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必殺!5 黄金の血

  • posted at:2020-05-04
  • written by:砂月(すなつき)
ひっさつふぁいぶおうごんのち
松竹=朝日放送
配給:松竹
製作年:1991年
公開日:1991年12月23日
監督:舛田利雄
製作:櫻井洋三 山内久司
制作補:橋本芳和 中嶋等
脚本:吉田剛
音楽:平尾昌晃
編曲:竜崎孝路
撮影:石原興
美術:倉橋利韶
録音:広瀬浩一
編集:園井弘一
調音:鈴木信一
装飾:木下保
スチール:野上哲夫
殺陣:谷明憲 布目真爾
記録:野崎八重子
効果:竹本洋二
制作主任:武田功 渡辺寿男
監督補:津島勝
主題歌:「月が笑ってらぁ」藤田まこと
出演:藤田まこと 三田村邦彦 菅井きん 白木万理 光本幸子
アメリカンビスタ カラー 104分

佐渡島にある佐渡金山では金などの鉱物が採掘され、長年に亘って徳川幕府の財政を支えていた。は幕府直轄の天領であるこの地には佐渡奉行所が置かれ、水汲人足たちが山を出る際には金を外へ持ち出せないよう念入りな検査が行われた。ある夜、黒衣の集団が奉行所を襲撃し、無宿人を解放すると御用船を襲わせたが、嵐のために操船出来ず出雲崎沖合に沈んだ。その船には半年分の上納金二百貫が乗っていたが、それは小判十万両に相当した。物資不足により金の暴騰を恐れた勘定奉行は小判の加工を行う金座後藤本家に対し他言無用の御触を出したのだった。

御用船沈没の知らせを聞いた後藤本家奉公人のお浅は絶望のあまり川へ身を投げようとしていた。何故なら彼女は、思いを寄せる与七が乗った御用船が沈没する夢を何度も見ておりそれが現実となったからだ。偶然通り掛かった政が思いとどまらせ、お前の夢が良く当たることは知っているが与七はやわに死ぬ奴じゃないと言い聞かせた。するとお浅は、与七が夢の中で会いたいと言っていた深川洲崎に連れて行って欲しいと頼んだ。会えば何もかもがわかると彼女は信じていたのだ。

御用船が沈んだことで金相場が高騰するという噂が広がり、巷では金の買い付け騒動が起こっていたが、それは南町奉行所同心中村主水の屋敷にも影響を及ぼしていた。朝から嫁のりつと姑のせんが大掃除と称して主水のへそくりを探し回っていたのだ。何だかわからないが見つけられてはたまらないと在り処を厠の天井に変えて仕事に出掛けると、奉行所は何やら慌ただしい様子だった。勘定奉行所からの要請で、金の値上がりで駿河町が大混乱となり怪我人が出ないように取り締まることになったのだ。主水は屋敷内での騒動の発端がこれだったことに納得した。早速駿河町に向かうと通りには人だかりが出来ており、両替商から出てきたりつとせんは十二両分の金を買ったと誇らしげに言った。それが半月もすれば三十両に化けると聞き驚いたが、その原資としてあのへそくりが使われていることがわかるとさらに驚いたのだった。

元締鎌イタチのおむらに呼び出された仕事人たちは金座後藤の妻千勢からの依頼内容を聞いた。御用船が沈没した際、無宿人は生き残った形跡があったが御公儀は全て溺死として処理しそれ以上調べようとしなかった。そのことから千勢は乗員を皆殺しにした無宿人への敵討ちを二百両で依頼したのだった。分け前が多いことからおむらは全員が協力すると思っていたが、役人の尻拭いは御免だと飾り職人の秀が抜け、お歌が抜け、夢次が抜け、俺一人じゃ出来ねえと主水も抜けた。その頃、政はお浅を連れて洲崎の砂丘にきていた。そこは寛政の津波で民家が流された場所で今は津波避けの何もない場所になっていた。その日から毎晩そこへ通うようになり、ある夜、お浅は与七の声が聞こえると言った。彼女の代わりに政が浜へ下って行くとそこには無宿人と上納金を運ぶ与七の姿があった。

