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てなもんや幽霊道中

  • posted at:2017-11-03
  • written by:砂月(すなつき)
てなもんやゆうれいどうちゅう
東宝=宝塚映画=渡辺プロダクション
配給:東宝
製作年:1967年
公開日:1967年9月2日 併映「喜劇 駅前探検」
監督:松林宗恵
製作:渡辺晋 五明忠人
原作:香川登志緒
脚本:笠原良三 沢田隆治
撮影:長谷川清
美術:松山崇
録音:矢野口文雄
照明:石井長四郎
音楽:萩原哲晶
主題歌:「てなもんや三度笠」藤田まこと 白木みのる
監督助手:出目昌伸
編集:庵原周一
現像:東京現像所
製作担当者:森本朴
出演:藤田まこと 白木みのる 野川由美子 恵とも子 久保菜穂子
シネマスコープ カラー 90分

百万石の大藩加賀美藩の領内にやってきたあんかけの時次郎と珍念の二人。豊かに見えるこの領内は驚くような物価高で、茶店で食べた団子が一皿二朱もしたことを考えると今夜泊まる宿賃が心配になった。二人で五両も取られることになれば大阪へ帰ることが出来なくなるのだ。そこで珍念はひらめいた。彼の大先輩に当たる修念が住職を務める天台宗一門の寿命寺に泊まることが出来れば宿賃を浮かすことが出来るのだ。早速、二人が階段を上って寺にやってくると、時次郎はそこから見える壮観な景色に目を奪われた。その視線の先にある百万石の加賀美城では大病を患った藩主加賀美正家が侍医淳庵に看取られてこの世を去った。家老筆頭大杉源蔵は世継ぎ問題を控え江戸表への思惑もあってこの件は当分の間伏せることにした。正家の遺体は寿命寺に安置されることになったが、そうとは知らない時次郎と珍念は修念から逗留の了承を得た。その夜、時次郎が火の玉と見間違えたのは提灯の灯りだった。正家の棺を運んできた淳庵を修念は丁重に迎えたが、寝付けない時次郎は厠からの帰りに本堂で正家の霊と遭遇。腰を抜かした彼がそのことを話すと、その種のものに一度も会ったことがないという珍念は絶好のチャンスとばかりに本堂へ向かった。ところが何の変化も見られなかったため部屋に戻ってくると時次郎は旅支度を始めていた。怖くて仕方がない時次郎が真夜中にも拘らず寺を飛び出して行ったため珍念も渋々ついて行った。

源蔵の下に現れた腹心黒岩兵部は、桂木半太夫が正家の落とし胤まゆみ姫を捜しに出発したという情報を耳に入れた。十六年前に腰元の楓が産み落としたまゆみ姫は殿の唯一の御落胤で、当時奥方に世話になったという理由で傍役人だった半太夫が隣国福井藩中の楓実家に親子共々宿下がりを命じた。殿が逝去したことで半太夫はまゆみ姫を連れ戻すことにしたのだが、源蔵はそれが面白くなかった。兵部が三人の追手を差し向ける手配をしたことを知った腰元の雪枝は福井に向かったが、新たに出来た関所が越えられずに困っていた。そこで彼女は通りがかった時次郎と珍念に経緯を話し一緒に通過出来るよう願い出た。雪枝は半太夫の娘で、正家の側用人だった父が福井の領地へ大事な用事で旅に出たところ城内で一大事が起きた。そのことを伝えるために後を追ってきたのだが、関所の新設によって行動を阻まれたのだ。彼女が通行手形を持っていないことを知った珍念は、一刻も早く追いつきたいという雪枝の気持ちを汲み一芝居打つことにした。彼らの目の前にある検問所は「安宅の関」という名だった。

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てなもんや東海道

  • posted at:2017-04-20
  • written by:砂月(すなつき)
てなもんやとうかいどう
東宝=宝塚映画=渡辺プロダクション
配給:東宝
製作年:1966年
公開日:1966年8月14日 併映「喜劇 駅前番頭」
監督:松林宗恵
製作:渡辺晋
原作:香川登志緒
脚本:長瀬喜伴 新井一 沢田隆治
撮影:鈴木斌
美術:松山崇
録音:鴛海晄次
照明:石井長四郎
音楽:萩原哲晶
挿入歌:「ポカン・ポカン」梓みちよ
監督助手:竹前重吉
編集:庵原周一
現像:東洋現像所
製作担当者:山田順彦
出演:藤田まこと 白木みのる 浜美枝 梓みちよ 野川由美子
シネマスコープ カラー 92分

気ままな旅を続ける泉州は信太の生まれのあんかけの時次郎と近江国園城寺の学僧珍念。亀山城下に入った二人は、一日一度ケンカしないと気が済まないという奇妙な夫婦に出くわしたことでペースを乱されたため、茶屋で一服することにした。すると今度は般若の政というヤクザ者が無理矢理酌をさせたことで逃げ出した女中のおみつを追い掛けていたのだ。おみつは時次郎に助けを求めたが、騒動はもう御免とこれを無視した。それで迷惑を被ったのは珍念で、知恵と身軽な動きで政を撃退したのだった。

