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宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海

  • posted at:2016-09-12
  • written by:砂月(すなつき)
うちゅうせんかんやまとにいちきゅうきゅうついおくのこうかい
宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会(プロダクション I.G=バンダイビジュアル=ジーベック=バンダイ=バンダイナムコゲームス=ボイジャーエンターテインメント=東北新社=松竹=オー・エル・エム=ランティス=MBS)
配給:松竹
製作年:2014年
公開日:2014年10月11日
構成:森田繁 加戸誉夫
ディレクター:加戸誉夫
編集:小野寺絵美
監修:出渕裕
ナレーション:小野大輔 桑島法子
ナレーション原稿:森田繁
アニメーションスタッフ:結城信輝 前田明寿 
アシスタントディレクター:中野剛
CG制作協力:サンライズD.I.D.
CGディレクター:今西隆志
エンディングイラスト:むらかわみちお
音響監督:吉田知弘
音響効果:西村睦弘
オープニングテーマ:「宇宙戦艦ヤマト」ささきいさお
エンディングテーマ:「BLUE」水樹奈々
音楽:宮川彬良 宮川泰
声の出演:菅生隆之 小野大輔 桑島法子 鈴村健一 大塚芳忠
アメリカンビスタ カラー 131分

西暦2191年、人類は史上初めて地球外知的生命体「ガミラス人」と接触した。友好関係を試みた地球に対し、ガミラスは一方的に戦端を開くと情け容赦のない無差別攻撃を仕掛けてきた。第二次火星沖海戦・カ2号作戦で強大な軍事力を誇る彼らの艦隊の直接攻撃を食い止めることが出来たが、地球は遊星爆弾によるロングレンジ爆撃を受けたことで大気は汚染し海は干上がった。人類は地下都市を築いて生き延びるしかなかったが、死の影は着実に迫っていた。

科学者が地球滅亡までおよそ1年と発表した2199年1月、冥王星に基地を置くガミラスに対し国連宇宙軍は残存する全艦隊を集結して総攻撃を行った。だがその真の目的は、「アマテラス」と暗号名がつけられた宇宙船を太陽系に招き入れるための陽動作戦・メ号作戦だった。その宇宙船が火星に墜落したことから、回収要員として派遣されアルカディアポート跡付近に待機していた古代進と島大介が調査を行った。乗員の女性には生命反応がなかったことから、大事そうに抱えていたカプセルのみを回収した。

国連極東管区に待機を命じられた古代と島だったが、艦上戦闘機コスモゼロに魅せられ勝手に出撃した。その際、敵偵察機を発見したため迎撃を試みたが武装されておらず逃げられてしまった。さらにシステムエラーが発生しやむなく胴体着陸を試みた。救助を待つ二人が丘を登ると、目の前には大昔の戦争で海の底に沈んだ戦艦が赤く朽ち果てた状態で顔を出していた。そこは九州・坊ノ岬沖だった。

会場に集められたのは特殊任務の訓練を受けてきたイズモ計画の選抜メンバーだった。そして壇上に立っていたのはメ号作戦でただ一隻帰還した戦艦きりしま艦隊司令の沖田十三宙将だった。沖田はメンバーに対し正式な任務を発表したが、それは限られた人々を地球から脱出させるイズモ計画ではなかった。最初に回収したカプセルには映像と音声メッセージが記録されており、そこにはイスカンダルの王女・スターシャがガミラスの攻撃で破滅の危機を迎えている地球を哀れみ、次元波動エンジンの設計図を妹のユリーシャに託したことが綴られていた。イスカンダル星には汚染を浄化し惑星を再生させるシステム「コスモリバースシステム」があるが、スターシャはそれを地球に届けることが出来なかった。そこで彼女は新たに次元波動エンジンの起動ユニットである波動コアをもう一人の妹のサーシャに預けたのだが、それが古代たちが回収したカプセルだった。国連は技術供与を受けたことで既に次元波動エンジンを搭載した恒星間航行用の宇宙船「ヤマト」を完成させていたが、それを察知したガミラスは坊ノ岬沖に偵察機を派遣したのだ。イスカンダル星は地球から遥か約16万8千光年彼方の大マゼラン銀河にあり、人類にとって未知の航海となる。だが滅亡へのカウントダウンが始まっている地球を救うには躊躇わずに進むしかないのだ。

