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帰らざる日々

  • posted at:2023-07-18
  • written by:砂月(すなつき)
かえらざるひび
日活
配給:にっかつ
製作年:1978年
公開日:1978年8月19日 併映「高校大パニック」
監督:藤田敏八
プロデューサー:岡田裕
原作:中岡京平
脚本:藤田敏八 中岡京平
撮影:前田米造
美術:渡辺平八郎
録音:橋本文雄
照明:新川真
編集:井上治
助監督:上垣保朗 根岸吉太郎
色彩計測:鈴木耕一
現像:東洋現像所
製作担当者:岩見良二
音楽:石川鷹彦
選曲・音楽構成:アリス
協力:飯田観光協会
後援:飯田市 飯田市商工会議所
出演:江藤潤 永島敏行 浅野真弓 竹田かほり 根岸とし江
アメリカンビスタ カラー 99分

1978年、夏。東京のキャバレーでボーイとして働く野崎辰雄は実家からの電報を受け取り6年ぶりに帰郷することになった。同棲をしているホステスの西螢子はついて行こうとするが、彼が帰る理由を言わず自分を同行させようとしないことで何かあるのではないかと勘繰った。辰雄は二人で店を休めば同棲していることがばれてしまうし、そうなれば社則で二人ともクビになると説明した。それを聞いて螢子はますます疑った。翌朝、電車に乗る辰雄が出発するのを待っていると螢子がやってきた。口ゲンカをしたがやはり辰雄のことが心配でたまらなかったのだ。売店で買ったジュースと雑誌を窓から渡すと、じゃあねと明るく手を振った。

辰雄が気持ちよく眠っていると電車は甲府駅で停車した。その時の揺れで目を覚ました彼に声を掛けてきたのは高校時代の同級生の田岡だった。防衛庁に勤務する田岡は航空幕僚監部の直属の上司の娘・村瀬喜代美と結婚することになり、両親と顔合わせをするために飯田へ向かっていた。辰雄は田岡と話をするうちに6年前のことを思い出した。辰雄は友人たちと喫茶・ボンにたむろしていたが、その目的は店員の竹村真紀子に会うことだった。1972年7月8日、明後日行われる校内マラソンについて話し合っていると、同じくらいの年齢の男が彼女に親し気に話し掛け金を無心したのを目撃した。同じ学校の黒岩隆三だとわかると辰雄は勝手にライバル心を燃やしマラソン大会で見返してやれと思った。当日、レースの終盤に差し掛かると転倒した隆三を尻目に飛ばして行くが、その先には近道した彼がいた。必死に追い掛ける辰雄だったが、もう体力は残っておらず隆三の背中をただ見送るしかなかった。落ち込みながら帰宅すると、母・加代が誰かと電話でケンカしていた。それが誰か聞かなくても辰雄には若い女のもとへ走った父・文雄であることがわかった。今は母一人子一人の生活を送っており、加代はバー・ロレアルのママをして家計を支えていた。11日、放課後に校舎の裏の森で一人考え事をしていると自転車に乗った隆三が声を掛けてきた。隆三は真紀子の写真を見せ俺が取り持ってやると馴れ馴れしく肩に手を掛けたため、怒った辰雄は体当たりした。二人は取っ組み合いになり突き飛ばされた辰雄が何かに掴まると、それは公金横領した男の首吊り死体だった。

屋台的映画館
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科捜研の女 劇場版

  • posted at:2023-07-08
  • written by:砂月(すなつき)
かそうけんのおんなげきじょうばん
「科捜研の女 劇場版」製作委員会(テレビ朝日=東映=東映ビデオ=東宝芸能=朝日放送テレビ=メ~テレ=北海道テレビ=九州朝日放送)
配給:東映
製作年:2021年
公開日:2021年9月3日
監督:兼崎涼介
製作総指揮:早河洋
製作統括:亀山慶二 手塚治
製作:西新 村松秀信 與田尚志 池田篤郎 今村俊昭 多胡慎一 寺内達郎 森君夫
エグゼクティブプロデューサー:三輪祐見子 塚田英明
ゼネラルプロデューサー:関拓也
プロデューサー:藤崎絵三 村上弓 中尾亜由子 森田大児 谷中寿成
脚本:櫻井武晴
音楽:川井憲次
撮影:朝倉義人
照明:山中秋男
録音:近藤義兼
映像:今西貴充
美術:松崎宙人
装飾:極並浩史
編集:米田武朗
音響効果:荒木祥貴
記録:山本真央
衣裳:宿女正太 服部典子
メイク:ワシダトモキ
演技事務:須賀章
シリーズ助監督:玉木雄介
助監督:宗野賢一
進行主任:谷敷裕也
主題歌:「声」遥海
製作プロダクション:東映京都撮影所
出演:沢口靖子 佐々木蔵之介 若村麻由美 渡辺いっけい 小野武彦
アメリカンビスタ カラー 109分

