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風来坊探偵 岬を渡る黒い風

  • posted at:2018-01-30
  • written by:砂月(すなつき)
ふうらいぼうたんていみさきをわたるくろいかぜ
ニュー東映(東京撮影所)
配給:ニュー東映
製作年:1961年
公開日:1961年6月23日 併映「花と嵐とギャング」
監督:深作欣二
企画:佐藤正道
脚本:松原佳成 神波史男
撮影:飯村雅彦
録音:内田陽造
照明:原田政重
美術:北川弘
音楽:池田正義
編集:鈴木寛
助監督:小西通雄
進行主任:白浜汎城
出演:千葉真一 曽根晴美 北原しげみ 小林裕子 故里やよい
シネマスコープ モノクロ 60分

台風14号の影響によって新岬沖で操業していた漁船が遭難し、乗員5人の安否は絶望視された。このような海難事故が相次いだことから江藤漁業の経営は危機に瀕していた。事故をきっかけに見切りをつけて辞めた者もいたために社員は加倉井純平ただひとりとなり、社長の江藤重吉自ら漁をしなければならなくなっていた。2件の事故はともに時化の金曜日午前1時頃に起きていることから、不審に思った重吉は西園寺五郎探偵事務所に娘の慎喜子を遣いに出したのだった。五郎は事件のことを新聞で知っていたが、興味の湧く話ではなかったため断るつもりでいた。ところが慎喜子が詳細を話し始めようとしたときにドアの外に人の気配を感じたことで只事ではないと直感したのだった。床に落ちていた絵の具のチューブを拾い上げた五郎は、こうなると引き受けないわけには行くまいねと言った。

慎喜子とともに新岬の港へ向かう五郎だったが、その道中で愛車のジープが機嫌を損ねてエンコした。難儀しているところに慎喜子の友人で南房水産研究所所員の中野千代子が通り掛かったため、送る代わりに後ろをちょっと押して欲しいと頼んだ。談笑しながら目的地に向かっていると堀越海運のトラックに妨害を受けた。頭に血が上った五郎はヤクザ者と乱闘を始めたが、研究所の出資者の多々良大造の車が通りかかると男たちは血相を変えて逃げ出したのだった。五郎がその訳を尋ねると、この辺りで大きな船を持っているのは堀越海運だけだからだと慎喜子は答えた。江藤漁業に到着すると五郎は事件の調査を始めようとしたが、窓辺に不審な人影を見つけたことから事故の要件が整いすぎているので調べても無駄だと相手に聞こえるように言った。そして重吉が戻る夜に出直すことを約束し、探偵事務所で受け取った手付金を返した。

水産研究所では、夜間の一定時間を電光で海面を照らし集まった魚にプランクトンを与えるパブロフ理論を応用した研究を人工漁場で行っていたが、成果は上がっていなかった。所長の南条昌太郎博士を支援する多々良は、交換条件として堀越海運に仕事を与えるように話をつけていた。一方、五郎がやってきたことが面白くない社長の堀越剛之助は用心棒として雇ったジョーカーの鉄を差し向けたのだった。

日が暮れた頃、考え直して仕事を引き受けることにしたと五郎が戻ると慎喜子は安堵の笑みを浮かべた。漁から戻った加倉井は五郎に挨拶すると桟橋にいる重吉を呼びに行ったが姿はなく、道具を放りっぱなしにするなんておかしいと辺りを捜したが、その夜は帰ってこなかった。翌朝、中目崎の断崖の下で重吉の水死体が見つかった。衣服のポケットから遺書が見つかったことで死因は自殺だと見られたが、沈没した船の調査を依頼しながら一目も会わずに自殺したことにを五郎は疑問視した。さらに江藤漁業では青インクを使っていたにも拘らず黒インクで遺書が書かれていたことにも違和感があった。他殺ではないかと考えた五郎は出漁表を使って調査し直すことにした。

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風来坊探偵 赤い谷の惨劇

  • posted at:2018-01-18
  • written by:砂月(すなつき)
ふうらいぼうたんていあかいたにのさんげき
ニュー東映(東京撮影所)
配給:ニュー東映
製作年:1961年
公開日:1961年6月9日 併映「わが生涯は火の如く」
監督:深作欣二
企画:佐藤正道
脚本:松原佳成 神波史男
撮影:飯村雅彦
録音:内田陽造
照明:原田政重
美術:北川弘
音楽:池田正義
編集:鈴木寛
助監督:小西通雄
進行主任:白浜汎城
出演:千葉真一 曽根晴美 北原しげみ 小林裕子 故里やよい
シネマスコープ モノクロ 62分

