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スローなブギにしてくれ

  • posted at:2021-02-23
  • written by:砂月(すなつき)
すろーなぶぎにしてくれ
角川春樹事務所
配給:東映洋画
製作年:1981年
公開日:1981年3月7日
監督:藤田敏八
製作:角川春樹
プロデューサー:橋本新一 稲葉清治
原作:片岡義男
脚本:内田栄一
撮影:安藤庄平
照明:熊谷秀夫
録音:紅谷愃一
美術:渡辺平八郎
記録:小山三樹子
編集:井上治
助監督:松永好訓
演技事務:内藤忠司
選曲:合田豊
スチール:遠藤功成
装飾:金子正且
製作担当:栗原啓祐
美粧:山田かつら店
衣裳:第一衣裳
カースタント:三石千尋とマイクスタントマンチーム
撮影所:にっかつスタジオセンター
現像:東映化学
協力:トリオレコード 日本コロムビア 東芝EMI
音楽監督:南佳孝
主題歌:「スローなブギにしてくれ」南佳孝
出演:浅野温子 古尾谷雅人 浅野裕子 竹田かほり 山崎努
アメリカンビスタ カラー 130分

夕暮れの第三京浜をオートバイで疾走するゴローは前を行く白のムスタングを追い抜こうとしたが進路妨害をされた。頭に血が上った彼は何としてでも抜いてやろうと躍起になるが、後方からきた二台のトラックに遮られ悔しがった。だがその先の非常駐車帯に停まったムスタングから若い女と子猫が放り出されたことから救助に向かった。

ムスタングの男は福生の旧米軍ハウスで輝男と敬子のカップルと同居生活を送っている。敬子には妹に預けている子供がいるがどちらの子かわからない。そんなこともあって男たちは彼女に月10万円の養育費を払う約束をすることで対等の関係を築いていた。輝男はそれを滞るようになり立て替えてやろうかと男が提案するが、何とかすると意地を張って拒否した。毎晩ランニングをすると決めた輝男は真新しい靴を履いて夜遅く出掛けたが戻ってくることはなかった。早朝、警察からの電話で彼が心臓発作を起こして死んだことを知った男は身支度を整えると敬子とともに現場へ行き身元の確認を行った。自宅に戻ってもどうしていいかわからない彼は車に乗り大音量で音楽を掛けた。そんな時ふとダッシュボードに目をやると見慣れぬ定期券入れが目についた。それがあの若い女の物であることがわかると、男はメモ帳に書いてある住所へ向かうことにした。

ゴローが牛丼屋のアルバイトに出掛けようとしたところ、さち乃はまだ部屋でグズグズしていた。財布を無くしたという彼女をゴローは一晩だけ泊めるつもりでいたが、どうやら行く当てがなくこれからも住み続ける気らしい。帰るように説得するとさち乃は素直に頷いた。だが荷物を持ってまた戻ってくるといい出したのでゴローは猫みたいだなと呆れた。まだ何か言いたそうにしているので尋ねると、さち乃はお金を貸してくださいと恥ずかしそうに手を出した。

屋台的映画館
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復讐するは我にあり

  • posted at:2021-02-20
  • written by:砂月(すなつき)
ふくしゅうするはわれにあり
松竹=今村プロ
配給:松竹
製作年:1979年
公開日:1979年4月21日
監督:今村昌平
製作:井上和男
原作:佐木隆三
脚本:馬場当
美術:佐谷晃能
撮影:姫田真左久
装置:秋山幸雄
照明:岩木保夫
編集:浦岡敬一
録音:吉田庄太郎
音楽:池辺晋一郎
記録:八巻慶子
衣裳:相沢登記雄
結髪:山根末美
現像:東洋現像所
助監督:新城卓
制作補:武重邦夫
制作担当:藤倉博
製作協力:横浜放送映画専門学院
出演:緒形拳 小川真由美 倍賞美津子 フランキー堺 北村和夫
アメリカンビスタ カラー 140分

昭和38年、福岡県築橋市にある日豊本線築橋駅近くの畑で柴田種次郎の遺体が発見された。検視官により死因は金属製鈍器状のものによる頭骨挫傷と胸部刺創、死亡推定時刻は10月18日午後2時から5時の間とされた。また十三曲りの峠で馬場大八の遺体が発見された。死因は左顔面、頸部、胸部刺創による失血死、死亡推定時刻は同日午後4時30分から7時の間とされた。柴田は日本専売公社のタバコ集金係で、馬場は築橋通運の運転手だった。

