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忍者武芸帖 百地三太夫

  • posted at:2019-01-30
  • written by:砂月(すなつき)
にんじゃぶげいちょうももちさんだゆう
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1980年
公開日:1980年11月15日 併映「さらば、わが友 実録大物死刑囚たち」
監督:鈴木則文
企画:日下部五朗 本田達男
脚本:石川孝人 神波史男 大津一郎
撮影:中島徹 小川原信
照明:海地栄
録音:平井清重
美術:佐野義和
音楽プロデューサー:すずきまさかつ
音楽:バスター
主題歌:「風の伝説」真田広之
編集:市田勇
助監督:俵坂昭康
記録:石田照
装置:野尻裕
装飾:渡辺源三
擬斗:上野隆三
背景:西村三郎
衣裳:森護
美粧結髪:東和美粧
スチール:中山健司
整音:荒川輝彦
宣伝担当:丸国艦 茂木俊之
演技事務:寺内文夫
舞踊振付:一の宮はじめ 藤間紋蔵
進行主任:野口忠志
協力:東映俳優センター サニー千葉エンタープライズ ジャパンアクションクラブ
アクション監督:千葉真一
出演:真田広之 志穂美悦子 蜷川有紀 火野正平 千葉真一
アメリカンビスタ カラー 117分

天正九年三月、織田信長は羽柴秀吉に命じて伊賀の総人口を遥かに上回る大軍を送り、伊賀忍者の皆殺しを謀った。それは度重なる合戦の中で散々痛めつけられたことへの激烈な報復だった。劣勢に立たされた百地砦では権力者の百地三太夫に甲賀軍率いる不知火将監が助力を申し出たが、彼は秀吉の犬だった。秀吉の狙いは伊賀忍者の皆殺しと百地一族が管理する隠し金山を掌握することだったが、三太夫を倒したしたものの金山の在り処の鍵となる小柄を見つけることは出来なかった。その頃、屋敷で三太夫死去の知らせを受けた妻千代は、百地一族の証である狼の印が入った短刀を幼い鷹丸に預けると鶉火の平六とともに逃げるように促し、自身は自害して果てたのだった。屋敷に踏み込んだものの一足遅れた将監は、弟の幻之介に三太夫の忘れ形見鷹丸を始めとする一族を女子供ひとり残らず皆殺しにするよう命じた。闇夜に紛れて逃げる平六を待ち受けていたのは兄の弥藤次や里の者たちだった。だが追ってきた甲賀忍者によって次々と斬殺され、岸壁に追い込まれた平六は鷹丸を抱えたまま海に飛び込んだのだった。天正十年六月、信長は明智光秀の謀叛により本能寺の炎に消え去った。その動きをいち早く察知した将監が密かに秀吉に通報すると、自らの手を汚すことなく障害を取り除けたことに狂喜した。主君の弔合戦の旗印を高々と掲げた秀吉軍は摂津山崎にて光秀軍を撃破。敗残の光秀は待ち伏せていた将監に討ち取られ彼の天下は三日で終わりを告げた。

十年が経った文禄の世、海岸に一艘の小舟が流れ着いた。その小舟に乗っていたのは明国育ちの青年で、京の町にたどり着くと何やらおかしな物が目に留まった。立札には昨今世間を騒がす盗賊石川五右衛門を京都所司代に知らせた者には大判五枚、捕縛した者には大判十枚を進呈すると書いてあったのだ。五右衛門は義賊だと庶民の間では専らの噂だったが、青年にはどうでもいい話だった。彼が盛り場を歩いていると客引きの門太に芝居小屋へ無理矢理押し込まれた。そこでは陸奥のお艶一座による歌舞伎の公演が行われていたが、その妖艶な内容に興奮した役人が舞台に上がり大混乱になった。その様子を見兼ねた青年は明国の武術で次々と役人を倒して行ったのだった。町人たちの歓声を浴び意気揚々を去って行く青年の腰に刺さる小柄が百地家の守り刀だと気づいた門太は猿回しの川次郎、右衛吉と後を追った。そこに騒動を聞きつけてやってきた所司代は異国人を捕らえようとしたが、彼の小柄を見て目の色が変わった。所司代は幻之介だった。青年は持ち前の身軽さで包囲の網を掻い潜ると屋根伝いに逃げて行った。寺の前で休む青年は、追いかけてきた門太たちの顔をまじまじと見てようやく彼らが伊賀で一緒に育った幼馴染であることに気づいた。青年は沖を通り掛かった明国の船に助けられ命拾いした鷹丸だった。