北アルプスの赤岩岳にセスナ機が墜落し、乗っていた新日本開発の南雲社長と香山操縦士が死亡した。優秀なパイロットだった兄の死が信じられない香山美佐子は事故現場へ向かうために赤岩岳山麓の村までやってきたのだが、土地に不慣れだったこともありバスを降りてもどう進んでいいかわからなかった。するとそこに上田牧場の娘・ちか子の馬車が通り掛かり、事情を知ると牧場まで連れて行ったのだった。ちか子の父・清太郎は現場を見ても仕方がないと諦めさせようとしたが、ちか子は美佐子の肩を持ち単純な事故ではないから調べるべきだと言った。この事故が不可解なのは南雲の遺体だけ顔の損傷が酷いと言われているからだ。黒幕が北東観光の鬼頭大作ではないかとちか子が口にすると、文雄は証拠がないのだから疑うべきではないと言った。鬼頭は新日本開発を押しのけて地域一帯の観光事業をあくどいやり方で独占しようとしており、スキー場やゴルフ場を建設するには上田牧場が邪魔になっていた。そのためにヤクザ者を集めているという噂が流れてきており、いつ襲撃されるかわからないことから、ちか子はすぐにでも証拠を見つけて警察に介入してもらいいち早く阻止したいと考えていたのだった。

ちか子からの助言を受けて雪山を進む美佐子はついにセスナ機の残骸を発見し、コクピットの中に落ちていたマニキュアの小瓶を拾い上げた。まだ何かあるのではないかと辺りを見回していると、彼女を麓からつけてきた三人の悪漢が襲い掛かり拉致しようとしたのだ。そこに颯爽と現れた青年は見る間に男たちを退治すると高笑いし、お礼を言う美佐子に山には化け物がいるから早く帰った方がいいよと助言した。そして彼女が落とした小瓶を拾い上げると美佐子の爪と見比べて君のマニキュアじゃないのかと言った。どうせ俺には用のない代物だと小瓶を渡すと青年は名前を告げずに去って行った。

翌朝、ちか子が牛の世話をしていると干し草の中から青年が突然現れたため、驚いてパイプホークの爪を向けた。青年は敵意がないことを示すために風来坊の西園寺五郎だと自己紹介し、寒い中を歩いていたので無断で失礼したんだと悪びれずに言った。そして牧場にいる美佐子のことを尋ね、赤岩岳で死んだパイロットの妹だと知ると納得した。ちか子は美佐子の危機を救ったのが五郎だとわかると警戒を解いて知らせに行ったが、美佐子を連れて戻ってくると姿を消していた。しばらくすると一台のジープがやってきた。乗っていたのは南雲の署名が入った権利書を手にした鬼頭だった。彼は牧場のある土地が新日本開発と無関係な南雲個人の所有物だと主張し、月額60万円の借地料を要求した。そして抗議する清太郎に牧場の立ち退きを迫るのだった。

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ファンキーハットの快男児 二千万円の腕

  • posted at:2017-11-11
  • written by:砂月(すなつき)
ふぁんきーはっとのかいだんじにせんまんえんのうで
ニュー東映(東京撮影所)
配給:ニュー東映
製作年:1961年
公開日:1961年9月13日 併映「いかすじゃねえか三度笠」「警視庁物語 十二人の刑事」
監督:深作欣二
企画:根津昇 渡辺洋一
脚本:田辺虎男 池田雄一
撮影:内田安夫
録音:岸勇
照明:入江進
美術:進藤誠吾
音楽:三保敬太郎
編集:長沢嘉樹
助監督:田口勝彦
進行主任:白浜汎城
出演:千葉真一 中原ひとみ 小川守 岡本四郎 波島進
シネマスコープ モノクロ 53分

全国高校野球選手権大会の決勝戦で東海地区代表の若葉高校エース・川原投手が好投を続けていた。そんな彼をマークする南鉄ピンクソックスの山田や西日本サスペンスの野口、大東京タワーズの佐々木などプロ野球各球団のスカウトが甲子園に集まっていた。川原は19奪三振で高岡工業をねじ伏せ悲願の優勝を達成した。各球団が獲得競争に名乗りを上げるとマスコミも色めき立ち「契約金は二千万円か」と連日書き立てた。そんな中、帝都ホテルへやってきた彼と会った後援会会長の黒谷は、契約が決まるまでは軽率な行動を控えるようにと釘を刺した。

