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ひとり狼

  • posted at:2017-10-27
  • written by:砂月(すなつき)
ひとりおおかみ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1968年
公開日:1968年4月20日 併映「怪談雪女郎」
監督:池広一夫
制作:三浦信夫
企画:辻久一
原作:村上元三
脚本:直居欽哉
撮影:今井ひろし
録音:林土太郎
照明:山下礼二郎
美術:太田誠一
音楽:渡辺岳夫
編集:菅沼完二
擬斗:宮内昌平
助監督:溝口勝美
制作主任:村井昭彦
主題歌:大映レコード
歌:ウイリー沖山
現像:東京現像所
出演:市川雷蔵 長門勇 小川真由美 岩崎加根子 長谷川明男
シネマスコープ カラー 83分

上松の孫八は自分の人生において多大な影響を受けた人物を回想していた。その男は追分の伊三蔵という筋金入りのやくざ者で、人斬りという通名の方が合っていた。一つ場所に三日といたことがなく、兇状を重ねていつも誰かに狙われている覚悟が体に沁み渡っていた。親分なしの子分なし、誰もそばへ寄せ付けずまさに一匹狼そのままの男だった。孫八が伊三蔵と最初に会ったのは雪が舞う信州塩尻峠でのことだった。用心棒多賀忠三郎と二人のやくざに囲まれ今まさに斬り合いが始まろうとする場面に出くわした孫八は助太刀を申し出たが、伊三蔵はそれを断ると一瞬のうちに三人を斬り捨てたのだ。そして早く行かないと巻き添えを食うぞと孫八に伝えると歩を進めたのだった。

翌年の冬が終わる頃、上州へやってきた孫八に駆け出しの半次が相乗り仁義を申し出た。面倒見のいい孫八は坂本宿の与左衛門を訪ねて一緒に草鞋を脱ぐことにしたのだが、そこで伊三蔵と再会した。出入の際には伊三蔵が手を貸した方が勝つと決まっていることから何処の貸元も彼を助っ人に頼んだ。理由はそればかりでなく博打も神業の手並みであることから重宝された。百姓暮らしが嫌になって任侠の世界に足を踏み入れたものの右も左もわからない半次にとって所作の正さや博打場での礼儀など完璧な伊三蔵は憧れの存在だった。一日も早く一旗揚げたいと考えていた彼は寝入った伊三蔵の命を絶とうとしたが、浅はかな行動は見透かされていた。暗闇に響く鍔音に「恨みのないお前だとわかっているから良いようなものの、さもなければこのドスがお前の首根っこに食い込んでいただろうぜ」と伊三蔵は言った。それを聞いた半次は腰を抜かして詫びたのだった。

明くる年の春、三州平井を縄張りにする雲風の亀吉親分が先代の法要を営んだ。孫八は病中の甚平親分の代理で線香を供えに訪れたのだが、後で開かれた花会の席で伊三蔵を三度見かけた。何としてでも兄弟分になりたい孫八は、伊三蔵が小料理屋に入ると彼も偶然の体で酒と肴を頼み遠くから様子を窺った。そして訳ありの酌婦と何やら話し始めると席を立ち、隣に座ると一杯行こうと自分の酒を注ごうとした。だが俺は一人勝手だから奢られるのは好かないと伊三蔵は断ったのだった。それを見たお沢は友達になる気だったら止めた方がいいと忠告した。彼女は伊三蔵のかつての女で、捨てられたことを根に持っていたのだ。お沢が愚痴を始めると伊三蔵は銭を置き付き合ってくれと孫八に言った。店から出て行こうとする伊三蔵を呼び止めたのは、塩尻峠で不具にされた忠三郎の年来の朋友だという侍の斉藤逸馬だった。

