忍者ブログ

アブダクティ

  • posted at:2016-10-08
  • written by:砂月(すなつき)
あぶだくてぃ
ティー・オーエンタテインメント
配給:TOブックス
製作年:2013年
公開日:2013年10月12日
監督:山口雄大
プロデューサー:林哲次 扶川愛美
脚本:牧野圭祐
撮影:岡雅一
照明:緑川雅範
美術:福田宣
音楽:森野宣彦
録音:西條博介
出演:温水洋一 麻亜里 正木佐和 長島すみれ 播田美保
アメリカンビスタ カラー 95分

息苦しさと体に伝わってくる振動で目覚めた千葉厚志は、頭にビニール袋が被せられていることがわかると死の恐怖が襲い、急いで剥ぎ取ろうとした。だが出足が縛られて身動きが取れなかったことから、必死に歯で食いちぎり呼吸が出来る穴を確保した。少し落ち着き辺りをゆっくりと見回すと、そこは照明が点いたコンテナの中だった。そして何者かによって拉致されたことを思い出しトラックで何処かに運ばれていることがわかると彼は心細くなって助けてくださいと何度も叫んだ。そのとき傍らにある携帯電話の着信音が聞こえたため通話ボタンを唇で押そうとしたが、何度やってもだめだった。その横に落ちていたクリップペンシルに気付いた彼はそれを口に銜えてもう一度挑戦するとようやく相手と話をすることが出来た。「出るのが遅いやないけ!」。電話口の向こうにいたのは厚志が500万円の借金をしているスマイル金融の社員だった。彼は来月まで待ってください、必ず払いますからここから出してくださいと懇願したが、社員はいつもの口上だろうと怒鳴った。するとトラックはトンネルに入ったらしく、ディスプレイには圏外と表示された。電話が途切れたことで落胆した厚志だったが、コンテナの隅に自分のバッグがあることに気付くと後ろ手で中をまさぐった。だがロープを切るために必要な目ぼしい物は何もなく、その代わりに覚えのない鉱石の塊が出てきた。角が尖っている形状をしていることから何とかそれでロープを切ることが出来るのではないかと考えた厚志は何度も擦り続けた。すると再びスマイル金融から着信音が鳴ったため作業を止めて電話に飛びついた。何故突然切ったのかと怒鳴る男と話すうちに拉致したのが彼らではないことわかると、厚志は今の状況を説明した。だが信じてもらえず、帰ってこなかったら勝手に家の中に入ると男は言い残して電話を切った。

こんなときに頼りになるのは警察だと考えた厚志は早速110番に電話した。日雇いの警備員として名古屋市内にある派遣先の工事現場に行く途中で拉致されたことを説明し、ここは何処かと尋ねた。今いる場所は福岡だという。そして動揺する彼に追い打ちを掛けるように警官は言った。「これはイタズラ電話ですね」。同じような通報がいくつもあるというのだ。再び圏外に入ったことで通話が途切れると、何とかしなければならないという考えが頭の中を巡り手首のロープを切ることだけに専念した。そしてようやく腕の自由を取り戻すと足首のロープを取り去り、頭の袋を脱ぎ捨てた。痛む手首を擦り右腕の袖をまくり上げると何故かそこには「32D」という刻印がされていた。そのときコンテナを大きな揺れが襲い、トラックのエンジンが止まる音が聞こえた。続いて足音が聞こえたため助けを求めたが、コンテナを叩く音は虚しく響くだけだった。

屋台的映画館
PR

潮吹き海女

  • posted at:2016-10-03
  • written by:砂月(すなつき)
しおふきあま
日活
配給:日活
製作年:1979年
公開日:1979年7月21日 併映「団鬼六 縄と肌」「売春グループ 欲情する人妻」
監督:白鳥信一
プロデューサー:八巻晶彦
脚本:大工原正泰
撮影:水野尾信正
照明:川島晴雄
録音:福島信雅
美術:川船夏夫
編集:井上治
音楽:高田信
助監督:黒沢直輔
色彩計測:米田実
現像:東洋現像所
製作担当者:沖野晴久
出演:日向明子 吉沢由起 飛鳥裕子 五條博 金田明夫
シネマスコープ カラー 69分

