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ファンキーハットの快男児 二千万円の腕

  • posted at:2017-11-11
  • written by:砂月(すなつき)
ふぁんきーはっとのかいだんじにせんまんえんのうで
ニュー東映(東京撮影所)
配給:ニュー東映
製作年:1961年
公開日:1961年9月13日 併映「いかすじゃねえか三度笠」「警視庁物語 十二人の刑事」
監督:深作欣二
企画:根津昇 渡辺洋一
脚本:田辺虎男 池田雄一
撮影:内田安夫
録音:岸勇
照明:入江進
美術:進藤誠吾
音楽:三保敬太郎
編集:長沢嘉樹
助監督:田口勝彦
進行主任:白浜汎城
出演:千葉真一 中原ひとみ 小川守 岡本四郎 波島進
シネマスコープ モノクロ 53分

全国高校野球選手権大会の決勝戦で東海地区代表の若葉高校エース・川原投手が好投を続けていた。そんな彼をマークする南鉄ピンクソックスの山田や西日本サスペンスの野口、大東京タワーズの佐々木などプロ野球各球団のスカウトが甲子園に集まっていた。川原は19奪三振で高岡工業をねじ伏せ悲願の優勝を達成した。各球団が獲得競争に名乗りを上げるとマスコミも色めき立ち「契約金は二千万円か」と連日書き立てた。そんな中、帝都ホテルへやってきた彼と会った後援会会長の黒谷は、契約が決まるまでは軽率な行動を控えるようにと釘を刺した。

天下探偵事務所所長・天下清助の息子の一郎は川原のことを必要以上に詳しくなっていた。何故なら相棒の近藤茂が彼の高校の先輩に当たり、実家の近所に住んでいたこともあって空き地でコーチをした。そして伝家の宝刀のフォークボールを自分が教えたという自慢話を耳にタコが出来る程聞いたからだ。茂はこのネタを利用してジャズ喫茶でガールハントを行っていたが一郎はそれが気に食わなかった。ところがやってきたキュートな客に一目惚れし、父親と一緒に出ていくとその後をタクシーで追い掛けた。彼女が入ったのはゴールデンホールというコンサート会場で、その姿を見つけて隣の席が空いているのを確認するとちゃっかりと座り食事に誘った。その頃、河川敷に水死体が上がり、検死で水中での窒息死であることがわかった。死亡推定時刻は昨夜の0時から1時。服にウイスキーのにおいが染み込んでいるため泥酔による溺死と見られた。財布には現金が入っていたため強盗の可能性は低かったが、身分の拘るものを持っていなかった。胸のポケットからはコンサートのチケットが見つかったがその席番は「へー13」だった。

特別指定席の「へー12」に座っているのはスポーツ記者の武智美矢子だった。ジャズ喫茶に呼び出したのは父親で、お見合いをさせるために理由を伏せていたのだ。お相手は東銀座玉腰整形外科のインターンの西沢で、会ってみて気に入らなければ断ればいいという父親の気楽な言葉で美矢子は前向きに考えるようになったのだ。そして「へー13」に座った一郎と西沢だと思い込んだ美矢子は、食堂で食べる彼のがさつな姿を見てゲンナリした。その乱暴なナイフがメスだったらと考えたからだ。するとそこに警視庁の刑事が現れたことで一郎が西沢でないことがバレた。二人が警察で取り調べを受けていると美矢子の父親がやってきて、彼女に見合い相手の調査報告書はデタラメだと言った。品行方正な男が泥酔で溺死するなんてありえないと怒り心頭の彼は警察から清助に抗議の電話を掛けた。その様子を一郎はただニヤニヤと眺めていた。

屋台的映画館
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ファンキーハットの快男児

  • posted at:2017-10-31
  • written by:砂月(すなつき)
ふぁんきーはっとのかいだんじ
ニュー東映(東京撮影所)
配給:ニュー東映
製作年:1961年
公開日:1961年8月5日 併映「ひばり民謡の旅 べらんめえ芸者佐渡へ行く」
監督:深作欣二
企画:根津昇 渡辺洋一
脚本:田辺虎男 池田雄一
撮影:内田安夫
録音:岸勇
照明:入江進
美術:進藤誠吾
音楽:三保敬太郎
編集:長沢嘉樹
助監督:田口勝彦
進行主任:白浜汎城
出演:千葉真一 中原ひとみ 新井茂子 岡本四郎 八代万智子
シネマスコープ モノクロ 53分

