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怪獣島の決戦 ゴジラの息子

  • posted at:2017-03-05
  • written by:砂月(すなつき)
かいじゅうとうのけっせんごじらのむすこ
東宝
配給:東宝
製作年:1967年
公開日:1967年12月16日 併映「君に幸福を センチメンタル・ボーイ」
監督:福田純
製作:田中友幸
脚本:関沢新一 斯波一絵
撮影:山田一夫
美術:北猛夫
録音:渡会伸 伴利也
照明:山口偉治 小島正七
音楽:佐藤勝
整音:下永尚
監督助手:長野卓
編集:藤井良平
音響効果:金山実
現像:東京現像所
製作担当者:坂本泰明
特殊技術・撮影:富岡素敬 真野田陽一
特殊技術・光学撮影:徳政義行
特殊技術・美術:井上泰幸
特殊技術・照明:原文良
特殊技術・操演:中代文雄
特殊技術・合成:向山宏
特殊技術・監督助手:中野昭慶
特技監修:円谷英二
特殊監督:有川貞昌
協力:パン・アメリカン航空
出演:高島忠夫 前田美波里 久保明 平田昭彦 佐原健二
シネマスコープ カラー 85分

南太平洋の孤島・ゾルゲル島では、楠見恒蔵博士を中心としたチームによる国連主導の実験が極秘裏に進められていた。それは将来起こる人口増加での食糧難を解決するための、太陽熱吸収合成放射能ゾンデを利用した気象コントロール実験「シャーベット計画」だった。しかしこの計画が悪用されれば地球を凍結させることも出来ることから国連は公開実験を行わなかったのだ。特ダネを飯の種としているトップ屋の真城伍郎はゾルゲル島での動きを嗅ぎつけ、楠見に取材を直接申し込んだが無下に断られた。だが藤崎は泳いで返すわけにもいかないと温情を見せ、雑用係の隊員としての採用を認めさせたのだった。その夜、奇妙な鳴き声に驚いた伍郎が部屋を飛び出すと、ジャングルをオオカマキリが移動していた。だが夜のジャングルは命取りになることから取材を断念するしかなかった。

翌朝、食事の準備をしていた伍郎は森尾からゾルゲルパセリが森の奥に自生していることを聞き新芽を摘みに行くことにした。収穫を終えた彼が海岸にたどり着くと、ひとりの少女が泳いでいたのだ。無人島であるはずなのに。カメラを取り出そうとした伍郎が石に足を取られると、その音に驚いた少女は海の中に姿を消した。その夜、ミーティングを兼ねた夕食で藤崎は気象が実験条件に近づきつつあることを発表し、この機会を逃す手はないと楠見は翌日の実施を決断した。それを聞いた伍郎はある疑問を口にした。「原住民の若い女はいつ収容するんです?」。島内調査は完全に済んでいると主張する藤崎にその人を保護することが先決だと反論する伍郎に、この島へきてノイローゼ気味の古川は俺たちの邪魔をしにきたのかと声を荒げた。

夜が明けるとその日は絶好の実験日和となったことから、チームのメンバーはテキパキと作業をこなした。そして実験が開始されると、まず内部温度マイナス115度の冷凍ゾンデが打ち上げられ、800メートルの上空で爆破。その影響で島の上空に上昇気流が発生したことが確認されるとカプセルからヨウ化リンが噴射された。気温降下の確認後、合成放射能ゾンデが打ち上げられたが、島の中央部からの妨害エネルギーによって制御不能になり予定高度よりも低い位置で破裂した。その結果、物理作用によって反転現象が起こり、上空の霧が凸レンズ化。ゾルゲル島は摂氏70度という人類が未だ経験したことがない異常高温に見舞われたのだった。

4日後、気温は37度にまで下がり、チームのメンバーはカプセルで過ごしたことで無事だった。伍郎は少女を見た場所へ楠見を連れて出かけたが、その途中であのオオカマキリがさらに巨大化しているのを目撃した。二人が第1カプセルへ逃げ込んで様子を見ていると、3匹のオオカマキリが集まり土の山を崩し始めたのだ。そこは妨害エネルギーの発信場所であり、中から巨大な卵が顔を覗かせた。