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宇宙人東京に現わる

  • posted at:2016-06-06
  • written by:砂月(すなつき)
うちゅうじんとうきょうにあらわる
大映(東京撮影所)
配給:大映
製作年:1956年
公開日:1956年1月29日 併映「豹の眼」
監督:島耕二
製作:永田雅一
企画:中代冨士男
原案:中島源太郎
脚本:小國英雄
撮影:渡辺公夫
録音:西井憲一
照明:久保田行一
美術:間野重雄
色彩指導:岡本太郎
色彩技術:渡辺徹
特殊技術:的場徹
メークアップ:牧野正雄
装置:石崎喜一
装飾:大野幸雄
小道具:永川勇吉
背景:中村桂太郎
園芸:吉田年
工作:田村誠
電飾:金谷省吾
結髪:篠崎卯女賀
衣裳:東郷嗣男
音響効果:花岡勝次郎
移動:諸星勇
スチール:宮崎忠男
俳優事務:中山照子
記録:原益子
助監督:菅野恒三
撮影助手:村井博
録音助手:奥村幸雄
照明助手:藤野慎一
美術助手:山口熙
進行係:川勝昭信
音楽:大森盛太郎
演出補:中村倍也
編集:鈴木東陽
製作主任:阪根慶一
現像:東京現像所
出演:川崎敬三 苅田とよみ 八木沢敏 山形勲 南部彰三
スタンダード カラー 87分

城北天文台の小村芳雄博士から特ダネを引き出そうと雨の駅で列車を待っていた新聞記者の秀野は、偶然を装って傘を差し出すと小村行きつけの小料理屋・宇宙軒に向かった。秀野は女将との会話もそこそこに社から持ってきた第四版の新聞を取り出すと、また円盤が出ましたよと記事を示した。そこには「空飛ぶ円盤 東京にも出現!」という見出しが載っていた。最近、世界各地で円盤が目撃されており、日本各地でも頻繁に現れていたのだ。某国の新兵器とも考えられることから、それは一体何者なんですかと秀野は尋ねたが、学者は融通が利かないので例え九分がわかっていても一分がわからなければわからないのと同じだと小村は答えを濁した。その頃、天文台で星空を観測していた小村の助手の磯部徹は、複数の光体が複雑に乱舞する様子を目撃した。そのうちの一体が東京に飛来すると、宇宙軒の照明が一時的に明滅し、ラジオ放送は妨害電波によってかき乱された。店外へ出た秀野は、ラジオがおかしいのがこの店だけではないことを確認すると、故障したのはラジオ局の方ですねと言って食事を終えた小村を見送った。

小村が自宅に戻ると、徹が駆け込んできた。妨害電波は天文台にも影響を与えていたのだ。徹はあの光体が某国があげた人工衛星ではないかと考えていたが、静かに聞いていた小村はそれならば前もって通告があるはずだと打ち消した。続けて徹が世界中で起きている円盤騒動のことを口にすると、そういうことは科学者として言うべきではないと釘を刺した。すると「円盤だ!」という写真マニアの三吉の叫び声が聞こえたため驚いた小村の娘・多恵子が外へ飛び出すと夜空を光体が横切ったのだ。私が望遠鏡で見たものと同じですと庭から空を眺めながら徹が言うと、小村は隕石の類ではないことは確かだと動揺しながら答えた。彼は自分の目でそれをはっきりと見たことで、光体が円盤だという事実を否定出来なくなっていた。

翌日、徹はマスコミから取材攻勢を受けたが、天文台の立場として交代が円盤であるという明言を避けた。そして職責にかけて究明に当たっているので、いずれ遠からず科学者の立場からの発表が出来ると約束したが、期日を聞かれると口ごもった。研究室では世界各地での目撃情報が続々と入っており、小村は彼のいとこで物理学博士の松田英輔を呼び出すと円盤の実態を掴むための手段を相談した。その結果、松田の大学で気象観測の実験を行っているロケット隊を利用して写真撮影を行うことになった。だが現像された写真に光体の正体が写っておらず徒労に終わった。だが実験当夜に東京湾で怪物が目撃され、翌朝に岸壁を這い上がったような跡が見つかったことから、生物学博士で徹の父の直太郎は警視庁とともに調査を開始した。

