日活
配給:日活
製作年:1979年
公開日:1979年8月4日 併映「宇能鴻一郎の女体育教師」
監督:武田一成
プロデューサー:八巻晶彦
脚本:田中陽造
撮影:森勝
照明:小林秀之
録音:建部日出夫
美術:菊川芳江
編集:山田真司
助監督:黒沢直輔
色彩計測:苧野昇
現像:東洋現像所
製作担当者:服部紹男
音楽:淡海悟郎
主題歌:「海・アゲイン」萩原恵
演奏:ミノタウロス
協力:神津島観光協会
出演:原悦子 渡辺とく子 江角英明 萩原友絵 錆堂連
アメリカンビスタ カラー 72分
初夏の頃、「チチキトクシキウカエラレタシ」という電報を受け取ったちひろは故郷の勿来に戻ってきた。駅を出て乗ったバスは海岸線を走り続け、やがて港町に着いた。九十九屋という店に入り射的の銃を取ると百発百中の腕前で的を撃ち落とした。すると奥から出てきたアルバイトの光一は驚きの表情を見せたが、次第に彼女がちひろであることを理解した。光一はガンを患うちひろの義父・軍治が肺炎を併発して危篤状態に陥ったことで電報を打ったのだが、彼女について高校二年生だった六年前に家出したこと以外は何も知らされていなかった。容体は安定したが何故か面会に行こうとしないちひろに疑問を感じていると、病院から軍治が制服を持ってきて欲しいと言っているという電話があった。光一がそのことを伝えると、以前警官だったのよと言ってちひろは店を出た。そして裏に回り自宅に向かうと部屋の中はあの頃と変わっていなかった。クローゼットを開けたが制服はなく、次に庭の納屋に向かうと洋服ケースの中にクリーニングの袋に入ったままの警官の制服が掛けてあった。その隣にはちひろのセーラー服がこちらもクリーニングの袋に入ったままになっていた。
六年前の夏、学校から帰ったちひろが着替えをしながらくつろいでいると、勤務中の軍治が仏壇の前にいることに気づいた。その日は11歳のときに何者かに殺された実の娘・ミユキの命日だった。彼女は娘の身代わりとして同じ歳のときに貰われてきたのだ。軍治は拳銃をちひろに向けると、こんなに女らしく育ったお前を見ていると憎いと苦々しく言った。そして抵抗したら撃つぞと脅して犯したのだが、そのときに拳銃が暴発し銃弾を一発紛失した責任を取って警察を辞職したのだった。
制服を持って光一と軍治を見舞うことにしたちひろだったが、病院が建つ区域がかつての屠殺場だったことに驚いた。その場所でミユキは殺されていたのだ。腹に牛の角が刺さった状態で。それを聞いた光一はこれ以上そんな話は聞きたくないと一喝し病院に向かった。余命三ヶ月と言われている病室の軍治は痛みを訴えたことで強い鎮痛剤を投与され静かに眠っていた。翌朝、九十九屋にやってきたのは軍治の弟の邦夫だった。彼はミサという未亡人と組み、一億円の保険金を掛けて入水自殺した夫の遺体捜しをモーターボートを使って海で行っていたのだ。その様子は軍治の病室から良く見えた。
屋台的映画館
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