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海底大戦争

  • posted at:2019-10-31
  • written by:砂月(すなつき)
かいていだいせんそう
東映(東京撮影所)=ラム・フィルム
配給:東映
製作年:1966年
公開日:1966年7月1日 併映「男の勝負」
監督:佐藤肇
企画:亀井耕司 吉野誠一
原案:福島正実
脚本:大津皓一
撮影:下村和夫
録音:岩田広一
照明:森澤淑明
美術:江野慎一
特殊撮影:東映東京製作所特殊技術部 矢島信男 山田孝 武庫透
水中撮影:水中造形センター 館石昭
編集:祖田冨美夫
助監督:館野彰
進行主任:河野正俊
現像:東映化学工業株式会社
音楽:菊池俊輔
出演:千葉真一 ペギー・ニール フランツ・グルーバー アンドル・ヒューズ エリック・ニールセン
スタンダード カラー 84分

アメリカ海軍が開発した新型高性能魚雷の攻撃状況がマスコミ向けに公開された。その追跡魚雷には特殊な記憶装置が搭載されており、攻撃目標を素早く探知すると分析データに従って目標を完全に誘導、捕捉、破壊するのだ。実験は東日新聞の科学担当記者の安部やカメラマンのジェニー・グリアゾンなどが乗る攻撃潜水艦から北西3千ヤードに位置する目標潜水艦に対して行われ、その様子はモニターに映し出された。攻撃潜水艦から発射された2発の追跡魚雷は目標潜水艦から放たれた超音波ゾンデを掻い潜って進行を続けたが、何故か命中しなかった。その後、追跡魚雷は進路を変え攻撃潜水艦に向かってきたことで、ブラウン中佐は急遽破壊命令を出した。その際カメラの前を人影のようなものが横切りモニターでその様子を目撃した新聞記者たちは説明出来ないブラウンを問い詰めた。困ったブラウンは水死体に違いないと説明して納得させようと試みたが、破壊に失敗した追跡魚雷が被弾したことで実験を中止せざるを得なかった。幸い攻撃潜水艦は軽微な損傷で済んだ。

攻撃潜水艦の中に原子バイシャルセンターのハワード教授が乗っていたことが気になっていた安部は、後日ジェニーを引き連れて海に潜ることにした。孤島に聳え立つ原子バイシャルセンターには世界中の原子炉の灰が集められるが、灰は実験場近くの海底2万フィート地点に捨てられていることを突き止めていた。実験地点にボートを泊めると二人は海深く潜って行ったが、崖の上からその様子を監視していたのはハワードとブラウンだった。モニターに映った人影に関する調査は軍の首脳会議で極秘事項とされ、島の警戒も厳重にするよう命じられていたのだ。ハワードはこの島で起きている奇妙な出来事を口にした。夜中に何者かが上陸している形跡があるのだ。ダイビング禁止である島の規則に反して若者が行うことが稀にあるが、潜水用の水掻きにしては形状がおかしいのだ。ブラウンは悩んだ末に上層部への報告を保留した。その頃、安部は海中でシートのような漂流物を発見し、ジェニーはシャッターを切った。ところが不注意でカメラを落としてしまい二人はそれを追い掛けた。安部は一旦ボートに戻ったが、ジェニーは諦めずに捜索を続けついにカメラを発見した。急いで安部のもとにたどり着こうとするジェニーだったが、気配を感じて振り向くとそこには奇妙な生物が立っていた。彼女は慌ててシャッターを切ったが襲い掛かる生物を振り切って逃げるのが精一杯で再びカメラを落としたのだった。海中での異常を感じた安部がすぐさま飛び込んだことでジェニーは事なきを得たのだった。

ジェニーはシーサイドクラブにいるブラウンに海底で体験したことを報告したが、長時間潜水したことで起きる減圧症を疑い信用しなかった。更には精神分析検査の話を持ち出したため安部の怒りは頂点に達した。ブラウンが何かを隠しているに違いないと考えた彼は証拠が記録されたカメラを探しに行くことに決めた。

