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成熟

  • posted at:2025-06-17
  • written by:砂月(すなつき)
せいじゅく
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1971年
公開日:1971年10月16日 併映「穴場あらし」
監督:湯浅憲明
企画:斎藤米二郎
脚本:高橋二三
撮影:喜多崎晃
録音:奥山秀夫
照明:久保江平八
美術:矢野友久
音楽:菊池俊輔
編集:宮崎善行
助監督:小林正夫
製作主任:真鍋義彦
現像:東京現像所
出演:関根恵子 八並映子 篠田三郎 小野川公三郎 菅野直行
アメリカンビスタ カラー 86分

その昔、源義経が日本海から上陸したと伝えられる山形県庄内平野の鼠ケ関。その地域の神輿流しには一つの言い伝えがあった。それは神輿を担いで海に入る男たちの濡れた体は将来を誓い合った娘以外拭いてはならないというものであった。万一、体を拭いた娘と拭かれた若者が結婚しないと竜神様の祟りで必ず不幸な目に遭うのだという。この伝説は老人たちの間で今でも固く信じられていた。日本海の荒波の上で一生を送る男たちにとって竜神様の祟りは生と死に密着していたのだ。春になり神輿流しが始まると山形農業高校写真部の加納ゆう子はシャッターチャンスを狙っていた。祭りのクライマックスは雪解け水が流れる鼠ケ関川に神輿を沈め漁の安全と豊漁を願うのだが、それが終わると女たちは一斉に男たちの方へ駆け寄り濡れた体を拭いてやった。ゆう子が気になったのはその中に一人で体を拭く青年がいたことだ。その様子を写真に収めているとそれに気づいた青年は止めろと制した。誰にも拭いてもらえない孤独な人を取りたいんだとゆう子が言うと、カチンときた青年はガールフレンドならさばき切れない程いるんだと強がった。するとゆう子は青年からタオルを取り上げそのガールフレンドたちに成り代わって拭いてあげると言った。背中の汗を拭う彼女に青年が神輿流しの伝説を知っているかと尋ねると、ゆう子はあんなの馬鹿馬鹿しくってと笑い飛ばした。

組合の人から帰ってもいいと言われた山形水産高校の笹尾隆二が自宅に戻ると父親の吾助が漁の準備をしていた。吾助が気になっていたのは彼の体を拭いていたあの娘のことだった。俺に隠してつき合っているなんて水臭いなと吾助はからかうが、それが全く知らない赤の他人だとわかると顔色が変わった。あんな迷信を信じるなんてと言う隆二に対し吾助は三年前にお前の兄貴が死んだのは神輿流しで知り合った娘との縁談を断ったからだと断言した。隆二はその理由を時化の海で船のエンジンが故障したことが原因の遭難だと説明するが、吾助はそれが竜神様の祟りだと信じて疑わなかった。吾助はお前が何と言おうが俺があの娘と一緒にさせてやると啖呵を切った。

屋台的映画館
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聖白百合騎士団

  • posted at:2023-10-14
  • written by:砂月(すなつき)
せいしらゆりきしだん
「Neo Actionシリーズ」製作委員会(エースデュース=ワコー)
配給:エースデュース
製作年:2009年
公開日:2009年5月9日 併映「真一文字 拳」
監督:田渕寿雄
製作:小林洋一 多井久晃
プロデューサー:久保淳
原案:田渕寿雄
脚本:河田秀二
撮影:湯浅弘章 齋藤郁夫
照明:関輝久
美術:安宅紀史
音楽:吉田光
編集:田渕寿雄 齋藤郁夫 藤山キヨシ
助監督:金子功
制作担当:村瀬正憲
アシスタント・プロデューサー:黒田仁子
ガンエフェクト:納富貴久男 高原浩一 竹原匡俊
対戦車ライフル製作:近藤力
操演・特殊効果:羽鳥博幸 高見澤利光
衣裳:野村明子
ヘアメイク:細倉明日歌
視覚効果:石田肇
エンディング曲:「星砂」Dot Rainbow
制作:デイズ
出演:秋元才加 長澤奈央 あいか 矢部美希 西田奈津美
アメリカンビスタ カラー 43分

