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徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑

  • posted at:2019-04-27
  • written by:砂月(すなつき)
とくがわおんなけいばつえまきうしざきのけい
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1976年
公開日:1976年9月4日 併映「沖縄やくざ戦争」
監督:牧口雄二
企画:本田達男
脚本:志村正浩 大津一郎
撮影:勝木勝夫
照明:井上孝二
録音:伊藤宏一
美術:山下謙爾
音楽:渡辺岳夫
編集:玉木濬夫
助監督:野田和男
記録:黒川京子
装置:稲田源兵衛
装飾:西田忠男
背景:西村和比古
美粧:長友初生
結髪:山崎幹子
スチール:木村武司
衣裳:岩逧保
演技事務:上田義一
擬斗:菅原俊夫
進行主任:伊藤彰将
出演:川谷拓三 橘麻紀 風戸佑介 内村レナ 八木孝子
アメリカンビスタ カラー 80分

寛永五年。長崎奉行所与力佐々木伊織は狩りの帰りに川で汗を流していたところ、左腕をマムシに噛まれた。激しい痛みに耐えられずにしゃがみ込むと、偶然通りかかった野良着姿の娘登世が駆け寄ると口で毒を吸い出した。彼女の迅速な手当てにより伊織は酷く苦しまずに済んだのだった。小作人の家族と慎ましい生活を送る登世に好意を持った彼は度々訪れるようになったが、ある日家の様子がいつも違うことに気づいた。登世の姿を捜していると荒れた家から御用聞きの弥吉が現れ、この家の者は邪宗徒として奉行所に連行したと言った。動揺した伊織が証拠の品を見せよと言うと、弥吉は懐から十字架の首飾りを取り出して見せたのだった。

徳川幕府は封建支配を維持するために犯罪者に対して常に厳刑を以ってあたった。特に禁教令に背く邪宗徒への弾圧は凄惨を極め、その拷問刑罰は残虐なものだった。長崎奉行高坂主膳は拷問を娯楽と考えており、お仕置場で行われる拷問のやり方に飽きれば筆頭与力の黒田掃門に新たな手段を考えてもらうのだ。そして時には欲求に応えるために自ら手を下した。ある夜、伊織を部屋に呼び出した主膳は若いお前にもっと働き甲斐のある役職につけてやると言った。恐縮する伊織に主膳は宿直の役を命ずると言い渡し、その代わりに如何様なことがあってもその場を離れてはならぬと約束させた。間もなく奥の部屋に灯りがともるとそこには手足を縛られた裸の登世が布団の上にいた。自ら命を絶てない邪宗徒の教えを逆手にとって主膳は登世を辱め処女を奪ったのだった。その様子を見せつけられた伊織だったがどうしようもなかった。

翌日、主膳は登世を側女に迎えた祝いを開いた。その余興として彼女の口から仲間の居場所を家臣の前で言わせることにしたのだが、その方法は強引だった。弥吉が連れてきたのは登世の妹みつで、その責めを伊織に命じたのだ。みつを傷つけたくない伊織は知っていることを早く言うよう促したが、我慢ならない主膳は鞭打ちを命じた。だがそれが出来ないことがわかると自ら鞭を握り、続いて弥吉に焼き鏝で目を潰させた。その酷い仕打ちに登世は堪らず秘密を打ち明ける約束をしたのだった。その結果、集会で祈りを捧げていた信者は皆捕まり、翌日処刑されることになった。処刑場で磔にされた信者の男が泣き崩れる登世に天国で待っていると告げると、顔を真っ赤にした主膳は黒田に槍で突くよう命じた。次に登世の両親を磔にして死を見せつけようとしたのだが、登世は主膳から小刀を奪うと斬り掛かりそれが無理だとわかると自害しようとした。すると父親はみつを捜して幸せしてやってくれと言い残して死んだ。登世は死を思い止まりその機会を待つことにした。

