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かげろう絵図

  • posted at:2017-09-10
  • written by:砂月(すなつき)
かげろうえず
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年9月27日 併映「化学の勝利」
監督:衣笠貞之助
製作:三浦信夫
企画:財前定生
原作:松本清張
脚本:衣笠貞之助 犬塚稔
撮影:渡辺公夫
録音:大谷巌
照明:加藤博也
美術:西岡善信
音楽:斎藤一郎
色彩技術:西村慶信
衣裳考証:上野芳生
装飾考証:内藤晋
邦楽:中本敏生
装置:梶谷輝夫
擬闘:宮内昌平
編集:西田重雄
助監督:西沢宣匠
製作主任:安達畄雄
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 山本富士子 黒川弥太郎 志村喬 滝沢修
シネマスコープ カラー 84分

天保十一年、徳川十一代将軍家斉が隠居し大御所となって既に三年が経っていたが、幕府統括の実権は現将軍家慶に渡らず依然として家斉の手中にあった。春恒例となった江戸城内吹上の庭で桜見の宴が催されることになったが、大御所の希望で今回は大奥女中による歌くらべが行われることになった。家斉が寵愛する中臈の多喜の方は若い上に文学的な素養があり、最近懐妊したという話があった。言わばこの宴は彼女のためのものなのだ。それを知って苦々しい思いをしていたのは、大奥を取り仕切るお美代の方だった。彼女は御納戸頭取中野播磨守清茂(石翁)が法華宗智泉院日啓から引き取った美しい養女で、大奥へ差し出したことで家斉の目に止まり数多いお手付き中臈を追い抜いて君寵第一となった。そして家斉からの絶大な信頼を得た石翁は相談相手となった。石翁は将軍家の跡目として、お美代の方の娘溶姫が宿した家斉の子である犬千代を継がせようと様々な手段を用いて画策していたが、あと一歩のところで行き詰っていた。

吹上での花見の宴は奥女中にとって思い切り羽が伸ばせる年に一度の機会だった。その中で行われた歌合せでは八十二首が詠まれ、その内の十五枚の短冊から家斉が選んだのはお多喜の方の歌だった。桜の梢に短冊を結びつけることになり、お多喜の方が踏み台に上った途端足を踏み外し転び落ちた。彼女は身篭っていた子供を流産し自身も明け方に息を引き取ったのだった。石翁は家斉の寵愛が再びお美代の方に戻ったことを喜んだが、気になったのが踏み台を用意した雑用女中の登美だった。奉公を始めて四月目でお末から三の間に勤め替えをする程の異常な出世に、お美代の方の恩義だけでは説明のつかないことあるのではないかと考えていた。そして登美の受け親が元御廊下番頭の島田又左衛門であることを水野美濃守忠篤から聞いた石翁は、身上を八丁堀の与力下村孫九郎に調べさせることにした。

宿下がりの登美が屋敷の中に消えて行ったのを見かけた与力落合久蔵が門の前を行きつ戻りつしていると、孫九郎が何をしているのかと声を掛けてきた。知り合いに似ていたのでと久蔵が立ち去ると、孫九郎は仲間とともに門を見張った。その頃、屋敷の中では踏み台に細工しお多喜の方の命を奪ったことを悔いる登美を又左衛門が慰めていた。この事故をきっかけにして彼女はお美代の方に気に入られ異例の出世をしたが、これこそが裏で動く政道の正常化と大奥の粛正の第一歩だった。

屋台的映画館
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ゴジラ対ヘドラ

  • posted at:2017-09-07
  • written by:砂月(すなつき)
ごじらたいへどら
東宝
配給:東宝
製作年:1971年
公開日:1971年7月24日 併映「帰ってきたウルトラマン」「いなかっぺ大将 猛獣の中にわれ一人だス/オオ!ミステークだス」「みなしごハッチ 傷だらけのバレリーナ」「わらしべ長者」
監督:坂野義光
製作:田中友幸
脚本:馬淵薫 坂野義光
撮影:真野田洋一
美術:井上泰幸
録音:藤好昌生
照明:原文良
音楽:真鍋理一郎
整音:東宝録音センター
特殊技術:中野昭慶
光学撮影:徳政義行
合成:土井三郎
操演:小川昭二
監督助手:津島平吉
編集:黒岩義民
現像:東京現像所
製作担当者:森本朴
出演:山内明 川瀬裕之 木村俊恵 麻里圭子 柴本俊夫
シネマスコープ カラー 85分

