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僕達急行 A列車で行こう

  • posted at:2019-07-18
  • written by:砂月(すなつき)
ぼくたちきゅうこうえーれっしゃでいこう
「僕達急行」製作委員会(東映=木下グループ=バンダイビジュアル=東映ビデオ=フィールズ=WOWOW=アサツー ディ・ケイ=東映アニメーション=テレビ朝日=朝日放送=イノベーションデザイン=メ~テレ=北海道テレビ放送=九州朝日放送=読売新聞社=長崎文化放送=熊本朝日放送=大分朝日放送=鹿児島放送)
配給:東映
製作年:2011年
公開日:2012年3月24日
監督:森田芳光
製作:香月純一 木下直哉 大下聡 日達辰夫 栗原正和 和崎信哉 篠田芳彦 高橋浩 平城隆司 山本晋也 岩本孝一 樋泉実 栗原一郎 前原晃昭 上野輝幸 中島俊明 吉村和文 笹栗哲朗 植田義浩
プロデューサー:白倉伸一郎 三沢和子 川田亮
音楽:大島ミチル
俳優統括:福島康裕
キャスティングプロデューサー:杉野剛
ラインプロデューサー:木次谷良助
配給統括:村松秀信
宣伝統括:相原晃
脚本:森田芳光
撮影:沖村志宏
美術:和田洋
照明:渡邉三雄
録音:高野泰雄
編集:川島章正
音響効果:伊藤進一
スクリプター:森永恭子
装置:湯澤幸夫
衣裳:宮本まさ江
監督補:杉山泰一
監督事務:小谷徹
助監督:増田伸弥
制作担当:橋本靖
主題歌:「RIDE ON」RIP SLYME
製作プロダクション:東映東京撮影所
出演:松山ケンイチ 瑛太 貫地谷しほり ピエール瀧 村川絵梨
アメリカンビスタ カラー 117分

父・哲夫が経営するコダマ鉄工所で働く息子の小玉健太は、ドミニカ共和国からきた従業員のアクティとユーカリに日本の技術と景観の素晴らしさを知ってもらうために、両方の魅力が詰まったわたらせ渓谷鐵道へ連れて行った。絶景ポイントが幾度も現れ車内に歓声があふれる中、小玉は険悪なムードのカップルが気になって仕方なかった。やがて女性は立ち去り、男性は彼女の背中を目で追った。すると二人は偶然目が合い、男性がにこりと笑ったため小玉も笑顔で返した。

事故の影響で上下線の運転がストップし、地下鉄の駅は通勤時間が重なったことで大混乱に陥っていた。そんな中、スーツ姿の小町圭は「困ったな。でも大丈夫なんだな」と呟きながら呑気に歩いていた。その声に振り向いた女性が助けを求めると、小町は「僕についてきてごらん」と言った。路地を歩き商店街を抜けるとその先には北千住の踏切が見えた。ここまできたら世界の何処だって行ける。彼は誇らしげにそう言った。小町が勤めるのぞみ地所は全国各地に自社ビルの支社を持つ大企業で、彼は企画開発部に所属している。この日の会議では今後予定される高層マンションの建設について話し合われたが、小町は郊外に林立させると生態系に影響を与えるとして反対した。議事録は社長が目を通すことになっているが彼はそれを承知で発言した。

小玉は肩を落として歩く哲夫から7千万円の融資を断られたことを聞いた。他の金融機関に断られた場合でも北品川信用金庫は技術を担保と考えた担当者が都合をつけてくれた。そこに見限られたとなるともうお手上げだ。「鉄が切れるんなら、人も斬れってか!」。哲夫は吐き捨てるように言った。小玉が会社に戻ってくると待ちかねたアクティとユーカリが僕たちを辞めさせてもいいよと言った。従業員にまで心配を掛けていることを知った彼は、贅沢しなければみんなで働けるから大丈夫だと勇気づけた。

