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エロ将軍と二十一人の愛妾

  • posted at:2017-07-28
  • written by:砂月(すなつき)
えろしょうぐんとにじゅういちにんのあいしょう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1972年
公開日:1972年12月2日 併映「不良番長 骨までしゃぶれ」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
脚本:掛札昌裕 鈴木則文
撮影:わし尾元也
照明:井上孝二
録音:野津裕男
美術:竹川輝夫
音楽:伊部晴美
編集:神田忠男
助監督:藤原敏之
記録:黒川京子
装置:稲田源兵衛
装飾:柴田澄臣
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角義雄
演技事務:西秋節生
衣裳:豊中健
擬斗:三好郁夫
舞踊振付:藤間勘眞次
進行主任:伊藤彰将
出演:池玲子 渡辺やよい 三浦夏子 衣麻遼子 林真一郎
シネマスコープ カラー 92分

安永二年癸巳十月五日、徳川御三卿の一橋刑部卿治済の屋敷で嫡子豊千代が誕生した。古書によれば、太陽が月に隠れる時に生まれた男子は珍しいことや未知のことに対して強い興味を持つのだという。同じ刻限に越後国の貧しい農家でもう一つの生命が誕生した。莖袋(きょうたい)を握りしめて産まれてきた馬喰才助の倅角助は、幼い頃から女に異常なほど興味を示した。そして八歳の時に女陰の何たるかを知り尽くし、それからはその実態を極めようと夜毎日毎精を出した。そんな角助は十五になると出世することを夢見て江戸へ行くことに決めた。その頃、驚くべき多彩な博学を発揮する豊千代は神童と呼ばれ、昼夜を問わないその勉学ぶりは素養のある学者たちも青ざめる程だった。

十代将軍家治隠居により幕府では老中田沼意次と松平定信との間で後継者問題が勃発していた。徳川八百万石の頂点に相応しいのは明晰な頭脳と政治の荒波を乗り切る叡智が必要であるから豊千代以外には考えられないという意次に対し、武の方はどうかと定信は問うた。文武両道である徳丸を推す定信は尾張国が徳川御三家の筆頭で血筋が一橋家よりも上位にあることを主張したが、今の徳川には若々しく新しい必要だと意次はそれを遮って言った。議論が平行線を辿る中、結論は家治の決断で行うことになったが、彼はもはや恍惚の人。意次と結託した家治の愛妾お八重の方が指文字で掌に「とよちよ」と書いたと報告したため強制的に裁可された。そして定信が抗議するうちに家治が事切れたことで真相は闇に葬られた。

学問だけでは将軍職が務まらないと考えた一橋家の御用人嘉門は豊千代を連れて吉原に繰り出し、花魁の揚巻に若君の筆下ろしを頼んだ。ところが事の最中にその相手が若君の正体が次期将軍だとわかると揚巻はとても驚き膣痙攣を起こしたことで抜けなくなったのだ。江戸城への登城が明後日に迫る中、二人の体は三日三晩離れなかった。焦った意次は御用人の岩本内膳正になんとかせよと命じたが、その話を屋根裏で聞いていたのは女鼠小僧こと弁天のお吉だった。二人の前に現れた彼女はある提案を行った。それは豊千代と瓜二つの風貌を持つ角助に繋ぎ役として話をつける代わりに礼金として千両箱一つをよこせというのだ。火急の事態に意次は渋々承知した。角助の性格を知っているお吉がこの役目を無事に終えたら女房になると言うと、彼は二つ返事で了承した。さらに岩本から十一代将軍とともに後宮三千の美女が控える大奥の主となったことを聞くと、天にも昇る気持ちになった。

