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人魚伝説

  • posted at:2021-01-16
  • written by:砂月(すなつき)
にんぎょでんせつ
ディレクターズ・カンパニー=日本アート・シアター・ギルド
配給:日本アート・シアター・ギルド
製作年:1984年
公開日:1984年4月14日
監督:池田敏春
製作:佐々木史朗 宮坂進
企画:多賀祥介
プロデューサー:根岸吉太郎 山本勉
原作:宮谷一彦
脚本:西岡琢也
撮影:前田米造
水中撮影:中村征夫
照明:井上幸男
録音:小野寺修
美術:小川富美夫
編集:川島章正
記録:白鳥あかね
助監督:白石宏一 渡辺容大 上山勝
企画協力:奥山和由
製作担当:長田忠彦
製作進行:上原英和 石川賢一
音楽:本多俊之
出演:白都真理 江藤潤 清水健太郎 青木義朗 宮下順子
スタンダード カラー 110分

とある漁師町で夫婦海女として漁を行う佐伯啓介とみぎわ。みがわが潜水をして貝などを獲り、命綱を担当する啓介が船から見守るのだ。この町の町長は利権に目がなく、儲かると聞けばすぐに飛びついた。ハマチの養殖場を作った際は漁師たちに保証金を支払って強引に推し進めたが、エサのやり過ぎで海の底まで腐らせ事業は失敗した。町長は責任を逃れ、海の後始末をさせられたのは漁師たちだった。ようやくそれが治まりかけた頃、新たにぶち上げたのがレジャーランドの建設だった。だがこの計画には裏があった。町側は漁師たちに土地を売り渡すよう交渉を持ち掛けたが、啓介は断固として反対した。ある夜、船で漁場の様子を見ていた彼は小船で釣り糸を垂れる人影を見た。釣れるわけがないと悪態をつきながらラジオのスイッチを入れると、沖からモーターボートが高速で近づいてきた。エンジン音に驚いた啓介は網を破られては堪らないと大声で注意を促すが、小船はモーターボートの人物によって爆破された。翌日、啓介は目の前で起きた出来事を漁協の組合長に報告するが、もしそれが本当なら死体が見つかるはずだと相手にされなかった。

その日は海が荒れて漁が休みになったが、みぎわは啓介を連れて沖に出ることに決めた。彼が何度も寝言で釣り船のことを繰り返すことから真偽を確かめるために海に潜ることに決めたのだ。ポイントに着くとみぎわは海深く潜るが死体らしきものは見つからなかった。息の限界を感じ綱を引っ張るが反応はなし。啓介に伝わっていないのかと考え更に強く引っ張ると、銛で胸を射抜かれた彼の体が水中に没した。沈み行く夫の道連れになるみぎわ。もがくうちに綱は岩に擦れて切れるが、今度は水面から発射された水中銃が彼女の左腕を貫いたのだった。痛みのあまり彼女は気を失った。

日の暮れた岩場に打ち上げられ命を取り留めたみぎわは歩いて家まで帰ろうとした。その際、自転車で巡回する警官を見つけ自分の身に起きたことを洗いざらい早口でまくし立てた。ところが彼女は夫殺しの犯人としてマークされていたのだ。みぎわは捕まえようとする警官を振り払うと、啓介の友人であるカメラマンの宮本祥平と連絡を取った。祥平は彼女を渡鹿野島へ連れて行くと、すなっく逢坂のママ・夏子に事情を話ししばらく匿ってもらうことにした。

屋台的映画館
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二階の他人

  • posted at:2020-01-13
  • written by:砂月(すなつき)
にかいのたにん
松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1961年
公開日:1961年12月15日 併映「小さな花の物語」
監督:山田洋次
製作:今泉周男
原作:多岐川恭
脚本:野村芳太郎 山田洋次
美術:宇野耕司
撮影:森田俊保
照明:須藤清治
編集:谷みどり
録音:栗田周十郎
録音技術:沼上精一
音楽:池田正義
監督助手:不破三雄
装置:若林孝二郎
装飾:鈴木八洲雄
撮影事務:大久保安夫
衣裳:斉藤耐三
撮影助手:鶴見正二
録音助手:松本隆司
照明助手:金沢清
進行:岸本公夫
出演:小坂一也 葵京子 瞳麗子 平尾昌章 関千恵子
シネマスコープ モノクロ 56分