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トリック 劇場版

  • posted at:2019-04-20
  • written by:砂月(すなつき)
とりっくげきじょうばん
テレビ朝日=東宝
配給:東宝
製作年:2002年
公開日:2002年11月9日
監督:堤幸彦
製作統括:高井英幸 早河洋
製作:木村純一 風野健治
プロデューサー:桑田潔 島袋憲一郎 蒔田光治 山内章弘
ラインプロデューサー:渡邊範雄
脚本:蒔田光治
撮影:斑目重友
美術:稲垣尚夫
VE:中村寿昌 矢部光宏
照明:池田ゆき子
録音:中村徳幸
編集:伊藤伸行
音楽:辻陽
助監督:木村ひさし
製作担当:朝比奈真一
スクリプター:奥平紋子
音楽プロデューサー:志田博英
B班撮影:池田英孝 橋本尚宏
タイトルバック:薗田賢次
主題歌:「月光」鬼束ちひろ
制作協力:オフィスクレッシェンド 長坂信人
共同製作:朝日新聞社=朝日放送=日刊スポーツ新聞社=日本出版販売
出演:仲間由紀恵 阿部寛 生瀬勝久 山下真司 芳本美代子
アメリカンビスタ カラー 118分

「自称」超実力派マジシャン・山田奈緒子は、かつて天才マジシャンと呼ばれた父・剛三の影響を受けて同じ職業についた。だが父のような大ステージに立つという夢はまだ遠く、今は花やしきのアルバイトでマジックを披露をしている。だが観客が思うように集まらず度々クビになった。ある日、いつものように落ち込んで帰宅していると見知らぬ男女に声を掛けられた。彼らは糸節村からきた青年団々長の神崎明夫と副団長の南川悦子で、奈緒子にある依頼をしにきたのだ。糸節村には古くから呪われた言い伝えがあった。それは300年に一度、村に災いが起こるというものだった。村人たちの行いが正しければ封印された巨大な神が何処からか現れて災いから村を救うのだが、その神を演じて欲しいというのだ。その300年目が目前に迫っており、目に見える形で奇跡を起こし村人を納得させるのに手っ取り早いのがマジックだと考えたのだ。そして奈緒子のステージに観客がいないことで顔を知られている可能性が低いことが決め手となった。ペテン師の真似事をするのは嫌だったが、報酬として差し出された封筒の中身を見て引き受けることに決めた。奈緒子はアパートの家賃を滞納するほど困窮しており、更にそのアパートがマンションに建て替えられることになり立ち退きを余儀なくされているのだ。

その夜、帰宅すると室内に奇妙な石像が置かれており、壁には「糸節村に行ってはならぬ 亀にお前は殺される」と筆で書かれた幕が貼られていた。そのタイミングで電話の着信音が鳴り恐る恐る受話器を取ると、相手が日本科学技術大学理工学部教授の上田次郎だったことで安心した。彼とは宗教団体・母之泉との対決以来の腐れ縁で、度々同行しては事件のトリックを暴いたのだった。料亭で同窓生たちと飲み会を開いていた上田は余興として彼女を呼ぶことにし、奈緒子も政財界を動かすようなエリートが揃うその集まりで自分を売り込むもうと考えて出席した。ところが財務省の官僚・本郷三四郎や国土交通省の官僚・駒場一路やが見たかったのは大掛かりなイリュージョンで、警察庁官僚・安田安夫からどういう関係だと問われた上田は知り合いの知り合いのそのまた知り合いから無理矢理紹介されたとしらばくれたのだ。バカにされて頭にきた奈緒子は早々に立ち去るとこらえ切れずに涙を流した。一方、大学の研究室を辞めて埋蔵金を見つけたという同窓生の臼井猛は料亭のトイレで殺害され、傍らには「トイレツマル」というダイイングメッセージが残されていた。臼井が遺体になっていることを知った4人のうち、安田はそれが埋蔵金の在り処を示すメッセージではないかと考えた。埋蔵金は何処かのトイレに詰まっており、全国の水洗でないトイレを調べれば在り処を突き止めることが出来る。そう結論づけると駒場は国土交通省の全国トイレ水洗化計画の名目で調査を行うと言った。すると安田は警察庁として余っている捜査員を総動員すると言った。金はどうするんだと上田が疑問を口にすると、景気対策として予算を組むから俺たちに財務省に任せてくれと本郷が胸を叩いた。

