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いつでも夢を

  • posted at:2019-07-21
  • written by:砂月(すなつき)
いつでもゆめを
日活
配給:日活
製作年:1963年
公開日:1963年1月11日 併映「海の鷹」
監督:野村孝
企画:児井英生
脚本:下飯坂菊馬 田坂啓 吉田憲二
撮影:横山実
美術:木村威夫
録音:片桐登司美
照明:河野愛三
編集:鈴木晄
助監督:吉田憲二
色彩計測:北泉成
現像:東洋現像所
製作主任:園山蕃里
音楽:吉田正
主題歌:「いつでも夢を」橋幸夫 吉永小百合
挿入歌:「潮来笠」橋幸夫
・・・:「おけさ唄えば」橋幸夫
・・・:「北海の暴れん坊」橋幸夫
・・・:「若いやつ」橋幸夫
・・・:「寒い朝」吉永小百合
・・・:「街の並木道」浜田光夫
技斗:峰三平
出演:橋幸夫 浜田光夫 松原智恵子 吉永小百合 信欣三
シネマスコープ カラー 86分

東京下町にある工場地帯。その中の森田機械製作所では工員たちが朝からそわそわしていた。そして休憩のサイレンが鳴ると一斉に持ち場から飛び出し本館の集合室に集まった。その日は定期診療が行われる日だが、彼らの目的は診療を担当する町医者の三原泰山ではなく、娘で看護師のひかるの方だった。ピカちゃんという愛称で呼ばれる彼女は、可愛らしい風貌と竹を割ったような性格を持ち合わせていたことで皆から親しまれていた。

ラジオから流れる曲に合わせて気持ちよく歌いながらハンドルを握る日の出貨物の運転手・岩下留次。工場地帯に近づくと助手席の金造が突然何かを思い出し森田へ急げと騒ぎ始めた。今日はひかるが診療にくる日であり、ついでに注射一本でも打ってもらおうかと言い出したのだ。会社に入って間もない留次は医者に縁がなかったが、金造の話でその「わが町の太陽」とやらに会ってみたくなった。アクセルを踏み込み急ハンドルでカーブを曲がるトラック。するとその乱暴な運転に驚いた自転車が倒れたのだ。バカヤローと怒鳴る留次。それに対し怒鳴り返したのはひかるだった。診療を終えた彼女は泰山を後ろに乗せて帰る途中だったのだ。その様子をハラハラしながら見ていた金造は二人の間に割って入り、彼女がわが町の太陽ですよと留次に耳打ちした。

定時制高校に通うひかるは仕事を終えて家に戻ると軽い食事をとり出掛ける用意をした。ところが泰山はというと三件の往診が控えているにも拘らず診察室で昔馴染みの住職・玄海と囲碁で言い争いをしていたのだ。ひかるがいい加減にしなさいと釘を刺して出掛けると、玄海はその元気な様子に顔をほころばせた。彼は腹を空かせた孤児のひかるを養女として泰山に預けた。そして泰山は彼女を皆に好かれる娘に育て上げたのだった。そのひかると同じクラスで学ぶのは森田で働く木村勝利という青年で、彼女が困ると必ず助け舟を出すほど仲がいいのだ。勝利は工場で働き続けることに息苦しさを感じていた。一日中、油と埃まみれで給料は入社した四年前からほとんど上がっていなかった。残業を強要され、けがや病気になったら自分持ち。そんな世界から抜け出して一流会社に就職し、もっと将来に張り合いのある生活をすることが彼の夢だった。そのことを掃除しながらひかるに伝えると、その素質は認めるけれど今の生活に夢がないとは思わないと彼女は言った。するとクラスメイトたちも賛同し、日頃の生活の中にある夢や希望を自分で見つけることが大事だという意見でまとまった。