天下探偵事務所所長・天下清助の息子の一郎は川原のことを必要以上に詳しくなっていた。何故なら相棒の近藤茂が彼の高校の先輩に当たり、実家の近所に住んでいたこともあって空き地でコーチをした。そして伝家の宝刀のフォークボールを自分が教えたという自慢話を耳にタコが出来る程聞いたからだ。茂はこのネタを利用してジャズ喫茶でガールハントを行っていたが一郎はそれが気に食わなかった。ところがやってきたキュートな客に一目惚れし、父親と一緒に出ていくとその後をタクシーで追い掛けた。彼女が入ったのはゴールデンホールというコンサート会場で、その姿を見つけて隣の席が空いているのを確認するとちゃっかりと座り食事に誘った。その頃、河川敷に水死体が上がり、検死で水中での窒息死であることがわかった。死亡推定時刻は昨夜の0時から1時。服にウイスキーのにおいが染み込んでいるため泥酔による溺死と見られた。財布には現金が入っていたため強盗の可能性は低かったが、身分の拘るものを持っていなかった。胸のポケットからはコンサートのチケットが見つかったがその席番は「へー13」だった。

特別指定席の「へー12」に座っているのはスポーツ記者の武智美矢子だった。ジャズ喫茶に呼び出したのは父親で、お見合いをさせるために理由を伏せていたのだ。お相手は東銀座玉腰整形外科のインターンの西沢で、会ってみて気に入らなければ断ればいいという父親の気楽な言葉で美矢子は前向きに考えるようになったのだ。そして「へー13」に座った一郎と西沢だと思い込んだ美矢子は、食堂で食べる彼のがさつな姿を見てゲンナリした。その乱暴なナイフがメスだったらと考えたからだ。するとそこに警視庁の刑事が現れたことで一郎が西沢でないことがバレた。二人が警察で取り調べを受けていると美矢子の父親がやってきて、彼女に見合い相手の調査報告書はデタラメだと言った。品行方正な男が泥酔で溺死するなんてありえないと怒り心頭の彼は警察から清助に抗議の電話を掛けた。その様子を一郎はただニヤニヤと眺めていた。

屋台的映画館

ファンキーハットの快男児

  • posted at:2017-10-31
  • written by:砂月(すなつき)
ふぁんきーはっとのかいだんじ
ニュー東映(東京撮影所)
配給:ニュー東映
製作年:1961年
公開日:1961年8月5日 併映「ひばり民謡の旅 べらんめえ芸者佐渡へ行く」
監督:深作欣二
企画:根津昇 渡辺洋一
脚本:田辺虎男 池田雄一
撮影:内田安夫
録音:岸勇
照明:入江進
美術:進藤誠吾
音楽:三保敬太郎
編集:長沢嘉樹
助監督:田口勝彦
進行主任:白浜汎城
出演:千葉真一 中原ひとみ 新井茂子 岡本四郎 八代万智子
シネマスコープ モノクロ 53分

天下探偵事務所所長・天下清助の息子で学生の一郎は、自動車セールスのアルバイトよりもガールハントにご執心だった。今日も相棒の近藤茂を助手席に乗せてスポーツカーを飛ばしていると目ぼしい女性を見つけた。一郎は急ブレーキを掛けるとすかさずジャズを聞きに行きませんかと声を掛け、茂を置き去りにしてジャズ喫茶に入った。一方、茂は一郎が路地に停めたことで後方の車からクラクションを鳴らされたためブツクサ言いながら移動した。一郎が声を掛けた境野みどりは株が人生の全てという女性で、最近ついていなくて50万円ばかりすったのだという。大したケガではないけれども憂鬱になっていたところに声を掛けてきたのが「イカレたあんちゃん」だったというわけだ。その話を聞いて金をたんまり持っていそうだと考えた一郎は、株よりも車の方が大事だと説きセールスを始めた。その頃、街中を走り回っていた茂はサングラスを掛けた女にドライブしませんかとアタックしたが、電話ボックスに逃げ込まれたため諦めた。彼女は向かいにある白藤幼稚園の様子を偵察しており、送迎バスに乗る園児の中に木暮靖幸の姿を確認すると電話を掛けた。

女が電話を掛けた先は国産省の局長を務める小暮邸だった。電話口にいるのが使用人のルメだとわかると田舎から出てきた弟さんが高井戸駅前にいると嘘をついて誘い出した。そして車で送迎バスを追跡し、バスから降りたところを狙って靖幸を誘拐した。その頃、ルメは茂の車に乗って駅に向かっていた。だが辺りを捜しても弟の姿が見当たらなかったため、諦めてお茶をしようという茂を叱責し家に戻るように言った。一方、小暮邸では不在のルメに代わって電話に出た小暮の妻・ひさえに、女は明後日までに500万円を用意しなければ靖幸の命はないと脅迫した。口論しながらも小暮邸に到着したルメと茂は取り乱して出てきたひさこから靖幸が誘拐されたことを聞き驚いた。