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浮かれ三度笠

  • posted at:2016-01-05
  • written by:砂月(すなつき)

うかれさんどがさ
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年12月6日 併映「闇を横切れ」12/12まで 「旅情」12/13から
監督:田中徳三
製作:三浦信夫
企画:辻久一
脚本:松村正温
撮影:武田千吉郎
録音:大谷巌
照明:斎藤良彰
美術:西岡善信
音楽:塚原哲夫
色彩技術:青柳寿博
編集:菅沼完二
装置:科田豊一
擬斗:宮内昌平
助監督:池広一夫
製作主任:黒田豊
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 本郷功次郎 中村玉緒 宇治みさ子 左幸子
シネマスコープ カラー 99分

将軍職争いに敗れた尾張大納言宗春は、五日後に届くことになっている同心協力を成約した諸大名の連判状を心待ちにしていた。宗春は徳川幕府に対し謀反を起こそうとしていたのだ。尾張国に不穏な動きがあることを知った八代将軍徳川吉宗は大岡越前守忠相に相談を持ち掛けたが、未だ大名の名前を知るまでに至っていなかった。宗春の気持ちを和らげる方法はないかと頭を悩ませる吉宗は、甥の松平与一郎と宗春の息女菊姫を縁組させその仲人を引き受けることを忠相に提案した。翌日行われる縁談の話題は尾張藩江戸屋敷の腰元たちの間で持ち切りとなり、やがて菊姫の耳にも入った。松平伊勢守与一郎という男、大層粋な若様で浮いた稼業の女たちの間でも引く手あまたとのこと。父上と上様は仲が悪いんだから碌な人を紹介するはずがないと菊姫が言うと、腰元の渚も道楽者でいくじなし、おまけにお脳が弱いと散々な言い草だった。菊姫はそこへやってきた老家老の孫太夫に不承知だと伝えると、御家の安泰など知らぬと部屋を出て行き、追いかけて来る孫太夫を困らせるために廊下の下へ隠れた。姫を捜す孫太夫は家老此木大膳正と指南役の諸岡一角に挟まれ、諸岡によって斬られた。大膳にとって天下泰平を口にするものは全て逆臣だった。菊姫は二人が去ったのを確認し地面に落ちた孫太夫に駆け寄ると虫の息の彼から連判状を受け取った。それが意味することを知っていた菊姫は、宗春の心を変えるために渚とともに名古屋へ向かった。縁談当日、松平家に出向いた大膳は菊姫が出奔し行方が分からなくなっていることを説明したが、家老坂部監物はこの縁談に不満があることに対する言い訳だと考えていた。するとこちらでも与一郎が書置きを残して屋敷から出奔したことが監物の耳に入った。書置きには菊姫に受けた恥辱を刀にかけて晴らすが追手は無用と書いてあった。

大膳は内密に菊姫を捜し出す大役を若い楠見兵馬に託すことにした。だが兵馬は女の扱いが極めて不器用だからという理由で役目を断ろうとした。すると大膳はうっかり渚が落としたという兵馬にあてて書いた恋文を証拠として差し出し、不義が御家の御法度であることを盾に役目を押し付けたのだった。その頃、二人が行方知れずになったことを忠相から伝え聞いた吉宗は気を揉んでいた。尾張藩では頻りに浪人者を抱え、名古屋城を改築。謀反の噂は美濃三州一円にまで広がっていた。出奔と称した菊姫に連判状を託しているのではないかと考えた忠相は、その策略を潰すために隠密ふくろう組の権藤民部と黒手組の赤座道犬に追跡を命じた。街道の茶屋で兵馬がひと休みしていると、向かいに座る娘が何度も目配せをしてきた。無視を決め込んでいた彼もさすがに気になり、どうしていいかわからずにそわそわしていたが、やがて視線が自分にではなく左隣にいる色男に注がれていることに気付いた。その色男は遣らずの与三郎という渡世人だった。

