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やさぐれ姐御伝 総括リンチ

  • posted at:2017-12-24
  • written by:砂月(すなつき)
やさぐれあねごでんそうかつりんち
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年6月7日 併映「やくざ対Gメン 囮」 
監督:石井輝男
企画:天尾完次
原作:凡天太郎
脚本:掛札昌裕 関本郁夫 石井輝男
撮影:わし尾元也
照明:井上孝二
録音:中山茂二
美術:雨森義允
音楽:鏑木創
編集:神田忠男
助監督:萩原将司
記録:黒川京子
装置:稲田源兵衛
装飾:宮川俊夫
美粧結髪:東和美粧
スチール:中山健司
演技事務:饗庭益雄
衣裳:豊中健
擬斗:土井淳之祐
進行主任:伊藤彰将
主題歌:「お蝶のブルース」池玲子
出演:池玲子 愛川まこと 春日朱美 城恵美 碧川ジュン
シネマスコープ カラー 86分

関西扇組一家に草鞋を脱ぐことになり神戸港に到着した猪の鹿お蝶は、女スリの朱実から麻薬の運び屋と間違えられ迎えにきていた人力車に乗った。邸に着いたときにはもう日がとっぷりと暮れており、玄関までくると突然の停電で辺りが見えなくなった。そこで車夫に付き添って中に入ると奥からろうそくを持った男が現れた。だがホッとしたのもつかの間、暗闇から現れた男たちに羽交い絞めにされ麻酔薬を嗅がされたのだった。意識を取り戻した彼女は梁から吊るされて身動きが取れなくなっていた。そこに男の指が伸び女陰をまさぐったのだが彼らの目当ての物は見つからなかった。お蝶が運び屋とは無関係であることがわかるとロープが外され、落下した彼女はショックで気を失った。

再び意識を取り戻したお蝶は目の前に男の顔が見えたことから右手に握った物で攻撃しようとした。彼は刑務所帰りの譲二という男で、見覚えのある車夫の後をつけてきたところにお蝶が横たわっていたのだ。勘違いは迷惑だと腕を掴み、派手なことをやったじゃないかと譲二が言うと、お蝶はようやく自分が置かれている状況を把握した。彼女の傍らには全裸の女が死んでおり、女陰が血飛沫を浴びた右手のドスでえぐられていたのだ。世間を騒がせている股裂き魔の濡れ衣を着せられたお蝶は必ず仕返ししてやると心に誓った。一方、邸を抜け出した譲二は待ち伏せしていた男たちに左腕を撃たれ飲み屋街に逃げ込んだ。するとキリストの好美という謎の女に匿われたのだった。

翌日、扇組をお蝶が訪ねるとそこは空き家になっていた。このことと自分が巻き込まれた事件が関連しているのではないかと考えたお蝶は神戸港へ向かい朱実に親分のところへ案内するように言った。お蝶が連れてこられたのはバラック小屋で、そこは酒場の名を借りた売春宿だった。あんたの子分に払い下げたいのがいるとお蝶は直談判したのだが、親分の半纏ババアは聞く耳を持たなかった。分からず屋の相手だとわかると彼女は力ずくで朱美を連れ出し、誰もこない蔵の中で車夫の正体を強引に聞き出した。十日程前、いつものように港で稼ぎをしていた朱美は三人組の男に捕まり宿に連れ込まれて廻された。そして親分に言えばそのときの写真をばら撒くと脅されたために従うしかなく、さらに友人を集めるように命じられた。男たちは彼女らをシャブ漬けにすることで自由を奪ったのだった。薬が切れ掛けて苦しむ朱美に洗いざらい話すことをお蝶が強要すると、港から神戸に入ってくる赤い襟巻をした女たちを三人のところへ連れて行く仕事を任されたことを話した。そしてそのアジトが一柳閣というホテルだとわかるとお蝶は早速翌日から様子を探ることにした。すると門をくぐって出てきたのは譲二だった。

