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道場破り

  • posted at:2017-07-19
  • written by:砂月(すなつき)
どうじょうやぶり
松竹(京都撮影所)
配給:松竹
製作年:1964年
公開日:1964年1月15日 併映「馬鹿まるだし
監督:内川清一郎
製作:岸本吟一 清水俊男
原作:山本周五郎
脚本:小国秀雄
撮影:太田喜晴
美術:大角純一
音楽:佐藤勝
録音:高橋太郎
照明:佐野武治
編集:太田和夫
助監督:猪俣堯
進行:内藤誠
装置:田門豊
装飾:岩月隆
衣裳:植田光三
技髪:村田春松
結髪:木村よし子
時代考証:林悌三
剣技指導:多賀谷坦
殺陣:湯棧謙太郎
撮影助手:荒井満次郎
録音助手:藤田茂
照明助手:一樋好一
編集助手:大阪純一郎
現像:東洋現像所
出演:長門勇 岩下志麻 倍賞千恵子 宮口精一 上田吉二郎
シネマスコープ カラー 91分

大雨により川止めを食った小室千草とその連れは、流れの早いこの状況で川越をしたければ一両払えと人足たちから催促を受けていた。危急の用のために長逗留などしていられないことから、千草は素直に払うことに決めたのだが、そこに待ったを掛けたのは通りすがりの浪人だった。彼は人足が言った一文惜しみの百失いという言葉に、この二、三年自分が持ったことがない大金の一両はお代と酒代としては多すぎると難癖をつけた。それを聞いた人足たちが殴り掛かろうとすると、浪人は慌ててお止めくださいと懇願した。そして神道無双流極意皆伝の腕前を見せて人足たちが持つ木刀をあっという間に断ち切ると、彼らは恐ろしさのあまり蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。得意満面な浪人に対し千草はお礼どころか猛烈な抗議をした。何故なら人足たちがいなくなったことで川を渡ることが出来なくなったからだ。また出過ぎたことをしたせいで迷惑を掛けたことがわかると、浪人は下帯姿になり千草をおぶって川を渡った。関所の近くまで一行を連れて行くと、礼を言う千草に浪人は名乗るほどではないと言って立ち去ろうとした。だが彼女が天領小室帯刀の娘と名乗ったため、石川八衛門と嘘の名を言った。

千草は関所で立ち入った取り調べを受けたことでふくれっ面になっていた。そんな彼女に役人は詫びるとともに無理からぬ事情があったと説明を始めた。当藩と姻戚関係にある大藩との間に公にし兼ねる様な不祥事が起こった。その大藩の側女と藩中の軽輩者が駆け落ちをしたため、早速両名の取り調べ及び取り押さえる様、内命があったのだという。その頃、浪人は戸田弾正定勝の道場を訪ね、千草から貰った一両を元手に賭試合に挑んだ。戸田がこの試合を承知したのは、金のためではなく浪人を打ち捨てて懲りさせるための武士の情けからだった。ところが勝負は秘法の太刀落としで一瞬のうちにつき、その結果に我慢ならない戸田は賭金をもう一両増やした。今度は手加減せんぞと向かって行ったものの相手にならず、浪人は全くの怪我勝ちでお恥ずかしいと謙遜しながら小判を持ち出そうとした。卑しき所業を致すとはお恥ずかしいと言って道場を後にする彼に門弟たちは打ち掛かったが、やはり相手にすらならなかった。半月ばかり逗留している木賃宿松葉屋に戻った浪人は溜まりに溜まった旅篭賃を戦利金で支払うと二階へ上がった。しばらくして主人の多七が勘定書と釣銭を持ってやってくると、妙な男がきて旦那のことを根掘り葉掘り聞いていたと言った。多七は浪人が敵討の到来を待っているという話を信じて男を追い返したが、その男が捜していた三沢伊兵衛というのが浪人の本名だった。脱藩した伊兵衛は殿の側室になることを嫌がった家老の娘の妙と逐電したが、関所を越えるには十両の裏金が必要であることから妙を松葉宿の宿場に身を隠させ、伊兵衛は支度金を準備していたのだ。