ある晩秋の夜、京都・洛北医科大学臨床検査学科の石川礼子教授が校舎の屋上から転落死した。通報を受けた京都府警捜査一課は科学捜査研究所に事件現場の鑑定を依頼した。

現場を仕切る土門薫警部補は科捜研の榊マリコ法医研究員をリーダーとするチームが到着すると状況を簡単に説明した。殺人事件の可能性があるとして京都府警に通報したのは同大学医学部病理学科法医学教室の教授で科捜研のメンバーが絶大な信頼を寄せている風丘早月だった。残業で机に向かっていた彼女が「助けて、殺される」という声を聞き振り向くと、窓の外に落ちて行く礼子と目が合った。早月はその目が何かを訴えていたように感じたのだ。早月の研究室の助教が礼子の研究室に転籍となり、それがきっかけで二人は最近親しくなったばかりだった。マリコは遺体に手を合わせると検視に取り掛かった。志望推定時刻は早月が死亡確認を行ったため午後11時4分であることがわかっていた。頭に致命傷となる傷はなく死後硬直も始まっていなかったが、右脇の下に硬さがあったことからマリコは病気と薬毒物の可能性を調べることにした。遺体を科捜研に運ぶと彼女は早月が行う司法解剖に立ち会った。物理担当研究員の橋口呂太は専用ソフトで人体落下シミュレーションを行い、化学担当研究員の宇佐見裕也は検体から血中薬毒物鑑定を行った。映像データ担当研究員の涌田亜美は防犯カメラ映像の解析を行い、所長の日野和正は校舎屋上の下足痕の鑑定を行った。

翌日、科捜研を訪れた早月は、礼子の遺体を解剖し転落死の所見しかなかったこと、そしてマリコは死因が全身打撲による外傷性ショックだったことを報告した。薬毒物が出なかったと宇佐見は言ったが、早月が解剖した際に内臓に病的所見はなく、何故脇の下に硬さがあったのかは謎のままだった。転落から30分前の防犯カメラによる映像では礼子が教授室から出てエレベーターで屋上に向かうのだが、そこにきたのは頭痛なのか頭を押さえた彼女だけだった。だが下足痕の歩幅は走っているように途中から広くなっており、追い掛けられたり争ったような物は見つからなかった。第三者と揉めていなければ事故ということになるが、落下シミュレーションの分析では足を滑らせて落ちたとは角度的に考えにくかった。殺人でなく事故でなければ自殺ということになるが、そうなると早月が聞いた声とは矛盾する。だが藤倉甚一刑事部長に報告して事件性が認められないと判断されれば自殺として扱われる可能性が高かった。

