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くの一忍法 観音開き

  • posted at:2018-06-08
  • written by:砂月(すなつき)
くのいちにんぽうかんのんびらき
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年2月14日 併映「玉割り人ゆき 西の廓夕月楼」「愉快な極道」
監督:皆川隆之
企画:佐藤雅夫 今川行雄
脚本:松本功 志村正浩
撮影:塚越堅二
照明:井上孝二
録音:格畑学
美術:園田一佳
音楽:津島利章
編集:玉木濬夫
助監督:俵坂昭康
記録:梅津泰子
装置:稲田源兵衛
装飾:白石義明
美粧:長友初生
結髪:白鳥里子
スチール:木村武司
演技事務:西秋節生
衣裳:豊中健
擬斗:菅原俊夫
進行主任:伊藤彰将
出演:橘麻紀 衣笠恵子 堀めぐみ 汐路章 成瀬正
シネマスコープ カラー 66分

元和八年、碓氷峠で信州上田真田藩の一行が何者かに襲われ、江戸城本丸修築のために差し出すはずだった御用金三万両が奪われた。それが上州一帯に暗躍する山賤ではないかと疑う伊賀組頭領服部半蔵だったが、既に潜入している手の者からの報告が途絶えたことで知る術を失っていた。そこで半蔵は虚無僧姿の三人を呼び寄せると至急彼らと連絡を取るよう命じた。落ち合う場所になっている上州高崎の寺に向かう三人だったが、その道中で謎の集団に襲われた。深編笠を取った姿、それはお妖、お炎、お乱のくの一忍者だった。お妖たちは何とか危機を回避して目的の寺にたどり着いたが、そこら中の木に忍者の死体が逆さ吊りにされていた。そしてそのうちの一体を見たお乱は思わず泣き崩れた。右目を潰されたその伊賀者は彼女の兄だったのだ。三人は結束を固め復讐を誓った。

伊賀者を惨殺した寺で襲われたということは三人がその場所に来ることを一味が知っていたに違いない。そう考えたお乱は内情を探るために、高崎城下の廓に女郎として忍び入った。そして唯一覚えていた顔に痣がある男に近づくと色仕掛けで迫ったのだ。そして罠に掛かったと見るや隠し持っていた観音像を取り出し「伊賀忍法かまきり観音」で相手の一物を締め付けたのだった。お乱は御用金の在り処を聞き出そうとしたが、頑として口を割ろうとはしなかったため更に締め上げると狂七は匕首を取り出し彼女を殺そうとしたのだ。ところが死んでも体が一生くっついたままになると言われると苦渋の決断をし、一物を匕首で斬ると障子を突き破って逃げた。それを待ち伏せていたお妖が追い掛けたが、狂七は何者かによって殺された。

狂七が死んだことで手掛かりを失ったお妖たちは尼寺に身を隠すことにした。ある日、山伏が訪ねてきたためお乱が相手をすると山伏は禅問答を仕掛けてきた。その様子を見ていたお妖は山伏が只者ではないことを見抜いたのだった。男は風響之介と名乗り、幕府の犬であるお前たちに三万両は渡さないと言った。それを聞いたお妖は彼に勝負を挑んだのだった。懐から観音像を取り出したお妖は「伊賀忍法招き観音」で裸体の幻覚を見せて相手を惑わせたが、響之介は術を破った。彼は戦うのを止め、真田の三万両を奪った鍬形一族はお前たちが手に負える相手ではないと告げると去って行った。その頃、お炎とお乱は腹痛を訴える旅の娘を尼寺に連れ帰った。お炎は苦しみに悶える娘の太股に咲いた薔薇の刺青に見惚れたが、それは鍬形の幻術だった。くの一の葉月は「鍬形殺法薔薇の刃」で自由を失ったお炎を仕留めようとしたが、戻ってきたお乱によって阻止された。お乱は三万両を奪ったのが鍬形一族であることを二人に話し、葉月から鍬形一族の拠点も聞き出すと「伊賀忍法うつし絵観音」でそっくりの姿に成り済ました。