専売公社築橋出張所は市内にある築橋通運、西海運送、築橋貨物の三社とタバコ臨店配給の請負契約をしている。馬場が運転するトラックは勝山郡久賀町方面へ向かっていたが、道路脇で榎津厳が手を振っていたため同乗させることにした。彼は西海運送で運転手として働いており柴田とは顔馴染みだった。榎津は途中でトラックを停めさせ養豚場を経営する友人に紹介すると馬場を連れ出すが、それは真っ赤な嘘だった。人目につかないところへ誘導すると金槌で殴打しありったけの金を奪った。そして金物屋で手頃な包丁を手に入れるとトラックに戻り、馬場が待っていると嘘をついて出発させた。峠のトンネルに入ると榎津は馬場の胸を包丁で刺し、コントロールを失ったトラックは壁に激突した。命乞いをする馬場の両手を紐で縛ると助手席に押し込み、運転は榎津が行った。そして峠の途中にトラックを停めると馬場を引きずり下ろし荷台に乗っていたシートをかぶせて殴り殺したのだった。あらかじめ用意していた背広に着替えた榎津はそこから歩いてアパートまで帰った。

容疑者として榎津の名が浮かんだのは19日の夕方だった。捜査本部は築橋出張所や三つの運送業者に聞き込みを行い、事情に詳しい者の中からピックアップした。そして関係のある人物を調べて行くうちに割烹「麻里」で働く畑千代子にたどり着いた。彼女は榎津の愛人であり、事件のあった日の夜に今から一緒に大阪へ飛ばないかと電話があった。だが亭主持ちであり、先が見えている旅でもあることから千代子はそれを断ったのだった。

10月25日午前1時半、福岡県警当直は香川県警から緊急連絡を受けた。それは指名手配中の榎津が宇高連絡船から投身自殺を図った形跡があるというものだった。乗客が背広の上衣と革靴一足が置かれているのに気づき、思いつめたような表情をした四十代の男を見掛けたという婦人もいたというのだ。後に警察がその上衣を調べたところ、巌という人物が家族らに宛てた遺書らしき二通のハガキが見つかった。

屋台的映画館

海月姫

  • posted at:2021-02-17
  • written by:砂月(すなつき)
くらげひめ
「海月姫」製作委員会(アスミック・エース=講談社=ハピネット=パルコ=東海テレビ=レプロエンタテインメント)
配給:アスミック・エース
製作年:2014年
公開日:2014年12月27日
監督:川村泰祐
エグゼクティブプロデューサー:豊島雅郎 鈴木伸育
プロデューサー:井手陽子 宇田光 松下卓也
共同プロデューサー:鈴木俊輔 加茂義隆
アソシエイトプロデューサー:坪屋有紀
ラインプロデューサー:橋本竜太
製作:長澤修一 古川公平 高橋善之 山崎浩一 高木卓司 本間憲
原作:東村アキコ
脚本:大野敏哉 川村泰祐
撮影:福本淳
照明:市川徳充
録音:小松将人
美術:笠井亜紀
編集:森下博昭
装飾:渡辺大智
助監督:成瀬朋一
衣裳:井手珠美
ヘアメイク:赤間直幸
スクリプター:中田秀子
テクニカルプロデューサー:大屋哲男
VFXプロデューサー:道木伸隆
音楽プロデューサー:安井輝
音楽:前山田健一
ドレスデザイン:飯嶋久美子
スタイリスト:飯嶋久美子
制作主任:信平隆行
制作進行:岩峅啓伍
主題歌:「マーメイドラプソディー」SEKAI NO OWARI
挿入歌:「スターライトパレード」SEKAI NO OWARI
・・・:「花鳥風月」SEKAI NO OWARI
制作:アスミック・エース
制作プロダクション:ギークサイト
製作幹事:アスミック・エース 講談社
出演:能年玲奈 菅田将暉 池脇千鶴 太田莉菜 馬場園梓
アメリカンビスタ カラー 126分

