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タッチ

  • posted at:2020-05-21
  • written by:砂月(すなつき)
たっち
「タッチ」製作委員会(東宝=小学館=オー・エル・エム=日本テレビ放送網)
配給:東宝
製作年:2005年
公開日:2005年9月10日
監督:犬童一心
製作:本間英行
製作統括:島谷能成 亀井修 奥野敏総 高田真治
プロデューサー:山中和成
ラインプロデューサー:前田光治
キャスティングプロデューサー:田中忠雄
アシスタントプロデューサー:遠藤学
原作:あだち充
脚本:山室有紀子
撮影:蔦井孝洋
美術:小川富美夫
照明:疋田ヨシタケ
録音:矢野正人
編集:普嶋信一
助監督:熊澤誓人
製作担当:平山高志
音楽:松谷卓
主題歌:「歓びの種」YUKI
挿入歌:「タッチ」ユンナ
・・・:「夢の続き」ユンナ
製作プロダクション:東宝映画
出演:長澤まさみ 斉藤祥太 斉藤慶太 RIKIYA 平塚真介
アメリカンビスタ カラー 116分

双子の兄弟の上杉達也と和也。そして隣家に住む朝倉南。三人は小さな頃から仲良しで、まるで三つ子みたいと近所の人たちから言われていた。父親たちの影響で野球に興味を持った三人は地元の少年野球団に入ったが、ある日テレビで観た高校野球に影響を受け甲子園に憧れるようになった。三人の元気に手を焼いた親たちは両家の間に共同出資で小さな子供部屋を建てたが、南はその後、二つの悲しみを味わった。一つは母親を亡くしたこと。そしてもう一つは女子の体力では高校野球に参加するのが厳しいことを知ったこと。だが前向きな彼女は叶わない夢を二人に託すことにし「南を甲子園につれていって」とお願いした。

平成16年、三人は明青学園高校に入学した。和也は野球部に入部早々エースとして活躍し、全国高校野球選手権の西東京大会一回戦では強打の武章高校を11奪三振で完封した。南はそんな和也を支えるために野球部でマネージャーの仕事をこなした。一方、達也はというと特に目標もなく高校生活を送っていた。ところが強面のせいか常にケンカを売られるボクシング部の原田正平と同級生だったせいでその巻き添えを食うこともあり、成り行きでボクシングを始めることになった。それを知った和也は達也が何故再び野球を始めないのかが不思議でならなかった。球速は彼の方が上なのに。

和也の活躍で明青が大澤高校を1-0で下した頃、達也はデビュー戦でKO負けした。猛練習したにも拘らず不甲斐ない負け方をした彼は悔しくてたまらずに会場から姿を消し、そのおかげでマネージャーの日向小百合が自宅まで道具を届けなければならなくなった。小百合は達也の母・晴子に頑張ってましたよと報告し、負けたことがわかるとそれ以上のことは聞かなかった。その夜、晴子から結果を聞いた南は元気づけようと寝室に行き、ふて寝する達也に励ましの声を掛けた。だが気持ちの晴れない達也は、優しい女の子だったら黙ってキスのひとつくらいしてくれるんじゃないのとぶっきら棒に言った。すると南は達也に近づいて行った。

明青は順調に勝ち上がり、ついに決勝戦にたどり着いた。だが対戦相手の須見工業高校は打率7割5分の強打者・新田明男を擁していた。和也は中学時代に一度だけ対戦していたが、そのときは完璧に抑えていた。野球なんて次はどうなるかわからないと和也が言うと、カッちゃんの勝利は保証するから大丈夫と南は言った。それを聞いた和也は、勝利の女神にキスでもしてもらおうかなと呟いた。彼は数日前に二人がキスについて話しているのを偶然聞いてしまったのだ。嫉妬する和也は達也が南の父・俊夫から頼まれた草野球について行き、そこで南を賭けた勝負をすることにした。

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地獄(1979年)