仕事から帰った小町はマンションの前に出来た人だかりを無視しようとしたが、管理人に呼び止められた。水道設備に欠陥が見つかりマンションを建て直すことが決まったというのだ。なるべく早く出て行くように言われたため、小町はの休みを使って新居探しを行った。その帰りの京急大師線でのこと。彼が音楽を聴きながら車窓の風景を眺めていると、座席の青年から声を掛けられた。わたらせ鐵道で会いましたねと言われ、記憶を辿る小町。一緒だった可愛い女の人とはその後どうなったんですかと尋ねられ、そのときのことを思い出した彼は詮索されないようにレゲエの人たちと楽しそうでしたねと話をはぐらかした。お互い紹介しあい、鉄道好きであることがわかると小玉はうちの寮にきませんかと言った。辞めた従業員がいてたまたま一室空いているのだ。小町はこれも何かの縁と思い世話になることに決めた。

屋台的映画館
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本番

  • posted at:2019-06-19
  • written by:砂月(すなつき)
ほんばん
日活
配給:日活
製作年:1977年
公開日:1977年6月25日 併映「(秘)暴力性犯罪」「むれむれ女子大生」
監督:西村昭五郎
プロデューサー:三浦朗
原作:藤本義一
脚本:熊谷禄朗
撮影:山崎善弘
照明:高島正博
録音:高橋三郎
美術:渡辺平八郎
編集:井上治
助監督:鴨田好史
色彩計測:鈴木耕一
現像:東洋現像所
製作担当者:栗原啓祐
協力:東京浅草 ロック座 戸倉上山田温泉 信州ミカド劇場
出演:山口美也子 宮下順子 松井康子 北斗レミカ あきじゅん
アメリカンビスタ カラー 69分

浅草のストリップ劇場で人気者のチェリー水沢。ある日、彼女を取材したいとルポライターの藤井が劇場を訪ねてきた。支配人・野村の許可を得ると、チェリーは舞台を終えたあと藤井とともに近くのバーへ向かった。藤井は事務所で野村が言った「今ならちょうどいい」という言葉がとても気になっており、そのことを尋ねるとチェリーはヒモの織田のことを話し始めた。温泉場にある劇場で公演を行っていたときに、酔っ払いがステージに上がってチェリーの体を手当たり次第触り始めた。その様子を舞台の袖から見て頭に血が上った織田は、男を外に引きずり出すと暴行を加えた。そのときに誤って転びそれが男のせいだと勘違いした彼は控室から長ドスを持って戻ってきたのだ。このままでは男の命が危ないと思った座員の酒田は逃げるように促したが、今度はそれが気に入らないと酒田を追い回したのだった。銃剣類不法所持の疑いで通報を受けた警官に現行犯逮捕され、今チェリーは自由の身となっていた。彼女はそのことだけ話すと、疲れているからと言ってさっさと帰って行った。アパートでは酒田が待っていたのだ。

翌日の楽屋は空気が重かった。可愛がっていた愛犬のポピーが病気で死に、古株の踊り子・大木万子がひどく落ち込んでいたからだ。周りが気遣う中、野村はまた新しいのを買ってやるから機嫌をなおして舞台に立ってくれと声を掛けたが、今日は弔いだから誰が踊ってやるもんかと突き飛ばした。するとチェリーが間に入り、姉さんの分まで踊るから心配しなくていいよと優しく声を掛けた。ステージを終えたチェリーがアパートに戻り酒田と体を重ねていると、誰かがドアをノックした。その男の声を聞いて二人は驚いた。織田が出所したのだ。チェリーは急いで酒田を窓から逃がすと何事もなかったように装って織田を招き入れた。その頃、野村は万子を自宅に連れ込んでいたが、深酒した夕子が彼を訪ねたことで騒動になった。万子と別れると夕子に約束したにも拘らず野村は関係を断っていなかったからだ。死んでやると夕子は部屋にあった果物ナイフを自分の首に突き立てたが、野村は死ねるものなら死んでみろと強気に出た。その場は一旦治まったが、翌日の開演時間が迫っても夕子は劇場に現れなかった。心配した従業員の長谷部がアパートを訪ねると、彼女は手首を切って死んでいた。慌てた長谷部が急いで電話を掛けると、野村は動揺しながらも芝居に決まっているからもう一度確かめろと怒鳴りつけた。長谷部は渋々部屋に戻り言われた通りに確かめようとすると、夕子は彼の体に貪りついた。

