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兵隊やくざ 強奪

  • posted at:2022-09-05
  • written by:砂月(すなつき)
へいたいやくざごうだつ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1968年
公開日:1968年10月5日 併映「尼くずれ」
監督:田中徳三
企画:奥田久司
原作:有馬頼義
脚本:舟橋和郎 吉田哲郎
撮影:森田富士郎
録音:海原幸夫
照明:伊藤貞一
美術:内藤昭
音楽:鏑木創
編集:菅沼完二
擬斗:宮内昌平
助監督:勝呂敦彦
製作主任:眞田正典
出演:勝新太郎 田村高廣 佐藤友美 夏八木勲 江守徹
シネマスコープ モノクロ 80分

昭和二十年八月十五日、長い長い戦争は終わった。満州はソ連軍によって占領され日本軍の大半は捕虜となった。辛うじて逃げた者は満州の荒野をひたすら南へ南へと敗走したが、この時各地では満洲人による武装蜂起が起こった。その頃、大宮一等兵と有田上等兵は一日も早く内地に帰ろうとひたすら先を急いでいた。蘇家屯を目指す二人だったがその途中で全滅した部隊を目の当たりにし大宮は俺たちもいつかこうなるかも知れないと言った。その先では複数の兵隊が気に吊るされ柵に磔にされていた。中には息のある者もいたことから二人は縛られた縄を解きなけなしの食料を与えた。再び歩みを進めると何処からか威勢のいい声が聞こえた。そこでは日本軍による訓練が行われており、大宮は加藤中尉の前に歩み寄ると戦争は終わったんですがと言った。すると加藤は何を言うかと彼を殴った。加藤は終戦の大詔渙発が腰抜けの重臣どもが勝手にやった陰謀であり真の聖断ではないと言った。関東軍に降伏はないと考える彼はこの地に踏みとどまって敵を迎え撃ち、最後の一兵まで戦い抜くつもりでいたのだ。呆れた大宮がてめえ一人でやりゃあいいじゃねえかと吐き捨てるように言うと加藤は部下に監禁するよう命じた。

二人が食糧庫に連れて行かれた頃、松川大尉は加藤とともに抗日ゲリラの女の取り調べを行おうとしていた。松川は彼女が所属する部隊の勢力や居場所を聞き出すために拷問を行うが口を割らなかった。銃殺刑に処すことに決めた。一方、何とか逃げ出す手はないかと大宮たちが思案していると壁を叩くような音が聞こえた。何かと思い頭を回らすと、穴から五人の男たちが入ってきた。彼らは二人が助けた日本兵で食糧を盗むために忍び込んだのだ。二人は縄を解いてもらおうと期待したが、男たちは素知らぬ顔で荷物を持ち出して行った。義理も人情もねえなと大宮が愚痴っていると一匹のネズミがやってきて彼の縄を食いちぎったのだった。男たちが作った穴から逃げ出した二人だったが、女が銃殺の的として磔にされているのを目撃して居ても立っても居られなくなった。加藤に一泡吹かせてやりたいと考えた大宮たちは背中を見せていた兵士から機関銃を奪うと威嚇し女を助け出したのだった。しばらく歩いた先に誰もいない町を見つけひと休みすることにしたが、少し目を離した隙に女は姿を消した。驚いた大宮は辺りを捜し回るが、見つけたのは女ではなく赤ん坊だった。有田はどんな危険な目に遭うかわからないから置いて行けと言うが、鳴き声が気になって心配になり結局連れて行くことにした。

屋台的映画館
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銭形平次(1967年)

  • posted at:2022-09-02
  • written by:砂月(すなつき)
ぜにがたへいじ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1967年
公開日:1967年10月10日 併映「侠客の掟」
監督:山内鉄也
企画:岡田茂 松平乗道
原作:野村胡堂
脚本:田坂啓 山内鉄也
撮影:古谷伸
照明:中山治雄
録音:谷本啓司
美術:矢田精治
音楽:津島利章
編集:宮本信太郎
助監督:大西卓夫
記録:田中美佐江
装置:温井弘司
装飾:西田忠男
美粧:堤野正直
結髪:西野艶子
衣裳:高安彦司
擬斗:谷明憲
進行主任:並河正夫
主題歌:「銭形平次」舟木一夫
出演:大川橋蔵 水野久美 小畠絹子 大辻伺郎 小池朝雄
シネマスコープ カラー 89分