  • posted at:2020-05-18
  • written by:砂月(すなつき)
じごく
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1979年
公開日:1979年6月3日
監督:神代辰巳
企画:翁長孝雄 日下部五朗 松平乗道 奈村協
脚本:田中陽造
撮影:赤塚滋
照明:金子凱美
録音:溝口正義
美術:鈴木孝俊
音楽:真鍋理一郎
編集:玉木濬夫
助監督:俵坂昭康
記録:梅津泰子
和楽:中本敏生
装置:稲田源兵衛
装飾:山田久司
背景:西村三郎
スチール:石丸泰規
宣伝担当:佐々木嗣郎 田中憲吾
美粧:田中利男
結髪:伊藤実
衣裳:豊中健
演技事務:西秋節生
擬斗:土井淳之祐
企画助手:杉本直幸
進行主任:長岡功
視覚効果:中野稔
光学撮影:デン・フィルム・エフェクト
特殊音響効果:小森護雄
作詞・作曲・唄:山崎ハコ
協力:市山パースル 鈴鹿サーキット チーム オスカー スピード・スター・レーシング 鶴来 和田屋
特殊撮影・撮影:株式会社特撮研究所 高梨曻
特殊撮影・美術:株式会社特撮研究所 大沢哲三
特殊撮影・操演:株式会社特撮研究所 鈴木昶
特殊撮影・照明:株式会社特撮研究所 日出明義
特殊撮影・進行:株式会社特撮研究所 中村義幸
特撮監督:矢島信男
出演:原田美枝子 林隆三 田中邦衛 栗田ひろみ 石橋蓮司
アメリカンビスタ カラー 131分

昭和30年、生形竜造は臨月のミホを連れて駆け落ちした。ミホは竜造の兄・雲平の嫁であり、腹の中には竜造との不義で出来た子がいた。それが自分の子でないことを知った雲平は激怒し、身の危険を感じた竜造はミホとともに険しい山越えを試みたのだった。ところが山小屋で休息を取っているところを見つかり、竜造は猟銃で射殺された。一方、逃げ出したミホは狩猟用のトラバサミに掛かって動けなくなり、雲平は地獄の苦しみを味わわせようと殺さずに放置したのだった。帰ってきた雲平からそのことを聞いた竜造の妻・シマはミホのもとへ行き、地獄でその子を産めばいいと吐き捨てるとすがる手を振りほどいて去って行った。一人残されもがき苦しむミホが息絶えると同時に久能寺の卒塔婆の金輪が回り始め、程なくして村人たちが彼女の亡骸を見つけた。すると腹が波打ち始め、元気な泣き声の赤ん坊が産まれるとミホはあの世へ行った。気がつくと彼女は賽の河原をとぼとぼと歩いていた。目の前には大きな木があり、そこにいた懸衣翁と奪衣婆が無言で近づくと彼女の着物を剥ぎ取った。懸衣翁と奪衣婆は三途川の番人であり、着物を木の枝に掛けることでその者の罪の重さを計ることが出来るのだ。姦通の罪だけにとどまらずその子を産み落としてきたことを知った懸衣翁は、己とともに地獄へ落ちるべき不倫の子は例え現世で生きようとも地獄がついて回るぞと忠告した。そして生まれながらに地獄を背負った赤子の生き様を見届けるのだと言った。

昭和50年、レーサーの水沼アキはレース中に大事故を起こし、休養のために旅に出た。彼女が選んだ旅先は鬼涙温泉だったが、乗車した列車の乗降口前で雑誌を読んでいたところ何処からか自分の名を呼ぶ声が聞こえた。すると突然ドアが開き彼女は外へ吸い出されたが、異変にいち早く気づいた男によって助けられた。彼の名は生形幸男と言い、鬼涙温泉駅の一つ先にある生形村の出身者だった。美術雑誌の出版社に勤めていたが、窯元である本家を継ぐために戻ってきたのだ。鬼涙温泉が先日の地震で湯元が枯れ閉鎖されていることから、幸男は生家にアキを連れて行くことにした。ところがアキはこの家にきたのが初めてにも拘らず隅々まで知っている気がした。一方、シマも彼女を見るなり顔色が変わった。そして入浴中のアキの尻に痣があることを知り確信すると明日にでも帰ってもらって欲しいと幸男に言った。20年前、ミホが産み落とした子をシマは事故に見せ掛けて殺そうとしたが下男の山尾治に止められた。村人たちは彼女がその子をどう育てるか興味を持って観察していたからだ。そこで山尾は離れた町に捨てられていた子とその子を交換し東京の養護施設に預けたのだが、身元を明かしていないにも拘らず戻ってきたことにシマは運命を感じた。そこで彼女は何とか村を出て行ってもらう方法はないものかと考えを巡らせた。