幼い頃に母親に連れて行ってもらった水族館でお姫様のドレスをまとったようなクラゲに出会った倉下月海。いつかお姫様になれるのではないかと考えていた彼女だったが、持ち前の性格が災いしそれとは縁遠い人生を歩んでいた。恋愛はおろか男の人としゃべることさえ出来ない有り様でいつの間にか二十歳を迎えていた。ある日、クラゲオタクの彼女は渋谷パルコで開催されている「クラゲの世界」という写真展を観たくて出掛けたのだが、ファッションセンスの高いその街がおしゃれに疎い自分を疎外しているように感じ泣く泣く引き返してきたのだった。月海は天水館という古びたアパートに住んでいるが、そこの住人の三国志マニアのまやや、鉄道オタクのばんば、和物オタクの千絵子、枯れ専のジジは皆彼女に同情した。独身である彼女たちは自らを「尼-ず」と呼び、男を必要としない人生を送ろうとしていた。天水館にはもう一人、主と呼ばれる売れっ子BL漫画家の目白樹音が住んでいるが月海はまだ会ったことがなかった。彼は極度の対人恐怖症であり、会話はドアの下にある隙間を使った筆談で行われた。

イラストレーターを目指して鹿児島から上京して半年。毎日楽しく暮らす月海だったが、時折亡くなった母親のことを思い出して淋しくなることもあった。そんな時はペットショップの水槽の中で優雅に泳ぐタコクラゲのクララから元気をもらうのだ。ところがある日、いつもと様子が違うことに気づいた。クラゲの数が増えたことでクララに友達が出来たのかと思ったが、それは天敵のミズクラゲだった。このままではタコクラゲが弱って死んでしまうため何とか店員に忠告したいのだが、その店員は見たところ苦手な男おしゃれ人間なのだ。だがそんなことも言ってらぬ緊急事態に勇気を振り絞って店に飛び込んだのだが、その鬼気迫る形相に驚いた店員は彼女を叩き出したのだった。するとそこを偶然通り掛かった女性が事情を察し、それならばタコクラゲを死んだことにすればいいと店員に言って強引に引き取ったのだった。こうしてクララは月海のルームメイトになった。翌朝目覚めると、足元にウィッグが落ちていた。あの女性が泊まったことを思い出した月海はこっそりとつけてみたが、その似合わなさに愕然とした。すると背後から声を掛けてきたのは金髪の青年だった。女性の正体は女装をした鯉淵蔵之介だったのだ。男のお姫様が東京にいることを知った彼女は衝撃のあまり石化した。

屋台的映画館

男はつらいよ 寅次郎子守唄

  • posted at:2021-02-13
  • written by:砂月(すなつき)
おとこはつらいよとらじろうこもりうた
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1974年
公開日:1974年12月28日 併映「ザ・ドリフターズの極楽はどこだ!! 」
監督:山田洋次
製作:島津清
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:佐藤公信
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
監督助手:五十嵐敬司
装置:小野里良
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
協力:柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 十朱幸代 前田吟 太宰久雄
アメリカンビスタ カラー 104分

夫の博が仕事中に怪我をしたと聞き慌てて帰ってきたさくらは運ばれたという2丁目の吉田病院に向かった。どうやら印刷機械に右手を巻き込まれたらしい。叔父の竜造は心配で仕事が手に着かず、叔母のつねは居ても立っても居られず柴又題経寺に御参りに行った。その甲斐あってか怪我は軽傷で済み博は一笑に付したが、社長の桂梅太郎は責任を感じていた。その夜、お見舞いの品を持って現れた御前様は、この家の大黒柱なのだから体に気をつけなさいと言った。だが諏訪家の人間であることを思い出し謝罪すると、竜造はとらやを継いでくれることになればそうなるのですが彼には彼なりの事情がありますと説明した。そして跡取りはいることはいるのですがと言葉を濁した。それが寅次郎のことだとわかると御前様はそれは困ったと笑った。そこに突然その張本人がふらりと現れたことで御前様は元気で何よりだと冗談めかして帰って行った。博が怪我をしていることに気づきあんな工場辞めちまえと暴言を吐く寅次郎に、竜造は将来のことについて少しは考えて欲しいと言った。すると寅次郎は、死んだあとのことを考えて自分の葬式代を貯めていると明かした。その話を聞いたさくらたちは少しばかり見直したのだが、葬式のあり方をふざけて話したことで部屋の雰囲気が悪くなった。真面目に聞いていた竜造は馬鹿馬鹿しくなり、口論の末に寅次郎は出て行った。その際に彼は、博の治療代の足しにしろとさくらに貯金通帳を手渡した。