天下探偵事務所所長・天下清助の息子で学生の一郎は、自動車セールスのアルバイトよりもガールハントにご執心だった。今日も相棒の近藤茂を助手席に乗せてスポーツカーを飛ばしていると目ぼしい女性を見つけた。一郎は急ブレーキを掛けるとすかさずジャズを聞きに行きませんかと声を掛け、茂を置き去りにしてジャズ喫茶に入った。一方、茂は一郎が路地に停めたことで後方の車からクラクションを鳴らされたためブツクサ言いながら移動した。一郎が声を掛けた境野みどりは株が人生の全てという女性で、最近ついていなくて50万円ばかりすったのだという。大したケガではないけれども憂鬱になっていたところに声を掛けてきたのが「イカレたあんちゃん」だったというわけだ。その話を聞いて金をたんまり持っていそうだと考えた一郎は、株よりも車の方が大事だと説きセールスを始めた。その頃、街中を走り回っていた茂はサングラスを掛けた女にドライブしませんかとアタックしたが、電話ボックスに逃げ込まれたため諦めた。彼女は向かいにある白藤幼稚園の様子を偵察しており、送迎バスに乗る園児の中に木暮靖幸の姿を確認すると電話を掛けた。

女が電話を掛けた先は国産省の局長を務める小暮邸だった。電話口にいるのが使用人のルメだとわかると田舎から出てきた弟さんが高井戸駅前にいると嘘をついて誘い出した。そして車で送迎バスを追跡し、バスから降りたところを狙って靖幸を誘拐した。その頃、ルメは茂の車に乗って駅に向かっていた。だが辺りを捜しても弟の姿が見当たらなかったため、諦めてお茶をしようという茂を叱責し家に戻るように言った。一方、小暮邸では不在のルメに代わって電話に出た小暮の妻・ひさえに、女は明後日までに500万円を用意しなければ靖幸の命はないと脅迫した。口論しながらも小暮邸に到着したルメと茂は取り乱して出てきたひさこから靖幸が誘拐されたことを聞き驚いた。

ジャズにも一郎にも興味がないみどりはひたすらラジオで株式市況を聞いていた。ガールハントもダメ、車のセールスもダメ、だが失敗は成功の基だ。そう一郎がぼやいたのを聞いてみどりはあることを思いついた。国産省で産業会館という大きなビルが建設されることが決まり、その工事を請け負う会社の情報を事前にキャッチして株を大量に買い込むことが出来れば大儲け間違いなしだった。請け負う業者の決定権は小暮にあり、接待漬けの毎日を送っていることで騒動を知らない彼は今日もグリーンを回っていた。

屋台的映画館

豚と軍艦

  • posted at:2016-11-24
  • written by:砂月(すなつき)
ぶたとぐんかん
日活
配給:日活
製作年:1961年
公開日:1961年1月21日 併映「天使が俺を追い駈ける」
監督:今村昌平
企画:大塚和
脚本:山内久
撮影:姫田真佐久
照明:岩木保夫
録音:橋本文雄
音楽:黛敏郎
美術:中村公彦
編集:丹治睦夫
助監督:浦山桐郎
製作主任:森山幸晴
協賛:日産生命
出演:長門裕之 吉村実子 南田洋子 大坂志郎 中原早苗
シネマスコープ モノクロ 108分

横須賀基地の近くにある繁華街、通称ドブ板通りは軍艦が入港するとホステスや売春婦たちは色めき立った。だが当局による取り締まりが日に日に厳しくなっていることから、売春宿を経営する日森組は新たな事業を始めることにした。基地に顔が利く二世で元軍人の崎山の伝手で残飯をタダでもらい、それで豚を育てるのだ。豚肉が高騰するこのご時世、当たれば2千万円の大金が転がり込んでくる算段だった。崎山は前金の一部を支払う日森に利潤の一割を社会事業に寄付することを約束させた。それは社会的な信用を得るためだったが、やたらと経費が嵩むため簡単に儲かるような甘い話ではなかった。期日までに残金を払わなければ豚を全て引き上げると言われて焦る星野は病気で寝込む兄貴分の鉄次を訪ね、まごまごしている暇はないとせっついた。鉄次が向かった先は個人タクシーを営む矢島の会社で、新車二台を購入するための頭金を寄付金と称してせしめたのだ。矢島は彼らの昔の仲間であり、星野がタクシーで客引きをしていることを知っていたことから逆らえなかった。逆らえば通報される恐れがあるからだ。