屋台的映画館
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わたし出すわ

  • posted at:2017-12-20
  • written by:砂月(すなつき)
わたしだすわ
アスミック・エース エンタテインメント
配給:アスミック・エース
製作年:2009年
公開日:2009年10月31日
監督:森田芳光
製作総指揮:豊島雅郎
プロデューサー:竹内伸治 三沢和子
ラインプロデューサー:橋本靖
エグゼクティブスーパーバイザー:黒澤満
脚本:森田芳光
音楽:大島ミチル
撮影:沖村志宏
美術:山﨑秀満
照明:渡辺三雄
装飾:湯澤幸夫
録音:高野泰雄
音響効果:伊藤進一
編集:川島章正
スクリプター:森永恭子
衣裳:宮本まさ江
キャスティング:杉野剛
助監督:増田伸弥
製作担当:樫崎秀明
製作管理:山本勉
プロデューサーアシスタント:今井淑恵
制作プロダクション:セントラル・アーツ
出演:小雪 黒谷友香 伊坂俊哉 山中崇 小山田サユリ
アメリカンビスタ カラー 110分

民家の郵便受けに1キロもの金塊が投げ込まれた事件が世間を賑わせていた頃、山吹摩耶は東京から故郷の北海道・函館に戻ってきた。新居となるアパートへの引っ越しを終えると彼女は業者の二人に気持ちとしてポチ袋を渡した。ありがたく頂戴した布田と大国は廊下の角を曲がると早速中身を確認したのだが、その金額に驚いた。10万円の現金が入っていたのだ。何かの間違いではないかと思い布田は後戻って返そうとしたのだが、摩耶は重い荷物を動かすことが私には出来ないことだからと受け取ろうとしなかった。そしてそのお金を有効に使っていい思い出を作ってくださいと言うと、布田はこれ以上問答しても仕方ないと諦めて素直に受け取った。

高校の同級生だった道上保が市電の運転手をしていることを知っていた摩耶は、彼が担当する路面電車に乗り込み終点の谷地頭に到着すると声を掛けた。驚く保に摩耶は話があるからと仕事が終わる時間を聞き車庫の付近で待ち合わせをすることにした。昔の仲間に連絡をして欲しいと言われ保が電話を掛けたのは、北産乳業社長夫人の魚住サキ、専業主婦の平場さくら、実業団のマラソンランナーとして活動している川上孝、養魚試験場の研究員・保利満の親しかった四人だったが、それぞれの事情で誰も集まらなかった。その夜、飲食店に入った保は誰もが彼女に会いたがっていたと嘘をついたが、しばらくいるから大丈夫と摩耶は当たり障りのない返事をした。そして路面電車の話題になると、彼女は保が高校時代に世界中の路面電車巡りをしたいという夢を持っていたことを話した。だが今の保は市電の運転手として働くことで十分満足していたし、家庭を持つ身で世界を巡る資金を捻出することなんて出来るはずがなかった。「そのお金、私が出してあげようか?」。それを聞いた保は悪い冗談だと思った。金塊が郵便受けに投げ込まれていたのなら別だが。数日後、彼の自宅に摩耶からの荷物か届き、その中から手紙とガイドブックと一緒に大金が出てきたことから保は妻のかえでとともに腰を抜かした。

自分が経営するレストランに摩耶を呼び出したサキは学生時代のことで話の花を咲かせ、玉の輿に乗ったことを自慢げに語った。そして食事が終わると野暮ったい姿をした彼女を百貨店に連れて行き着飾ろうとした。その帰り道、摩耶を待っていたのはかえでだった。悪い金ではないかと疑うかえでに摩耶は偽札ではないし盗んだ物でもないことを説明した。すると彼女は次の疑問を口にした。「何か主人とあったんですか?」。摩耶はただの高校時代の友達だったと説明したが、それで疑念が晴れるはずがなかった。「お世話になった人にせめてものお礼として、受け取ってください」。それを聞いたかえでは困った人のために有効に使うべきだと言ったが、そういうことなら相談してご主人に理解してもらえばいいじゃないですかと言い包められた。すっかり摩耶の虜になったかえでは彼女を神様のように尊敬するようになった。

