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男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け

  • posted at:2021-03-15
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうゆうやけこやけ
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1976年
公開日:1976年7月24日 併映「忍術猿飛佐助」
監督:山田洋次
製作:名島徹
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小野里良
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:ブルドックソース株式会社 柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 太地喜和子 下條正巳 三崎千恵子
アメリカンビスタ カラー 109分

さくらの一人息子の満男が小学校に入学することになった。入学式の日を迎えるととらやは朝から大忙しで、つねは細やかなご馳走を作って待っていた。朝日印刷所社長の桂梅太郎はお祝いを持って駆けつけ、竜造も仕事に切りをつけて一服した。話題は寅次郎のことになり、どうしているかと盛り上がっていると玄関先にその本人が現れたのだった。彼は満男の入学式の日をちゃんと覚えておりお祝いまで渡す準備をしていたのだ。竜造たちに褒められ上機嫌でいると、やがてさくらが浮かぬ顔をして帰ってきた。心配したつねがどうしたんだいと尋ねると、彼女はくやしいとこぼした。入学式が終わり生徒が教室に入ると担任の先生が一人ひとりの名前を読み上げるが、満男の番になるとその先生は彼の顔を見るなり君は寅さんの甥御さんねと言ったのだ。すると生徒ばかりか親たちまでがさくらを見て笑ったことで悲しい思いをしたのだった。それを聞いた寅次郎は学校に乗り込んで抗議しようとしたが、お前が今まで笑われるようなことをしてきたからだと竜造に言われたため腹を立てて出て行った。

皆が寝静まった頃、寅次郎がみすぼらしい姿の老人をとらやに連れてきた。店を飛び出したものの行く当てのない彼は上野の酒場でヤケ酒を飲んでいたが、そこで店員と揉めるその老人と出会った。どうやら無銭飲食をしたらしく、気風のいい寅次郎は彼の分まで支払うと一緒に次の店に向かった。そして泥酔した老人をおぶってとらやに戻ってきたわけだが、困ったのは竜造とつねだった。見ず知らずの泊めることに反対だが、連れてきたからには仕方がない。嫌なことには目をつぶって一晩だけ泊めることにした。ところが日が高く上っても二階から下りてくる様子がない。ぽっくりと死んでいるんじゃないかとつねが恐るおそる階段を上るが、起きたばかりの老人は茶だの風呂だのと贅沢を言う。頭にきたつねは竜造に不満を漏らすが、そもそもの元凶である寅次郎は縁日での商売に出掛けていた。日が暮れて寅次郎が帰ってくると竜造たちは腹に溜めていた不平をぶちまけたが、功徳だと思えばいいと言われて納得することにした。ところが出て行ったはずの老人がまた帰ってきたことで皆頭を抱えた。翌日、とらやを代表して寅次郎が説教をしたが、老人はこの建物を今の今まで旅館と勘違いしていたのだった。申し訳ない気持ちになった彼は満男の画用紙に筆でさらさらと絵を描き、それを神田の大雅堂という古本屋に持って行けばいくらか金を融通してくれると言った。半信半疑にその店へ持って行くと、主人は虫眼鏡で隅から隅までまじまじと眺め、七万円で手を打とうと言った。驚いた寅次郎は慌てて店に帰り、二階にいるのが日本画壇の第一人者の池ノ内青観だと説明した。一生世話をし続ければ左団扇で暮らせると考えた寅次郎だったが、青観はもういなかった。急いで追い掛けたが後の祭りだった。

屋台的映画館
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福福荘の福ちゃん

  • posted at:2021-03-12
  • written by:砂月(すなつき)
ふくふくそうのふくちゃん
「福福荘の福ちゃん」製作委員会(ファントム・フィルム=クロックワークス=Third Windows Films=naniiro=ライトハウス・エンターテイメント=テレビマンユニオン=デジタルワン=インクウェル)
配給:ファントム・フィルム
製作年:2014年
公開日:2014年11月8日
監督:藤田容介
エグゼクティブプロデューサー:小西啓介 藤本款 皆川一 杉田浩光 中谷泰志 許潤行
プロデューサー:新井直子 藤村恵子 Adam Torel
ラインプロデューサー:金森保
コ・プロデューサー:James Liu Sabrina Baracetti & Thomas Bertacche Stephan Holl
脚本:藤田容介
撮影:池内義浩
照明:斉藤徹
録音:深田晃
美術:安宅紀史
装飾:吉野昌秀
助監督:海野敦
制作担当:刈谷真
衣裳:小里幸子
ヘアメイク:百瀬広美
編集:堀善介
音楽:エコモマイ
劇中曲:「星屑の町」徳永ゆうき
・・・:「骨まで愛して」徳永ゆうき
・・・:「出発の歌」上條恒彦と六文銭
製作プロダクション:テレビマンユニオン
制作協力:キリシマ1945
出演:大島美幸 水川あさみ 芹澤興人 飯田あさと 平岩紙
アメリカンビスタ カラー 111分