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野良猫ロック 暴走集団’71

  • posted at:2018-06-03
  • written by:砂月(すなつき)
のらねころっくぼうそうしゅうだんななじゅういち
日活=ホリ企画制作
配給:ダイニチ映配
製作年:1971年
公開日:1971年1月3日 併映「新・ハレンチ学園」
監督:藤田敏八
製作:笹井英男 岩澤道夫 真下武雄
企画:佐々木志郎
脚本:永原秀一 浅井達也
撮影:萩原憲治
照明:大西美津男
録音:杉崎喬
美術:千葉和彦
編集:丹治睦夫
音楽:玉木宏樹
助監督:岡田裕
色彩計測:前田米造
現像:東洋現像所
製作担当:坂田則正
技斗:田畑善彦
出演:梶芽衣子 藤竜也 原田芳雄 地井武男 司美智子
アメリカンビスタ カラー 87分

新宿の公園などの空き地を使ってテントに寝泊まりする奇妙な若者集団。ピラニアをリーダーとする彼らは気ままに移動しながら自由を求めて生きていた。ある早朝、皆が寝ている隙に抜け出した隆明と振り子がじゃれ合っているとミリタリールックに身を包んだバイクの集団が取り囲んだ。彼らは黒い親衛隊ブラックSSという5人組で、隆明の父・荒木義太郎が家出をした息子を取り戻すために派遣したのだ。隆明はSSの一人・ヘスを刺殺したが抵抗も虚しく連れて行かれた。そして総統に腹を殴られて気絶した振り子は隆明が持っていたナイフを握らされた。二人が突然姿を消したことを心配したレモンたちが駆けつけると振り子は呆然とヘスを眺め、やがて悔しさをぶつけるように死体を滅多刺しにし始めたことから彼女らは必死に止めた。二ヶ月後、関東女子教護院に収監された振り子はそこで知り合ったアヤの手引きでともに脱走した。そして街に出ると人気のない通りで待ち伏せして学生を引き込み服を奪ったのだった。隆明を取り返しに行くことに決めていた振り子はアヤにピラニアのところへ行くように言った。

新宿センター建設予定地に居を構えていたピラニアたちは資金を稼ぐために週刊誌の取材に応じたが、ギャラ交渉で決裂し一方的に破棄した。そこにやってきたアヤがマッポにそのことを話すと、彼は振り子に課せられた危機的状況を黙って見過ごすか否かの意見を聞いた。彼女が勝手過ぎるという意見が飛び出す中、口を挟んだのはアヤだった。ヘスを刺したのは隆明だったと。するとユメは振り子が握っていたナイフが隆明の物だったことを思い出したのだ。行ってやろうよという女性陣の提案を、ピラニアは男の問題として今夜考えようと言った。夕食後、街をぶらついているとネクロが突然道路の工事現場へフラフラと歩いて行き、借りた削岩機の持ち手を股間に当てた。やがて彼は昇天したが、心臓が止まり本当に昇天してしまった。悲しみに暮れるバスの中でマッポはこの街から出て行こうかとつぶやいた。それが決心のきっかけとなった。

翌朝、ピラニアたちは自転車で隆明の生まれ故郷である来海町に向かった。その頃、荒木邸では町長の義太郎が職務に専念出来るよう、父の経営する各種事業の跡継ぎに専念する隆明の襲名披露が行われていた。一方、振り子も既にこの町に入っていた。彼女の目撃情報は義太郎にも伝わっており、振り子の口から隆明が人を殺したことが漏れれば、近日に迫っている町長選に影響が出ることは間違いなかった。そこで秘書の深沢は弟の総統に彼女の口を封じるように命じた。