若いサラリーマンの葉室正巳は明子との結婚を機に、郊外に家を建てた。だが方々からの借金を月給と賞与で返すには気が遠くなるほど時間が掛かることから、他人に二階を住まわせて部屋代と食費を徴収しその期間を短縮する計画を立てたのだ。居住者に決まったのは小泉夫妻だった。夫の久雄は会社勤め、妻の晴子はホステスとして働いていたことから月々の支払いは問題ないと判断し許可した。ところがいつまで経っても家賃はもらえず、気を使って言い出せないまま二ヶ月分が滞った。気の弱い正巳の代わって明子が催促を行うが、晴子は今まで親の家にいたから呑気なクセがついちゃってと言い訳した。すぐに何とかすると言いながらも、三日経っても音沙汰がなかった。明子には任せていられないと意気込む正巳だったが、いざ久雄を前にすると何も言えないのだった。

日曜日、晴子を連れてやってきた久雄は正巳の前で土下座した。そして悪いのは全て自分の、いや政治の責任だと言った。彼は学生時代にデモで捕まったことがあり、それを中傷した者のせいで会社をクビになったのだ。久雄が毎日出掛けるのは職探しで、ようやく次の就職口が見つかるかも知れないところだった。明子は心配したが、久雄の話を真に受けた正巳もう少し待ってやろうよと楽観的に言った。明子がひとりになると晴子がやってきて心の内をこぼした。部屋代は支払いを忘れていたのではなく見栄から出た嘘だった。涙ながらに語るその姿に、もう少し待ってみようと思うことにした。その一週間後、久雄の合否判定があったが残念な結果となった。そのことを知った正巳は、自分が勤める会社の倉庫の守衛に欠員があることを思い出し、部長に久雄を推薦した。

ある日、豊橋に住む長兄・鉄平と大ゲンカし家を飛び出した母・とみを次兄の信哉が正巳の家に連れてきた。するととみは小泉夫妻と馬が合いそのまま居ついてしまったのだ。半月が経つ頃、久雄は仕事に行かずに二階でとみと花札賭博で時間を潰すようになった。部長から咎められたことで頭に血が上った正巳は、帰宅後すぐに注意した。ところが久雄は力のない自分が守衛に向かないと言い出す始末。そこで正巳は、あなたが働く気になるまで絶対に食事を出さないと断言した。家計をやりくりする明子は頭を悩ませていた。二階を他人に貸して生活の足しにしようとしたが、未だに部屋代はなし。とみの食事代が増えたことで必要経費を差し引くと二千円の赤字になった。そもそも家賃を当てにしたことが間違えではなかったのかと考えた彼女は、いっそ諦めた方がいいのではないかと相談した。それを聞いて腹を括った正巳は小泉夫妻の追い出しに掛かったが、今度は晴子が開き直り次の住処が見つかるまで出ないといい出したのだった。

屋台的映画館

忍者武芸帖 百地三太夫

  • posted at:2019-01-30
  • written by:砂月(すなつき)
にんじゃぶげいちょうももちさんだゆう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1980年
公開日:1980年11月15日 併映「さらば、わが友 実録大物死刑囚たち」
監督:鈴木則文
企画:日下部五朗 本田達男
脚本:石川孝人 神波史男 大津一郎
撮影:中島徹 小川原信
照明:海地栄
録音:平井清重
美術:佐野義和
音楽プロデューサー:すずきまさかつ
音楽:バスター
主題歌:「風の伝説」真田広之
編集:市田勇
助監督:俵坂昭康
記録:石田照
装置:野尻裕
装飾:渡辺源三
擬斗:上野隆三
背景:西村三郎
衣裳:森護
美粧結髪:東和美粧
スチール:中山健司
整音:荒川輝彦
宣伝担当:丸国艦 茂木俊之
演技事務:寺内文夫
舞踊振付:一の宮はじめ 藤間紋蔵
進行主任:野口忠志
協力:東映俳優センター サニー千葉エンタープライズ ジャパンアクションクラブ
アクション監督:千葉真一
出演:真田広之 志穂美悦子 蜷川有紀 火野正平 千葉真一
アメリカンビスタ カラー 117分