福ちゃんこと福田辰夫は32歳の独身男。上京してから数十年、塗装職人の彼は福福荘に住み続けている。昼間は仕事で汗を流し、夜は趣味の凧を作っている。時折アパートの住人が訪ねてくるが、彼らの用件は大抵相談事だ。それも福ちゃんの人柄あってのことだった。例えば206号室の野々下彰は、隣の部屋の馬淵典彦がペットとして飼っている蛇がいつ襲ってくるかわからないので怯えているのだという。一方、馬淵にそのことを尋ねてみると、蛇を飼う前から夜中に野々下の叫び声が度々聞こえてくると言った。馬淵の余計なひと言でブチ切れた野々下がアパートを飛び出したことで二人は街中の思い当たる場所を捜したが見つからなかった。だが諦めて帰ろうとしたその時、公園で馬鹿デカい肉まんを頬張っている野々下の姿を見つけた。馬淵はすまなかったと謝るが、野々下はプイと何処かへ行った。馬淵は後を追おうとしたが、今から死のうという人間があんな肉まんを食べるわけがないと引き留めた。夜遅く野々下が帰ってくると馬淵は改めて謝り、仲介に入った福ちゃんが手製のたこ焼きを振る舞った。

ある日、福ちゃんの部屋に仕事仲間の島木拓郎とその妻の良美が手作りの豪華な料理を持って訪ねてきた。福ちゃんはただの食事会だと思っていたが、もう一人くると聞いて不安になった。そのもう一人というのは良美が働くベーグル屋の同僚で、彼の写真を見せて一目惚れしたという笠原克子だった。島木はサプライズなお見合いを計画したのだが、女性が苦手な福ちゃんにとってそれは迷惑以外の何物でもなかった。後日、島木夫妻はピクニックをセッティングしたが、待ち合わせ場所に現れた福ちゃんは野々下と馬淵を連れてきた。成り行きでピクニックは行われ克子の福ちゃんへの興味は薄れたが、逆に三人組の結束は強まって行った。

外資系ファンドマネジメントの会社に勤める杉浦千穂は奇才の写真家・沼倉ヒサシの作品に心を奪われ、それ以来神と崇めるようになった。写真を趣味とした彼女はその5年後に沼倉賞に応募し、ついに念願の大賞を受賞したのだった。会社を辞め沼倉の下で修業することに決めた千穂だったが、彼がただのエロ爺だったことに幻滅し目標を失って廃人のような生活を送るようになった。ある日、近所の喫茶店に出掛けた千穂は、そこの女店主から過去に一生掛かっても癒すことが出来ない程の深い傷を心に負わせた人がいるはずだと言われた。女店主には不思議な力があり、その人の過去が手に取るようにわかるのだ。それから数日後、苦い出来事を思い出した千穂は謝罪するために福福荘を訪れた。福ちゃんが女性嫌いになった原因は彼女にあったのだ。

屋台的映画館

競輪上人行状記

  • posted at:2021-03-09
  • written by:砂月(すなつき)
けいりんじょうにんぎょうじょうき
日活
配給:日活
製作年:1963年
公開日:1963年10月13日 併映「遊侠無頼」
監督:西村昭五郎
企画:大塚和
原作:寺内大吉
脚本:大日信行 今村昌平
撮影:永塚一栄
美術:大鶴泰弘
録音:八木多木之助
照明:三尾三郎
編集:丹治睦夫
助監督:藤田繁夫
製作担当者:亀井欽一
音楽:黛敏郎
出演:小沢昭一 伊藤アイコ 南田洋子 小山田宗徳 高橋昌也
シネマスコープ モノクロ 98分

