日活
配給:日活
製作年:1972年
公開日:1972年3月18日 併映「学生妻 しのび泣き」
監督:曽根中生
企画:岡田裕
脚本:西田一夫
撮影:小柳深志
美術:松井敏行
録音:神保小四郎
照明:高島正博
編集:辻井正則
音楽:月見里太一
助監督:浅田真男
色彩計測:田中正博
現像:東洋現像所
製作担当者:斉藤英宣
出演:サリー・メイ 武藤周作 山科ゆり 長弘 久松洪介
シネマスコープ カラー 67分
昭和初期の上海。大道芸人の父親の助手を務める万玲は怪我で静養する楊に薬を持って行った際に手籠めにされた。だがそれはお互いが日本人であることを知るきっかけとなった。母親に捨てられた万玲こと屋村万は、物心ついた頃には他人の家で犬猫同然に扱われた。そして家の前で倒れていたところを今の父親に助けられたのだった。そんな彼女を利用しようと考えた楊こと中星竜二は日本の特務機関で働き上海でスパイ活動を行っていると嘘をついた。そしてお万を手に入れるために隻眼の政吉に金を渡し匪賊の仕業ということにして父親を殺させた。母親が住むというまだ見ぬ祖国に憧れるお万だったが、父親のもとを離れる気はなかった。だがその必要がなくなると、帰還命令が出たという竜二とともに日本へ渡る決心をした。
ひと月後、二人は横浜の裏町に住んでいた。仕事が一段落したら母親を捜しに行こうという言葉を信じて待つお万だったが、それは単なる出まかせだった。竜二にはお秋という情婦がおり、お万を売り飛ばした金でゆっくり暮らそうと考えていたのだ。かつて高間組組長の娘を知らずに売り飛ばした彼はほとぼりが冷めるまで上海に身を隠していたのだった。一刻も早く小料理屋を開きたいお秋から促された竜二は女衒の金森と接触し一芝居打つことにした。お万のために堅気の店を持とうと一世一代の大博奕を打ったが、いかさまに引っ掛かり膨大な借金を背負うことになった、と。今日中に返さなければ命で片をつけなければならないと言われたお万は、紹介する店で働けばその店の主人が都合をつけてくれるという金森の言葉を信じて承諾した。騙されて遊郭に売り飛ばされたお万は主人の中沢から「らしゃめん」という源氏名をつけられた。
日本に帰ってきた政吉は高間組の賭場に通っていたが、壺振り役を務めるお秋が竜二の女だと知っていた政吉は彼の居場所を聞き出そうとした。だが口を割ることはなく自力で居場所を探し出した。ところが屋敷の中はもぬけの殻。そのことをお秋に話すと彼女は自分が騙されていたことに気づいたのだった。ある夜、花街を歩いていた政吉はお万の写真が飾られている店を偶然見つけた。賭場荒らしで大金をせしめお万を身請けした政吉は、竜二の口車に乗って彼女の父親を殺したことを白状した。初めから金にするつもりで騙されていたことを知ったお万は、お秋の弟子となって壺振りの修行をした。そして三年後、竜二を捜し出すために賭場回りの旅に出た。
屋台的映画館
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