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兄貴の恋人

  • posted at:2022-02-13
  • written by:砂月(すなつき)
あにきのこいびと
東宝
配給:東宝
製作年:1968年
公開日:1968年9月7日 併映「北穂高絶唱」
監督:森谷司郎
製作:藤本真澄 大森幹彦
脚本:井手俊郎
撮影:斉藤孝雄
美術:村木忍
録音:吉岡昇
照明:小島正七
整音:下永尚
音楽:佐藤勝
主題歌:「雲の果てまで」加山雄三
監督助手:石田勝心
編集:岩下広一
合成:三瓶一信
現像:東洋現像所
製作担当者:森本朴
出演:加山雄三 内藤洋子 酒井和歌子 白川由美 江原達治
シネマスコープ カラー 84分

女子大生の北川節子は兄の鉄平を慕うあまり、いろいろと気になって身の回りの世話までするようになった。その日着けるネクタイの色まで選ぶような始末である。特に女性関係には敏感で、例えば鉄平が勤める米倉商事の野村和子とお茶を飲もうとすればちゃっかりと節子が同席した。そして隣のおばさんが見合い話を持ってこようものなら、なかったことにするのは御手の物だ。ある日、和子が会社を辞めることになり、その後釜として節子の親友の小畑久美が配属された。その夜、節子と久美が計画した和子への細やかな送別会が行われることになり、それを知った鉄平は世話になったお礼としてプレゼントのブローチを買った。いつものように同僚たちから麻雀に誘われたため断るつもりでいたが、これまで負けた分を取り返そうと短時間だけ参加することにした。ところが時間を忘れて熱くなり送別会をすっぽかしてしまった。そのことに気づき真っ直ぐ家に帰れない鉄平は行きつけのバーに立ち寄った。マダムの玲子と話していると、やがて後輩の水谷敏夫が現れた。鉄平は彼が妹に好意を寄せていることを知っており、酔いに任せてつき合うことを許可した。だが一度連れてきなさいよという玲子には未成年だからという理由で頑なに拒んだ。鉄平が家に帰ると節子は当然怒っていた。いつもはそんなことを気にしない鉄平だったが、和子が残念がっていたことがわかると素直に謝った。

山岸専務から新しい取引先を任された鉄平は身の引き締まる思いだった。早速、挨拶回りで松崎金属工業に出向いたが、片岡部長は彼を見るなり嫌な顔をした。前日の夜、麻雀店を出た鉄平が突然のにわか雨に遭い雨宿りをしていると、タクシーの前で酔っ払いが女性に絡んでいた。見兼ねた彼は間に割って入り女性を助け出したのだが、その酔っ払いが片岡であり女性は秘書の西田京子だった。相手のことを覚えていない鉄平は何故相手が不機嫌なのかわからなかった。その夜、彼は同僚の大森史郎を連れて和子が働く川崎のスナック・ピーコックに行った。和子が会社を辞めたのは忙しい叔父を手伝うためだったが、レジだけという約束だったのに接客まで任されたことに御立腹だった。鉄平は送別会をすっぽかしたことを謝り、うっかりしてプレゼントを持ってくるのを忘れたと言った。すると和子はうれしいわと笑顔を見せたが、それと同時によく物忘れをする鉄平の傍に私がいなくて大丈夫なのかしらと思った。

屋台的映画館
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愛のお荷物

  • posted at:2021-12-30
  • written by:砂月(すなつき)
あいのおにもつ
日活
配給:日活
製作年:1955年
公開日:1955年3月18日
監督:川島雄三
製作:山本武
脚本:柳沢類寿 川島雄三
撮影:峰重義
照明:森年男
録音:福島信雅
音楽:黛敏郎
美術:中村公彦
編集:中村正
助監督:今村昌平
製作主任:林本博佳
漫画:清水崑
出演:山村聰 三橋達也 山田五十鈴 北原三枝 轟夕起子
スタンダード モノクロ 110分

