松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1978年
公開日:1978年12月27日 併映「俺は上野のプレスリー」
監督:山田洋次
製作:島津清
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 朝間義隆
撮影:高羽哲夫
美術:出川三男
音楽:山本直純
録音:中村寛
調音:松本隆司
照明:青木好文
編集:石井巌
スチール:長谷川宗平
監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男
装飾:町田武
進行:玉生久宗
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」渥美清
撮影機材:パナビジョン
協力:柴又 神明会
出演:渥美清 倍賞千恵子 下條正巳 三崎千恵子 前田吟
アメリカンビスタ カラー 105分
春の彼岸となり、車一家は柴又題経寺にある墓参りに出掛けた。天気が良くて何よりと御前様が声を掛けると、空を見上げたさくらは飛ぶ渡り鳥を見て「これから行くのかしら。それとも帰ってきたのかしら」とつぶやいた。それを聞いたつねがうちの渡り鳥はどうしてるのかしらというと、竜造は変なのを思い出しちゃったなと苦笑いした。そんなことを言いながら墓地に向かうと見慣れた姿がそこにあった。寅次郎が帰ってきていたのだった。上野で商売をしていたところ今日が彼岸だということに気づき、親の墓に線香一本でもあげようかなという気持ちになったのだという。その行いが褒められたのもつかの間、彼が参っていたのは隣の墓だった。笑い声が響く中、皆で改めて参拝した。
その日の夕方、さくらが竜造の腰をさするのを見た寅次郎は俺がもう少ししっかりしていればと独り言ちた。それに対し竜造は人にはそれぞれ任があるのだからその気持ちだけで十分だと言った。寅次郎は彼が帰ってくると真っ先にやってくる印刷工場社長の桂梅太郎の姿がないことに気づき博に理由を尋ねると、昼過ぎに出掛けたきりまだ帰ってきていないのだという。ひと頃に比べると仕事の量が減っているため赤字承知で仕事を引き受けているという話を聞き心配になった寅次郎は皆に心当たりを捜すように命じた。彼は中小企業の社長の自殺者が増えているのを気に掛けていたのだ。葬儀のプランを披露し俺が帰ってくるのがもう一日早ければと悔やんでいると、その梅太郎が上機嫌でやってきた。たまには憂さ晴らしをしようと仲間たちと池袋に繰り出していたのだ。そうとは知らない寅次郎は大喧嘩をし、翌朝早くに置き手紙をして出て行った。
静岡を旅する寅次郎はすれ違った雲水に女難の相が出ていると言われたが、特に気にすることもなく縁日で啖呵売を行った。ひと仕事終えダムの休憩室で昼食の弁当を食べ終わると今晩泊まる宿へ向かおうとしたのだが、訳ありげな女性が欄干に佇んで泣いている姿が目に留まった。一瞬頭の中に女難の相という言葉が思い浮かんだが、見て見ぬ振りが出来ない寅次郎は声を掛けることにした。つらいことがあったのなら通りすがりの俺が話を聞くぜとキザに決め、何もかも話しちまえば気持ちが楽になるよと町の食堂へ連れて行った。すると彼女の愚痴は止まることを知らず、その迫力に寅次郎は気を失いそうになった。
屋台的映画館
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