「イヌゴエ」製作委員会(フルメディア=バイオタイド)
配給:バイオタイド
製作年:2005年
公開日:2006年2月18日
監督:横井健司
製作:永森裕二 野口周三 松井建始
プロデューサー:太田裕輝
原作:永森裕二
脚本:永森裕二
音楽:遠藤浩二
撮影:下元哲
照明:高田宝重
録音:塩原政勝
美術:西村徹
助監督:村田啓一郎
キャスティング:小川真司
制作デスク:中田真也子
制作担当:高橋浩一郎
効果:丹雄二
整音:田中俊
編集:元木隆史
出演:山本浩司 村上淳 馬渕英里何 宮下ともみ 大森博史
アメリカンビスタ カラー 100分
人並み外れた嗅覚を持つ芹澤直喜はその特殊能力を活かし、悪臭公害対策係で臭気判定士として働いている。その仕事内容は、依頼された住居等で原因となる臭いの発生箇所と原因を特定しアドバイスを行うというものだが、それは26歳の青年にとっていいことばかりではなかった。まずちょっとした生活臭でも気になり、特にごみ置き場の悪臭は耐えられない程であることから日常生活では常にマスクを着用しなければならなかった。更に長時間つけ続けることで鼻詰まりを起こすため、鼻をかむためのティッシュペーパーが大量に必要になるのだ。ある夜、近々旅行に出かけるという父親から犬を預かって欲しいという電話が掛かったが、アパートがペット禁止だと言って断った。遊びにきていた恋人の道場はるかは短期間なら大丈夫でしょと言ったが、直喜が屁理屈を次々と並べることで気分を害して帰って行った。
翌日、マーブル製薬が発売する新しい芳香剤のテストを直喜が行うことになった。それは世界のリゾート名所をイメージしたシリーズで、過当競争のこの業界に新風を巻き起こすべく研究部の上司が現地を訪れて開発したものだった。その中にはエーゲ海やカリブ海などに混じって何故か日本海というのもあった。担当者が「あり寄り」と評価したそのうちの一つを嗅ぐと直喜は突然意識を失った。
直喜が目覚めた場所は自宅のベッドの上だった。左手は何故かリードを握り締めており、その先にはフレンチブルドッグがいた。慌てた彼は父親に電話を掛けたが繋がらず、仕方なく諦めて換気扇のスイッチを入れた。一刻も早く犬の臭いから離れたかったのだ。すると何処からか「寒いな」という関西訛りのおっさんの声が聞こえた。部屋の中を見回したがそれらしい人物は見当たらず、きっと換気扇の音と聞き間違えたのだろうと思いスイッチを切った。すると今度は「ああ、助かったわ」という声が聞こえた。ついに幻聴を感じるようになったのかとパニックに陥った直喜が歩き回っているとリードが足に引っ掛かり、外そうともがくと今度は「苦しい。息がでけへん」という声が聞こえた。その声の出処が下の方であることに気づき見下ろすと、フレンチブルドッグと目があった。「うそだろ・・・?」。何故しゃべるのか。何故おっさん声なのか。そもそも何故聞こえているのか。それも関西弁で。いくつもの疑問が頭の中を渦巻いたが、とりあえずドッグフードを皿に入れて出すとフレンチブルドッグは静かに食べ始めた。
屋台的映画館
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