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スクラップ・ヘブン

  • posted at:2015-07-16
  • written by:砂月(すなつき)
すくらっぷへぶん
オフィス・シロウズ=テレビ東京=バンダイビジュアル=イエス・ビジョンズ=ザズウ
配給:オフィス・シロウズ=シネカノン
製作年:2005年
公開日:2005年10月8日
監督:李相日
企画:佐々木史朗
製作:井澤昌平 川城和実 竹中功 松野恵美子
プロデューサー:久保田傑 柳原雅美 河野聡 吉田晴彦
アソシエイト・プロデューサー:押田興将 安井美紀子 上山公一
ライン・プロデューサー:齋藤寛朗
脚本:李相日
撮影:柴崎幸三
照明:市川元一
録音:柿澤潔
美術:仲前智治
編集:今井剛
スクリプター:田口良子
衣裳:小林身和子
ヘア・メイク:細川昌子
CGディレクター:増尾隆幸
助監督:久万真路
制作担当:金子堅太郎
音楽プロデュース:曾田茂一
音楽:曾田茂一 JETBIKINI Masao Nisugi
音楽制作:茂木英興
音楽制作協力:GRAND FUNK 毒組 WILD CORPORETION
出演:加瀬亮 オダギリジョー 栗山千明 光石研 田中哲司
アメリカンビスタ カラー 117分

テレビドラマに出てくるような刑事像に憧れて警察官になった粕谷シンゴ。だが現実は甘くなかった。交番に5年勤務した後、本署の刑事部へ転属になったものの、希望した刑事課ではなく総務課に配属された。被害届などの手書きの書類をパソコンに打ち込む地味な作業を毎日続けることで仕事への意欲を失っていた。ある日、嶋田係長に呼び出されたシンゴは、一課の薮田刑事とともに遠藤町で一年前に起こったストーカー殺人事件で被害者になった主婦の法事に出向くことになった。自宅前の道路で子供が落書きしていたので、薮田は「パパ、いるかい」と声をかけケーキの箱を手渡した。すると子供は箱を叩き落とすと足で踏みつけ、家に駆け込んで行った。シンゴは被害を食い止められなかったことと、刑事は事が起こらなければ動けないことへの矛盾を感じていた。その夜、帰宅のためにバスに乗った彼は、潰れたケーキをかぶり付きながらぼんやりとしていた。すると後部座席に座っていた清掃員の葛井テツが、走っているコースが違っていると騒ぎ出したのだ。我に返ったシンゴもそれに気づき、同乗していた薬剤師の藤村サキも慌てた。テツが運転手に文句を言いに行こうとすると、その横に立っていた男が彼に拳銃を向け、ちょっと行く先を変えましたと言った。そして少し落ち着くと自分について勝手にしゃべり出した。猛勉強して大学に入り代議士の秘書になったが、不祥事を被って自殺をしなければ納まりがつかなくなった、と。一段落すると斎藤は運でも試しますかと言ってリボルバーの弾倉から弾を抜き、一発だけ残した。弾倉を回して銃口をこめかみにつけると、まず私から行きますと引き金を引いた。だが弾は出ず、俺はついているぞと叫んだ。気持ちが高揚した斎藤が次をじゃんけんで決めようと言い出すと、シンゴは憧れのシチュエーションでいいところを見せようとした。だが震える声に説得力はなく、銃口を向けられると何も出来なかった。斎藤の威圧する声で始まったじゃんけんはあっけなく決まり、テツが負けた。すると彼はいきなりテツに向けて発砲した。その銃声に怯えた運転手がブレーキを踏んだことでバスは急停車し、乗客たちは床に転がった。シンゴは座席にしがみつき、テツは胸から血を流し、サキは右目の義眼を探していた。そして斎藤は首に銃口を押し当て自殺した。3か月後、シンゴは薮田に相談を持ち掛けた。一課に取り次ぐという話はそのままになっていたのだ。薮田は、あれだけのバツが付いたんだから俺の立場も考えてくれと言った。そしてお前は警官に向かないヤバいタイプだから肩の力を抜いて仕事しろとアドバイスした。

