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ある殺し屋の鍵

  • posted at:2018-05-02
  • written by:砂月(すなつき)
あるころしやのかぎ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1967年
公開日:1967年12月2日 併映「残侠の盃」
監督:森一生
企画:藤井浩明
原作:藤原審爾
構成:増村保造
脚本:小滝光郎
撮影:宮川一夫
録音:海原幸夫
照明:中岡源権
美術:太田誠一
音楽:鏑木創
編集:谷口登司夫
擬斗:楠本栄一
助監督:大洲斉
制作主任:小沢宏
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 西村晃 佐藤友美 山形勲 中谷一郎
シネマスコープ カラー 79分

ある花街の奥路地に屋敷を構える日本舞踊・藤川流の師匠の藤川寿一郎こと新田。その端整な顔立ちから彼を慕うものは多く、女弟子で芸者の秀子もその中の一人だったが、新田は努めて謹厳な態度を崩そうとはしなかった。ある日、そんな彼に仕事の依頼が舞い込んできた。その内容は「殺し」だった。新田は日舞の他にその道でも超一流の腕前を持っていたのだ。依頼主は石野組組長で新田と連絡を取ったのは舎弟の荒木だった。標的は朝倉という高利貸で、100億を超える脱税をして世間を騒がせている男だった。新田が簡単に了承しないと聞いていた荒木は、カタギの人々は泣きの涙で税金を納めている人が多く中には首をくくる人だっているという話で情に訴えかけた。そしてそんな悪党をのさばらせておく手はないと一押しすると新田はしばらく考え込み、いくら出すかと切り出した。小さな笑みを浮かべた荒木が謝礼として1500万円出すと言うと新田は心を決めた。

世間では東日道路公団の用地買収にかかわる政財界の不正事件が露見し、その発端となったのが金融王・朝倉による証言だった。彼は130億円にも上る脱税のもみ消しを経済界会長の北城から断られたことを逆恨みし、その証拠となる「秘密メモ」を公表するという噂が流れたのだ。そうなれば要職につく人物の名前が浮かび上がり、下手をすれば北城にもたどり着く可能性があった。そこで彼は遠藤建設社長を呼び出すと4000万円を渡し、わかっていることは朝倉が私にとって邪魔だということだと言った。4000万円を持ち帰った遠藤は石野を呼び出すと筋書きを話した。すると石野は3000万円で了承し、いざという場合を考えて始末のときに都合の良い男を選び出すと約束した。遠藤は荒木を応接室に呼び出すと手付として1000万円、仕事後にもう1000万円渡すと言った。荒木は快く引き受け、万が一ドジを踏むようなことがあっても組長の顔を潰すようなことは絶対しないと約束した。このような仕事に打ってつけな人物として荒木が依頼したのが仲間の草薙と懇意にしている新田だった。

朝倉は仮保釈中で刑事に取り囲まれながらホテル住まいをしていた。荒木からその情報を得た新田は生活する様子を写真に収め遠藤に提出した。そして手付金の1000万円を受け取ると仕事後の謝礼に1000万円を要求した。同席する荒木は不快な顔をしたが、遠藤はその条件を飲んだ。それから数日後、新田は荒木が運転する車をホテルから少し離れた場所に停めさせると単身で乗り込んで行った。そして客として水着でプールサイドに近づくと辺りを見回し、プールで泳ぐ朝倉と彼を見張る警官の位置を確認した。しばらくして泳ぎ始めると秀子とばったり会った。朝倉は秀子のパトロンだったのだ。秀子はプールサイドでしきりに話し掛けてきたが新田は浪費する時間に焦りを感じていた。余計な邪魔が入り計画は水泡に帰すかと思われたが、奥にいた若者たちがはしゃぎ始めそれを見て秀子も泳ぎましょうよとプールへ入った。それを機に水中へ潜った新田はプールの中央でくつろぐ朝倉のゴムボートへ向かうと周囲に悟られぬ間に仕事を終えた。そして素早く着替えを済ませると車に急いだが荒木の姿はなかった。パトカーのサイレンが聞こえたことで長居は無用とエンジンを掛けたが、その車のブレーキには細工が施されていたのだ。停まることを知らない車はガードレールを突き破り谷底へ消えて行った。