皇歴二千六百六年の初春、長かった戦争がようやく終わった。前年から続いた連合国の本土上陸作戦は国民一丸となった頑強な抵抗で頓挫した。連合国側があまりにも巨大な人的、経済的な損失に戦意を消失したことで、大日本帝国は平等な講和条約を結ぶことが出来たのだった。本土決戦で数十万人の犠牲者が出たが、その上で手に入れた名誉ある平和は、戦うことが尊いことであるという戦前の倫理観を戦後世界にも伝えることになった。それから十数年後。明治の昔から華族の子女が多く通うお嬢様学校として帝都郊外に君臨する学園は、そのおしとやかな見た目とは裏腹に、激動の時代における如何なる逆境に対しても立ち向かえる鋼の心を持った乙女を育成する機関だった。学園にはその実現のための極端な自主独立の校風がある。学園の運営は全て生徒たちの自主活動に任されており、生徒会が定めた校則は国家の法律よりも上位に位置した。例えば学園内で殺人を犯したとしてもそれを理由に罰せられることはなかった。何故なら生徒手帳には殺人が罪になるとは何処にも書いていないからだ。そんな物騒な学園生活も慣れてしまえばは平和そのものだった。

新入生の幸子は憧れの先輩・有希恵が部長を務める聖書黙読部に入部し楽しい学園生活を送っていたが、生徒会の手法には疑問を持っていた。生徒会はシスターを全員殺害し、今や自治を通り越して独裁にまで発展していたからだ。部室で上級生の潔子や同級生の美咲とそのことを話していると、有希恵がやってきて幸子はそんなことに興味を持たなくてもいいのよと言った。幸子が初めて有希恵を見たのは新入生歓迎式典における演劇の舞台で主役を演じた時であり、そのスター性に魅了されて憧れを抱くようになったのだ。潔子から有希恵が幸子を危険な目に遭わせたくないという話を聞き、この部活が危険であることを初めて知った。

土肥原正子は生徒会長に就任した際に戦前からの旧体制に不満を持つ者たちを巧みに先導し後に赤色革命と呼ばれる行動を起こした。宣言後、三日でチャペルは陥落し職員室は反革命派の教師とともに焼き払われた。明治からの伝統でこの学園は生徒の自治が認められているため傍目からは何も変わっていないように見えた。正子はそれを利用して生徒会の独裁体制を強化すべく弾圧を開始したのだった。マリア像の礼拝や聖書を語り合うことは反革命的行為とみなされ処罰されるようになった。そして活動怠慢を理由に聖書黙読部に無期限活動停止を命じたのだった。部室を即刻明け渡せという生徒会に対し有希恵は素直に従ったが、それは彼女たちが行動を開始する号砲だった。聖書黙読部とは仮の姿でその実体は聖白百合騎士団という外部や内部の敵から学園の伝統と乙女の純潔を守る戦闘集団だった。

屋台的映画館

1000年女王

  • posted at:2022-12-15
  • written by:砂月(すなつき)
せんねんじょうおう
1000年女王製作委員会
配給:東映
製作年:1982年
公開日:1982年3月13日 
演出:明比正行
製作総指揮:今田智憲
プロデューサー:横山賢二
企画:松本零士
原作:松本零士
構成:松本零士
脚本:藤川桂介
作画監督:山口泰弘
美術監督:角田紘一 勝又激
音楽・演奏:喜多郎
撮影監督:細田民男
編集:千蔵豊 花井正明
録音:池上信照
主題歌:「星空のエンジェル・クィーン」デラ・セダカ
メカニック作画監督:金田伊功
メカニックデザイン:板橋克己
作画監督補佐:青山充
製作担当:佐伯雅久
製作協力:東映動画
声の出演:藩恵子 戸田恵子 永井一郎 小山茉美 麻上洋子
アメリカンビスタ カラー 121分

1999年、筑波天文台では千年の長大円周回軌道を巡る遊星・ラーメタルが冥王星の軌道に近づいていることを掴んでいた。このままでいくとあと180日と18時間で地球に接触する。誤差により直撃を免れたとしてもラーメタルは地球の9倍の大きさがあるため勝ち目はなかった。