目明しの父に反抗し続け勘当された平次はとび政の政五郎に拾われ一人前の鳶職人となった。だが博奕好きの癖は治らず事あるごとに賭場に出入りした。ある日、差し向かいの渡世人から呼び止められもう一勝負しようとしたが、町奉行所の手入によって牢屋に入れられた。同心笹野新三郎の口利きですぐに出されたが、平次を待っていたのは政五郎だった。怒りの収まらない政五郎は百叩きでも何でもいいから痛い目に遭わせて性根を叩き直してくださいと願い出るが、笹野は百叩きよりはよっぽど効き目がありそうだと政五郎の娘のお静に世話を任せることにした。だがこれには筋書きがあり、平次に灸を据えるために政五郎と笹野が口裏を合わせて一芝居打ったのだ。その帰り道、恋仲の二人を気遣った政五郎はこれからちょっとした野暮用があると言ってお静に小遣いを渡すと去って行った。

翌朝、堀で男女の溺死体が発見された。政五郎が一晩帰ってこなかったことで心配になった平次たちが駆けつけると、そこには若い女と手を繋いだ親方の姿があった。目明しの三ノ輪の万七は女から仕掛けた無理心中だと睨んだ。女は政五郎を刺殺した上に剃刀で喉首を切り、死んでも離れないように手と手を結わえてから自分を刺して堀に飛び込んだと考えたのだ。だが女の傷痕に違和感を覚えた平次は心中に見せ掛けて殺されたんだと言った。何故なら自らの命を絶つのに二度三度しくじった傷がつくためらい傷が見当たらないことと、縛った手首の結び目が女結びではないからだ。見立てを否定された万七は素人のくせに余計なことを言いやがってと掴みかかった。するとそこにやってきた笹野は俺の勘も平次と同じだと言った。平次の見立ては死んだ父親から聞いたことばかりだった。

拾われなかったら今頃は島送りになっていたかもしれない。そう考えていた平次はお静に今日限りとび政から暇をもらうと打ち明けた。親方の疑いを晴らし殺した犯人を自らの手で摑まえることに決めた平次は笹野に岡っ引になりたいと申し出た。無言で聞いていた笹野は押し入れから箱を取り出すと平次に渡した。その中には彼の父親が使っていた十手と捕り縄が入っていた。経緯を聞いた平次は面白い物を見せましょうと空の湯飲みを放り投げ、投げ銭でそれを割った。それも父親から仕込まれた技だった。笹野から正式に目明しとして認められた平次は十手を汚すような真似をしないと誓った。

屋台的映画館

怪猫逢魔が辻

  • posted at:2022-08-29
  • written by:砂月(すなつき)
かいびょうおうまがつじ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1954年
公開日:1954年12月29日 併映「春の渦巻」
監督:加戸敏
製作:酒井筬
企画:高桑義生
原作:高桑義生
脚本:木下藤吉
撮影:武田千吉郎
録音:林土太郎
照明:中岡源権
美術:太田誠一
音楽:高橋半
編集:西田重雄
特殊撮影:佐野義雄
歌舞伎指導:中村松若
製作主任:黒田豊
装置:木川義人
装飾:秋山辰雄
背景:小倉清三郎
美粧:日樫義雄
結髪:花井りつ
記録:竹中衣子
スチール:藤岡輝夫
助監督:古川俊男
撮影助手:青柳寿博
録音助手:近藤正一
照明助手:斎藤良明
美術助手:神田孝一郎
移動効果:柴田豊
擬斗:楠本栄一
演技事務:久松健二
進行:村上忠男
出演:入江たか子 勝新太郎 村田知英子 坂東好太郎 阿井美千子
スタンダード モノクロ 82分

女歌舞伎の人気座長市川仙女は中村座の桧舞台を踏んだが、それは彼女の死んだ父親が桝田屋の大番頭だった繋がりもあって主人の桝田屋善右衛門が全面的に支援したからだった。それを快く思わないのは二番人気の阪東染若で、姉で料亭うた川の女将のお粂は恋人の妻木源次郎を使って大道具頭彌兵衛を巻き込み舞台の本花道に細工を施したのだった。板を踏み抜いた仙女は怪我を負い打ち身で済んだが、十日は舞台に立てないという噂が流れた。それを聞いてほくそ笑んだのは染若だった。代役を務め評判が上がれば立場が逆転する可能性があるからだ。ところが仙女は市川登女次が止めるのも聞かず支えてくれた御贔屓筋のために残りの舞台を全て務めると言った。

