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日本人のへそ

  • posted at:2024-09-17
  • written by:砂月(すなつき)
にほんじんのへそ
須川プロダクション=ATG
配給:ATG
製作年:1977年
公開日:1977年3月15日
監督:須川栄三
製作:須川栄三 藤井浩明 西村隆平
原作:井上ひさし
脚本:白坂依志夫
音楽:服部公一
撮影:逢沢譲
美術:竹中和雄
録音:太田六敏 宮下光威
照明:福富精治
編集:黒岩義民
助監督:近藤明男
記録:米山久江
スチール:ケン影岡
振付:中川久美
出演:緑魔子 美輪明宏 小松方正 なべおさみ 佐藤蛾次郎
アメリカンビスタ カラー 102分

人間の生命に関係のない病気の中に「吃音」があるが、言葉の病であるその吃音が原因で心に深い傷を受けている者は少なくない。この病によって自尊心や虚栄心を傷つけられ、果ては自分自身をすっかりダメにしてしまった者を数多く知っている男は約十年間、アメリカにあるアイオワステート大学文学部言語病理学科で助教授として吃音治療の研究に専心した。そして母校である東京大学に教授として戻ってきた彼は研究成果を演劇という形で発表することにした。吃音は自分自身に関係がなければないほど症状が見られないことがあり、例えば他言語でしゃべったり歌を唄うときには何事もなくこなすことが出来る場合もある。そこで男は患者自身にセリフをしゃべらせ、芝居をさせ、歌を唄わせることによって苦しみから解放するために演劇を行うことにしたのだ。この療法を研究者たちはアイオワ方式吃音療法と呼んでいた。

吃音は患者によって発症するタイミングが違った。例えば38歳の会社員の男性の場合、東大、紅丸商事とエリートコースをまっしぐらに進んでいたが、某国戦闘機の受注をめぐる世界的な大規模汚職事件「ドーナッツ事件」で参考人として検察庁から取り調べを受けた。その際の答弁で知らない、記憶がないと押し通したが、それが精神にショックを与え自殺を企てたものの失敗。以後出世コースから外れ、会社に違和感を覚え始めた頃から発症した。愛国青年行動隊を主宰する50歳の男性は熱烈な天皇主義者だが、昭和21年の天皇の人間宣言にショックを受け発症した。プロ野球審判員の32歳の男性は、左投手の方が右投手よりも有利だと主張する野球狂の父親に無理矢理左利きに矯正された。プロ野球になったが惨憺たる成績でクビになり、それでも野球を諦めきれずセ・リーグの審判員となった。開幕戦で二塁塁審を担当することになった彼は盗塁死した走者に対してアウトを宣告する際にどちらの手を挙げていいか戸惑ったことがきっかけだった。国鉄職員で両国駅改札係の43歳の男性は三人の娘が次々と大病を患いノイローゼになった。経済的にもどん底となりそれゆえ改札口で切符改札中に乗越し料金80円をくすねてしまったことから、それ以来80円と言う時だけ症状が出るようになった。それが嫌でたまらない彼は80円と言うべきところを70円と言い、その度に10円の損をした。給料からその分を弁償するはめになり、たださえ生活が苦しいのに積み重なった10円が更に重く伸し掛かった。元少女歌手は悪いプロダクションにスターにしてやると騙された。土地成金の父親は娘のためにと田畑を売り払って一億円もの大金をマネージャーに渡したが、その金を持って消えた。唄う時には問題ないが、日常会話に支障があった。その他にも個性的な患者が十数名いるが、主役を演じるのは元浅草のストリッパー・ヘレン天津だった。これは彼女の半生を患者全員で作り上げる演劇なのだ。

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日本女侠伝 激斗ひめゆり岬

  • posted at:2024-05-13
  • written by:砂月(すなつき)
にほんじょきょうでんげきとうひめゆりみさき
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1971年
公開日:1971年11月19日 併映「現代やくざ 血桜三兄弟」
監督:小沢茂弘
企画:俊藤浩滋 日下部五朗
脚本:笠原和夫
撮影:吉田貞次
照明:増田悦章
録音:溝口正義
美術:鈴木孝俊
音楽:津島利章
編集:宮本信太郎
助監督:篠塚正秀
記録:牧野淑子
装置:近藤幸一
装飾:山田久司
美粧・結髪:東和美粧
衣裳:森護
擬斗:上野隆三
空手指導:長嶺将真
琉球舞踊:比嘉清子
進行主任:上田正直
協力:琉球映画貿易株式会社
出演:藤純子 大木実 待田京介 南利明 潮健児
アメリカンビスタ カラー 96分

