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砂の器

  • posted at:2016-12-08
  • written by:砂月(すなつき)
すなのうつわ
松竹=橋本プロダクション
配給:松竹=富士映画
製作年:1974年
公開日:1974年10月19日
監督:野村芳太郎
製作:橋本忍 佐藤正之 三嶋与四治
原作:松本清張
脚本:橋本忍 山田洋次
製作補:杉崎重美
企画:川鍋兼男
製作協力:シナノ企画 俳優座映画放送
撮影:川又昻
美術:森田郷平
音楽監督:芥川也寸志
作曲・ピアノ演奏:菅野光亮
指揮:熊谷弘
演奏・特別出演:東京交響楽団
録音:山本忠彦
調音:吉田庄太郎
効果:福島幸雄
照明:小林松太郎
編集:太田和夫
監督助手:熊谷勲
装置:若林六郎
装飾:磯崎昇
衣裳:松竹衣裳
現像:東洋現像所
進行:長嶋勇治
製作主任:吉岡博史
出演:丹波哲郎 加藤剛 森田健作 島田陽子 山口果林
シネマスコープ カラー 143分

昭和46年6月24日早朝、東京国鉄蒲田操車場構内で死体が発見された。被害者の年齢は60-65歳。やや痩せ型で、服装はグレーの背広上下を着用していた。背広にはネームが入っておらず所持品がなかったことから、身元不明のまま検分が行われた。血液型はO型で、死因は前頭部頭蓋骨陥没。石の様な物で頭部や顔面を殴打され、死後に轢死を装ったものと判明した。胃の内容物からアルコール分が検出され、死後推定3時間から4時間が経過していた。捜査一課の今西栄太郎警部補は西蒲田警察署刑事課の吉村弘巡査とともに聞き込みを行い、事件の前夜に蒲田駅前のトリスバー・ロンで強い東北訛りの二人が話し込んでいたこと突き止めた。そしてそのうちの一人が被害者である可能性が高まったことからもう一人の若い男を重要容疑者として捜査することになった。白いスポーツシャツを着た若い男が被害者を殺害して返り血を浴びれば遠くへ逃げることが不可能だと考えた吉村は土地勘がある者の犯行だとした。それを聞いた今西は、例えスポーツシャツに血痕がついたとしてもその下に着たシャツ姿になれば怪しまれることはないと一蹴した。

捜査は難航した。若い男が処分したと思われるシャツが出て来なかったからだ。そこでホステスの証言に比重を置いて捜査を行うことになった。捜査本部は男たちの会話の中で何度か「カメダ」という言葉が交わされていたという証言をもとに、警察庁に依頼して東北各県にいる64名の亀田姓を洗い出したが、その中に被害者を知る人物は一人もいなかった。手詰まり感が漂う中、今西は「カメダ」が人名ではなく地名ではないかと発言した。昨日、書店の店先で見た鉄道地図に「羽後亀田」という秋田県の駅名が載っていたからだ。本部の了解を得た今西は吉村とともに現地へ赴いたが、不審な男が川沿いの木の傍に30分程いたという情報以外目ぼしいものはなかった。8月4日、2日間の滞在で収穫がなかった二人が帰京すると捜査本部は解散し以後は警視庁の継続捜査に移った。

8月9日、事件は思わぬ形で動いた。被害者の息子が現れたのだ。三木謙一は父・彰吉がお伊勢参りに行くと言ったまま連絡が取れなくなったが、気ままな旅をすると言っていたことで特に気にも留めていなかった。だが50日を経過しても連絡がないため家族と相談して岡山県警に捜索願を出したのだ。すると警視庁から出ている紹介に心当たりはないかと見せられた写真があまりにも父に似ていることから東京で身元確認を行ったのだった。学校卒業後に島根県で巡査をしていた彰吉は、退職後は生まれ故郷の岡山県の江見町で雑貨店を営んでいた。遺体が彰吉であることは確認されたが、東北へ行ったことがないと思われるその人物が何故強い東北弁をしゃべり、お伊勢参りに行った人物が何故東京にいたのか、謎はさらに深まった。

