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ホラ吹き太閤記

  • posted at:2015-08-20
  • written by:砂月(すなつき)
ほらふきたいこうき
東宝
配給:東宝
製作年:1964年
公開日:1964年10月31日 併映「喜劇 駅前天神」
監督:古澤憲吾
製作:渡辺晋 森田信
脚本:笠原良三
撮影:西垣六郎
美術:北猛夫
録音:増尾鼎
照明:隠田紀一
整音:下永尚
音楽:宮川泰 萩原哲晶
主題歌:「だまって俺について来い」植木等
振付:竹部董
監督助手:清水勝弥
編集:黒岩義民
現像:東洋現像所
製作担当者:島田武治
協力:国宝姫路城 姫路城管理事務所
出演:植木等 ハナ肇 谷啓 浜美枝 藤山陽子
シネマスコープ カラー 98分

今からおよそ400年の昔。京都・足利幕府の秩序が乱れたことで全国各地に群雄が割拠し、現代の政党や暴力団の派閥争いをオーバーにした戦国時代が始まった。ちょうどその頃、三河の国のある宿場に一人の陽気な若者が現れた。宿賃を辛抱するために矢矧橋の上で野宿していた若者の横を夜盗・蜂須賀小六の一行が通り過ぎようとしたが、小六はそれが死体かどうか確かめるために槍で突いた。殺されてはたまらないと飛び起きた青年はふざけたことするなと怒鳴り、謝るまで放さんと槍を掴んだまま小六を睨み続けた。すると小六はすまなかったと頭を下げ、青年もそうさっぱりくりゃ勘弁してやると槍を放した。度胸がある奴だと感心した小六が名乗ると、わしは尾張中村の日吉丸で今に名のある大名に仕官したら木下藤吉郎と名乗る予定の前途有望な男だと青年は言った。俺の家来になってひと働きしないかと誘われた日吉丸は思案したが、どうせ野武士の仕事は泥棒、強盗、追剥の類だろうと断った。それを聞いた小六は、天下の領民、百姓に悪事を働くことはないと断言した。今夜の狙いが岡崎の野武士・日比野六太夫の屋敷であることを知った日吉丸は、報酬が手柄次第だと聞いて了承した。

その夜、門前にやってきた小六は日比野邸に討ち入ろうとしたが、それでは屋敷の中の者が目を覚まして斬り合いになってしまうと忠告した。それを覚悟で夜討ちをかけに来たのだという小六に、日吉丸は味方がやられないうちに目的の千両箱を奪えばいいと言った。そして小六の槍を借りると棒高跳びのように門を飛び越え、閂を引き抜いて中から開けたのだ。その鮮やかな姿に小六は思わず猿だと呟いた。日吉丸は一団に門前で待つように指示すると屋敷に忍び込み、頃合いを見て泥棒だと叫んだのだ。彼の作戦はまんまと当たり、千両箱を盗み出すことに成功した。明け方、疲れ果てた小六の一行が矢矧橋に差し掛かると、日吉丸が誰もケガがなかったかなと声をかけた。今度は容赦せんぞと怒鳴る小六に日吉丸は千両箱を見せ、これで勘定は引き合うわけだと高笑いした。すると小六も負けずに高笑いした。

小六たちは陣地に戻ると祝杯を挙げた。機嫌のいい小六が酒を勧めると日吉丸は参加報酬のことを口にし、金はいらないからその代わりにあんたが大事にしている刀が欲しいと言った。その刀は備前村正という名刀で、お前らに易々とくれてやるわけにはいかんと小六が言うと、もしわしが三日のうちにそれを盗ったとしたら頂戴できますかと提案した。泥棒のところで手柄を立てるとしたら泥棒の一手しかない。小六はその申し出を喜んで受けたのだった。