屋台的映画館
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ある殺し屋

  • posted at:2018-04-15
  • written by:砂月(すなつき)
あるころしや
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1967年
公開日:1967年4月29日 併映「にせ刑事」
監督:森一生
企画:藤井浩明
原作:藤原審爾
脚本:増村保造 石松愛弘
撮影:宮川一夫
録音:林土太郎
照明:美間博
美術:太田誠一
音楽:鏑木創
編集:谷口登司夫
擬斗:楠本栄一
助監督:大洲斉
制作主任:村井昭彦
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 野川由美子 成田三樹夫 小池朝雄 渚まゆみ
シネマスコープ カラー 82分

駅を出てきたサラリーマン風の男はタクシーを拾うと運転手に埋立地へ向かうように言った。彼が降り立ったのは何もない只だだっ広い場所で、海の方へ歩くと小さな小屋があった。中には誰もおらず物置のようになった室内をひと通り見回すとドアを閉めた。それから町の方へ歩いて行くと墓地を抜けた先に晴海荘という古びたアパートを見つけた。二階の窓から辺りが一望出来、隣室の船員は日本に不在であることと他の部屋に借主がいないことを確認すると大家に契約を申し出た。老婆の足音が遠ざかるとバッグから黒い包みを取り出し、それを畳に広げると二丁の拳銃が姿を現した。男の名は塩沢。裏の職業は殺し屋。それからしばらくして土砂降りの雨の中を訪ねてきたのは圭子という女だった。彼女は部屋に入るなり窓を開け、仕事に差し支えないかしらと聞くと、塩沢はかえって好都合かもしれないと静かに答えた。

圭子との出会いは些細なことだった。小料理屋「菊の家」の店主で板前の塩沢は、食堂で無銭飲食の代金を体で払おうとする圭子の分まで支払った。その際、財布の中身を見て驚いた圭子は何とか関係を持とうとしてお礼をさせて欲しいと近づいた。だがけんもほろろの扱いを受けたため、偶然通り掛かった彼女のヒモの賢次に助けを求めたのだ。賢次は俺の女房に何するんだと脅して金をせしめようとしたのだが相手にされなかったためナイフを抜くと、塩沢は彼の腕を取って肩を外したのだった。その鮮やかな身のこなしと力強さに惚れ込んだ圭子は痛がる賢次を見捨てて追い掛けたが、これ以上の付き合いは御免だねと言われショックを受けた。だがそれでもめげない彼女は塩沢の後を追い、ついに菊の家まで押し掛けたのだった。中に入ると店は準備中で女中のみどりが掃除をしていたことから、圭子は彼女に近づき塩沢のことを根掘り葉掘り聞き出そうとした。そして彼が独身だとわかると図々しく部屋に上がり込み、同情を引いて働かせて欲しいと頭を下げたのだった。様子を見るために接客させると思った以上に客受けが良かったが、それに嫉妬したのはみどりだった。彼女は圭子が大きな顔をして店を仕切り始めたことで居場所を無くし出て行った。

塩沢が仕事を引き受けるきっかけとなったのは、木村組身内の前田という男と会ったことだった。前田は社長の命令で金に物を言わせて仕事を片っ端から横取りする仁義なき同業の大和田をつけ狙ったが、全く隙を見せなかったため仕方なく塩沢にすがることにしたのだ。だが塩沢にとってやくざの組織がどうなろうと知ったことではなかった。それを理由に断ると、今度は社長直々に会いにきたのだ。話を聞くうちに祖国のためと信じて若くして散った航空隊の同期の仲間のことを思い出し、一方で悪徳の塊のような男がのうのうと生き続けていることに怒りが込み上げてきたのだった。塩沢は仕事を引き受ける条件として二千万円を要求した。