長距離トラック運転手の野崎清一の内縁の妻・サキは夫の弟・民男と組み海女としてアワビ獲りをしている。そんな彼女に淡い想いを抱いている民男は、清一が留守にしている日を狙って晩飯を食べに行っていた。何故なら彼は兄のことが嫌いだったからだ。その日も仕事を終えた後に約束したのだが、運が悪いことに清一が4日ぶりに帰ってきていたのだ。雑用を押し付けさっさとサキを家に連れて帰る粗暴な清一に民男が苛立ちながら片付けをしていると、海女仲間たちが冷やかした。中でも柿島ルミは、怖い女だから手を出さない方がいいと笑いながら忠告した。

清一は欲求を満たすと、風呂から出てきたサキに事故を起こして弁償なければならないから金が必要だと無心した。この間渡したばかりだからとサキが渋ると、清一は神棚に置いてある茶筒に気付き取り上げた。その中には組合に支払うことになっている船の借金が入っているのだ。どうせ酒や競輪に使ってしまうんでしょうとサキが言うと、今度帰ってきたら籍を入れるからと清一は殺し文句を吐いた。だが今度ばかりは彼女の気が収まらず、そんなことを言っているんじゃないと怒鳴ると、清一はしゅんとなっていつも迷惑かけて済まないと詫びた。だがお前に一番惚れているんだと言われるとサキは仕方なく許してしまった。
 
その夜、漁師たちが集う味の店・アメヤホールで清一はヤケ酒を煽っていた。この店はルミとサキが女中として働いていた。客にカラオケを勧められたサキにルミは、清一に可愛がられてもう声は出ないよと嫌味を言った。そして亭主が3人も変わっていつも新婚気分でいられるのだから幸せ者だと続けて言った。カウンターで飲んでいたルミのヒモ亭主・勇吉は気分を害し、俺も死んだ方がいいのかと文句を言うと、大将が店の中で夫婦喧嘩されちゃ敵わないと止めに入った。店が終わるとルミは店主の松川平介にサキとは一緒に仕事をしたくないと申し出た。そして海女仲間もあやのついた女と同じ海で働けないと口をそろえて言っていることを話すと、松川はああいうのを「下がり巾着」と言って拘った男が不幸になるんだと言った。そして男はうぬぼれが強く自分だけは違うと思って珍し物見たさに寄ってくるが、俺はまだ死にたくないと言った。

清一はトラックの運転中に事故を起こし即死した。遺骨を引き取りに行った民男は帰りのバスの中で、死んでまで手数を掛けさせやがってと愚痴った。それでも兄をかばおうとするサキに、金を巻き上げられたうえに自分勝手をされて少しもいいことはないだろと吐き捨てた。その夜、通夜が行われたが、組合長を始めとした男連中がサキのことを目前で貶したことから、怒った彼女は皆を家から締め出した。するとそこへ若い女が訪ねてきた。赤羽モヨ子と名乗るその女は清一の子供を妊娠していると言った。

屋台的映画館

ずべ公番長 夢は夜ひらく

  • posted at:2016-09-29
  • written by:砂月(すなつき)
ずべこうばんちょうゆめはよるひらく
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1970年
公開日:1970年9月22日 併映「昭和残侠伝 死んで貰います」
監督:山口和彦
企画:吉峰甲子夫
脚本:宮下教雄 山口和彦
撮影:仲沢半次郎
録音:小松忠之
照明:川崎保之丞
美術:北川弘
編集:長沢嘉樹
助監督:深町秀熙
擬斗:日尾孝司
進行主任:志村一治
企画担当:高村賢治
装置:石井正男
装飾:武井正二
記録:宮本衣子
現像:東映化学
協力:ジェームス・川田(アクセサリーデザイナー)
音楽:津島利章
主題歌:「圭子の夢は夜ひらく」藤圭子
挿入歌:「命預けます」藤圭子
出演:大信田礼子 橘ますみ 賀川雪絵 藤圭子 谷隼人
アメリカンビスタ カラー 81分

