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桃色身体検査

  • posted at:2018-02-25
  • written by:砂月(すなつき)
ももいろしんたいけんさ
獅子プロダクション
配給:にっかつ
製作年:1985年
公開日:1985年2月23日 併映「イヴの濡れてゆく」「ザ・折檻」
監督:滝田洋二郎
企画:奥村幸士
脚本:高木功
撮影:志賀葉一
照明:石垣悟
編集:金子編集室
助監督:片岡修二
監督助手:笠井雅裕 三好隆之 栢野真樹
撮影助手:片山浩
照明助手:平良昌平
録音:銀座サウンド
選曲:工藤彰
現像:東洋現像所
スチール:津田一郎
車輌:金子ドライバー
進行:井川晃之
出演:滝川真子 真堂ありさ 彰佳響子 杉本未央 大杉漣
アメリカンビスタ カラー 63分

大阪友愛病院では看護師たちの間であることが行われていた。それは患者を相手にした院内売春だった。一番多く指名を受けているのは斡旋の元締の洋子で、稼いだ金をパリ旅行に当てようと計画していた。給料を増やすには指名を増やすか同伴出勤をする手があったが、後輩のマコは最愛の夫の明良がいることもあって遠慮していた。だが自由な金がふんだんに使えることへの憧れもあった。この病院には大のタイガースファンである明良の父・亀蔵が二カ月間入院しているが今は元気そのもの。働きたくないがために理由をつけて退院を長引かせていた。検査のない日は賭けたつもりでテレビの競馬中継を見ることを楽しみにしているが、たまに万馬券を当てることもあった。買っておけばと後悔していると、同室の村山が折り入って相談があると話しかけてきた。お馬さんよりも絶対確実に儲かると知り亀蔵は身を乗り出して話を聞いた。友愛病院では一日平均3人の患者があの世へ行っている。月にして90人というのは大阪一の死亡率だった。そのうちの数人は献体として使って欲しいと患者本人が申し出ており、その遺体は病院の何処かに眠っているはずだった。村山は神経痛と偽って入院し遺体の保管場所を探していた。彼の目的はその遺体を盗み出すことだった。

村山には二人の弟がおり仲の良さは近所で評判になる程だった。ところが昨年の夏のこと、いつものように兄弟3人で海水浴を楽しんでいたのだが、須磨の海水浴場からゴムボートで沖へ出て行ったっきり2人の弟が未だに戻ってこないのだ。溺れ死んだ可能性はあるが、遺体が見つかっていないことで保険金が下りないのだ。慰霊碑を建ててやりたくても先立つものがないことから、盗み出した遺体を弟に仕立て上げて保険屋に証拠として突き出そうと考えたのだ。しばらく話を聞いていた亀蔵はある疑問を口にした。顔と体つきが全然違うのでは?。すると痛いところを突かれた村山は、長い間水に浸かっていたのだからふやけていたことにしたらいいとムキになって反論した。そしてあらかじめ盗んだ遺体の特徴を調べておき、これは弟に間違いないと言えば実の兄の言葉を相手が信用しないわけにはいかないだろうと自信を持って言った。後のことは全て責任を持ちますので何とか力を貸してもらえませんかと頭を下げられた亀蔵だったが、良心の呵責に耐えられるかわからないと言って契約金を吊り上げ300万円で引き受けることにした。医師の姿に変装した2人は午後から早速、遺体探しを始めたが、大きな病院だけに迷子になり診療を終えた診察室にたどり着いたのだった。疲れてひと休みするとドアのノック音が聞こえたため村山はカーテンの向こう側に隠れることが出来た。ところが亀蔵は逃げ遅れてしまい、あたふたしているところに入ってきたのは彼をレントゲン技師の今井と勘違いした看護師のハル子だった。ハル子も洋子に斡旋料の5千円を支払っていた。