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幼獣マメシバ 望郷篇

  • posted at:2017-05-27
  • written by:砂月(すなつき)
ようじゅうまめしばぼうきょうへん
「幼獣マメシバ 望郷篇」製作委員会(アミューズメントメディア総合学院=tvk=テレ玉=チバテレ=三重テレビ=KBS京都=サンテレビ=札幌テレビ放送=TVQ九州放送=とちぎテレビ=テレビせとうち=広島ホームテレビ=静岡第一テレビ=群馬テレビ=KKTくまもと県民テレビ=MRO北陸放送=IBC岩手放送=NTTぷらら=BSフジ=アニマルプラネット=スターキャット=KADOKAWA)
配給:AMGエンタテインメント
製作年:2014年
公開日:2014年9月20日
監督:亀井亨
企画:永森裕二
製作総指揮:吉田尚剛
製作:種子島幸 松本嘉雄 石山孝紀 波多美由紀 正木恭彦 江副純夫 五十嵐広美 水江幸司 星野高章 中地務 水内美輝 中村克弘 植松充伸 畠田正次 上野喜伸 川上隆 沼尻孝 立木洋之 ルイ・ボズウェル 古川為茂 松本浩 
プロデューサー:宮田幸太郎 飯塚達介
ラインプロデューサー:稲垣隆治
脚本:永森裕二
撮影:松井宏樹
Bカメラ:高橋航
照明:高坂俊秀
録音:日下部雅也
美術:松塚隆史
衣裳:宮本まさ江
ヘアメイク:金森恵
キャスティング:おおずさわこ
助監督:小野寺昭洋
制作担当:佐藤幹也
音楽:チチクリギターズ
主題歌:「望遠郷」高橋直純
エンディングテーマ:「スブタDEサンバ!~パイナップルを添えて」
アニマルトレーナー:ZOO動物プロ
編集:亀井亨
音響効果:丹愛
制作プロダクション:スタジオブルー
出演:佐藤二朗 高橋洋 竹富聖花 菅原大吉 盛岡冷麺
シネマスコープ カラー 95分

不惑の40歳になった元ニートの中年・芝二郎。半径3キロ以内でしか行動出来なかった彼も、いつしかバスに乗って旅が出来るまでに成長した。そんな二郎がやってきたある島の鯨露村には二年前に転勤になった親戚で郵便配達員の財部洋介が住んでいるが、ある日その彼からの手紙が届いた。二郎を見て犬の扱いに慣れているつもりでいた洋介はマメシバの一郎の弟・三郎を村に連れて行ったのだが、苦戦の毎日を送っていたのだ。そこで犬の扱いはプロフェッショナル級と自負する二郎が立ち上がり村に向かったのだった。ところがバスの乗車料金が全国一律210円だと思い込んでいたことと一郎を無断で乗せていたことで運転手と口論となり、さらにそれを聞いていた行商の老婆があんたを雇うよと二郎に声を掛けて一郎を連れて行ったことでプチパニックに陥った。運転手の話では、その老婆は山野アオイという資産家で行商をしなくても悠悠自適に暮らして行けるのだという。にも拘らず毎日港にきては内地からきた人を物色しているのだとか。犬泥棒の被害に遭ったので追いかけてもいいですかと尋ねると、運転手はしばらく考えて了承した。すると二郎は彼女が置いて行った重い荷物を担いで後を追い掛けた。

アオイは坂の上の神社で荷を解き始め、一束二千円という薬草を加工したものを並べ始めたのだ。その昔一万円でも行列が出来た万能薬だという話を聞いて暴利だと難癖をつけていると、客を呼んできなと言われ二郎は渋々鳥居の下で通行人がやってくるのを待った。だが人っ子ひとりこないため諦めてアオイのもとに戻ると薬草は完売していた。もう解散してもいいですかと二郎は尋ねたが、全ては一郎の手柄であんたは何もしてないじゃないかと小梅は言った。すると巫女の椎名小梅が近づいてきて三郎ちゃんですかと尋ねたが、違うことがわかると落胆した。三郎は幸運を呼ぶ柴犬としてこの島では知らない者がいないほど有名だったが3か月前に突然姿を消したのだ。誰かが盗んだのではないかと話題になり、それが三郎の力を特に必要としている仙道喜三郎ではないかと噂された。その頃から喜三郎は急に羽振りが良くなり、商店街に寄付をすると今度は村長選挙に立候補したからだ。それを聞いたアオイは喜三郎から直接聞き出すことにした。