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日本一の男の中の男

  • posted at:2019-01-27
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんいちのおとこのなかのおとこ
東宝
配給:東宝
製作年:1967年
公開日:1967年12月31日 併映「ゴー!ゴー!若大将」
監督:古澤憲吾
製作:渡辺晋
脚本:笠原良三
撮影:永井仙吉
美術:小川一男
録音:増尾鼎
照明:隠田紀一
整音:下永尚
音楽:広瀬健次郎 萩原哲晶
主題歌:「なせばなる」植木等
・・・:「そうだそうですその通り」植木等
監督助手:高橋薫明
編集:黒岩義民
合成:松田博
現像:東京現像所
製作担当者:坂井靖史
出演:植木等 浅丘ルリ子 谷啓 水谷良重 藤あさみ
シネマスコープ カラー 94分

丸菱造船の熱血営業社員・小野子等は、15万トン級の貨物船を2隻必要とする東南アジアのバイヤーのミスター・ジャンボと商談を行うことになった。先方から午後1時に伺うという電話が掛かり、そのことを丸川営業課長に報告すると今日中に契約に持って行くぞと意気込んだ。そんな彼に丸川はプライベートな相談があると食堂へ誘うと、来月の人事で営業部の第一係長に昇進が内定したことを伝えた。そしてそのついでに懐から封書を取り出すとじっくり見給えと手渡した。中には女性の写真が入っており、丸川は妻の妹を結婚相手に推薦しようとしたのだ。だが等は、好きとか嫌い以前の問題で死んだ母のような理想の女性がみつかるまでは結婚しない主義だと言って断った。どんな人だったのかと丸川が尋ねると、亭主に対して絶対服従、従順貞節、無抵抗主義だったと等は答えた。今時そんな人がいるわけないじゃないかと呆れた丸山は、結婚は理屈ではなく寂しさを埋めることだと言った。そんなことなど馬耳東風の等はテーブルのカレーを一口頬張ったが、約束の時間に遅れると言ってそそくさと去って行った。

等がジャンボを引き連れて工場内を案内していると、ヘルメットをかぶらずに場内をうろつく老人が目に留まった。ケガでもしたらどうするんだと怒鳴りつけたその人は、会長の大神田剛之助だった。それを知っても等の勢いは止まらず、それなら尚更気をつけるべきで現場は現場にまかせるべきだときっぱり言った。貨物船1隻の契約を取り上機嫌で等がデスクに戻ってくると、丸川が渋い顔で待っていた。松田人事部長が呼んでいるというのだ。丸川から写真を返せと言われたが、いよいよ係長に昇進かと胸を躍らせて向かうと予想外の事態が待っていた。明日付で世界ストッキング株式会社に転勤せよというのだ。何故畑違いの会社へ行くことになるのかと抗議すると、これは会長直々の命令なのだという。しかも待遇はこれまでと同じと聞き、頭にきた彼は深酒をして家に帰った。思わず母の写真に向かって愚痴をこぼすと、彼女は写真から飛び出してきて「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、花も嵐も踏み越えて、行くが男の道ですぞ」と助言した。それを聞いて心を入れ替えた等は靴下業界で日本一を目指すことに決めた。