アメリカ軍占領下で復興途上の頃の沖縄。男勝りの与那嶺ゆりは戦死した両親の遺志を継いで与那嶺運送の社長になった。経営が苦しい中、三台目のトラックを納入することになったが、仕事をするにはガソリンが余計に必要だ。そこでいたずら心が働いた彼女は相棒の金丸勇と組んでアメリカ軍の集積所に備蓄してあるドラム缶をいただくことにした。運んでいた豚の一匹をけし掛けてゲートをくぐらせると、すまないとMPに声を掛けて二人で入って捕まえた。すると彼女を見たMPは、ここは軍のエリアだから不法侵入の豚は引き渡せないが今夜デートしてくれるならOKだと言った。しめたと思ったゆりは胸ポケットからトランプの箱を取り出すと、これでドラム缶一本と勝負したいと願い出た。作戦はまんまと成功し、調子に乗ったMPから三本のドラム缶をせしめたのだった。

その夜、ゆりは新車納入祝いのパーティーをバーで行うが、暴力団・岩松組がやってきて場を荒らした。そして足の悪い花売り娘の幸子にちょっかいを出したことがきっかけで騒動が起き、与那嶺運送の八作健作(講道館柔道)と岩松組の伊波大助(首里手三段)が代表して差しで勝負をつけることになった。一進一退の攻防の中、八作が関節技を決めると傍で見ていた男が勝負あったと止めさせた。彼は糸東流師範の当間豪志郎だった。すると岩松組組長の岩松軍司がゆりに声を掛け、この場は水に流して商売の話をしましょうと言った。だがゆりは生憎ですが仕事が詰まっていますのでと言って皆を引き揚げさせた。そして店の外にいた幸子に商売の邪魔をしてごめんなさいと詫びて花を全て買い取り、このような夜の商売は止めた方がいいと忠告した。だがその娘は、私がいる部落には借金があるので皆で働かなければ返せないと言った。その部落が具志頭村の新城であることを知ったゆりはハッとした。翌日、彼女をトラックで新城へ連れて行ったゆりは母親の生家だった場所へ案内した。そこにやってきた区長の安里景介と話すうちに借金がサトウキビを育てる土地の購入費用であることがわかったが、利息は膨らむ一方でこのままでは収穫期が来ても収益を全て押さえられてしまうことは目に見えていた。ゆりは畑を開墾したときに出てきたスクラップが山ほどあることがわかるとこれを売りましょうと提案した。今スクラップは値が上がっており、運搬を手伝えば利息の足しになると考えたのだ。ゆりは三台のトラックを使って東洋商会の集積場に持ち込むが、その会社を仕切っていたのは岩松組だった。

屋台的映画館

日本女侠伝 血斗乱れ花

  • posted at:2023-10-04
  • written by:砂月(すなつき)
にほんじょきょうでんけっとうみだればな
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1971年
公開日:1971年4月3日 併映「現代やくざ 盃返します」
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋 日下部五朗
脚本:野上龍雄
撮影:山岸長樹
照明:和多田弘
録音:溝口正義
美術:石原昭
音楽:渡辺岳夫
編集:宮本信太郎
助監督:俵坂昭康
記録:牧野淑子
装置:吉岡茂一
装飾:松原邦四郎
美粧・結髪:東和美粧
衣裳:松田孝
擬斗:上野隆三
舞踊振付:藤間勘五郎
出演:藤純子 高倉健 津川雅彦 山本麟一 大木実
アメリカンビスタ カラー 107分

明治中頃の大阪船場。呉服反物商平野屋の一人娘平野ていは婿養子の藤吉に手を焼いていた。友人の貝山平吉にそそのかされ石炭で一山当てる夢を見るようになった彼は店の金を持ち出しては湯水のように使った。大晦日になり平野屋の行く末を心配した堂島の庄兵ヱがやってきて二百円を置いて行ったが、ていは裏からこっそりと帰ってきた藤吉が部屋にいることがわかると本当に店を続けて行く気があるのかと問うた。ないと言ったらどうするかと藤吉が逆に問うと、ていは平野屋のために貸してくれた金だから返すのが当然だと答えた。彼女の説得に藤吉は悪かったと頭を下げるが、夜になると金を持って姿を消した。

