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トラック野郎 熱風5000キロ

  • posted at:2017-05-19
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうねっぷうごせんきろ
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1979年
公開日:1979年8月4日 併映「ドランクモンキー 酔拳」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:掛札昌裕 中島信昭 鈴木則文
撮影:中島芳男
録音:林鉱一
照明:山口利雄
美術:桑名忠之
助監督:新井清 森光正
編集:鈴木宏始
音響効果:原尚
記録:山内康代
擬斗:尾型伸之介
演技事務:山田光男
装置:清水次郎
装飾:住吉久良蔵
美容:花沢久子
衣裳:福崎精吾
装飾:酒井喬二
宣伝担当:坂本年文 山本八州男
スチール:加藤光男
協力:俳優センター
現像:東映化学
進行主任:佐藤和之
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「ラブ・スクランブラー」エル・シャトル
挿入歌:「信濃路ひとり旅」高倉三郎
協力:長野市観光協会 日本総研株式会社
企画協力:(株)カントリー
協力:株式会社ダンロップ 哥麿会 関西浪花会 
出演:菅原文太 愛川欽也 せんだみつお 小野みゆき 前川清
アメリカンビスタ カラー 106分

タキシードに身を包む一番星こと星桃次郎は写真館で結婚の記念写真を撮っていた。彼の横にはウエディングドレス姿のテル美。風俗嬢の彼女は、結婚はまだかと心配しすぎる両親を安心させるためにゴールインしたと嘘をついてしまい、その証明のために常連客の桃次郎に頭を下げて新郎役を引き受けてもらったのだ。大役を終えた桃次郎が第二の故郷である特殊浴場でくつろいでいると、彼の相棒・やもめのジョナサンこと松下金造が訪ねてきて手紙を渡した。そこには二人に弟子入りした三番星玉三郎こと桶川玉三郎が、運送業に携わる自分の将来に不安を感じ青年実業家に転身するために商業関係の仕事へ転職すると書かれてあった。彼のために散々迷惑を被った桃次郎は怒りを露わにしたが、厄介者がいなくなって清々した金造はそれぞれの生き方があるんだからとなだめた。そして次の配送先が信州であることを告げると桃次郎は気持ちを切り替えた。

長野で荷を積んだ桃次郎と金造は一路東京へ向かっていたが、後方からやってきたパトカーが停止を命じた。今月の20日午後11時30分、国道20号線の松本ー諏訪間を走っていた一番星号がジープと接触しそのまま逃走したと言うのだ。被害者で運転手でもある西沢夏の証言が決め手となり桃次郎は留置場へ押し込まれたのだが、金造は彼が無実であることを知っていた。何故ならその日、桃次郎は腹痛を起こしていたことでトラックには乗っておらず、それでも荷を運ばなければならないことから、急遽代走屋を雇ったのだ。中信代行社へ行きそのときの運転手二人を捕まえた金造は警察に突き出したのだった。

食事をとるためにドライブイン藤村食堂に立ち寄った桃次郎と金造は、そこで働く玉三郎と出会った。実業家になるんじゃなかったのかと桃次郎が問いただすと玉三郎は野望を口にした。それはこの食堂の店主である藤村鯉太郎の娘・恵子と結婚して婿養子となり行く行くは経営者として名を馳せることだった。それを聞いた桃次郎はいい加減にしろと怒鳴りつけた。長野中央青果市場に到着すると二人は早速荷物を運び始めたが、そこに見覚えのある女がいた。それは桃次郎を留置場送りにした夏だった。彼はとっちめてやろうと一目散に向かって行ったが、お詫びを言いたかったと頭を下げたため仕方なく拳を降ろしたのだった。夏がビンタのお返しをどうぞと目をつぶり頬を差し出すので、そこまで言うならと彼女の唇を奪った。すると予想外の展開に驚いた夏は膝蹴りを桃次郎の股間に見舞った。