東京少年鑑別所が東京練馬区にあることで「ネリカン」という俗称があることから、非行少女たちの矯正機関・赤城女子学園も「女ネリカン」と蔑まれていた。傷害で逮捕された「ハマグレのおリカ」こと影山リカは仮卒園後にクリーニング店に勤めるようになったが、客から預かったスーツ一着が店から紛失したことで彼女に嫌疑がかかった。主人の桂木は様子を見ようとしたが、女将の鎌子は端から犯人だと決めて掛かり頭ごなしに怒鳴ったのだった。結局は店員の仕訳ミスだったことがわかり疑いは晴れたが、リカの心にあるわだかまりは溶けることはなかった。その夜、床板の軋む音が聞こえたことで桂木が夜這いにきたことがわかると、リカは寝たふりをした。そして体に手が掛かると大声を出して鎌子が来るのを待ち、夫婦の関係をかき回してから店を辞めたのだった。

都会の空気を吸いに新宿駅へとやってきたリカに声を掛けてきたのは、しつこくつきまとう丸井綱夫という冴えない男だった。顔を貸せといちゃもんをつけてきたゴロマキを叩きのめしたことで、男前な性格とグラマーな容姿に惚れ込んだ綱夫はリカを喫茶店に連れて行くとご飯を奢った。そして彼女が行くところがないと知ると名刺を渡した。そこにはバー紫の渉外部長と書いてあったが、その肩書は名ばかりで駅前でのホステスのスカウトから皿洗いまで何でも担当していた。綱夫はママの南雲梅子にリカが銀座の高級クラブで勤めていたと嘘をついて働かせようとしたが、彼の妻・八尾長子が入ってきたことで目論見が外れた。リカと長子は赤城の仲良しな同級生なのだ。驚く綱夫を尻目に、梅子は自分が彼女たちの先輩だと笑った。この店のホステスなどはみな赤城出身者ばかりなのだ。彼女たちは個性派ぞろいで、麻薬中毒の妹・バニーを持ち彼女のために働く冬木マリは金で純ナマを売ったりしないと客前で啖呵を切り、千本ミツ子その名と違って千に三つも本当のことを言わない嘘つきで舌先三寸で客を丸め込んだ。湯島つたは飲んだら手に負えない大トラで、はるみはネリカンで女にされたオカマ、この店にやってくる流しの圭子はプロ級の歌声を持っていた。

その夜、店にやってきたのは大羽興業の社長・大羽金造だった。金造はこの店を潰してビルを建設し、その一室に梅子の店を用意する算段だったが、彼女は父の唯一の遺産である店を手放す気はなかった。それを聞いた金造は、この街では俺と手を組んだ方が利口だということを思い知らせてやると言った。

屋台的映画館

モスラ(1961年)

  • posted at:2016-09-23
  • written by:砂月(すなつき)
もすら
東宝
配給:東宝
製作年:1961年
公開日:1961年7月30日 併映「アワモリ君売出す」
監督:本多猪四郎
製作:田中友幸
原作:中村真一郎 福永武彦 堀田善衛
脚本:関沢新一
撮影:小泉一
美術:北猛夫 安倍輝明
録音:藤縄正一 宮崎正信
照明:高島利雄
音楽:古関裕而
挿入歌:「インファントの娘」ザ・ピーナッツ
振付:県洋二
監督助手:野長瀬三摩地
編集:平一二
現像:東洋現像所
製作担当者:森田信
特殊技術・撮影:有川貞昌
特殊技術・美術:渡辺明
特殊技術・照明:岸田九一郎
特殊技術・作画合成:向山宏
特殊技術・光学撮影:真野田幸雄 
特殊技術・制作担当者:成田貫
特技監督:円谷英二
出演:フランキー堺 小泉博 香川京子 伊藤ユミ 伊藤エミ
シネマスコープ カラー 101分

