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網走番外地 吹雪の斗争

  • posted at:2023-04-04
  • written by:砂月(すなつき)
あばしりばんがいちふぶきのとうそう
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1967年
公開日:1967年12月23日 併映「兄弟仁義 関東兄貴分」
監督:石井輝男
企画:今田智憲 植木照男
原案:伊藤一
脚本:石井輝男
撮影:中島芳男
録音:広上益弘
照明:大野忠三郎
美術:藤田博
編集:鈴木寛
助監督:野田幸男
進行主任:武田英治
擬斗:日尾孝司
現像:東映化学工業
音楽:八木正生
主題歌:「網走番外地」高倉健
協力:層雲峡温泉 ホテル大雪
出演:高倉健 梅宮辰夫 谷隼人 中谷一郎 宮園純子
シネマスコープ カラー 87分

網走刑務所に送られてきた橘真一は四十二号として収監された。彼が入ることになった雑居房にはデカ虎という牢名主がおり、足を伸ばして寝るには人数を減らさなくてはならないと考えた。その矢面に立ったのが新入りの橘と肺病を患う吉だった。マサたちは体の弱った吉を病死に見せ掛けて殺そうとするが、見兼ねた橘が止めに入りデカ虎を絞めたことで形勢は逆転した。牢名主となった橘は吉をかばったが異論は出なかった。

極寒の作業場は死と隣り合わせだった。そんな中でも要領のいい蝮たちは点数稼ぎをして典獄の青鬼からタバコの分け前をもらっていたが、その際に橘と吉がヤキを入れてやると言っていたと吹聴して焚きつけたのだった。それを聞いて頭に血が上った青鬼は木を切る作業をしていた二人に、この方が能率的だと登らせようとした。俺一人でたくさんだとその役目を買って出た橘はあっという間の天辺についた。見上げて木を揺する橘に罵声を浴びせる青鬼たち。やがて木が倒れ始めると逃げようとするが、吉がこっそりと足元に置いた木の切れ端につまづいた。下敷きは免れたが重傷を負った青鬼は激怒し橘を懲罰房送りにした。

暗い懲罰房に入れられた橘は寒さと飢えに耐えながら逃げることばかり考えていた。そして長い時間を掛けて柱に体を擦りつけ拘束縄を切った。自由を手に入れた橘が床板を剥がすと抜け穴があり、先へ進んで行くと隣の懲罰房に繋がっていた。そこにはマルコフという無実の罪で投獄された外国人がいたが、身も心も疲れ果てていた。脱獄を試みて十三年間抜け穴を掘り続けたが実現することはなかったのだという。間近に迫った自分の死期を悟った彼は私の棺に入って逃げなさいと言った。この刑務所には夜遅く出棺するしきたりがあり、配膳する刑務官が死を確認すれば今夜にでも行われるのだ。マルコフは橘に懐中時計を渡しオルゴールが鳴ったら来なさいと言った。その夜、約束通りに隣の房へ行くと棺が置かれていた。脱獄するにはそれしかないと橘は覚悟を決めた。

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赤胴鈴之助 三つ目の鳥人

  • posted at:2023-04-01
  • written by:砂月(すなつき)
あかどうすずのすけみつめのちょうじん
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1958年
公開日:1958年3月11日 併映「母」
監督:森一生
企画:土田正義
原作:武内つなよし
潤色:穂積純太郎
脚本:岡本繁男 松村正温
撮影:宮川一夫
録音:林土太郎
美術:太田誠一
照明:岡本健一
音楽:渡辺浦人
編集:宮田味津三
音響効果:倉島暢
擬斗:宮内昌平
助監督:田中徳三
主題歌:コロムビア・レコード ビクター・レコード
製作主任:小沢宏
現像:東洋現像所
出演:梅若正二 中村玉緒 林成年 近藤美恵子 黒川弥太郎
シネマスコープ カラー 71分