屋台的映画館
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アルゼンチンババア

  • posted at:2017-02-13
  • written by:砂月(すなつき)
あるぜんちんばばあ
「アルゼンチンババア」製作委員会(バップ=双日=Yahoo!JAPAN=トムス・エンタテインメント=TOKYO FM=読売広告社=OLM=WOWOW=読売新聞東京本社)
配給:松竹=キネティック
製作年:2006年
公開日:2007年3月24日
監督:長尾直樹
製作総指揮:平井文宏
制作:篠崎安雄 内山伸一 日下孝明 喜多埜裕明 古賀督徳 武内英人 柳田和久 奥野敏聡 廣瀬敏雄 大月曻
エグゼクティブプロデューサー:大島満 松江正俊 松尾宗俊 宮坂学 松元理人 古川一博 雲出幸治 三宅川敬輔 那須野哲弥 戸島雅彦 飯泉宏之
プロデューサー:岡本東郎 滝田和人 和田倉和利
ラインプロデューサー:鶴賀谷公彦
原作:よしもとばなな
絵:奈良美智
脚本:長尾直樹
脚本協力:金子ありさ
音楽:周防義和
撮影:松島孝助
美術:池谷仙克
照明:石田健司
録音:橋本泰夫
編集:高橋幸一
キャスティング:吉川威史
スケジューラー:大野伸
装飾:田辺丈二
スタイリスト:下田眞知子 櫻井まさえ
ヘア・メイク:田中マリ子
VFXスーパーバイザー:石井教雄
音楽プロデューサー:武田秀二
音響効果:伊藤進一
スクリプター:目黒亜希子
助監督:志賀研介
制作担当:松村龍一
出演:役所広司 堀北真希 森下愛子 手塚理美 岸部一徳
アメリカンビスタ カラー 112分

小学生の涌井みつこが住んでいる町の隅っこに、みんなが「アルゼンチンの遺跡」と呼んでいる古いビルがあった。そこに住んでいたのはアルゼンチンからやってきたちょっと変わった女性で、昔はこの場所でタンゴやスペイン語を教えていた。だがそれを止めてからは頭がおかしくなって変な宗教をやっているとか、呪文で猫を集めては皮を剥いで売っているとか、彼女に関する様々な噂話が飛び交っていた。町の人々はそんな彼女のことを「アルゼンチンババア」と呼んでいた。

十年後、高校生になったみつこはとても大変な事態に直面していた。学校から帰った彼女は病気の母・良子を父・悟と見舞うことになっていたが、何故かその日に限って彼は行くのを避けたのだ。最愛の良子が入院して以来、一日も欠かさずに通っていたのに。不思議に思いながらひとりで母の病室へ行くと、良子は穏やかな顔のままベッドで意識を失っていた。異変に気付いた看護師の連絡を受けた医師が治療を行うことになり、邪魔になるみつこは病室から追い出された。廊下の彼女は自宅に電話を掛けたが、悟は出ようとしなかった。治療の甲斐なく良子は息を引き取り、母を失ったみつこは悲しみに暮れた。その頃、悟は姿を消していた。

悟が突然いなくなったことで母の葬式の手配などはみつこが行わなければならなかった。心も体も疲れ果てた彼女が寿司桶を乗せた自転車を押しながら夜道を歩いていると「回生堂治療院」という看板がふと目に留まった。店内に客はおらず、いたのは見習いの向井守ひとり。閉店しようとした矢先にやってきたみつこに僕でよければと守がいうと、彼女は小さく頷いた。寿司桶に気付いた守が何か集まりでもあるんですかと尋ねると、みつこは母の誕生日ですと嘘をついた。それを聞いた守はお祝いの言葉を言うと、お母さんの誕生日ということはあなたの誕生日でもあるわけですねと言った。そして不思議そうな顔をするみつこに構わず、守はお母さんが生まれなければあなたも生まれなかったわけですからと言った。その言葉に彼女の涙は止まらなくなった。

心の拠り所を見つけたみつこは回生堂で受付のアルバイトを始め、学校が終わると真っ先に駆けつけた。半年が経った頃、いつもの様に電話を取ると、悟と親しいうなぎ料理・白井屋の主人・白井順三からだった。ついに悟が見つかったという。だがその場所はアルゼンチンババアが住むアルゼンチンの遺跡だった。