屋台的映画館
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東京湾炎上

  • posted at:2017-01-28
  • written by:砂月(すなつき)
とうきょうわんえんじょう
東宝映画=東宝映像
配給:東宝
製作年:1975年
公開日:1975年7月12日 併映「がんばれ!若大将」
監督:石田勝心
製作:田中友幸 田中收
原作:田中光二
脚本:大野靖子 舛田利雄
撮影:西垣六郎
美術:村木与四郎
録音:渡会伸
照明:高島利雄
効果:東宝効果集団
整音:東宝録音センター
音楽:鏑木創
主題歌:「あなたは旅人」橋本葉子
監督助手:今村一平
編集:小川信夫
スチール:中尾孝
現像:東京現像所
製作担当者:村上久之 徳増俊郎
特殊技術・撮影:富岡素敬
特殊撮影・美術:井上泰幸
特殊撮影・照明:森本正邦
特殊撮影・スチール:田中一清
特殊撮影・監督助手:川北紘一
特殊撮影・制作担当者:篠田啓助
特殊撮影・合成:松田博
特殊撮影・光学撮影:宮西武史
特殊撮影・光学作画:塚田猛昭
特殊撮影・操演:松本光司
特殊撮影・特殊効果:渡辺忠昭
特技監督:中野昭慶
出演:丹波哲郎 藤岡弘 宍戸錠 水谷豊 金沢碧
シネマスコープ カラー 100分

原油を満載して帰国の途に就く大型タンカーのアラビアン・ライト号。2年間現地で原油の採掘事業に携わった技師の館次郎は、久しぶりに生まれ故郷の地を踏めることに心を躍らせていた。タンカーが伊豆半島の南方にさしかかった頃、次郎はお世話になった関係者に挨拶をして回っていたが、江原一等航海士から大切な物に気付いていないことを指摘され物思いに耽った。彼には未知子という恋人がいたが、仕事を優先して異国の地に渡る決意をしたために破局したのだ。今回の帰国は、まだ二人の間に愛が残っているかを確かめるためでもあった。次郎がぼんやりと海を眺めていると、2マイル先から遭難を知らせる榴弾が上がった。江原は双眼鏡で6人乗りのゴムボートを確認したものの遭難信号がないことから不審に思い宗方船長に報告した。だが付近に船舶がないことがわかると宗方は救助に向かう様指示した。救助中に縄梯子を登る男のバッグから銃身が見えたことで宗方は乗船阻止を命じたが、気づくのが遅かった。タンカーはシンバをリーダーとするテロリスト集団に乗っ取られ、草下通信士は第三管区海上保安本部に救助を要請した。

シンバは乗員を分断するために、船長と航海士、操舵士を操舵室に、その他の乗員を機関室と食堂に押し込んだ。それから乗員が外を確認出来ない様にしてカーゴタンクの給油口に爆雷をセットした。シンバは宗方に目的地が東京湾であることを示すと神風特攻機の様に爆雷を抱いて突っ込むと宣言した。テロリストたちは既に国内の港と停泊している船に爆雷をセットしており、無事に東京湾へ進入することが出来ればその名前を公表すると言った。宗方が苦渋の決断を迫られていた頃、食堂では食事の準備が進められていたが、出航に備えて機関室にいた機関士の片岡は相手から銃を奪い取れば何とかなるのではないかと考えていた。そこで食事が運ばれてきたタイミングで相手に飛び掛かろうとしたが、失敗。蜂の巣にされた。そのことを次郎から伝え聞いた宗方は激怒した。

日本政府は緊急災害対策本部で記者会見を開いたが、新聞記者から対策の甘さや何らかの取引について指摘されると、葛城対策本部長は全面的に否定し人命優先を強調した。そこにタンカーが京葉シーバース付近で停止したという情報が入った。そこがテロリストたちの目的地点なのだ。シンバは彼らがムンクと呼ぶ日本人に政府に対する要求文を代読させた。それは鹿児島県にある原油備蓄基地の喜山CTSを航空自衛隊の戦力で爆破せよというものだった。そしてそれを確認する手段としてテレビによる同時中継の実施を要求した。準備時間は翌日の正午。それを過ぎれば直ちにアラビアン・ライト号を爆破すると警告した。彼らは先進国による諸資源の占有等の国際情勢を打破するために結成された資源公正分配推進組織「POFFDOR」、通称ポフドールのコマンドチームで、見せしめのために日本を選んだのだ。そして彼らの決意が固いことを示すために、既に破壊工作を施したタンカーを午前0時に爆破すると予告した。だが船名と停泊している港の名前が明かされることはなかった。