年が明けた翌日、ていは炭鉱のある北九州へ向かった。作業をしていた藤吉は彼女の姿を見て驚いたが、自分が商いに向いていないことや自らの腕で石炭を掘り出すのを男の仕事として誇りに思っていることを正直に話した。石炭もお前も自分の命だからどちらも手放す気はないと藤吉が真っ直ぐな目で言うと、ていは心の中で決めていた返事を口に出そうとした。だが平吉が炭坑の入口で何か大きな声でわめきそれに気づいた藤吉が慌てて飛んで行ったため伝えられなかった。しばらくして平吉がていを呼ぶ声が聞え胸騒ぎを感じて入口へ急ぐと、藤吉は落盤事故で息絶えていた。夫の死をきっかけを機にていは山を引き継ぐことに決め大阪の店を畳むことにした。

藤吉が命を懸けて掴もうとした物を自分も掴んでみたいと考えたていは、大阪へ帰って一切を始末してから再び北九州の地を踏んだ。管理は全て平吉に任せていたが、彼をしても新しい山と毛嫌いされて工夫が集まらなかった。そこでていは工夫を回してもらうために大島鉱業事務所の笹倉炭鉱を訪ねるが、過酷な労働に耐え兼ねて脱走した工夫に仕置きをする現場を見てしまい申し出を取り下げることにしたが、それが笹倉勘造の逆鱗に触れた。怒りが収まらない笹倉はていを手籠めにしようとしたが、通り掛かった川船頭の吉岡幸次によって助けられた。

屋台的映画館

日本女侠伝 鉄火芸者

  • posted at:2023-08-13
  • written by:砂月(すなつき)
にほんじょきょうでんてっかげいしゃ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1970年
公開日:1970年8月1日 併映「不良番長 出たとこ勝負」
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋 日下部五朗
脚本:笠原和夫
撮影:古谷伸
照明:和多田弘
録音:中山茂二
美術:富田治郎
音楽:木下忠司
編集:宮本信太郎
助監督:俵坂昭康
記録:矢部はつ子
装置:米沢勝
装飾:柴田澄臣
美粧:久斗敏厚
結髪:妹尾茂子
衣裳:松田孝
擬斗:上野隆三
振付:藤間勘五郎
進行主任:福井良春
出演:藤純子 菅原文太 佐々木愛 正司照江 山本麟一
アメリカンビスタ カラー 100分

大正中頃の深川。置屋の女将に呼び出された辰巳芸者の小しずは、組合の幹事連中と内々に話し合い今度の羽織会の留めで保名を踊って欲しいと言われた。毎年の留めは仇吉に決まっていると小しずは断るが、女将は彼女がもう年だし贔屓にしている米問屋安川商会社長の安川重平が米の買い占めで人気を無くしているため、看板を塗り替えるためにも男嫌いで芸一筋のあんたに一花咲いてもらいたいというのが大方の意見だったと伝えた。小しずはそれを聞いてうれしかったが、仇吉のことを考えると素直に喜べなかった。その夜、安川が客として来ているお座敷で若い芸者が泣かされていると聞いた小しずは、酔ったふりをして乗り込むと持ち前の鉄火肌で啖呵を切った。彼女が父親のように慕う米問屋浅井商店の浅井喜一郎とは早めに縁を切った方が利口かも知れないぞとそそのかされるが、その浅井がやってきて話はそこで終わった。自分のお座敷が台無しにされたことが気に食わない仇吉は裏で何処で聞いたか知らない留めの話を持ち出し、どんな保名を踊るのか楽しみだと小しずに嫌味を言った。