屋台的映画館

アブダクティ

  • posted at:2016-10-08
  • written by:砂月(すなつき)
あぶだくてぃ
ティー・オーエンタテインメント
配給:TOブックス
製作年:2013年
公開日:2013年10月12日
監督:山口雄大
プロデューサー:林哲次 扶川愛美
脚本:牧野圭祐
撮影:岡雅一
照明:緑川雅範
美術:福田宣
音楽:森野宣彦
録音:西條博介
出演:温水洋一 麻亜里 正木佐和 長島すみれ 播田美保
アメリカンビスタ カラー 95分

息苦しさと体に伝わってくる振動で目覚めた千葉厚志は、頭にビニール袋が被せられていることがわかると死の恐怖が襲い、急いで剥ぎ取ろうとした。だが出足が縛られて身動きが取れなかったことから、必死に歯で食いちぎり呼吸が出来る穴を確保した。少し落ち着き辺りをゆっくりと見回すと、そこは照明が点いたコンテナの中だった。そして何者かによって拉致されたことを思い出しトラックで何処かに運ばれていることがわかると彼は心細くなって助けてくださいと何度も叫んだ。そのとき傍らにある携帯電話の着信音が聞こえたため通話ボタンを唇で押そうとしたが、何度やってもだめだった。その横に落ちていたクリップペンシルに気付いた彼はそれを口に銜えてもう一度挑戦するとようやく相手と話をすることが出来た。「出るのが遅いやないけ!」。電話口の向こうにいたのは厚志が500万円の借金をしているスマイル金融の社員だった。彼は来月まで待ってください、必ず払いますからここから出してくださいと懇願したが、社員はいつもの口上だろうと怒鳴った。するとトラックはトンネルに入ったらしく、ディスプレイには圏外と表示された。電話が途切れたことで落胆した厚志だったが、コンテナの隅に自分のバッグがあることに気付くと後ろ手で中をまさぐった。だがロープを切るために必要な目ぼしい物は何もなく、その代わりに覚えのない鉱石の塊が出てきた。角が尖っている形状をしていることから何とかそれでロープを切ることが出来るのではないかと考えた厚志は何度も擦り続けた。すると再びスマイル金融から着信音が鳴ったため作業を止めて電話に飛びついた。何故突然切ったのかと怒鳴る男と話すうちに拉致したのが彼らではないことわかると、厚志は今の状況を説明した。だが信じてもらえず、帰ってこなかったら勝手に家の中に入ると男は言い残して電話を切った。

こんなときに頼りになるのは警察だと考えた厚志は早速110番に電話した。日雇いの警備員として名古屋市内にある派遣先の工事現場に行く途中で拉致されたことを説明し、ここは何処かと尋ねた。今いる場所は福岡だという。そして動揺する彼に追い打ちを掛けるように警官は言った。「これはイタズラ電話ですね」。同じような通報がいくつもあるというのだ。再び圏外に入ったことで通話が途切れると、何とかしなければならないという考えが頭の中を巡り手首のロープを切ることだけに専念した。そしてようやく腕の自由を取り戻すと足首のロープを取り去り、頭の袋を脱ぎ捨てた。痛む手首を擦り右腕の袖をまくり上げると何故かそこには「32D」という刻印がされていた。そのときコンテナを大きな揺れが襲い、トラックのエンジンが止まる音が聞こえた。続いて足音が聞こえたため助けを求めたが、コンテナを叩く音は虚しく響くだけだった。

屋台的映画館

嗚呼!!花の応援団(1976年)