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会社物語 MEMORIES OF YOU

  • posted at:2020-05-14
  • written by:砂月(すなつき)
かいしゃものがたりめもりーずおぶゆー
坂本事務所=SEDIC=市川準事務所
配給:松竹
製作年:1988年
公開日:1988年11月26日
監督:市川準
製作:坂本敏夫
プロデューサー:中沢敏明
脚本:鈴木聡 市川準
音楽:板倉文
撮影:小野進
美術:菊川芳江
録音:熊谷良兵衛
照明:小中健二郎
編集:冨宅理一
助監督:米山紳
制作担当:高橋憲行
記録:川野恵美
スチール:上牧佑
スタイリスト:南平和子
擬斗:車邦秀
音楽プロデューサー:安藤賢次 庵豊
アートコーディネーター:市川敏明
企画協力:中井純一
製作協力:渡辺プロダクション
提携:松竹 日本テレビ放送網 坂本事務所 SEDIC
出演:ハナ肇 西山由美 谷啓 犬塚弘 桜井センリ
アメリカンビスタ カラー 99分

東京商事で勤続34年の総務課長・花岡始は間もなく定年を迎えようとしていた。仕事の引継ぎが終わったことで特に何もすることがなくなった彼は、自分のデスクからお茶をすすりながら部下たちの仕事ぶりを眺めるのが日課となった。仕事のストレスから解放されたからか朝早く目覚めるようになり、おかげで出勤時のラッシュアワーに遭うことはなくなった。だが家に帰れば見慣れた妻と顔を合わせなければならず、離婚した長女は娘と同居、受験に失敗した長男は予備校通いと別のストレスが溜まった。そんな花岡の一服の清涼剤は新入社員の西山由里が朝早くから笑顔で出迎えてくれることだった。退職を機に郊外へ引っ越すことにした花岡は、この地での最後の思い出に見慣れた河川敷で家族間でのささやかな焼肉パーティーを行ったが、定年後の彼を心配した妻は市役所でもらってきた趣味講座のチラシを手渡した。趣味を持たない花岡にとってどうでもいいようなものばかりだったが、何処からか聞こえてきたトロンボーンの音色に思わず耳を傾けた。

引っ越しが一段落した頃、花岡は同僚たちから陰口を叩かれていることを社内のトイレで偶然知った。その夜、久しぶりに別の課の谷山啓と飲みに行った花岡はそこで自分が昔、立川にある米軍基地のクラブでドラムを叩いていたことを話した。六大学の花形トロンボーン奏者として有名だった谷山が定年前に会社でジャズを演奏してみたいと言ったことに触発されたのだ。その頃を思い出し深酒をした花岡は帰り道にふらついて電柱に額をぶつけ、翌日は長男が警察にやっかいになり妻と謝りに行った。年末が目前に迫り何かと慌ただしい中、花岡は会社に迷惑を掛けまいと部下の木村台子に送別会を行わない旨の書類の作成を頼んだ。用事を済ませて席に戻ると封筒が置いてあり、その中には二人だけで行う由里主催の定年パーティーの案内が入っていた。驚いた花岡は視線で彼女を捜したが、その仕掛け人は台子だった。台子にとって朗らかで実直な花岡は太陽のような存在であり、私生活で何かあっても会社に行くことで元気をもらえた。 ある日、その花岡が由里を見るときだけ違う目をしていることに気づいた台子は、感謝のつもりでデートしてあげて欲しいと言った。パーティーは午後7時からだったが、重役会議と称した麻雀に誘われ抜けることが出来なくなった。ようやく終わった時には予定の時間を大きく過ぎており、急いで駆けつけると由里は辛抱強く待っていた。食事をし、今まで一度も足を踏み入れたことがないディスコへ行き、定年祝いの花をもらった。上機嫌でタクシーに乗ったが、伝えることを忘れていたことに気づき戻ると、由里は若い恋人とキスをしていた。ショックを受けた花岡はうなだれたまま家に帰った。