屋台的映画館

再会(1975年)

  • posted at:2017-12-17
  • written by:砂月(すなつき)
さいかい
松竹=NPプロダクション
配給:松竹
製作年:1975年
公開日:1975年3月15日 併映「続 愛と誠」 
監督:斎藤耕一
製作:瀬島光雄
企画:西川宗明
脚本:斎藤耕一 仲倉重郎
撮影:坂本典隆
美術:芳野尹孝
音楽:青山八郎
録音:平松時夫
調音:松本隆司
照明:津吹正
編集:杉原よ志
監督助手:仲倉重郎
装置:若林六郎
装飾:磯崎昇
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
挿入歌:「何処へ」野口五郎
出演:野口五郎 江波杏子 角ゆり子 佐藤英夫 寺田農
アメリカンビスタ カラー 93分

両親を早くに亡くした村田賢はひと回りほど離れた姉の葉子に育てられた。青年になったある日、その母のように慕う姉が突然ブラジルのサンパウロへ行くことになった。岐阜の柳ケ瀬でホステスとして働く葉子は小沼という五十過ぎの男と出会い恋に落ちた。そして小沼がサンパウロ行きの提案をしたことで今回の運びとなったのだ。だが会ったこともない男を信用出来ない賢は心配になり、駅で見送るどころかアルバイトをサボり同じ列車に乗って横浜までついて行ったのだった。小沼とは港町にあることぶき館という旅館で落ち合うことになっていたが、遅れるという言伝を主人が受けていたため先に部屋で休むことにした。姉との別れの日ということもあって落ち着かない賢は、本当にブラジル行きに船があるのか港へ確かめに行こうと誘ったが、葉子は電話を待つと言って動こうとしなかった。だが最後の日ぐらい付き合ってくれてもいいだろうと言われると従うしかなかった。

二人は港へ行ったがブラジル行きの船は見つからなかった。付近にいる船員に聞いても知らないという。オロオロする姉の姿を見た賢はおかしさを抑えきれなかった。三年前にも同じようなことがあり、好きな男に騙されたと彼の布団で泣いていたことを思い出したのだ。それを聞いた葉子が覚えていないとごまかし再び船を探し始めると、今いる場所とは別の埠頭に停泊していることがわかった。明るい声を張り上げる姉とは裏腹に賢の心は暗く沈んだ。船がなければいいのにという願いは叶わなかった。逸る気持ちを抑えられずに駆け出そうとする葉子と今の時間が長く続けばいいのにと焦らす賢。二人はやがてその埠頭にたどり着いた。ルーゼエベレットという名の船は客船ではなく貨物船だった。作業員から出航日が明日ではなく一日伸びたことを聞いた葉子は確認をするために事務所へ行ったが、そこでは貨物のことはわかっても乗客名簿がなかったため予約の確認をすることが出来なかった。そこでことぶき館に電話を掛けたが、小沼からの連絡はまだなかった。パスポートなどの手続きは三ヶ月前から小沼が準備していることになっているが、賢は彼の姿を見るまでそれを信用するつもりはなかった。

その夜、賢が寝付けないでいると旅館の主人が葉子を呼んだ。小沼から電話が掛かってきたというのだ。彼は電話を盗み聞きし、小沼が警察から追われていることを知った。そんな素性のわからない男と一緒になろうという姉の気持ちがわからなくなった賢は旅館を出て行こうとしたが、その時に口走った「どうせ明日から他人だもんな」という言葉が葉子の心を深く傷つけたのだった。賢は夜の街へ飛び出しディスコで一夜を明かすことに決めた。すると一人の女が近づいてきて踊ろうとステージへ引っ張って行った。