神崎たちとともに糸節村に向かった奈緒子は、車中で注意を受けた。それは村人から絶対に顔を見られてはならないことだった。糸節村青年団本部となっている神崎の自宅に連れてこられた奈緒子は、テーブルの上にロベール・ウーダンの本があることに気づいた。19世紀の半ば、フランス人の奇術師ウーダンはフランス領アルジェリアに渡り呪術師と戦った。その話に着想を得て神崎は今回の計画を立てたのだ。村長の長曾我部為吉にバレやしないかと神崎が心配していると、奈緒子は私もプロですからと意地になって言い返した。その夜、まぐわい相撲大会が行われた後に神として登場した彼女はマジックを披露し災いは取り除いたと宣言したが、村長はあんたで4人目だと言った。神を名乗った人物は既に3人いるのだ。隔離された奈緒子は翌日、神001番と対決することになり、もし神でないことがわかればそれは死を意味した。窓を叩く音がしたため開けてみると、そこには上田がいた。彼は著書「どんと来い!超常現象」のパート3の取材を行うためにこの村へやってきたのだが、神を演じる奈緒子の姿を見たため声を掛けたのだ。もうすぐ巨万の富が手に入ると自慢して上田が臼井の殺害現場の写真を見せると、奈緒子は「トイレツマル」の謎をあっさりと解いたのだった。

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徳川女系図

  • posted at:2019-02-19
  • written by:砂月(すなつき)
とくがわおんなけいず
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1968年
公開日:1968年5月1日 併映「前科者」
監督:石井輝男
企画:岡田茂 天尾完次
原作:岩崎栄
脚本:石井輝男 内田弘三
撮影:吉田貞次
照明:長谷川武夫
録音:野津裕男
美術:矢田精治
音楽:八木正生
編集:神田忠男
助監督:荒井美三雄
記録:石田照
装置:吉岡茂一
装飾:柴田澄臣
美粧:佐藤宇之助
結髪:西野艶子
衣裳:豊中健
舞踊振付:藤間勘眞次
進行主任:俵坂孝宏
出演:吉田輝雄 三浦布美子 御影京子 三島ゆり子 有沢正子
シネマスコープ カラー 89分

五代将軍綱吉の頃の江戸城。場内には御鈴廊下という通路があり、将軍の生活の場である中奥のその先に御錠口の御杉戸を境として男子禁制の大奥があった。将軍の出入りの際に鈴が鳴らされるが、奥女中たちの関心は今宵誰が指名されるかだけであり、寵愛に漏れた女たちの鬱積は日に日に大きくなって行った。例年正月十六日の夜、奥御膳所で行われる女たちだけの無礼講、新参舞で彼女たちはその鬱積を爆発させた。その様子を遠眼鏡で覗き見た綱吉は、内股に黒子がある女中を気に入り指名した。それが万里小路の御末おみつだとわかると中年寄の雪岡は悔しがった。ところがおみつは誤って御鈴を鳴らしてしまい、雪岡たちから責められた。すると騒ぎを聞きつけてやってきた万里小路は、京では大きな失態でも不問に付すのかと問われたことで火がつき、納得行く成敗として女の命である黒髪を切ることで罪を償うと啖呵を切った。だがその時に御鈴が鳴り、事情を知った綱吉は不憫であるからこの者を咎めるでないと釘を刺したのだった。その優しさにおみつは身分の差を承知しながらも密かに心を燃やしていたが、ある日ついに声が掛かったのだ。万里小路は身支度を整えたおみつに心してお仕えしなさいと説いたが、面白くなかったのは綱吉の愛妾常盤井だった。彼女は水無瀬中納言の娘であり、公方が教養のない半端者に取られたことが悔しくてならなかった。そんな常盤井の気持ちを察した奥女中たちは、気を静めるために庭へ出たおみつを拉致すると小部屋へ連れて行った。そしてお勤めが出来ぬよう秘部に蝋燭を押しつけたのだった。そうとは知らない綱吉は万里小路のもとからきたおちかを蔦の間に招いた。翌日、城内を散歩していた綱吉は寵愛しているのが内股に偽黒子をつけたおちかであり、おみつには暇が出されたことを偶然耳にした噂話で知った。自分が騙されていることはわかったが、万里小路の指図にしろおちかを強く咎めれば一存として自害することは目に見えていた。この出来事から綱吉は自分が政治の飾り物なのではないかと考えるようになった。