屋台的映画館
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ルパン三世 念力珍作戦

  • posted at:2018-02-21
  • written by:砂月(すなつき)
るぱんさんせいねんりきちんさくせん
東宝映画=国際放映
配給:東宝
製作年:1974年
公開日:1974年8月3日 併映「ノストラダムスの大予言」
監督:坪島孝
製作:藤岡豊 大木亀雄
企画:赤塚不二夫 中山千夏
原作:モンキー・パンチ
脚本:長野洋
撮影:市原康至
美術:竹中和雄
録音:西尾昇
照明:小島正七
編集:山地早智子
音楽:佐藤勝
助監督:志村光隆
色彩計測:田辺博通
特殊技術:中野稔
スチール:中尾孝
製作担当:杠洋之輔
装置:美建興業
装飾:東宝美術
衣裳:京都衣裳
技髪:川口かつら
現像:東洋現像所
録音:東京映画
出演:目黒祐樹 江崎英子 安西マリア 伊東四朗 前川清
アメリカンビスタ カラー 82分

大都会の地下駐車場に停めてあるフェアレディZの鍵を楊枝1本で開けた男は、エンジンを掛けると持ち主の横をすり抜け幹線道路に出た。彼の名はルパン三世。気分よくドライブしていた彼は前を走っている護送車を追い抜こうとしたが、窓から見えた被疑者の女の美しさに目を奪われた。いくらアピールしても振り向かないことで信号が赤になったのにも気づかないほど熱烈な投げキッスを送った結果、オカマが乗った車のオカマを掘ったのだった。護送車が進み始めるとルパンは慰謝料を要求するオカマの口にハンカチを押し込んで黙らせ後を追った。だが走っても追いつかないことから交番の前にいた警官に事件が発生したとウソついて白バイを盗むと先回りして歩道橋の上から護送車がくるのを待った。そして通過するのと同時に飛び乗ると、護送警官が居眠りをしているのをいいことに逆さになって窓から顔を出し今夜デートしないかと話しかけた。その夜、女子刑務所に忍び込んだルパンは女の脱走を手引きした。監視たちに発見され銃撃を受けるものの持ち前の俊敏さで危機を乗り越え脱獄に成功したのだった。女はお礼のキッスを迫ってくるルパンが目をつぶると同時に隠し持っていたスペードのエースのトランプを投げた。するとそれが木の枝を切り裂き、枝はルパンの頭を直撃した。

気を失って倒れていたルパンは不審な人物として警察に捕まった。何故なら彼は女の囚人服を着ていたからだ。江戸の捕物の名人・銭形平次から数えて七代目の銭形警部によって厳しい取り調べを受けたルパンだったが、証拠不十分で釈放された。その頃、ある青年を捜していた次元大介は教会を訪れていた。1974年3月5日午前8時、シリアの首都ダマスカスのある小さな喫茶店である組織に属する男があるグラビア雑誌を見てある大発見をした。そのグラビアの原版を拡大した物を見せると、モッキンパット牧師は知っていると大きく頷いた。そこに写った青年こそ由緒正しきアルセーヌ・ルパンの末裔のルパン三世だった。怪盗アルセーヌ・ルパンの子であるルパン二世は組織作りの天才で、父の後継者である彼は瞬く間に全世界の暗黒組織を配下に収めルパン大帝国を築き上げた。ところが配下の一人に裏切られたことをきっかけにして帝国はマカローニ一家に叩き潰されたのだった。帝国の生き残りである次元は、写真の青年の胸元に二世が実子に施したとされる紋章の刺青があることを見つけ、それがルパン三世であることを証明するために彼が育った孤児院を訪ねたのだ。次元がモッキンパットと別れの挨拶をしていると黒ずくめの男が乗り込んできた。それが組織の人間だとわかると彼は0.3秒の早撃ちで3発連射した。弾は入り口の男だけでなく潜んでいた二人の男にも当たり、こいつらのために祈ってやってくださいとモッキンパットに伝えると姿を消した。