翌日、新しい会社に出社した等は春山人事部長のところへ挨拶に行った。だが硬い鉄製品を売っていた君が婦人用の柔らかい靴下を扱うことが出来るのかと嫌味を言われる始末。すると等は務まらないものも務めちゃいますと豪語し、銀座にある直売店ショールームの営業を任されることになった。主任の花岡輝子から商品知識を頭に入れなさいとカタログを渡されると、それをパラパラとめくると早速来店した二人の女性客に声を掛けた。婦人用の靴下は実用に供するだけでなく亭主の目を惹きつけるだけの魅力のある物でなくてはならないので、女子店員に尋ねるよりは僕に任せてくださいと言った。すると二人は納得し、口上に乗せられて1ダースずつ購入したのだった。次にきた若い3人娘に新製品を紹介した等がふとよそに目をやると、母に生き写しの女性がいることに気づき息を飲んだ。早速売り込みに掛かったが、彼女は時々店舗を訪れてその様子を社長に報告する秘書課長の牧野未知子だった。

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日本誕生

  • posted at:2019-01-04
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんたんじょう
東宝
配給:東宝
製作年:1959年
公開日:1959年10月25日 併映「悪魔の接吻」
監督:稲垣浩
製作:藤本真澄 田中友幸
脚本:八住利雄 菊島隆三
撮影:山田一夫
美術監督:伊藤熹朔
音楽:伊福部昭
美術:植田寛
照明:小島正七
録音:西川善男 下永尚
監督助手:丸輝夫
編集:平一二
現像:東京現像所
製作担当者:川上勝太郎
特殊技術・撮影:有川貞昌
特殊技術・美術:渡辺明
特殊技術・照明:岸田九一郎
特殊技術・作画合成:向山宏
特殊技術・光学撮影:荒木秀三郎
特技監督:円谷英二
出演:三船敏郎 司葉子 水野久美 上原美佐 香川京子
シネマスコープ カラー 181分

この世の初め、天の一番高い所に高天原という国があった。まだ天も地も固まり切らず混沌としていた頃、高天原に初めて天之御中主神が生まれた。続いて様々な物と創る役目を持った高御産巣日神と神産巣日神が生まれ、次々と十人の神が生まれた。この最後に生まれたのが男神の伊邪那岐神と女神の伊邪那美神で、天之御中主神はふたりに海に漂う脂のような国土を人が住めるように創り上げよと命じた。矛を渡された伊邪那岐神は伊邪那美神とともに天の浮橋へ行き、その矛で混沌とした海をかき混ぜると島が出来上がった。そして島に降りたふたりは夫婦の契りを結び大八島を生んだ。それから伊邪那岐神と伊邪那美神はたくさんの神を生み、一番美しい女神の天照大神には高天原を、月夜見尊には黄泉国を、そして須佐之男命には海の上を治めるように言いつけた。景行天皇の時代、媼はこれらの物語を語り継いだ。

父景行天皇の寵妃を奪ったという兄大碓命の所業が許せない小椎命は、怒りに任せて拳を振り上げた。そのことを景行天皇の耳に入れた大伴建日連は、世継ぎである大碓命に手に掛けた小椎命を殺さなければ民が承知しないと説いた。小椎命を呼び寄せた景行天皇は、裁きを待つ彼に対し熊曽建兄弟が治める西の国の征伐に行くよう命じた。兄弟は名の知れた強者だが勝手な振る舞いをして民を困らせていると伝え聞いていた。降伏させることが男を立てる機会だと考えた小椎命はそれを喜んで引き受けることにした。出兵の前日、小椎命は伊勢に立ち寄り叔母の倭姫命を訪ねた。小椎命は父が自分を頼りにしていること、そして命を落とした兄が自分のせいではないことを伝えた。大碓命と争ったとき小椎命は手加減をしたが、伊勢にまで届いている兄殺しの噂は寵妃が流したものに違いないと訴えた。我が子のように可愛いお前のことを信じていると倭姫命は答え、心置きなく戦ってきなさいとやさしく言った。そこにいた社に仕える巫女弟橘姫に一目惚れした小椎命は、翌日水辺で再会したことを吉兆ととらえた。だがこの熊曽討伐こそ一族出身で天皇の後添いの子若帯を皇位につけようとする大伴健日連の策略だった。小椎命が熊曽建と対峙して討ち死にすることは間違いないからだ。

