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駅前旅館

  • posted at:2019-10-06
  • written by:砂月(すなつき)
えきまえりょかん
東京映画
配給:東宝
製作年:1958年
公開日:1958年7月12日 併映「若い獣」
監督:豊田四郎
製作:佐藤一郎
原作:井伏鱒二
脚本:八住利雄
撮影:安本淳
美術:松山崇
録音:渡会伸
照明:石川緑郎
音楽:団伊玖磨
監督助手:廣沢栄
編集:岩下廣一
製作者助手:金原文雄
製作主任:大久保欣四郎
現像:東洋現像所
協力:新日本観光株式会社(はとバス)
出演:森繁久彌 フランキー堺 伴淳三郎 淡島千景 草笛光子
シネマスコープ カラー 109分

東京・上野の駅前にある柊元旅館は毎日、修学旅行などの団体客でごった返している。それもそのはず、昔と違い指定旅館の看板さえ掲げていれば旅行会社や観光会社が団体客を回してくれるからだ。数でこなせるし第一、代金の取りっぱぐれがないので言うことはない。だがこの業界で三十年の実績を持つ番頭の生野次平はそれを寂しく感じていた。

ある日、長野の同業者からの電報を受け取った次平が駅の改札口のところで待っていると、警官に声を掛けられた。どうやらモグリの客引きに間違えられたらしく潔白の証拠として電報を差し出したが、それが更に誤解を招いた。「ソハヤマタオ一メ三イマノタ」。これは業者の間で通用する符牒の文句で、「ソハ」はそばで有名な長野県、「ヤマタ」は山田(名前)、「オ一」は殿方御一名様、「メ三」は御婦人(メス)御三名様、「イマノタ」は今汽車に乗ったということを簡略化したものだった。説明をしてようやく解放されたが、出迎えが出来なかったことでバッタ(御祝儀)を貰い損ねた。旅館に戻ると山田様御一行は既に到着し東京見物に出掛けたあとだった。中番の柊元梅吉の話だと山田様は工場主で、三人の連れでやってきたらしい。その夜、一時頃にお湯につかって半ば居眠りしていたところ、どやどやと三人の婦人が入ってきてそのうちの一人がいきなり次平の二の腕を抓るとすぐに湯から出てシャワーに向かった。どうやら梅の間の女連れだということはわかったが、その抓った女は何処で会ったか覚えがなかった。

次平が東照宮の五重塔の手水舎で朝早く発った女のことを考えていると、春木屋の番頭が声を掛けてきた。「白昼に御参りするからには深夜に犯した罪業のため。白状しなよ」。そうなると普通に話すのも癪なので女が熱烈だったことにして、今夜辰巳屋で行われる慰安会の当番を引き受けた。慰安会とは同業の番頭が集まる旅行の会で、次平と春木屋の他に水無瀬ホテルの高沢、杉田屋がいつもの顔ぶれだ。そして四人のうち浮気をした者が当番を引き受ける規約となっていた。その四人が集まることになっていた辰巳屋では次平がくる前に騒動が起きていた。柊元旅館を抜け出した生徒たちがビールを飲んで酔っ払い高沢たちに食って掛かったのだ。高沢は刑事のふりをして尋問を行い、生徒たちは盗んだ二宮金次郎像を京都から持ってきたことを白状した。

今年の夏の慰安会は江の島で行われた。昔馴染みの金亀楼に泊まることになったが、女将が於菊のことを口にしたことで次平の記憶が鮮明によみがえった。夏の江の島には全国から番頭が客引の腕を磨きにくるが、その昔次平がここにいた時分に耳の形がいいと気に入った豆女中がいたのだ。するとそこへ梅吉から電話が掛かってきた。山田紡績工場の寮にいる女工三十人が東京見物にくるというのだ。連絡をしてきた寮長が於菊だと知り、次平はその日を心待ちにした。