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ずべ公番長 東京流れ者

  • posted at:2016-10-26
  • written by:砂月(すなつき)
ずべこうばんちょうとうきょうながれもの
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1970年
公開日:1970年12月3日 併映「日本侠客伝 昇り龍」
監督:山口和彦
企画:吉峰甲子夫
脚本:宮下教雄 山口和彦
撮影:中島芳男
録音:広上益弘
照明:元持秀雄
美術:藤田博
編集:長沢嘉樹
助監督:深町秀熙
擬斗:日尾孝司
進行主任:志村一治
企画担当:高村賢治
装置:根上徳一
装飾:上原光雄
記録:高津省子
現像:東映化学
音楽:津島利章
挿入歌:「東京流れ者」大信田礼子
挿入歌:「長崎ごころ」ジ・アース
出演:大信田礼子 橘ますみ 集三枝子 賀川雪絵 南利明
アメリカンビスタ カラー 86分

大羽興業と立ち回り再び赤城女子学園に逆戻りした「ハマグレのおリカ」こと影山リカは、妊娠しているメリーが「ネリカン」にいる彼氏のトミーに会って産むか産まないかを相談したいと思っていることを知り仲間とともに脱走の手助けをした。それから1年後、卒園したリカは保護司の坂本の紹介で小さなおもちゃ工場に勤めていたが、ミスが多くて作業課長に呼び出された。もう一度やらせてほしいと頭を下げるリカに課長がその件について今晩静かなところでゆっくりと話したいと言ったことで、魂胆を知った彼女は思わず頬を引っ叩いた。それが原因でクビになったリカが当てもなく歩いていると秋祭りが行われている神社が目に入った。その先で威勢のいい声が聞こえたことから覗いてみると、ハンサムな男が成田山のお守りがついた法律学入門を啖呵売していた。香具師の常太郎はリカから財布を掏った男から目を離さず、去ったと同時に追いかけ「俺の客から掏り盗ろうとしたのが気に食わねえんだ」と取り返した。常太郎は被害に遭ったことすら気づいていないリカに財布を差し出すと、彼女はお礼を言ってペンダントをあげた。

新宿に戻ってきたリカに声を掛けてきたのはチョボ松という冴えない男だった。デパートの売り子のような食品販売業の仕事を斡旋してくれるということでついて行った彼女だったが、そこは加瀬寅組の屋敷だった。若いリカが丁重に仁義を切ったことに感心した関東加瀬寅一家の五代目女親分・加瀬蘭子は、その作法を覚えたのが赤城女子学園だとわかると顔を綻ばせた。同じ赤城の卒業生と知り喜ぶ蘭子だったが、リカは売り子として連れて来られたのにと文句を言った。すると蘭子は例えテキヤ稼業であっても同じ売り子だと強気で主張した。だがそれでも納得しないため今度は泣き落としで引き留めることにした。結局、鉄道のガード下でチョボ松と焼きトウモロコシを売ることになったリカだったが、蘭子は二人に内緒でホストクラブ通いをしていた。

黒江組は加瀬寅組が持っている全国街商組合の看板を狙っていた。手に入れば新宿でのし上がることが出来るからだ。それを取り上げるために子分たちを使って度々嫌がらせを行っていたが、自分たちの商売道具が汚されたことでリカはケンカを買った。赤城の仲間だった知床のおたまの助けもあって黒江組を撃退したリカはそのことを蘭子に報告したが、彼女もスカウトしたという二人を紹介した。ナンバーワンホストのジミーに入れ込む蘭子は念願叶ってホテルに連れ込むことに成功したが、事の前に部屋へ入ってきたのはジミーの妻だった。逆美人局だとわかった蘭子がウワバミの彫物を見せて凄むと二人は腰を抜かした。妻はリカの仲間の八百長子で、ジミーと名乗っていたのは夫の丸井綱夫だった。意気投合したリカたちは赤城の同窓会を行うことになったが、その中でセンミツこと千本ミツ子は近々結婚することを発表した。婚約者の浜村はこれを機に黒江組から足を洗おうと考えていたが、黒江は条件として100万円を要求した。