屋台的映画館

恋の季節

  • posted at:2018-02-16
  • written by:砂月(すなつき)
こいのきせつ
松竹
配給:松竹
製作年:1969年
公開日:1969年2月21日 併映「永訣」
監督:井上梅次
製作:猪股尭
脚本:田波靖男
撮影:丸山恵司
美術:森田郷平
照明:佐久間丈彦
録音:栗田周十郎
調音:佐藤広文
編集:浜村義康
監督助手:増田彬
装置:中村文吾
進行:柴田忠
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
協力:ハガスキー 横浜・スワロー運動具商会
音楽:いずみたく
主題歌:「恋の季節」ピンキーとキラーズ
挿入歌:「涙の季節」ピンキーとキラーズ
製作協力:オールスタッフプロダクション
出演:今陽子 ジョージ浜野 エンディ山口 ルイス高野 パンチョ加賀美
シネマスコープ カラー 87分

既に就職が決まり卒業式を待つばかりとなっていた高校生の守屋洋子は朝から浮かれていた。午後6時から行われるダンスパーティーに出席することになっているからだ。友達のボーイフレンドが東西大学のサッカー部にいてパーティー券を大量に買わされたために一枚付き合うことにしたのだが、彼女はそれに見合う洋服を持っていなかった。そこで頼みの綱である同級生のピンキーを訪ねたのだった。ピンキーは「ピンキーとキラーズ」のボーカリストとして忙しく活動していたことで自由な時間を作ることが出来なかった。そうなると当然、洋子が誘うパーティーに参加することは出来なかった。そこでピンキーは、遅れた授業内容を補い卒業に貢献してくれた洋子のために洋服選びを手伝うのだった。

仲間たちが積極的なアプローチをして次々とカップルになって行く中、洋子はひとり取り残されていた。そんな彼女に声を掛けてきたのはバンドでドラムを担当している法学部の安村圭介だった。踊っているうちにふたりの気持ちが打ち解け、圭介は赤坂のゴーゴークラブで踊り直さないかと誘った。車に乗せてくれるというので洋子はてっきりスポーツカーか何かだと思っていたが、それは楽器を運ぶために仲間と買ったというバンだった。しかも車内でいきなりキスを要求してきたことで幻滅し、突き飛ばして逃げたのだ。圭介をやり過ごすために別の車の後部座席に乗り込んだのだが、運転手が恋人を連れて戻ってきたことで降りるタイミングを失った。やがて車は恋人の自宅に着き、ふたりが別れると洋子は意を決して男性に理由を話した。彼はとても驚いたが話をするうちに理解を示し洋子を自宅まで送ると言った。だが何故か恋人にライバル心を燃やした洋子は自宅近くにある豪邸が自分の家だと嘘をついて門をくぐり車がいなくなるのを待ったが、番犬に追われてスカートを破られてしまった。理由を知らない父・武夫と母・信子は帰ってきた娘の姿を見て大騒ぎし、洋子は納得させるのに苦労した。

数学の試験が合格点に達しておらず再試験を行わなければ卒業が取り消しになるという通知が学校から届き、洋子は翌日学校に向かった。すると同じ理由でピンキーもやってきた。何故なら、芸能活動が忙しいピンキーは授業についていけないため、試験のときは洋子の答案を丸写ししていたからだ。同じ箇所を正解し同じ箇所を間違うのだから洋子が不合格なら当然ピンキーも同じ結果なのだ。ピンキーから借りたスカートを破いてしまった罪滅ぼしに洋子は今回も協力しようとしたのだが、試験官を務める立野先生は二人を離して座らせた。ところが春の陽気に誘われて居眠りしてしまい寝ぼけて体調が悪化したと勘違いして医務室に向かったため、ピンキーは洋子の回答を丸写しした。その結果、二人は試験を無事にパスしたのだった。