屋台的映画館
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XX 魔境伝説

  • posted at:2018-07-22
  • written by:砂月(すなつき)
えくすくろすまきょうでんせつ
「XX(エクスクロス)」製作委員会(エイベックス・エンタテインメント=STUDIO SWAN=東映=メモリーテック=アース・スター エンターテイメント=クオラス=東映チャンネル=宝島ワンダーネット=NECビッグローブ)
配給:東映
製作年:2007年
公開日:2007年12月1日
監督:深作健太
製作:千葉龍平 樫野孝人
製作委員会:田中迪 坂上順 石井徹 川崎代治 中西一雄 村山創太郎 古玉國彦 下島健彦
企画:劔重徹 高木政臣 遠藤茂行 幕内和博
プロデューサー:小池賢太郎 松橋真三 近藤正岳
企画プロデューサー:渡辺真喜子
アソシエイトプロデューサー:菅野和佳奈 莟宣次
協力プロデューサー:西口典子
ラインプロデューサー:原田博志
宣伝プロデューサー:杉田薫
原作:上甲宣之
脚本:大石哲也
音楽:池頼広
主題歌:「こわれそうな愛の歌」Aly&AJ
撮影:小松高志
照明:松岡泰彦
美術:仲前智治
セットデザイナー:郡司
録音:益子宏明
整音:室蘭剛
編集:洲崎千恵子
Bキャメ撮影:相馬大輔
VE:鏡原圭吾
スクリプター:坂本希代子
装飾:平井浩一
衣裳:宮本まさ江
ヘアメイク:松山和美
VFXスーパーバイザー:諸星勲
アクション監督:横山誠
助監督:佐和田恵
製作担当:平野宏治
製作プロダクション:STUDIO SWAN
出演:松下奈緒 鈴木亜美 中川翔子 小沢真珠 池内博之
アメリカンビスタ カラー 90分

初めて付き合った彼氏に裏切られた女子大生の水野しよりは傷心旅行をしようと思いつき、サークル仲間の火請愛子の案内で人里離れた温泉郷の阿鹿里村へ車で向かっていた。その彼氏=朝宮圭一は復縁を願って携帯電話に何度も連絡してきたが、しよりは無視を決め込んでいたのだ。トンネルを過ぎた辺りで突然全身黒ずくめの女が道路を横切り、驚いたしよりは急ブレーキを掛けて事故を回避した。車から飛び出した愛子が怒鳴りつけると、その女は「本物の地獄がどんな物か知ってる?」と言ってほくそ笑んだ。その様子を見たしよりたちは怖くなり、急いで車に乗り込むと目的地に向かった。阿鹿里村には車で直接行くことは出来ず、ロープウェイで谷を越さなければならなかった。降りた駅からは温泉もキャンプ場も遠く、どうしようかと相談していた二人に声を掛けてきたのは通り掛かった温泉の従業員で、促されるがままに車に乗ると舗装されていない道をガタガタと進んだ。日が暮れ掛けた頃に到着したキャンプ場には立派なコテージが並んでおり、出迎えた老婆は宿泊客をもてなすために村のみんなで建てたのだと言った。二人は早速この村の名所の露天風呂に浸かったが、しよりは愛子から圭一との関係はもう無理なのかと尋ねられ、浮気の一回くらい許してあげればいいのに言われたことに腹を立てた。たくさんの人と付き合っている愛子に私の気持ちなんてわかるはずない、と。二人の間に険悪な空気が漂い始めるとそれを察したしよりは先に出て行き、愛子は彼女を見送りながら湯桶の中のタオルに隠した携帯電話を取り出した。そして「後は予定通りに」と誰かに伝えた。