屋台的映画館
かいぞくせんたいごーかいじゃーたいうちゅうけいじぎゃばんざむーびー
「ゴーカイジャーVSギャバン」製作委員会(テレビ朝日=東映ビデオ=東映=東映エージエンシー=木下工務店)
配給:東映
製作年:2011年
公開日:2012年1月21日
監督:中澤祥次郎
製作:平城隆司 福原英行 鈴木武幸 松田英史 木下直哉
企画:桑田潔 日達長夫 香月純一 小川政則 沖村佳昭
エグゼクティブ・プロデューサー:杉山登 加藤和夫 疋田和樹
プロデューサー:佐々木基 中野剛 宇都宮孝明 大森敬仁 矢田晃一 深田明宏
原作:八手三郎 石ノ森章太郎
脚本:荒川稔久
音楽:山下康介 渡辺宙明
撮影:松村文雄
照明:柴田守
美術:大谷和正
録音:伝田直樹
編集:佐藤連
整音:小林喬
スクリプター:渋谷康子
助監督:荒川史絵
製作担当:小林智裕
計測:岩崎智之
装置:福居勉
装飾:塩満義幸 高津装飾美術
小道具:淀名和祐介
持道具:山口康孝
キャラクター管理:熊谷卓弥
衣裳:滝口晶子
美粧:久野友子
操演:橋本一輝 苗村真志
ガンエフェクト:近藤佳徳
絵コンテ:相田夏美
助監督:茶谷和行 谷本健晋
カースタント:西村信宏
進行主任:式守修
進行:奥田和雅
製作デスク:佐々木幸司
ラインプロデューサー:谷口正洋
ラインプロデューサー補:下前明弘
音響効果:小川広美
選曲:宮葉勝行.R
スタジオエンジニア:原口崇正 錦織真里 一坂早希
視覚効果:沖満
キャラクターデザイン:韮沢靖 篠原保 酉澤安施 さとうけいいち K-SuKe
魔空監獄デザイン:野口竜
企画協力:企画者104
資料担当:葛西おと 松井大
デザイン協力:プレックス
造型:前澤範 前澤まさる 吉川学
・・・:「宇宙刑事ギャバン」串田アキラ
・・・:「海賊戦隊ゴーカイジャー」松原剛志(Project.R) ヤング・フレッシュ Project.R
・・・:「JUMP」松原剛志&串田アキラ
音楽プロデュース:津島玄一 Project.R
音楽製作:東映音楽出版 日本コロムビア
音楽製作協力:ジェニュイン
特撮監督:佛田洋
アクション監督:石垣広文
協力:東映東京撮影所 東映デジタルセンター
製作プロダクション:東映テレビ・プロダクション
出演:小澤亮太 山田裕貴 市道真央 清水一希 小池唯
アメリカンビスタ カラー 64分

日本上空を航行するゴーカイジャーの母艦ゴーカイガレオンが謎の巨大宇宙船に突然攻撃を仕掛けられ航行不能に陥った。彼らの前に現れたのは銀色に輝くコンバットスーツに身を包んだ伝説の宇宙刑事ギャバンだった。容疑は海賊行為だというが、海賊戦隊を名乗っていても略奪などは行った覚えはないし「S.P.D」の調査で彼らに掛かった容疑は全て宇宙帝国ザンギャックの捏造だということが証明されていた。それでもギャバンが聞く耳を持たないため、キャプテン・マーベラスたちは変身して抵抗を試みた。だが彼の前では無力に等しく、敗れた5人は逮捕された。

マーベラス、ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの5人はギャバンの活動拠点である超次元光速機ドルギランの留置場に入れられた。海賊行為の罪は死刑を意味するが、もしそうであれば宇宙最高裁判所によるジャッジメントが即時に下されないことにジョーは疑いを持っていた。マーベラスたちは夜食の買い出しに行って難を逃れた伊狩鎧が助けにくることに賭けた。夜が明けた頃にドルギランが到着したのはある都市の室内競技場だった。5人がその中に転送されると待っていた宇宙警察総裁のウィーバルは部下たちに処刑の準備を命じた。死刑台へ連行されるマーベラスたちの姿を見て薄ら笑いを浮かべるウィーバルにギャバンこと一条寺烈は一つだけ確認させてくださいと言った。彼らの海賊行為とはどんなことですか、と。するとウィーバルはザンギャックに逆らったことが宇宙最大の悪であり即時処刑に値するのだと冷たく言った。それを聞いた一条寺はついに本音を吐いたなと言い手元のボタンで5人の手錠を解除した。自由を得たマーベラスたちは銃弾を掻い潜って部下を倒したが、その正体は下級兵士のゴーミンだった。何者かがウィーバルに化けて宇宙警察を乗っ取ろうとしていることに気づいた一条寺はそれを止めるために大芝居を打ち、ゴーカイジャーはそれに巻き込まれたのだった。ウィーバルに化けていた魔空監獄獄長のアシュラーダは本当の姿を現し、ザンギャックと宇宙警察の技術の融合で生まれたギャバンブートレグを派遣した。その性能はギャバンのそれを遥かに上回っていた。一条寺は巻き込んで済まなかったと詫び逃げるように言った。そして5人に変身アイテムのモバイレーツを返すと別れ際に「よろしく勇気、だよ」と言った。その言葉を聞いたマーベラスは彼と昔会ったことがあるような気がした。