翌日、仙女は予定通りに舞台に立ちいつもと変わらぬ姿を見せたが、心配でたまらなかったのは善右衛門と一緒に観に来ていた仙女に惚れ込む息子の友之助だった。舞台裏へ行った彼は弟子の登女次や小蝶に何故止めなかったのかと詰め寄るが、こうと決めたら決して曲げない気性なのでだめだったと言い訳した。幕が閉じると痛みを堪えていた仙女は舞台に倒れ込んだ。登女次たちが慌てて駆け寄ると、いち早く異変に気づいた友之助が危ないと叫んだ。天井から砂袋が落ちてきたのだ。幸いそれは少し離れた場所に落ちたが、座元の中村勘三郎は中村座の面目にかけて原因を究明すると約束した。勘三郎は裏方を全て集めて詮議することに決めたが結局原因はわからず仕舞いだった。

千秋楽を終えると勘三郎は仙女たちをねぎらうためにうた川で宴席を設けた。勘三郎に対し猫撫で声を出す中村寿美吉だったが、彼が所用でいなくなると態度を豹変させた。寿美吉はお粂が中村座の桧舞台に立てた一番の恩人だからと仙女に膝送りをしろと迫った。そして仙女が医者に止められていると言って盃を断ると、お粂と染若は嫌味を言った。そして小蝶が仙女を庇うとお粂はわざと彼女の頭に酒をこぼしたのだった。世間知らずの弟子の振る舞いをご勘弁くださいと仙女が頭を下げると、お粂は師匠が師匠だから弟子の礼儀知らずは当たり前だと言った。そして縁起直しの踊りを仙女に踊るように言いつけるが断ったため、お粂は衝動的に盃洗を投げつけたのだった。仙女の頬に傷がつき一筋の血が流れたが、心に負った傷の方が深かった。

屋台的映画館

ポルノ時代劇 忘八武士道

  • posted at:2022-08-25
  • written by:砂月(すなつき)
ぽるのじだいげきぼうはちぶしどう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1973年
公開日:1973年2月3日 併映「セックスドキュメント エロスの女王」
監督:石井輝男
企画:俊藤浩滋 橋本慶一 三村敬三
原作:小池一夫 小島剛夕
脚本:佐治乾
撮影:鈴木重平
照明:若木得二
録音:中山茂二
美術:吉村晟
編集:市田勇
助監督:篠塚正秀
音楽:鏑木創
記録:石田照
装置:米沢勝
装飾:宮川俊夫
スチール:中山健司
美粧結髪:東和美粧
衣裳:高安彦司
擬斗:土井淳之祐
進行主任:俵坂孝宏
出演:丹波哲郎 ひし美ゆり子 相川圭子 一の瀬レナ 城恵美
アメリカンビスタ カラー 81分

人斬り死能と恐れられる明日死能は御公儀に追われていたが、橋に追い詰められると「もう斬り飽きた」と呟き冷たい川へ身を投げた。死んで行くのも地獄なら生きていたとてまた地獄。彼の体は静かに水底へ沈んで行った。そんな彼の命を救ったのは吉原遊廓の三浦屋に居を構える忘八者の元締白首袈裟蔵だった。遊女の肌の温かみによって蘇生した死能に物好きなお方の命令で助けたと言った。忘八とは親孝行の「孝」、兄や目上に対する「悌」、君に尽くす「忠」、人を信ずる「信」、礼儀の「礼」、正義の「義」、欲心なく正しい行いの「廉」、恥の「恥」のこれらを忘れることであり、忘八者とは吉原一帯を取り仕切る鬼畜外道の輩のことだった。死能を客分として迎えた袈裟蔵は女衒玉出しの姫次郎の用心棒を任せると長屋に住む侍の娘を連れてこさせた。