ある日、お伝の方は綱吉を喜ばせようと女相撲大会を催した。当初綱吉は興味本位で見ていたが、呆れた御台所信子が席を外したため、彼女の気持ちを察して自分も抜けようとした。するとお伝の方が呼び物の女中が出てくると言ったため、もうしばらくつき合うことにした。土俵に見立てた布団に上がったのはお伝の方部屋付きのおきぬで、あっという間の五人抜きで優勝した。だがその様子に黙っていられなかったのは雪岡の部屋付きのおさよで、その豪快な投げっぷりに魅了された綱吉はその夜、蔦の間に招いた。そして彼女を近くへ呼び寄せると相撲を取り始めたのだった。そのうちに自分を本気で投げようとするおさよこそ将軍という権威を越えて心のふれあいをしてくれる女かもしれないと思った。

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道場破り

  • posted at:2017-07-19
  • written by:砂月(すなつき)
どうじょうやぶり
松竹(京都撮影所)
配給:松竹
製作年:1964年
公開日:1964年1月15日 併映「馬鹿まるだし
監督:内川清一郎
製作:岸本吟一 清水俊男
原作:山本周五郎
脚本:小国秀雄
撮影:太田喜晴
美術:大角純一
音楽:佐藤勝
録音:高橋太郎
照明:佐野武治
編集:太田和夫
助監督:猪俣堯
進行:内藤誠
装置:田門豊
装飾:岩月隆
衣裳:植田光三
技髪:村田春松
結髪:木村よし子
時代考証:林悌三
剣技指導:多賀谷坦
殺陣:湯棧謙太郎
撮影助手:荒井満次郎
録音助手:藤田茂
照明助手:一樋好一
編集助手:大阪純一郎
現像:東洋現像所
出演:長門勇 岩下志麻 倍賞千恵子 宮口精一 上田吉二郎
シネマスコープ カラー 91分

大雨により川止めを食った小室千草とその連れは、流れの早いこの状況で川越をしたければ一両払えと人足たちから催促を受けていた。危急の用のために長逗留などしていられないことから、千草は素直に払うことに決めたのだが、そこに待ったを掛けたのは通りすがりの浪人だった。彼は人足が言った一文惜しみの百失いという言葉に、この二、三年自分が持ったことがない大金の一両はお代と酒代としては多すぎると難癖をつけた。それを聞いた人足たちが殴り掛かろうとすると、浪人は慌ててお止めくださいと懇願した。そして神道無双流極意皆伝の腕前を見せて人足たちが持つ木刀をあっという間に断ち切ると、彼らは恐ろしさのあまり蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。得意満面な浪人に対し千草はお礼どころか猛烈な抗議をした。何故なら人足たちがいなくなったことで川を渡ることが出来なくなったからだ。また出過ぎたことをしたせいで迷惑を掛けたことがわかると、浪人は下帯姿になり千草をおぶって川を渡った。関所の近くまで一行を連れて行くと、礼を言う千草に浪人は名乗るほどではないと言って立ち去ろうとした。だが彼女が天領小室帯刀の娘と名乗ったため、石川八衛門と嘘の名を言った。

千草は関所で立ち入った取り調べを受けたことでふくれっ面になっていた。そんな彼女に役人は詫びるとともに無理からぬ事情があったと説明を始めた。当藩と姻戚関係にある大藩との間に公にし兼ねる様な不祥事が起こった。その大藩の側女と藩中の軽輩者が駆け落ちをしたため、早速両名の取り調べ及び取り押さえる様、内命があったのだという。その頃、浪人は戸田弾正定勝の道場を訪ね、千草から貰った一両を元手に賭試合に挑んだ。戸田がこの試合を承知したのは、金のためではなく浪人を打ち捨てて懲りさせるための武士の情けからだった。ところが勝負は秘法の太刀落としで一瞬のうちにつき、その結果に我慢ならない戸田は賭金をもう一両増やした。今度は手加減せんぞと向かって行ったものの相手にならず、浪人は全くの怪我勝ちでお恥ずかしいと謙遜しながら小判を持ち出そうとした。卑しき所業を致すとはお恥ずかしいと言って道場を後にする彼に門弟たちは打ち掛かったが、やはり相手にすらならなかった。半月ばかり逗留している木賃宿松葉屋に戻った浪人は溜まりに溜まった旅篭賃を戦利金で支払うと二階へ上がった。しばらくして主人の多七が勘定書と釣銭を持ってやってくると、妙な男がきて旦那のことを根掘り葉掘り聞いていたと言った。多七は浪人が敵討の到来を待っているという話を信じて男を追い返したが、その男が捜していた三沢伊兵衛というのが浪人の本名だった。脱藩した伊兵衛は殿の側室になることを嫌がった家老の娘の妙と逐電したが、関所を越えるには十両の裏金が必要であることから妙を松葉宿の宿場に身を隠させ、伊兵衛は支度金を準備していたのだ。