屋台的映画館

トラック野郎 一番星北へ帰る

  • posted at:2017-01-16
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろういちばんぼしきたへかえる
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1978年
公開日:1978年12月23日 併映「水戸黄門」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:掛札昌裕 中島信昭 鈴木則文
撮影:中島徹
録音:広上益弘
照明:小林芳雄
美術:桑名忠之
編集:鈴木宏始
助監督:澤井信一郎 森光正
記録:高津省子
進行主任:石川通生
装置:中村文栄
装飾:金田孝夫
音響効果:原尚
擬斗:日尾孝司
スチール:藤井善男
宣伝担当:坂本年文 本間昭信
演技事務:山田光男
美粧:井上守
美容:石川靖江
衣裳:福崎精吾
協力:東映俳優センター
現像:東映化学
音楽:木下忠司
挿入歌:「仮面舞踏会」黒沢年男
・・・:「ごめんよ」新沼謙治
・・・:「トラック野郎の三度笠」須賀良
協力:いわき市常磐ハワイアンセンター 花巻温泉 山田うどん
企画協力:(株)カントリー
協力:金子運輸株式会社 哥麿会 関西浪花会
出演:菅原文太 愛川欽也 せんだみつお 大谷直子 新沼謙治
アメリカンビスタ カラー 110分

青森で復路の荷を積んだ三台のトラックは晩秋の東北道を疾走していた。先頭は星桃次郎が運転する一番星号、続くは松下金造のやもめのジョナサン号、そしてしんがりは桶川玉三郎の三番星号だった。松下家では金造が1週間ぶりに食卓を囲むことから、妻の君江が奮発して夕食にすき焼きを用意して待っていた。桃次郎と玉三郎も一緒に食事をすることになっていたが、いつまで経っても桃次郎がトラックから降りてこないため、君江が娘の美智子と華子を見に行かせた。すると桃次郎は運転席で縮こまって震えていたのだ。医者に診せたところ食あたりの診断を受けたが、もう少し遅ければ命にかかわるほど危ない状態だった。君江は意識を取り戻したばかりの桃次郎に日本一のお嫁さんを探してあげるからねと約束した。

すっかり体調が良くなった桃次郎は金造とともに再び東北へ荷を運んでいた。ドライブイン・花巻オートスナックで仮眠を取っていた金造は出発の時間になったので桃次郎を起こすとコーヒーを買いに行った。眠気覚ましにトラックから出てきた桃次郎は見回りにやってきた婦人警官の佐倉潔子を車内に連れ込もうとして婦女暴行未遂と公務執行妨害で逮捕された。国道4号線には「4号線のマリー」という婦人警官のコスチュームを着た有名な売春婦がいたことから彼女もその仲間だと思ったのだ。この逮捕を誰よりも喜んだのは、2代目花巻の鬼台貫こと岩手県警の赤沢重吉巡査だった。一番星号には探知機が積まれておりネズミ捕りの場所を事前に察知されるため、その情報は他のトラック野郎たちに筒抜けになるからだ。だが警察官としてのイロハを叩き込まれた彼の先輩の金造が現れ土下座したことで事情は変わった。台貫とは過積載取締りで使用される大型の秤で、金造はかつて花巻の鬼台貫と呼ばれていたのだ。重吉は桃次郎に対し軽微な24時間の拘留を言い渡した。

ドライブイン・みちのくでは桃次郎の出所祝いが盛大に行われていたが、その中で浮かない顔をしている男がいた。彼は真室川こと石川孫六というトラック野郎で、人身事故で支払うことになっている慰謝料のうち残りの60万円をサラ金から借りようと考えていたのだ。だがそれには保証人が必要であることから、金造に頼み込むとよしと言って即座にハンコを押した。すると食堂が騒がしくなった。そこに現れたのはアメリカ帰りで24トンの大型トレーラーを乗り回すビッグ99こと九十九譲次だった。彼は運ぶ荷を横取りする「荷荒らし」を行うことでトラック野郎たちから反感を買っていたのだ。以前煽られたことがある桃次郎は話し合いで解決しようとしたが、道理の通じる相手ではなかった。