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ずべ公番長 夢は夜ひらく

  • posted at:2016-09-29
  • written by:砂月(すなつき)
ずべこうばんちょうゆめはよるひらく
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1970年
公開日:1970年9月22日 併映「昭和残侠伝 死んで貰います」
監督:山口和彦
企画:吉峰甲子夫
脚本:宮下教雄 山口和彦
撮影:仲沢半次郎
録音:小松忠之
照明:川崎保之丞
美術:北川弘
編集:長沢嘉樹
助監督:深町秀熙
擬斗:日尾孝司
進行主任:志村一治
企画担当:高村賢治
装置:石井正男
装飾:武井正二
記録:宮本衣子
現像:東映化学
協力:ジェームス・川田(アクセサリーデザイナー)
音楽:津島利章
主題歌:「圭子の夢は夜ひらく」藤圭子
挿入歌:「命預けます」藤圭子
出演:大信田礼子 橘ますみ 賀川雪絵 藤圭子 谷隼人
アメリカンビスタ カラー 81分

東京少年鑑別所が東京練馬区にあることで「ネリカン」という俗称があることから、非行少女たちの矯正機関・赤城女子学園も「女ネリカン」と蔑まれていた。傷害で逮捕された「ハマグレのおリカ」こと影山リカは仮卒園後にクリーニング店に勤めるようになったが、客から預かったスーツ一着が店から紛失したことで彼女に嫌疑がかかった。主人の桂木は様子を見ようとしたが、女将の鎌子は端から犯人だと決めて掛かり頭ごなしに怒鳴ったのだった。結局は店員の仕訳ミスだったことがわかり疑いは晴れたが、リカの心にあるわだかまりは溶けることはなかった。その夜、床板の軋む音が聞こえたことで桂木が夜這いにきたことがわかると、リカは寝たふりをした。そして体に手が掛かると大声を出して鎌子が来るのを待ち、夫婦の関係をかき回してから店を辞めたのだった。

都会の空気を吸いに新宿駅へとやってきたリカに声を掛けてきたのは、しつこくつきまとう丸井綱夫という冴えない男だった。顔を貸せといちゃもんをつけてきたゴロマキを叩きのめしたことで、男前な性格とグラマーな容姿に惚れ込んだ綱夫はリカを喫茶店に連れて行くとご飯を奢った。そして彼女が行くところがないと知ると名刺を渡した。そこにはバー紫の渉外部長と書いてあったが、その肩書は名ばかりで駅前でのホステスのスカウトから皿洗いまで何でも担当していた。綱夫はママの南雲梅子にリカが銀座の高級クラブで勤めていたと嘘をついて働かせようとしたが、彼の妻・八尾長子が入ってきたことで目論見が外れた。リカと長子は赤城の仲良しな同級生なのだ。驚く綱夫を尻目に、梅子は自分が彼女たちの先輩だと笑った。この店のホステスなどはみな赤城出身者ばかりなのだ。彼女たちは個性派ぞろいで、麻薬中毒の妹・バニーを持ち彼女のために働く冬木マリは金で純ナマを売ったりしないと客前で啖呵を切り、千本ミツ子その名と違って千に三つも本当のことを言わない嘘つきで舌先三寸で客を丸め込んだ。湯島つたは飲んだら手に負えない大トラで、はるみはネリカンで女にされたオカマ、この店にやってくる流しの圭子はプロ級の歌声を持っていた。

その夜、店にやってきたのは大羽興業の社長・大羽金造だった。金造はこの店を潰してビルを建設し、その一室に梅子の店を用意する算段だったが、彼女は父の唯一の遺産である店を手放す気はなかった。それを聞いた金造は、この街では俺と手を組んだ方が利口だということを思い知らせてやると言った。

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スラバヤ殿下

  • posted at:2016-06-01
  • written by:砂月(すなつき)
すらばやでんか
日活
配給:日活
製作年:1955年
公開日:1955年1月21日
監督:佐藤武
製作:高木雅行
原作:菊田一夫
脚色:柳沢類寿
撮影:山崎安一郎
照明:安藤真之助
録音:沼倉範夫
美術:木村威夫
音楽:松井八郎
舞踊構成:矢田茂
助監督:関喜誉仁
編集:藤岡弘司
特殊撮影:日活特殊技術部
出演:森繁久彌 島秋子 馬淵晴子 有島一郎 内海突破
スタンダード モノクロ 86分