屋台的映画館
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タッチ 背番号のないエース

  • posted at:2015-08-13
  • written by:砂月(すなつき)
たっちせばんごうのないえーす
東宝=フジテレビジョン=旭通信社
配給:東宝
製作年:1986年
公開日:1986年4月12日 併映「テイク・イット・イージー」
監督:杉井ギサブロー
製作:大橋雄吉 日枝久 太田一郎
企画:角谷優 関谷猪三男
原作:あだち充
脚本:原田遊人 並木敏 杉井ギサブロー
アニメーション監督:前田庸生
作画監督:前田実 遊佐和重
美術:金村勝義
絵コンテ:永丘昭典 池田はやと
音楽:芹澤廣明
主題歌:「背番号のないエース」ラフ&レディ
・・・:「ガラスのティーンエイジ」ラフ&レディ
プロデューサー:藤原正道 岡正 片岡義朗
制作プロデューサー:対木重次
音響監督:藤山房延
制作:グループ・タック 田代敦巳
声の出演:三ツ矢雄二 難波圭一 日高のり子 林家こぶ平 銀河万丈
アメリカンビスタ カラー 93分

明青学園の中等部時代に帰宅部だった上杉達也は、高等部に進学したことを機に部活を始めようと考えていた。だが双子の弟の和也や幼馴染の浅倉南と違い、特に目標のない彼にとってそれは難しい決断だった。校内をブラブラするそんな達也に声をかけたのは、野球部部長で教師の児島悠子だった。中等部時代から素晴らしい運動神経に注目していたと聞いて驚く達也に、悠子は体育祭での短距離走でいつもトップだったことを例に挙げ、何故野球をやらないのかと尋ねた。そして和也がやってますからと答えると、今度は野球が嫌いかと尋ねた。嫌いじゃないけどと戸惑う達也にきっといい選手になると思うけどなと囁き、まだクラブを決めていないなら待っているからいつでもいらっしゃいと言った。その夜、和也に野球部に入るのを決めたのかと聞かれた達也だったが、まだ決めかねていた。幼い頃に達也から野球を教えてもらったこと、そしてまた一緒に野球が出来るのになと呟いた和也の言葉が達也の心を動かしたのだった。翌日の放課後、部室に向かった達也がドアを開けようとしたところ、室内から南がマネージャーとして入部するという話が聞こえ、ショックを受けた彼はその場を立ち去った。幼い頃からの南の夢。彼女を甲子園に連れて行くという夢を叶えるために和也は野球に取り組み、中等部時代からエースとして君臨した。三人は子供の頃から常に一緒だったが、達也はいつしかその中の一人が女であることを意識した。そのことから彼は二人から一歩引き、和也と南を見守ることにしたのだ。校舎の屋上で考え事をしていた達也のもとに巨漢の同級生・原田正平がやってくると、ノートと鉛筆を渡しクラスと名前を書けと言った。早くしろと急かされ従った結果、達也は知らぬ間にボクシング部に入部していた。

ある晩、勉強部屋を訪ねた南はボクシング部の練習で帰宅が遅くなっている達也を心配した。和也は本人がやる気になっているみたいだと言ったが、彼女は達也が遠くへ行ってしまったような気がしていた。本当にボクシングをやりたくてやっているのかなあと南が疑問を口にすると和也も頷いた。野球部の練習が休みになった和也は達也を河川敷へ呼び出し、南は兄貴のことを好きなんじゃないかと言った。達也の心の中には、幼い頃に彼女が言った何気ない言葉がしこりとなって残り、和也のために南と野球から遠ざかるようになったのだ。それを聞いた達也は、誰が見たって南とお前が並んでいるのが自然だと言った。兄貴はどう思うのと尋ねられると、一瞬動揺したもののそれが自然だと答えた。

達也が出場する試合の日程が決まったが南には伝えていなかった。どうして教えてくれなかったのと怒る南に、達也はただの練習試合だからなと答えた。「応援に行かなくてもいいの?」と心配する彼女に達也はそっけなくいいよと言った。その日は明青野球部の地方予選第一回戦と同じ日だった。