出所の報告するために劇場へ向かった織田はそこで野村から頼みごとをされた。チェリーの他に新入りの桃子を面倒見て欲しいというのだ。断れない織田はその夜、桃子をホテルに連れて行ったが、そこでチェリーと酒田が一緒にいるのを偶然見つけ逆上した。酒田が最寄りの交番に逃げ込んだため、織田は殺人未遂で再び逮捕された。

屋台的映画館

坊っちゃん(1977年)

  • posted at:2019-05-14
  • written by:砂月(すなつき)
ぼっちゃん
松竹=文学座
配給:松竹
製作年:1977年
公開日:1977年8月6日 併映「男はつらいよ 寅次郎と殿様」
監督:前田陽一
製作:大谷信義
企画:奈良邦彦
原作:夏目漱石
脚本:前田陽一 南部英夫
美術:梅田千代夫
撮影:竹村博
照明:飯島博
編集:杉原よ志
録音:平松時夫
調音:小尾幸魚
音楽:佐藤勝
スチール:赤井薄旦
監督助手:満友敬司
装置:若林六郎
装飾:宗田八郎
床山:八木かつら
衣裳:松竹衣裳
進行:大川修
現像:東洋現像所
製作主任:沼尾鈞
協力:松山市 奥道後国際観光K・K 寶扇堂 久阿彌
出演:中村雅俊 松坂慶子 米倉斉加年 地井武男 大滝秀治
アメリカンビスタ カラー 92分

親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている坊っちゃんは中学のときに母親を亡くしたが、それがお前のせいだと兄から言われて悔しい思いをした。顔を見る度貴様は駄目だと口癖のように言う父親と暮らす中、彼を庇い可愛がってくれたのは清という老婆の下女だった。母親が亡くなって六年目の正月に父親も卒中で亡くなり、その年の四月に坊っちゃんは中学を、兄も六月に商業学校を卒業した。兄は九州にある会社の支店に勤めることが決まっていたが、坊っちゃんはまだ東京で学ばなければならないため家を売ることになった。兄の厄介になるつもりのない彼は神田小川町の下宿ですることになり、清もその四畳半についてきた。九州へ立つ二日前、随意に使えと兄から六百円を渡された坊っちゃんは、そのときばかりは素直に貰った。三年間一生懸命にやれば何か出来ると考えた彼は、偶然通り掛かった物理学校の生徒募集の広告を見て入学手続きをした。好きでもない学問に拘ったのは親譲りの無鉄砲のせいだった。三年間の学生生活ののちに無事卒業することが出来た坊っちゃんは、校長から四国の中学で数学の教師にならないかと誘いを受けた。彼は即座に了承したが、それも親譲りの無鉄砲によるものだった。

明治三十九年、坊っちゃんは松山へ旅立った。彼が心配な清は朝早くからきて世話を焼き、頭に血が上る前に考えて行動するよう口酸っぱく言ったのだった。瀬戸内海を渡る汽船に乗ると船長が松山自慢を始めたため、江戸のものに敵うものはないと言うと船長は呆れて何処かへ行った。することもないので海を眺めていると突然吹いた風が坊っちゃんのハンチング帽を飛ばした。海に落ちたそれを残念そうに見送っていると何処からか男の笑い声が聞こえてきた。声の主はカンカン帽を被ったいけ好かない男で、しゃらくさい江戸っ子気取りが帽子を飛ばされたから笑ったんだと言った。坊っちゃんは男に飛び掛かろうとしたが、清の顔が頭に浮かんだため思い止まった。汽船から小舟に乗り換えると男は先頭で小唄を気持ちよく唸っていた。それを黙って我慢していた坊ちゃんだったが、不意な風で飛んだカンカン帽が顔に当たりついに堪忍袋の緒が切れたのだった。二人は揉み合いになり、バランスを崩して両社とも海に落ち込んだ。更に陸に着いてからも人力車で先を争ったが、男が赴任する中学の教師であることを坊っちゃんは後に知ることになる。

下宿が決まるまでの間、坊っちゃんは山城屋という旅館で寝泊まりすることになった。あいにく満室ということで物置のような部屋に通されたが、茶代を出さないと粗末に扱われると聞いていたため女中に渡した。五円も祝儀を貰ったと女中から聞き驚いた主人が東京の華族の若様かもしれないと急いで部屋を訪れると、当分どうやって暮らそうかと坊っちゃんは頭を痛めていた。