屋台的映画館
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くそガキの告白

  • posted at:2019-10-27
  • written by:砂月(すなつき)
くそがきのこくはく
SUMIDA制作所
配給:SUMIDA制作所
製作年:2011年
公開日:2012年6月30日
監督:鈴木太一
プロデューサー:小林憲史
ラインプロデューサー:和田紳助
脚本:鈴木太一
撮影:福田陽平
照明:上村奈帆
録音:成ヶ澤玲
美術・装飾:寺尾淳
衣裳:袴田知世枝
ヘアメイク:前田美沙子
助監督:荒井純恵
スタントコーディネーター:南辻史人 柴田愛之助
編集:小林憲史 福田陽平 鈴木太一
音楽:佐藤和郎 八澤勉
ギター:酒井泰三
主題歌:「YOU」太陽族
挿入歌:「PHOENIX」LOOSELY
出演:今野浩喜 田代さやか 辻岡正人 今井りか 北山ひろし
アメリカンビスタ カラー 107分

ブサイクな顔のせいで損ばかりしていると思い込む馬場大輔(32歳)。大学卒業後、映画監督を夢見て業界に飛び込んだものの、現在は幼なじみの花岡哲哉が監督するホラー映画のメイキング映像を担当している。「俺の世界観」とは違う撮影をすることで日に日にストレスが溜まり爆発寸前だったが、その感情を押し止めたのは一人の少女が現れたおかげだった。彼女はセーラー服姿の幽霊Fを演じる木下桃子で、25歳にしては幼く見えた。馴れ馴れしく話し掛けてくる桃子に対し女の子と対面で接したことがない大輔は薄ら笑いを浮かべた。演技指導をしてくださいと言われそれっぽい幽霊の演技をしてみたが、それが奏功したのか撮影は一発OKだった。彼女の演技はスタッフだけでなく主演の美沙都にも好評で、桃子がお礼の挨拶にくると大輔は照れまくった。

翌日、大輔は美沙都のインタビューを撮らなければならなかったが、物怖じしてタイミングが掴めないでいた。そこに桃子が現れたことから大輔は頼み込んで代わりに撮ってもらうことにした。桃子は役目をそつなくこなし、ふざけながらも美沙都からコメントを引き出した。調子に乗った彼女は昼食休憩に入ってからもカメラを手放すことなく、今度はスタッフに矛先を向けた。やがて輪から離れた場所でひとり弁当を食べる大輔に気づき近づいた。彼の夢が映画監督だと知り理由を尋ねると映画が好きだからと大輔は答えた。彼はいい恰好をしようと奮闘していたが、桃子の心はその奥で台本片手に悩む花岡の姿に向いていた。

不気味な納屋でのシーンを夕刻に撮影し、翌日喫茶店でチェックを行った。ノートパソコンの画面を食い入るように見ていたプロデューサーの城島正志は興奮しながら花岡にどう思うと声を掛けた。美沙都が大量の幽霊から襲われるシーンで奇妙な笑い声が響き突然のノイズとともに映像が途切れたのだ。花岡はそれを単なるエラーだとして別カットで対処しようと考えていたが、城島はこのハプニングを映画の売りにしようとしたのだ。そして関係者やロケ地周辺の調査をカメラを回しながら行うことになり、その役を任されたのは大輔だった。城島の思いつきは毎度のことで、ギャラは出ないしホラードキュメンタリーなんてまっぴら御免だ。おまけにこんな作品でデビューなんかしたら「俺の世界観」が世間から誤解されてしまうのだ。大輔の腹の虫は治まらなかった。

屋台的映画館

不良番長 手八丁口八丁

  • posted at:2019-10-24
  • written by:砂月(すなつき)
ふりょうばんちょうてはっちょうくちはっちょう
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1971年
公開日:1971年9月18日
監督:内藤誠
企画:吉田達
脚本:松本功 山本英明
撮影:山沢義一
録音:広上益弘
照明:大野忠三郎
美術:北川弘
編集:田中修
助監督:三堀篤
擬斗:日尾孝司
スチール:藤井善男
進行主任:坂本年文
装置:根上徳一
装飾:神谷好孝
記録:勝原繁子
美粧:井上守
美容:宮島孝子
衣裳:長谷稔
演技事務:石原啓二
現像:東映化学
音楽:八木正生
主題歌:「番長シャロック」梅宮辰夫
挿入歌:「恋する者たちよ」ピーター
出演:梅宮辰夫 ピーター 大原麗子 フラワー・メグ 由利徹
アメリカンビスタ カラー 87分