屋台的映画館

ジーンズブルース 明日なき無頼派

  • posted at:2018-02-11
  • written by:砂月(すなつき)
じーんずぶるーすあすなきぶらいは
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1974年
公開日:1974年3月30日 併映「非情学園ワル ネリカン同期生」
監督:中島貞夫
企画:日下部五朗 佐藤雅夫
脚本:中島貞夫 金子武郎
撮影:増田敏雄
照明:金子凱美
録音:溝口正義
美術:吉村晟
音楽:井上忠夫
編集:神田忠男
助監督:土橋亨
記録:梅津泰子
装置:吉岡茂一
装飾:山田久司
美粧結髪:東和美粧
スチール:中山健司
演技事務:上田義一
衣裳:松本俊和
擬斗:土井淳之祐
進行主任:俵坂孝宏
主題歌:「ジーンズ・ぶるうす」梶芽衣子
出演:梶芽衣子 堀越陽子 橘真紀 室田日出男 菅貫太郎
アメリカンビスタ カラー 91分

都心の一角にあるバー・FU-ZOKUはマスターが奥のフロアを乱交パーティーの場として客に提供している。その店で働く聖子は名ばかりの雇われママで、カウンターでグラスを片手に時間を潰す毎日に嫌気が差していた。出先からの電話でマスターが帰ってこないことがわかると、彼女はレジの金をわしづかみにしてポケットに突っ込み店を後にした。マスターの車を拝借して当てもなく走らせていたが、急に飛び出した白い車と交差点で衝突した。威勢よく飛び出してきたのはチンピラの片桐次郎で、何処見て運転してんだよと怒鳴りつけたものの、一刻も早くその場から離れたい彼は銭だったらいくらでも出すよと聖子に言った。

金欲しさに高利貸し殺しの仲間に入った次郎は死体を埋めるための穴掘り役を任されていたが、リーダーの本郷が落として行った札束に気づき拾い上げた。目の前では高利貸しの男が撲殺されており、分け前が減るという理由で一緒に埋められることを知った次郎は同じ目に遭いたくないと逃げ出したのだった。暗闇を駆けるその先には立ち小便をする男がおり、その傍にエンジンの掛かった車が停めてあったことからそれを奪うとアクセルを踏み込んだのだった。昂る気持ちが抑えられない次郎の頭の中には札束がひしめき、交差点を横切る赤い車の発見が遅れたのだった。
 
人ひとり殺してきたんだぞと凄んでも聖子が動じる様子を見せなかったため、次郎はどっちもどっちだなとあきれてタバコに火をつけた。そしてマッチを投げ捨てると漏れ出したガソリンに引火し二台の車は大爆発を起こしたのだった。急いで道路脇に避難をすると野次馬が乗る車が近づいてきたことから、男が降りた隙にふたりが乗り込みスタートさせた。エンジン音に気づいた男が立ち塞がったことで次郎はそれを避けようとしたが間に合わず撥ね飛ばした。次郎が慌てて駆け寄ると男にはまだ息があったため救助しようとしたが、パトカーのサイレンが聞こえたことで札束から数枚抜き取ると治療代だと言って傍に置いた。次郎は聖子を助手席に乗せたが、この後のことは無計画だった。そこで何処へ行くつもりかと尋ねたが、聖子からは当てなんかないという素っ気ない言葉が帰ってきただけだった。とりあえず腹ごしらえをするために道路沿いのレストランに寄ったが、次郎は灯りの下で初めて聖子の素顔を見た。そしてあんたとならうまくやれそうな気がすると、丹後半島へ行く予定を話をした。その頃、本郷の部屋にマリー、早川、石松が集まっていた。彼らは次郎に札束を持ち逃げされた上に交通事故で車が炎上したことで、人と金の手がかりを失っていたのだ。

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ねこタクシー

  • posted at:2018-02-06
  • written by:砂月(すなつき)
ねこたくしー
「ねこタクシー」製作委員会(AMGエンタテインメント=アミューズメントメディア総合学院=tvk=テレ玉=チバテレ=三重テレビ=KBS京都=サンテレビ=札幌テレビ放送=TVQ九州放送=NTTぷらら=竹書房)
配給:AMGエンタテインメント
製作年:2010年
公開日:2010年6月12日
監督:亀井亨
製作総指揮:吉田尚剛
製作:関佳史 遠藤圭介 青柳洋治 波多美由紀 伊藤義行 江副純夫 木田淳一 力武史郎
小川貴史 伊藤明博
プロデューサー:飯塚達介 森角威之
共同プロデューサー:関佳史
ラインプロデューサー:岩城一平
原作:永森裕二
脚本:永森裕二 イケタニマサオ
撮影監督:中尾正人
録音:甲斐田哲也
美術:西村徹
ヘアメイク:唐澤知子
衣裳:永井伸子
助監督:芦塚慎太郎
音楽:野中”まさ”雄一
主題歌:「ソラノワダチ」水木一郎
編集:亀井亨
制作担当:齊藤光司
配給協力:中目黒製作所
制作プロダクション:杜方
企画:AMGエンタテインメント
出演:カンニング竹山 鶴田真由 山下リオ 高橋長英 甲本雅裕
アメリカンビスタ カラー 106分