屋台的映画館
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いいかげん馬鹿

  • posted at:2017-08-31
  • written by:砂月(すなつき)
いいかげんばか
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1964年
公開日:1964年4月29日 併映「拝啓総理大臣様」
監督:山田洋次
製作:脇田茂
脚本:山田洋次 熊谷勲 大嶺俊順
撮影:高羽哲夫
美術:浜田辰雄
音楽:池田正義
録音:松本隆司
照明:戸井田康国
編集:浦岡敬一
調音:吉田庄太郎
助監督:熊谷勲
装置:清水勝太郎
渉外事務:池田義徳
進行:峰順一
出演:ハナ肇 岩下志麻 花沢徳衛 犬塚弘 松村達雄
シネマスコープ カラー 86分

昭和十九年、東京の空襲が激しくなり水上弓子は母に連れられて父の郷里である瀬戸内海の春ヶ島という小島に疎開してきた。都会育ちの弓子にとって島の暮らしは全て珍しく、まるで外国にきたような夢のような気持ちだった。そこで会った海野安吉は水神様の石台に捨てられていたところを独り者の源太爺さんが拾って男手ひとつで育てあげた少年で、乱暴者だが彼女にはやさしく接した。ある日、病身の母が心臓麻痺で倒れそのまま帰らぬ人になった。友達もおらずひとりぼっちなった弓子のことを心配した安吉はきれいな貝殻がたくさん落ちている島へ連れて行くことにした。ところが時を忘れて遊ぶうちに係留していたはずの小舟が沖へ流されてしまった。幸い通り掛かった船に助けられたことで大事には至らなかったが、安吉は源太にこっぴどく叱られた。そのことが原因で彼は夜中に舟を漕いで島から逃げ出したのだった。村中が大騒ぎで捜したものの安吉の舟を見つけることは出来なかった。

ふたりが再会したのは、十数年後の弓子が大学の合格通知を受け取った日だった。オリエンタルプロダクションという興業会社の主事として楽団コパカバーナを引き連れて島にやってきた安吉は、村人へのお詫びとして本物のジャズを聞かせたいと村長で網元の海神丸に申し出た。するとその熱意に負けた村長は許可を出したのだった。早速、島中にポスターを貼り始めた安吉だったが、ある家の前にくるといきなり身なりを整え始めた。そこは弓子が住む家だった。久しぶりの再会に緊張する安吉。その時そこへやってきたのは大学合格を祝って魚を持ってきた源太だった。彼は玄関に立っている男が安吉だとわかると何故今まで便りをよこさなかったんだといきなり殴った。すると少年時代の恐怖が蘇り安吉は怯えて逃げ出したのだった。

小学校の講堂で午後六時から始まった演奏会にはたくさんの村人が集まった。ジャズの音楽が流れる中、ステージに登場したのはダンサーのサリー松丘だった。その肌を露出した衣裳に男たちは興奮したが、弓子を始めとする女たちは目を伏せた。そこへ意見したのは、弓子の幼馴染・友子の父親の竜王丸だった。同業者である竜王丸と海神丸は何かにつけていがみ合っており、ストリップまがいのダンスに許可を出して神聖な講堂を汚したことがけしからんというのだ。すると口論に見兼ねた男たちが竜王丸をつまみ出したことで会場はさらにヒートアップした。演奏会の一夜は何とか終わったが、騒動はまだそれだけではなかった。翌朝、旅館に泊まるサリーが別室のバンドマスターを起こしに行くとバックダンサーの娘といちゃついていた。マスターはサリーの夫なのだ。頭に血が上った彼女は厨房から包丁を持ち出すと追い掛け回した。この島で刃傷沙汰が起きたのは明治維新以来だった。