屋台的映画館

あしたのジョー2

  • posted at:2017-12-10
  • written by:砂月(すなつき)
あしたのじょーつー
三協映画=ヘラルドエンタープライズ=富士映画=ちば企画
配給:ヘラルドエンタープライズ=富士映画
製作年:1981年
公開日:1981年7月18日
監督:出崎統
制作総指揮:梶原一騎
制作:川野泰彦
プロデューサー:島田十九八
原作:高森朝雄 ちばてつや
脚本:出崎統
作画監督:杉野昭夫
音楽監督:荒木一郎
主題歌:「あしたのジョー2のテーマ 明日への叫び」ジョー山中
・・・:「青春の終章(ピリオド) JOE・・・FOREVER」ジョー山中
美術:小林七郎
撮影:高橋宏固
録音:瀬川徹夫
編集:鶴渕允寿
選曲:太田正一
効果:帆苅幸雄
助監督:竹内啓雄
監修:ちばてつや
制作協力:東京ムービー新社
声の出演:あおい輝彦 藤岡重慶 檀ふみ 岡田真澄 細川俊之
アメリカンビスタ カラー 110分

日本中に衝撃が走ったバンタム級ボクサー・力石徹の死から一年。あの壮絶な試合を行った同じ会場に追悼の10カウントゴングが鳴り響いた。白木財閥の創始者で白木ボクシングジムの名誉会長・白木幹之介は、力石の対戦相手だった矢吹丈(ジョー)が会場にきているのではないかとその姿を目で捜したが、孫娘の葉子はいるはずがないと思っていた。何故ならジョーは力石が死んだ一因が自分にあると思い詰めて消息不明になっていたからだ。だがその数日後、泪橋の下にある丹下拳闘クラブではコーチの丹下段平と門下生のマンモス西が驚きの声を挙げていた。早朝の薄暗いジムに明るい笑顔のジョーがいたからだ。その情報は瞬く間にドヤ街に広がり大騒ぎになった。ジョーが次に向かった先は力石が眠る墓だった。もう減量をする必要はないのだからたっぷり飲めよとミネラルウォーターを墓石にかけると、彼は気持ちを吹っ切ると報告をした。そしてじゃあなと踵を返すとその先には葉子がいた。

復帰後のジョーは破竹の勢いを見せ、5戦5勝をいずれもボディー攻めでKOを奪った。その全ての試合をリングサイドで観戦した葉子は、言葉では言い表せないもののジョーのファイトスタイルに違和感を覚えていた。そこで彼女は会長職を退く幹之介に白木ジムを任せて欲しいと願い出たのだった。その違和感は西も気づいていた。新戦法としてボディー攻めを行うジョーが未だに相手への顔へクリーンヒットさせたことがなかったからだ。そのことを段平に話すと、今はうまく行っているのだからそれ以上口にするなと釘を刺した。

ノンタイトル戦だがバンタム級チャンピオンのタイガー尾崎と戦うことになったことでジョーの気持ちは高揚していた。この試合に勝てば次はタイトル戦に臨むことが出来るからだ。前回同様、簡単に試合が進むと思われたが、尾崎がボディーを徹底的にブロックすることで攻めあぐんだ。痺れを切らした段平の指示で相手のテンプルを狙ったが、力石の姿が脳裏に過り動きが止まった。そこを尾崎に突かれてパンチを食らうと形勢は一気に逆転した。アッパーカットでダウンしたジョーはまさか自分が倒れると思っておらず、立ち上がると反撃を試みたがレフェリーから試合終了のストップが掛かった。それは段平がリングにタオルを投げ込んだからだった。「もうこれ以上やっても無駄だよ」。ジムへ帰るタクシーの中で段平は納得の行かないジョーに現状を説明した。力石のテンプルへのパンチが死へと追いやったという罪の意識が働き、彼は無意識にそこを避けて攻撃を行っていたのだ。力石の存在を吹っ切って戻ってきたつもりだったが、思わぬ弱点が露見したことでジョーはひどくショック受けた。