カロリン群島で発生した台風8号。瞬間最大風速が80メートルにも及ぶ超大型台風は毎時50キロのスピードで日本に向かって北上していた。松菱海運の貨物船・第二玄洋丸が渦中にいたことから、船舶協会は第七管区海上保安本部に対し救援を要請した。その頃、第二玄洋丸はロシリカ国の原水爆実験場となっているインファント島の海岸付近に流され座礁した。この一帯は放射能の汚染地域であることから生存者は絶望視されていたが、海上保安庁の救難ヘリがK岬の海岸で4名の遭難者を発見した。巡視船さつまに救助され国立総合核センターに運ばれた遭難者を調べたところ、不思議にも放射能の汚染症状が発見されなかった。そこで原田博士は直接彼らに問診を行ったが、特に変わったことは感じられないという答えが返って来た。そのとき光が閃き、それがカメラのフラッシュだとわかると院長はフィルムを出すように言った。カメラの主は日東新聞の花村ミチで、社会部記者の福田善一郎とともに関係者に紛れていたのだ。呆れた原田が何を聞きたいのかと尋ねると、致死量の放射能の中からどうして奇跡の生還が出来たのかと福田は逆に尋ねた。すると遭難者の一人が口を開き、原住民が飲ませてくれた赤いジュースのおかげかもしれないと言った。

無人島と言われていたインファント島に原住民が住んでいるという特ダネをスクープし意気上がる天野貞勝社会部長は、夕刊の一面にこの記事を載せることを決め、善一郎にロリシカ大使館で行われる大使の談話を取るよう命じた。大使はインファント島に原住民がいないことを調査、確認して実験場としているため、調査隊を派遣する必要はないとした。だが突然前言を撤回して日ロ合同調査隊を派遣することになったため、善一郎は参加することになっている言語博士・中條信一の自宅を訪ねた。ところが中條は写真を撮られることをひどく嫌い、ミチからレンズを向けられると新聞紙で顔を隠し適当な意見を言って早く帰らせようとしたのだった。そこで善一郎は撮影しないことを条件にして取材を行った。ポリネシア海域の少数民族間には言語、風俗、習慣に共通点があり、その要因はポリネシア一帯はその昔大陸だったのではないかという仮説を話すと、ミチは怪訝な顔をした。そしてカメラから覗いた現実しか信じないと言った。

合同調査団が出発することになったが、ロリシカ国事務局長のクラーク・ネルソンは報道関係者の乗船を禁じた。さらに調査資料はネルソンが一括して処理することになっており、原田と中條は彼に不信感を抱いた。抗議するために中條がネルソンの部屋へ行くと、使用人として忍び込んだ善一郎に銃口が向けられていた。何か用かと言われた中條は、調査資料全てを提出することはロリシカ政府の意向かと尋ねた。そして調査隊の希望だと知ると、ひと言断ると言い残して善一郎を連れ出したのだった。原田はネルソンと話し合い、記者活動を行わないことを条件に善一郎を臨時の警備員として乗船させることを承諾させた。

屋台的映画館

八つ墓村(1977年)

  • posted at:2016-09-17
  • written by:砂月(すなつき)
やつはかむら
松竹
配給:松竹=富士映画
製作年:1977年
公開日:1977年10月29日
監督:野村芳太郎
製作:野村芳太郎 杉崎重美 織田明
原作:横溝正史
脚本:橋本忍
撮影:川又昻
美術:森田郷平
音楽:芥川也寸志
録音:山本忠彦
調音:吉田庄太郎
照明:小林松太郎
編集:太田和夫
スチール:小尾健彦
効果:東洋音響
監督助手:大嶺俊順
製作主任:吉岡博史
装置:川添善治
美粧:三岡洋一 小林成吉
装飾:磯崎昇
進行:福山正幸
イマジニスト:山口はるみ
特殊メーク:マキシーン・坂田
殺陣:菊地剣友会
スタントマン:JAC
方言指導:日笠潤三
神楽曲:小泉文夫
振付:花柳滝蔵
時代考証:柳生悦子
備中神楽:成羽社中
動画:東京アニメーションフイルム
かつら:八木かづら店
現像:東洋現像所
衣裳:松竹衣裳
監督助手:伊藤聚 鈴木敏夫 松原信吾
撮影助手:坂巻佐平 木村隆治 今村正雄 松田光弘
録音助手:鈴木正男 田中進
照明助手:若林広三 山下孝充 田代保 藤田繁夫 高橋義男 市橋重保
編集助手:中西正義 渡辺松男
美術助手:浦山芳郎
装置助手:山田与四郎 石川鎮男
装飾助手:鈴木章司
衣裳:鈴木康之 原島正男
製作進行助手:鞠子政已
製作助手:斉藤守恒
協力:日本航空 AGS空港グランドサービス
サントラ盤:ビクターレコード
衣裳協力:ぎんざ新松 
撮影協力:岡山県・満奇洞 山口県・秋芳洞 景清洞 大正洞 岩手県・滝観洞 高知県・龍河洞 沖永良部島・水連洞 昇竜洞
出演:萩原健一 小川真由美 山崎努 山本陽子 市原悦子
アメリカンビスタ カラー 151分