ジャズにも一郎にも興味がないみどりはひたすらラジオで株式市況を聞いていた。ガールハントもダメ、車のセールスもダメ、だが失敗は成功の基だ。そう一郎がぼやいたのを聞いてみどりはあることを思いついた。国産省で産業会館という大きなビルが建設されることが決まり、その工事を請け負う会社の情報を事前にキャッチして株を大量に買い込むことが出来れば大儲け間違いなしだった。請け負う業者の決定権は小暮にあり、接待漬けの毎日を送っていることで騒動を知らない彼は今日もグリーンを回っていた。

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豚と軍艦

  • posted at:2016-11-24
  • written by:砂月(すなつき)
ぶたとぐんかん
日活
配給:日活
製作年:1961年
公開日:1961年1月21日 併映「天使が俺を追い駈ける」
監督:今村昌平
企画:大塚和
脚本:山内久
撮影:姫田真佐久
照明:岩木保夫
録音:橋本文雄
音楽:黛敏郎
美術:中村公彦
編集:丹治睦夫
助監督:浦山桐郎
制作主任:森山幸晴
協賛:日産生命
出演:長門裕之 吉村実子 南田洋子 大坂志郎 中原早苗
シネマスコープ モノクロ 108分

横須賀基地の近くにある繁華街、通称ドブ板通りは軍艦が入港するとホステスや売春婦たちは色めき立った。だが当局による取り締まりが日に日に厳しくなっていることから、売春宿を経営する日森組は新たな事業を始めることにした。基地に顔が利く二世で元軍人の崎山の伝手で残飯をタダでもらい、それで豚を育てるのだ。豚肉が高騰するこのご時世、当たれば2千万円の大金が転がり込んでくる算段だった。崎山は前金の一部を支払う日森に利潤の一割を社会事業に寄付することを約束させた。それは社会的な信用を得るためだったが、やたらと経費が嵩むため簡単に儲かるような甘い話ではなかった。期日までに残金を払わなければ豚を全て引き上げると言われて焦る星野は病気で寝込む兄貴分の鉄次を訪ね、まごまごしている暇はないとせっついた。鉄次が向かった先は個人タクシーを営む矢島の会社で、新車二台を購入するための頭金を寄付金と称してせしめたのだ。矢島は彼らの昔の仲間であり、星野がタクシーで客引きをしていることを知っていたことから逆らえなかった。逆らえば通報される恐れがあるからだ。

星野が「日米畜産」に戻ると大竹養豚場の集金人が待っていた。星野は矢島から取り上げた金のうち豚代を男に支払うと、夜はドブ板通りで米兵相手にポン引き、昼は豚の世話係をしている欣太に予防接種費用とカルシウム代を渡した。奥の部屋に人の気配がしたことから覗いてみると、流れ者の春駒が横たわっていた。表を歩けない彼は日森組が羽振りがいいと聞きつけてたかりにやってきたのだ。組長とサシで話がしたいと言われて慌てて部屋を飛び出す星野。一方、欣太は鉄次に会うために彼の妻・勝代が切り盛りする飲み屋へ向かったが留守だった。兄貴がいれば早いんだけどなあと勝代に愚痴っていたとき、この店で働く欣太の恋人の春子が出て行った。欣太が呼び止めようとすると勝代があの子は諦めなと言った。勝代の母が兵隊から支度金の3万円を盗んで使い込んだため、何とかして借金を返さなければならなくなったのだ。その夜、勝代が帰ってくると欣太は複数の札を握らせて早く返しちまえよと言った。すると勝代は産婦人科でお腹の子が2か月だと言われたことを話し、動揺する欣太に堕ろすなら早い方がいいと告げた。欣太は何も言わずに彼女を抱いた。

今度のボーナスをもらったら、いい背広を作りコネを見つけてバンドのマネージャーをやりたいと欣太は勝代に夢を語った。基地では毎日何処かでパーティーを行っていることから、そのバンドを回してピンハネすれば十分に食って行けるからだ。勝代が帰った深夜、家を訪ねた星野は欣太が部屋にいて誰にも顔を見られていないことを確認すると船を出すように言った。彼の役割とは春駒の死体の始末と万が一の場合に日森の身代わりになることだった。初犯で過剰防衛なら懲役2、3年。保釈になれば幹部として迎え入れられ、ボーナスは今の15万円から150万円に跳ね上がる。ここが男になる分かれ道だと言われた欣太は万が一のことが起こらないことを信じて了承した。

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