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聖白百合騎士団

  • posted at:2023-10-14
  • written by:砂月(すなつき)
せいしらゆりきしだん
「Neo Actionシリーズ」製作委員会(エースデュース=ワコー)
配給:エースデュース
製作年:2009年
公開日:2009年5月9日 併映「真一文字 拳」
監督:田渕寿雄
製作:小林洋一 多井久晃
プロデューサー:久保淳
原案:田渕寿雄
脚本:河田秀二
撮影:湯浅弘章 齋藤郁夫
照明:関輝久
美術:安宅紀史
音楽:吉田光
編集:田渕寿雄 齋藤郁夫 藤山キヨシ
助監督:金子功
制作担当:村瀬正憲
アシスタント・プロデューサー:黒田仁子
ガンエフェクト:納富貴久男 高原浩一 竹原匡俊
対戦車ライフル製作:近藤力
操演・特殊効果:羽鳥博幸 高見澤利光
衣裳:野村明子
ヘアメイク:細倉明日歌
視覚効果:石田肇
エンディング曲:「星砂」Dot Rainbow
制作:デイズ
出演:秋元才加 長澤奈央 あいか 矢部美希 西田奈津美
アメリカンビスタ カラー 43分

皇歴二千六百六年の初春、長かった戦争がようやく終わった。前年から続いた連合国の本土上陸作戦は国民一丸となった頑強な抵抗で頓挫した。連合国側があまりにも巨大な人的、経済的な損失に戦意を消失したことで、大日本帝国は平等な講和条約を結ぶことが出来たのだった。本土決戦で数十万人の犠牲者が出たが、その上で手に入れた名誉ある平和は、戦うことが尊いことであるという戦前の倫理観を戦後世界にも伝えることになった。それから十数年後。明治の昔から華族の子女が多く通うお嬢様学校として帝都郊外に君臨する学園は、そのおしとやかな見た目とは裏腹に、激動の時代における如何なる逆境に対しても立ち向かえる鋼の心を持った乙女を育成する機関だった。学園にはその実現のための極端な自主独立の校風がある。学園の運営は全て生徒たちの自主活動に任されており、生徒会が定めた校則は国家の法律よりも上位に位置した。例えば学園内で殺人を犯したとしてもそれを理由に罰せられることはなかった。何故なら生徒手帳には殺人が罪になるとは何処にも書いていないからだ。そんな物騒な学園生活も慣れてしまえばは平和そのものだった。

新入生の幸子は憧れの先輩・有希恵が部長を務める聖書黙読部に入部し楽しい学園生活を送っていたが、生徒会の手法には疑問を持っていた。生徒会はシスターを全員殺害し、今や自治を通り越して独裁にまで発展していたからだ。部室で上級生の潔子や同級生の美咲とそのことを話していると、有希恵がやってきて幸子はそんなことに興味を持たなくてもいいのよと言った。幸子が初めて有希恵を見たのは新入生歓迎式典における演劇の舞台で主役を演じた時であり、そのスター性に魅了されて憧れを抱くようになったのだ。潔子から有希恵が幸子を危険な目に遭わせたくないという話を聞き、この部活が危険であることを初めて知った。

土肥原正子は生徒会長に就任した際に戦前からの旧体制に不満を持つ者たちを巧みに先導し後に赤色革命と呼ばれる行動を起こした。宣言後、三日でチャペルは陥落し職員室は反革命派の教師とともに焼き払われた。明治からの伝統でこの学園は生徒の自治が認められているため傍目からは何も変わっていないように見えた。正子はそれを利用して生徒会の独裁体制を強化すべく弾圧を開始したのだった。マリア像の礼拝や聖書を語り合うことは反革命的行為とみなされ処罰されるようになった。そして活動怠慢を理由に聖書黙読部に無期限活動停止を命じたのだった。部室を即刻明け渡せという生徒会に対し有希恵は素直に従ったが、それは彼女たちが行動を開始する号砲だった。聖書黙読部とは仮の姿でその実体は聖白百合騎士団という外部や内部の敵から学園の伝統と乙女の純潔を守る戦闘集団だった。

屋台的映画館
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