喜三郎宅を訪ねると出てきたのは犬嫌いで二郎の元同僚の治郎丸聡だった。彼は喜三郎の選挙参謀で、今回の選挙の票集めを任されていた。それがわかるとアオイは今すぐ出馬を止めるように言ってくれと言った。人間、無理してはダメだ。その生き方を全うしてきた彼女は調子に乗ると足を掬われるぞと忠告したが、聡は耳を貸さなかった。

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機動警察パトレイバー2 the Movie

  • posted at:2017-04-30
  • written by:砂月(すなつき)
きどうけいさつぱとれいばーつーざむーびー
バンダイビジュアル=東北新社
配給:松竹
製作年:1993年
公開日:1993年8月7日
監督:押井守
エグゼクティブ・プロデューサー:山科誠 植村徹
プロデューサー:鵜之沢伸 濱渡剛 石川光久
原作:ヘッドギア
脚本:伊藤和典
キャラクターデザイン:高田明美 ゆうきまさみ
メカニックデザイン:出渕裕 河森正治 カトキハジメ
演出:西久保利彦
作画:黄瀬和哉
撮影:高橋明彦
美術:小倉宏昌
色彩設計:遊佐久美子
レイアウト:渡部隆 今敏 竹内敦志 水村良男 荒川真嗣
音楽:川井憲次
録音:浅梨なおこ
編集:掛須秀一
声の出演:冨永みーな 古川登志夫 大林隆之介 榊原良子 池水通洋
アメリカンビスタ カラー 113分

1999年、PKO部隊として東南アジアの某国に派遣されている陸上自衛隊レイバー小隊は、巡回後に現地の反政府部隊と接触した。交戦の意思がないことを示しての撤退を試みたが、三機の97式改のうち一機が地雷原で走行装置を破損したことで足止めを食ったのだ。そこに現れた戦闘車両が攻撃準備を進めていたことから指揮官の柘植行人は発砲の許可を申し出たが、本部の返事は「援軍が来るまで待機せよ」。その後、一方的に攻撃を受けて小隊は壊滅した。降り続く雨の中、命拾いをして残骸から抜け出した柘植は何処かへ姿を消した。

2002年、篠原重工八王子工場では警視庁警備部特車二課所属の警察用汎用人型作業機械(レイバー)に搭載される新視覚システムのテストが行われていた。それは従来の有視界に頼った操縦による動きを、より人間の動作や感覚に近いものにするためのものだった。テストパイロットに選ばれたのは特車二課から装備開発課へ転属となり篠原重工への出向を命じられた泉野明巡査で、篠原重工の御曹司でありながら野明と同じく出向扱いとなっている篠原遊馬巡査が調整室からサポートを行った。彼女が選ばれた理由は98式AV(イングラム)を長い期間担当していたからだったが、テスト用のレイバー2式(ヴァリアント)には機械との感覚の共有が実現した瞬間の高揚が感じられず愛着を持てなかった。その結果、集中力を保てないことで思うような成績を残すことが出来なかった。

横浜で行われた警備部主催の連絡会議で講演を行った南雲しのぶは夕方の帰宅ラッシュに捕まっていた。その日のテーマは最近のレイバー犯罪の傾向で、首都圏湾岸開発計画「バビロンプロジェクト」完成後、関東に集中していたレイバーが地方に拡散したことでレイバー犯罪やトラブルもそれに比例していた。そのことから大阪府警、神奈川県警で昨年レイバー隊を新設、さらに愛知県警、宮城県警、千葉県警の交通機動隊でも設置の検討が行われていた。しのぶが所属する特車二課は本年度中に改編されることになっており、階級が警部補から警部に昇進したことと、小隊長を兼務しながらの課長代理ということで多忙の日々を送っていた。その日から第一小隊が待機任務となっていたが、改編でレイバーと離れた生活がくるのかもしれないとぼんやり考えていたのだった。横羽線に乗ったところで定時連絡を行ったところ、案の定渋滞に捕まった。するとしばらくして後方からサイレンの音が聞こえた。車列を跨いで通り過ぎる「ロードランナー」に交信を呼び掛けたところ、ベイブリッジ上に爆弾を仕掛けた車両が放置されていることがわかった。待つしかない。ゆっくりと流れる時間。すると突然轟音が鳴り響き静寂を破った。