屋台的映画館
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唐獅子株式会社

  • posted at:2017-02-23
  • written by:砂月(すなつき)
からじしかぶしきがいしゃ
東映(東京撮影所)
配給:東映
製作年:1983年
公開日:1983年12月17日 併映「ドラゴン特攻隊」
監督:曽根中生
企画:天尾完次
原作:小林信彦
脚本:内藤誠 桂千穂
構成:笠原和夫
プロデューサー:井上真介 木村政雄 林信雄
撮影:鈴木耕一
録音:川島一郎
照明:梅谷茂
美術:今保太郎
音楽:甲斐正人
助監督:田中雄二
編集:西東清明
音響効果:原尚
音楽事務:新井明美
記録:勝原繁子
制作調整:山田光男
装置:開米慶四郎
背景:植田義明
美粧:武藤佳子
美容:石川靖江
衣裳:福崎精吾
装飾:岡万雄
演技事務:鎌田賢一
宣伝担当:松田仁 荒井一弥 西嶋光弘 藤沢正博
スチール:関谷嘉明
擬斗:西本良治郎
刺青:毛利清二
水中撮影:中村征夫
進行主任:酒井喬二
現像:東映化学
カー・スタント:高橋レーシング
協力:KOBEポートピアランド
衣裳協力:(株)フーフォレー
製作協力:吉本興業株式会社
音楽プロデューサー:高桑忠男 石川光
協力:アロー・エース
主題歌:「ローリング・ストーン」山本譲二
挿入歌:「唐獅子ロック」甲斐智枝美
・・・:「坂津の夜は泪色」甲斐智枝美
・・・:「惚れたお前は大阪の女」唐獅子ブルースバンド
出演:横山やすし 伊東四朗 桒名正博 甲斐智枝美 佳那晃子
アメリカンビスタ カラー 102分

三年の刑期を終え出所したダーク荒巻。彼を出迎えたのは須磨組の組員ではなく、これまで彼に痛めつけられた島田組のヤクザだった。車にねじ込まれ身動き出来なくされたダークだったが、アクシデントに遭った隙に逃げ出すと慣れ親しんだ事務所に戻った。ところがそこには須磨組の看板はなく、その代わりに唐獅子通信社という見慣れぬものが。彼はちょうど外に出てきた原田に須磨組は何処に行ったのかと尋ねると、ここだという。理解出来ないダークが哲兄ぃに会わせろと息巻くと、専務のことを軽々しく呼ぶなと抵抗した。そして事務所になだれ込み大暴れしていると、その専務の黒田哲夫が現れたのだった。黒田がダークに気安く挨拶したことで、原田は大阪刑務所で出迎えた男が別人だったことに気付いたのだ。慌てた彼は客人として迎えた男を応接室から連れ出すと仲間とともに痛めつけて窓から放り出したのだった。男は島田組のチンピラだった。今回はワシの顔を立てて勘弁してくれと黒田が謝ると、ダークは三年間ご無沙汰してましたと抱き付いた。

社長の須磨義輝は息子の安輝のことで頭を痛めていた。安輝がフランス料理のコックになりたいと言い出したことで超一流ホテルの料理長を家庭教師として招いているが、そうなると組は後継者を失うことになるのだ。二代目組長の跡目を巡って内部抗争が起きることを避けたい須磨は人の調和を大切にすることを考え、「唐獅子通信」を発刊して自分の精神を他の組員やカタギの衆にまで普及しようとしたのだ。ダークの出所祝いを開いた義輝はそのことや日本の文化について切々と説いたが、そこに現れた彼の娘の輝子がこれからのカルチャーはマネーと結びつかないと意味がないと言った。ナウいことしてお金をガッポリ。「これからはビデオの時代」という彼女の言葉に影響を受けた義輝は新たな事業を立ち上げることにした。黒田が出資し原田が監督を担当して成人向けビデオ映画を撮ることになったが、素人同然の彼らではうまく行くはずがなかった。