屋台的映画館

コント55号水前寺清子の大勝負

  • posted at:2018-05-30
  • written by:砂月(すなつき)
こんとごじゅうごごうすいぜんじきよこのだいしょうぶ
松竹
配給:松竹
製作年:1970年
公開日:1970年12月30日 併映「誰かさんと誰かさんが全員集合!!」
監督:野村芳太郎
製作:杉崎重美 浅井良二
脚本:野村芳太郎 砂山圭介 山根成之
撮影:川又昻
美術:重田重盛 佐藤之俊
音楽:八木正生
照明:三浦礼
録音:栗田周十郎
調音:松本隆司
編集:浜村義康
監督助手:山根成之
装置:小野里良
装飾:印南昇
進行:宗本弘美
衣裳:東京衣裳
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
主題歌:「大勝負」水前寺清子
挿入歌:「いっぽんどっこの唄」水前寺清子
・・・:「どうどうどっこの唄」水前寺清子
・・・:「あすなろの唄」水前寺清子
・・・:「島原地方の子守唄」水前寺清子
出演:萩本欽一 坂上二郎 水前寺清子 有島一郎 長山藍子
アメリカンビスタ カラー 85分

九州島原の小さな炭鉱町の長屋に住む粉田金市と隣家の片谷次郎は小さい頃からケンカばかりして育った。虫が好かない二人は顔を合わせればケンカという具合で、それは中学生になっても治まらなかった。その原因の一つは、同級生の庄司澄子をめぐってのことだった。東京への集団就職が3か月後に迫る頃、金市と次郎は澄子へのラブレターのことでケンカした。二人は恥ずかしくて直接手渡しすることが出来なかったため、おやつで釣って澄子の妹・清子に頼んだ。ところが要領のいい清子はおやつだけせしめ、金市の手紙を次郎に、次郎の手紙を金市に渡すいたずらをしたのだ。そうとは知らない二人はそれが澄子からの返事だと思い込んだことでケンカに発展したのだった。そのことを知った澄子は二人をなだめ将来の夢を話した。金市は政治家、次郎は実業家、澄子は素晴らしい恋人を見つけて結婚すると言った。それを聞いた金市はその恋人候補に立候補し、次郎も負けじと名乗りを上げた。

昭和29年、上京した金市は床屋の見習いとなったが、客の大事なヒゲを剃り落としたことでクビになり、玩具工場に勤める次郎の寮に転がり込んだ。新入りは食事の後片付けなど先輩の身の回りの世話をしなければならず、寝る場所は押し入れの中だった。一晩だけならと次郎は受け入れることにしたが、翌朝社長に見つかった。社長は床屋のあの客で、金市の顔を見るなり出て行けと怒鳴った。そして次郎もとばっちりを受けてクビになった。行く当てのない二人は澄子が働く中華料理店にでも行けばラーメンの一杯でも食べられるのではないかと考え足を向けたが、既に辞めた後だった。女将によると洋裁に英会話と暇さえあれば本ばかり読んで仕事のことを覚えようとしなかったため辞めさせたのだという。澄子の居場所もわからず二人でいても埒が明かないので、ここで別れて今度は成功したときに会おうと金市が言うと次郎も同意した。とは言ったものの成功の仕方を知らない金市はパチンコ店に入り落ちている玉で一獲千金を狙った。そこへやってきた近源組のヤクザに声を掛けられたが、口八丁でうまく取り入り拾われたのだった。だが金市は親分から近いうちに敵対する天城組とのいざこざがある可能性を示唆され震え上がった。さらに成り行きで鉄砲玉に選ばれた彼は相手の親分の命を狙うことになったのだ。決行日、カフェで新聞を読む男の胸にドスを突き刺したが背広を貫通しただけだった。一方、刺されて驚いたのは親分の身代わりとなっていた次郎だった。お互いが顔を見合わせていると張り込んでいた刑事が姿を現し関係者を逮捕した。そして震えて縮こまる二人も連行された。集団就職から5日目のことだった。

