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マメシバ一郎3D

  • posted at:2017-02-28
  • written by:砂月(すなつき)
まめしばいちろうすりーでぃー
「マメシバ一郎」製作委員会(アミューズメントメディア総合学院=tvk=テレ玉=チバテレ=三重テレビ=KBS京都=サンテレビ=札幌テレビ放送=TVQ九州放送=とちぎテレビ=NTTぷらら=竹書房)
配給:AMGエンタテインメント
製作年:2011年
公開日:2012年2月4日
監督:亀井亨
企画:AMGエンタテインメント
製作総指揮:吉田尚剛
製作:熊谷典和 遠藤圭介 梶野元延 波多美由紀 伊藤義行 江副純夫 菅村峰洋 矢上尚宏 星野高章 小川貴史 伊藤明博
プロデューサー:飯塚達介 森角威之
ラインプロデューサー:田口梓
脚本:永森裕二
撮影:中尾正人
美術:西村徹
照明:福田裕佐
録音:甲斐田哲也
助監督:島崎謙太郎
ヘアメイク: 唐澤知子
衣裳:永井伸子
制作担当:柏田藤子
音楽:野中”まさ”雄一
主題歌:「大切なキミ」高橋直純
アニマルトレーナー:ZOO動物プロ
編集:亀井亨
DIT:石川真吾
VFX:東海林毅
音響効果:丹愛
整音:甲斐田哲也
制作プロダクション:杜方
出演:佐藤二朗 臼田あさ美 高橋洋 高橋直純 一郎
ワイドビジョン カラー 59分

中年ニート・芝二郎(37歳)は長年引きこもり生活をしているが、そんな彼を放置して父・良男は山小屋の主人を、母・鞠子はベネズエラで看護師として新たな人生を謳歌していた。その結果、この大きな幼児を押し付けられた形になっているのが親戚一同だった。芝家の隣に住む叔母・富子の郵便受けには電気、水道、ガスの督促状がねじ込まれ、いとこの加代子のところへは寿司の請求書が回ってくる始末。富子は二郎の生活を安定させるために見合いを計画し、彼が心を許す数少ない人物の中のひとりである夫の重男を差し向けたのだった。

ご近所情報をブログに書き込み炎上に喜びを感じていた二郎だったが、自らビデオカメラで撮影し投稿サイトにアップロードした動画が好評を得ていることがわかると新たな作品作りにハマった。何故なら、ブログに貼付したアフィリエイト広告で小遣い稼ぎが出来ることを知ったからだった。二郎が最近取り組んでいるテーマは、愛犬の一郎と重男のコンビが出演する「老人と犬」だった。重男が撮影に協力する目的はもちろん見合いを成功させることだが、恋愛経験の乏しい二郎に怪しまれないようにするために「犬のお友達探し」ということにしていた。明後日に迫る見合いのために重男が相手の写真を見せると、二郎はある疑問を口にした。犬のお友達探しに何故飼い主が写っているのか、と。それを聞いた重男が飼い主同士だって大事じゃないかと言うと、二郎は疑惑の目を向け動揺する彼にこう言った。「犬にかこつけて若い女性にお近づきになりたいんでしょ?」。ホッとした重男が人とのコミュニケーションは大事だと言うと、二郎の返事は「そんなのはナッシングだ」。

見合いのことが気になっていた二郎の親戚の財部陽介は、郵便配達そっちのけで芝家にやってきた。ワンコのために何故そうも盛り上がれるのかと二郎が尋ねると、陽介は一郎が飼い主に似て引きこもってもいいのかと言った。すると部屋に重男が現れ、見合い相手の鎌田晶子を待たせては申し訳ないと二郎を引っ張って言った。見合いが始まると二郎はノーコメントを貫き、職業を尋ねてきた晶子に個人情報だから明かせないと言った。冷や汗をかく重男はIT関係だと言ってその場を取り繕い、実家の和菓子屋がネット通販を行い晶子がそれを担当していることがわかると、陽介は二郎と話が合うかもしれないと場を盛り上げようとした。だが二郎は、ボクと話が合っても仕方なかろうと言った。そして一郎を放すとビデオカメラを取り出し晶子が連れてきたつくねちゃんと遊ぶところを撮り始めたのだ。じゃれ合う二匹のいたずらはエスカレートし、その後は・・・。晶子が怒って帰る中、重男と陽介はひたすら頭を下げ続けたが、二郎はハプニング映像が撮れたことに満足していた。