およそ8912万5千人の男女が狭苦しい国土にひしめき合い、人口はまだまだ増える一方ではないかと推察される日本。時の政府はこの問題に対処すべく優生保護法の改正案の一つとして受胎調節相談所設置法案なるものの提出を準備し、人口の抑制を行おうとした。それは社会的に弊害の少ない方法で受胎調節の知識と技術をこれから結婚生活を行う若い夫婦にもれなく有効適切に教え込むというものだった。担当の新木錠三郎厚生大臣が野党議員と激しい議論を交わしていた頃、48歳になる彼の妻・蘭子は産婦人科の診察室にいた。院長の山ノ内から懐妊を告げられ何かの間違いではないかと静かに詰め寄った。何故なら一番下の子の誕生から20年も経っていたからだ。だが山ノ内は自信をもって間違いと言った。それと同じ頃、長男の錠太郎は錠三郎の秘書の五代冴子から妊娠していることを告げられた。冴子は結婚を前提につき合っていたが、錠太郎がいつまで経ってもそのことを両親に言わないため、決心させるように仕組んだのだ。彼を連れて大臣室に戻った冴子はわざと鉢合わせするように仕向けたが、錠三郎は優秀な秘書を失い業務に支障をきたすことを恐れて考え込んだ。そして蘭子がそのことをまだ知らないことがわかると、次女のさくらの結婚式が終わるまで内緒にしておくことにした。

自宅に戻った蘭子は訪ねてきた長女の和子に思い切って妊娠のことを話した。すると和子はとても喜び、産んだら私にくださいと言った。彼女は荒牧章吾と結婚して6年になるが未だに子供が出来ずいつも些細なことでケンカばかりしていた。赤ちゃんがくれば家庭が円満になるのではないかと考えた和子だったが、ある重大なことを思い出した。出産月となる翌年の4月にはさくらの結婚式が控えているのだ。この件が世間に知れることになれば産児制限を力説する錠三郎に迷惑が掛かることを考えた蘭子は貧血を起こして倒れた。

母が妊娠したことを和子から聞いたさくらは即座に錠太郎に伝えた。そのことをまだ父に話していないことを知った錠太郎は厚生大臣としてどうするのか楽しみだと面白がった。生まれてくる身内の赤ん坊が二人もいるからだ。

屋台的映画館
あかどうすずのすけ/あかどうすずのすけつきよのかいじん
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1957年
公開日(赤胴鈴之助):1957年5月21日 併映「白い山脈(再映)」「ドナルドの目ざまし時計」
公開日(赤胴鈴之助 月夜の怪人):1957年6月18日 併映「怪猫 夜泣き沼」
監督:加戸敏
製作:酒井箴
企画:土田正義
原作:武内つなよし
潤色:穂積純太郎
脚本:岡本繁男 松村正温 吉田哲郎
撮影:今井ひろし
録音:奥村雅弘
音楽:渡辺浦人
美術:菊池修平
照明:古谷賢次
編集:西田重雄
製作主任:竹内次郎
主題歌:コロムビアレコード ビクターレコード
装置:三輪良樹
装飾:松本春造
背景:滝野好男
美粧:日樫嘉雄
結髪:石井エミ
衣裳:伊藤準一
擬斗:宮内昌平
記録:中井妙子
普通写真:浅田延之助
助監督:西山正輝
撮影助手:木浦義明
録音助手:武田十九男
照明助手:山下礼二郎
移動効果:長谷川和夫
音響効果:倉島暢
美術助手:北川博之
演技事務:中村元次郎
進行:堀一郎
出演:梅若正二 林成年 黒川弥太郎 浦路洋子 中村玉緒
(赤胴鈴之助):スタンダード モノクロ 56分
(赤胴鈴之助 月夜の怪人):スタンダード モノクロ 56分

常州潮来に道場を持つ北辰一刀流の使い手の金野鉄斎は、親の顔を知らぬ孫の少年剣士金野鈴之助を育てていた。鈴之助にはしのぶという幼馴染がいたが、彼女が近所のわんぱく小僧たちにいじめられると決まって仕返しに行くという勇敢で優しい心の持ち主だった。父の形見である赤胴をつける鈴之助は鉄斎の下で修行を積み、それから数年の月日が流れると立派な青年に成長した。ある日、道場破りにきた山影流の達人である火京物太天と宝蔵院流の槍の使い手である岳林坊の二人を相手に鈴之助は鉄斎が禁じていた他流試合を行った。その結果、鈴之助は破門を命ぜられたが、それは旅をして見聞を広めよという鉄斎の思いやりからだった。村外れまで鈴之助を見送ったしのぶは別れ際に自分の代わりと簪を渡した。それを喜んで受け取った鈴之助は亡き父親と同門である千葉周作の道場へ入門するために江戸に向かった。彼が江戸へ行く理由はもう一つあった。それはまだ見ぬ母親と会えるかも知れないからだ。