屋台的映画館
かいぞくせんたいごーかいじゃーざむーびーそらとぶゆうれいせん
劇場版「オーズ・ゴーカイジャー」製作委員会(東映=テレビ朝日=東映アニメーション=東映ビデオ=アサツー ディ・ケイ=東映エージエンシー=バンダイ)
配給:東映
製作年:2011年
公開日:2011年8月6日 併映「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」
監督:渡辺勝也
製作:鈴木武幸 平城隆司 高橋浩
企画:遠藤茂行 桑田潔 日達長夫 篠田芳彦 松田英史 垰義孝
エグゼクティブ・プロデューサー:杉山登 疋田和樹 加藤和夫
原作:八手三郎 石ノ森章太郎
脚本:荒川稔久
音楽:山下康介
撮影:大沢信吾
照明:柴田守
美術:大谷和正
録音:伝田直樹
編集:佐藤連
スクリプター:渋谷康子
整音:小林喬
助監督:荒川史絵
製作担当:小林智裕
計測:岩崎智之
装置:福居勉
装飾:塩満義幸 高津装飾美術
小道具:淀名和祐介
持道具:山口康孝
衣裳:滝口晶子
美粧:和田しづか
助監督:茶谷和行 宮崎龍太
絵コンテ:日和英子
ダンス指導:宮田直美
操演:橋本一輝 苗村真志
ガンエフェクト:近藤佳徳
キャラクター管理:熊谷卓弥 谷本健晋
進行主任:式守修
進行:福田厚仁
音響効果:大泉音映
選曲:宮葉勝行.R
スタジオエンジニア:畠山宗之 錦織真里
オプチカルサウンドトラック:薄井洋明
編集助手:石井奈月
ネガ編集:村木恵里
3D技術コーディネーター:小林真吾
技術業務:八木明広
仕上進行:友安真富果
視覚効果:沖満
音楽プロデュース:津島玄一 Project.R
音楽製作:東映音楽出版 日本コロムビア
音楽製作協力:ジェニュイン
・・・:「ないしょのユーレイヒー」ささきいさお 堀江美都子 松原剛志
・・・:「海賊戦隊ゴーカイジャー」松原剛志(Project.R) ヤング・フレッシュ Project.R
キャラクターデザイン:韮沢靖 篠原保 K-SuKe
イラスト:薄永俊之
企画協力:企画者104
資料担当:葛西おと 松井大
デザイン協力:プレックス
造型:前澤範
プロデューサー補:望月卓
製作デスク:佐々木幸司
ラインプロデューサー:平原大志
ラインプロデューサー補:下前明弘
エグゼクティブ・プロデューサー:杉山登 加藤和夫
プロデューサー:宇都宮孝明 大森敬仁 佐々木基 矢田晃一 深田明宏
アクション監督:竹田道弘
特撮監督:佛田洋
協力:東映東京撮影所 東映デジタルセンター
製作プロダクション:東映テレビ・プロダクション
出演:小澤亮太 山田裕貴 市道真央 清水一希 小池唯
アメリカンビスタ カラー 31分

伊狩鎧がいつものように朝のランニングを行っていると、突然空が掻き曇り不気味な帆船が現れた。宇宙帝国ザンギャックの物ではないかと考えた鎧はゴーカイシルバーに変身し呼び出した豪獣神に乗り込んで調査しようとするが、彼の前に現れたのはマントを羽織った謎の黒いゴーカイオーだった。訳がわからず戦う鎧だったが、ゴーカイオーを操縦する船長のロスダークはお前じゃ話にならないから仲間を呼んで出直してこいと言い残して去った。

ゴーカイジャーの母艦ゴーカイガレオンには鎧から帆船の画像が届いていた。それを見たジョーは宇宙を彷徨い死者の魂を呼び寄せるという噂の船だと言った。その帆船にはどんな夢でも一つだけ叶える力を持つゴッドアイと呼ばれる宝玉が積まれていた。それを手に入れることが出来れば大いなる力など関係なく宇宙最大のお宝を一気に手に入れることが出来るが、その過程で死者の世界へ引きずり込まれる危険性もあった。だがお宝に命を懸けるのが海賊ってもんだろとキャプテン・マーベラスが発破を掛けると、ジョー、ルカ、ハカセ、アイムの4人は頷いた。