羽田空港で航空機誘導員として働く寺田辰弥は、上司から新聞に尋ね人として載っていることを聞き、連絡先となっている大阪市東区の諏訪法律事務所を訪ねることにした。事務所では奥のソファーで老人が見守る中、諏訪弁護士が辰弥に対し生い立ちなどの質問を矢継ぎ早に行い、最後に裸になるように言った。背中に大きな火傷の痕があったことで本人と断定すると、諏訪は辰弥に老人を紹介した。彼は辰弥の母方の祖父・井川丑松で、生まれ故郷である岡山県の村に戻ってもらうために迎えに来たというのだ。諏訪が気を利かせて席を外すと、丑松はあまりのうれしさに嗚咽した。辰弥は落ち着かせようと老人をソファーに座らせたが、突然苦しみ始め血を吐いて死んだ。辰弥の身元引受人となったのは父方の親戚筋の未亡人・森美也子で、容疑が晴れた彼を北浜警察署で引き取ると丑松の家族に合わせることにした。これも何かの縁だと考えていた辰弥もそのつもりで、会社に一週間程の休暇を願い出ていた。

丑松は資産家である多治見家の使いで、美也子がその代役となったのは商用で神戸に来ていたことが理由だった。伯備線の備中神代駅で迎えの車に乗り換えると美也子は高台で停めさせ、辰弥に村の説明をした。彼らが向かう先は鳥取県との県境にある阿哲郡三田村で、一部を除くその一帯が多治見家の所有する山だった。そして2,3年前の町村合併で名前が変わる前までその地域は「八つ墓村」と呼ばれていた。車中で村には昔からのしきたりや習慣が残り、古い多治見家には腹違いのきょうだいがいることを美也子から聞くと、辰弥は子供の頃から一人で暮らしていたので今更義理のきょうだいと会ってもうまくやれる自信がないと言った。そもそもこの土地に住みつく気など最初からなく、葬式が終わったら東京に帰るつもりでいたからだ。辰弥は母・鶴子の連れ子で、彼が3、4歳の頃に再婚した。小学校三年生のときに鶴子が亡くなったことと、新しい母親に弟や妹が生まれたことで気まずさを感じるようになり、高校を卒業と同時に家を出たのだった。

多治見家に着いた辰弥を出迎えたのは長女の春代だった。彼女は二人を小竹と小梅の老姉妹に合わせると食事会を開いた。小竹は多治見家の当主で辰弥の兄に当たる久弥の具合が良くないことを伝え、小梅は春代が子宮筋腫で子供を産めなくなったために戻されたことを話した。頼りになるのはお前しかいないと言われたが、辰弥は返事を濁した。離れに通された彼は壁に掛けてあった龍の掛け軸を見てあることを思い出した。「龍のアギト」について美也子と春代に尋ねてみたが、鍾乳洞の名前かもしれないということしかわからなかった。そこは辰弥が産まれた場所だと鶴子に教えられていた。

屋台的映画館

プロフィール

HN:
砂月(すなつき)
性別:
非公開
自己紹介:
ブログ主はインドア派大分トリニータサポーター

 

P R

 

フリーエリア