屋台的映画館

吼えろ鉄拳

  • posted at:2019-02-05
  • written by:砂月(すなつき)
ほえろてっけん
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1981年
公開日:1981年8月8日 併映「野菊の墓」
監督:鈴木則文
企画:日下部五朗 本田達男
脚本:鈴木則文 井上眞介 志村正浩
撮影:北坂清
照明:加藤平作
録音:荒川輝彦
美術:園田一佳
編集:市田勇
助監督:藤原敏之
記録:森村幸子
装置:太田正二
装飾:小谷恒義
背景:西村三郎
衣裳:東京衣裳
美粧結髪:東和美粧
演技事務:藤原勝
スチール:中山健司
音響効果:永田稔
擬斗:斉藤一之
宣伝担当:丸国艦 茂木俊之 小田和治
企画補:佐藤公彦
進行主任:野口忠志
協力:東映俳優センター
音楽:羽田健太郎
主題歌:「青春の嵐(ハリケーン)」真田広之
フラメンコ・ダンス指導:岡崎義隆
奇術指導:広瀬良雄
腹話術指導:小泉みつる
ボクシング指導:権藤正雄
協力:サニ千葉エンタープライズ ジャパンアクションクラブ
アクション監修:千葉真一
出演:真田広之 志穂美悦子 山下美樹 横山エミー 黒崎輝
アメリカンビスタ カラー 95分

アメリカ・テキサス州の牧場で働く響譲次は父危篤の知らせを聞き急いで自宅に戻った。彼の父・鉄心は空手の達人だったが、今は闘病生活を送っていた。鉄心は今際の際に譲次が自分の子ではないことを告げ、お前の人生を狂わせたのは自分だと悔いた。そして真実を書き記した手紙を渡すと息を引き取ったが、譲次の受けた衝撃は計り知れないものだった。18年前、青雲の志を抱いて沖縄から本土へ渡った鉄心だったが、現実は厳しく忽ちその日の食べ物にも事欠く悲惨な暮らしに陥った。その頃、週刊誌で裕福な生活を送る日野原氏のことを知った彼は、幼い3人の子供のうち双子の一方を仲間と共謀して誘拐した。それが譲次だった。諍いがもとで仲間を殺した鉄心は彼を連れてアメリカに渡ったのだった。亡くなるひと月前、ヒューストンの病院へ行った鉄心は偶然日本の新聞を目にし、日野原家の消息を知って愕然とした。3年前に日野原夫妻は自家用機の事故でこの世を去り、双子の兄・透も海外で謎の失踪をしたという。それ以来、鉄心は一日も早く譲次が日本へ帰ることを望んでいたのだった。

ポートアイランド博覧会で賑わう神戸に到着した譲次はメモに従って中央区北野町にある王文元の屋敷にたどり着いた。どうしようかと迷っていると相棒であるリスザルのピーターが塀を乗り越えて中に入って行ったため、勝手に入って捜すことにしたのだがプールで遊ぶ女の子たちに痴漢と間違われてしまった。その様子に驚いた王は慌てて熊沢青厳に電話を掛けた。日野原透が帰ってきた、と。だが熊沢は香港の楊玄徳のシンジケートから始末をつけたという連絡を受けていると真っ向からそれを否定した。

誤解が解け、さらに王邸へくる途中で財布を掏られたことに王の娘・麗花たちから同情された譲次は、連れてこられた喫茶カサブランカで腹を満たした。マスターのボギーから一文無しでどうやって生活して行くんだと心配される中、店に入ってきたのは王邸までバイクで連れてきたチンピラの三吉だった。彼は譲次から掏った財布の金でツケを払いにきたのだ。相手が観念したことで譲次のもとに無事に財布は戻ってきたが、今度は執事風の男が店に現れ彼は大きな屋敷に連れて行かれた。そこは譲次の叔父に当たる資産家・日野原一輝の屋敷で、譲次の姉である盲目の千尋も住んでいた。譲次は自己紹介しなければ千尋が間違うほど声が透とそっくりであり、一輝は現代の奇跡だと心から喜んだ。千尋は譲次を自室に招き入れるとオルゴールの音色を聞かせた。それは19歳の誕生日に父親からプレゼントされた特注品で、今も彼女の心の支えとなっていた。千尋は9歳を過ぎて網膜剥離になり、透は必ず姉さんの目を治すと医学の道を選んだ。そしてロンドンの大学へ留学したのだが行方がわからなくなったのだ。話を聞き終えた譲次は、透が帰ってくるまで僕が姉さんの杖になりますと言った。