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トラック野郎 故郷特急便

  • posted at:2017-06-20
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうふるさととっきゅうびん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1979年
公開日:1979年12月22日 併映「夢一族 ザ・らいばる」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:中島丈博 松島利昭
撮影:出先哲也
録音:林鉱一
照明:萩原猶義
美術:桑名忠之
助監督:新井清
編集:戸田健夫
音響効果:原尚
記録:宮本衣子
擬斗:尾型伸之介
演技事務:山田光男
装置:清水次郎
美粧:井上守
美容:宮島孝子
衣裳:福崎精吾
装飾:酒井喬二
宣伝担当:坂本年文 山本八州男
スチール:加藤光男
協力:俳優センター
資料提供:NHK
現像:東映化学
進行主任:佐藤和之
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「傷だらけの恋」石川さゆり
協力:日本高速フェリー(株)
企画協力:(株)カントリー
協力:関西汽船 土佐闘犬センター 椎名急送 哥麿会 全国平和連合はなぶさ会 
出演:菅原文太 愛川欽也 石川さゆり 森下愛子 原田大二郎
アメリカンビスタ カラー 110分

国道4号線を南下していた一番星こと星桃次郎とやもめのジョナサンこと松下金造は、高知ナンバーの大型トラックに煽られた。そのトラックがドライブイン水車に駐車しているのを見つけた二人は「よさこい喧嘩犬」と書かれた名行灯に難癖をつけてケンカを仕掛けたのだが、ドライバーの垣内竜次は大きなお世話だと言ってそれを叩き割った。そして一番星号にも手を出したことから桃次郎は彼を殴ったが、竜次の愛犬である土佐犬が出てきたことで震え上がった。

銚子港で荷を降ろした桃次郎たちは、養殖ハマチの餌を高知へ運ぶ仕事が急遽決まったことで東京港フェリー埠頭からさんふらわあに乗船した。元気のない様子の金造を心配した桃次郎が事情を聞くと、彼はうつむいて話し始めた。久しぶりに我が家へ帰る金造を心待ちにしていた妻・君江だったが、帰れなくなったことがわかると激怒し特殊浴場で働くと電話口で怒鳴ったのだ。思い悩む金造がふと空を見上げると一羽のカモメが飛んでいた。それが短い間二羽に見えたことから単なる疲れだと気にすることもなかった。すると何処からか歌声が聞こえてきたことから桃次郎はその方向へ歩いて行った。歌の主はキャバレー回りの歌手の小野川結花で、桃次郎は彼女を見た途端一目惚れした。

高知に到着すると二人は横浪スカイラインを通って市場に向かっていたが、日が暮れると金造は目の不調に気付いた。センターラインがダブって見えるのだ。蛇行するジョナサン号は路肩を越えて停まり、心配した桃次郎が乗り込むと金造はショックを受けていた。桃次郎は金造を病院へ連れて行くと君江に電話を掛けた。そして積み荷を全て運び終えた早朝、病院へ電話を掛けると君江は到着していたが金造は姿を消していた。自殺の恐れがあることから桃次郎は足摺岬へトラックを飛ばすと、連絡を受けた仲間たちが先に着き天狗の鼻と呼ばれる崖に立つ金造の説得を始めていた。彼は桃次郎の姿を見たことで怖気づいたが、波が打ち付ける岩に目が眩んだことで体の力が抜けた。バランスを崩したその時、金造の体にしがみついたのはそこを通りかかった西尾風美子だった。風美子の優しさと高知弁に心打たれた桃次郎は、ドライブインくろしおで彼女が働いていることがわかると、金造を洲崎の病院へ連れて行った帰りに花束を買ってアタックした。風美子を自宅まで送り届けた桃次郎だったが、うちのせがれの嫁だからあの娘には手を出すなと隣に住む垣内清馬から忠告されたことでショックを受けた。くろしおに戻りヤケ酒を煽っていると、風美子の同僚の多美子は彼女が独身だと言った。行方不明の息子が戻ってきたら嫁にすると清馬が勝手に言っているだけなのだ。その放蕩息子の話を聞いて頭にきた桃次郎は清馬と再び会い、もうあきらめろと怒鳴った。

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