屋台的映画館
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必殺4 恨みはらします

  • posted at:2020-03-03
  • written by:砂月(すなつき)
ひっさつふぉーうらみはらします
松竹=朝日放送
配給:松竹
製作年:1987年
公開日:1987年6月6日
監督:深作欣二
制作:山内久司 櫻井洋三
脚本:野上龍雄 深作欣二 中原朗
音楽:平尾昌晃
撮影:石原興
照明:中島利男
美術:太田誠一
録音:広瀬浩一
調音:鈴木信一
編集:園井弘一
記録:野崎八重子
装飾:玉井憲一
スチール:長谷川宗平
進行:鈴木政喜 西村維樹
演技事務:木辻竜三
監督助手:原田真治
照明助手:中山利夫
撮影助手:安田雅彦
美術助手:家木一実 西村伊三男
編集助手:関谷憲治
録音助手:山本研二
効果:竹本洋二
殺陣:菅原俊夫 楠本栄一
現像:IMAGICA
装置:新映美術工芸
美装:八木かつら
衣裳:松竹衣裳
小道具:高津商会
製作主任:高坂光幸
監督補:津島勝
助監督:原田徹
題字:糸見溪南
製作協力:ジャパンアクションクラブ
独楽指導:藤田由仁
踊り指導:祗園東 満佐子
タイトル:シュプール
主題歌:「ついて行きたい」テン・リー
宣伝:松本淳 宮田秀世 長崎直定 川戸文夫
製作補:斉藤守恒 佐生哲雄
製作協力:京都映画株式会社
出演:藤田まこと 村上弘明 かとうかずこ 西田健 ひかる一平
アメリカンビスタ カラー 131分

四月十三日。仏滅に暗剣殺、三隣亡に大殺界という八方塞がりの大変な大厄日に南町奉行所で見習与力の安田小兵衛が突然怒り狂って奉行の長尾監物を斬りつけた。そもそもの事の起こりは、監物が小兵衛を筆頭与力に取り立ててやると口約束し五十両の賄賂を只取りしたからだった。その結果、頭に血が上った小兵衛は刀を抜いたのだが、迷惑したのは中村主水を始めとする同心たちだった。奉行所内は蜂の巣をつついたような大騒ぎとなり、身を守ることに必死な同心たちが戸を閉め切ると部屋の中の残されたのは目が血走った小兵衛、命乞いをする監物、そして貧乏くじを引いた主水だけだった。追い詰められた監物は主水を盾とするが、ひらりと身を交わされ小兵衛の餌食となり、その小兵衛は自ら命を絶った。やれやれ助かったと胸をなで下ろしたのもつかの間、主水は卑怯未練な振る舞いをしたと一人咎められ半年間、俸禄の半額を命じられたのだった。それから数日後、奉行所に後任の奉行が到着した。とても若く端整な顔立ちをした奥田右京亮は、着任祝の席で主水に対し私のときには見殺しにするなよと言った。ふて腐れた彼は気分直しにおけら長屋の居酒屋に立ち寄り女将のおふくを口説こうとしたのだが、表の騒動でそれどころではなくなった。ど派手な化粧と身なりの若者たちが馬で暴れ回っていたのだ。彼らは旗本の子息で結成された愚連隊で長屋の住民を虫けら同然に見下していた。そんな中、素浪人の杉江伊織が立ちはだかり抗議をしていると、愚連隊の一人が乗った馬が突然暴走を始め子供を助けようとした平野弥兵衛が命を落とした。人殺しと叫びながら弥兵衛の娘のお弓が向かって行くと、首領の神保主税は殺したのは馬だと弁解した。だが怒りの治まらない長屋の人々が石を投げ始めたため愚連隊は成す術もなく退却した。そこに現れた主水は、お前らの気持ちはわかるが事を大きくしないでくれと懇願した。そして事切れた馬に駆け寄ると脚に刺さった十字手裏剣を引き抜き、こいつのせいだと呟いた。

一体誰が何のために騒動を起こしたのか。疑念を持った主水は翌日、調書とともに証拠となる十字手裏剣を提出したが、何者かによって仕組まれた陰謀であるという推察を荒唐無稽だと右京亮は一蹴し、何の根拠もないことを取り上げるわけにはいかないと言った。更に十字手裏剣を受け取った覚えはないと言ったことで主水は闇の根深さを感じ、思い違いだったと釈明して一旦引き下がることにした。その夜、弥兵衛の弔いが行われ、主水はおふくの店で伊織と静かに飲んでいた。するとあれは誰だったのかなとおふくが独り言を漏らした。訳を聞くと、騒動のときに子供を助けた人物がもう一人いたというのだ。主水も伊織もそのことに気づいておらず、おふくの思い違いではないかと疑ったが、それを確かめようにも伊織はあの子供を長屋で見掛けたことがなかった。考えれば考える程謎は深まるばかりだった。