浅井と差し向かいで飲むことになった安川は、嵯峨町の問屋筋で米の安売りをしているのはあんたの所だけだから相場を安定させるためにも売り控えをして欲しいと言った。そのせいで買い占めた米の値が上がらないのかと痛い所を突かれた安川は、今年の生米の作柄は不良の見込みだし寝かせて置けば値が上がるのは確実だからお互いに儲かっていいじゃないかと言った。協力してもらえれば昵懇の間柄である寺西総理に頼んで便宜を図って差し上げると提案したが、浅井はそういうご助力は結構ですときっぱりと言った。それじゃあ仲立ちした顔が立たないじゃないか安川は怒り出すが、浅井はあんたも侠客なら少しは貧乏人の心をわかってやったらどうですかと静かに言った。気骨は立派だがほどほどにしないと暖簾が傾くことになりかねないぞと安川が脅すと、浅井はお互い商人なんだから好きなようにやろうじゃないかと言って席を立った。安川には警察も怖がって手を出せない関東義心会の後ろ盾があったが、浅井は浪速商人のど根性を見せてやろうと考えていた。

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忍者秘帖 梟の城

  • posted at:2023-06-01
  • written by:砂月(すなつき)
にんじゃひちょうふくろうのしろ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1963年
公開日:1963年3月24日 併映「伝七捕物帖 女狐小判」
監督:工藤栄一
企画:橋本慶一 三村敬三
原作:司馬遼太郎
脚本:池田一朗
撮影:わし尾元也
照明:前田光秋
録音:野津裕男
美術:富田治郎
音楽:鈴木静一
法竹吹定:海童道宗祖
編集:河合勝己
助監督:山内鉄也
記録:河島利江
装置:米沢勝
装飾:川本宗春
美粧:林政信
結髪:桜井文子
衣裳:小林勝
擬斗:足立伶二郎
武芸指導:中島正義
進行主任:田村裕夫
出演:大友柳太朗 大木実 高千穂ひづる 本間千代子 立川さゆり
シネマスコープ カラー 91分

天正九年、織田信長が伊賀を攻略した。羽柴秀吉率いる大軍の前に伊賀忍者は全滅の危機に瀕したが、なおも執拗な抵抗を繰り返していた。秀吉の手の者に父と母が鱠のように斬られるのをただ見ているしかなかったあゆらは悔いて自害した。そんな妹や両親の仇を討つために葛籠重蔵は秀吉への復讐を誓った。師匠の下柘植次郎左衛門からは構えて人並の心を持つなと教えられていたが、今はそれを否定することを恥と思っていなかった。生きた人間が死んだ者たちへしてやれることはただ仕返しあるのみと考えたのだった。

十年の歳月が流れ、明智光秀の乱により信長の天下は崩落し、新たに豊臣秀吉が我が世の春を謳歌するに至った。重蔵は下忍の黒阿弥とともに人里離れた家で暮らしていたが、ある日次郎左衛門が娘の木さるを連れて訪ねてきた。秀吉への復讐の火が消えていないことを知った次郎左衛門は重蔵にそれを仕事にしてみないかと言った。その依頼人は堺の今井宗久という商人で、二日後の丑の刻に東福寺山門で落ち合うことになっていると伝えた。

雨が降る二日後の丑の刻、小萩という女が迎えにきたが宗久との関係を明かさないため後ろから斬り掛かってみた。すると彼女はいとも簡単に見切って傘の柄で刀を受け止めたのだった。小萩は愛染堂まで案内すると帰って行ったが、そこにいたのは宗久ではなく島津家の松浦蔵人と漁師上がりの雲太郎だった。だが役人の囲まれ罠にはめられたことに気づいた重蔵は蔵人を小柄で一突きすると建物を抜け出し堺へ向かった。屋敷に忍び込むと宗久は重蔵がくるのを待っていた。小萩は宗久の養女であり小松谷に住んでいることから連絡役を任せていたのだ。茶人でもある宗久は重蔵を茶室に招くと仕事依頼の理由を説明した。秀吉は立ち上げた遠征軍を朝鮮へ差し向けようとしたが、そのおかげで朝鮮と明国との商いの道が絶えてしまった。このままでは自滅あるのみ。そこで宗久は朝鮮に攻め込む前に秀吉を亡き者にしようと考えたのだ。秀吉が死ねば権力の帰趨が始まり戦となる。そうなれば商いがうまく行き、中には一緒に手を組んで天下を目指そうとする者が出てくることは間違いなかった。重蔵がそれは三河の徳川家康ではないかと尋ねると宗久は口をつぐんだ。

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