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宇宙大戦争

  • posted at:2015-09-19
  • written by:砂月(すなつき)
うちゅうだいせんそう
東宝
配給:東宝
製作年:1959年
公開日:1959年12月26日 併映「サザエさんの脱線奥様」
監督:本多猪四郎
製作:田中友幸
原作:丘見丈二郎
脚本:関沢新一
撮影:小泉一
美術:安倍輝明
照明:石川緑郎
録音:三上長七郎 宮崎正信
音楽:伊福部昭
監督助手:梶田興治
編集:平一二
現像:東洋現像所
製作担当者:坂本泰明
特殊技術・光学撮影:荒木秀三郎
特殊技術・撮影:有川貞昌
特殊技術・美術:渡辺明
特殊技術・照明:岸田九一郎
特殊技術・作画合成:向山宏
特技監督:円谷英二
出演:池部良 安西郷子 高田稔 千田是也 レン・スタンフォード
シネマスコープ カラー 93分

1965年、三機の円盤による襲撃で宇宙ステーションJSS3が壊滅すると、世界各地で奇妙な現象が立て続けに発生した。日本では東海道線の鉄橋が持ち上がったことが原因で特急列車が脱線事故を起こし、パナマ運河では航行中のアメリカの貨物船・ブルークイーン号が突然空中に浮かび上がりミラフローレス閘門付近の小山に激突するという不可解な事故が起きた。そしてベニスは突如猛烈な気温低下に襲われ河川の水がことごとく凍ると、今度は竜巻のように逆流して大空に舞い上がったのだった。この連続した怪事件を追及するため、世界中の科学者を集めた緊急会議が東京にある国際宇宙科学センターで行われることになった。三つの事件で共通していたのは、被害者が皆ひどい凍傷を起こし低温による感覚のマヒを訴えていることだった。そこで物体を急速に降下させるとその物体の重力が減少する現象が起きたと考えられるとアメリカ代表が発言すると、中国代表は特定の物体や限定的な場所の重力を無くすことは不可能だと否定した。すると進行役のカナダ代表は、これまではそうであったが今現実に発生していると指摘した。意見を求められた日本代表の勝宮一郎は、重力の起源は核振動であり絶対零度では重力は無になることから、核振動エネルギーを吸収する冷却線を放射された物体は温度が急降下するとともに重力は減少。その結果、地球の自転の遠心力で物体は宙に舞い上がることから、今回の事件は宇宙からこの冷却線を打ち込まれたことにより発生したのだと結論付けた。

宇宙人侵略への対策が叫ばれる中、センターでは地上熱線砲が完成していた。原子力R600をエネルギー源とするこの兵器は5万時間の連続発射可能となる優れものだった。各国代表に公開された実験では、最高の強度を有し宇宙ロケット・スピップ号に使用されている特殊金属S250号が的になったが、熱線は遠距離の板を完全に貫いていた。そして次に公開されたのは、その熱線砲が搭載されるスピップ号だった。調整作業が行われ発射が時間の問題となっている中、安達博士を訪ねてきたのは国際防衛警察の有明警部だった。組織の秘密調査の結果、イラン代表のアーメッド教授に不審な点があるというのだ。だが見学者の中に彼の姿はなく、捜しているとサイレンが鳴った。実験室で異常があることに気付いた勝宮が中に入ると岩村幸一技師がアーメッドと格闘していた。アーメッドは「ナタール」という遊星人に操られ、熱線砲を奪おうとしたところを岩村に見つかったのだ。彼は建物の外に逃げ出すと飛来した円盤に助けを求めたが光線で焼かれた。地面に残った人型の影の上に落ちていた小さな金属塊を分析した結果、怪電波の受信機であることがわかった。

国連は月面に前線基地を構築しているナタールの意図を探るためにスピップ号を派遣することに決め、1号機には安達博士を長とする8名、2号機にはリチャードソン博士を長とする8名が搭乗することになった。そして怪電波の発信地点とされるトビエツスキー山脈の左側と緑の海を中心とする100キロから150キロの地点が二機の着陸予定地点に指定された。その頃、搭乗員の一人にナタールの魔の手が伸びていた。