手の掛かる厄介な侍の娘を人形に仕立てるには手足を縛って身動きを出来なくし、二日二晩絶え間なく男に抱かせる「達磨抱かせ」を行うことになっていた。最初の客は競りで落とすのがしきたりで、これで競ってみるんだなと袈裟蔵は五十両を渡そうとするが、今日は気が乗らないと死能は受け取ろうとしなかった。すると忘八者の招きは断れないのがしきたりだと言って袈裟蔵は無理矢理それを押しつけたのだった。その夜、店の奥で競りが行われ、正真正銘のおぼこと聞いた参加者は目の色が変わった。だが死能が五十両を見せると静まり返り競りはすぐに終わった。死能が娘を抱くことなく静かに座っていると姫次郎が入ってきた。そして娘の様子を見て抱かなかったことがわかると娘の縄をほどき始めた。これは「人形試し」という云わば忘八加入の試験で、これまでに出会った長屋の女たちなどは全て両国の芝居小屋から借りてきた役者だった。そして侍の娘は吉原総名主大門四郎兵衛配下の女忘八お紋だった。結局外道に徹することが出来なかった死能は袈裟蔵に追い出された。忘八者にも見放された彼を待っていたのは御公儀の一団だった。

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花宵道中

  • posted at:2022-08-21
  • written by:砂月(すなつき)
はなよいどうちゅう
東映ビデオ
配給:東京テアトル
製作年:2014年
公開日:2014年11月8日
監督:豊島圭介
製作:間宮登良松
企画:加藤和夫
プロデューサー:佐藤現 矢後義和
ライン・プロデューサー:望月政雄
原作:宮本あや子
脚本:鴨義信
音楽:かみむら周平
音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:藤石修
照明:沢田敏夫
美術:松崎宙人
録音:西田正広
VE:今西貴充
編集:米田武朗
整音:和田秀明
音響効果:竹本洋二
助監督:林稔充
記録:山下佳菜
製作担当:芦田淳也
エンディングテーマ:「ラピスラズリ」黒色すみれ
企画協力:新潮社
製作プロダクション:東映京都撮影所
出演:安達祐実 淵上泰史 小篠恵奈 三津谷葉子 多岐川華子
アメリカンビスタ カラー 102分

天保八年秋、女郎が男と足抜けするために火をつけ吉原遊郭は全焼した。そのおかげで山田屋は仮宅で営業することになった。山田屋の人気女郎である朝霧は幼い顔立ちに小柄な体、そして火照ると肌に花が咲いたように見えることから評判になった。八幡様の縁日が始まると彼女を慕う八津から行こうよと誘われた。寒いから行かないと言ったが、仮宅の今しか出られないこともありつき合うことにした。境内には出店が立ち並び、賑わう様子に八津は子供のようにはしゃいだ。すると朝霧は先を急ぐ祭りの若い衆に突き飛ばされたのだった。人の波によって八津とはぐれ、置いてけぼりとなった彼女を助け起こしたのは半次郎という青年だった。なくした下駄を拾ってきた半次郎はその鼻緒を染めたのは自分だと言った。かつて京で友禅の染物をしていたときに特殊な色合わせをしたことで一目でわかったのだ。転んだ際に出来た擦り傷の手当てまでする半次郎の優しさに心惹かれた朝霧は、客の相手をしている間も彼のことを考えた。

八津の指摘で簪を落としていたことに気づいた朝霧は翌朝早く起き神社へ向かった。その簪は高価な物ではなかったが、山田屋お抱えの古株髪結である弥吉から貰ったものであったため粗末に出来なかったのだ。しばらく探すと少し離れた林の脇に落ちていたが二つに分かれた軸の一本が折れていた。そこに声を掛けてきたのは半次郎で、いつも職人の癖が抜けずに早起きしてしまい散歩をして時間を潰すのだ。朝霧が持つ簪を見た半次郎は驚いた。その簪は花の部分に切れ咲きの朝顔が細工されている花簪であることから京の物に違いなかった。誰かいい人に貰ったのではないかと勘繰った半次郎は焼き餅を焼いた。だがそれが違うとわかると元通りには行かないが直してやると言った。そして三日後の同じ時刻に会う約束をして別れた。

朝霧はあと一年で年季が明ける。長屋女郎の母を持つ彼女は虐待を受けて育ったが、その原因は母がいつも男たちに裏切られたからだ。そんなこともあって八津には例え起請文を貰ったとしても男の言葉を信じてはいけないと言い続けてきたのだ。大島屋卯之助からの身請けを今か今かと待つ八津だったが、下級女郎に浮気され取り乱した。そんな彼女が落ち着くのを待つと朝霧は静かに話を聞いた。

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