天正九年三月、織田信長は羽柴秀吉に命じて伊賀の総人口を遥かに上回る大軍を送り、伊賀忍者の皆殺しを謀った。それは度重なる合戦の中で散々痛めつけられたことへの激烈な報復だった。劣勢に立たされた百地砦では権力者の百地三太夫に甲賀軍率いる不知火将監が助力を申し出たが、彼は秀吉の犬だった。秀吉の狙いは伊賀忍者の皆殺しと百地一族が管理する隠し金山を掌握することだったが、三太夫を倒したしたものの金山の在り処の鍵となる小柄を見つけることは出来なかった。その頃、屋敷で三太夫死去の知らせを受けた妻千代は、百地一族の証である狼の印が入った短刀を幼い鷹丸に預けると鶉火の平六とともに逃げるように促し、自身は自害して果てたのだった。屋敷に踏み込んだものの一足遅れた将監は、弟の幻之介に三太夫の忘れ形見鷹丸を始めとする一族を女子供ひとり残らず皆殺しにするよう命じた。闇夜に紛れて逃げる平六を待ち受けていたのは兄の弥藤次や里の者たちだった。だが追ってきた甲賀忍者によって次々と斬殺され、岸壁に追い込まれた平六は鷹丸を抱えたまま海に飛び込んだのだった。天正十年六月、信長は明智光秀の謀叛により本能寺の炎に消え去った。その動きをいち早く察知した将監が密かに秀吉に通報すると、自らの手を汚すことなく障害を取り除けたことに狂喜した。主君の弔合戦の旗印を高々と掲げた秀吉軍は摂津山崎にて光秀軍を撃破。敗残の光秀は待ち伏せていた将監に討ち取られ彼の天下は三日で終わりを告げた。

十年が経った文禄の世、海岸に一艘の小舟が流れ着いた。その小舟に乗っていたのは明国育ちの青年で、京の町にたどり着くと何やらおかしな物が目に留まった。立札には昨今世間を騒がす盗賊石川五右衛門を京都所司代に知らせた者には大判五枚、捕縛した者には大判十枚を進呈すると書いてあったのだ。五右衛門は義賊だと庶民の間では専らの噂だったが、青年にはどうでもいい話だった。彼が盛り場を歩いていると客引きの門太に芝居小屋へ無理矢理押し込まれた。そこでは陸奥のお艶一座による歌舞伎の公演が行われていたが、その妖艶な内容に興奮した役人が舞台に上がり大混乱になった。その様子を見兼ねた青年は明国の武術で次々と役人を倒して行ったのだった。町人たちの歓声を浴び意気揚々を去って行く青年の腰に刺さる小柄が百地家の守り刀だと気づいた門太は猿回しの川次郎、右衛吉と後を追った。そこに騒動を聞きつけてやってきた所司代は異国人を捕らえようとしたが、彼の小柄を見て目の色が変わった。所司代は幻之介だった。青年は持ち前の身軽さで包囲の網を掻い潜ると屋根伝いに逃げて行った。寺の前で休む青年は、追いかけてきた門太たちの顔をまじまじと見てようやく彼らが伊賀で一緒に育った幼馴染であることに気づいた。青年は沖を通り掛かった明国の船に助けられ命拾いした鷹丸だった。