  • posted at:2015-06-16
  • written by:砂月(すなつき)
ああはなのおうえんだん
日活映画
配給:日活
製作年:1976年
公開日:1976年8月21日 併映「四畳半青春硝子張り」
監督:曽根中生
プロデューサー:三浦朗
原作:どおくまんプロ
脚本:田中陽造
撮影:山崎善弘
照明:松下文雄
録音:橋本文雄
美術:柳生一夫
編集:山田真司
助監督:山口友三
色彩計測:鈴木耕一
現像:東洋現像所
製作担当者:天野勝正
音楽:コスモス・ファクトリー
主題歌:「嗚呼花の応援団」異邦人
・・・:「南河内大学節」異邦人
挿入歌:「南河内大学校歌」南河内大学応援団
南河内大学応援技術指導:日本大学応援団
大阪城応援協力:大阪経済法科大学応援団 大阪経済大学応援団
撮影協力:高瀬道場 大阪経済法科大学
技斗:高瀬将敏
出演:今井均 宮下順子 香田修 深見博 伊佐山ひろ子
アメリカンビスタ カラー 99分

河川敷で応援団旗を虫干ししながら昼寝している南河内大学応援団親衛隊の富山一美と北口良一。一回生の彼らは応援団に入る気など更々なかったが、入学当日に副団長の下村薫らから強引に迫られいつの間にか入団していたのだ。一回生をゴミ、二回生を奴隷、三回生になると人間、そして四回生を神様と呼ぶ南河大応援団。だがその四回生をも恐れさせているのが、親衛隊隊長で三回生の青田赤道だった。顔に大きな傷を持ち常にキセルを銜えている凶暴な性格の彼は、上がらずの団旗と呼ばれる重量級の団旗を軽々と持ち上げるほどの怪力の持ち主だが、意外にも下級生の面倒見がいいことで彼らに慕われていた。ある日、団員が相手に重傷を負わせたということで、浪華大が殴り込みに来ることが分かった。団長の木村光太郎は下村の他に統制部長の小川、リーダー長の柏原を集めて作戦会議を行ったが、最強の浪華大とケンカできるような甲斐性者はいないという結論に至った。一人を除いて。今日か明日にも来るという噂があったため、木村は団員を集めると青田を捜し出してここに連れて来いと命じた。そしてミナミの地理に詳しくない富山と北口には奇襲に備えるために裏門を見張れと命じた。その夜、一台の車が門の前に停まり、学ラン姿の大男が降り立った。男は富山たちに、君たちいい面構えしとるのぉとしゃべりかけると日本刀を抜いた。

北口は逃げるようにしてその場を離れると、部室に報告に向かった。相手が一人だとわかり幹部たちは高笑い。ワイが先頭切ったると木村は余裕を見せたが、日本刀を持っていることがわかると急遽変更だと叫び、骨は我々が拾ってやるから一回生と二回生は突撃せよと命令した。大勢で裏門に向かうと、へたり込む富山が正気を取り戻し男が便所へ行ったと説明した。おっかなびっくりとそこへ行った木村たちは出て来さらせと怒鳴った。すると個室からじゃかあしぃと怒声が飛んだ。「チョンワチョンワ」と聞き慣れた声。サングラスとカラスマスクで顔を隠した大男の正体は青田だった。彼はケンカは先手を取った方が勝ちに決まっているのに何故仕掛けないのかと木村に問うた。そして富山と北口にワシと一緒に来たれやと言った。二人は襟を正したが、殴り込みに行くと聞いてうなだれた。景気づけにウィスキーをあおりながら運転する青田の車の天井には丸太が括り付けられていた。その車が空の部室の壁をぶち抜いた頃、南河大に浪華大の応援団がなだれ込んでいた。木村たちは足腰が立たなくなるまで徹底的に痛めつけられた。

騒動の翌日、無傷の富山と北口がいつものように河川敷で応援団旗の虫干ししていると、草むらの向こうから女性の喘ぎ声が聞こえた。声の主は、青田に処女を奪われた婦人警官の今田幾代で、相手がその青田だとわかると退散した。触らぬ神に祟りなし。ところが彼らが目を離した隙に、土手を通過したトラックから捨てられたタバコが団旗を焦がしていたのだ。慌てて消したがあとの祭り。団旗には大きな穴が開いてしまった。死を覚悟して二人がうろたえていると、事を済ませた青田がやってきて今日もいい天気だと昼寝を始めた。キセルを吹かしながら眠る器用な姿に感心していた富山は、北口にある提案をした。

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