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多羅尾伴内

  • posted at:2023-03-15
  • written by:砂月(すなつき)
たらおばんない
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1978年
公開日:1978年4月8日 併映「最も危険な遊戯」
監督:鈴木則文
企画:渡辺亮徳 天尾完次 橋本新一
原作:比佐芳武家
劇画:小池一夫 石森章太郎
脚本:高田宏治
撮影:出先哲也
録音:内田陽造
照明:山口利雄
美術:北川弘
編集:西東清明
助監督:深町秀熙
記録:高津省子
擬斗:日尾孝司
宣伝担当:小田和治 山本八州男
スチール:藤井善男
進行主任:松本可則
装置:畠山耕一
装飾:田島俊英
音響効果:小嶋進
美粧:入江荘二
美容:宮島孝子
衣裳:福崎精吾
演技事務:山田光男
現像:東映化学
協力:東映俳優センター 株式会社東京ジャイアント
音楽:菊池俊輔
主題歌:「霧の都会」小林旭
挿入歌:「昔の名前で出ています」小林旭
・・・:「愛の條件」八代亜紀
・・・:「甘い予感」アン・ルイス
・・・:「導火線」キャッツ・アイ
・・・:「夕日に浜名湖」美原圭子
出演:小林旭 八代亜紀 夏樹陽子 成田三樹夫 江木俊夫
シネマスコープ カラー 104分

東京後楽園球場では日報レッドソックスと大阪セネタースによるナイターが行われていた。勝った方が日本シリーズへ駒を進めるこの重要な試合はセネタースが4対2でリードしていたが、9回2アウト満塁で好打者の高塚が打席に立った。彼は今季51本塁打を打って本塁打王をほぼ手中に収めており、この日も1本塁打とタイムリーヒットを打って2打点を叩き出していた。カウント1-1の3球目をライトスタンドへ放り込み優勝を決めた高塚だったが、1塁ベースの手前で突然苦しみだし倒れた。場内が騒然となる中、関係者らとともにグラウンドにいた丸眼鏡の老人はカメラマンの徳光明夫を引っ掴まえると特ダネが欲しいなら1塁側のスタンドを隈なく撮れと指示した。

東京都監察医務院では高塚の検死が行われ、首から小さな針が見つかった。その針には縦に細い溝が掘ってあり、その部分からアルカロイド系の毒物が検出された。宇田川警部は関係者や観客などに対して聞き込みを行うよう部下たちに指示するが、そこにやってきた丸眼鏡の老人は私も観客の一人だったといい鞄から試薬の入った瓶を取り出した。老人は宇田川と顔馴染みの多羅尾伴内という名の探偵だった。伴内がシャーレに注ぎその中に毒針を浸けると試薬は赤く変色した。そのことから針に塗られた毒はトリカブトという植物に含まれるアコニチンという成分であることがわかった。それはアイヌでは熊狩りに使われる猛毒だった。

翌朝、伴内は徳光を事務所に招いた。特ダネの意味を理解した徳光は撮影したフィルムを全て現像し、丁寧に写真を調べたが犯人の手掛かりとなる鉄砲らしき物を持った人物を見つけることが出来ないでいた。だが伴内はその中から違和感のある一枚を見つけ出した。球場全体の目がグラウンドの高塚に釘づけになっている中、カメラマンらしき人物が背を向けて帰ろうとしているのだ。報道関係者にしては不自然だと伴内が言うと、徳光は腕章やカメラバックに書かれたイニシャルから大朝スポーツの川瀬東介に違いないと断定した。このことは当分の間、口外しないようにと徳光に釘を刺したが、その記事は翌日の朝刊のトップを飾った。その頃、川瀬は自分の部屋で死んでいた。

屋台的映画館
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