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ルパン三世 風魔一族の陰謀

  • posted at:2020-05-11
  • written by:砂月(すなつき)
るぱんさんせいふうまいちぞくのいんぼう
東宝=東京ムービー新社
配給:東宝
製作年:1987年
公開日:1987年12月18日 
演出:大関雅幸
プロデューサー:竹内孝次
原作:モンキー・パンチ
脚本:内藤誠
監修:大塚康生
作画監督:友永和秀
美術監督:小林七郎
撮影監督:斉藤秋男
録音監督:浦上靖夫
編集:瀬山武司
音楽:宮浦清
主題歌:「セラヴィと言わないで」麻倉未稀
効果:フィズ・サウンド
タイトル:高具アトリエ
録音:APUスタジオ
現像:東京現像所
色指定:山本智子
制作デスク:南部正昭
演出助手:難波桂子
演出補佐:富沢信雄
声の出演:古川登志夫 銀河万丈 塩沢兼人 小山茉美 加藤精三
アメリカンビスタ カラー 73分

紅葉鮮やかな飛騨山中の神社で石川五右ェ門の結婚式が行われようとしていた。花嫁は墨縄家の跡取り娘・紫で、五右ェ門は婿養子となるのだ。式が粛々と行われる中、古来の習わしである墨縄家相伝の壺を花婿に渡す儀式が行われようとしていたが、突然現れた覆面装束の男たちにそれを奪われてしまった。出席していたルパン三世、峰不二子、次元大介による連携プレーで壺は何とか取り返したが、代わりに紫が連れ去られてしまった。

岐阜県警の風見刑事は飛騨の山寺を訪ねていた。その目的とはルパン逮捕に心血を注いできた銭形幸一と会うためだった。ある事件を追っていたインターポール専任捜査官の銭形警部はルパンが船上で爆死したのを見届けた。生き甲斐を失った彼は職を辞して出家し、妻子とともに飛騨の山寺に移り住むと毎日ルパンの供養を行っていたのだ。風見はさりげなく神社で壺の争奪戦を行うルパンの写真を見せ、昼頃に起こった強盗事件の犯人だと嘘をついた。そしてもしルパンが死んだのならこの男は一体誰なんでしょうと言った。写真を食い入るように見る銭形の目の色が変わった。

日が暮れ辺りが暗くなる中、警官たちは捜査と警備で屋敷の周りを走り回っていた。その頃、壺を前に考え事をしていた墨縄老人はある決断をし五右ェ門に伝えた。「紫のことは諦めてくだされ」。墨縄家の祖先はからくり細工屋で、その仕掛けの発明は遠く大化の頃から知られていた。ある時、からくりの腕を使って子孫の将来のための財宝を地面の底深くに隠すという出来事があり、その在り処を示す鍵となるのがあの壺だった。昼間現れた覆面装束の男たちは400年の長きに亘り壺を狙う風魔一族という盗賊で、墨縄老人は一族の長の責任として命を懸けて壺を守る決意を固めたのだった。その夜、からくり細工の隠し金庫に隠された壺を盗み出したルパンは次元とともに頭を捻り、偶然謎を解き明かした。

翌深夜、風魔一族が残した「D51 明晩一時」と記されたメモを手掛かりにして機関車の操車場にやってきたルパンたちは壺と引き換えに紫を、そしてあわよくば両方ともいただこうと考えていた。ところが彼を追ってきた銭形が現れたことで話がややこしくなった。次元がSLを動かしたことでルパンたちはその場から逃げ出すことに成功したが、壺は風魔に渡ったままだった。一方、財宝を独り占めにしようと考え風魔を調査していた不二子は、アジトが建築会社の風間組であることを突き止めていた。