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アルゼンチンババア

  • posted at:2017-02-13
  • written by:砂月(すなつき)
あるぜんちんばばあ
「アルゼンチンババア」製作委員会(バップ=双日=Yahoo!JAPAN=トムス・エンタテインメント=TOKYO FM=読売広告社=OLM=WOWOW=読売新聞東京本社)
配給:松竹=キネティック
製作年:2006年
公開日:2007年3月24日
監督:長尾直樹
製作総指揮:平井文宏
制作:篠崎安雄 内山伸一 日下孝明 喜多埜裕明 古賀督徳 武内英人 柳田和久 奥野敏聡 廣瀬敏雄 大月曻
エグゼクティブプロデューサー:大島満 松江正俊 松尾宗俊 宮坂学 松元理人 古川一博 雲出幸治 三宅川敬輔 那須野哲弥 戸島雅彦 飯泉宏之
プロデューサー:岡本東郎 滝田和人 和田倉和利
ラインプロデューサー:鶴賀谷公彦
原作:よしもとばなな
絵:奈良美智
脚本:長尾直樹
脚本協力:金子ありさ
音楽:周防義和
撮影:松島孝助
美術:池谷仙克
照明:石田健司
録音:橋本泰夫
編集:高橋幸一
キャスティング:吉川威史
スケジューラー:大野伸
装飾:田辺丈二
スタイリスト:下田眞知子 櫻井まさえ
ヘア・メイク:田中マリ子
VFXスーパーバイザー:石井教雄
音楽プロデューサー:武田秀二
音響効果:伊藤進一
スクリプター:目黒亜希子
助監督:志賀研介
制作担当:松村龍一
出演:役所広司 堀北真希 森下愛子 手塚理美 岸部一徳
アメリカンビスタ カラー 112分

小学生の涌井みつこが住んでいる町の隅っこに、みんなが「アルゼンチンの遺跡」と呼んでいる古いビルがあった。そこに住んでいたのはアルゼンチンからやってきたちょっと変わった女性で、昔はこの場所でタンゴやスペイン語を教えていた。だがそれを止めてからは頭がおかしくなって変な宗教をやっているとか、呪文で猫を集めては皮を剥いで売っているとか、彼女に関する様々な噂話が飛び交っていた。町の人々はそんな彼女のことを「アルゼンチンババア」と呼んでいた。

十年後、高校生になったみつこはとても大変な事態に直面していた。学校から帰った彼女は病気の母・良子を父・悟と見舞うことになっていたが、何故かその日に限って彼は行くのを避けたのだ。最愛の良子が入院して以来、一日も欠かさずに通っていたのに。不思議に思いながらひとりで母の病室へ行くと、良子は穏やかな顔のままベッドで意識を失っていた。異変に気付いた看護師の連絡を受けた医師が治療を行うことになり、邪魔になるみつこは病室から追い出された。廊下の彼女は自宅に電話を掛けたが、悟は出ようとしなかった。治療の甲斐なく良子は息を引き取り、母を失ったみつこは悲しみに暮れた。その頃、悟は姿を消していた。

悟が突然いなくなったことで母の葬式の手配などはみつこが行わなければならなかった。心も体も疲れ果てた彼女が寿司桶を乗せた自転車を押しながら夜道を歩いていると「回生堂治療院」という看板がふと目に留まった。店内に客はおらず、いたのは見習いの向井守ひとり。閉店しようとした矢先にやってきたみつこに僕でよければと守がいうと、彼女は小さく頷いた。寿司桶に気付いた守が何か集まりでもあるんですかと尋ねると、みつこは母の誕生日ですと嘘をついた。それを聞いた守はお祝いの言葉を言うと、お母さんの誕生日ということはあなたの誕生日でもあるわけですねと言った。そして不思議そうな顔をするみつこに構わず、守はお母さんが生まれなければあなたも生まれなかったわけですからと言った。その言葉に彼女の涙は止まらなくなった。