バイクの窃盗がバレて刑務所送りになったカポネ団。2年半後に出所した神坂弘、ジャブ、アパッチは腐れ縁のヨーコと組んで夜の公園での覗きを商売にしたのだが、その時に無銭覗きをしたサッポロがひょんなことから仲間に加わった。カポネ団の根城は電気なし、水道なし、ガスなしの賃貸だったが、そこはマンションの建設予定地だった。彼らの狙いは立退料の他に契約料の一部を大家からせしめることだったが、意図的に大家が家賃を受け取らなかったことで立ち退きを強いられたのだった。バックに天敵の暴力団・挺心会がいることを知った神坂は負けを認め、新たな商売で出直すことに決めた。体位コンサルタントの権威・色川マヤを落とし研究所を乗っ取った神坂は、日本ドッキング衛生研究所と名を変えて再出発しようとしたのだが、逃げてきた私立探偵の明智大五郎のとばっちりでまた挺心会に見つかってしまった。管理人の通報でやってきた警官のおかげで挺心会は逃げて行ったが、いかがわしい商売をしていることがばれてしまい、困った神坂は責任を全てマヤに押しつけて突き出したのだった。

ある日、挺心会の別組織である中西興業の中西愛之助社長は神坂を事務所に呼び出した。群馬県国定神社のなまぐさ神主を社会的に葬って欲しいというのだ。報酬は100万円。女を抱かせて写真や録音テープなど証拠の品を揃えよと言われ、立場の弱い神坂は渋々引き受けることになった。理由を知らされていないカポネ団は国定忠治を題材とした映画の撮影隊と称して神主の長岡に近づき、彼の特技である浪曲を活かして特別出演して欲しいと言って機嫌を取った。撮影が一旦休憩に入ると、長岡は演技指導をしたいとヨーコを口説き押し倒した。するとジャブとアパッチは待ってましたとばかりに撮影を始めたが、それを妨害したのはこの土地のヤクザ・桂一家の女親分・スミだった。翌年は忠治生誕160年に当たり大祭を盛大に開くために日の丸金融から300万円を借りて本殿の修復を行った。その金融会社の本体が挺心会であり神社の乗っ取りが彼らの本来の目的だった。挺心会の一味だと勘違いされ、この一件から手を引くように言われた神坂だったが、代貸の北原が彼のネリカン仲間だったことで一転して拘ることになった。

数日後、神坂を訪ねてきた立花夏子はある依頼をした。彼女の父は東日本開発公団の秘書課長をしていたが、昨年の暮れに警察の取り調べを受けた後すぐに死んだ。飲酒運転で晴海埠頭から落ちたと報告を受けたものの若い頃から酒が一滴も飲めないことを知っていた。誰かに殺されたに違いないと考える夏子だったが、証拠は何一つないため神坂に助けを求めにきたのだった。彼女に弱みを握られている神坂は従わざるを得なかった。

屋台的映画館

機動戦士ガンダム

  • posted at:2019-10-21
  • written by:砂月(すなつき)
きどうせんしがんだむ
日本サンライズ
配給:松竹
製作年:1981年
公開日:1981年3月14日
総監督:富野喜幸
監督:藤原良二
演出協力:貞光紳也 小鹿英吉 横山裕一郎
製作:岸本吉功
企画:山浦栄二 伊藤昌典
プロデューサー:渋江靖夫 岩崎正美
原作:矢立肇 富野喜幸
アニメーションディレクター:安彦良和
脚本:星山博之 荒木芳久 山本優 松崎健一
キャラクターデザイン:安彦良和
メカニカルデザイン:大河原邦男
美術監督:中村光毅
音楽:渡辺岳夫 松山祐士
主題歌:「砂の十字架」やしきたかじん
音響監督:松浦典良
現像:東京現像所
編集:鶴渕友彰 片石文栄
効果:松田昭彦 伊藤修
整音:大塚晴寿 相築晃
録音:整音スタジオ
録音制作:現
音楽出版:指田英司
渉外:野辺忠彦
タイトル:石田功 橋爪朋二
制作助手:又吉智子
制作進行:植田益朗
製作主任:安達登
協力:サンライズ音楽出版
製作協力:名古屋テレビ 創通エージェンシー
協力:講談社
声の出演:古谷徹 鈴置洋孝 飯塚昭三 古川登志夫 鈴木清信
アメリカンビスタ カラー 137分