屋台的映画館

ビューティ・ペア 真赤な青春

  • posted at:2020-02-28
  • written by:砂月(すなつき)
びゅーてぃぺあまっかなせいしゅん
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1977年
公開日:1977年7月2日 併映「ドーベルマン刑事」
監督:内藤誠
企画:吉峰甲子夫 松永高司
脚本:中島信昭
撮影:花沢鎮男
録音:宗方弘好
照明:大野忠三郎
編集:鈴木宏始
助監督:渡辺寿
進行主任:瀬戸恒雄
現像:東映化学
音楽:八木正生とエレクトリック・ファミリー
主題歌:「真赤な青春」ビューティ・ペア
挿入歌:「かけめぐる青春」ビューティ・ペア
製作協力:全日本女子プロレス興業(株)
企画協力:ワイド プロモーション
音楽:八木正生
協力:九州産業交通株式会社 熊本スズキ株式会社 青年の酒 美少年
出演:ジャッキー佐藤 マキ上田 赤城マリ子 池下ユミ 阿蘇しのぶ
アメリカンビスタ カラー 57分

世界女子プロレス選手権の試合会場においてタッグマッチ3本勝負が行われた。アイドル的人気を誇るビューティ・ペア(ジャッキー佐藤、マキ上田)と対戦するのは悪役レスラーのブラック・ペア(池下ユミ、阿蘇しのぶ)だった。1本目はビューティ・ペアが制したが、2本目はブラック・ペアのフォール勝ち。そして3本目はジャッキーが場外乱闘の際に古傷の右ひざを凶器のパイプ椅子で殴打され、あまりの痛みに気を失いリングに戻ることが出来なかった。ビューティ・ペアは敗れタイトル獲得に失敗した。

ジャッキーが目を覚ますとそこは病室だった。マキと滝川有造コーチは弱気を見せずに頑張れと励ますが、怪我の状態は予想以上に悪かったのだ。そのことを知らないジャッキーは一日も早く治ることを信じながら今までのことを思い返した。神奈川県立商工高校でバスケットボール部のエースだったジャッキーはスポーツ万能だった。そんな彼女を親友のちあきは憧れの目で見ていた。ある日、二人が自転車に乗って帰宅していると、応援団団長の重山が行く手を遮りちあきに話があると言った。彼女が嫌がる素振りを見せたことでジャッキーは諦めるように諭したのだが、突然殴り掛かってきたため金的攻撃をした。団長がもんどり打って倒れ込むと今度は団員たちが情け容赦なく向かってきた。多勢に無勢でピンチに陥った時、偶然通り掛かった女性が男たちを次々と投げ飛ばしたのだ。彼女は女子プロレスラーの赤城マリ子でトレーニング場に向かう途中だったのだ。その強さに魅了されたジャッキーはプロレスラーになる決意を固めた。家に帰って母親の里枝にそのことを話してみたが相手にされなかったため、旅行カバンに荷物を詰めると書き置きを残し家族が寝ている間に家出をした。ベッドの上のジャッキーは心配を掛けた里枝のことを思い、くじけるもんかと復帰への決意を固めた。
 
滝川は練習中のマキを呼び出すとジャッキーの代わりにペアを組む相手を決めるように言った。再起不能となるかもしれない程の怪我をジャッキーが負っていることを初めて知ったマキは考える時間が欲しいと嘆願し、黙々とランニングを行った。鳥取県立農業高校のバレーボール部で活躍していたマキは浜村先生による鬼のような特訓に対し必死に食らいついていた。ところがその浜村が突然辞めて長野の実家に帰ることがわかると、心の支えを失ったマキはバレーボールへの熱意をも失った。そのことに激怒した彼女の父・強は滝川の先輩だったこともあり、精神力と肉体を鍛えさせるために全日本女子プロレスに無理矢理入門させることにしたのだ。マキはプロレスに興味がなかったが、入門にやってきたジャッキーから一緒にやろうよと声を掛けられたことで決心したのだった。そのことを思い出したマキは練習場に急いで戻り、ジャッキーが復帰するまでシングルマッチで試合を行うことを滝川に伝えた。