周作から入門を認められた鈴之助だったが、門弟の出歯川鍔太郎や雨山傘太郎から掃除に洗濯、薪割りに風呂焚きと雑用ばかり押しつけられ朝から晩まで働かされた。いつまで経っても稽古をさせてもらえそうな様子はなく、これも稽古のうちだと割り切って洗濯をしていると周作の娘のさゆりが興味津々に声を掛けてきた。彼女の取り計らいで高弟の竜巻雷之進から稽古をつけてもらえることになったが、雷之進は鈴之助を容赦なく打ちすえたのだった。

浅草の観音様へお参りに出掛けるさゆりは、お供に雷之進ではなく鈴之助を指名した。江戸へ出てきたばかりの鈴之助にお供の役は務まらないと雷之進は進言するが、さゆりは町のことを案内すると言って聞かなかった。問題が起こらなければいいがと心配する雷之進だったが、その予想は的中した。待ち伏せていた物太天一味が周作をおびき出す囮としてさゆりを誘拐しようとしたのだ。鈴之助は果敢に立ち向かうが多勢に無勢。さゆりは物太天に連れ去られるが、旅から戻った師範代の横車押之助によって事なきを得た。事態を重く見た押之助が道場でそのことを伝えると、用心はしているつもりだがと周作は眉をひそめた。

屋台的映画館

相棒 劇場版

  • posted at:2021-02-28
  • written by:砂月(すなつき)
あいぼうげきじょうばん
「相棒 劇場版」パートナーズ(テレビ朝日=東映=トライサム=アミューズ=小学館=朝日放送=メ~テレ)
配給:東映
製作年:2008年
公開日:2008年5月1日
監督:和泉聖治
製作総指揮:君和田正夫
制作統括:早河洋 坂上順
製作:上松恒夫 鈴木武幸 水谷晴夫 畠中達郎 亀井修 水野文英 吉田鏡
エグゼクティブプロデューサー:亀山慶二
企画:梅澤道彦 中曽根千治
プロデューサー:松本基弘 上田めぐみ 香月純一 西平敦郎
脚本:戸田山雅司
音楽:池頼広
撮影:会田正裕
照明:大久保武志
編集:只野信也
録音:舛森強
美術:伊藤茂 近藤成之
装飾:神戸信次 田村康利
助監督:東伸児
制作主任:今村勝範
製作プロダクション:東映東京撮影所 東映テレビ・プロダクション
出演:水谷豊 寺脇康文 鈴木砂羽 高樹沙耶 川原和久
アメリカンビスタ カラー 117分

元ニュースキャスター・仲島孝臣の遺体が東京・多摩のテレビ塔に吊るされた状態で発見された。事件現場には「f6」という謎の記号が残されていた。翌朝、警視庁特命係の杉下右京警部と相棒の亀山薫巡査部長が部署のテレビでその事件のニュースを見ていると内村完爾刑事部長に呼び出された。参議院議員・片山雛子の事務所に小包爆弾が届き開封した秘書が左手を負傷して病院に搬送されたのだ。殺傷能力が低く軽傷で済んだが、警察庁警備局参事官の棟田はそれが警告を目的としたものだと考えていた。最近、左翼過激派「赤いカナリア」からの脅迫文が事務所や議員の周辺に送りつけられていた。片山議員が所属する平成未来派が提出した改正通信傍受法案は左翼過激派を一掃する効果が期待されており、その法案の成立を阻止するのが狙いだと考えられた。片山議員は午後、空港へ向かうことになっており、内村は窓際部署の二人に警護任務の増援に加わることを命じられたのだった。

警護任務とはいうものの杉下たちが乗る公用車に片山議員の姿はなかった。彼らは囮であり、片山議員と面識があるからというのが表面上の理由だった。公用車が空港近くの路地に入ると建築資材が道路を塞ぎ銃声のような音が鳴り響いた。それが爆竹の音だと気づいた杉下が指差した先にはダイナマイトが乗ったラジコンカーがあり、亀山はそれを追い掛けると上空に放り投げた。間一髪でラジコンカーは爆発したがケガ人はなかった。現場に残った二人が調査を行っていたところ「d4」と書かれた記号が見つかった。鑑識を行った米沢守刑事部長によると今回の事件に使用された物と過去に赤いカナリアが使用した爆発物の成分は一致しなかったという。