心の拠り所を見つけたみつこは回生堂で受付のアルバイトを始め、学校が終わると真っ先に駆けつけた。半年が経った頃、いつもの様に電話を取ると、悟と親しいうなぎ料理・白井屋の主人・白井順三からだった。ついに悟が見つかったという。だがその場所はアルゼンチンババアが住むアルゼンチンの遺跡だった。

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アブダクティ

  • posted at:2016-10-08
  • written by:砂月(すなつき)
あぶだくてぃ
ティー・オーエンタテインメント
配給:TOブックス
製作年:2013年
公開日:2013年10月12日
監督:山口雄大
プロデューサー:林哲次 扶川愛美
脚本:牧野圭祐
撮影:岡雅一
照明:緑川雅範
美術:福田宣
音楽:森野宣彦
録音:西條博介
出演:温水洋一 麻亜里 正木佐和 長島すみれ 播田美保
アメリカンビスタ カラー 95分

息苦しさと体に伝わってくる振動で目覚めた千葉厚志は、頭にビニール袋が被せられていることがわかると死の恐怖が襲い、急いで剥ぎ取ろうとした。だが出足が縛られて身動きが取れなかったことから、必死に歯で食いちぎり呼吸が出来る穴を確保した。少し落ち着き辺りをゆっくりと見回すと、そこは照明が点いたコンテナの中だった。そして何者かによって拉致されたことを思い出しトラックで何処かに運ばれていることがわかると彼は心細くなって助けてくださいと何度も叫んだ。そのとき傍らにある携帯電話の着信音が聞こえたため通話ボタンを唇で押そうとしたが、何度やってもだめだった。その横に落ちていたクリップペンシルに気付いた彼はそれを口に銜えてもう一度挑戦するとようやく相手と話をすることが出来た。「出るのが遅いやないけ!」。電話口の向こうにいたのは厚志が500万円の借金をしているスマイル金融の社員だった。彼は来月まで待ってください、必ず払いますからここから出してくださいと懇願したが、社員はいつもの口上だろうと怒鳴った。するとトラックはトンネルに入ったらしく、ディスプレイには圏外と表示された。電話が途切れたことで落胆した厚志だったが、コンテナの隅に自分のバッグがあることに気付くと後ろ手で中をまさぐった。だがロープを切るために必要な目ぼしい物は何もなく、その代わりに覚えのない鉱石の塊が出てきた。角が尖っている形状をしていることから何とかそれでロープを切ることが出来るのではないかと考えた厚志は何度も擦り続けた。すると再びスマイル金融から着信音が鳴ったため作業を止めて電話に飛びついた。何故突然切ったのかと怒鳴る男と話すうちに拉致したのが彼らではないことわかると、厚志は今の状況を説明した。だが信じてもらえず、帰ってこなかったら勝手に家の中に入ると男は言い残して電話を切った。

こんなときに頼りになるのは警察だと考えた厚志は早速110番に電話した。日雇いの警備員として名古屋市内にある派遣先の工事現場に行く途中で拉致されたことを説明し、ここは何処かと尋ねた。今いる場所は福岡だという。そして動揺する彼に追い打ちを掛けるように警官は言った。「これはイタズラ電話ですね」。同じような通報がいくつもあるというのだ。再び圏外に入ったことで通話が途切れると、何とかしなければならないという考えが頭の中を巡り手首のロープを切ることだけに専念した。そしてようやく腕の自由を取り戻すと足首のロープを取り去り、頭の袋を脱ぎ捨てた。痛む手首を擦り右腕の袖をまくり上げると何故かそこには「32D」という刻印がされていた。そのときコンテナを大きな揺れが襲い、トラックのエンジンが止まる音が聞こえた。続いて足音が聞こえたため助けを求めたが、コンテナを叩く音は虚しく響くだけだった。

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