東宝
配給:東宝
製作年:1960年
公開日:1960年12月25日 併映「サザエさんとエプロンおばさん」
監督:杉江敏男
製作:藤本真澄
原案:井原康男
脚本:笠原良三
撮影:完倉泰一
美術:村木与四郎
録音:三上長七郎 下永尚
照明:金子光男
音楽:神津善行
監督助手:児玉進
編集:小畑長蔵
特殊撮影:東宝特殊技術部
現像:東洋現像所
製作担当者:森本朴
出演:森繁久弥 小林桂樹 加東大介 司葉子 宝田明
シネマスコープ カラー 100分
赤穂産業の専務・大石良雄は明後日の飛行機でヨーロッパに向かうことになっていた。2週間の日程で、西ドイツでは国際見本市に出席し、フランスではパリのアマン商会と特約の交渉を行うのだ。そんな彼のために会社の幹部だけで行う壮行会が急遽決定し、それに迷惑していたのは社長秘書の早野寛平だった。何故ならその日の夜、同じ会社で働く恋人の寺岡軽子と約束していた映画を諦めなければならないからだ。二人がもめているところに大石が現れたため、ばつの悪い早野は浅野卓也社長と大野久兵衛常務が待ち兼ねていると話をはぐらかした。社長室を訪ねると、大野は留守中の事務手続きを早くしてもらわないと不安で困ると言った。すると大石は専務なんて飾りのようなものだし、営業に関しては小野寺部長や吉田課長に任せておけば間違いないと謙遜した。浅野は本人がそう言っているのだから大丈夫だと大野をなだめ、近いうちに来日することになっているアメリカ経済使節団の話をした。丸菱系コンツェルンの18社が協力して接待に当たることになっており、その打合会が午後3時に丸菱の総本社で行われることになっていた。その会が終わってから君の壮行会へ行くよと浅野が言うと大石は恐縮した。
丸菱総本社の会議室では明後日に迫った使節団到着の準備に追われていた。接待委員長となった丸菱銀行頭取の吉良剛之介は進行状況の説明を行った。スケジュールの報告とともに贈呈する記念品を公開すると、コンツェルンの足利直義会長は身を乗り出した。記念品は出入りの骨董屋から80万円で買い取った鎌倉時代から伝わる兜で、一説には新田義貞が戦死した際に身につけていたとされる国宝級の逸品だった。ところが若狭金属の社長で委員の桃井和雄から真っ赤な偽物と言われ憤慨した。彼は骨董マニアだった祖父の影響で小さい頃から兜を数知れず見ており、第一鎌倉末期の兜であれば侍が野球のヘルメットのように柔らかい物を被るはずがないからだ。嘲笑の的にされ怒り心頭の吉良は、君らごとき若輩の三等社長に後ろ指を差される謂れはないと厳しく言った。すると桃井の親友である浅野が割って入り、最近は外国人の中にも骨董品に詳しい人が多いらしいので、そういった物をプレゼントするのはどうかと思うと言った。その意見に会長が同調したため、吉良は従わざるを得なくなった。
兜の件がきっかけとなり徹底的にこき下ろされた桃井は会社に戻ってからも怒りが収まらなかった。社長の地位を棒に振っても狸じじいと対決するつもりだと言うと、角川本蔵専務は会社の金融を差し止められたら大変なことになると諭した。だが桃井の決意は固かった。恨んでいる社長連を代表して公式の席上で吉良の面目を失墜させれば辞任に追い込むことが出来るのだ。それを聞いた角川は事を穏便に済ませるために吉良と会い、お詫びの印として本物の十両大判を手渡したのだった。レセプション当日、控室にいる吉良のもとへ向かった桃井だったが、平身低頭な彼の態度に拍子抜けした。するとそこに遅刻してきた浅野が現れ、吉良はここぞとばかりに嫌味を並べた。最初は我慢して聞いていた浅野だったが、先代社長まで侮辱されたことで怒りが爆発した。
屋台的映画館
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