川のほとりの大きな石に座るしよりは圭一から届いたメールを見ながらこれまでの彼との経緯を思い出していたが、過去と決別するために携帯電話を谷底へ投げ捨てた。すると山中に鳴り響く何かを叩くような音が聞こえたため怖くなってコテージに戻った。いくつもある鍵を掛けホッと息をつくと部屋の何処から携帯電話の着信音が聞こえた。自分の物ではないその着信音の出処を探しているうちにたどり着いたのは二階の押し入れで、恐る恐るその電話に手を伸ばし通話ボタンを押すと「早くそこから逃げろ!足を切り落とされるぞ!」という男の声が聞こえた。どうしていいかわからず座り込んでいると大きなドアのノック音が突然室内に響いたのだった。用心しながらドアを開けると、食事の用意が出来たと知らせにきた老婆だった。老婆がコテージから離れて行くと再び着信音が鳴り、奴らに捕まったら生贄にされてしまうぞと男は警告した。しよりは悪戯を疑い、この電話が自分の物ではないと言うと男は驚いたのだった。電話が彼の妹の物だと言われたしよりが経緯を説明すると、男はひどく落胆した。そのとき部屋の照明が消え固定電話のベルが鳴った。これからくると言う老婆にもう寝ると断って切ると、しよりは生贄にされるという話の説明を男に求めた。すると彼は城南大学で民俗学を研究している物部明だと名乗り、この村の風習について話し始めた。

屋台的映画館

エイプリルフールズ

  • posted at:2018-04-28
  • written by:砂月(すなつき)
えいぷりるふーるず
フジテレビジョン
配給:東宝
製作年:2015年
公開日:2015年4月1日
監督:石川淳一
製作:石原隆
企画:成河広明
プロデュース:成河広明
プロデューサー:梶本圭 稲田秀樹
脚本:古沢良太
音楽:林ゆうき
ラインプロデューサー:森太郎
撮影:大石弘宜
照明:藤本潤一
録音:芦原邦雄
美術:柳川和央
編集:河村信二
映像:高垣知加士
VFXスーパーバイザー:西尾健太郎
スクリプター:巻口恵美
スケジュール:湯浅真
助監督:渡部篤史
制作担当:香川智宏
脚本協力:野間清恵
技術プロデューサー:市村雅彦
美術プロデューサー:橋本昌和
制作プロダクション:共同テレビジョン
出演:戸田恵梨香 松坂桃李 ユースケ・サンタマリア 小沢征悦 奈々緒
アメリカンビスタ カラー 120分

2015年4月1日水曜日。登校拒否で自宅に引きこもっている中学生の野沢遥人は日付が変わった直後、ネット掲示板である書き込みを見つけた。それは地球上にはスペースノイドと呼ばれる別の惑星からきた種族が調査活動を行っており、それが今日を以って終了したというものだった。中には地球人の生活に適合し過ぎ自分がスペースノイドであることを忘れてしまっている者もいるのだという。その判別方法として、足の親指よりも薬指が長いこと、出べそ、しゃっくりが出やすい、大きい犬が怖い、ラッキョウが食べられないという5項目に当てはまれば間違いなくその者はスペースノイドであるらしく、全てに適合した遥人は慌てふためいた。

午前7時前、おめざめテレビという情報番組で42年前に死亡扱いされていた行方不明の少年がインドネシアで発見されたというニュースを芋けんぴを食べながらベッドで見ていた新田あゆみは、キャスターが言った信じ続ければ奇跡が起こるという言葉に感銘を受けある行動に出ることにした。彼女は対人恐怖症の清掃員だったが、天才外科医の牧野亘と一夜限りの関係を持った。そこでもうすぐ臨月を迎えるので認知してくださいと電話したのだが、亘はエイプリルフールの悪い冗談だと思い相手にしなかった。

キャブオーバー車を停めて舎弟とともに待っていた裏社会に生きる宇田川勇司は、自転車で通学中の江藤理香がやってくるとお父さんが事故に巻き込まれて病院に担ぎ込まれたから早く乗りなさいと促した。だが如何にも怪しげだったことから逃げ出すと、宇田川は力ずくで彼女を車に押し込んだ。そしておとなしくしていればムチャクチャうまいラーメン屋に連れて行ってやると言った。

海外の園遊会に出席することになっているロイヤル夫妻の櫻小路佑麻呂と文子はそのための服を選ぶために高級婦人服専門店を訪れた。その帰り、文子は庶民的な物が食べたくなり、運転手行きつけのハンバーガー店で食事をすることになった。