屋台的映画館

日本一の男の中の男

  • posted at:2019-01-27
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんいちのおとこのなかのおとこ
東宝
配給:東宝
製作年:1967年
公開日:1967年12月31日 併映「ゴー!ゴー!若大将」
監督:古澤憲吾
製作:渡辺晋
脚本:笠原良三
撮影:永井仙吉
美術:小川一男
録音:増尾鼎
照明:隠田紀一
整音:下永尚
音楽:広瀬健次郎 萩原哲晶
主題歌:「なせばなる」植木等
・・・:「そうだそうですその通り」植木等
監督助手:高橋薫明
編集:黒岩義民
合成:松田博
現像:東京現像所
製作担当者:坂井靖史
出演:植木等 浅丘ルリ子 谷啓 水谷良重 藤あさみ
シネマスコープ カラー 94分

丸菱造船の熱血営業社員・小野子等は、15万トン級の貨物船を2隻必要とする東南アジアのバイヤーのミスター・ジャンボと商談を行うことになった。先方から午後1時に伺うという電話が掛かり、そのことを丸川営業課長に報告すると今日中に契約に持って行くぞと意気込んだ。そんな彼に丸川はプライベートな相談があると食堂へ誘うと、来月の人事で営業部の第一係長に昇進が内定したことを伝えた。そしてそのついでに懐から封書を取り出すとじっくり見給えと手渡した。中には女性の写真が入っており、丸川は妻の妹を結婚相手に推薦しようとしたのだ。だが等は、好きとか嫌い以前の問題で死んだ母のような理想の女性がみつかるまでは結婚しない主義だと言って断った。どんな人だったのかと丸川が尋ねると、亭主に対して絶対服従、従順貞節、無抵抗主義だったと等は答えた。今時そんな人がいるわけないじゃないかと呆れた丸山は、結婚は理屈ではなく寂しさを埋めることだと言った。そんなことなど馬耳東風の等はテーブルのカレーを一口頬張ったが、約束の時間に遅れると言ってそそくさと去って行った。

等がジャンボを引き連れて工場内を案内していると、ヘルメットをかぶらずに場内をうろつく老人が目に留まった。ケガでもしたらどうするんだと怒鳴りつけたその人は、会長の大神田剛之助だった。それを知っても等の勢いは止まらず、それなら尚更気をつけるべきで現場は現場にまかせるべきだときっぱり言った。貨物船1隻の契約を取り上機嫌で等がデスクに戻ってくると、丸川が渋い顔で待っていた。松田人事部長が呼んでいるというのだ。丸川から写真を返せと言われたが、いよいよ係長に昇進かと胸を躍らせて向かうと予想外の事態が待っていた。明日付で世界ストッキング株式会社に転勤せよというのだ。何故畑違いの会社へ行くことになるのかと抗議すると、これは会長直々の命令なのだという。しかも待遇はこれまでと同じと聞き、頭にきた彼は深酒をして家に帰った。思わず母の写真に向かって愚痴をこぼすと、彼女は写真から飛び出してきて「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、花も嵐も踏み越えて、行くが男の道ですぞ」と助言した。それを聞いて心を入れ替えた等は靴下業界で日本一を目指すことに決めた。

翌日、新しい会社に出社した等は春山人事部長のところへ挨拶に行った。だが硬い鉄製品を売っていた君が婦人用の柔らかい靴下を扱うことが出来るのかと嫌味を言われる始末。すると等は務まらないものも務めちゃいますと豪語し、銀座にある直売店ショールームの営業を任されることになった。主任の花岡輝子から商品知識を頭に入れなさいとカタログを渡されると、それをパラパラとめくると早速来店した二人の女性客に声を掛けた。婦人用の靴下は実用に供するだけでなく亭主の目を惹きつけるだけの魅力のある物でなくてはならないので、女子店員に尋ねるよりは僕に任せてくださいと言った。すると二人は納得し、口上に乗せられて1ダースずつ購入したのだった。次にきた若い3人娘に新製品を紹介した等がふとよそに目をやると、母に生き写しの女性がいることに気づき息を飲んだ。早速売り込みに掛かったが、彼女は時々店舗を訪れてその様子を社長に報告する秘書課長の牧野未知子だった。