唐津くんちで盛り上がる秋の唐津神社に寅次郎の姿があった。祭りの屋台での啖呵売を終え呼子の港であんパンをかじっていると妙なカップルと出会った。女はストリップ小屋「呼子ショー劇場」の踊り子で、男はその小屋で働いていた元踊り子の亭主だった。赤ん坊を押しつけられた男は逃げた女房の手掛かりを捜して呼子へきたのだが空振りに終わったのだ。男が渡船に乗って岸を離れると、踊り子は頼りない親父だよと寅次郎に笑いながら話し掛けた。その夜、寅次郎が旅館に泊まってくつろいでいると隣の部屋から聞き覚えのある関西弁の声が聞こえた。それは泣き止まない赤ん坊に手を焼くあの男だった。寅次郎はガラリと襖を開けると一人じゃ酒がうまくないと声を掛け一緒に飲もうと誘った。

病院から帰った博はあと2、3日で包帯が取れるとさくらに話し、美人の看護師に会えなくなるのが寂しいと冗談を言った。それを聞いたつねは、寅次郎だったら仮病を使ってきっと長引かせるだろうと笑った。そんな矢先、その寅次郎が赤ん坊を背負って現れた。男は彼に赤ん坊を押しつけ夜が明ける前に姿を眩ましたのだ。寅次郎に子供が出来たという噂は柴又中に忽ち広がった。

屋台的映画館

黒い画集 ある遭難

  • posted at:2021-02-10
  • written by:砂月(すなつき)
くろいがしゅうあるそうなん
東京映画
配給:東宝
製作年:1961年
公開日:1961年6月17日 併映「愛と炎と」
監督:杉江敏男
製作:永島一朗
原作:松本清張
脚色:石井輝男
撮影:黒田徳三
美術:小野友滋
照明:森康 比畄川大助
録音:酒井栄三 西尾曻
音楽:神津善行
監督助手:鈴木荘蔵
編集:黒岩義民
製作主任:内山甲子郎
協賛:大町市観光協会
登山指導:星野貢
登山衣裳:東洋レーヨン
出演:伊藤久哉 土屋嘉男 児玉清 和田孝 天津敏
シネマスコープ モノクロ 87分

経験豊富な岩瀬秀雄が登山中に遭難して命を落としたが、姉の真佐子はその死に不信感を抱いていた。何故なら同行していた登山経験の浅い一人が何事もなく下山していたからだ。それからしばらくして雑誌・岳人に一本の手記が載ったが、書いたのはその経験の浅い浦橋吾一だった。

銀行に勤める支店長代理の江田昌利、貸付係の岩瀬、そして出納係の浦橋の三人は登山で北アルプスを目指すことになった。スケジュールは8月30日に大谷原、高千穂平のルートで冷小屋に一泊。翌31日早朝に出発し鹿島槍ヶ岳、八峰キレットを通過し五竜岳へ向かうのだ。その31日、八峰キレットには通行不可能と言われるような岩場があるが、その手前で霧が深くなり江田は引き返すことを提案した。だが岩瀬は冷小屋に戻るには3時間を費やすため先へ進んで八峰キレット小屋を目指すべきだと言った。小屋まで30分掛かるが、その間に天候が悪化した場合は引き返すという条件付きで江田は了承し前進を決めた。ガスは次第に濃くなり、これ以上進むのは危険だと江田は警告を発するが、岩瀬はあと20分もすれば小屋にたどり着けると譲らなかった。そこで初心者の浦橋がいることもあり山の定石として安全な方を取るべきだと江田が諭すと、岩瀬は渋々従った。まるで雲の中を歩くように冷小屋へ向かったが、疲労により岩瀬の歩みは次第に遅くなって行った。布引岳を越え灌木林を抜ければ小屋が見えるはずだったが林は途切れることがなかった。風雨が強まる中、道を間違えたことに気づいた江田は引き返そうとしたが、岩瀬が低体温症を起こし倒れたのだ。そして彼は突然狂ったように暴れ出し崖から転落したのだった。

江田と会う約束をした真佐子はその日の夜、三笠会館のレストランで待っていた。やがて彼が姿を現すと真佐子は電力会社に勤める従兄の槙田二郎を紹介した。弟の強引な行動を詫びた真佐子は花を捧げるために遭難現場まで案内して欲しいと言った。そして槙田を未熟な自分の代わりに連れて行って欲しいと願い出たのだ。彼は山に登りたいがために信州の高校を選び、会社も同じ理由で就職したのだった。江田は返答に窮し言葉を濁した。

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