屋台的映画館
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唐獅子株式会社

  • posted at:2017-02-23
  • written by:砂月(すなつき)
からじしかぶしきがいしゃ
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1983年
公開日:1983年12月17日 併映「ドラゴン特攻隊」
監督:曽根中生
企画:天尾完次
原作:小林信彦
脚本:内藤誠 桂千穂
構成:笠原和夫
プロデューサー:井上真介 木村政雄 林信雄
撮影:鈴木耕一
録音:川島一郎
照明:梅谷茂
美術:今保太郎
音楽:甲斐正人
助監督:田中雄二
編集:西東清明
音響効果:原尚
音楽事務:新井明美
記録:勝原繁子
制作調整:山田光男
装置:開米慶四郎
背景:植田義明
美粧:武藤佳子
美容:石川靖江
衣裳:福崎精吾
装飾:岡万雄
演技事務:鎌田賢一
宣伝担当:松田仁 荒井一弥 西嶋光弘 藤沢正博
スチール:関谷嘉明
擬斗:西本良治郎
刺青:毛利清二
水中撮影:中村征夫
進行主任:酒井喬二
現像:東映化学
カー・スタント:高橋レーシング
協力:KOBEポートピアランド
衣裳協力:(株)フーフォレー
製作協力:吉本興業株式会社
音楽プロデューサー:高桑忠男 石川光
協力:アロー・エース
主題歌:「ローリング・ストーン」山本譲二
挿入歌:「唐獅子ロック」甲斐智枝美
・・・:「坂津の夜は泪色」甲斐智枝美
・・・:「惚れたお前は大阪の女」唐獅子ブルースバンド
出演:横山やすし 伊東四朗 桒名正博 甲斐智枝美 佳那晃子
アメリカンビスタ カラー 102分

三年の刑期を終え出所したダーク荒巻。彼を出迎えたのは須磨組の組員ではなく、これまで彼に痛めつけられた島田組のヤクザだった。車にねじ込まれ身動き出来なくされたダークだったが、アクシデントに遭った隙に逃げ出すと慣れ親しんだ事務所に戻った。ところがそこには須磨組の看板はなく、その代わりに唐獅子通信社という見慣れぬものが。彼はちょうど外に出てきた原田に須磨組は何処に行ったのかと尋ねると、ここだという。理解出来ないダークが哲兄ぃに会わせろと息巻くと、専務のことを軽々しく呼ぶなと抵抗した。そして事務所になだれ込み大暴れしていると、その専務の黒田哲夫が現れたのだった。黒田がダークに気安く挨拶したことで、原田は大阪刑務所で出迎えた男が別人だったことに気付いたのだ。慌てた彼は客人として迎えた男を応接室から連れ出すと仲間とともに痛めつけて窓から放り出したのだった。男は島田組のチンピラだった。今回はワシの顔を立てて勘弁してくれと黒田が謝ると、ダークは三年間ご無沙汰してましたと抱き付いた。

社長の須磨義輝は息子の安輝のことで頭を痛めていた。安輝がフランス料理のコックになりたいと言い出したことで超一流ホテルの料理長を家庭教師として招いているが、そうなると組は後継者を失うことになるのだ。二代目組長の跡目を巡って内部抗争が起きることを避けたい須磨は人の調和を大切にすることを考え、「唐獅子通信」を発刊して自分の精神を他の組員やカタギの衆にまで普及しようとしたのだ。ダークの出所祝いを開いた義輝はそのことや日本の文化について切々と説いたが、そこに現れた彼の娘の輝子がこれからのカルチャーはマネーと結びつかないと意味がないと言った。ナウいことしてお金をガッポリ。「これからはビデオの時代」という彼女の言葉に影響を受けた義輝は新たな事業を立ち上げることにした。黒田が出資し原田が監督を担当して成人向けビデオ映画を撮ることになったが、素人同然の彼らではうまく行くはずがなかった。