翌日、亀山は仲島がキャスターを務めていた番組の関係者から、会わせて欲しいという若い女性からの電話を何度か受けたという証言を得た。そのことを杉下に話していると捜査一課経理担当の陣川公平が大変な情報を手に入れたと息を切らせてやってきた。仲島の死は予告殺人だというのだ。法定関係のコミュニティーサイトにアクセスしたところ、彼の批評が書かれた掲示板があった。そこでは最終的に評決がなされ、有罪が無罪を上回ると処刑リストに掲載されるのだ。仲島の場合、理由は「電波を私物化した罪により死刑」、方法は「テレビアンテナで絞首刑」と書かれていた。リストの中には片山議員の名前もあり、「相次ぐ爆弾発言で政治を茶番にした罪で死刑」、「自らの爆弾発言で誤爆死」と書かれてあった。引き続き殺人が起こることを危惧した杉下はサイトの所有者を突き止めることにした。

屋台的映画館

青蛇風呂

  • posted at:2020-09-23
  • written by:砂月(すなつき)
あおへびぶろ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年1月22日 併映「天竜の鴉」
監督:弘津三男
製作:三浦信夫
企画:高椋迪夫
脚本:吉田哲郎
撮影:竹村康和
録音:長岡栄
照明:斎藤良彰
美術:神田孝一郎
音楽:渡辺岳夫
装置:本島陽三
編集:西田重雄
邦楽:中本敏生
擬闘:楠本栄一
助監督:古川俊男
製作主任:吉岡徹
出演:島田竜三 毛利郁子 伊沢一郎 中田ダイマル 中田ラケット
シネマスコープ モノクロ 57分

料亭白ふじでは主人清吉の弟である佐助と武蔵屋喜三郎の娘お妙との婚約のお披露目が行われていた。その最中に北町奉行所の与力平田数馬が現れ佐助に縄を打った。昨夜、浅草の海産物問屋に賊が入り主人秘蔵の唐香炉が盗まれたのだという。骨董品を集めることを趣味にしている佐助は三日前に確かにそこを訪ねたが、家宝と聞いて諦めたのだった。だが平田は裏口に落ちていたという紙入れを見せ、これが動かぬ証拠だと見得を切った。信じられない清吉は後日改めてこちらから参上するから今日のところは穏便にと頭を下げたが、平田は耳を貸さず佐助を連行した。

残った役人たちは屋敷の中から唐香炉を探し出そうとするが、見つけることが出来ずに帰って行った。騒動によって武蔵屋やお妙、世話人の津田屋幸兵衛らが帰ると清吉はひとりで考え事をした。すると彼の身を案じた妻おえんはそれが誰かの罠かもしれず、一緒に証を立てれば道を拓けるかもしれないと言った。その言葉に力を得た清吉だったが、帳場を預かる源七の言葉で希望は打ち砕かれた。役人たちが荒らした佐助の部屋を片付けていたところ盗まれた唐香炉が出てきたというのだ。部屋に入ると源七が言う通りに台の上の砂時計を横にずらした。するとカラクリ仕掛けによってあの唐香炉が姿を現したのだった。驚いた清吉はすぐさまそれを奉行所に届けようとするが、それでは佐助の罪が決まってしまうとおえんが止めた。佐助が捕らえられた影響は三代続いた由緒ある白ふじにまで及ぶ可能性があるからだ。唐香炉のことを知っているのは源七ひとりだけ。口を封じてしまえば他に知る者はいないと考えたおえんは清吉に耳打ちした。芸者だった彼女が婚約を許さなかった姑の死後に晴れて夫婦と呼ばれるようになったのは佐助の計らいがあったからであり、白ふじを潰したとなれば姑に申し訳が立たなかった。嘆くおえんに同情した清吉は仕方なく心を決めた。

その夜、ひとり黙々と帳付けをする源七におえんは頼みごとがあるから部屋にきて欲しいと言った。部屋では清吉が待っており、一杯やりながら話をしたいと酒を勧めた。清吉が唐香炉について切り出すと、源七は安心してくださいと言った。源七は佐助を罪に落とすことは考えておらず初めから見なかったことにするつもりでいたのだ。お世話になるものとして当たり前のことですと源七は言ったが、清吉は予定を変えずに彼を毒殺し死体を古井戸に投げ込んだのだった。

屋台的映画館

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