日活
配給:日活
製作年:1976年
公開日:1976年7月31日 併映「犯される」
監督:遠藤三郎
プロデューサー:岡田裕
脚本:大工原正泰
撮影:高村倉太郎
照明:直井勝正
録音:古川恒夫
美術:林隆
編集:堀田好倫
音楽:奥沢散策
助監督:飛河三義
色彩計測:中島光男
現像:東洋現像所
製作担当者:山本勉
出演:八城夏子 渡辺とく子 石津康彦 丘奈保美 堂下かづき
シネマスコープ カラー 71分
外房の小さな町で海女として働く布川初子は兄の浩一を仕事のパートナーとしている。ある日、いつものように鮑を獲った初子がボートで休息を取っているとカップルが浜に打ち上げられているのを見つけた。すぐに意識を取り戻したのは前島鈴子という女の方で、彼女は警官の質問に答えようとせず、一途に杉田安男の回復を願った。その杉田も海女たちの介抱により意識を取り戻した。
初子は、昼は海女として働き、夜は潮路ホテルで海女芸者のアルバイトをしていた。そんな彼女を浩一は心配で見ていられなかった。母親は同じだが父親が違う兄妹の兄。初子がだらしないと死んだ母親までバカにされることになるからだ。たとえ血が繋がっている兄妹とはいえ、時には初子を女として見てしまうこともあった。
民宿の手すりにもたれ掛かり海を眺めていたのは鈴子と安男だった。元々死ぬつもりでいた二人に今後の予定はなく、網元の大高吉太郎のところへ相談に行ったことがきっかけで鈴子は彼が経営するバー・いずみで働くことを勧められた。店を任せられる人がおらず長い間、閉店状態が続いていたことから吉太郎にとって願ったり叶ったりだったのだ。二階には三畳の部屋が備わっていることから鈴子はここに腰を据えることに決めた。
ある日、初子は家を出る決意を口にした。前夜、初子は酔って寝たふりをしたが浩一は体を求めようとしなかった。二人の間には強い愛情があったが、それを阻むのが兄妹という壁だった。それをいつまでも打ち破ろうとしない浩一に初子は苛立っていた。更に浩一がいつまでも結婚しないことを海女仲間の若松玉江たちからバカにされていることもその理由だった。兄のために何かを変えなければならないという自分なりの答えだった。
浩一と口論になり家を飛び出した初子が夜の海岸で時間を潰していると何処からか歌声が聞こえてきた。その声の主は安男だった。彼は初子に助けられたことを誰かから聞いて知っており、いつかお礼をしなくちゃと言って去ろうとした。だが彼女は引き留めて死のうとした理由を聞き出そうとした。すると安男は、身も心もボロボロになりこの町にたどり着いたが海岸に打ち上げられた漂着船を見てその姿を自分に重ね合わせたのだと言った。生きていても意味がないと考えたが、生き返ってみるともう一度船がみたくなり海岸へやってきたのだった。そんな彼に興味を持った初子は家に連れて帰り体を重ねた。隣の部屋にいる浩一に見せつけるように。すると翌日、浩一は町を出て行った。
屋台的映画館
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