原子物理学者の長曽我部久太郎を乗せた大型旅客機は懐かしの故国・日本に向けて飛んでいた。彼の偉大なる頭脳と鞄の中には、かの有名な反原子理論、つまり原爆、水爆の連鎖反応を中断し強烈な放射能を無効化させるという深遠な知識が詰まっていた。そんな彼に鋭い視線を送っていたのは、トルマニア国のスパイ・ジョー、アカランド連邦諜報局員・ズルコフ、そして理論などはそっちのけで有名人にしか興味のない女流歌手の真野かほるだった。旅客機が日本に近づきつつある頃、ビキニ海域を日本に向けて航行中の一隻の貨物船があった。その甲板で船員を集めてマクロネシア島でのホラ話を熱く語っていたのは、生来のペテン師で久太郎の瓜二つの弟・長曽我部永二だった。やがて水爆実験の影響が残る雨が降り始め船員たちが我先にと船内へ入って行く中、永二は洗面器にそれを溜めながらあることを思いついた。

久太郎が勤務する原子物理学研究所の周辺ではスパイたちが諜報活動を行っていた。一方、そのスパイたちが見向きもしないのが、永二が所長を務める應用原子力研究所だった。原子力を破壊目的で使用するのは人類の大きな誤りであり罪悪だとした上で、兄の協力を得たとホラを吹き、ビキニと北海道で採取した雨水を蒸留し抽出した放射性エッセンスを万能放射性物質ビキニールA、シベリアルSとして売り出そうと考えたのだ。だが製造過程で資金が底をつき、給料未払いで残業までさせられている従業員たちがストライキを起こしたため、困った永二は久太郎から無心することにしたのだ。だが久太郎邸を訪ねたものの彼は不在で、乳母のおきんからは長々と説教された。永二は昔から長曽我部家に散々迷惑をかけており、妻でおきんの娘のおきぬは彼に騙されて死んだのだ。残された永二の娘・なほえは久太郎が引き取った。おきんの希望でそのことを隠したため、なほえはそのことを知らずに育ったことから、彼女は永二のことを久太郎の愚弟という認識しかなかったのだ。永二もそのことを受け入れており、一人前の生活を送れるようになろうともがいていたのだった。落胆して門を出た永二に声を掛けてきたのはジョーだった。自分を兄と勘違いしていることに気付いた永二は書類の入った鞄を買いたいというジョーに付け込んで吹っ掛け20万円まで値を引き上げた。すると後をつけて来たズルコフが50万円で払うというのだ。だが小切手でしか払えないというので、現金を持ち合わせているジョーに売ることに決めた。そして時限爆弾を仕掛けてあるので6時まで開けないようにと念を押した。会社に戻った永二は財産を売って作った金だと嘘を言って社員を納得させると、40万円を支払った。残りの金を使ってキャバレーで飲んでいると、久太郎と勘違いしたかほるが声を掛けて来たため、永二はお近づきになろうと成りすますことにした。だがスパイたちが騙されたことに気付き、原子資源の調査が詐欺だとばれたことで永二は身の危険を感じた。それから数日後、奇妙な姿の男が乗った筏が海岸に漂着した。

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スクラップ・ヘブン

  • posted at:2015-07-16
  • written by:砂月(すなつき)
すくらっぷへぶん
オフィス・シロウズ=テレビ東京=バンダイビジュアル=イエス・ビジョンズ=ザズウ
配給:オフィス・シロウズ=シネカノン
製作年:2005年
公開日:2005年10月8日
監督:李相日
企画:佐々木史朗
製作:井澤昌平 川城和実 竹中功 松野恵美子
プロデューサー:久保田傑 柳原雅美 河野聡 吉田晴彦
アソシエイト・プロデューサー:押田興将 安井美紀子 上山公一
ライン・プロデューサー:齋藤寛朗
脚本:李相日
撮影:柴崎幸三
照明:市川元一
録音:柿澤潔
美術:仲前智治
編集:今井剛
スクリプター:田口良子
衣裳:小林身和子
ヘア・メイク:細川昌子
CGディレクター:増尾隆幸
助監督:久万真路
制作担当:金子堅太郎
音楽プロデュース:曾田茂一
音楽:曾田茂一 JETBIKINI Masao Nisugi
音楽制作:茂木英興
音楽制作協力:GRAND FUNK 毒組 WILD CORPORETION
出演:加瀬亮 オダギリジョー 栗山千明 光石研 田中哲司
アメリカンビスタ カラー 117分