屋台的映画館

ゴルゴ13 九竜の首

  • posted at:2017-12-13
  • written by:砂月(すなつき)
ごるごさーてぃーんくーろんのくび
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年9月15日 併映「世界の戦略兵器」
監督:野田幸男
企画:俊藤浩滋 杉本直幸 佐藤雅夫
原作:さいとう・たかを さいとうプロダクション
脚本:中島信昭 松本功
撮影:赤塚滋 勝木勝夫
照明:金子凱美
録音:荒川輝彦
美術:井川徳道
音楽:伊部晴美
編集:市田勇
助監督:土橋亨
記録:森村幸子
装置:吉岡茂一
背景:西村和比古
装飾:白石義明
擬斗:斉藤一之
美粧結髪:東和美粧
衣裳:佐々木常久
演技事務:西秋節生
進行主任:伊藤彰将
協力:嘉倫電影有限公司 嘉倫 黄乗棋 何家駒
ファッショングラス提供:ルソチカ
出演:千葉真一 嘉倫 志穂美悦子 新藤恵美 ジェリー伊藤
アメリカンビスタ カラー 93分

香港のビクトリア湾に男の死体が上がった。捜査に当たった香港警察の主任刑事・スミニーは、これまでの2件と殺しの手口が同じだったことからいずれも同一犯による犯行と推測し署長に報告した。その頃、マイアミでは麻薬シンジケートの代表であるロッキー・ブラウンがクルーザーで男の到着を待っていた。彼が待ち続けていたのは超一流の腕前を持つスナイパーの「ゴルゴ13」だった。ところが時間が近づいても船影が見えないため気を揉んでいると、ゴルゴはアクアラングを背負って水中から現れたのだった。人目を避けるという条件であることからロッキーは海上を選んだのだが、用心深い彼はビルの高層に部下を配置し監視させた。そのことをゴルゴは見抜いており、持ってきた袋から愛用のライフル・アーマライトM16を取り出すと500メートルはあろうかという距離の二人を狙撃した。それを見て震え上がったロッキーは報酬に5万ドルを上乗せをすると言った。

ロッキーの依頼はシンジケートの香港支部長である周雷鋒を暗殺することだった。東南アジアの原産地から集めた麻薬を精製しそれを本部に送ることが周の役目だったが、ひと月前に彼が一部を横流ししているという情報が入った。本部は出頭命令を出したがそれに応じず、更に守りを固めて派遣した3人の殺し屋を返り討ちにしたことから強硬手段に出ることにしたのだ。本部が急いでいる理由は麻薬捜査担当のスミニーが積極的に動き出したからだった。組織は取り締まりに異常なファイトを燃やす彼によって何度も苦い思いをしていた。組織とスミニーの両側から責められれば周は組織を売ってスミニーに命乞いをするはず。そこで彼が意図的に捕まる前に消して欲しいというのだ。ゴルゴが了承したことを確認したロッキーは報酬の10万ドルに5万ドルを加算した金額をスイスの口座に振り込むと約束した。

スミニーは飲食店を中心に大々的な摘発を行い、どの麻薬密売ルートを辿っても同じ人物に行きつくことを突き止めた。その頂点に立つ人物が香港の名士である周雷鋒だった。ビクトリア湾で起きた殺人事件の被疑者である男はアメリカの麻薬組織に属しており、周とアメリカの組織との間で何かが起きていると考えたスミニーはこれが香港から麻薬を一掃するチャンスだと署長に訴えた。だが署長は逮捕に対して二の足を踏んだ。何故なら周は各種の観光事業を経営する実業家であり、確証なく逮捕すれば不起訴となった場合に痛い目に遭うからだ。そこで彼は慎重に捜査をするようにと言うに止めた。その夜、スミニーからの命令を受けた女性潜入捜査官の林玲が周の車を尾行するとサンダル工場に到着した。見張りを倒した林玲が建物に潜り込むと、そこでは麻薬の精製が行われていた。スミニーへの報告をするために車へ戻ろうとしたところ追手に撃たれて動けなくなった。そこで彼女は捕まる前に電波発信機を車の下に投げ入れた。