シンゴの帰宅コースではいつもホストが女性をナンパしていた。いつかあいつらを懲らしめてやりたいと思っていたが、それを実践していたのがテツだった。偶然の再会を喜んだシンゴが世の中の矛盾など思いの丈をぶちまけると、テツはある場所に連れて行った。そこは公園の公衆トイレだった。世の中には復讐したくても何も出来ない人がいる。そこで代わりに心の叫びを聞き、世間を肥溜めにしている馬鹿どもに、振り上げた拳が自分に返ってくることを思い知らせることにしたのだ。壁にメッセージを書いたテツは、自分が苛立っている原因は何かとシンゴに尋ねた。答えられずにいると、デスクに一日中かじりついていても世の中は1ミリも変わらないぞと言った。

屋台的映画館
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丑三つの村

  • posted at:2015-07-10
  • written by:砂月(すなつき)
うしみつのむら
松竹映像=富士映画
配給:富士映画
製作年:1983年
公開日:1983年1月15日
監督:田中登
製作:奥山和由
原作:西村望
脚本:西岡琢也
撮影:丸山恵司
美術:猪俣邦弘
音楽:笹路正徳
録音:山本忠彦
調音:小尾幸魚
照明:野田正博
編集:後藤彦治
助監督:満友敬司 藤澤龍一
オプチカル:石川智弘
装置:小島勝男
装飾:宮崎琢郎
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
進行:大川修
特殊効果:トビー門口
音楽担当:坂井洋一
製作主任:沼尾鈞
出演:古尾谷雅人 田中美佐子 池波志乃 原泉 石橋蓮司
アメリカンビスタ カラー 106分

出征する赤木巌を駅のホームで見送る犬丸継男。四国の小さな山村・日暮谷に住む十八歳の彼は幼いときに両親を亡くしており、今は祖母・はんと暮らしていた。住民からは村一番の秀才ともてはやされる継男は巌のように戦場へ行くことに憧れていたが、出征兵を見送る母親が泣いているのを見て、祖母も泣くのだろうかと思った。夕食時にそのことを尋ねると、はんはお国のために戦ってこいと笑って見送ってやると言った。それを聞いた継男は安心して自分の部屋に入った。するとはんは、大声をあげて泣くかもしれんと呟いた。学校の教師を目指している継男は、はんを置いて師範学校に行くことが出来なかったため独学で検定試験を受けるための勉強をしていた。いつものように勉強をしていると体が熱っぽく咳込んだ。翌日病院に行くと、医師の見立ては肺浸潤。栄養を摂ってのんびりと養生すれば三か月で治るだろうと言われ安堵した。

ある夜、勉強中に眠り込んだ継男は真夜中に目を覚ました。すると戸の隙間から靄が漏れ入ってくるのに気付き、外に出ることにした。一面の靄がかかるというという珍しい光景を目の当たりにした継男は散歩してみることにしたが、一軒だけ灯りが点いている家があったため気になって中を覗いた。そこでは人妻のえり子が村の有力者である赤木勇造と絡み合っていたのだ。再び散歩に戻ると村を巡回する自警団と会った。彼らは夜這いの取り締まりを行っていたが、その発案者が勇造だと聞き継男は吹き出した。それから数日後の夜、夜這いに興味を持った継男がえり子の家を訪ねると彼女は寝乱れていた。気配で目覚めたえり子が声をかけると、継男は靄が出た晩に勇造がここにいたのを見たと話した。満州で兵隊が国のために体を張って戦っているのにと言うと、えり子はそれくらいのことは知っているからきついことを言わないでとたしなめた。彼女の夫は補充兵として戦場にいたのだが、馬の世話ばかりしていると蔑んでいた。えり子は暑いと胸をはだけると、男も戦争、女も戦争やと言って体を押し付けた。

継男の親戚筋に当たる赤木ミオコが金を借りに来たが、はんは出かけていていなかった。継男がそのことを伝えると彼女はあなたからもお願いして欲しいと言った。ミオコは何度も借りに来ているため、断られるかもしれないと思っていたからだ。事情を知らない継男があっさり了承すると、ミオコは喜んで手を合わせた。帰り際にミオコは、働き者の夫・中次がいつも家を空けているので、暇な夜はいつでも遊びにおいでと言った。そして女ひとりの夜って長過ぎるのよと目配せした。その夜、はんからお金を預かった継男はミオコの家を訪ねた。すると赤ん坊の授乳中だった彼女は胸をあらわにしたまま出てきたのだ。ミオコは継男を座敷に引き入れると体を重ねた。