夏のある日、中学教師の伴春道は家出をした教え子の小酒井サチ子を上野駅で見つけると保護した。彼女の家がある青梅まで連れて行こうとしたのだが、何故かその場を離れたがらなかった。 理由を尋ねてもしゃべらず、そのうち叔母さんのところへ行きたいと言い出した。その家が自分の実家の近くであることがわかったが、まずは両親に引き渡すことが先だと考えた春道はそれよりも先にトイレで用を足すことにした。ここを動くなと指示してトイレに向かったが、気になって戻ると老女がサチ子を連れ去ろうとしていた。慌てて声を掛けると、その老女は知り合いでポン引き屋のブラック婆さんであることがわかった。彼女は春道の顔を見るなり、兄さんが死んだのに一体ここで何しているんだと言った。驚いた春道はサチ子を連れて実家に向かうことにした。春道の実家は法妙院というオンボロ寺で、坊主になるのが嫌で飛び出した彼は教師の道を選んだのだ。

体育のバレーボールの授業中にサチ子が腹痛で倒れ込んだ。その原因は食あたりなどではなく妊娠だった。春道は担任の鏡味とともに家に行き母親に心当たりを尋ねるが何故か口を閉ざした。そして父親もよそよそしい態度を取った。その帰り、父親の態度でサチ子の相手がその父親だと鏡味が言うと、そんなことがあり得るのかと驚き悩む春道だったが、下宿に戻ると父・玄海からの手紙が届いており、そこには帰って寺を継げと書かれてあった。夏休みの間だけ渋々手伝うことにした春道だったが、そのまま寺に置いておきたい玄海から兄嫁のみの子と所帯を持ちことを持ち掛けられたのだった。心が揺れ動く中、色川という男が他所で行われるはずだった葬儀を持ってきた。面倒な春道は古株の芳順に任せようとしたが、その場に居合わせたみの子が手っ取り早く引き受けたのだった。

葬儀の夜、芳順の行きつけの飲み屋で女将のシマから衝撃的な話を聞いた。この店で出している焼き鳥は法妙院で弔った犬の肉を使っているというのだ。春道はみの子が本堂を再建するために何でもやって金を稼いでいることを知り、止めさせようとしたが聞く耳を持たなかった。仕方なく檀家回りをするが不景気の影響で誰にも相手をされなかった。足を棒のようにして一日中歩いても成果が上がらずうなだれていると打鐘の音が聞こえてきた。目の前には松戸競輪があり、吸い込まれるように入り訳がわからないまま車券を買ったところ大穴を当てた。ちょっとした勘の働きと運で莫大な浄財を手にする方法を見つけた春道は毎日通うようになった。

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男はつらいよ 葛飾立志篇

  • posted at:2021-03-06
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよかつしかりっしへん
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1975年
公開日:1975年12月27日 併映「正義だ!味方だ!全員集合!! 」
監督:山田洋次
製作:島津清 名島徹
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男 佐藤公信
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小野里良
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:ブルドックソース株式会社 柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 樫山文枝 下條正巳 三崎千恵子
アメリカンビスタ カラー 97分

葛飾柴又にある団子屋・とらやを修学旅行の女子高生が訪ねた。山形からやってきた彼女の目的は車寅次郎に会うことだったが、旅に出ているからいつ帰ってくるかわからないとつねが言うと女子高生は残念そうにうつむいた。そんな彼女にさくらはやさしく声を掛け、兄に会いにきた理由を尋ねた。彼女の名前は最上順子。毎年正月になると母親宛てに手紙が届き、その中に娘さんの学資の足しにと少額のお金が入っているのだという。寅次郎と母親との関係について尋ねると、順子は何故か口ごもった。するとそこに姿を見せたのはその寅次郎だった。店に入ってきた彼は順子の顔をしばらく眺めると、その面影から母である雪のことを思い出した。一方、顔を知らない順子がお父さんなのと尋ねると、さくらたちその言葉に驚いた。だが一番驚いたのは寅次郎だった。実の子を捨てたのではないかという疑惑が渦巻く中、寅次郎は雪に指一本触れたことがないこと、彼女が赤ん坊を背負っていたことを説明し無実を訴えた。その結果、その時の赤ん坊が順子であることがわかると皆、胸をなで下ろした。話をしていくうちに雪が亡くなったことを知った寅次郎は、別れ際に財布の中の有り金を全て渡し困ったことがあったらいつでもくるんだぞと元気付けた。