星野が「日米畜産」に戻ると大竹養豚場の集金人が待っていた。星野は矢島から取り上げた金のうち豚代を男に支払うと、夜はドブ板通りで米兵相手にポン引き、昼は豚の世話係をしている欣太に予防接種費用とカルシウム代を渡した。奥の部屋に人の気配がしたことから覗いてみると、流れ者の春駒が横たわっていた。表を歩けない彼は日森組が羽振りがいいと聞きつけてたかりにやってきたのだ。組長とサシで話がしたいと言われて慌てて部屋を飛び出す星野。一方、欣太は鉄次に会うために彼の妻・勝代が切り盛りする飲み屋へ向かったが留守だった。兄貴がいれば早いんだけどなあと勝代に愚痴っていたとき、この店で働く欣太の恋人の春子が出て行った。欣太が呼び止めようとすると勝代があの子は諦めなと言った。勝代の母が兵隊から支度金の3万円を盗んで使い込んだため、何とかして借金を返さなければならなくなったのだ。その夜、勝代が帰ってくると欣太は複数の札を握らせて早く返しちまえよと言った。すると勝代は産婦人科でお腹の子が2か月だと言われたことを話し、動揺する欣太に堕ろすなら早い方がいいと告げた。欣太は何も言わずに彼女を抱いた。

今度のボーナスをもらったら、いい背広を作りコネを見つけてバンドのマネージャーをやりたいと欣太は勝代に夢を語った。基地では毎日何処かでパーティーを行っていることから、そのバンドを回してピンハネすれば十分に食って行けるからだ。勝代が帰った深夜、家を訪ねた星野は欣太が部屋にいて誰にも顔を見られていないことを確認すると船を出すように言った。彼の役割とは春駒の死体の始末と万が一の場合に日森の身代わりになることだった。初犯で過剰防衛なら懲役2、3年。保釈になれば幹部として迎え入れられ、ボーナスは今の15万円から150万円に跳ね上がる。ここが男になる分かれ道だと言われた欣太は万が一のことが起こらないことを信じて了承した。

屋台的映画館

武闘拳 猛虎激殺!

  • posted at:2016-11-15
  • written by:砂月(すなつき)
ぶとうけんもうこげきさつ
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年8月7日 併映「トラック野郎 望郷一番星」
監督:山口和彦
企画:太田浩児
脚本:掛札昌裕 中島信昭
撮影:仲沢半次郎
録音:宗方弘好
照明:梅谷茂
美術:北川弘
音楽:鏑木創
編集:田中修
助監督:深町秀熙
記録:高津省子
擬斗:金田治 斉藤一之
スチール:加藤光男
進行主任:堀賢二
装置:井保国雄
装飾:米沢一弘
美粧:入江荘二
美容:宮島孝子
衣裳:河合啓一
演技事務:石川通生
ギター・振付:本間三郎
現像:東映化学
動物演出:コックス・プロダクション 天野正治 猛虎シーザー
協力:熱海伊豆山温泉・ホテル水葉亭 ミナミグループ熱海城
出演:倉田保昭 矢吹二朗 石橋雅史 清水健太郎 土井かつえ
アメリカンビスタ カラー 88分

横浜で行われた東洋武闘空手選手権で、本命とされていた吉羅本ジム所属で武道空手界のスター・唐木誠が敗れた。勝者は島野ジム所属の無名の挑戦者、アイアンドラゴンだった。この試合は1億円の大金が懸かった八百長試合だったが、アイアンドラゴンは唐木の必殺技である「空中二段蹴り」を封じ、「疾風後回し蹴り」で翻弄すると「電撃矢車蹴り」で止めを刺したのだった。左腕を骨折した唐木を見捨てた吉羅本伝造は手下の矢頭を使ってアイアン・ドラゴンのスカウトを行うが、お前たちと手を組むほど落ちぶれてはいないと言われたため消しに掛かった。だが旅の風来坊程度にしか考えていなかった男から徹底的に痛めつけられたことから、吉羅本は用心棒の騎馬民族直伝拳法の使い手である宍川鉄拳、カトマンズ拳法紅河流・張犬鬼、南辰一刀流師範・佐々木剣八、沖縄古武道鎖鎌・猪俣心軒、背骨折りの怪腕力士・嫌竜、法蔵院流棒術・吉川嶮山、東シナ海釵術・摩文仁猛賢を刺客として用意した。

マスクで顔を隠したアイアンドラゴンの正体は、メキシコで武者修行を行い武道空手を極めた竜崎鉄次だった。10年前、彼の父・軍平は沖縄の海底に沈んでいた難破船から金塊の詰まった箱を引き上げたが、その仲間だった吉羅本と弟の利之が結託してそれを強奪。船に乗っていた軍平と鉄次の兄・健一を銛で突き殺したのだった。家族を守ろうと鉄次は手斧で抵抗したが、網に捕まり海へ投げ込まれたのだ。それ以来、復讐の鬼と化した鉄次は修行を積んで機会を狙っていたのだった。島野ジムでトレーニングを行っていた鉄次は、コーチの島野甚作から唐木がファイトマネーを全額巻き上げられた上にジムをクビになったことを聞かされると気の毒に思った。