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にっぽん泥棒物語

  • posted at:2018-05-25
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんどろぼうものがたり
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1965年
公開日:1965年5月1日 併映「おゝい、雲!」
監督:山本薩夫
企画:植木照男 宮古とく子
脚本:高岩肇 武田敦
撮影:仲沢半次郎
録音:小松忠之
照明:桑名史郎
美術:森幹男
音楽:池野成
編集:長沢嘉樹
助監督:田口勝彦
進行主任:武田英治
現像:東映化学工業株式会社
出演:三國連太郎 佐久間良子 伊藤雄之助 江原真二郎 緑魔子
シネマスコープ モノクロ 117分

1948年冬、戦後の混乱が続く東北で荒稼ぎをしていたのは泥棒仲間から一目置かれている破蔵師の林田義助だった。破蔵師とは土蔵破りの盗賊のことを指し、義助はその中でも群を抜いていた。狙いをつけた家を綿密に調べ上げると土蔵に穴を開け、仲間とともに運び出した品を専門業者に売り払うのだ。歯科医だった父親が死に、残された母や妹、弟を養わなければならなくなった義助はもぐりの歯科医となったが、戦争で薬が手に入らなくなったためにこの稼業に手を染めた。まず財産家の邸に狙いを絞り、歯科の訪問医として家の者に近づくと治療と同時に家族構成や部屋の間取りなどを聞き出した。そしてその情報を持ち帰ると仲間たちを集め作戦を練るのだ。そして決行。当然のことながら捕まることもあり、義助は前科四犯だったが、迷惑を被っていたのは妹のふく子だった。何故なら縁談は兄の前科のせいでいつも破談になるからだ。

仲間と温泉に行った義助は、そのときに出会った芸者桃子といい仲になった。だがそれは表向きで、桃子や女将が寝入ったのを確認すると宿の玄関の鍵をこっそり外して帰った仲間を手引きした。翌朝、帳場の金が盗まれたことに気づいた女将が警察に通報するが後の祭り。義助が財布を盗まれたと演技したことで桃子は信じたのだった。やがて二人は夫婦となったが、彼女は義助の本業を知らぬままだった。ある日、盗品の着物を風呂敷一杯に担いできた仲間の一人が突然現れたため、義助は桃子にがま口を持たせると酒を買いに行かせた。義助はいつも世話になっているからという男からいくつかの着物を貰い、残りを天井裏に隠した。それから数日後、白河警察署の警官が訪ねてきた。里帰りすることなっていた桃子は義助から貰った着物を土産にしようとしたのだが、立派な着物をあげるよりは羊羹で間に合わせて残りを生活の足しにした方が考えてそれを売り払ったのだ。そこから足がつき義助は逮捕されたが、仲間たちとの仁義を守って全ての罪を引っ被り福島刑務所に送られた。翌年、裁判前に保釈された義助は、刑務所で知り合い破蔵師の手ほどきをした自転車泥棒の馬場庫吉の案内で早速その夜から呉服屋の土蔵を狙った。ところが仕事に不慣れな庫吉がヘマしたことで盗品の運び出しに失敗。翌日忍び入った家は庫吉の下調べが甘く番犬がいたことで成果が乏しかった。その翌日も別の場所に忍び込もうとしたのだが、警防団が非常線を張って警戒が厳しくなったことで諦めた義助は庫吉と別れた。線路脇で背広に着替えた義助が一服していると9人の男たちとすれ違った。彼は身の危険を感じたが、男たちは気を止めることもなく歩み去ったことでそれと反対の方向へ走ると積んだ稲藁の中へ飛び込んで身をひそめたのだった。明け方、義助はけたたましく鳴り響く半鐘の音で目覚めた。彼がいるその先で列車転覆事故が発生したのだ。