屋台的映画館

不良姐御伝 猪の鹿お蝶

  • posted at:2015-08-07
  • written by:砂月(すなつき)
ふりょうあねごでんいのしかおちょう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年2月17日 併映「まむしの兄弟 刑務所暮し四年半」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
原作:凡天太郎
脚本:掛札昌裕 鈴木則文
撮影:わし尾元也
照明:北口光三郎
録音:堀場一朗
美術:石原昭
音楽:荒木一郎
編集:市田勇
助監督:志村正浩
記録:牧野淑子
装置:米沢勝
装飾:柴田澄臣
美粧・結髪:東和美粧
スチール:藤本武
演技事務:上田義一
衣裳:豊中健
擬斗:三好郁夫
進行主任:俵坂孝宏
出演:池玲子 成瀬正孝 衣麻遼子 早乙女りえ 三原葉子
アメリカンビスタ カラー 88分

日露戦争に勝利し国内が湧きかえる明治三十八年、金沢セントラルホテルに滞在している政心会総裁・黒川義一を暴漢が襲った。暴漢は柊修之助という青年で、警備に当たっていた警官隊に右腕を切られると勝ち目なしと見て逃げ出した。街中を逃げ回る修之助を見兼ねて建物の陰に引き込んだのは、ある渡世打ちを捜して全国を旅している女博徒の「猪の鹿お蝶」こと葛西杏子だった。彼の身を気遣うお蝶は追手がいなくなってから病院へ連れて行こうとしたが、修之助は拒否した。するとそこへやってきた柊家に仕える執事の羊川実麿が深々と頭を下げ彼を連れ去った。一人残されたお蝶がふと左手を見ると、無意識に修之助の袂から掏ったロケットペンダントを握っていた。「仕方のない指だねえ」。そうつぶやいてペンダントを開けると、中には外国の女性の写真が入っていた。

稲村組を訪れたお蝶が組長に渡世打ちのことを尋ねると、そんな男がいたことは聞いたことがあるが20年以上も前のことだから覚えていないという答えが返ってきた。お蝶が捜している渡世打ちは、彼女が三歳のときに警視庁の刑事だった父親の徳造を殺した敵だったが、花札博打で猪鹿蝶を操るいかさまの名人としか手がかりがなかったため捜索は難航していたのだ。通り名がそこからきているのかと尋ねられたお蝶は、その札には一生忘れられない思いがこもっているのだと答えた。すると「猪の鹿お蝶」の噂をかねがね知っていた稲村はその手の内を見せてくれないかと言った。その夜、開かれた賭場で稲村からいかさまを指示された舎弟の細谷が裏切られて殺された。今わの際に貯金通帳をお蝶に手渡した細谷は、浅草にいる妹・ゆきが女郎に売られる前に渡して欲しいと言った。賭場での悪い噂が広まることを恐れた稲村は、口封じのために風呂につかる無防備なお蝶を闇討ちした。だが隙のないお蝶は相手の長ドスを交わし奪うと襲い掛かる侠客たちを次々と斬り倒した。

お蝶が浅草にやってきたのは徳造の命日だった。育ての親である仕立て屋お銀を訪ねると、彼女は満面の笑みで迎えた。お銀はスリの女親分で、徳造に世話になっていたことからせめてもの恩返しということで彼女を養女に迎えたのだった。お蝶が次に向かった先は加納組だった。十二階下の女を取り仕切っているのはキズ源しかいないはずで、女衒の平助がゆきを連れてきていることまではわかっていると組員に詰め寄った。だが彼らはこの界隈には女がゴマンといるのだからいちいち身元はわからないと白を切った。するとそこに岩倉建設社長・岩倉直蔵の車が到着し、早く上玉を拝みたいものだと出迎えたキズ源に言った。座敷に通された岩倉がゆきに酌をさせようとしたところ、襖がスッと開きお蝶が入ってきた。そして用意した500円の札束を見せ、これでこの娘を身請けさせて欲しいと言ったが、岩倉はいくら金を積まれようのこの娘を手放すわけにはいかないと態度を変えようとはしなかった。そこでゆきの兄から頼まれてきているのだとお蝶が頭を下げると、岩倉はきれいだねと彼女の手を取った。手のひらに博打だこがあることに気づき堅気ではないことを知った岩倉は、この話を博打で決めようと言った。

屋台的映画館

ねらわれた学園(1981年)