幼馴染のやすよは、継男の顔を見るなりみんなが体調を心配していると伝えた。すると継男は、咳がひどいが勉強で期待に添えなくても、徴兵検査で甲種合格して兵隊になれば男はいいんだと言った。気持ちだけ受け取ってとやすよが自分で作った組み紐を贈ると、継男は満面の笑みを浮かべてお礼を言った。徴兵検査の日、自信を持って臨んだ継男だったが、軍医から肺結核の診断をされ検査に落ちた。その噂は忽ち村中に広がり、神童だとおだてていた住民たちは落胆する彼が戻ると無視をした。

屋台的映画館

ニッポン無責任野郎

  • posted at:2015-07-03
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんむせきにんやろう
東宝
配給:東宝
製作年:1962年
公開日:1962年12月23日 併映「喜劇 駅前飯店」
監督:古澤憲吾
製作:安達英三朗 森田信
脚本:田波靖男 松木ひろし
撮影:飯村正
美術:小川一男
録音:斉藤昭
照明:隠田紀一
調音:下永尚
音楽:宮川泰
挿入歌:「無責任一代男」
・・・:「ハイそれまでョ」
・・・:「しょぼくれ人生」
・・・:「これが男の生きる道」
監督助手:松森健
編集:黒岩義民
現像:東京現像所
製作担当者:島田武治
出演:植木等 団令子 ハナ肇 草笛光子 藤山陽子
シネマスコープ カラー 86分

失業中の無責任男・源等は朝から絶好調。「浜の真砂は尽きるとも、飯の種はゴマンと転がってらあ」。等は道で出会った明音楽器の営業部長・長谷川武から幕田常務が近々社長になるという噂を成り行きで聞いた。王仁専務と幕田は犬猿の仲であるため、王仁派の長谷川は最悪の場合、左遷になるのではないかと落ち込んでいたのだ。宮前社長が入院中であることを聞き出した等は病院に乗り込むと面会謝絶と書かれた17号室にズカズカと入り込んだ。仮病を使って入院している宮前は彼の姿に驚き、面会謝絶の札を見なかったのかと怒鳴った。すると等は面会ではなくお見舞いだと言った。彼は実業タイムスの記者と偽り、幕田に社長を譲って新しい事業に乗り出すのは事実かと鎌をかけた。すると宮前は、まだ発表の段階ではないとしゃべってしまったのだ。次に等は宮前からもらった果物の盛籠を手に幕田の自宅へ押しかけた。そして社長の就任祝いとしてそれを手渡し、長谷川からもよろしくと言われたと伝えた。王仁の子分である長谷川がそんなことをいうなんておかしいと不審を持つ幕田に、人から慕われるのは社長の人徳の賜物だと等は一笑に付した。

翌日、明音楽器に乗り込んだ等は長谷川のところへ行き、この会社に勤めたいので王仁に会わせて欲しいと言った。だが社長室に呼ばれた彼はその申し出を断り、頭の病院に行った方がいいと言った。長谷川は社長室に入るなり幕田に就任祝いを贈ったことを責められた。身に覚えのないことへの釈明に追われているところに等が割り込み、誤解を解いてあげましょうと言った。長谷川が等のことを入社希望者だと説明すると、うちは定期採用以外にいい加減な者を入れるわけには行かないと王仁は怒鳴った。すると等は幕田の自宅へ就職を頼みに行ったが、長谷川の知り合いだとわかるとけんもほろろの扱いを受けたと言った。そして会社の人事の実権は専務よりも常務の方が上だと聞いた言うと、怒った王仁は自分だって人を入れたりクビにすることぐらい出来るんだと怒鳴った。王仁は等を社員にしてみせると大見得を切り、長谷川に担当を任せた。

机の中に入っていた丸山英子の社員通帳を覗き見て貯蓄能力に惚れ込んだ等は、新入社員となったあいさつ代わりに彼女にお茶をご馳走することにした。その行先とは銀行だった。等は英子をソファーに座らせると無料のコーヒーを手渡した。そして自分はカウンターへ行き、これからお世話になるからと1円で通帳の発行を願い出たのだった。彼女のもとに戻った等は、金庫の中に僕の100万円が入っていると思うと豊かな気持ちになれるとホラを吹き、いきなり結婚話を切り出した。50万円も貯めているのはやりくりのうまい証拠で、それでうまく行かなければ別れればいいと言った。そして会社を一生続けなければいけないと思うからサラリーマンはしょぼくれるわけで、それは結婚も同じことだと持論をぶちまけた。英子はその図々しさに魅かれて行った。