屋台的映画館

アルゼンチンババア

  • posted at:2017-02-13
  • written by:砂月(すなつき)
あるぜんちんばばあ
「アルゼンチンババア」製作委員会(バップ=双日=Yahoo!JAPAN=トムス・エンタテインメント=TOKYO FM=読売広告社=OLM=WOWOW=読売新聞東京本社)
配給:松竹=キネティック
製作年:2006年
公開日:2007年3月24日
監督:長尾直樹
製作総指揮:平井文宏
制作:篠崎安雄 内山伸一 日下孝明 喜多埜裕明 古賀督徳 武内英人 柳田和久 奥野敏聡 廣瀬敏雄 大月曻
エグゼクティブプロデューサー:大島満 松江正俊 松尾宗俊 宮坂学 松元理人 古川一博 雲出幸治 三宅川敬輔 那須野哲弥 戸島雅彦 飯泉宏之
プロデューサー:岡本東郎 滝田和人 和田倉和利
ラインプロデューサー:鶴賀谷公彦
原作:よしもとばなな
絵:奈良美智
脚本:長尾直樹
脚本協力:金子ありさ
音楽:周防義和
撮影:松島孝助
美術:池谷仙克
照明:石田健司
録音:橋本泰夫
編集:高橋幸一
キャスティング:吉川威史
スケジューラー:大野伸
装飾:田辺丈二
スタイリスト:下田眞知子 櫻井まさえ
ヘア・メイク:田中マリ子
VFXスーパーバイザー:石井教雄
音楽プロデューサー:武田秀二
音響効果:伊藤進一
スクリプター:目黒亜希子
助監督:志賀研介
制作担当:松村龍一
出演:役所広司 堀北真希 森下愛子 手塚理美 岸部一徳
アメリカンビスタ カラー 112分

小学生の涌井みつこが住んでいる町の隅っこに、みんなが「アルゼンチンの遺跡」と呼んでいる古いビルがあった。そこに住んでいたのはアルゼンチンからやってきたちょっと変わった女性で、昔はこの場所でタンゴやスペイン語を教えていた。だがそれを止めてからは頭がおかしくなって変な宗教をやっているとか、呪文で猫を集めては皮を剥いで売っているとか、彼女に関する様々な噂話が飛び交っていた。町の人々はそんな彼女のことを「アルゼンチンババア」と呼んでいた。

十年後、高校生になったみつこはとても大変な事態に直面していた。学校から帰った彼女は病気の母・良子を父・悟と見舞うことになっていたが、何故かその日に限って彼は行くのを避けたのだ。最愛の良子が入院して以来、一日も欠かさずに通っていたのに。不思議に思いながらひとりで母の病室へ行くと、良子は穏やかな顔のままベッドで意識を失っていた。異変に気付いた看護師の連絡を受けた医師が治療を行うことになり、邪魔になるみつこは病室から追い出された。廊下の彼女は自宅に電話を掛けたが、悟は出ようとしなかった。治療の甲斐なく良子は息を引き取り、母を失ったみつこは悲しみに暮れた。その頃、悟は姿を消していた。

悟が突然いなくなったことで母の葬式の手配などはみつこが行わなければならなかった。心も体も疲れ果てた彼女が寿司桶を乗せた自転車を押しながら夜道を歩いていると「回生堂治療院」という看板がふと目に留まった。店内に客はおらず、いたのは見習いの向井守ひとり。閉店しようとした矢先にやってきたみつこに僕でよければと守がいうと、彼女は小さく頷いた。寿司桶に気付いた守が何か集まりでもあるんですかと尋ねると、みつこは母の誕生日ですと嘘をついた。それを聞いた守はお祝いの言葉を言うと、お母さんの誕生日ということはあなたの誕生日でもあるわけですねと言った。そして不思議そうな顔をするみつこに構わず、守はお母さんが生まれなければあなたも生まれなかったわけですからと言った。その言葉に彼女の涙は止まらなくなった。