熊曽建兄弟はそれぞれ考えに違いがあった。残虐非道な兄に対し、無駄な死者を出したくない弟は小椎命に対話を求めた。だがそれが叶わぬことだとわかると戦う決意をした。その夜、館の完成を祝う大掛かりな宴が翌日行われることを知った小椎命は秘策を練った。そして当日、倭姫命から預かった着物で女に化けると陣から抜け出し館に向かった。民が浮かれる中、潜入することに成功した小椎命は兄建を討ち果たし、騒動に駆けつけた弟建とも死闘を繰り広げた。勝負が決すると弟建はこの国で一番強く勇気と知恵のある男として日本武尊と名乗ってくれと懇願し、お前のような男に討たれて本望だと最後に言った。

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にっぽん親不孝時代

  • posted at:2018-10-10
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんおやふこうじだい
東京映画
配給:東宝
製作年:1968年
公開日:1968年12月7日 併映「お熱い休暇」
監督:山本邦彦
製作:佐藤一郎 椎野英之
原作:松山善三
脚色:山本邦彦
撮影:黒田徳三
美術:樋口幸男
録音:神蔵昇
照明:今泉千仭
音楽:かまやつひろし 池野成
整音:西尾曻
編集:諏訪三千男
監督助手:奥村正彦
現像:東洋現像所
製作担当者:内山甲子郎
出演:田辺昭知 かまやつひろし 堺正章 井上順 井上孝之
シネマスコープ カラー 85分

父・満が建設業や飲食店などを経営する実業家だったことで杉本邦雄は自由気ままな生活を送っていた。満のスナックは若者の溜まり場になっており、時間を持て余して入り浸っているのは邦雄と四人の仲間(録郎、菊男、昭、実)だった。彼らには共通する夢があった。それはバンドを組んでスポットライトを浴びることだった。その夢を叶えるには先立つ物が必要だが、録郎たちはそれを集めることが出来ずにいた。すると翌日、邦雄はある計画を実行した。それは自宅の金庫を破って三十万円を盗み出したのだ。秘書の谷口加奈子に現場を見つかったが、札束は外で待ち受ける録郎たちの手に渡り、それは忽ち楽器店のドラムやギターなどへと変貌したのだった。

ある日、録郎の父で光妙寺の和尚・法念は商店街の役員たちとともに満のもとへ抗議に向かった。何故なら学校建設のために譲った土地をデパートに転用すると聞いたからだ。満はスナックの存在が教育に影響を与えることを理解して直ちにそれを閉店し、取得した土地に学校を建設すると約束したのだが、それを翻しスナックの営業を継続した上でデパートを建設すると宣言したのだ。彼は私の金で私の土地に何を建てようと自由だと主張し、地元の発展のために外国資本を導入すると説明したが、法念たちは納得出来なかった。

フーテンの哲と一彦が偶然出会い、旅を続けて十日目。横浜港に停泊する貨物船から落ちたバッグをモーターボートが拾い上げた現場を目撃した二人は、先回りしてそれをいただこうと考えた。ところが大柄な男に首根っこを掴まれて車に押し込まれたのだった。紳士のジョージが貨物船から落としたバッグは遣いを通じて満に渡るはずだったが、その遣いが横領をして逃げようとしたのだ。その車を追い詰めた男たちは危険を感じ代わりに哲と一彦にバッグを取りに行くよう命じたが、突如銃撃戦を始まったため二人はそれを持ってトンズラしたのだった。

人気のない墓地にたどり着いた哲たちはバッグを開けることにした。食い物だといいなとロックを外すと警報音が辺りに鳴り響き、それと同時にジョージの探知機に知らせが届いた。彼が杉本興業のビルから慌てて駆け出す様子を加奈子がカメラに収めていた頃、警報音に驚いた法念が本堂から飛び出しその正体がバッグだと気づくと蓋を閉めてこっそり持ち去ろうとした。隠れてその様子を見ていた哲たちはそれを返せと抗議したが、そこに帰ってきた録郎が寺への嫌がらせだと勘違いし、五対二なら勝てるとケンカを始めた。哲たちを追い出して気分爽快な五人は本堂を二時間レンタルして演奏の練習をしていたが、バッグのことが気になって仕方がない法念は理屈をつけて録郎たちを追い出すとバッグを開けた。すると再び警報音が鳴り響き、それと同時に様々なことが動き出した。