教職の傍ら天文台で雨森の秘書を務める弥生の正体は1000年女王だった。地球を見守るために千年周期でラーメタル人が派遣されるが、彼女もまたその一人であり任期も残り少なくなっていた。女王の交代が近づく中、彼女の周囲は慌ただしくなっていた。目の前にホログラムの姿で現れた女は新女王を名乗り、交代を拒否するならば私と戦う用意をしておきなさいと言って姿を消した。姉の苦悩を知る妹のセレンはマンションを訪ねると、あなたが支配した千年の間に地球に残したのは血の歴史だったと言った。すると弥生は私なりの考えがあるからいずれ責任を取るつもりだと答えた。セレンは次の接近でラーメタル人が地球を乗っ取ろうとする情報を掴んでいた。今度くる千年の春がお互いの最後の春になるかもしれないと言ってセレンが帰ろうとすると、彼女の覚悟を知った弥生はきをつけてねとだけ言った。

遅れて天文台に出勤した雪野弥生は雨森教授からあと180日で地球が終わるという説明を受け愕然とした。どうしていいかわからず悩んでいると夜森大介が声を掛けてきた。探査チームの彼は探索艇でラーメタルへ飛び調査を行ったが、千年の間に死滅したのかその星に生命反応がないことを発見した。同じ頃、雨森の兄が経営する工場で爆発事故が起こり、息子の始だけが生き残った。雨森が彼を引き取ることになったが、その後病院から姿を消した。受け持ちの生徒である始を心配した弥生は思い当たる場所を訪ねた。それは彼が常々口にしていた国立歴史博物館だった。展示されているゼロ戦のコクピットで泣いていた始を説得し天文台へ連れて行った弥生は今宇宙で起こっていることを全て見せた。雨森は辛かろうが気を落とすなと慰めるが、目の前の現実に関心が移った始はラーメタルが地球に衝突しない方法がないか考えていた。雨森は資料室の文献を片っ端から読み漁り、紀元前のエジプトの古文書にラーメタルに関する記述があることを発見した。それを聞いた始は地球上にいる1000年女王を見つけ出すことが先決だと考えた。

屋台的映画館

銭形平次(1967年)

  • posted at:2022-09-02
  • written by:砂月(すなつき)
ぜにがたへいじ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1967年
公開日:1967年10月10日 併映「侠客の掟」
監督:山内鉄也
企画:岡田茂 松平乗道
原作:野村胡堂
脚本:田坂啓 山内鉄也
撮影:古谷伸
照明:中山治雄
録音:谷本啓司
美術:矢田精治
音楽:津島利章
編集:宮本信太郎
助監督:大西卓夫
記録:田中美佐江
装置:温井弘司
装飾:西田忠男
美粧:堤野正直
結髪:西野艶子
衣裳:高安彦司
擬斗:谷明憲
進行主任:並河正夫
主題歌:「銭形平次」舟木一夫
出演:大川橋蔵 水野久美 小畠絹子 大辻伺郎 小池朝雄
シネマスコープ カラー 89分

目明しの父に反抗し続け勘当された平次はとび政の政五郎に拾われ一人前の鳶職人となった。だが博奕好きの癖は治らず事あるごとに賭場に出入りした。ある日、差し向かいの渡世人から呼び止められもう一勝負しようとしたが、町奉行所の手入によって牢屋に入れられた。同心笹野新三郎の口利きですぐに出されたが、平次を待っていたのは政五郎だった。怒りの収まらない政五郎は百叩きでも何でもいいから痛い目に遭わせて性根を叩き直してくださいと願い出るが、笹野は百叩きよりはよっぽど効き目がありそうだと政五郎の娘のお静に世話を任せることにした。だがこれには筋書きがあり、平次に灸を据えるために政五郎と笹野が口裏を合わせて一芝居打ったのだ。その帰り道、恋仲の二人を気遣った政五郎はこれからちょっとした野暮用があると言ってお静に小遣いを渡すと去って行った。

翌朝、堀で男女の溺死体が発見された。政五郎が一晩帰ってこなかったことで心配になった平次たちが駆けつけると、そこには若い女と手を繋いだ親方の姿があった。目明しの三ノ輪の万七は女から仕掛けた無理心中だと睨んだ。女は政五郎を刺殺した上に剃刀で喉首を切り、死んでも離れないように手と手を結わえてから自分を刺して堀に飛び込んだと考えたのだ。だが女の傷痕に違和感を覚えた平次は心中に見せ掛けて殺されたんだと言った。何故なら自らの命を絶つのに二度三度しくじった傷がつくためらい傷が見当たらないことと、縛った手首の結び目が女結びではないからだ。見立てを否定された万七は素人のくせに余計なことを言いやがってと掴みかかった。するとそこにやってきた笹野は俺の勘も平次と同じだと言った。平次の見立ては死んだ父親から聞いたことばかりだった。