屋台的映画館

犬飼さんちの犬

  • posted at:2016-12-28
  • written by:砂月(すなつき)
いぬかいさんちのいぬ
「犬飼さんちの犬」製作委員会(アミューズメントメディア総合学院=tvk=テレ玉=チバテレ=三重テレビ=KBS京都=サンテレビ=札幌テレビ放送=TVQ九州放送=ぎふチャン=NTTぷらら=竹書房)
配給:AMGエンタテインメント
製作年:2011年
公開日:2011年6月25日
監督:亀井亨
製作総指揮:吉田尚剛
プロデューサー:平体雄二 飯塚達介
ラインプロデューサー : 和氣俊之
原作:各務慎一 倉木佐斗志
原案:吉田聡史
脚本:永森裕二
撮影:中尾正人
美術:須坂文昭
照明:白石宏明
録音:田中博信
助監督:野尻克己
ヘアメイク: 梶谷奈津子
スタイリスト:植田瑠里子
製作担当:野村邦彦
動物トレーナー:ZOO動物プロ
キャスティング:中里慶
サウンドデザイナー:古谷正志
音響効果 :丹愛
音楽:野中”まさ”雄一
主題歌:「ワン☆ダフル」SEAMO
制作プロダクション:スタジオブルー
出演:小日向文世 ちはる 木南晴夏 池田鉄洋 徳永えり
アメリカンビスタ カラー 92分

チェーンストア「バスコダガマ」の本社渉外課に勤務する犬飼保は念願の新居を手に入れたが、鳥ヶ崎島にある業績ワースト1の鳥ヶ崎店への転勤を命じられた。蓮田喜一郎店長とともに試行錯誤するものの、人口が少ないことで売り上げが伸び悩み利益の改善は見られなかった。そこでこの島でしか取れない鳥待草で作った特産品の「島石鹸」を圏内で販売したところ、売り切れ店続出の大ヒットとなった。鳥待草の収穫は保と店員の鳥飼カエデが行い、製造はカエデの父の正が行っていたが、それでは収穫が間に合わないことから喜一郎が参加した。

単身赴任をしてから1年が経つ保は前々から有給休暇を願い出ていたが、喜一郎はそんなケチなことを言わずに実績を作って一緒に本社へ戻りましょうとその話が出るたびに誤魔化していた。保は島での生活を始めてから、食事はネットワークカメラを通じて妻・潤子、中学生の幸、小学生の岳とともにとることに決めていた。ある日の朝食でのこと。保が岳に学校が終わったら何をするかと尋ねると、彼はサモンと遊ぶと言った。それを聞いた保はその子がどんな子なのか想像していたが、画面の向こう側の変化には気づかなかった。

帰宅したカエデは、島石鹸がペットの飼い主に好評でポンプタイプを発売することを正に報告した。それを聞いた正は、昔この島の住民が使っていた石鹸がペット用品になったことを嘆いた。島の名産が全国展開しているんだからいいんじゃないのとカエデが言うと、正はむしろ恥をかいているんじゃないかと言った。そういう考えだからこの店も島も寂れて行くんだよとカエデはつぶやいた。

ある日の朝、出勤途中の保に緊急の電話が掛かった。それは島石鹸によるクレームを伝えるために島石鹸プロジェクトのリーダー・菊田萌子が本社から突然来たからだった。喜一郎が雑草を収穫して原料の水増しをしたことが原因でペットに健康被害が起こり、飼い主たちが訴訟を起こそうとしたのだ。その結果、怒り心頭の社長は喜一郎に本社への出頭を命じたのだ。バスコダガマの社長・蓮田重彦は彼の父親だった。本土へ向かう連絡船には喜一郎の他に保とカエデが乗っていた。何で私たちが一緒なんですかとカエデが尋ねると、保は一人じゃ心細いんでしょとにこやかに答えた。

翌日の本社への出社に備えて保は一年ぶりとなる我が家に帰って来た。きっと潤子が笑顔で迎えてくれるに違いないと胸を躍らせながらチャイムを押したが、待てど暮らせど出て来なかった。留守だとわかり落胆して玄関の鍵を開けると、その先にある光景に目を疑った。家の中に犬がいるのだ。犬嫌いの彼は現実が受け入れられずにドアを閉めた。

屋台的映画館

インターミッション

  • posted at:2016-01-09
  • written by:砂月(すなつき)
いんたーみっしょん
オブスキュラ=東北新社
配給:オブスキュラ=東北新社
製作年:2013年
公開日:2013年2月23日
監督:樋口尚文
エグゼクティブ・プロデューサー:樋口久美 嶋元勧治 小坂恵一
プロデューサー:蔵原康之
アソシエイト・プロデューサー:菅正剛 鈴木伸英 松本学 白石信彦 坂野かおり
脚本:樋口尚文 港岳彦
音楽:菅野祐悟
撮影:町田博
照明:津嘉山誠
美術:部谷京子
録音:益子宏明
編集:山本憲司
音響効果:小森護雄
ライン・プロデューサー:井上淳
助監督:根木裕介
製作協力:ティーエフシープラス オムニバス・ジャパン ヒューマックスシネマ
出演:秋吉久美子 小山明子 水野久美 竹中直人 佐野史郎
アメリカンビスタ カラー 112分