心の拠り所を見つけたみつこは回生堂で受付のアルバイトを始め、学校が終わると真っ先に駆けつけた。半年が経った頃、いつもの様に電話を取ると、悟と親しいうなぎ料理・白井屋の主人・白井順三からだった。ついに悟が見つかったという。だがその場所はアルゼンチンババアが住むアルゼンチンの遺跡だった。

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アブダクティ

  • posted at:2016-10-08
  • written by:砂月(すなつき)
あぶだくてぃ
ティー・オーエンタテインメント
配給:TOブックス
製作年:2013年
公開日:2013年10月12日
監督:山口雄大
プロデューサー:林哲次 扶川愛美
脚本:牧野圭祐
撮影:岡雅一
照明:緑川雅範
美術:福田宣
音楽:森野宣彦
録音:西條博介
出演:温水洋一 麻亜里 正木佐和 長島すみれ 播田美保
アメリカンビスタ カラー 95分

息苦しさと体に伝わってくる振動で目覚めた千葉厚志は、頭にビニール袋が被せられていることがわかると死の恐怖が襲い、急いで剥ぎ取ろうとした。だが出足が縛られて身動きが取れなかったことから、必死に歯で食いちぎり呼吸が出来る穴を確保した。少し落ち着き辺りをゆっくりと見回すと、そこは照明が点いたコンテナの中だった。そして何者かによって拉致されたことを思い出しトラックで何処かに運ばれていることがわかると彼は心細くなって助けてくださいと何度も叫んだ。そのとき傍らにある携帯電話の着信音が聞こえたため通話ボタンを唇で押そうとしたが、何度やってもだめだった。その横に落ちていたクリップペンシルに気付いた彼はそれを口に銜えてもう一度挑戦するとようやく相手と話をすることが出来た。「出るのが遅いやないけ!」。電話口の向こうにいたのは厚志が500万円の借金をしているスマイル金融の社員だった。彼は来月まで待ってください、必ず払いますからここから出してくださいと懇願したが、社員はいつもの口上だろうと怒鳴った。するとトラックはトンネルに入ったらしく、ディスプレイには圏外と表示された。電話が途切れたことで落胆した厚志だったが、コンテナの隅に自分のバッグがあることに気付くと後ろ手で中をまさぐった。だがロープを切るために必要な目ぼしい物は何もなく、その代わりに覚えのない鉱石の塊が出てきた。角が尖っている形状をしていることから何とかそれでロープを切ることが出来るのではないかと考えた厚志は何度も擦り続けた。すると再びスマイル金融から着信音が鳴ったため作業を止めて電話に飛びついた。何故突然切ったのかと怒鳴る男と話すうちに拉致したのが彼らではないことわかると、厚志は今の状況を説明した。だが信じてもらえず、帰ってこなかったら勝手に家の中に入ると男は言い残して電話を切った。

こんなときに頼りになるのは警察だと考えた厚志は早速110番に電話した。日雇いの警備員として名古屋市内にある派遣先の工事現場に行く途中で拉致されたことを説明し、ここは何処かと尋ねた。今いる場所は福岡だという。そして動揺する彼に追い打ちを掛けるように警官は言った。「これはイタズラ電話ですね」。同じような通報がいくつもあるというのだ。再び圏外に入ったことで通話が途切れると、何とかしなければならないという考えが頭の中を巡り手首のロープを切ることだけに専念した。そしてようやく腕の自由を取り戻すと足首のロープを取り去り、頭の袋を脱ぎ捨てた。痛む手首を擦り右腕の袖をまくり上げると何故かそこには「32D」という刻印がされていた。そのときコンテナを大きな揺れが襲い、トラックのエンジンが止まる音が聞こえた。続いて足音が聞こえたため助けを求めたが、コンテナを叩く音は虚しく響くだけだった。

屋台的映画館

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