新し物好きの義輝は「唐獅子芸能社」という会社を設立することにした。タレントを育てて派手に売りまくりガッポリといただくマネージメント事業。それは輝子の入れ知恵だった。一流になるためにはどのような苦労もするという伊吹ひとみの言葉に惚れ込み、6週間後に迫る坂津音楽祭に出演して大々的に売り出せば大きな反響を得られることは間違いなかった。だがそうなるには東京のテレビのコンテスト番組で優勝させる必要があったことから、義輝は一度だけテレビに出演した経験のあるダークを指名し彼女を託すことにしたのだ。ダークはひとみに会ってみたが、魅力的な体つきをしているものの声が大きいだけで歌が心に響かなかったため頭を抱えた。

屋台的映画館

幼獣マメシバ

  • posted at:2017-02-18
  • written by:砂月(すなつき)
ようじゅうまめしば
「幼獣マメシバ」製作委員会(AMGエンタテインメント=アミューズメントメディア総合学院=tvk=テレ玉=チバテレ=三重テレビ=KBS京都=サンテレビ=NTTぷらら=竹書房=デスペラード=ギガネットワークス)
配給:AMGエンタテインメント
製作年:2009年
公開日:2009年6月13日
監督:亀井亨
製作:永森裕二 間宮俊二 関佳史 松本宏 青柳洋治 波多美由紀 細井俊介 江副純夫 小川貴史 伊藤明博 曽我勉 岡田修紀
プロデューサー:森角威之
ラインプロデューサー:岩城一平
原案:永森裕二
脚本:永森裕二
撮影:中尾正人
美術:西村徹
照明:白石宏明
録音:甲斐田哲也
助監督:芦塚慎太郎
ヘアメイク: 河野顕子
衣裳:永井伸子
制作担当:齊藤光司
音楽:野中”まさ”雄一
主題歌:「あの丘へ」高橋直純
劇中歌:「ぼんⅩ2」FoU
出演:佐藤二朗 安達祐実 渡辺哲 高橋洋 志賀廣太郎
シネマスコープ カラー 106分

実家暮らしの中年ニート・芝二郎(35歳)は長年引きこもり生活をしている。子供の頃、友達が旅行へ行っていることをうらやましく思い父・良男にそのことを話すと、良男は息子が二度と旅行の話を持ち出さないように「県道の先には悪い人や人を騙す人、いがみ合っている人しかいない」と嘘を言ったのだ。何事も真に受けやすい性格の二郎はそれを信じ込み、それ以降は町内から出ることはなかった。うまい棒さえあれば自宅から半径3キロ以内で何とか出来ると考えるようになった彼は、最近ではブログ更新に生き甲斐を見出しアクセス数を稼ぐことに執着していた。そのために犯罪スレスレのご近所情報を書き込んで炎上騒ぎが起こしていたが、当事者たちは皆それを黙認した。何故なら良男は自宅周辺の地主であり、彼らはその借主だったからだ。ある日、良男が旅行先で亡くなり、葬儀が終わると母・鞠子も失踪した。四十九日法要で親戚が集まり相続の会議を開いたが、二郎は煩わしい話し合いに加わるつもりなどなかった。

二郎の親戚で郵便配達員の財部陽介は、また今日も差出人が鞠子のハガキを届けに来た。引きこもり生活を続ける息子を外界に触れさせようと考えた鞠子は、行方をくらまして居場所のヒントを与え自分を捜させようと試みたのだが、二郎は乗ってこなかった。ある日、スーパーでうまい棒を大人買いした帰り道に二郎は赤いスカーフを巻いた子犬のマメシバと出会った。逃げると追いかけて来るため、困った彼は手にしていたうまい棒を投げて興味を逸らし、その隙に逃げ帰ったのだった。だが自室でいつものようにパソコンのキーを叩いていると、陽介が庭でじっとしていたマメシバを連れて来たのだ。迷惑がる二郎に渡したハガキには「もういいよ。 芝一郎」と書かれてあり、それがこの犬のことだとわかると、たぶんこの犬を使って自分を捜せというヒントだと陽介は言った。だが子犬との生活を想像出来ない二郎は、翌日ペットショップで引き取ってもらうことにした。ところがそれには問題があった。ペットショップが彼の行動圏外にあるからだ。何とか勇気を振り絞って踏切を越えると地図を頼りに目的地に向かった。店員の市村景虎が家族の承諾は得ているのかと尋ねると、二郎は目を泳がせながらもちろんと答えた。すると景虎は「二郎ちゃん 一郎と仲良くね 母」と書いたメッセージが首輪についているのを発見し、母親が賛成していないことを知った。困った二郎は引き取ってくれなかったらこいつを捨てるよと脅したが、だったらここに来るまでにそうしますよねと言われ動揺した。そして犬は人を見ますからねと言われるともうどうしようもなかった。だがそれでも飼えないと頑固に突っぱねると、景虎は「犬と人の合コン」があることを教えた。