屋台的映画館

ガンマー第3号 宇宙大作戦

  • posted at:2015-06-28
  • written by:砂月(すなつき)
がんまーだいさんごううちゅうだいさくせん
東映=ラム・フィルムI.N.K
配給:東映
製作年:1968年
公開日:1968年12月19日 併映「ピノキオの宇宙大冒険」「河童の三平 妖怪作戦」「人のくらし百万年 マニ・マニ・マーチ」
監督:深作欣二 田口勝彦
企画:アイバン・ライナー ウイリアム・ロス 扇沢要 太田浩児
脚本:トム・ロー 金子武郎
撮影:山沢義一
録音:渡辺義夫
照明:梅谷茂
美術:江野慎一
音楽:津島利章
編集:田中修
助監督:山口和彦
進行主任:阿部征司
装置:松野太三郎
装飾:武井正二
記録:山之内康代
特撮:日本特撮映画株式会社
現像:東映化学工業株式会社
出演:ロバート・ホートン リチャード・ジェッケル ルチアナ・パルツィ バッド・ウイドム ウイリアム・ロス
シネマスコープ カラー 77分

高度な文明が発達した22世紀。国連宇宙センター(UNSC)は宇宙ステーション・ガンマー3号から送られてくる太陽磁気強度など観測データの解析を行っていた。ある日、4番モニターで異常な電波障害をキャッチした。不明瞭な画像を分析した結果、それが質量600万トンといわれる二等遊星・フローラであることがわかった。しかもその進路が地球との衝突コースに入っているのだ。残り時間は10時間足らず。進路を変えることは不可能なため、300メガトンの核爆弾を遊星の3か所に仕掛けて爆破するしか危機を回避する方法はなかった。この重要な任務にジョナサン・トンプソン所長が指名したのはジャック・ランキン中佐だった。指令書を受け取ったジャックはロケットでガンマーに向かった。

ガンマー司令部の隊長はヴィンス・エリオット中佐だったが、任務完了まではジャックに指揮権があった。二人はかつてチームを組んでいたこともあって気心の知れた仲だった。ヴィンスはガンマーの管理をマーチン大尉に任せると作戦に志願した。作戦に参加するのは二人の他にスコット軍曹、モリス中尉、そして宇宙コンサルタントのハンス・ハルパーソン博士と助手のマイケルなど計8人だった。1号の爆弾設置地点にはジャックとスコット、2号地点はヴィンス、ロケット着陸地点の3号地点にはモリスが当たることになった。地表に降り立ったのは1時53分。2時45分までに作業を終えてロケットに戻れとジャックは全員に伝えた。作業は順調に捗り、ジャックはドリルで掘った穴に爆弾を差し込むとカートでロケットに戻ろうとした。ところが緑色をした物体が車輪に絡みついて動かすことが出来なくなっていたのだ。ジャックはスコットにカートの放置を命じ、走って戻ることにした。

集合時間が過ぎてもハンスは戻ってこなかった。生物学者のハンスにとって緑色をした粘性の生物は魅力的な実験材料だった。その頃ロケットでは、ジョナサンに爆破時刻を3時に早めるように言われたことでジャックは苛立っていた。フローラのスピードが増したのだ。脱出するのに時間が足りないためハンスを置き去りにしようとしたが、ヴィンスは2、3分待つべきだと主張した。かつて彼の考えに賛同して仲間を失った苦い経験を持つジャックは早く乗れと皆に促したのだった。そこへハンスが生物の入ったケースを手に持って戻ってきた。すると怒りが頂点に達したジャックはこんな物を持って行けるかとケースを奪い取り地面に叩きつけた。ロケットは限界を超えたスピードで飛び、何とか無事に爆発から逃げ延びた。ガンマーに戻ったジャックは歓迎ムードで盛り上がるクルーたちを尻目に、乗組員の衣服と用いた器具を責任もって少なくとも三度消毒して欲しいとハンスに頼んだ。だがそのことがさして重要ではないと考えていたハンスは、マイケルに全てを任せたのだった。