ザンギャックの旗艦ギガントホースでも幽霊船が地球に現れたことは話題になっていた。皇帝アクドス・ギルの息子で皇太子の司令官ワルズ・ギルはゴッドアイを手に入れて地球征服を簡単に終わらせようと考えていたが、開発技官インサーンと特務士官バリゾーグがそんなお宝を海賊たちが見過ごすはずがないと忠告すると慌てて出撃命令を出した。同じ頃、ゴーカイガレオンはついに幽霊船を発見した。その大きさはゴーカイガレオンの20倍にも及んだが、マーベラスは構わず突っ込んだ。幽霊船に乗り込んだ5人はおかしな幽霊たち(ガツン、パチン、ベロン)に邪魔されながらもお宝がある部屋に辿りつくが、それはゴッドアイを餌に彼らの生体エネルギーを吸い取ろうとするロスダークの罠だった。

屋台的映画館

怪談お岩の亡霊

  • posted at:2023-05-25
  • written by:砂月(すなつき)
かいだんおいわのぼうれい
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1961年
公開日:1961年7月2日 併映「ふり袖小姓捕物帖 血文字肌」
監督:加藤泰
企画:神戸由美
脚本:加藤泰
撮影:古谷伸
照明:井上義一
録音:平太郎
美術:桂長四郎
編集:神田忠男
助監督:堀池幸三
音楽:高橋半
記録:墨はつ子
装置:大西悟
装飾:川本宗春
美粧:林政信
結髪:西野艶子
衣裳:佐々木常久
擬斗:島義一
進行主任:神先頌尚
出演:若山富三郎 沢村訥升 伏見扇太郎 桜町弘子 三原有美子
シネマスコープ カラー 94分

無頼の限りを尽くす御家人の民谷伊右衛門は賭場の帰りの腹いせに暗闇で辻斬りを行った。そのことに感づいた妻のお岩は恐ろしくなり実家に戻っていた。お岩の父四谷左門は貧乏浪人で借金は嵩むばかり。そこで彼は前金一両でお岩の妹お袖を按摩の宅悦のもとへ奉公に出すことにした。観音様の境内にある楊枝店の店番をする仕事だと聞いていたが、裏稼業の女郎屋で働かされることは知らなかった。

お袖に恋い焦がれる足守藩士の佐藤与茂七はすぐにでも逢いたいという気持ちでいたが、同士の奥田庄三郎から翌日の支度があるから屋敷に戻ろうと諭された。それでも自分の心が抑えられない与茂七だったが、宅悦の妻お色がお袖を楊枝店に連れて行くところを偶然見てしまい愕然とした。店の女に尋ねると楊枝店の女は大抵夜の客を取る売り物だという。望みなら話をつけてあげるという女の言葉に憤慨した与茂七は、訳も聞かずに帰るのかと止める庄三郎を振り切って屋敷に戻った。

お袖とお色に別れを告げた左門を遠くから窺っていたのは伊右衛門と博奕仲間で薬売りの直助だった。伊右衛門は左門のもとへ駆け寄るとお岩とは依然として夫婦の関係にあるから会わせてくださいと頭を下げた。すると左門は毅然とした態度で辻斬り強盗を婿に持った覚えはないと突き放した。一方、お袖に目をつけた直助はその夜宅悦の女郎屋へ行くと初見世の彼女を指名した。ところが二階の客が一両を支払っていると聞き居ても立っても居られなくなった直助は二両余りの金を叩きつけ文句があるかと言った。そして売り物になる話など聞いていないと嫌がるお袖を無理矢理部屋に連れて行った。二階の客はお袖のことが諦めきれない与茂七とそれを見守る庄三郎だった。抵抗する声が彼女のものだとわかると二人はその部屋に乗り込み直助を力ずくで追い出したのだった。激しく憤る直助は伊右衛門と結託し、直助が呼び出した左門を伊右衛門が、千鳥足で帰る与茂七を直助が斬殺した。だが直助が殺したのは与茂七ではなかった。与茂七とお袖を部屋に残して門前の小料理屋に向かった庄三郎はお色が間違えて持ってきた与茂七の羽織を着ていたのだ。

屋台的映画館

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