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あしたのジョー2

  • posted at:2017-12-10
  • written by:砂月(すなつき)
あしたのじょーつー
三協映画=ヘラルドエンタープライズ=富士映画=ちば企画
配給:ヘラルドエンタープライズ=富士映画
製作年:1981年
公開日:1981年7月18日
監督:出崎統
製作総指揮:梶原一騎
製作:川野泰彦
プロデューサー:島田十九八
原作:高森朝雄 ちばてつや
脚本:出崎統
作画監督:杉野昭夫
音楽監督:荒木一郎
主題歌:「あしたのジョー2のテーマ 明日への叫び」ジョー山中
・・・:「青春の終章(ピリオド) JOE・・・FOREVER」ジョー山中
美術:小林七郎
撮影:高橋宏固
録音:瀬川徹夫
編集:鶴渕允寿
選曲:太田正一
効果:帆苅幸雄
助監督:竹内啓雄
監修:ちばてつや
製作協力:東京ムービー新社
声の出演:あおい輝彦 藤岡重慶 檀ふみ 岡田真澄 細川俊之
アメリカンビスタ カラー 110分

日本中に衝撃が走ったバンタム級ボクサー・力石徹の死から一年。あの壮絶な試合を行った同じ会場に追悼の10カウントゴングが鳴り響いた。白木財閥の創始者で白木ボクシングジムの名誉会長・白木幹之介は、力石の対戦相手だった矢吹丈(ジョー)が会場にきているのではないかとその姿を目で捜したが、孫娘の葉子はいるはずがないと思っていた。何故ならジョーは力石が死んだ一因が自分にあると思い詰めて消息不明になっていたからだ。だがその数日後、泪橋の下にある丹下拳闘クラブではコーチの丹下段平と門下生のマンモス西が驚きの声を挙げていた。早朝の薄暗いジムに明るい笑顔のジョーがいたからだ。その情報は瞬く間にドヤ街に広がり大騒ぎになった。ジョーが次に向かった先は力石が眠る墓だった。もう減量をする必要はないのだからたっぷり飲めよとミネラルウォーターを墓石にかけると、彼は気持ちを吹っ切ると報告をした。そしてじゃあなと踵を返すとその先には葉子がいた。

復帰後のジョーは破竹の勢いを見せ、5戦5勝をいずれもボディー攻めでKOを奪った。その全ての試合をリングサイドで観戦した葉子は、言葉では言い表せないもののジョーのファイトスタイルに違和感を覚えていた。そこで彼女は会長職を退く幹之介に白木ジムを任せて欲しいと願い出たのだった。その違和感は西も気づいていた。新戦法としてボディー攻めを行うジョーが未だに相手への顔へクリーンヒットさせたことがなかったからだ。そのことを段平に話すと、今はうまく行っているのだからそれ以上口にするなと釘を刺した。

ノンタイトル戦だがバンタム級チャンピオンのタイガー尾崎と戦うことになったことでジョーの気持ちは高揚していた。この試合に勝てば次はタイトル戦に臨むことが出来るからだ。前回同様、簡単に試合が進むと思われたが、尾崎がボディーを徹底的にブロックすることで攻めあぐんだ。痺れを切らした段平の指示で相手のテンプルを狙ったが、力石の姿が脳裏に過り動きが止まった。そこを尾崎に突かれてパンチを食らうと形勢は一気に逆転した。アッパーカットでダウンしたジョーはまさか自分が倒れると思っておらず、立ち上がると反撃を試みたがレフェリーから試合終了のストップが掛かった。それは段平がリングにタオルを投げ込んだからだった。「もうこれ以上やっても無駄だよ」。ジムへ帰るタクシーの中で段平は納得の行かないジョーに現状を説明した。力石のテンプルへのパンチが死へと追いやったという罪の意識が働き、彼は無意識にそこを避けて攻撃を行っていたのだ。力石の存在を吹っ切って戻ってきたつもりだったが、思わぬ弱点が露見したことでジョーはひどくショック受けた。

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