屋台的映画館

丑三つの村

  • posted at:2015-07-10
  • written by:砂月(すなつき)
うしみつのむら
松竹映像=富士映画
配給:富士映画
製作年:1983年
公開日:1983年1月15日
監督:田中登
製作:奥山和由
原作:西村望
脚本:西岡琢也
撮影:丸山恵司
美術:猪俣邦弘
音楽:笹路正徳
録音:山本忠彦
調音:小尾幸魚
照明:野田正博
編集:後藤彦治
助監督:満友敬司 藤澤龍一
オプチカル:石川智弘
装置:小島勝男
装飾:宮崎琢郎
衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所
進行:大川修
特殊効果:トビー門口
音楽担当:坂井洋一
製作主任:沼尾鈞
出演:古尾谷雅人 田中美佐子 池波志乃 原泉 石橋蓮司
アメリカンビスタ カラー 106分

出征する赤木巌を駅のホームで見送る犬丸継男。四国の小さな山村・日暮谷に住む十八歳の彼は幼いときに両親を亡くしており、今は祖母・はんと暮らしていた。住民からは村一番の秀才ともてはやされる継男は巌のように戦場へ行くことに憧れていたが、出征兵を見送る母親が泣いているのを見て、祖母も泣くのだろうかと思った。夕食時にそのことを尋ねると、はんはお国のために戦ってこいと笑って見送ってやると言った。それを聞いた継男は安心して自分の部屋に入った。するとはんは、大声をあげて泣くかもしれんと呟いた。学校の教師を目指している継男は、はんを置いて師範学校に行くことが出来なかったため独学で検定試験を受けるための勉強をしていた。いつものように勉強をしていると体が熱っぽく咳込んだ。翌日病院に行くと、医師の見立ては肺浸潤。栄養を摂ってのんびりと養生すれば三か月で治るだろうと言われ安堵した。

ある夜、勉強中に眠り込んだ継男は真夜中に目を覚ました。すると戸の隙間から靄が漏れ入ってくるのに気付き、外に出ることにした。一面の靄がかかるというという珍しい光景を目の当たりにした継男は散歩してみることにしたが、一軒だけ灯りが点いている家があったため気になって中を覗いた。そこでは人妻のえり子が村の有力者である赤木勇造と絡み合っていたのだ。再び散歩に戻ると村を巡回する自警団と会った。彼らは夜這いの取り締まりを行っていたが、その発案者が勇造だと聞き継男は吹き出した。それから数日後の夜、夜這いに興味を持った継男がえり子の家を訪ねると彼女は寝乱れていた。気配で目覚めたえり子が声をかけると、継男は靄が出た晩に勇造がここにいたのを見たと話した。満州で兵隊が国のために体を張って戦っているのにと言うと、えり子はそれくらいのことは知っているからきついことを言わないでとたしなめた。彼女の夫は補充兵として戦場にいたのだが、馬の世話ばかりしていると蔑んでいた。えり子は暑いと胸をはだけると、男も戦争、女も戦争やと言って体を押し付けた。

継男の親戚筋に当たる赤木ミオコが金を借りに来たが、はんは出かけていていなかった。継男がそのことを伝えると彼女はあなたからもお願いして欲しいと言った。ミオコは何度も借りに来ているため、断られるかもしれないと思っていたからだ。事情を知らない継男があっさり了承すると、ミオコは喜んで手を合わせた。帰り際にミオコは、働き者の夫・中次がいつも家を空けているので、暇な夜はいつでも遊びにおいでと言った。そして女ひとりの夜って長過ぎるのよと目配せした。その夜、はんからお金を預かった継男はミオコの家を訪ねた。すると赤ん坊の授乳中だった彼女は胸をあらわにしたまま出てきたのだ。ミオコは継男を座敷に引き入れると体を重ねた。

幼馴染のやすよは、継男の顔を見るなりみんなが体調を心配していると伝えた。すると継男は、咳がひどいが勉強で期待に添えなくても、徴兵検査で甲種合格して兵隊になれば男はいいんだと言った。気持ちだけ受け取ってとやすよが自分で作った組み紐を贈ると、継男は満面の笑みを浮かべてお礼を言った。徴兵検査の日、自信を持って臨んだ継男だったが、軍医から肺結核の診断をされ検査に落ちた。その噂は忽ち村中に広がり、神童だとおだてていた住民たちは落胆する彼が戻ると無視をした。

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