江戸の町に鳥の羽飾りをつけた奇怪な怪人が現れ戌年生まれの子供を次々とさらって行った。そして親元に「子供を返して欲しくば護持院ヶ原の一本杉まで千両箱を持参すべし」と書かれた矢文とともに小柄の刺さった人形を送りつけたのだった。言うことを聞かなければ我が子の命がないと考えた親たちは天狗の仕業だと恐れおののいていた。三つの目を持つ鳥人は風のように現れ煙のように消え失せた。奉行所はその鳥人の首に千両の賞金を懸けた。

師匠千葉周作の推挙により江戸町奉行土井安房守の剣術指南となった赤胴鈴之助は屋敷の庭で土井の一子鶴千代に稽古をつけていたが、ただならぬ気配を感じ庭の隅へ行くと小柄の刺さった人形が落ちていた。三つ目の鳥人は命が欲しければこの屋敷の指南役から手を引けと鈴之助に命じ姿を見せぬまま高笑いとともに飛び去った。翌日の夕方、屋敷を抜け出し鈴之助の長屋を訪ねた鶴千代は浅草へ連れて行ってくれと言った。稽古仲間の金二郎から武士の子なら肝試しに一度は行かなければならないとそそのかされ、夢に見るまでお化け屋敷に興味が湧いたのだった。殿様にお許しをいただかなければと鈴之助は断るが、一人ででも行くと駄々をこね出したため子供の扱いに慣れたしのぶも連れて行くことにした。

浅草にきた三人は南蛮渡来お化け屋敷と書かれた看板を掲げる小屋に入るが、それは鶴千代を連れ去るための罠だった。三つ目の鳥人は鈴之助をつけ狙う火京物太夫と岳林坊を利用して二人から引き離すと、次は妖婆の催眠術でしのぶを操った。三つ目の鳥人は一人になった鶴千代を易々と外へ連れ出すが、子供の叫び声を聞いて駆けつけた竜巻雷之進が立ちはだかった。そして遅れてやってきた鈴之助が剣を構えると雷之進は鶴千代を引き受けた。鈴之助は三つ目の鳥人に斬り掛かるがひらりと宙に舞うと同時に姿を消した。見えない者との勝負に苦戦する鈴之助。だが気配を感じて刀を振ると手応えがあり三つ目の鳥人は血を滴らせながら逃げて行った。勝負を見届けた雷之進は三つ目の鳥人が一瞬真空斬りの構えを見せたことに疑問を感じていた。

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赤胴鈴之助 一本足の魔人

  • posted at:2023-02-24
  • written by:砂月(すなつき)
あかどうすずのすけいっぽんあしのまじん
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1957年
公開日:1957年12月28日 併映「日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里」
監督:安田公義
製作:酒井箴
企画:土田正義
原作:武内つなよし
潤色:穂積純太郎
脚本:岡本繁男 松村正温 吉田哲郎
撮影:相坂操一
録音:奥村雅弘
美術:太田誠一
照明:中岡源権
音楽:渡辺浦人
色彩技術:森田富士郎
編集:西田重雄
製作主任:黒田豊
装置:三輪良樹
装飾:松本春造
背景:滝野好男
美粧:明石悦男
衣裳:黒沢よし子
擬斗:宮内昌平
音響効果:倉島暢
移動効果:上岡義明
普通写真:藤岡輝雄
助監督:小木谷好彦
撮影助手:小池清茂
録音助手:鈴木幸三郎
照明助手:吉実豊次
美術助手:上里忠男
記録:木村恵美
演技事務:竹内次郎
進行:吉岡徹
現像:東洋現像所
出演:梅若正二 林成年 黒川弥太郎 中村玉緒 藤田佳子
アメリカンビスタ カラー 64分

ある年の冬、江戸品川沖に一隻の異様な帆船が出没した。それと同時に江戸の町は黒い翼を持った鳥のような怪人が現れ、有名な寺社などを襲って世界に二つとない名宝名器の数々を奪って消え去った。怪人に立ち向かい或いは追う者は忽然としてこの地上から消え失せ、再びその姿を見ることは出来なかった。