地球上の人口が増えすぎた宇宙世紀初頭、その解決策として宇宙人工島・スペースコロニーへの移住計画が強く推し進められた。だが半世紀後、宇宙居住者・スペースノイドを軽視する風潮が地球連邦政府にあったことから、人々の不満は蓄積して行った。月の裏側にある地球から最も遠いサイド3では、持論を提唱するジオン・ズム・ダイクンが自治権獲得を訴え、市民からの圧倒的な支持を得て首相に就任。その後、独立を宣言しサイド3共和国を樹立した。これに対し連邦政府は経済制裁を行い、宇宙軍を設立した。一部で暗殺と囁かれるダイクンの死後、側近だったデギン・ソド・ザビが首相に就任すると、ダイクン派を一掃した。権力を握ったデギンは共和制を廃止して君主制に移行すると公王に就任、国名をジオン公国と改め軍備を拡大した。だが妻の死などで精神的なショックを受けたことから政権を長男で総帥のギレン・ザビに譲った。選民思想主義者であるギレンは、ダイクンの思想を先鋭化して国民を扇動し、連邦政府への攻撃準備を進めた。彼は大型戦艦を有する連邦政府の宇宙軍に対抗するため、近年発見された電磁波を妨害するミノフスキー粒子と、人型有人機動兵器・モビルスーツを中心に軍備増強を行った。

0079年1月、ジオン公国は地球連邦政府に対して宣戦を布告し、サイド2で毒ガス兵器を使用した後にブリティッシュ作戦を発動した。これによりサイド2は連邦軍の大本営である南米のジャブローに向けて落下したが、宇宙艦隊の攻撃により大気圏で崩壊した。だが破片が世界各地に散乱し甚大な被害を受けた。ジャブロー壊滅に失敗したギレンはサイド5への攻撃を指示。モビルスーツの攻撃により苦戦を強いられる中、連邦軍きっての名将と呼ばれるレビル将軍が捕虜として連行された。優位に立ったジオン側は降伏勧告である南極条約を持ち掛けたが、調印直前に特殊部隊による救出を受けたレビルがジオンの内情を暴露したことで形勢が逆転した。レビルがモビルスーツの有用性を説いたことで大鑑巨砲主義である連邦軍の方針が見直され、独自のモビルスーツの開発及び量産化、運用方法と専用戦艦の建造等を目的とするV作戦が急ピッチで進められた。

9月18日、サイド7で連邦軍が極秘にモビルスーツと新型戦艦の開発を行っているという情報を掴んだジオン軍のシャア・アズナブル少佐は、部下の3名に偵察を命じた。隊長のデニムはスレンダーを入り口で待機させると、ジーンとともに下界へ降りて行った。その日はペガサス級強襲揚陸艦2番艦・ホワイトベースの入港日であり、完成したモビルスーツを積み込むことになっていた。本来なら通勤時間でにぎやかさを見せている街も、軍からの避難命令が出されていたおかげで閑散としていた。街中の様子が違うことに気付いたデニムは、搬入予定のモビルスーツ用パーツを発見した。すると功を焦ったジーンが暴走し攻撃を始めたのだった。退避カプセルに避難していたアムロ・レイは、室内で感じた震動が攻撃による爆発であることを確信し、避難民を戦艦に乗せるよう父親に頼みに行くことにした。彼の父・テムはV作戦の中心となる技術士官だった。アムロがカプセルを飛び出すと、目の前にはジオン軍のモビルスーツ・ザクが。そのザクが放ったミサイルが、連邦軍の士官が乗った車に当たり大破した。頭を抱えてうずくまるアムロの側には、士官が持っていた極秘ファイル落ちていた。それは連邦軍が開発した新型モビルスーツの操縦マニュアルだった。その頃、戦闘状態の激化により避難民はホワイトベースへ向かっていた。ファイルを小脇に抱えたアムロは父親を見つけ出すと、あなたは人よりもモビルスーツの方が大切なのかと意見した。そこへ彼の姿を見つけた隣家に住むフラウ・ボゥが駆け寄ってきた。そのとき、ミサイルが避難民の列を直撃。フラウは軽症で済んだが、彼女の家族を含む大勢の人たちが命を落とした。事態を重く見たアムロはショックを受けた彼女に港へ行くようにと促すと、自分はモビルスーツのもとへ向かった。アイドリング状態のコクピットに乗り込むとマニュアルに従って起動させたが、なかなか思うように動かなかった。そこに現れたジーンのザクは、アムロの乗ったモビルスーツを葬り去るためにマシンガンの銃口を向けた。