屋台的映画館

アルゼンチンババア

  • posted at:2017-02-13
  • written by:砂月(すなつき)
あるぜんちんばばあ
「アルゼンチンババア」製作委員会(バップ=双日=Yahoo!JAPAN=トムス・エンタテインメント=TOKYO FM=読売広告社=OLM=WOWOW=読売新聞東京本社)
配給:松竹=キネティック
製作年:2006年
公開日:2007年3月24日
監督:長尾直樹
製作総指揮:平井文宏
製作:篠崎安雄 内山伸一 日下孝明 喜多埜裕明 古賀督徳 武内英人 柳田和久 奥野敏聡 廣瀬敏雄 大月曻
エグゼクティブプロデューサー:大島満 松江正俊 松尾宗俊 宮坂学 松元理人 古川一博 雲出幸治 三宅川敬輔 那須野哲弥 戸島雅彦 飯泉宏之
プロデューサー:岡本東郎 滝田和人 和田倉和利
ラインプロデューサー:鶴賀谷公彦
原作:よしもとばなな
絵:奈良美智
脚本:長尾直樹
脚本協力:金子ありさ
音楽:周防義和
撮影:松島孝助
美術:池谷仙克
照明:石田健司
録音:橋本泰夫
編集:高橋幸一
キャスティング:吉川威史
スケジューラー:大野伸
装飾:田辺丈二
スタイリスト:下田眞知子 櫻井まさえ
ヘア・メイク:田中マリ子
VFXスーパーバイザー:石井教雄
音楽プロデューサー:武田秀二
音響効果:伊藤進一
スクリプター:目黒亜希子
助監督:志賀研介
製作担当:松村龍一
出演:役所広司 堀北真希 森下愛子 手塚理美 岸部一徳
アメリカンビスタ カラー 112分

小学生の涌井みつこが住んでいる町の隅っこに、みんなが「アルゼンチンの遺跡」と呼んでいる古いビルがあった。そこに住んでいたのはアルゼンチンからやってきたちょっと変わった女性で、昔はこの場所でタンゴやスペイン語を教えていた。だがそれを止めてからは頭がおかしくなって変な宗教をやっているとか、呪文で猫を集めては皮を剥いで売っているとか、彼女に関する様々な噂話が飛び交っていた。町の人々はそんな彼女のことを「アルゼンチンババア」と呼んでいた。

十年後、高校生になったみつこはとても大変な事態に直面していた。学校から帰った彼女は病気の母・良子を父・悟と見舞うことになっていたが、何故かその日に限って彼は行くのを避けたのだ。最愛の良子が入院して以来、一日も欠かさずに通っていたのに。不思議に思いながらひとりで母の病室へ行くと、良子は穏やかな顔のままベッドで意識を失っていた。異変に気付いた看護師の連絡を受けた医師が治療を行うことになり、邪魔になるみつこは病室から追い出された。廊下の彼女は自宅に電話を掛けたが、悟は出ようとしなかった。治療の甲斐なく良子は息を引き取り、母を失ったみつこは悲しみに暮れた。その頃、悟は姿を消していた。

悟が突然いなくなったことで母の葬式の手配などはみつこが行わなければならなかった。心も体も疲れ果てた彼女が寿司桶を乗せた自転車を押しながら夜道を歩いていると「回生堂治療院」という看板がふと目に留まった。店内に客はおらず、いたのは見習いの向井守ひとり。閉店しようとした矢先にやってきたみつこに僕でよければと守がいうと、彼女は小さく頷いた。寿司桶に気付いた守が何か集まりでもあるんですかと尋ねると、みつこは母の誕生日ですと嘘をついた。それを聞いた守はお祝いの言葉を言うと、お母さんの誕生日ということはあなたの誕生日でもあるわけですねと言った。そして不思議そうな顔をするみつこに構わず、守はお母さんが生まれなければあなたも生まれなかったわけですからと言った。その言葉に彼女の涙は止まらなくなった。