新し物好きの義輝は「唐獅子芸能社」という会社を設立することにした。タレントを育てて派手に売りまくりガッポリといただくマネージメント事業。それは輝子の入れ知恵だった。一流になるためにはどのような苦労もするという伊吹ひとみの言葉に惚れ込み、6週間後に迫る坂津音楽祭に出演して大々的に売り出せば大きな反響を得られることは間違いなかった。だがそうなるには東京のテレビのコンテスト番組で優勝させる必要があったことから、義輝は一度だけテレビに出演した経験のあるダークを指名し彼女を託すことにしたのだ。ダークはひとみに会ってみたが、魅力的な体つきをしているものの声が大きいだけで歌が心に響かなかったため頭を抱えた。

屋台的映画館

影を斬る

  • posted at:2017-02-07
  • written by:砂月(すなつき)
かげをきる
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1963年
公開日:1963年3月1日 併映「定年退職」
監督:池広一夫
企画:財前定生
脚本:小国秀雄
撮影:武田千吉郎
録音:奥村雅弘
照明:加藤博也
美術:西岡善信
音楽:斎藤一郎
編集:菅沼完二
装置:川口隆
擬斗:宮内昌平
邦楽:中本敏生
音響効果:倉島暢
助監督:遠藤力雄
製作主任:橋本正嗣
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 嵯峨三智子 坪内ミキ子 成田純一郎 松本錦四郎
シネマスコープ カラー 82分

東北最大の雄藩として禄高六十二万五千石、藩士の数は三万五千名を超えるという伊達陸奥守忠宗の居城、仙台青葉城。城内にある御金奉行所や御蔵奉行所、御勘定奉行所では居眠りする暇もないほど皆せわしなく働いているが、泰平の世となると御長柄奉行所などは兵器の点検以外にやることがなかった。ふた言目には今の若い者はと口癖のように怒鳴る城代家老の伊達将監は、居眠りする小野伊織に対しいつ御舟奉行に御役替えになったのかと冗談を言ったが、それが通じなかったことでまた怒鳴った。同じように井伊直人も舟を漕いでいるのではないかと御天守奉行所を覗いてみると、そこに姿はなかった。天守を見回り中だと教えられた将監は直人の精勤ぶりに感心しその様子を見に行くことにしたのだが、実際に天守に上ってみると彼は寝転がって昼寝をしていたのだ。将監が見回りに来たことを知り居住まいを正した直人は、天守閣なるものは城の最後の拠点とするものだから殿の御座所となるこの場所の寝心地を試していたと言い訳した。呆れた将監が、素行が定まらず女遊びにうつつを抜かしている噂があるがと尋ねると、直人は恐れながら拙者が女にもてるのは拙者の罪でしょうかと言った。そして才知、美貌、教養を兼ね備えた自分に似合いの女性など仙台城にはいないと言い放つと、将監はその方に嫁の 来手などあるまいと皮肉った。それを聞いた直人が仙台小町と称す将監の娘が自分の嫁にふさわしいのであれば心に入れておきますと言うと、わしの娘がお前の嫁など汚らわしいと吐き捨てた。

御天守奉行であり剣術指南役でもある直人は、将軍家の娘を奥方に持ったことで頭が上がらない忠宗を連れての夜遊び三昧。金に困ると奉公人の笠原左内に無理を言って工面してもらうのだ。ところが御前が戻ってくるということになり、もう楽しい日々も今夜限りかと忠宗は落胆した。そんな殿様を不憫に思った直人は何とかして左内から二両を貸してもらおうとしたが、借金が嵩んでいることを理由に出し渋った。困った直人だったが、後に将監が訪ねてくることを思い出し、莫大な持参金付きの嫁の口があると嘘をついた。相手が仙台小町と聞いて笑い話だと思った左内だったが、本当に将監の声がしたことで信じたのだ。直人は酒代を手にすると裏口から姿を消そうとしたが、将監にばれてしまった。それでも直人の友人と称した忠宗が櫓下に向かうと、将監も心配になってついてきたのだった。その頃、仙台城では御前の御国入りが早まり今夜中に着くかもしれないということで将監の行方を捜し回っていたが、そんなこととは露知らず。監視役の彼はいつの間にか一緒になって盛り上がり、直人に伝えるべきことを忘れていた。