唐木を倒したことで鉄次のいる島野ジムには入門者が殺到した。そのことが面白くない利之はジムに乗り込み島野を痛めつけようとした。するとアイアンドラゴンが間に入り、久しぶりだなと言ってマスクを取った。彼の正体が海に放り込んだ鉄次だとわかると利之は恐れおののいてナイフを抜き、逃げた。鉄次は吉羅本の居場所を突き止めるために手下を締めあげると奇厳城にいることがわかった。早速、城の場所を探し出した鉄次は意図的に警報システムを作動させて警備に当たる忍者軍を呼び寄せると小手調べに暴れた。だが形勢が次第に不利になったことから柵を乗り越えて退却した。足を引きずりながら歩いていると後方から気配を感じたため草むらに隠れると、彼の傍らに車が停まった。降りてきたのは吉羅本の情婦・直美で鉄次を乗せると車を急発進させた。あの城への侵入は不可能だが、チャンスを待って必ず吉羅本を倒して欲しい。そう懇願する直美が自分の味方だと感じた鉄次だったが、その役目に選ばれた理由がわからなかった。

屋台的映画館

ふくろう

  • posted at:2015-12-05
  • written by:砂月(すなつき)
ふくろう
近代映画協会
配給:シネマ・クロッキオ=近代映画協会
製作年:2003年
公開日:2004年2月7日
監督:新藤兼人
プロデューサー:新藤次郎
脚本:新藤兼人
撮影:三宅義行 林雅彦
照明:山下博
録音:武進
美術:新藤兼人
編集:渡辺行夫
音楽:林光
助監督:山本保博
ラインプロデューサー:桑原一仁
出演:大竹しのぶ 伊藤歩 柄本明 木場勝己 原田大二郎
アメリカンビスタ カラー 119分

昭和55年頃、東北の山奥にある古びた一軒家でユミエと娘のエミコが激しい飢えに苦しんでいた。家財を売り払い、電気を止められ、蓄えていた食料は底をつき、周囲の生き物は食べつくし、今では松の根を具にした吸い物を作るまでになっていた。いつまでも先の見えないこの生活に限界を感じたユミエは一念発起した。彼女はまず体についた積年の垢を水で洗い流すと、エミコにも同じことをして身だしなみを整えた。次に家財で唯一残っていたミシンを引っ張り出すと、葬式のときの鯨幕と開拓団の団旗を裁断して服をこしらえた。そして隠しておいたダルマの貯金箱を叩き割り、中から出てきた100円玉2枚をユミエは拾い上げた。

昭和14年、長野県姫百合谷村の153名が満州の牡丹江の奥地に開拓団として派遣された。農民たちはタダで土地がもらえるという話に喜んで参加したが、戦争になり男たちは兵隊にとられた。敗戦の色が濃くなると頼みの綱である関東軍は逃げだし開拓団は置き去りにされた。3歳だったユミエは両親とともに何とか帰国することが出来たが、帰る村がなかった。骨を満州に埋める覚悟で行ったため田も畑も売っていたのだ。そんな引揚者を県の福祉課援護係が引き受けたことでユミエ一家は新たな土地に希望ヶ丘開拓団として入植することが出来たのだ。20件がタダでもらった土地に移り住んだが、今はユミエとエミコだけ。耕作地として不向きだったことが原因だった。そしてユミエの夫は東京の地下鉄工事に出稼ぎに行ったまま戻って来なかった。

ある夜、ダム工事に出稼ぎに来ている男が客としてやってきた。ユミエが営業の電話をした際にたまたま飯場の電話当番をしていたのだ。2万円と言われ値切る男。嫌なら帰れと言われ渋々承諾した男はユミエと奥の部屋に消えた。1時間程して部屋から出てきた男は、しばらくぶりだったからよかったと満足していた。エミコが特別サービスとして特製の焼酎を注ぐと、男は天国に登った気持ちだと言って一口飲んだ。おかしな味がしたが、一気に飲まないと本当の味がわからないとユミエに言われたため素直に従った。男は焼酎を飲み干した途端にしゃっくりを繰り返すと泡を吹いて倒れた。そして近寄ってきたユミエの足に触り「よかった」と言い残して本当に天国へ登って行った。二人は用意した手押し車に男を乗せると晴れやかに歌いながら外へ運び出した。森の番人のふくろうはその様子を静かに見ていた。

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