屋台的映画館

必殺!III 裏か表か

  • posted at:2019-08-06
  • written by:砂月(すなつき)
ひっさつすりーうらかおもてか
松竹=朝日放送=京都映画
配給:松竹
製作年:1986年
公開日:1986年5月24日
監督:工藤栄一
製作:山内久司 櫻井洋三
脚本:野上龍雄 保利吉紀 中村勝行
音楽:平尾昌晃
撮影:石原興
照明:中島利男
美術:太田誠一
宣伝プロデューサー:松本行央 長崎直定
プロデューサー補:高橋信仁
監督補:津島勝
録音:広瀬浩一
調音:鈴木信一
撮影:藤原三郎
編集:園井弘一
記録:野崎八重子
装飾:玉井憲一
スチール:牧野譲
進行:西村維樹
演技事務:木辻竜三
演出助手:原田真治
照明助手:中山利夫
撮影助手:秋田秀継
美術助手:家木一実
編集助手:関谷憲治
録音助手:河合博幸
効果:竹本洋二
殺陣:楠本栄一
特技:宍戸大全
・・:エクラン演技集団
現像:東洋現像所
装置:新映美術工芸
かつら:八木かつら
衣裳:松竹衣裳
小道具:高津商会
現像:IMAGICA
製作主任:黒田満重
鼓指導:田中佐太郎
刺青:小林昌典
題字:糸見溪南
衣裳協力:鈴乃屋
ロケ協力:彦根城 国宝 姫路城
出演:藤田まこと 鮎川いずみ 菅井きん 白木万理 京本政樹
アメリカンビスタ カラー 126分

南町奉行所では大掛かりな手入れの準備が進められていた。昼行燈と蔑まれる中村主水は筆頭同心の田中とともに抜け荷改めで岡場所へ、そして主水の同僚で隣家に住む清原英三郎は検挙するために鳥越の賭場へ向かった。捕物の翌日、仕事を終えた主水は軽く一杯やりませんかと清原を誘ったが、彼は用事があるからと断った。清原は両替商枡屋の枡屋仙右衛門と料亭で会う約束をしていたのだ。だが現れたのは仙右衛門ではなく枡屋の肝煎役を務める真砂屋徳次だった。御定法に外れた商いを行う枡屋に目をつけた清原が目溢料を更に要求してきたことで動向を探るために徳次を寄越したのだ。返事を長く待てないという清原に対し、徳次は翌朝日本橋近くにある佃煮屋で会う手筈を整えた。

翌日、清原は佃煮屋で事故死した。吊り上げた釜の綱が切れて彼の頭に直撃したのだが、職人に成りすました刺客がひと月程休業中だったその店を利用したのだった。その夜、通夜が行われることになっていたが、清原の妻おこうは姿をくらまし枡屋で徳次の行方を尋ねた。夫殺しは徳次の仕業だとわかっていたからだ。翌朝、徳次に会うことが出来ると白状させ、可哀想にと悲しんだ。すると徳次は先代がきっと望んでいるからこっちの世界に戻ってきてくれませんかと言った。おこうは真砂屋の娘だったが、金にまつわる出来事を嫌という程見てきたことで嫌気が差し六年前に家を飛び出したのだった。

主水は知り合いのおしのから相談事を持ち掛けられた。枡屋に二十両を預けることで半月毎に利息がもらえることになっていたが未だに連絡がないというのだ。嫌々ながらも引き受けることにした主水が枡屋に出向くと、仙右衛門は小遣い稼ぎで因縁をつけにきたと思い金を渡して返そうとした。その横柄な態度にカッとなった主水は改めれば番所にくることになるぞと脅した。すると仙右衛門は、今は金の世の中であり金を牛耳れる者が天下人であるからあまり逆らうと隣家の清原様のようになりますよと小声で言った。主水はおしのの利息を受け取ると仙右衛門を睨みつけながら店を出た。

後日、勘定人の彦松が六万両の間違いを出したことで枡屋の信用は失墜した。影響は米相場にまで及び公儀の損失は七十六万石にまで達していた。勘定奉行所与力は怒り心頭で、それを治めるために仙右衛門は彦松に全責任を負わせたのだ。枡屋から暇を出された彦松は一家心中を図り、その原因が枡屋にあると考えた主水は仙右衛門から話を聞くことにした。その夜、主水は刺客に襲われた。