屋台的映画館

日本誕生

  • posted at:2019-01-04
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんたんじょう
東宝
配給:東宝
製作年:1959年
公開日:1959年10月25日 併映「悪魔の接吻」
監督:稲垣浩
製作:藤本真澄 田中友幸
脚本:八住利雄 菊島隆三
撮影:山田一夫
美術監督:伊藤熹朔
音楽:伊福部昭
美術:植田寛
照明:小島正七
録音:西川善男 下永尚
監督助手:丸輝夫
編集:平一二
現像:東京現像所
製作担当者:川上勝太郎
特殊技術・撮影:有川貞昌
特殊技術・美術:渡辺明
特殊技術・照明:岸田九一郎
特殊技術・作画合成:向山宏
特殊技術・光学撮影:荒木秀三郎
特技監督:円谷英二
出演:三船敏郎 司葉子 水野久美 上原美佐 香川京子
シネマスコープ カラー 181分

この世の初め、天の一番高い所に高天原という国があった。まだ天も地も固まり切らず混沌としていた頃、高天原に初めて天之御中主神が生まれた。続いて様々な物と創る役目を持った高御産巣日神と神産巣日神が生まれ、次々と十人の神が生まれた。この最後に生まれたのが男神の伊邪那岐神と女神の伊邪那美神で、天之御中主神はふたりに海に漂う脂のような国土を人が住めるように創り上げよと命じた。矛を渡された伊邪那岐神は伊邪那美神とともに天の浮橋へ行き、その矛で混沌とした海をかき混ぜると島が出来上がった。そして島に降りたふたりは夫婦の契りを結び大八島を生んだ。それから伊邪那岐神と伊邪那美神はたくさんの神を生み、一番美しい女神の天照大神には高天原を、月夜見尊には黄泉国を、そして須佐之男命には海の上を治めるように言いつけた。景行天皇の時代、媼はこれらの物語を語り継いだ。

父景行天皇の寵妃を奪ったという兄大碓命の所業が許せない小椎命は、怒りに任せて拳を振り上げた。そのことを景行天皇の耳に入れた大伴建日連は、世継ぎである大碓命に手に掛けた小椎命を殺さなければ民が承知しないと説いた。小椎命を呼び寄せた景行天皇は、裁きを待つ彼に対し熊曽建兄弟が治める西の国の征伐に行くよう命じた。兄弟は名の知れた強者だが勝手な振る舞いをして民を困らせていると伝え聞いていた。降伏させることが男を立てる機会だと考えた小椎命はそれを喜んで引き受けることにした。出兵の前日、小椎命は伊勢に立ち寄り叔母の倭姫命を訪ねた。小椎命は父が自分を頼りにしていること、そして命を落とした兄が自分のせいではないことを伝えた。大碓命と争ったとき小椎命は手加減をしたが、伊勢にまで届いている兄殺しの噂は寵妃が流したものに違いないと訴えた。我が子のように可愛いお前のことを信じていると倭姫命は答え、心置きなく戦ってきなさいとやさしく言った。そこにいた社に仕える巫女弟橘姫に一目惚れした小椎命は、翌日水辺で再会したことを吉兆ととらえた。だがこの熊曽討伐こそ一族出身で天皇の後添いの子若帯を皇位につけようとする大伴健日連の策略だった。小椎命が熊曽建と対峙して討ち死にすることは間違いないからだ。

熊曽建兄弟はそれぞれ考えに違いがあった。残虐非道な兄に対し、無駄な死者を出したくない弟は小椎命に対話を求めた。だがそれが叶わぬことだとわかると戦う決意をした。その夜、館の完成を祝う大掛かりな宴が翌日行われることを知った小椎命は秘策を練った。そして当日、倭姫命から預かった着物で女に化けると陣から抜け出し館に向かった。民が浮かれる中、潜入することに成功した小椎命は兄建を討ち果たし、騒動に駆けつけた弟建とも死闘を繰り広げた。勝負が決すると弟建はこの国で一番強く勇気と知恵のある男として日本武尊と名乗ってくれと懇願し、お前のような男に討たれて本望だと最後に言った。

屋台的映画館

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