屋台的映画館
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トラック野郎 故郷特急便

  • posted at:2017-06-20
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうふるさととっきゅうびん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1979年
公開日:1979年12月22日 併映「夢一族 ザ・らいばる」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:中島丈博 松島利昭
撮影:出先哲也
録音:林鉱一
照明:萩原猶義
美術:桑名忠之
助監督:新井清
編集:戸田健夫
音響効果:原尚
記録:宮本衣子
擬斗:尾型伸之介
演技事務:山田光男
装置:清水次郎
美粧:井上守
美容:宮島孝子
衣裳:福崎精吾
装飾:酒井喬二
宣伝担当:坂本年文 山本八州男
スチール:加藤光男
協力:俳優センター
資料提供:NHK
現像:東映化学
進行主任:佐藤和之
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「傷だらけの恋」石川さゆり
協力:日本高速フェリー(株)
企画協力:(株)カントリー
協力:関西汽船 土佐闘犬センター 椎名急送 哥麿会 全国平和連合はなぶさ会 
出演:菅原文太 愛川欽也 石川さゆり 森下愛子 原田大二郎
アメリカンビスタ カラー 110分

国道4号線を南下していた一番星こと星桃次郎とやもめのジョナサンこと松下金造は、高知ナンバーの大型トラックに煽られた。そのトラックがドライブイン水車に駐車しているのを見つけた二人は「よさこい喧嘩犬」と書かれた名行灯に難癖をつけてケンカを仕掛けたのだが、ドライバーの垣内竜次は大きなお世話だと言ってそれを叩き割った。そして一番星号にも手を出したことから桃次郎は彼を殴ったが、竜次の愛犬である土佐犬が出てきたことで震え上がった。

銚子港で荷を降ろした桃次郎たちは、養殖ハマチの餌を高知へ運ぶ仕事が急遽決まったことで東京港フェリー埠頭からさんふらわあに乗船した。元気のない様子の金造を心配した桃次郎が事情を聞くと、彼はうつむいて話し始めた。久しぶりに我が家へ帰る金造を心待ちにしていた妻・君江だったが、帰れなくなったことがわかると激怒し特殊浴場で働くと電話口で怒鳴ったのだ。思い悩む金造がふと空を見上げると一羽のカモメが飛んでいた。それが短い間二羽に見えたことから単なる疲れだと気にすることもなかった。すると何処からか歌声が聞こえてきたことから桃次郎はその方向へ歩いて行った。歌の主はキャバレー回りの歌手の小野川結花で、桃次郎は彼女を見た途端一目惚れした。

高知に到着すると二人は横浪スカイラインを通って市場に向かっていたが、日が暮れると金造は目の不調に気付いた。センターラインがダブって見えるのだ。蛇行するジョナサン号は路肩を越えて停まり、心配した桃次郎が乗り込むと金造はショックを受けていた。桃次郎は金造を病院へ連れて行くと君江に電話を掛けた。そして積み荷を全て運び終えた早朝、病院へ電話を掛けると君江は到着していたが金造は姿を消していた。自殺の恐れがあることから桃次郎は足摺岬へトラックを飛ばすと、連絡を受けた仲間たちが先に着き天狗の鼻と呼ばれる崖に立つ金造の説得を始めていた。彼は桃次郎の姿を見たことで怖気づいたが、波が打ち付ける岩に目が眩んだことで体の力が抜けた。バランスを崩したその時、金造の体にしがみついたのはそこを通りかかった西尾風美子だった。風美子の優しさと高知弁に心打たれた桃次郎は、ドライブインくろしおで彼女が働いていることがわかると、金造を洲崎の病院へ連れて行った帰りに花束を買ってアタックした。風美子を自宅まで送り届けた桃次郎だったが、うちのせがれの嫁だからあの娘には手を出すなと隣に住む垣内清馬から忠告されたことでショックを受けた。くろしおに戻りヤケ酒を煽っていると、風美子の同僚の多美子は彼女が独身だと言った。行方不明の息子が戻ってきたら嫁にすると清馬が勝手に言っているだけなのだ。その放蕩息子の話を聞いて頭にきた桃次郎は清馬と再び会い、もうあきらめろと怒鳴った。