屋台的映画館

必殺! ブラウン館の怪物たち

  • posted at:2019-07-06
  • written by:砂月(すなつき)
ひっさつぶらうんかんのかいぶつたち
松竹=朝日放送
配給:松竹
製作年:1985年
公開日:1985年6月29日
監督:広瀬襄
製作:山内久司 桜井洋三
脚本:吉田剛
音楽:平尾昌晃
撮影:石原興
照明:中島利男
監督補:津島勝
宣伝担当:松本淳 長崎直定
プロデューサー補:高橋信仁
美術:倉橋利韶 北尾正弘
録音:広瀬浩一
調音:本田文人
編集:園井弘一
記録:野崎八重子
装飾:玉井憲一
スチール:長谷川宗平
進行:鈴木政喜 西村維喜
演技事務:木辻竜三
演出助手:木下芳幸
照明助手:中山利夫
撮影助手:秋田秀継
美術助手:家木一実
編集助手:関谷憲治
録音助手:田原重綱
装置:新映美術工芸
衣裳:松竹衣裳
美粧:八木かつら
小道具:高津商会
現像:東洋現像所
・・:エクラン演技集団
ナレーター:みのもんた
主題歌:「さよならさざんか」藤田絵美子
殺陣:楠本栄一
特技:宍戸大全
効果:鈴木信一
衣裳協力:浅草寶扇堂久阿彌
ロケ協力:京都 北野天満宮 京都 下鴨神社 国宝 姫路城
製作主任:渡辺寿男 黒田満重
特殊撮影:藤原三郎
題字:糸見溪南
協力:零心会
製作協力:京都映画株式会社 株式会社しょうざん
出演:藤田まこと 鮎川いずみ 京本政樹 村上弘明 ひかる一平
アメリカンビスタ カラー 122分

慶応二年七月末、十四代将軍徳川家茂が大坂で逝去し、一ツ橋慶喜が跡目を相続した。その頃、江戸品川宿では南町奉行所が隠密で大坂に発つ御公儀御用早駕篭を見送る役を受け持つことになった。雷雨の夜、筆頭同心田中や定町廻同心中村主水などは警備に当たったが、出立と同時に使者が曲者に襲われて御状箱が奪われたのだった。主水は後を追ったが、曲者の男は密書を懐にしまうと手下を殺して口を封じ姿を消した。奉行所内で昼行燈と蔑まれる主水だったが、「仕事人」という裏稼業に手を染めていた。その夜は彼の仲間である何でも屋の加代、組紐屋の竜、花屋の政、西順之助が命を狙われ、三味線の師匠で元締のおりくの家に転がり込んだ。するとしばらくして猿谷町の元締が主水を訪ねてやってきた。ここにはいないとおりくが告げると、品川宿で仕事をした手下が主水によって斬られたのだと猿谷町は言った。表の仕事柄だから仕方がないとはいえ狙った獲物を横取りしたのは仁義に反するため身柄を引き渡せというのだ。おりくが最後まで態度を変えようとしなかったため、猿谷町は仕事人を使って五人を亡き者にしようとした。

田中と主水を江戸屋敷に呼び出した老中稲葉正邦は、徳川家の存亡に拘る重要な任務を与えた。天下を定め幕府を始めた徳川家康には気掛かりなことがあった。それは京の都にいる帝のことだった。戦を起こし天下を治める者は必ず帝を利用するが、それを防ぐために京都黒谷に屋敷を築きそこに恐ろしい仕掛けを設けていた。それはいざという時に帝を御所もろとも爆破するというものだった。密書は代々将軍家に伝えられてきた屋敷の権利書と絵図であり、もしそれが反幕府派に渡れば悪用されるばかりではなく京都朝廷との関係が悪化することは目に見えていた。敵が黒谷屋敷に必ず現れると踏んだ正邦は、二人に京へ直行し機密を奪い返すよう命じた。正邦は伊賀忍者の末裔である百地お千と御庭番の藤林辰之進にも同じ命令を伝えていた。主水たちは敵をおびき出すために囮だった。

旅の疲れを癒すために主水たちが泊まった温泉宿には加代がいた。猿谷町によって江戸にいられなくなった五人は、品川宿で起きた事件の真相を究明するために五手に分かれて主水の後を追ったのだ。偶然は重なるもので、その宿には福引きで「いで湯廻り上方の旅」が当たった嫁のりつと姑のせんも泊まっており、その二人の案内人としてついてきたのはかつて六文銭の手先として彼を陥れようとしたお葉だった。江戸から離れてゆっくりと羽を伸ばそうと考えていた主水の目論見は見事に外れた。

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