日本における海洋汚染は深刻化していた。駿河湾で調査を行う海洋生物学者の矢野徹は、この場所で水揚げされる魚の中に奇形なものが多く含まれていることに危機感を強めていた。ある日、漁師の伍平が持ち込んだ生物は今までのものとは違い、まるで巨大なオタマジャクシのような姿をしていた。駿河湾ではタンカーが沈没する事故が相次いで起きており、テレビのニュース映像にはその生物が巨大化したような姿が映っていたことから早急に調査することにした。息子の研とともに海岸へやってきた徹は30分で戻ると約束して海に潜った。その間、磯で時間を潰していた研は沖から急速に向かってくるあの生物を目撃し、逃げようとしたが足を取られて手間取った。すると生物が彼に向けて飛び掛かってきたため、とっさにナイフを構えて斬りつけた。研を飛び越えた生物は静かに海へ戻って行ったが、その先には徹がいた。救助された徹は重傷を負っており、生物の皮膚に触れた顔面は酸で焼けたようにただれていた。布団に臥せる彼に新聞社が取材を行っていたが、その情報を知ったテレビ局が押し掛けて撮影を勝手に始めた。妻の敏江は止めるよう懇願したが、徹は自分の姿を世間に知ってもらいテレビの視聴者に恐ろしさを知ってもらおうと許可を出した。これがきっかけで、研が名付けたヘドラという名称も全国に広まった。

その夜、幾分気分が良くなった徹は自室に籠りヘドラの研究を行うことにした。ケースに入れていた巨大なオタマジャクシは乾燥し軽微な衝撃で脆く崩れた。それが鉱物ではないかと考えた彼はまず試験管に入れた塩酸に破片を入れて様子を見た。そして確証を得ると今度は田子の浦から採取した泥水の中に破片を入れたサンプルを二つ作った。変化は間もなく現れ、破片は小さなオタマジャクシの形状になり泳ぎ始めたのだ。次に二本の試験管の水をシャーレに移すと二匹は合体しひと回り大きくなった。さらに泥水を加えたことで大きくなったことから、ヘドラがヘドロの中で成長していることを確信した。同じ頃、合体を重ねて大きくなったヘドラは食糧を求めて工業地帯に上陸し、煙突から出る煤煙を吸って空腹を満たしていた。そこに現れたゴジラはヘドラを威嚇するが、飛行能力を持つ怪獣に先手を打たれて伸し掛かられ苦戦した。だが形勢を逆転するとジャイアントスイングで相手の体力を奪おうと試みたのだが、ヘドラの飛沫が街中に散乱したことで被害が拡大した。

屋台的映画館

三匹の牝蜂

  • posted at:2017-09-04
  • written by:砂月(すなつき)
さんびきのめすばち
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1970年
公開日:1970年6月13日
監督:鳥居元宏
企画:岡田茂 日下部五朗
脚本:中島貞夫 掛札昌裕
撮影:増田敏雄
照明:長谷川武夫
録音:荒川輝彦
美術:雨森義允
音楽:八木正生
編集:神田忠男
助監督:萩原将司
記録:塚越恵江
装置:吉岡茂
装飾:松原邦四郎
美粧:田中利男
結髪:妹尾茂子
衣裳:岩逧保
擬斗:三好郁夫
進行主任:武久芳三
主題歌:「女王蜂のフーガ」和田アキ子
協力:大阪 クラブスワン
出演:大原麗子 渡瀬恒彦 三島のり子 夏純子 市地洋子
アメリカンビスタ カラー 87分

大賑わいの大阪万博の会場へカモを求めてやってきたのは、東京からヒッチハイクでたどり着いた神田サチ子、千葉の団体客からどさくさに紛れて弁当を失敬する藤井美奈、そしてその中の老人に身の上話をして同情を引き金をせびり取ろうとする遠山ハツエの三人だった。その夜、ゴーゴー喫茶で踊っていたサチ子はそこにたむろしている地元の女グループに金を掏り盗られたことに気付き、ボスの美奈に返して欲しいと言った。すると彼女は金がないというサチ子にいい男を世話してやるから自分で稼ぎなと言った。その男というのは一帯のシマを仕切る暴力団・戸田組のチンピラ・三郎だった。サチ子をホテルに連れ込むと先に風呂へ入って彼女を待つ三郎だったが、その気がないサチ子は彼の衣服から金を抜き取り、冷蔵庫からビールをバッグに忍ばせて逃げた。それに気づいた三郎は追い掛けようとしたが、隣室から出てきたカップルに見られたことでバツが悪いため部屋に引っ込んだ。そのカップルとはハツエとあの老人だった。