屋台的映画館

トラック野郎 熱風5000キロ

  • posted at:2017-05-19
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろうねっぷうごせんきろ
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1979年
公開日:1979年8月4日 併映「ドランクモンキー 酔拳」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:掛札昌裕 中島信昭 鈴木則文
撮影:中島芳男
録音:林鉱一
照明:山口利雄
美術:桑名忠之
助監督:新井清 森光正
編集:鈴木宏始
音響効果:原尚
記録:山内康代
擬斗:尾型伸之介
演技事務:山田光男
装置:清水次郎
装飾:住吉久良蔵
美容:花沢久子
衣裳:福崎精吾
装飾:酒井喬二
宣伝担当:坂本年文 山本八州男
スチール:加藤光男
協力:俳優センター
現像:東映化学
進行主任:佐藤和之
音楽:木下忠司
主題歌:「一番星ブルース」菅原文太 愛川欽也
挿入歌:「ラブ・スクランブラー」エル・シャトル
挿入歌:「信濃路ひとり旅」高倉三郎
協力:長野市観光協会 日本総研株式会社
企画協力:(株)カントリー
協力:株式会社ダンロップ 哥麿会 関西浪花会 
出演:菅原文太 愛川欽也 せんだみつお 小野みゆき 前川清
アメリカンビスタ カラー 106分

タキシードに身を包む一番星こと星桃次郎は写真館で結婚の記念写真を撮っていた。彼の横にはウエディングドレス姿のテル美。風俗嬢の彼女は、結婚はまだかと心配しすぎる両親を安心させるためにゴールインしたと嘘をついてしまい、その証明のために常連客の桃次郎に頭を下げて新郎役を引き受けてもらったのだ。大役を終えた桃次郎が第二の故郷である特殊浴場でくつろいでいると、彼の相棒・やもめのジョナサンこと松下金造が訪ねてきて手紙を渡した。そこには二人に弟子入りした三番星玉三郎こと桶川玉三郎が、運送業に携わる自分の将来に不安を感じ青年実業家に転身するために商業関係の仕事へ転職すると書かれてあった。彼のために散々迷惑を被った桃次郎は怒りを露わにしたが、厄介者がいなくなって清々した金造はそれぞれの生き方があるんだからとなだめた。そして次の配送先が信州であることを告げると桃次郎は気持ちを切り替えた。

長野で荷を積んだ桃次郎と金造は一路東京へ向かっていたが、後方からやってきたパトカーが停止を命じた。今月の20日午後11時30分、国道20号線の松本ー諏訪間を走っていた一番星号がジープと接触しそのまま逃走したと言うのだ。被害者で運転手でもある西沢夏の証言が決め手となり桃次郎は留置場へ押し込まれたのだが、金造は彼が無実であることを知っていた。何故ならその日、桃次郎は腹痛を起こしていたことでトラックには乗っておらず、それでも荷を運ばなければならないことから、急遽代走屋を雇ったのだ。中信代行社へ行きそのときの運転手二人を捕まえた金造は警察に突き出したのだった。

食事をとるためにドライブイン藤村食堂に立ち寄った桃次郎と金造は、そこで働く玉三郎と出会った。実業家になるんじゃなかったのかと桃次郎が問いただすと玉三郎は野望を口にした。それはこの食堂の店主である藤村鯉太郎の娘・恵子と結婚して婿養子となり行く行くは経営者として名を馳せることだった。それを聞いた桃次郎はいい加減にしろと怒鳴りつけた。長野中央青果市場に到着すると二人は早速荷物を運び始めたが、そこに見覚えのある女がいた。それは桃次郎を留置場送りにした夏だった。彼はとっちめてやろうと一目散に向かって行ったが、お詫びを言いたかったと頭を下げたため仕方なく拳を降ろしたのだった。夏がビンタのお返しをどうぞと目をつぶり頬を差し出すので、そこまで言うならと彼女の唇を奪った。すると予想外の展開に驚いた夏は膝蹴りを桃次郎の股間に見舞った。