屋台的映画館

怪獣大戦争

  • posted at:2016-11-06
  • written by:砂月(すなつき)
かいじゅうだいせんそう
東宝
配給:東宝
製作年:1965年
公開日:1965年12月19日 併映「エレキの若大将」
監督:本多猪四郎
製作:田中友幸
脚本:関沢新一
撮影:小泉一
美術:北猛夫
録音:小沼渡
照明:小島正七
音楽:伊福部昭
整音:下永尚
監督助手:梶田興治
編集:藤井良平
音響効果:西本定正
合成:向山宏
現像:東京現像所
製作担当者:鈴木政雄 小池忠司
特殊技術・撮影:有川貞昌 富岡素敬
特殊技術・光学撮影:真野田幸雄 飯塚定雄
特殊技術・照明:岸田九一郎
特殊技術・美術:渡辺明
特殊技術・操演:中代文雄
特殊技術・監督助手:中野昭慶
特技監督:円谷英二
出演:宝田明 ニック・アダムス 水野久美 沢井桂子 田崎潤
シネマスコープ カラー 94分

196X年、地球連合宇宙局はXと名付けた木星の新衛星の調査のために探検用ロケット・P-1号を派遣した。13番目となるX星は他の衛星と比べて暗いことと望遠鏡の精度が低いために発見出来なかったが、たまたま第5衛星を観測中だった中央天文台が軌道の歪みから割り出したことで確認出来たのだ。世間を騒がせている怪電波の発信源がX星である可能性があることから、宇宙局員の富士一夫とグレンに調査を任せたのだった。P-1号が木星の裏側にあるX星に近づくと惑星の陰に入ったことで地球との通信は途絶えた。着陸後、グレンはロケットの傍でテレメーターを使って調査を行い、重力が地球の三分の一で気圧が十分の一であることを計測した。一方、一夫が国旗を立てるために小高い丘へ向かっていると突然上空で轟音とともに雷光が閃いた。異常なしという連絡を交わした後、丘の頂上に到達した一夫はその先で人間の足跡を見つけたことから注意喚起の報告を行ったが、グレンからの応答がなかったことから急いでロケットに引き返した。着陸地点にはグレンはおろかP-1号すらなかった。愕然とする一夫がグレンを捜していると円筒状の入り口が地表からせり上がり、君は危険な情勢にあるからと早く入るように促したのだった。人と名乗るアナウンスの声がグレンとP-1号を保護していると伝えると、敵わないと感じた一夫は渋々従うことにした。その頃、宇宙局の桜井博士はP-1号からの定時連絡がないことに焦りを感じていた。

一夫が地下の通路を進んで行くと広い部屋にたどり着き、そこでグレンと再会した。するとそこに5人のX星人が現れ二人を歓迎した。高度な技術を有する彼らが地下で生活している理由は、怪物ゼロと呼ばれる巨大宇宙生物が地表を荒らし回っているからだった。統制官がその様子をスクリーンに映すと、そこにはかつて地球で暴れ回ったキングギドラの姿があった。一夫が何故撃退しないのかと尋ねると、持てる力を注いで戦ったが敗北したため今はただ去るのを待つしか方法がないと統制官は答えた。やがて危機が去ると統制官は二人にある提案をした。それはガンの特効薬を提供する代わりに、地球にいる怪物ゼロワンとゼロツーを貸して欲しいというものだった。突飛な提案に困惑する一夫たちだったが、X星人はキングギドラがゴジラとラドンによって撃退されたことと、地球にいる2頭の所在地も知っていた。特使として地球に戻ることになった一夫とグレンは、キングギドラが地表にいないことを確認するとP-1号を発進させた。

一夫たちが国会でX星人からの要請を報告すると各代表は友好的な彼らに好意を感じたが、グレンはX星で起きた出来事を思い出し疑いの目を向けていた。キングギドラ襲来時に酸化水素工場を攻撃されると報告を受けた統制官は急いで翻訳機のスイッチを切ったのだ。水が重大な要素になると考えたグレンは一夫とともに真相を探ることにした。