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日本一のゴリガン男

  • posted at:2018-07-01
  • written by:砂月(すなつき)
にっぽんいちのごりがんおとこ
東宝=渡辺プロ
配給:東宝
製作年:1966年
公開日:1966年3月16日 併映「何処へ」
監督:古澤憲吾
製作:渡辺晋 森田信
脚本:笠原良三
撮影:小泉福造
美術:竹中和雄
録音:増尾鼎
照明:隠田紀一
整音:下永尚
音楽:宮川泰
主題歌:「しびれ節」
・・・:「何がなんがかわからないのよ」
監督助手:長野卓
編集:黒岩義民
合成:松田博
現像:東洋現像所
製作担当者:堤博康
出演:植木等 浜美枝 進藤英太郎 藤村有弘 人見明
シネマスコープ カラー 93分

西北商事の無責任社員・日本等は出張がてら残りの経費をパチンコにつぎ込んで見事その倍の景品を手にしたのだが、時間を浪費したことで帰りの列車に間に合わないかもしれないことがわかると慌てて駅に向かって駆け出した。だが工事現場付近を通り掛かったときに運悪く空から降ってきた鉄骨に当たり生死をさまようことになったのだ。それから一年後、奇跡的に全快し退院することになった等は第一脳外科病院の担当医師から前後三回に亘る手術に耐えられたのは強心臓のおかげだと感心され、手術の度に脳みそに溜まった余分なカスや水分を取り除いたことで頭の回転が入院前の100倍になったとお墨付きをもらった。生まれ変わった彼は早速出社することにしたのだが、社長室の受付には見慣れない女性が座っていた。更に営業第一課に行っても自分の席がなく、石亀という知らない営業課長から不審者扱いされた。かみ合わない話が進行して行くうちに等はようやく自分が置かれている立場を理解した。彼が勤めていた会社は半年前に倒産し、その権利を買った統南商事が同じ場所に引っ越してきたのだ。そうとわかると等は石亀にある提案をした。「僕をお宅で使ってみませんか?」と。面食らった石亀が会社は不況対策で合理化を行っており社員を増やせるわけがないと断ると、等は当分の間、月給なしで働くと切り出したのだ。そんなバカな奴がいるかなどとやりとりをしていると、石亀は浅利営業部長に呼び出され、食品代理店の接待プランを早急に提出せよと命じられた。経費は不況によって前年の3割減。にも拘らず開催場所は熱海の一流旅館、家族も招待して飲み放題食い放題、おみやげ等々。それらを全て会社で負担することは容易いことではなかった。その話を聞いた等は、僕が月給なしでバッチリやって見せますよと啖呵を切った。

船橋ヘルスセンターに向かった等はまず営業担当と掛け合い、日帰り参加者200名で芸者なしの宴会、その代わりに一流芸能人のアトラクションを行うプランを説明した。そして嫌がる担当に別口で儲けさせてやると約束し飲み物とおみやげは全て持ち込みという条件を飲ませた。宴会当日、等は酒販メーカーの販売課長に直接飲み物を持ってこさせると請求書を突き返し、イベントの共同主催として大々的に宣伝すると約束して強引に条件を飲ませた。そして一流芸能人の役を自分と石亀が務めたショーは招待客から喝采を浴びた。宴会が終わると等はヘルスセンターに併設する遊園地に招待客を誘導し有料で入場させた。その結果、経費は前年の半分の額で収まり、会社には出席者からの感謝の手紙が予想以上に届いたのだった。浅利が石亀にその理由を尋ねると、横から割り込んできた等が説明を始めた。招待客は増えているが家族連れだったことで宿泊費等の遊興費が掛かっておらず、飲料はメーカーのタイアップでタダ。更に招待客が自腹で支払った遊園地の入場料の上がりの半分を会場代から差し引かせたのだ。会社の名前さえ使わせてもらえれば給料はいらないというこの奇妙な社員に困惑する浅利。すると等は「日本等課」を勝手に立ち上げ、一人で取引先を探して商売することにしたのだった。

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