屋台的映画館

トラック野郎 突撃一番星

  • posted at:2016-07-24
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうとつげきいちばんぼし
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1978年
公開日:1978年8月12日 併映「多羅尾伴内 鬼面村の惨劇」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:掛札昌裕 中島信昭
撮影:飯村雅彦
録音:小松忠之
照明:川崎保之丞
美術:桑名忠之
編集:鈴木宏始
助監督:森光正 馬場昭格
記録:宮本衣子
擬斗:日尾孝司
宣伝担当:本間昭信 小田和治
スチール:藤井善男
製作進行:小島吉弘
装置:中村文栄
装飾:酒井喬二
音響効果:岩藤竜三
美粧:井上守
美容:石川靖江
衣裳:内山三七子
演技事務:和田徹
振付:星野隆
協力:東映俳優センター
現像:東映化学
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
協力:下呂温泉 企画協力:(株)カントリー
協力:三重県鳥羽市戸田家別館 東駒ベーシック清酒(株) 藤田観光(株)下田海中水族館 哥麿会
出演:菅原文太 せんだみつお 原田美枝子  樹木希林 亜湖
アメリカンビスタ カラー 103分

UFOや宇宙をテーマにした映画が次々と公開されSFブームが到来した日本列島。その影響はトラック野郎・一番星こと星桃次郎にも及んでいた。UFOに関する書籍を買い漁ると、天体望遠鏡で姿を追い無線で交信を試みた。伊勢湾フェリーでの移動中も時間を惜しみ、昼間であろうが関係なく観測に精を出していた。その様子を呆れてみていたのは、彼の相棒・やもめのジョナサンこと松下金造だった。桃さんのUFO狂いは地球の女に振られ過ぎたからじゃないのかと金造がバカにすると、頭に来た桃次郎は怒鳴って追いやった。そんな彼に声を掛けてきたのは、グラマーな美女の小百合だった。小百合は桃次郎の手を取ると、これが第一種接近よと言った。次に彼の手を引き寄せて胸に触らせると、これが第二種接近よと言った。さらに腰を触らせて第三種接近よと言った。調子に乗った桃次郎が別の場所へ手を伸ばそうとしたそのとき、寸前で引き留めたのは彼女の兄と称する桶川玉三郎だった。玉三郎は丸菱商事営業部と書かれた名刺を渡すと、メイドインイングランドの高級紳士服を扱っており今なら市価の6割引きでサービスしていると言って4万8千円の純白のスーツをケースから取り出した。小百合からUFO研究の先生にぴったりだと言われ気を良くした桃次郎が気前よく現金で支払うと、船が着いたら真珠島で散歩しましょうと耳元で囁かれたため舞い上がった。鳥羽港に着くと買ったばかりのスーツに身を固めた桃次郎は波止場で小百合が来るのを今か今かと待っていた。するとその近くに同じように純白のスーツ姿の金造がいるのだ。ライバルの出現に驚いた二人はにじり寄ると、玉三郎と小百合が乗った車が彼らの前を横切ったのだ。撒いていた水に濡れたことが原因でスーツが縮み、小百合だけでなく玉三郎にまで騙されていたことを知ったのだった。

夜の国道をひた走る一番星号。桃次郎が宇宙人をテーマにした大人向けのラジオドラマを聞きながら運転をしていると、車内に装備したUFO探知機が反応し光の前に立つ人影を前方に見たのだ。宇宙人だと確信した彼はトラックを停めると近づいて確認した。それは白いウェットスーツ姿の美女だった。一目惚れした桃次郎は宇宙から来た使者の方ですねと声を掛けると自己紹介し、あなたのような美しい方と第三種接近出来るなんて光栄だと言った。それを聞いてクスリと笑う美女。すると後ろから金造が追いかけて来て、正月と盆に出る病気なのですみませんと引きずって行ったそそして二人が言い争っているうちに彼女は姿を消した。

尾鷲魚市場で荷を積み帰途を急いでいると、桃次郎は前方に玉三郎の車を発見した。だが巧妙な運転にまんまと巻かれてしまった。仕方なくドライブイン・海女の郷で食事することにした二人だったが、そこで玉三郎と鉢合わせした。彼は桃次郎にとっちめられたことで、かつて自分もトラック野郎だったことを白状した。もう一度トラックに乗りたいという玉三郎の熱意と口のうまさに負けた金造は助手として雇うことにしたが、大飯食らいでまるで役に立たないことがわかると桃次郎に引き取ってくれと頭を下げた。