屋台的映画館

怪猫夜泣き沼

  • posted at:2016-06-28
  • written by:砂月(すなつき)
かいびょうよなきぬま
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1957年
公開日:1957年6月18日 併映「赤胴鈴之助 月夜の怪人」
監督:田坂勝彦
製作:酒井箴
企画:山崎昭郎
脚本:民門敏雄
撮影:武田千吉郎
録音:大谷巌
音楽:高橋半
照明:島崎一二
美術:内藤昭
編集:西田重雄
和楽:中本利生
製作主任:村上忠男
装置:科田豊一
装飾:後藤栄三郎
背景:北條三郎
美粧:湯本秀夫
結髪:中井つる
衣裳:伊藤ナツ
擬闘:宮内昌平
普通写真:小牧照
助監督:西沢利治
撮影助手:青柳寿博
録音助手:鈴木幸三郎
照明助手:山本正一
美術助手:上里忠男
移動効果:村若由春
音響効果:倉島暢
記録:梶谷美子
演技事務:毛利美津夫
進行:大橋和彦
出演:勝新太郎 三田登喜子 阿井美千子 千葉登四男 浜世津子
スタンダード モノクロ 90分

佐賀水ヶ江城では竜造寺閑斎を審判として招いた藩主鍋島丹後守と近習頭小森一馬との鼓合わせが行われていた。鼓合わせとは鼓の腕比べのことで、勝った者に閑斎の秘伝が譲られることになっており、主催者である丹後守は自分が勝つものと自信を見せていた。だが彼の鼓の革が破れたことで閑斎は勝負を中断し、一馬の方に軍配を上げたのだった。丹後守は運悪く破れただけで勝負はまだ決まっていないと抗議したが、一馬に劣る言われ腹を立てて部屋を出て行った。家老磯早豊前も解せないと主張したが、鼓の事故は勝敗に拘りなく、気迫、技すべてが一馬が遥かに勝っていると閑斎は静かに言った。そして慈悲を曲げてでも殿の機嫌を取れと言うのかと続けると豊前は絶句した。殿の御政道を誤る元だと指摘された豊前は激しく動揺し、さらに一馬からも御家を思えばこその御忠言だと助言されたことから豊前ははらわたが煮えくり返る思いで立ち去った。

丹後守が勝負にこだわる理由は二つあった。一つは鼓の秘伝を手に入れること。そしてもう一つは閑斎の娘園江を嫁に迎えることだった。豊前は、園江の婿になる男だと考えれば一馬に花を持たせるのも当然だと諭し、さらに殿が園江に御執心だと知った閑斎が婿の定まった娘に言い寄るなど正気の沙汰でないと吹聴している、そして二言目には殿の近頃のなされ方では御当家は世も末だと触れ回っていると根も葉もないことを伝えた。続けて豊前は、閑斎が例え御意見番の重職にあっても殿を殿と思わないその思い上がった心根が御家の御意向に拘ると言うと、怒りに満ちた丹後守は鼓が欲しいと訴えた。豊前は閑斎を打ち負かす程の名器があることを知っていた。それは彼の母お杉が閑斎への恨みを晴らすために買い求めた曰くある鼓だった。磯早家は代々主席家老に職がありながら竜造寺家の風下に立ちみじめな思いをしてきたことから、お杉はその思いを丹後守に託すことにしたのだ。豊前から鼓を手渡された丹後守はこれ程の名器を見たことがないととても気に入り、再び鼓合わせを行うことにした。登城の連絡を受けた閑斎が支度をしようとしたところ、愛猫のこまが何故か引き留めようとした。豊前邸に呼び出された一馬は殿の命によって伝授を返上し再び手合わせをしなければならなくなったことに困惑した。抵抗する一馬に手を焼く豊前は懐から上意下達の封書を取り出し、閑斎にへつらって殿の御政道を非難する行状許しおけぬと解任したのだった。面食らった一馬が殿にお目にかかると立ち去ろうとすると、大勢の藩士に命を狙われた。

水ヶ江城では閑斎と丹後守との間で鼓合わせが行われていたが、閑斎は突然演奏を止めその鼓は持ち主が祟られるという「千鳥の鼓」だと言った。それを負けを認めない閑斎の言い訳だと受け取った丹後守は勝ったと高笑いした。そこに入って来た豊前が、一馬が狼藉を働いて逃亡したと伝えると、閑斎は煽てやへつらいに乗ってはなりませぬと忠告した。さらに言葉を続けたことで頭に血が上った丹後守は豊前とともに閑斎を無礼討ちにした。すると亡骸の傍らにこまが寄り添っていたのだった。

屋台的映画館

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