拾われなかったら今頃は島送りになっていたかもしれない。そう考えていた平次はお静に今日限りとび政から暇をもらうと打ち明けた。親方の疑いを晴らし殺した犯人を自らの手で摑まえることに決めた平次は笹野に岡っ引になりたいと申し出た。無言で聞いていた笹野は押し入れから箱を取り出すと平次に渡した。その中には彼の父親が使っていた十手と捕り縄が入っていた。経緯を聞いた平次は面白い物を見せましょうと空の湯飲みを放り投げ、投げ銭でそれを割った。それも父親から仕込まれた技だった。笹野から正式に目明しとして認められた平次は十手を汚すような真似をしないと誓った。

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青春の殺人者

  • posted at:2022-02-28
  • written by:砂月(すなつき)
せいしゅんのさつじんしゃ
今村プロダクション=綜映社=ATG
配給:日本アート・シアター・ギルド
製作年:1976年
公開日:1976年10月23日
監督:長谷川和彦
企画:多賀祥介
製作:今村昌平 大塚和
原作:中上健次
脚本:田村孟
撮影:鈴木達夫
照明:伴野功
美術:木村威夫
録音:久保田幸雄
編集:山地早智子
記録:浅附明子
助監督:石山昭信
製作担当:浅尾政行
音楽:ゴダイゴ
主題歌:「憩いのひととき」ゴダイゴ
出演:水谷豊 原田美枝子 市原悦子 内田良平 桃井かおり
アメリカンビスタ カラー 132分

成田空港の近くで父から任されたスナック・キャサリンを幼馴染の常世田ケイ子と切り盛りする斉木順。雨が降るある日、父が勝手に乗って行った車を取り戻すために電車とバスを乗り継いでタイヤ工場を営む実家を目指した。両親に会いたくない彼は事務所に忍び込んで鍵を持ち出したが、エンジンを掛けたところで見つかった。それはケイ子との別れ話をするために順を呼び出す罠だった。父はケイ子の身辺を興信所を使って調べ上げ生活環境が良くないことを知った。彼女の体に溺れてしまうことを恐れそうなる前に二人を引き離そうと考えたのだが、そもそもスナック経営を始めたときにケイ子を連れてきたのは父だった。別れなければ店を取り上げると言われた順はいつだってそうだと不満を口にした。

母が野菜を買って戻ってくると、順の右手に包丁が握られていた。そしてその先には息をしていない父が血まみれで倒れていた。ケイ子は左耳が聞こえなかった。中学生の頃にイチジクの実を盗んだことを順がケイ子の母親に告げ口し、殴られたことで障害を負った。順は理由を本人からそう聞いていたが、父はケイ子の母親が連れ込んだ男にレイプされたことを知って殴られたからだと言った。それを聞いて頭に血が上った順は台所にあった包丁でめった刺しにしたのだった。母は突然の出来事に驚いたが、警察に自首するという彼を引き留め、これは家庭の問題だから他人に口外すべきではないと言った。父が若い女と蒸発をしたことにすれば何事もなかったように二人で暮らせる。思わぬ形で自由を手に入れ重労働から解放された彼女はこう言った。漠然とこうなることを望んでいたのかも知れない、と。母は土地や建物を売りその金で誰もいないところで暮らそうと提案し、大学や大学院に通って時効が成立したらおとなしい人と結婚しなさいと言った。身近にいる人物で母が一番危険だと考えていたのはケイ子だった。彼女にそそのかされて順が自首するようなことになればそれまでの苦労は水泡に帰すことになるからだ。様々なことを考えているうちに彼が自分を置いてケイ子と逃げるのではないかと思い込んだ母は激しく責め立てた。そして順の頭に後ろからシーツを被せると包丁を振り下ろしたのだが、揉み合ううちにそれが腹に刺さり母は死んだ。夜が明けると順は車で実家を離れた。

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