屋台的映画館

としごろ(1973年)

  • posted at:2015-06-22
  • written by:砂月(すなつき)
としごろ
松竹=ホリプロ
配給:松竹
製作年:1973年
公開日:1973年4月14日 併映「同棲時代 今日子と次郎」
監督:市村泰一
製作:瀬島光雄
脚本:元持栄美
撮影:小杉正雄
美術:梅田千代夫
音楽:小川寛興
照明:佐久間丈彦
編集:杉山よ志
録音:鈴木正男
調音:小尾幸魚
監督助手:福田幸平
装置:川添善治
装飾:宗田八郎
進行:宗本弘美
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:馬道昭三
挿入歌:「私は歩いている」和田アキ子
・・・:「星空の孤独」和田アキ子
・・・:「中学三年生」森昌子
・・・:「せんせい」森昌子
・・・:「恋人時代」堺正章
・・・:「青春に賭けよう」西城秀樹
出演:和田アキ子 森昌子 秋谷陽子 村野武範 森次晃嗣
アメリカンビスタ カラー 89分

中学女子バレーボールの名門校・泰成中学で卒業式があった。その夜、後輩部員の高木京子の兄が支配人を務めるレストランでパーティーが行われ、母校で事務員とコーチを兼任する大和田章子が招待された。彼女が心配していたのは渡辺優子が未だに進路を決め兼ねていることだった。だが翆峰高校に進学することに決めたと明るい表情で話すことで安堵した。高校バレーの名門である翆峰の練習はとても厳しかったが、ボールに食らいついていく姿に沼田正樹コーチは感心した。優子の評判をいち早く嗅ぎ付けていたのは実業団チーム昭和紡績のマネージャー・岡部で、彼は札束攻撃による優子引き抜きを画策していた。ある日、下宿している甘味処に章子が戻ると優子が訪ねてきていた。優子のいない間に堺が両親と会い、昨年全国三位の昭和紡績にスカウトされたというのだ。優子自身は高校生活を続けたかったが、大工の父・源三が半月前に左手をケガして働けなくなっていることから、受け入れるしかないと考えていたのだった。話を聞いた章子は沼田に相談することにした。バレーボール協会で会ったときに優子のことを評価していると話していたため、きっと協力してくれるに違いないと信じていた。沼田は章子とともに優子の家を訪れたが、今の経済状態では会社にお世話になった方が得策だと母親は考えていた。事情を知った沼田は、十分なことが出来るかわからないが僕に彼女を預からせてほしいと言った。高校ナンバーワンの素質を持つ彼女を基礎訓練が出来ていない状態で実業団に送り込んでも潰されてしまうに違いないと彼は考えていた。沼田は学費を負担すると言ったが、源三は首を縦に振ろうとはしなかった。すると話を聞いていた優子の弟が割り込んできて、学校へ行かせてやれよと涙ながらに父親に訴えたのだった。沼田の自宅で下宿することになった優子を妻の秀子はとても気に入っていた。だがその日以来、沼田の様子が変わった。秀子の料理は選手に不向きだと言って外食に連れ出したり、ケガをしたときに執拗にボディータッチを行うなど彼女は不信を抱いた。

優子の親友で章子とも仲がいい森川昌子は、母子家庭という事情もあり進学することなく家の近所にある金属加工工場で働いていた。仕事に慣れない彼女に声をかけてきたのは先輩の塚原雄二だった。雄二に初恋をした昌子は、絵が好きだという彼に話を合わせるために後輩でバレー部キャプテンの藤沢淳子を誘って美術館で教養を身につけることにしたのだ。ところが急な残業が入り、昌子は淳子の自宅へ電話をかけたのだが30分前に家を出たので連絡を取れないと彼女の母親から告げられた。そんなことは知らない淳子は待ち合わせ場所で不良グループに因縁をつけられ、廃工場に連れ込まれると男たちにレイプされた。それからしばらくして彼女は練習中に倒れた。保健室に呼び出された章子は先生から淳子の体に妊娠の兆候が見られると告げられたが、まさかそんなことはないと笑い飛ばした。だが心配になり話をしようとしたが、ベッドに姿はなかった。

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