日活
配給:日活
製作年:1972年
公開日:1972年1月8日 併映「たそがれの情事」
監督:林功
企画:伊藤亮爾
脚本:新関次郎
撮影:高村倉太郎
照明:川島晴雄
録音:神保小四郎
美術:柳生一夫
編集:鈴木晄
音楽:月見里太一
助監督:桑山朝夫
色彩計測:仁村秀信
現像:東洋現像所
製作担当者:松田文夫
出演:小川節子 五條博 山本修平 三川裕之 島村謙次
シネマスコープ カラー 69分
徳川将軍綱吉の頃。江戸の町は日々賑やかさが増し、人々は泰平の世に慣れ親しんでいた。芸者のおそのは紺屋職人の英助と所帯を持ちのちには店を始めることを夢見ていたが、病気だったときに父親が背負った五十両もの借金が重荷となっていた。ある日の御座敷で蔵前の礼差美濃屋喜右衛門に気に入られたおそのは、借金を肩代わりしてくれるという話を聞き引き受けることにした。今のままではいくら働いても利息の方が増えてしまうからだ。借金がなくなれば店を持つ日がそれだけ早くなる。そう信じて決心したのだ。仕事の内容は身の回りの世話をすることになっていたが、おそのが西国筋の浪人の娘であることを調べ上げた喜右衛門の狙いは彼女を江戸で一、二と呼ばれる女に仕上げることだった。そして勘定奉行の岡戸主水正に献上し、その見返りとして旗本御家人の御蔵米の権利を一手に握ろうとしたのだ。美しさとは姿かたちだけではないと喜右衛門はおそのに参考となる春画を渡し、男を喜ばせる力がないといけないと説いて実践に入った。そしてコツを掴むとそれを忘れるなと言い聞かせ、並みの男なら一溜まりもあるまいと褒めた。それが終わると今度は鍼による治療に移り、男を喜ばせるために必要となる筋を理解させ鍛えるように言った。
喜右衛門の目を逃れたおそのは会いたい一心で英助と連絡を取り、お互いに頑張って早く自分たちの店を持とうと誓い合った。だがそのことが喜右衛門の逆鱗に触れた。誰かと寝たことで体の調子が崩れ、今までの苦労が台無しになったからだ。相手の男は誰だと問い詰めると、私には契りを交わした人がおり、こちらにお世話になったのもつらいことを我慢しているのも全てその人に一日も早く店を持たせ所帯を持ちたいからだとおそのは言い、名前は絶対に明かさなかった。ところがその相手は調べるとすぐにわかり、喜右衛門は英助を料亭に呼び出すと包み金を見せてこの金でおそのと別れてもらいたいと言った。すると英助は、子供の頃から同じ長屋で育った仲であり、それを金で忘れろというのは無理だと突っぱねた。喜右衛門はわざわざ呼び立てて悪かったなと詫び、お礼としてゆっくり遊んで行ってくれと芸者を呼んだ。そして隣の部屋へ無理矢理連れて行かれた英助は二人に芸者に犯されたのだった。二十五両の包み金がもう一つあれば。彼はそう考えていた。
お前を手放したくはないが主水正のもとへ行ってくれと喜右衛門はおそのに言った。これまでの苦労は勘定奉行を喜ばせるためだったと知り、おそのはそんな勝手なことを言われても困ると拒否した。すると喜右衛門は借金の証文を見せ、うんと言えば借金を帳消しする上に英助に店を持たせてやる言った。困ったおそのは店などを捜してようやく小料理屋にいる英助を見つけることが出来たが、彼は元手を増やそうと博打に手を出し自棄酒を呷っていたのだった。
屋台的映画館
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