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前科おんな 殺し節

  • posted at:2020-05-08
  • written by:砂月(すなつき)
ぜんかおんなころしぶし
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年10月27日 併映「現代任侠史」
監督:三堀篤
企画:吉峰甲子夫 高村賢治
脚本:松田寛夫 神波史男
撮影:飯村雅彦
録音:内田陽造
美術:北川弘
照明:桑名史郎
編集:祖田冨美夫
助監督:橋本新一
記録:勝原繁子
擬斗:日尾孝司
スチール:加藤光男
進行主任:入葉一男
装置:小早川一
装飾:上原光雄
美粧:住吉久良蔵
美容:石川靖江
衣裳:内山三七子
演技事務:石川通生
現像:東映化学
音楽:八木正生
主題歌:「ふうてんぐらし」池玲子
出演:池玲子 杉本美樹 風間千代子 宗田政美 片山由美子
アメリカンビスタ カラー 83分

女子刑務所に送られてきた羽鳥マキは、罪名や刑期を知りたい同室の芦田かおるたちから話し掛けられてもふてぶてしい態度で無視した。頭に血が上ったかおるに対し谷政代は大人げないとたしなめ、マキにも新入りらしく古株を立てるべきだと注意した。ところがそれでも態度を改めようとはしないことから政代はタイマンでヤキを入れることに決めた。翌日、政代は刑務官の目を盗み建物の裏へマキを呼び出した。お互いが紐の端を咥え、窓ガラスの破片を武器とする。勝負の行方を見届けるのはかおるを始めとする女囚たちだった。一進一退の攻防で白熱する中、お互いのガラスが砕け散ると勝負は取っ組み合いに変わり死闘は長時間に及んだ。スタミナ切れでマキの方が先にぶっ倒れてたのだがそれでも立ち上がってこようとし、その姿に根負けした政代が白旗を上げると、かおるたちも心意気を認めたのだった。

政代たちに心を開いたマキは収容部屋へ戻ると身の上に起こったことを話し始めた。ヤクザに脅されたマキの父親は麻薬の売人をさせられていたが、組織の掟を守るために消された。この世にたった一人の身寄りだった父親を奪われたばかりかヤクザ連中に輪姦されたマキは復讐するために組長がいるバーへ単身で殴り込んだのだった。計画は失敗し警察に逮捕されたが、彼女は再び復讐するつもりでいた。その組織が大場興業だと知ると政代の顔色が変わった。

数年後、出所したマキを待っていたのは先に出所していたかおる、木村夏子、中川雪江の三人だった。組長の大場喜一をただ殺すだけでなく父親にした仕打ちを味わわせてやろうというマキの気持ちを汲み協力することにしたのだ。計画が始動すると夏子と雪江はまず大場興業のついての情報収集を、かおるは最適なアジトを探すことになった。1週間後に合流するまでにマキは米軍の関係者と手当たり次第に関係を持ち、多額の現金と銃や手榴弾など横流しの武器を手に入れたのだった。一方、雪江たちは大場について調べ上げていた。元々この街は戦前から浜安組が縄張りにしていたが、10年ほど前に強引に割り込んできて一帯の盛り場をもぎ取ったのが愚連隊上がりの大場だった。その後、浜安組と大場興業との間で小競り合いが続き、2年前の大出入りで大場が勝ったが、浜安組が完全に潰される前に仲を取り持ったのが市会議員の淡野亀次郎だった。命拾いした浜安組が港湾の荷役の仕事で細々と暮らしているのに対し、大場興業は街の事業を独占した上に裏では覚醒剤の取引を一手に握った。大場は浜安組をいつでも潰すことが出来たが、そうしなかったのは組長・浜田安太郎のバックに狂犬のような息子の鉄がいるからだった。マキは鉄を利用することも考えたが、覚醒剤を取り仕切る四人の幹部の殺害を優先することにした。火を点ければ勝手に燃え上がるに違いないからだ。

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