松竹(大船撮影所)
配給:松竹
製作年:1969年
公開日:1969年8月27日 併映「喜劇 深夜族」
監督:山田洋次
製作:上村力
企画:高島幸夫 小林俊一
原作:山田洋次
脚本:山田洋次 森崎東
美術:梅田千代夫
撮影:高羽哲夫
照明:内田喜夫
編集:石井厳
録音:小尾幸魚
調音:松本隆司
音楽:山本直純
監督助手:大嶺俊順
装置:小野里良
進行:池田義徳
製作主任:峰順一
現像:東京現像所
協力:柴又 帝釈天読踊会 川甚 東京きものセンター
出演:渥美清 倍賞千恵子 光本幸子 笠智衆 志村喬
シネマスコープ カラー 91分
全国を渡り歩く香具師の「フーテンの寅」こと車寅次郎。20年前に父親とつまらないことでケンカをし、血が出る程ぶん殴られたことがきっかけで二度と戻るものかと家を出た。とはいうものの花の咲く頃になるといつも故郷のことを思い出すのだ。風の便りで両親や兄が死に、たった一人残された妹だけが達者に生きていることを知っていた。生まれ故郷まできたもののどうしても帰る気になれず江戸川の土手に佇む寅次郎だったが、それでも子供の時分を思い出し柴又帝釈天の参道の方へ歩いて向かうと何やら賑やかな音が聞こえてきた。その日が庚申の祭りであることがとわかると寅次郎は居ても立っても居られなくなり、ねじり鉢巻きを締めると纏を若い衆から受け取り思い切り振り回すのだった。やがて住職の御前様と再会して涙。そして境内で叔母のつねとも再会したことで実家の敷居を跨ぐ決心をした。彼の実家は帝釈天の門前にある団子屋「本家とらや老舗」で、改めてつねや彼女の夫でとらやの6代目の主人である叔父の竜造と挨拶を交わした。だが寅次郎の本当の目的は妹のさくらを一目見ることだった。ところがその日はオリエンタル電器の電子計算機係でキーパンチャーとして働く彼女が残業で遅くなると聞き、それではと土産話に花を咲かせた。するとそこにさくらが帰ってきた。馴れ馴れしく近づいてくる見知らぬ中年男を気味悪がるさくらだったが、やがてそれが長年離れていた兄だとわかると笑顔に変わった。
明くる日、寅次郎が庭を散歩しているとつねの大声が響いた。その日はオリエンタル電器の下請け会社社長子息とさくらの見合いの日だったが、付き添いで行くはずだった竜造が寅次郎の帰宅に浮かれ過ぎて泥酔してしまい二日酔いで動けなくなったのだ。彼女がこの話に乗り気でないことを知った寅次郎は安請け合いしたのだが、場所は高級ホテル。不作法な寅次郎は調子に乗ってしゃべり続けるうちに酔いが回り、自分とさくらが腹違いの兄妹であること、酔っ払って芸者に産ませた子だからお前はバカだと事あるごとに女道楽の父親から言われていたことなどを話したことで場はしらけた。さくらの助けがなければ歩けないほど泥酔して帰宅した寅次郎は、自分の手柄で縁談は成功したと確信していた。ところが翌日、破談になったことを竜造とつねから聞かされその原因がお前だと言われた寅次郎は自棄になり暴れた。すると竜造は、このザマなら死んでいた方がマシだったとお前の親父は草葉の陰できっと泣いているだろうと言った。その言葉が堪えた寅次郎は夜が明けると置手紙をして出て行った。
屋台的映画館
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