屋台的映画館

東京湾炎上

  • posted at:2017-01-28
  • written by:砂月(すなつき)
とうきょうわんえんじょう
東宝映画=東宝映像
配給:東宝
製作年:1975年
公開日:1975年7月12日 併映「がんばれ!若大将」
監督:石田勝心
製作:田中友幸 田中收
原作:田中光二
脚本:大野靖子 舛田利雄
撮影:西垣六郎
美術:村木与四郎
録音:渡会伸
照明:高島利雄
効果:東宝効果集団
整音:東宝録音センター
音楽:鏑木創
主題歌:「あなたは旅人」橋本葉子
監督助手:今村一平
編集:小川信夫
スチール:中尾孝
現像:東京現像所
製作担当者:村上久之 徳増俊郎
特殊技術・撮影:富岡素敬
特殊撮影・美術:井上泰幸
特殊撮影・照明:森本正邦
特殊撮影・スチール:田中一清
特殊撮影・監督助手:川北紘一
特殊撮影・制作担当者:篠田啓助
特殊撮影・合成:松田博
特殊撮影・光学撮影:宮西武史
特殊撮影・光学作画:塚田猛昭
特殊撮影・操演:松本光司
特殊撮影・特殊効果:渡辺忠昭
特技監督:中野昭慶
出演:丹波哲郎 藤岡弘 宍戸錠 水谷豊 金沢碧
シネマスコープ カラー 100分

原油を満載して帰国の途に就く大型タンカーのアラビアン・ライト号。2年間現地で原油の採掘事業に携わった技師の館次郎は、久しぶりに生まれ故郷の地を踏めることに心を躍らせていた。タンカーが伊豆半島の南方にさしかかった頃、次郎はお世話になった関係者に挨拶をして回っていたが、江原一等航海士から大切な物に気付いていないことを指摘され物思いに耽った。彼には未知子という恋人がいたが、仕事を優先して異国の地に渡る決意をしたために破局したのだ。今回の帰国は、まだ二人の間に愛が残っているかを確かめるためでもあった。次郎がぼんやりと海を眺めていると、2マイル先から遭難を知らせる榴弾が上がった。江原は双眼鏡で6人乗りのゴムボートを確認したものの遭難信号がないことから不審に思い宗方船長に報告した。だが付近に船舶がないことがわかると宗方は救助に向かう様指示した。救助中に縄梯子を登る男のバッグから銃身が見えたことで宗方は乗船阻止を命じたが、気づくのが遅かった。タンカーはシンバをリーダーとするテロリスト集団に乗っ取られ、草下通信士は第三管区海上保安本部に救助を要請した。

シンバは乗員を分断するために、船長と航海士、操舵士を操舵室に、その他の乗員を機関室と食堂に押し込んだ。それから乗員が外を確認出来ない様にしてカーゴタンクの給油口に爆雷をセットした。シンバは宗方に目的地が東京湾であることを示すと神風特攻機の様に爆雷を抱いて突っ込むと宣言した。テロリストたちは既に国内の港と停泊している船に爆雷をセットしており、無事に東京湾へ進入することが出来ればその名前を公表すると言った。宗方が苦渋の決断を迫られていた頃、食堂では食事の準備が進められていたが、出航に備えて機関室にいた機関士の片岡は相手から銃を奪い取れば何とかなるのではないかと考えていた。そこで食事が運ばれてきたタイミングで相手に飛び掛かろうとしたが、失敗。蜂の巣にされた。そのことを次郎から伝え聞いた宗方は激怒した。

日本政府は緊急災害対策本部で記者会見を開いたが、新聞記者から対策の甘さや何らかの取引について指摘されると、葛城対策本部長は全面的に否定し人命優先を強調した。そこにタンカーが京葉シーバース付近で停止したという情報が入った。そこがテロリストたちの目的地点なのだ。シンバは彼らがムンクと呼ぶ日本人に政府に対する要求文を代読させた。それは鹿児島県にある原油備蓄基地の喜山CTSを航空自衛隊の戦力で爆破せよというものだった。そしてそれを確認する手段としてテレビによる同時中継の実施を要求した。準備時間は翌日の正午。それを過ぎれば直ちにアラビアン・ライト号を爆破すると警告した。彼らは先進国による諸資源の占有等の国際情勢を打破するために結成された資源公正分配推進組織「POFFDOR」、通称ポフドールのコマンドチームで、見せしめのために日本を選んだのだ。そして彼らの決意が固いことを示すために、既に破壊工作を施したタンカーを午前0時に爆破すると予告した。だが船名と停泊している港の名前が明かされることはなかった。