サチ子からもらった斡旋料が三郎から抜き取った金だと知った美奈は慌てた。何故なら彼女のせいでとばっちりを受けるかもしれないからだ。そのことを知っていたサチ子は、私を匿わないと困るんじゃないのと今夜の宿を要求した。困った美奈はスナックジュンのママ・おすみと相談し、客を引いてきたらしばらくここにいていいということになった。

ある日、何かを企む美奈、サチ子、ハツエがスーパーへやってきた。ハツエは二人に目配せするとふたつのパンを万引きし警備員に捕まった。事務所に連れて行かれたハツエは販売主任の山上義夫から取り調べを受け、何でも言うことを聞くという彼女をホテルに連れ込んだのだった。だがそれは悪女たちの作戦で、会社に知られたら大変なことになるわよと強請ったのだ。翌日、事務所に乗り込んだ美奈とサチ子は脅しをかけて大金をせしめたが、その帰りにショッピングモールで三郎と鉢合わせした。タクシーでのカーチェイスになるものの何とか逃げ切ることに成功した。今回の件で味を占め、さらに儲かることはないかと考えていたところ、サチ子がある提案をした。それはバー荒らしだった。万博で大阪が女不足であることを利用し、支度金だけせしめて逃げるというのだ。それを聞いた美奈は大乗り気で早速実行することになったが、最初に狙ったカーネギークラブのママは警戒心が強く、少額しかもらうことが出来なかった。仕方なく次の手段を考えていると、その店の客の中にハツエが半年ほど前に寝たことがある男がいた。その男の正体が金を払わずに逃げた村上産業の社長だとわかると、翌日美奈とサチ子は妊婦の恰好をさせたハツエとともに会社を訪問した。

屋台的映画館

いいかげん馬鹿

  • posted at:2017-08-31
  • written by:砂月(すなつき)
いいかげんばか
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1964年
公開日:1964年4月29日 併映「拝啓総理大臣様」
監督:山田洋次
製作:脇田茂
脚本:山田洋次 熊谷勲 大嶺俊順
撮影:高羽哲夫
美術:浜田辰雄
音楽:池田正義
録音:松本隆司
照明:戸井田康国
編集:浦岡敬一
調音:吉田庄太郎
助監督:熊谷勲
装置:清水勝太郎
渉外事務:池田義徳
進行:峰順一
出演:ハナ肇 岩下志麻 花沢徳衛 犬塚弘 松村達雄
シネマスコープ カラー 86分

昭和十九年、東京の空襲が激しくなり水上弓子は母に連れられて父の郷里である瀬戸内海の春ヶ島という小島に疎開してきた。都会育ちの弓子にとって島の暮らしは全て珍しく、まるで外国にきたような夢のような気持ちだった。そこで会った海野安吉は水神様の石台に捨てられていたところを独り者の源太爺さんが拾って男手ひとつで育てあげた少年で、乱暴者だが彼女にはやさしく接した。ある日、病身の母が心臓麻痺で倒れそのまま帰らぬ人になった。友達もおらずひとりぼっちなった弓子のことを心配した安吉はきれいな貝殻がたくさん落ちている島へ連れて行くことにした。ところが時を忘れて遊ぶうちに係留していたはずの小舟が沖へ流されてしまった。幸い通り掛かった船に助けられたことで大事には至らなかったが、安吉は源太にこっぴどく叱られた。そのことが原因で彼は夜中に舟を漕いで島から逃げ出したのだった。村中が大騒ぎで捜したものの安吉の舟を見つけることは出来なかった。

ふたりが再会したのは、十数年後の弓子が大学の合格通知を受け取った日だった。オリエンタルプロダクションという興業会社の主事として楽団コパカバーナを引き連れて島にやってきた安吉は、村人へのお詫びとして本物のジャズを聞かせたいと村長で網元の海神丸に申し出た。するとその熱意に負けた村長は許可を出したのだった。早速、島中にポスターを貼り始めた安吉だったが、ある家の前にくるといきなり身なりを整え始めた。そこは弓子が住む家だった。久しぶりの再会に緊張する安吉。その時そこへやってきたのは大学合格を祝って魚を持ってきた源太だった。彼は玄関に立っている男が安吉だとわかると何故今まで便りをよこさなかったんだといきなり殴った。すると少年時代の恐怖が蘇り安吉は怯えて逃げ出したのだった。