剣の師である千葉周作から預かった秘蔵の刀を研師のところへ取りに行った赤胴鈴之助だったが、日が暮れたため一旦長屋へ持ち帰ることにした。母お藤と幼馴染のしのぶは常州潮来に帰っており部屋には鈴之助しかいなかったが、大根泥棒騒ぎで外に出ている間にそれを盗まれたのだった。鈴之助はすぐさま後を追ったが黒装束姿の一本足の男は闇夜に消えた。雪についた足跡をつけるとやがて古びた家に辿りつき、窓に明かりがないことを不審に思って調べることにした。すると槍で威嚇してきたのはお米という娘だった。彼女はこの家の住人だったが、一本足の男の手掛かりになるものは何もなかった。

翌朝、千葉道場に老中の使者がきて、将軍家拝領の名刀小梶丸を将軍の誕生日に上覧すると言い渡して帰った。鈴之助がこないことを心配した周作は弟子の竜巻雷之進に鈴之助と会うように言った。長屋に向かった雷之進は、一本足の男に刀を盗まれた鈴之助が朝早く出掛けたことを住民たちから聞き愕然とした。その頃、骨董屋に持ち込まれたのではないかと考えた鈴之助は一軒一軒訪ね歩き島屋に辿りついた。今朝方、小梶丸を売りにきたものはいないかと主人の島屋徳兵衛に尋ねると、傍で聞いていた客のお光という娘がその犯人は一本足の男ではありませんでしたかと言った。彼女も修理のために津軽の殿様から預かっていた大切な兜を盗まれたが、それも将軍家拝領の品だった。あと五日の間に戻らなければ大変なことになると心配するお光に力を落とすことはないと鈴之助は勇気づけた。だがお光には気掛かりなことがあった。それは鎧師である父加納玄斎が抵抗した際に一本足の男が持つ短筒で撃たれ、見る間に溶かされてしまったからだ。例えどんな武器を持っていようと必ずやっつけると鈴之助が啖呵を切ると、徳兵衛も江戸中の仲間に手配して見つかったらすぐに連絡をすると約束した。

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網走番外地 悪への挑戦

  • posted at:2023-02-14
  • written by:砂月(すなつき)
あばしりばんがいちあくへのちょうせん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1967年
公開日:1967年8月12日 併映「兄弟仁義 関東命知らず」
監督:石井輝男
企画:今田智憲 植木照男
原案:伊藤一
脚本:石井輝男
撮影:稲田喜一
録音:渡辺義夫
照明:大野忠三郎
美術:藤田博
編集:鈴木寛
助監督:内藤誠
進行主任:武田英治
現像:東映化学工業
音楽:八木正生
主題歌:「網走番外地」高倉健
出演:高倉健 嵐寛寿郎 真理明美 谷隼人 田中邦衛
シネマスコープ カラー 90分

博多港の波止場では少年たちがバリケードを築き母子を人質にして立てこもっていた。彼らの手にはライフル銃が握られており、警察との睨み合いは長時間に亘っていた。そんな中、ふらりと現れた橘真一は彼らの前に歩み寄ると何の罪もない人を放してやれと言った。少年たちがそれを拒否すると橘は女子供の助けを借りなきゃ何も出来ないのかと挑発し人質の身代わりを買って出た。そして罪を重ねれば少年死刑囚になりうることを説明して脅すとマシマロが怯え始め、ダンプとの間で小競り合いが始まった。橘はしめたと思い飛び掛かろうとするが、それにいち早く気づいたダンプが引き金を引いた。銃弾は橘のどてっ腹に命中し動揺したダンプは警察に逃走用のボートを要求するが、うずくまっていた橘が立ち上がって近づいて来ると恐ろしくなり真っ青になった。お勤めに行くかと言われ観念したマシマロ、ダンプ、エントツの三人は御用となった。橘は服の中の鉄板を取り出しながら本当にぶっ放しやがったとつぶやいた。

早々に現場から立ち去った橘に話し掛けてきたのはペコという少女だった。彼女はベイビードールというクラブに案内したが、そこは不良少年たちの溜まり場だった。あっという間に取り囲まれた橘だったが、挨拶がわりに大暴れしお前らみたいな行儀の悪い奴らにはこういうお返しもあるんだと説教した。彼らのバックにはハジキやドスよりも肺がんが怖いというクラブのオーナーの衆木という男がいた。波止場での活躍を見たことで心底惚れ込み、橘に仕事を斡旋しようと考えたのだ。だが子供を手先に使うやり方が気に食わない橘はすぐに店を出て行った。