  • posted at:2015-07-31
  • written by:砂月(すなつき)
ねらわれたがくえん
角川春樹事務所
配給:東宝
製作年:1981年
公開日:1981年7月11日 併映「ブルージーンズメモリー」
監督:大林宣彦
製作:角川春樹
プロデューサー:逸見稔 稲葉清治
原作:眉村卓彦
脚本:葉村彰子
撮影監督:阪本善尚
美術デザイン:薩谷和夫
音響デザイン:林昌平
音楽監督:松任谷正隆
主題歌:「守ってあげたい」松任谷由実
ピクトリアルデザイン:島村達雄 坂間雅子
作画合成:岡田明方 山田孝
編集:P・S・Cエディティング・ルーム
ネガ:相沢尚子
記録:新沼恵子
ファッション・コーディネーター:斉藤のり子
助監督:山下稔
製作担当:隈部文康
録音スタジオ:アバコスタジオ
カラーバイ:東洋トーン
制作協力:オフィス・ヘンミ
出演:薬師丸ひろ子 高柳良一 長谷川真砂美 手塚真 赤座美代子
アメリカンビスタ カラー 90分

新宿副都心にある受験校として名を知られた第一学園高校。校長は新年度からクラブ活動よりも勉強を優先する方針を打ち出したが、それに異議を唱えたのが体育教師の山形だった。剣道部の顧問の彼は高校対抗試合に出場することを目標にしていたが、文武両道からの突然の変更に納得が行かなかったのだ。直談判に持ち込むと、迫力に圧された校長は考えておきましょうと言葉を濁して逃げた。その校長の考え方に賛同していたのは2年B組の担任の須田だった。昨年から同じクラスを受け持つ彼の生徒の中には学年間でトップの成績を挙げた三田村由香がいたが、クラブ活動を優先して最低点を取った5人がいたことでクラス平均で最下位になったことを悔やんでいたのだ。その中の一人である剣道部主将の関耕児はそんな担任の苦労など気も留めず新入部員獲得に精を出していた。夕方、幼馴染の由香と下校していた耕児は奇妙な光景を目にした。走ってくるトラックの前に飛び出した三輪車の子供が、映画のフィルムを巻き戻したように後戻りしたのだった。

トラックの前に飛び出した子供に、由香は「いけない、戻りなさい!」と叫んだ。するとトラックとともに三輪車が逆走し、子供は何事もなかったように横断歩道を渡った。自分が起こしたかもしれない現象に驚いた由香は、自宅に帰るとひとりにしておいてと母・圭子に告げて部屋に籠った。その夜、落ち着いた由香はあの不思議な出来事を話そうとしたがうまく言い表せなかったため、ママはテレパシーが強い方かと尋ねた。それを聞いた圭子は、よくお父さんにお前は鈍いからというお小言をいただくと笑った。いつもと様子がおかしい由香を学校で何かあったのではないかと圭子が心配していると、耕児の父・熊吉が経営する酒屋の住み込み店員・広志が注文していたビールを配達してきた。成績のことで学校に呼び出された熊吉は、耕児の成績がどうにかして上がらないかと思案していた。大学進学は死んだ妻の悲願だったこともあり、学校を出て店を継げばいいという考えの耕児に、長男に生まれたことを不運だと思ってがんばってくれと手を合わせた。すると広志が専門の家庭教師をつければいいのではないかと提案した。彼が由香の名前を挙げると祖母のタケもなりふり構ってられないんだからと賛同した。話はあっという間にまとまり、広志が配達のついでに交渉をすることになったのだ。対抗試合目前で練習が出来なくなることを危惧した耕児は電話をかけて断るように言ったが、由香はあっさり了承したのだった。家庭教師を引き受けた彼女は、気が散りますからと誰も部屋に寄せ付けず、鍵をかけると窓から縄梯子を垂らして耕児を練習に行かせた。三週間後の対抗試合は、城南高校の次峰に手こずり副将の大野まで敗れ、最後の耕児も相手の迫力に圧された。だが由香が「神様、お願い!」と心の中で祈ると相手の動きが一瞬止まり、耕児は胴に打ち込んで勝った。さらに中堅、副将、主将にまで同じことが起こり逆転勝利したのだった。再びあの現象を体験した由香は不安に駆られた。