小学校の講堂で午後六時から始まった演奏会にはたくさんの村人が集まった。ジャズの音楽が流れる中、ステージに登場したのはダンサーのサリー松丘だった。その肌を露出した衣裳に男たちは興奮したが、弓子を始めとする女たちは目を伏せた。そこへ意見したのは、弓子の幼馴染・友子の父親の竜王丸だった。同業者である竜王丸と海神丸は何かにつけていがみ合っており、ストリップまがいのダンスに許可を出して神聖な講堂を汚したことがけしからんというのだ。すると口論に見兼ねた男たちが竜王丸をつまみ出したことで会場はさらにヒートアップした。演奏会の一夜は何とか終わったが、騒動はまだそれだけではなかった。翌朝、旅館に泊まるサリーが別室のバンドマスターを起こしに行くとバックダンサーの娘といちゃついていた。マスターはサリーの夫なのだ。頭に血が上った彼女は厨房から包丁を持ち出すと追い掛け回した。この島で刃傷沙汰が起きたのは明治維新以来だった。

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グッド・ストライプス

  • posted at:2017-08-27
  • written by:砂月(すなつき)
ぐっどすとらいぷす
「グッド・ストライプス」製作委員会(バンダイビジュアル=テンカラット=ファントム・フィルム=アサツー ディ・ケイ)
配給:ファントム・フィルム
製作年:2015年
公開日:2015年5月30日
監督:岨手由貴子
製作:川城和実 小林栄太朗 小西啓介 武田智哉
プロデューサー:西川朝子 狩野直人 佐藤正樹 西ヶ谷寿一
ラインプロデューサー:金森保
脚本:岨手由貴子
撮影:佐々木靖之
照明:後閑健太
録音:高田伸也
美術:安宅紀史 田中直純
スタイリスト:荻野玲子
ヘアメイク:宮本真奈美
助監督:茂木克仁
編集:堀善介
制作担当:田中深雪
音楽:宮内優里
音楽監修:近越文紀
主題歌:「めくるめく僕らの出会い」大橋トリオ
制作プロダクション:キリシマ1945
出演:菊池亜希子 中島歩 臼田あさ美 井端珠里 相楽樹
アメリカンビスタ カラー 119分

自由奔放な文化系女子の緑と、優柔不断なおぼっちゃまの真生。そんな二人が交際を始めて4年が経つが特に進展もなくしらけたムードが漂っており、特にその傾向が強かったのが緑の方だった。8月、真生が仕事でインドに3カ月間出張するときも仲間が開く送別会に顔を出すことはなく、家に誘ってもペットの亀に餌やらなきゃと断られた。10月、生活に慣れないインドのホテルから毎日メールを送っていたが、当初はやる気のない返事が送られてきたものの2カ月も経つとついに連絡が途絶えた。だがある日、突然緑からメールが届いた。そこには彼女が妊娠したことが書かれていた。

11月、真生は緑を病院に連れて行った。そこに彼の母で産婦人科医の里江が勤めるからだ。真生が食堂で時間を潰している間、緑は診察を受けた。診断結果は妊娠5カ月。元々、生理不順だったことと太ったことをあまり気にしていなかったこと、つわりは直前までなくにおいで気持ち悪くなったことでようやく検査薬を使いわかったのだ。何処で出産するかを里江から尋ねられても答えることが出来ず、19週を過ぎると大きな病院に入ることが出来ないこともここで初めて知った。そんな彼女を見兼ねて里江は自分が何とかすると言った。緑が真生に結果を報告すると、彼は「結婚・・・する・・・よね」と聞いた。それを聞いた緑が不思議そうに「うん・・・どうして?」と言うと、真生は「いや・・・一応」とポツリと答えた。

結婚について全く知識のない真生は、友人にどのタイミングで相手の両親に挨拶に行くのかを尋ねた。するとデキ婚なのだからまず医療保険などに加入して将来を考えているというアピールをするべきだというアドバイスを受け、だがその前に自分の父親に連絡する方が先だと言われた。両親は真生が幼いときに離婚し、写真家の父・仁志とは小学校に入学するとき以来会っていなかった。このタイミングを逃したら次は葬式かもしれないと脅しをかけられるとそれもありかなと考えるようになった。

結婚への準備をボチボチと始めることにした二人はまず住居をひとつにすることにした。緑が真生のアパートに引っ越すことになり今の部屋を片付けることにしたが、手伝いに来ていた妹のサクラからある疑問を投げ掛けられた。「ちゃんとお母さんに言った?」。緑は実家で暮らす母からの返事が怖くてまだ結婚のことを報告していなかったのだ。

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