松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1974年
公開日:1974年8月3日 併映「超能力だよ全員集合!!」
監督:山田洋次
製作:島津清
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:佐藤公信
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
監督助手:五十嵐敬司
装置:小野里良
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:益田市観光協会 温泉津町観光協会 津和野町観光協会 柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 吉永小百合 前田吟 三崎千恵子
アメリカンビスタ カラー 104分
葛飾柴又にある老舗の団子屋とらやの主人・車竜造は甥の寅次郎が帰ってくる夢を見た。元気で幸せそうな彼はいきなり近寄ってきて、長い間心配掛けたけどとうとう結婚したよと言った。それを聞いた竜造は胸が一杯になり泣いていたところを妻のつねに起こされたのだった。そんな話を姪のさくらの前でしていると、その当人が帰ってきた。寅次郎は土産を皆に渡すと島根県にある温泉津温泉での話を始めた。そこの温泉旅館で働いていた彼は近所に住む絹代に恋をしていたが、それがどんな人かとさくらが尋ねると照れてそれ以上話さず二階へ上がった。その夜、寅次郎は食事時に絹代のことを話し始めた。年は三十代半ばで二人の子供がいる彼女は陶芸をして一日中働いている。夫は三年ほど前に上方へ仕事に出たまま行方がわからなくなっており、絹代の健気な姿に寅次郎は心を打たれたのだった。そうなると竜造たちの関心は結婚に絞られるが、さくらの夫・諏訪博が話を深く掘り下げると二人は結婚どころではなくまだ並んで歩いたことすらないことがわかった。それは寅次郎の熱烈な片思いであり、結婚相手として相応しいかを相談するために帰ってきたのだ。勝手にそれを結婚話だと思い込んだことをさくらが代表として謝り、そのお詫びとして彼女は寅次郎と交渉に手慣れた朝日印刷所の社長・桂梅太郎を連れて温泉津温泉に向かった。タクシーが停まったのは石見焼の窯元の工房で、絹代は寅次郎の姿を見るなり満面の笑みで駆け寄ってきた。だが彼女が発したのは意外な言葉だった。二日前に夫が突然帰ってきたというのだ。よかったと作り笑いをする兄をさくらは不憫に思った。その夜、宿泊した旅館で寅次郎は梅太郎をヤケ酒につき合わせたが、翌朝早くに置き手紙して旅立った。
津和野を訪れた寅次郎が食堂でうどんをすすっていると、何処かで聞いたような声の女性が入ってきた。振り返ってみるとそこには二年前に彼が恋心を抱いた歌子が立っていたのだ。歌子は多治見で陶芸家と結婚したが、彼は昨年の秋に病気で他界した。夫が実家で亡くなったため歌子はそのままこの町に住み続けていたのだった。話をひと通り聞き終えた寅次郎は力になりたいと思ったが、掛ける言葉を探すうちにバスがきた。別れ際に、もし何かあったらとらやを訪ねてきなさいと言うと、歌子は小さく頷いた。
屋台的映画館
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