午後1時過ぎ、あゆみから再び掛かってきた電話を無下にして亘はキャビンアテンダントの麗子と待ち合わせをしているイタリアンレストラン「デル・ドランマティコ」へ向かった。一方、業を煮やしたあゆみは通話中に突然割り込んできたタクシーの運転手と亘との会話の中に出てきたレストランの名前を検索し、腹にタオルを詰め込んで臨月スタイルになるとそのレストランに突入することに決めた。

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エデンの海(1976年)

  • posted at:2017-11-17
  • written by:砂月(すなつき)
えでんのうみ
東宝=ホリ企画制作
配給:東宝
製作年:1976年
公開日:1976年4月24日 併映「あいつと私」
監督:西河克己
製作:堀威夫 笹井英男
原作:若杉慧
脚本:馬場当
製作者補:金沢博
撮影:萩原憲治
美術:佐谷晃能
録音:福島信雅
照明:川島晴雄
編集:鈴木晄
音楽:伊部晴美
助監督:中川好久
色彩計測:森島章雄
スチール:中山章
現像:東洋現像所
製作担当:斉藤正勝
出演:山口百恵 南條豊 紀比呂子 和田浩治 岸田森
アメリカンビスタ カラー 85分

瀬戸内海に臨む波崎女子高校に東京から新任の教師がやってきた。彼は南条というほんの少し前まで大学生だった青年で、就職すると大好きな山と別れなければならない思いから最後に登山を決行した。ところがアクシデントに見舞われたことで朝礼に遅れてしまい、初出勤は友人のヘリコプターによる送迎となった。挨拶で南条は人騒がせして申し訳ないと詫びると、自己紹介を始めた。大学時代の成績はお粗末だったことから東京で恰好な就職口が見つからず都落ちしてきたと軽口をたたき、続いて一番の苦手はヤモリで二番目が女学生だと言った。これは彼の計算で、生徒たちから憎まれ口をたたく先生だと思われた方がこれ以上株が下がることもなく気が楽になるからだ。だが他の教員の話で今度受け持つ2年3組が一筋縄ではいかないクラスであることを知ると少し不安になった。特に清水巴という生徒の扱いに手を焼いているというのだ。

翌朝、南条が外の水道で歯を磨いていると、五郎という新聞配達の少年が訪ねてきた。隣の男子校に通う彼は巴にゾッコンで、南条が2年3組の担任になることを知っていたことで勝手にライバル視していたのだ。だが巴のことについて何も知らない南条は五郎から情報を得ることにした。彼女は祖母と二人暮らしで、母親は父親と死に別れた後アメリカ人と一緒になってサンフランシスコに渡ったのだという。二人が話していると五郎の同級生二人がやってきてマイクを向けた。彼らは県の高校連盟新聞に新しく赴任してきた先生の記事と写真を載せるのだと言って写真を撮り始めた。だが彼らの本当の目的は別のところにあったのだ。その日、教壇に立った南条は出席を取りながら生徒たちの名前と顔を一致させようと試みたが、巴の名前を何度呼んでも答えがないことで初めて教室にいないことに気づいた。すると彼女は遅れてやってきたにも拘らず何事もなかったように着席したのだった。南条は呆気に取られたが、顔を覚えることに必死でそれどころではなかった。そして休み時間に教室を移動していると階段で巴とぶつかった。彼女が落とした本を拾い上げるとそれは「チャタレー夫人の恋人」だったことで虚を突かれた。動揺した南条が本の内容がわかるのかと尋ねると、わからないところもあるが背伸びしなければ人間は進歩はしないと巴は答えた。それを聞いてうろたえた南条は無理をしないと言うにとどめた。