間瀬垣勤はタクシーの運転手を始めて3年になるが、人づきあいが苦手で要領が悪いことから営業成績は万年ビリ。彼は4年前まで中学の英語教師をしていたが、生徒とうまく交流が出来ず悩んだ末に退職した。にも拘らず何故か今の職に就いたために客とのトラブルが絶えなかった。妻の真亜子、高校受験を控える娘の瑠璃と三人暮らしをしているが、中学の教師を続けている真亜子が一家の大黒柱となっていることで頭が上がらず、勤は家事を一手に引き受けていた。そんな父を瑠璃は見下し目を合わそうともしなかった。肩身の狭い思いをしている勤の気が休まるのは、土管のある公園の脇にタクシーを停めて園内のベンチで弁当箱を広げ、終わると車内で仮眠を取るときだ。ある日、いつものように弁当を食べようとすると、土管の中から熱い視線を感じた。オスの三毛猫が物欲しそうに見つめているのだ。弁当箱を隠しても追っ払っても近寄ってくるため、仕方なくふたを閉めて車内で仮眠することにした。しばらくして配車希望の連絡があり、応答しているといつの間にかあの猫が後部座席に乗っていた。窓から入ったのだろうか。そう考えているうちに夫婦の乗客がきてしまい、勤は猫を逃がすことも出来ずに発車した。ちょっとしたことで言い争う夫婦の仲を取り持ったのも、勤が初めて乗客と笑いあったのも猫のおかげだった。首輪に下がった絵馬型のネームプレートに「御子神」と書いてあったことから、彼は敬意を評して「御子神さん」と呼んだ。そして営業が終わるとねぐらへ返し、ありがとうございましたと頭を下げた。翌日、ペットショップでエサの缶詰を買った勤は公園に向かったが、何処を捜してもいなかった。彼はその日を寂しく過ごすことになった。

数日後、勤は猫好きの老婆を乗せた。彼女曰く猫との出会いはご縁だそうで、目が合うとと連れて帰って飼うのだそうだ。老婆はまず勤に猫を抱かせて気を逸らせ、710円の料金に対して1万円を受け皿に乗せるとお釣りをもらう時に千円札とすり替えた。そしてそそくさと逃げるようにして姿を消したのだった。詐欺だと気づいたときは後の祭りで、会社に戻ると同僚の丹羽仁美からあの界隈で有名な「ねこババァ」だと知らされた。いつも猫を使ってネコババするからねこババァ。猫好きだったこともあって猫屋敷の場所を調べたことがある仁美から住所を聞いた勤は、翌日の帰宅中に自転車で寄った。猫屋敷はゴミ屋敷の様相で、手に負えなかった保健所の職員と鉢合わせした。帰って行く彼らを尻目に玄関を入り声を掛けたがねこババァはいなかった。構わずに奥へ進んで行くと猫だらけの中に御子神さんがソファーの上でうずくまっていたのだ。再会を喜んでいるとねこババァがエサを持って現れ、猫といるあんたはいい顔をしているからご縁がある人に飼ってもらうのがいいと言った。だが大きいのがいなくなるとチビが寂しがるよと言って子猫の「小麦」まで押し付けられてしまった。結局、乗車賃の代わりに二匹の猫を連れ帰ることになった勤だったが、彼には真亜子を説き伏せるという試練が待ち受けていた。

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