屋台的映画館

ドーベルマン刑事(1977年)

  • posted at:2015-12-22
  • written by:砂月(すなつき)
どーべるまんでか
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年7月2日 併映「ビューティ・ペア 真赤な青春」
監督:深作欣二
企画:松平乗道 奈村協
原作:武論尊 平松伸二
脚本:高田宏治
撮影:中島徹
照明:金子凱美
録音:野津裕男
音楽:広瀬健次郎
編集:市田勇
美術:富田治郎
助監督:俵坂明康
記録:田中美佐江
スチール:中山健司
装置:稲田源兵衛
装飾:山田久司
背景:西村和比古
衣裳:高安彦司
美粧:長友初生
結髪:山崎幹子
演技事務:森村英次
擬斗:土井淳之祐
進行主任:長岡功
主題歌:「黒い涙」西浜鉄雄
・・・:「マイ・メモリイ」弘田三枝子
・・・:「ドーベルマン刑事のテーマ」弘田三枝子
出演:千葉真一 ジャネット八田 松田英子 志賀勝 橘麻紀
シネマスコープ カラー 90分

新宿のアパートで火事があり、焼け跡から身元が判明出来ないほど焼け焦げた女性の遺体が発見された。この部屋の借主は玉城まゆみという人物で、つい最近引っ越してきたばかりだった。パンマという売春婦として働いていた彼女には暴走族がつきまとい、度々問題を起こしていたことから近所の住民に疎ましく思われていた。敷布団に尿失禁の跡があり、遺体の下敷きになって焼け残ったベルトが出てきたことから、まゆみがこのベルトで絞殺された後に放火されたのではないかと佐野猛夫主任は推理した。西新宿署管内では4月以降に3件の連続放火殺人事件が起こっていることから犯人がこの事件にも拘っている可能性があるのだ。そして部屋に飾られた写真の裏に5年前の日付が入っていたこと、遺留品のネックレスに「YUNA」と刻まれていたことから、5年前に沖縄から捜査願が出された玉城ユナが偽名を使っていたことが疑われた。数日後、容疑者としてキャバレー「リド」のボーイで元暴走族の三河長栄を連行したが、彼は事件当日にまゆみと寝たことを認めたものの、その後は東名高速道路を仲間たちと一晩中突っ走っていたと言い張った。その頃、新宿署に到着したのは沖縄石垣署からやってきた加納錠治刑事だった。ユナの母親の代わりに身元確認に来た加納だったが、解剖書や遺留品を見せられても遺体がユナだという確信が持てなかった。何故ならノロという巫女をしている彼女が生きていると言っているからだった。佐野は加納を納得させるために、まゆみの顔写真と頭蓋骨の写真を重ね合わせる「スーパーインポーズ法」を使って鑑識に説明させたがうまく行かなかった。捜査会議が始まると、佐野は被害者の死亡推定時刻である午前3時から4時の間にアリバイがあるという理由で長栄を釈放したと説明した。つまり捜査は振り出しに戻ったのだ。連続放火殺人事件の被害者がいずれもパンマや風俗嬢であり暴行の形跡がないことから、犯人は極めて異常な性癖の持ち主であることが考えられた。そこで佐野は混乱を防ぐために捜査を玉城ユナの事件に絞り、覚醒剤や麻薬関係、変質者の線で聞き込みを行うよう指示した。静かに聞いていた加納は、石垣島にある川平の海岸近くで育ったユナは歌が好きで、今もその仕事をしているに違いないと彼女の母親が言ったことを伝えたが、一笑に付された。そして捜査協力も断られた。

超高層ビルの20階で駆け出しの歌手・春野美樹が軟禁される事件が発生した。その犯人は彼女の熱狂的なファンで、始終付きまとっていたことが判明したのだ。マネージャーの英森魁治は犯人と交渉を行うが、警官を引き上げさせなければそれは出来ないと突っぱねた。手詰まり状態に陥ったところに現れた加納が昨年起きた首里のホテルで人質を助け出したことを話すと、隊長の目の色が変わった。だが窓から飛び込んで解決したことがわかると、たとえ40階の屋上からロープを使ったとしても不可能だと言った。隣で聞いていた英森が美樹の保護者として責任を負うからイチかバチか任せましょうと言ったため、隊長はこの男に賭けてみることにした。

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