屋台的映画館

恐怖女子高校 女暴力教室

  • posted at:2019-10-17
  • written by:砂月(すなつき)
きょうふじょしこうこうおんなぼうりょくきょうしつ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1972年
公開日:1972年9月29日 併映「やくざと抗争」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
脚本:掛札昌裕 関本郁夫 鈴木則文
撮影:鈴木重平
照明:金子凱美
録音:溝口正義
美術:雨森義允
編集:堀池幸三
助監督:志村正浩
記録:梅津泰子
装置:温井弘司
装飾:山田久司
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角義雄
演技事務:森村英次
衣裳:岩逧保
擬斗:三好郁夫
進行主任:長岡功
主題歌:「女高生哀歌」須藤リカ
音楽:八木正生
出演:杉本美樹 三浦夏子 成瀬正孝 衣麻遼子 女屋実和子
アメリカンビスタ カラー 79分

「賢き妻となり愛しき母となろう」がモットーの聖光女子学園はずべ公のたまり場だった。学園内には女番長の中田迪子が率いる嵐線会と、理事長・郡大作の妾の娘・福本澄子が率いるグループがあり事あるごとに対立していた。ある日、学園に臨時教師として吉岡敬一が赴任してきた。熱血教師の吉岡は前任の工業学校で指導が過ぎたことで飛ばされたのだ。彼が担当することになったのは悪名高い3年4組だった。初めて教壇に立つ吉岡に対して生徒たちは嫌がらせを行い、学校には自分たちのルールがあり教師であってもそれに従ってもらうと迪子は言った。頭に血が上った吉岡が教員室に戻ると、この学校はゴミ箱でありそのゴミを街にこぼれないようにするのが我々の仕事だと先輩教師たちは言っていさめようとした。聖光女子学園は普通の高校で鼻つまみにされた生徒の救済のために設立された学校で、学園理事は私利私欲の徒、そして事なかれ主義の教師ばかりが集まっていたのだ。それを知った吉岡の怒りはくすぶり続けた。

迪子がグレたのは2年前に暗闇の空き地で強姦されたことがきっかけだった。公務員の父・伺郎は体裁ばかりを気にし他の家族も軽蔑の眼差しを向けた。彼女は家庭内で辛いことがあるといつも忌まわしい場所へきて人生を見つめ直すのだ。あの日以来、世の中強姦されるよりもした方が勝ちだと考えるようになり生き方を変えた。それが迪子の新たな出発点だった。

学園に新たな生徒が転校してくることになった。花園女学院の総番長だった尾野崎由紀は乱れ菊のお由紀として知られ、傷害罪で鑑別所送りになっていた。その噂は学園中で持ち切りで、同じクラスとなる迪子たちはヤキを入れてやろうと待ち構えていたが、当のお由紀は姿を現さなかった。すると音楽室から「皆殺しの唄」のメロディーが聞こえてきたため何事かと見に行くと、お由紀がピアノの前に座っていた。迪子とその仲間は挨拶替わりに暴力を振るうがお由紀は抵抗することなく殴られ続けた。拍子抜けした迪子たちは呆れて去って行ったが、その様子を陰で見ていた特待生の岬洋子は慌てて駆け寄りハンカチを差し出した。

友達に恵まれない洋子はお由紀を自宅に招くと身の上話を始めた。彼女はもうすぐ退院をする祖母との二人暮らしで、父親は交通事故死、母親は4年前に他界したことで高校進学を諦めていた。だが聖光女子学園には特待生制度があり、授業料免除の他に奨学金が月5千円もらえることを知って入学したのだ。グループに入れと命じられても抵抗し続けリンチを受けても自分の信念を曲げなかった。そんな彼女の話に自分の境遇を重ねたお由紀は親しみを覚えたのだった。

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