屋台的映画館

高校エロトピア 赤い制服

  • posted at:2015-07-27
  • written by:砂月(すなつき)
こうこうえろとぴああかいせいふく
日活
配給:日活
製作年:1979年
公開日:1979年5月19日 併映「凌辱 こます」「女子大生 三日三晩汗だらけ」
監督:白鳥信一
プロデューサー:細越省吾
原作:大友克洋
脚本:鹿水晶子
撮影:森勝
照明:小林秀之
録音:福島信雅
美術:柳生一夫
編集:山田真司
音楽:高田信
助監督:菅野隆
色彩設計:青柳勝義
現像:東洋現像所
製作担当者:服部紹男
出演:原悦子 日夏たより 飛鳥裕子 松井康子 吉沢由紀
アメリカンビスタ カラー 63分

高校生で映画研究部に所属している世古真一、中村格、宮島豊の三人はいつか自分たちで映画を作って金儲けをしたいと考えていた。手っ取り早く作れて儲かる映画の代表格と言えばブルーフィルムだが、先立つものがないため飲食店の厨房でアルバイトをして製作費を賄うことにした。だが最も問題となっていたのは、主演女優がいないことだった。仕事を終えた三人が夜道を自転車で帰宅していると、副部長の沢田芳子が男と玄関の前に立っていることに気付いた。芳子に片思いの世古は、彼女の自宅が近所だったこと、そして男がいることに驚いたのだった。

翌日、映研部の部室では文化祭で制作、上映する作品を決定する会議が行われた。昨年上映した「僕の家は試験場だった」が好評だったこともあり、部長は今年もいい作品を作りたいと意気込んでいた。そこで今回、会議に招待されたのは、映研部OBで東都大芸術学科の横田だった。中村と宮島は彼の顔を見るなり、昨日の野郎だとつぶやいた。昨夜、芳子の隣にいた男なのだ。アニメや時代劇、劇画、純愛ものと様々な意見が出る中、宮島が提案したのは副部長が主演するロマンポルノだった。私の相手役は誰がなるのと芳子が尋ねると、中村は変な野郎に騙される前に俺に声をかけろよと言い、宮島も同調した。話に割って入った横田は、君ら世代の涙や笑い、苦しみが表現出来る作品であればジャンルは問題ではないが、それらの訴えや表現方法についてもう一度謙虚に振り返るためにも高校生としての本当の裸の姿を描いて欲しいと言った。すると宮島は、やっぱりポルノだと茶々を入れた。横田は短絡的すぎると否定し、高校生活の虚と実を浮き彫りにするようなドキュメンタリーが最適だと言うと、二人以外の部員が賛成した。会議があることを忘れていた世古が終了後にやってくると、女の目星がついたと中村がいきなり切り出した。ギャラが払えないなど贅沢が言えない条件の中、出演してくれる可能性があるのは宮島の兄の友人から聞いたというホルモン焼き屋のささえという女だった。ささえは2階の部屋で客を取っていたが、世古たちが下見に行くと店からやくざ風の中年男が出てきた。すると彼女がそのあとを追いかけ金を払えと首を絞めたのだ。金融業の平和商事に勤める男の名は久三郎、ささえの亭主だった。自分の体にプライドを持つささえは、亭主だろうと構わず金を取っていた。持ち金のない久三郎は世古たちから7500円を借りることで何とか騒動をおさめることが出来たが、金貸し屋が高校生から金を借りたのでは立つ瀬がなかった。そこで久三郎は、女のことで何かあったら助けてくれたお礼に世話をすると言った。あの金はアルバイトで貯めた映画の製作費であり、金を倍にして返すという話を信じた宮島がそれを簡単に貸してしまったことには苛立っていた。お前がホルモン焼き屋のババアなんか紹介するから悪いんだと中村が怒鳴ると、それなら金のいらないっていうもっといい女を連れてくればいいじゃないかと宮島は怒鳴り返した。すると中村は「わかった、見つけてきてやる!」と憤って去って行った。

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