屋台的映画館

暴走パニック 大激突

  • posted at:2018-04-07
  • written by:砂月(すなつき)
ぼうそうぱにっくだいげきとつ
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年2月28日 併映「横浜暗黒街 マシンガンの竜」 
監督:深作欣二
企画:本田達男 杉本直幸
脚本:神波史男 田中陽造 深作欣二
撮影:中島徹
照明:若木得二
録音:中山茂二
美術:富田治郎
音楽:津島利章
編集:市田勇
助監督:篠塚正秀
記録:田中美佐江
装置:吉岡茂一
装飾:西村三郎
美粧:田中利男
結髪:白鳥里子
スチール:中山健司
演技事務:森村英次
衣裳:高安彦司
擬斗:上野隆三
進行主任:長岡功
カー・アクション:東洋レーシングチーム
出演:渡瀬恒彦 杉本美樹 渡辺やよい 風戸佑介 小林稔侍
シネマスコープ カラー 85分

白昼堂々、名古屋の福徳相互銀行に拳銃を持った覆面の二人組が押し入り、現金600万円をわしづかみにして逃げられた。その後、大津の滋賀相互銀行でも同様の手口で1200万円が奪われた。そして京都では800万円が持ち去られたが、犯人は犯行に使った大阪ナンバーの盗難車から用意していた別の車に乗り換えて逃走を図ったのだった。次の狙いは大阪か、神戸かと世間が騒ぐ中、三宮の繁華街を一台の赤いワーゲンが辺りを物色するように走っていた。乗っている山中高志と関光男は銀行強盗の二人組だった。彼らは第一勧業銀行に目をつけると車を脇に寄せ、記念写真のフリをして建物の外観を撮影した。二人の夢は儲けた金でブラジルへ渡り悠々自適な生活を送ることだったが、光男には気掛かりなことがあった。それは高志の女をどうするかだった。

高志が本業のバーテンダーとしてシェーカーを振っていると捜査状況が載った新聞を片手に光男が現れると、亭主と名乗る男が女の客をテーブルで犯そうとし始めたのだ。見兼ねた高志は男をつまみ出したのだが、それが彼女との最初の出会いだった。それからしばらくして女は万引きで捕まり、身元引受人として高志を指名した。面倒なことには巻き込まれたくなかったが、本人を目の前にすると断ることが出来ずに弁償を了承したのだった。女は緑川ミチという元ホステスで、キャバレーに勤めていた頃から思い込みの激しい男に付きまとわれていたのだ。そんな彼女を不憫に思った高志は面倒を見ることにしたのだが、いずれ何処かへ飛んで行くに違いないと気にも留めていなかった。

決行の日、銀色のスカイラインを銀行の向かいに停めた高志たちはボストンバッグ片手に直行した。そして賑わうカウンターの前を通り抜けてトイレに向かうと内側から鍵を掛け、室内に誰もいないことを確認すると着替え始めた。そして合図とともに飛び出し拳銃で威嚇しながらバッグに札束を詰め込んで行った。だが行員が非常ベルを鳴らしたことに驚き慌てて外に飛び出したのだった。人目を避けるために二人は路地を抜け車を停めてある大通りに出たのだが、前から走ってきたバイクに接触した光男は撥ね飛ばされた。運が悪いことに彼はそこへ走ってきたトラックの下敷きになり轢死したのだ。高志はバッグとともに光男を助け出そうとしたが、行員たちが追いかけてきたことでどちらも諦めて車に乗り込んだのだった。兵庫県警は緊急配備を敷き大阪府警、京都府警に対して協力を要請したが、高志は淀川付近でタクシーに乗り換えて自宅に戻ったのだ。翌日、テレビのニュースで光男のアパートに家宅捜索が入り、複数の証拠品とともに共犯者の指紋を発見したことが報じられた。逮捕までに時間がないことがわかると高志は急いで荷造りを始めた。するとそこに光男の兄・勝男が現れたのだった。

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