心の拠り所を見つけたみつこは回生堂で受付のアルバイトを始め、学校が終わると真っ先に駆けつけた。半年が経った頃、いつもの様に電話を取ると、悟と親しいうなぎ料理・白井屋の主人・白井順三からだった。ついに悟が見つかったという。だがその場所はアルゼンチンババアが住むアルゼンチンの遺跡だった。

屋台的映画館

影を斬る

  • posted at:2017-02-07
  • written by:砂月(すなつき)
かげをきる
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1963年
公開日:1963年3月1日 併映「定年退職」
監督:池広一夫
企画:財前定生
脚本:小国秀雄
撮影:武田千吉郎
録音:奥村雅弘
照明:加藤博也
美術:西岡善信
音楽:斎藤一郎
編集:菅沼完二
装置:川口隆
擬斗:宮内昌平
邦楽:中本敏生
音響効果:倉島暢
助監督:遠藤力雄
製作主任:橋本正嗣
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 嵯峨三智子 坪内ミキ子 成田純一郎 松本錦四郎
シネマスコープ カラー 82分

東北最大の雄藩として禄高六十二万五千石、藩士の数は三万五千名を超えるという伊達陸奥守忠宗の居城、仙台青葉城。城内にある御金奉行所や御蔵奉行所、御勘定奉行所では居眠りする暇もないほど皆せわしなく働いているが、泰平の世となると御長柄奉行所などは兵器の点検以外にやることがなかった。ふた言目には今の若い者はと口癖のように怒鳴る城代家老の伊達将監は、居眠りする小野伊織に対しいつ御舟奉行に御役替えになったのかと冗談を言ったが、それが通じなかったことでまた怒鳴った。同じように井伊直人も舟を漕いでいるのではないかと御天守奉行所を覗いてみると、そこに姿はなかった。天守を見回り中だと教えられた将監は直人の精勤ぶりに感心しその様子を見に行くことにしたのだが、実際に天守に上ってみると彼は寝転がって昼寝をしていたのだ。将監が見回りに来たことを知り居住まいを正した直人は、天守閣なるものは城の最後の拠点とするものだから殿の御座所となるこの場所の寝心地を試していたと言い訳した。呆れた将監が、素行が定まらず女遊びにうつつを抜かしている噂があるがと尋ねると、直人は恐れながら拙者が女にもてるのは拙者の罪でしょうかと言った。そして才知、美貌、教養を兼ね備えた自分に似合いの女性など仙台城にはいないと言い放つと、将監はその方に嫁の 来手などあるまいと皮肉った。それを聞いた直人が仙台小町と称す将監の娘が自分の嫁にふさわしいのであれば心に入れておきますと言うと、わしの娘がお前の嫁など汚らわしいと吐き捨てた。

御天守奉行であり剣術指南役でもある直人は、将軍家の娘を奥方に持ったことで頭が上がらない忠宗を連れての夜遊び三昧。金に困ると奉公人の笠原左内に無理を言って工面してもらうのだ。ところが御前が戻ってくるということになり、もう楽しい日々も今夜限りかと忠宗は落胆した。そんな殿様を不憫に思った直人は何とかして左内から二両を貸してもらおうとしたが、借金が嵩んでいることを理由に出し渋った。困った直人だったが、後に将監が訪ねてくることを思い出し、莫大な持参金付きの嫁の口があると嘘をついた。相手が仙台小町と聞いて笑い話だと思った左内だったが、本当に将監の声がしたことで信じたのだ。直人は酒代を手にすると裏口から姿を消そうとしたが、将監にばれてしまった。それでも直人の友人と称した忠宗が櫓下に向かうと、将監も心配になってついてきたのだった。その頃、仙台城では御前の御国入りが早まり今夜中に着くかもしれないということで将監の行方を捜し回っていたが、そんなこととは露知らず。監視役の彼はいつの間にか一緒になって盛り上がり、直人に伝えるべきことを忘れていた。

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