テレビドラマに出てくるような刑事像に憧れて警察官になった粕谷シンゴ。だが現実は甘くなかった。交番に5年勤務した後、本署の刑事部へ転属になったものの、希望した刑事課ではなく総務課に配属された。被害届などの手書きの書類をパソコンに打ち込む地味な作業を毎日続けることで仕事への意欲を失っていた。ある日、嶋田係長に呼び出されたシンゴは、一課の薮田刑事とともに遠藤町で一年前に起こったストーカー殺人事件で被害者になった主婦の法事に出向くことになった。自宅前の道路で子供が落書きしていたので、薮田は「パパ、いるかい」と声をかけケーキの箱を手渡した。すると子供は箱を叩き落とすと足で踏みつけ、家に駆け込んで行った。シンゴは被害を食い止められなかったことと、刑事は事が起こらなければ動けないことへの矛盾を感じていた。その夜、帰宅のためにバスに乗った彼は、潰れたケーキをかぶり付きながらぼんやりとしていた。すると後部座席に座っていた清掃員の葛井テツが、走っているコースが違っていると騒ぎ出したのだ。我に返ったシンゴもそれに気づき、同乗していた薬剤師の藤村サキも慌てた。テツが運転手に文句を言いに行こうとすると、その横に立っていた男が彼に拳銃を向け、ちょっと行く先を変えましたと言った。そして少し落ち着くと自分について勝手にしゃべり出した。猛勉強して大学に入り代議士の秘書になったが、不祥事を被って自殺をしなければ納まりがつかなくなった、と。一段落すると斎藤は運でも試しますかと言ってリボルバーの弾倉から弾を抜き、一発だけ残した。弾倉を回して銃口をこめかみにつけると、まず私から行きますと引き金を引いた。だが弾は出ず、俺はついているぞと叫んだ。気持ちが高揚した斎藤が次をじゃんけんで決めようと言い出すと、シンゴは憧れのシチュエーションでいいところを見せようとした。だが震える声に説得力はなく、銃口を向けられると何も出来なかった。斎藤の威圧する声で始まったじゃんけんはあっけなく決まり、テツが負けた。すると彼はいきなりテツに向けて発砲した。その銃声に怯えた運転手がブレーキを踏んだことでバスは急停車し、乗客たちは床に転がった。シンゴは座席にしがみつき、テツは胸から血を流し、サキは右目の義眼を探していた。そして斎藤は首に銃口を押し当て自殺した。3か月後、シンゴは薮田に相談を持ち掛けた。一課に取り次ぐという話はそのままになっていたのだ。薮田は、あれだけのバツが付いたんだから俺の立場も考えてくれと言った。そしてお前は警官に向かないヤバいタイプだから肩の力を抜いて仕事しろとアドバイスした。

シンゴの帰宅コースではいつもホストが女性をナンパしていた。いつかあいつらを懲らしめてやりたいと思っていたが、それを実践していたのがテツだった。偶然の再会を喜んだシンゴが世の中の矛盾など思いの丈をぶちまけると、テツはある場所に連れて行った。そこは公園の公衆トイレだった。世の中には復讐したくても何も出来ない人がいる。そこで代わりに心の叫びを聞き、世間を肥溜めにしている馬鹿どもに、振り上げた拳が自分に返ってくることを思い知らせることにしたのだ。壁にメッセージを書いたテツは、自分が苛立っている原因は何かとシンゴに尋ねた。答えられずにいると、デスクに一日中かじりついていても世の中は1ミリも変わらないぞと言った。

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