下校時間になると門の方で騒がしい声が聞こえていた。そこでは五郎たちが朝方撮った南条の写真を女生徒たちに一枚200円で売りつけようとしていたのだ。自転車で帰宅する巴を見つけた五郎は一枚あげようかと呼び止めたが、興味がないと冷たくあしらわれたことでこんな写真を買うヤツなんてどうかしてるよなと言った。だが売るヤツの方がずっとどうかしてるわと巴に言われたことでショックを受けた。

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エロ将軍と二十一人の愛妾

  • posted at:2017-07-28
  • written by:砂月(すなつき)
えろしょうぐんとにじゅういちにんのあいしょう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1972年
公開日:1972年12月2日 併映「不良番長 骨までしゃぶれ」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次
脚本:掛札昌裕 鈴木則文
撮影:わし尾元也
照明:井上孝二
録音:野津裕男
美術:竹川輝夫
音楽:伊部晴美
編集:神田忠男
助監督:藤原敏之
記録:黒川京子
装置:稲田源兵衛
装飾:柴田澄臣
美粧結髪:東和美粧
スチール:諸角義雄
演技事務:西秋節生
衣裳:豊中健
擬斗:三好郁夫
舞踊振付:藤間勘眞次
進行主任:伊藤彰将
出演:池玲子 渡辺やよい 三浦夏子 衣麻遼子 林真一郎
シネマスコープ カラー 92分

安永二年癸巳十月五日、徳川御三卿の一橋刑部卿治済の屋敷で嫡子豊千代が誕生した。古書によれば、太陽が月に隠れる時に生まれた男子は珍しいことや未知のことに対して強い興味を持つのだという。同じ刻限に越後国の貧しい農家でもう一つの生命が誕生した。莖袋(きょうたい)を握りしめて産まれてきた馬喰才助の倅角助は、幼い頃から女に異常なほど興味を示した。そして八歳の時に女陰の何たるかを知り尽くし、それからはその実態を極めようと夜毎日毎精を出した。そんな角助は十五になると出世することを夢見て江戸へ行くことに決めた。その頃、驚くべき多彩な博学を発揮する豊千代は神童と呼ばれ、昼夜を問わないその勉学ぶりは素養のある学者たちも青ざめる程だった。

十代将軍家治隠居により幕府では老中田沼意次と松平定信との間で後継者問題が勃発していた。徳川八百万石の頂点に相応しいのは明晰な頭脳と政治の荒波を乗り切る叡智が必要であるから豊千代以外には考えられないという意次に対し、武の方はどうかと定信は問うた。文武両道である徳丸を推す定信は尾張国が徳川御三家の筆頭で血筋が一橋家よりも上位にあることを主張したが、今の徳川には若々しく新しい必要だと意次はそれを遮って言った。議論が平行線を辿る中、結論は家治の決断で行うことになったが、彼はもはや恍惚の人。意次と結託した家治の愛妾お八重の方が指文字で掌に「とよちよ」と書いたと報告したため強制的に裁可された。そして定信が抗議するうちに家治が事切れたことで真相は闇に葬られた。

学問だけでは将軍職が務まらないと考えた一橋家の御用人嘉門は豊千代を連れて吉原に繰り出し、花魁の揚巻に若君の筆下ろしを頼んだ。ところが事の最中にその相手が若君の正体が次期将軍だとわかると揚巻はとても驚き膣痙攣を起こしたことで抜けなくなったのだ。江戸城への登城が明後日に迫る中、二人の体は三日三晩離れなかった。焦った意次は御用人の岩本内膳正になんとかせよと命じたが、その話を屋根裏で聞いていたのは女鼠小僧こと弁天のお吉だった。二人の前に現れた彼女はある提案を行った。それは豊千代と瓜二つの風貌を持つ角助に繋ぎ役として話をつける代わりに礼金として千両箱一つをよこせというのだ。火急の事態に意次は渋々承知した。角助の性格を知っているお吉がこの役目を無事に終えたら女房になると言うと、彼は二つ返事で了承した。さらに岩本から十一代将軍とともに後宮三千の美女が控える大奥の主となったことを聞くと、天にも昇る気持ちになった。

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