港の見える高台を橘が歩いているとペコと新坊がつけてきた。きっと衆木が命じたに違いないと考えた彼はそんなことばかりしていると臭い飯を食うことになるぞと説教した。すると偶然鬼寅が通り掛かり、橘は懐かしさに相好を崩した。鬼寅は今体調を崩した幼馴染の島田保護司の手伝いするために愛宕少年寮にいたのだ。話を聞いた橘は今まで世間に迷惑を掛けた恩返しとしてしばらくここで働くことに決めた。

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甘い鞭

  • posted at:2023-02-07
  • written by:砂月(すなつき)
あまいむち
角川映画=ファムファタル
配給:角川映画
製作年:2012年
公開日:2013年9月21日
監督:石井隆
エグゼクティブプロデューサー:井上伸一郎
企画:安田猛
製作:加茂克也 石井隆
プロデューサー:大森氏勝 阿知波孝
原作:大石圭
脚本:石井隆
撮影:佐々木原保志 山本圭昭
照明:祷宮信
録音:北村峰晴
美術:鈴木隆之
音楽:安川午朗
音響効果:斉藤昌利
編集:村山勇二
ヘアメイク:竹村由三子
衣裳:森口誠治
アクションコーディネーター:柴原孝典
特殊メイク:福岡洋一
緊縛指導:有末剛
助監督:池本晋
制作担当:高見明夫
アシスタントプロデューサー:小橋孝裕
製作プロダクション:ファムファタル
出演:壇蜜 間宮夕貴 中野剛 屋敷紘子 中山峻
アメリカンビスタ カラー 118分

32歳の岬奈緒子はレディースクリニックで不妊治療の勤務医をしている。彼女はオペ室や培養室にいる時間を除けば火曜日から土曜日までの日中の大半を狭い第2診察室で過ごしている。15年前の忌まわしい事件によって奈緒子と両親との細やかな幸せは崩壊した。それ以来、母は彼女のことを「さん」付けで呼ぶようになり、奈緒子も両親と敬語で話すようになった。

暑い夏の朝、奈緒子は夏休み中の水泳部の練習で家を出た。母はいつものようにドアの外に出て娘を見送り姿が見えなくなるのを確認してから家に入った。奈緒子もいつものように振り返らなかった。そして電車通り添いに建つ丸い屋根の家のガレージからいつものようにあの男の視線が学校へ急ぐ彼女の姿を追っていることなど知る由もなかった。事件はその日の夕方、学校からの帰り道で起こった。ものすごい夕立に遭った彼女が丸い屋根の家のガレージで雨宿りをしているとこの家に住む藤田赳夫が突然声を掛けてきた。藤田は彼女を強引に家に引き入れると地下室に監禁した。

日が暮れても帰ってこない娘を心配した母は警察に連絡するが、すぐにパトカーが何台もやってきて、女子高生誘拐事件としてマスコミが押し掛け、テレビで公開捜査が行われることは実際にはなかった。誘拐の電話があったわけでもなく、年頃だから渋谷でデートでもしているのかもしれないので終電の時間まで待ってみましょうと交番の警察官に言われ、仕方なく言う通りにした。その日、母は一睡もせずに娘の帰りを待ったが結局帰ってこなかった。それでも奈緒子の失踪は事件として公にはされなかった。この年、警察が受理した行方不明者の捜索願は10万人を超えていた。事件性がないことを理由に母が書いた家出人捜索願に従い所轄の警察官たちの形だけの聞き込みが行われただけだった。その後、奈緒子の部屋からはラブレターやお酒、たばこ、更にはアダルトビデオや興味本位で買ったと思われる避妊具まで見つかり、両親は家出を信じることで不安を打ち消そうとした。そして1ヶ月が過ぎた夕方、若い警察官が訪問しているところに奈緒子が帰ってきた。バスローブ一枚の彼女の体には全身に暴行を受けた痕があり、両手には手錠が掛けられていた。あまりの変わり様に母は言葉を失い全身血だらけの彼女を冷たく拒否した。

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