寅次郎が初めて雪と出会ったのは雪が降る寒い晩だった。何をやってもうまく行かず寒河江の街を無一文で歩いていた彼を空腹が襲い、矢も楯もたまらず駅前の食堂に飛び込んだ。そしてカバンと腕時計を差し出しこれで何かを食わせて欲しいと頭を下げると、女将の雪は困っているときはお互い様だと大盛の丼飯と湯気の立った豚汁にお新香を添えて出してくれたのだ。無我夢中でそれをかき込むうちに涙が止めどなく流れ、彼女が観音様のように思えたのだった。その時に雪の背中にいたのが順子だった。女手一つで娘を育てる雪の姿に感銘を受けた寅次郎は正月になるとお金を送るようになったのだ。その手紙の主が自分の父親であると16年間信じ続けた順子が訪ねてきたことに寅次郎は運命を感じていたが、その話を聞いた竜造がまともに結婚していたら同じくらいの娘がいたっておかしくないんだぞと言ったことでまた騒動が始まった。そして寅次郎は、だってしょうがねえじゃねえかと捨て台詞を吐き店を後にした。

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黒い画集 第二話 寒流

  • posted at:2021-03-02
  • written by:砂月(すなつき)
くろいがしゅうだいにわかんりゅう
東宝
配給:東宝
製作年:1961年
公開日:1961年11月12日 併映「二人の息子」
監督:鈴木英夫
製作:三輪禮二
原作:松本清張
脚本:若尾徳平
撮影:逢沢譲
美術:河東安英
照明:猪原一郎
録音:保坂有明 下永尚
音楽:斎藤一郎
監督助手:梶田興治
編集:岩下広一
現像:キヌタ・ラボラトリー
製作担当者:井上卓之
出演:池部良 新珠三千代 平田昭彦 志村喬 丹波哲郎
シネマスコープ モノクロ 96分

安井銀行池袋支店の後任支店長を決める会議が本店の重役会議室で行われた。小西副頭取は従来より話が出ている田島を推していた。一方、急速に発展する池袋のような有望な地域で他の銀行と競争するにあたり、桑山常務は消極的な田島よりも誠実で積極的な貸付課長の沖野を推薦した。すると小西は最近課長になったばかりの経験が浅い沖野には荷が重すぎるとその意見を一蹴した。投票の結果、次期支店長に選ばれたのは沖野だった。

新任の挨拶回りで沖野が前任の田島と初めに向かったのは大口の取引先である料亭「比良野」だった。女将の前川奈美は三年前に亭主を亡くしたが、三十代という若さにも拘らず積極的に事業展開を行っていた。事業内容はしっかりとしており、一昨年に行った改築では七百万円を貸し付けたが、それも翌年の暮れには返済を終えていた。沖野は玄関で挨拶をすると先約があると言って早々に切り上げた。その先約とは桑山の遣いだった。桑山は情婦との関係を清算するために自ら出向くことはせず沖野に小切手を持たせたのだ。学校の後輩である沖野は支店長推薦の件もあり従うしかなかった。

ある日、奈美が銀行を訪れた。料亭増築の資金として必要となる一千万円の融資を申し込むためだった。後にその話を聞いた桑山は、立地条件が悪いにも拘らず比良野が繁盛していることを疑問視し、沖野に実際に行って様子を見るべきだとアドバイスした。その夜、比良野へ行った沖野は女中頭のお時から奈美の評判を聞き、この店は女将の器量で繁盛していることを確信した。翌日、不動産の価値が担保として申し分ないこと、官庁や大手筋の企業を得意先としており売掛金の回収がスムーズで経営状態に問題ないことを報告すると、君に確信があるのならやってみたまえと桑山はGOサインを出した。早速、沖野は稟議書を持って奈美の自宅を訪れ手続きを済ませた。それ以降、彼女は相談があるなどと沖野と会う機会を増やし、次第に二人は深い仲になっていった。奈美は度々結婚を口にするようになり、病弱の妻を抱える沖野の心は揺れ動いた。

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