屋台的映画館

トラック野郎 一番星北へ帰る

  • posted at:2017-01-16
  • written by:砂月(すなつき)
とらっくやろういちばんぼしきたへかえる
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1978年
公開日:1978年12月23日 併映「水戸黄門」
監督:鈴木則文
企画:天尾完次 高村賢治
脚本:掛札昌裕 中島信昭 鈴木則文
撮影:中島徹
録音:広上益弘
照明:小林芳雄
美術:桑名忠之
編集:鈴木宏始
助監督:澤井信一郎 森光正
記録:高津省子
進行主任:石川通生
装置:中村文栄
装飾:金田孝夫
音響効果:原尚
擬斗:日尾孝司
スチール:藤井善男
宣伝担当:坂本年文 本間昭信
演技事務:山田光男
美粧:井上守
美容:石川靖江
衣裳:福崎精吾
協力:東映俳優センター
現像:東映化学
音楽:木下忠司
挿入歌:「仮面舞踏会」黒沢年男
・・・:「ごめんよ」新沼謙治
・・・:「トラック野郎の三度笠」須賀良
協力:いわき市常磐ハワイアンセンター 花巻温泉 山田うどん
企画協力:(株)カントリー
協力:金子運輸株式会社 哥麿会 関西浪花会
出演:菅原文太 愛川欽也 せんだみつお 大谷直子 新沼謙治
アメリカンビスタ カラー 110分

青森で復路の荷を積んだ三台のトラックは晩秋の東北道を疾走していた。先頭は星桃次郎が運転する一番星号、続くは松下金造のやもめのジョナサン号、そしてしんがりは桶川玉三郎の三番星号だった。松下家では金造が1週間ぶりに食卓を囲むことから、妻の君江が奮発して夕食にすき焼きを用意して待っていた。桃次郎と玉三郎も一緒に食事をすることになっていたが、いつまで経っても桃次郎がトラックから降りてこないため、君江が娘の美智子と華子を見に行かせた。すると桃次郎は運転席で縮こまって震えていたのだ。医者に診せたところ食あたりの診断を受けたが、もう少し遅ければ命にかかわるほど危ない状態だった。君江は意識を取り戻したばかりの桃次郎に日本一のお嫁さんを探してあげるからねと約束した。

すっかり体調が良くなった桃次郎は金造とともに再び東北へ荷を運んでいた。ドライブイン・花巻オートスナックで仮眠を取っていた金造は出発の時間になったので桃次郎を起こすとコーヒーを買いに行った。眠気覚ましにトラックから出てきた桃次郎は見回りにやってきた婦人警官の佐倉潔子を車内に連れ込もうとして婦女暴行未遂と公務執行妨害で逮捕された。国道4号線には「4号線のマリー」という婦人警官のコスチュームを着た有名な売春婦がいたことから彼女もその仲間だと思ったのだ。この逮捕を誰よりも喜んだのは、2代目花巻の鬼台貫こと岩手県警の赤沢重吉巡査だった。一番星号には探知機が積まれておりネズミ捕りの場所を事前に察知されるため、その情報は他のトラック野郎たちに筒抜けになるからだ。だが警察官としてのイロハを叩き込まれた彼の先輩の金造が現れ土下座したことで事情は変わった。台貫とは過積載取締りで使用される大型の秤で、金造はかつて花巻の鬼台貫と呼ばれていたのだ。重吉は桃次郎に対し軽微な24時間の拘留を言い渡した。

ドライブイン・みちのくでは桃次郎の出所祝いが盛大に行われていたが、その中で浮かない顔をしている男がいた。彼は真室川こと石川孫六というトラック野郎で、人身事故で支払うことになっている慰謝料のうち残りの60万円をサラ金から借りようと考えていたのだ。だがそれには保証人が必要であることから、金造に頼み込むとよしと言って即座にハンコを押した。すると食堂が騒がしくなった。そこに現れたのはアメリカ帰りで24トンの大型トレーラーを乗り回すビッグ99こと九十九譲次だった。彼は運ぶ荷を横取りする「荷荒らし」を行うことでトラック野郎たちから反感を買っていたのだ。以前煽られたことがある桃次郎は話し合いで解決しようとしたが、道理の通じる相手ではなかった。

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