旅篭に泊まることになったが、立て込んでいることを理由に番頭から案内されたのは二階の牡丹や桔梗の間ではなく一階にある木瓜の間だった。そこは薄汚れた部屋で、窓を開ければ隣の壁に書いた富士山の絵が見える絶景の景色があった。だが女中のお春が美人だったことから時次郎は気持ちを入れ替えて心づけを渡そうとしたのだが、珍念が財布を落としたことがわかり青ざめた。心づけどころか部屋にも泊まれなくなるからだ。落とした場所を思い巡らし、政を退治していい気になった茶屋だと結論づけた珍念は、二度と俺の前で大きな態度を取るなと嫌味を言われながら番頭に見つからないように旅篭を抜け出した。既に日は暮れ茶屋は閉まっていたことから、主人を叩き起こして開けてもらおうとしたのだが、その横を流れる川で娘が小石を袂に入れて入水しようとしていたため慌てて引き留めたのだった。お染は「ふらふら教」に傾倒し信徒総代となった反物問屋野崎屋卯兵衛の娘で、裏で糸を引く軍師丹下完膳がお告げだと称して彼女を風天仙人の側女に迎えようとしたのだ。そのことを卯兵衛も承知したため、お染は死を選んだのだった。一肌脱ぐことにした時次郎と珍念は仙人がいる五里巌寺に向かった。

風天仙人の前に現れた政は彼をインチキ坊主と罵り、法力が本物なら母親が患っている十年越しの中風を治してもらおうじゃねえかと怒鳴りつけた。仙人が経を唱え始めると母親立ち上がり歩き始めたことで周りにいた信者たちは驚いて賽銭を弾んだが、珍念はそれを信じていた時次郎を廊下に連れ出すと、政と老婆がサクラであることを説明した。その時屋根から瓦を踏む音が聞こえたため目をやると人影が動いていた。彼は時次郎の顔なじみの鼠小僧次郎吉で、千両箱を盗むために忍び込んだのだ。奥の部屋で仙人たちが分け前を巡って仲間割れを始めたことで時次郎は騒動に便乗して完膳と勝負し、騙された政は信者にこの宗教がインチキであることを触れ回った。そして次郎吉は珍念と協力して仙人から千両箱を奪い取ると信者に金を返したのだった。

屋台的映画館

電送人間

  • posted at:2015-05-20
  • written by:砂月(すなつき)
でんそうにんげん
東宝
配給:東宝
製作年:1960年
公開日:1960年4月10日 併映「爆笑嬢はん日記」
監督:福田純
製作:田中友幸
脚本:関沢新一
撮影:山田一夫
美術:浜上兵衛
録音:西川善男 宮崎正信
照明:西川鶴三
音楽:池野成
特殊撮影・光学撮影:荒木秀三郎
特殊撮影・撮影:有川貞昌
特殊撮影・美術:渡辺明
特殊撮影・照明:岸田九一郎
特殊撮影・作画合成:向山宏
監督助手:長野卓
編集:平一二
現像:東洋現像所
製作担当者:森本朴
記録:宮本衣子
特技監督:円谷英二
出演:鶴田浩二 白川由美 河津清三郎 土屋嘉男 中丸忠雄
シネマスコープ カラー 85分

事件は遊園地・多摩川園の中にあるスリラーショウ「悪魔の洞窟」というお化け屋敷の中で起こった。女学生たちはそこから出て来る青ざめた顔を見て中に入るのをためらっていたが、一人の男が悠然と入っていくと皆それについて行った。中盤に差し掛かった時、男はその先にいた人影に「誰だ、俺は塚本だ!」と叫んだ。その瞬間、彼は何者かによって左脇を刺されたのだった。それを見て慌てて逃げ出す客たち。やがて男はフラフラと現れ仰向けに倒れ、死んだ。腹部には旧陸軍の銃剣が刺さっていた。

岡崎捜査主任は事件時にいた客と施設を検分した。だが犯人は背を向けていたため誰も犯人の顔を見ていなかったのだ。その人物が逃げたという方向に進んでいくと、男が立っていた。彼は東都新聞学芸部の記者の桐岡勝、事件が気になり独自に調べていたのだった。岡崎に締め出された桐岡は現場に落ちていた針金状のものをこっそり持ち帰り、城南工大の三浦電気工学博士に調査を依頼した結果、これがクライオトロンであることがわかった。クライオトロンはタンタルという針金にニオブの細い針金を一列に巻きつけるというだけの単純な構造だが、トランジスターにとって代わるべき発明品だった。しかしこれを正常に働かせるためには絶対温度4.2℃を保たなければならなかった。

塚本の所持品の中に「悪魔の洞窟」内で待つと書かれたはがきと認識票があったことを知った桐岡は、塚本が住んでいるアパートに向かった。そして大家に聞き込みを行い、近所づきあいはなかったがブローカーをしているため家賃は定期的に支払われていることを知った。了解を得て室内に入ったが、張り込みをしていた岡崎にぶち壊しだと嫌味を言われた。彼とともに捜査をしていたのは桐岡の大学時代の同窓生・小林警部で、桐岡が殺人の担当じゃないお前が拘わっているということは密輸かと尋ねると話をはぐらかした。その夜、小林は桐岡を「DAIHONEI」という名の軍国キャバレーに連れ出した。何かあると感じた桐岡が尋ねると、小林はこの店の経営者が塚本と拘わりがある隆昌元であることを明かした。その頃、隆はオーナー室で海南貿易社長・大西正義と甲府で建築業を営んでいる滝を消す相談をしていた。彼らにも認識票は送られてきていたが、命を狙う可能性のある須藤は終戦時に目の前で死んだ。そうなると残されたのは滝しかいなかった。二人が密輸で儲けていることを知らない滝が隠し資産を横領していると信じ込んでいるに違いないと隆たちはそう確信していた。そのとき、認識票を持ってきた客が訪ねてきた。

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