震災後の検査で耐震性に問題があることがわかり取り壊されることになった、東京・銀座の中心部にある老舗の映画館。ここでは世界の名作からB級映画まで平等に上映していたことから幅広いファンに支持されていた。閉館となるその日までいつもと変わらない接客を心掛けている支配人のクミコには親子ほども年の差がある絵描きの夫・ショウタがいるが、納得行かない閉館命令とスランプで描くことが出来ないと嘆く夫へのイライラでつい母親のように強く叱ってしまうのだった。

休憩(インターミッション)
上映を待つユリコに声を掛けてきたのは義妹のヨーコだった。狭くて暗くて息が詰まるという理由で映画館が苦手だというユリコ。そんな彼女が頻繁にいることをヨーコが不思議がっていると、アレが怖いのよとその理由を打ち明けた。アレとは原発事故で放出された放射能だった。それを聞いて笑い飛ばすヨーコ。何故ならこの映画館は核シェルター替わりどころか雨漏りするほど老朽化しているからだ。どうやったら逃げられるのよとユリコが尋ねると、大変なことになったら北の最果てに行こうが南の島に行こうがどこまでも飛んでくるとヨーコは答えた。どこまでも追いかけて来るのは若い頃のうちの亭主みたいとユリコが笑うとヨーコはあきれた。別れた男ののろけぐらい不毛なものはないとヨーコが釘を刺すと、ユリコはどうしておたくもうちも亭主が消えたのかしらと皮肉った。みんな自分のことしか考えないのだから、いっそ日本が滅んで心を入れ替えなきゃダメよ。ユリコが最近起こった連続爆弾魔ヒグ・ボマーの話題を出すとヨーコの目の色が変わり、「むしろやってみる?」とバッグから古びた冊子を取り出した。年の離れた兄さんが昔ヤバい友達からもらったというその冊子の表紙には「腹腹時計」と書いてあり、それを見た途端ユリコは何でもっと早く知らせてくれなかったのと叫んだ。意気投合した二人は上映が始まる前に映画館を後にした。「本日の上映 ミケランジェロ・アントニオーニ監督 「砂丘」 1970年」。

休憩(インターミッション)
上映終了後も作品の余韻に浸っていたナツキは、この映画を紹介してくれたアキコに感謝した。二人は女優で、ナツキは以前アキコの付き人をしていたこともあり何でも打ち明けることが出来る間柄だった。昔は気に入った映画を何度も観たが、自分が出ている映画だけは観なかったとアキコが言うと、大スターだったから忙しくて時間がなかったんですねとナツキは頷いた。するとアキコはそれを否定し、自分の演技の粗ばかり見えて楽しむことが出来なかったのよと言った。テレビドラマや舞台だと台本読みや立ち稽古があって流れがつかめるが、細切れで撮る映画で一貫した感情を表すのは本当に難しい。だが昔出演した映画を最近改めて観直すことでその細切れの中に自分が生きていることを見つけ、ある映画と別の映画の自分が一続きに見えてくることさえあった。そして100本近く出演した映画大陸にはその時代の自分が生きているのだ。しかし映画が一人の女優の人生を変えてしまうこともあることから、ナツキが女優になると言ったときにアキコは反対したのだった。女優には役と現実の区切りがないことから、現実に家庭を持ってそれを軸にした方がいいのかもしれないとアキコが言うと、私には何十年も愛しているが結婚出来ない人がいるとナツキは言った。そしてもう一度付き人に戻りたいと告白した。「本日の上映 ジャック・ドワイヨン監督 「ラ・ピラート」 1984年」。

屋台的映画館

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