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日本一のゴマすり男

  • posted at:2018-05-21
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんいちのごますりおとこ
東宝
配給:東宝
製作年:1965年
公開日:1965年5月29日 併映「姿三四郎」
監督:古澤憲吾
製作:渡辺晋 森田信
脚本:笠原良三
撮影:斎藤孝雄
美術:小川一男
録音:増尾鼎
照明:森弘充
音楽:宮川泰 萩原哲晶
整音:下永尚
監督助手:丸輝夫
編集:黒岩義民
現像:東洋現像所
協賛:株式会社梁瀬
製作担当者:堤博康
出演:植木等 浜美枝 中尾ミエ 東野英治郎 進藤英太郎
シネマスコープ カラー 95分

大学を卒業し無事就職も決まった中等はうれしい報告をするために実家に戻った。助産婦と保健婦として働く母の節子は彼の背広姿を見るなり中々かっこいいじゃないかと褒めちぎり、定年後から台所を仕切る父・一郎は今日はうんとご馳走してやるかと張り切った。一郎からすり鉢を手渡された等は、出世前の男がゴマをするのかと不平を口にした。これからの世の中はサービス時代だとの一郎の言葉に首を捻りながら等がゴマをすり始めると、その手際の良さに感心した一郎は社会に出てもその要領を忘れてはいけないと説いた。万年係長のまま定年を迎えた一郎は、「世渡りの知恵が出世の近道」という言葉を肝に銘じさせることで自分の成し遂げられなかった栄冠を息子に勝ち取ってもらおうと考えていたのだ。だが等は、現代が実力本位の時代で実力とファイトさえあれば絶対に認められるという持論を曲げようとはしなかった。

出社初日、後藤又自動車の本社ビル前に立った等は看板を眺めて「よかろう!」と気合を入れた。まだ誰も出社していないショールームに入った彼はこれから売ることになる車の研究を始め、ここにある車が全て自分の物だと思って惚れ込めば客にも自信を持って売ることが出来ると考えたのだ。すると電話のベルが鳴り張り切って受話器を取ると田園調布に住む中村という顧客からだった。一昨日、セールスが午前9時までにビュイック・スカイラークを見せに行くと約束したのだが未だに何の連絡もないのだという。現在8時40分。等は相手が指定する場所に急いで向かった。ゴルフバックを持った中村を見つけた等は早速、車の説明に入ったが、君の会社は客に対して不親切だとお冠だった。そして続けざまにゴルフ場へ向かうように命じ、理由がわからない等は素直に指示に従った。その頃、等の会社では大騒動になっていた。中村の担当だった細川眉子が車がないことに気づき、営業課長は朝礼前なので仮ナンバーを貸し出していないと言った。眉子は急いで警察に盗難の届け出をした。そうとは知らない等はナンバープレートのない車で中村をゴルフ場に送り届けると、お支払いはどうしますかと尋ねた。すると中村は、試乗しただけだから帰ってよろしいと背を向けた。冷やかしのただ乗りだとわかったが、これも宣伝のうちだと自分の言い聞かせて会社に戻ることにした。首都高を軽快に疾走するビュイック。すると追い抜かれたことが気に食わないフォルクスワーゲン・カルマンギアタイプ3の運転手は抜き返そうとムキになって追い掛け、そこに取り締まり中のパトカーも加わって追跡合戦が始まった。そうとは知らない等が会社にハンドルを切ると、後ろの二台もついてきたため首を傾げたのだった。警官が彼を呼び止めると、事務所からも課長たちが飛び出してきて「その自動車泥棒を捕まえてください」と叫んだ。それを聞いた等は、盗んだという車はちゃんとあるしお客様の催促に対し社員として伺うのは当たり前だと言った。そこで初めて彼が新入社員だと知った課長は心底呆れた。事件は解決をしたのでお引き取りくださいと等は警官に言うと、ナンバーなしで公道を走ったのだから道路交通法違反で始末書の提出が必要だと言われた。そこに割って入ったカルマンギアの男がビュイックを売って欲しいと言ったため、等は面倒な契約交渉も始末書の提出も眉子に押し付けたのだった。

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