、ボーカルの堺正章が婚約者の田代悦子と離ればなれになるのが悲しくてとても遠征なんて出来ないと言い出したのだ。心配になった悦子はついて行くと言ったが、メンバーの井上順は帰ってきたらすぐに式を挙げるんだから我慢しろと諭した。表口も裏口も熱狂的なファンに埋め尽くされていることからボイラー室の裏に移動車を回していることをマネージャーから説明されて渋々従う正章。そんな彼を気遣う悦子は、退室時から食べ始めた正章の食べかけのバナナを取り上げ、みっともないからおよしなさいよと放り投げた。すると最後に階段を下りてきたリーダーの田辺昭知がそれを踏んで滑り足を負傷、緊急入院したのだった。世界演奏旅行まで一週間ほどあることと契約による国際的な信用が拘わることで延期は不可能なことから、香港での演奏のみ昭知の代わりに正章がドラムを担当することになった。

二カ月間の演奏旅行に出発したスパイダースはパン・アメリカン航空の香港行きの旅客機に乗り込んだが、彼らをぴったりとマークしていたのはあの二人組だった。そんなこととは知らない6人は宿泊するホテルに直行。ところが予約した部屋が続き番号だったのにも関わらず何故か真ん中の302号室にボーイが入れてくれないのだ。押し問答しているところへその部屋の住人であるリンダがやってきて快く代わってくれたことから、6人は彼女をご馳走に誘ったのだった。だがその途中でかまやつひろしが財布を忘れたことに気付いたため、悦子に手紙を書くという正章とともにホテルへ戻ることになった。302号室に入ったひろしはいきなり男に殴られたが、大声を出したため譲次の手下たちは何も出来ずに逃げ出した。その声を聞いて隣の部屋から飛び出した正章は男たちを捕まえることは出来なかったが、手引きをした張の顔をしっかりと記憶していた。部屋の中の物は何も取られておらず、ひろしの財布も無事だった。なぜ泥棒がアンプの蓋を開けたのか、二人は頭を捻るばかりだった。

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