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風の武士

  • posted at:2017-12-03
  • written by:砂月(すなつき)
かぜのぶし
東映(京都撮影所)
配給:東映
製作年:1964年
公開日:1964年1月15日 併映「図々しい奴」 
監督:加藤泰
企画:中村有隣 松平乗道
原作:司馬遼太郎
脚本:野上龍雄
撮影:松井鴻
照明:田中憲次
録音:東城絹児郎
美術:川島泰三
音楽:木下忠司
編集:河合勝己
助監督:本田達男
記録:佐久間淑子
装置:温井弘司
装飾:星益雄
美粧:林政信
結髪:妹尾茂子
衣裳:岩逧保
擬斗:谷俊夫
進行主任:青山湯蔵
出演:大川橋蔵 桜町弘子 久保菜穂子 野際陽子 中原早苗
シネマスコープ モノクロ 95分

錬心館の代稽古を務める名張信蔵は兄夫婦の居候。日が高く上るとようやく一日が始まる。その日は一の酉だったことからお参りに料理屋露月のお勢以を誘うか道場主の娘のちのにするか迷っていたが、道場破りの知らせを受けてすぐに支度をした。ところが信蔵と同じく代稽古を務める高力伝次郎が受けて立ち圧倒的な強さで勝負をつけたのだった。たかが小遣い銭稼ぎの浪人の肩を打ち砕くこともないだろうと信蔵が忠告すると、伝次郎は女目当てに道場へ出入りするのは目障りだと言った。険悪な雰囲気に気づいた道場主の平間退耕斎は二人の間に割って入り何とかその場を治めたのだった。

賑わう神社の境内にやってきた信蔵は、退耕斎から助けられたことをきっかけにしてちのを口説き落とそうとしたのだが、もうひとりの方をどうするつもりかと聞かれると二の句が継げなかった。更にそこに現れたお勢以と鉢合わせしたことで言い訳が出来なくなり、ちのは怒って帰ってしまった。お勢以と一緒の時間を過ごすことになったものの空気は気まずく、ご機嫌を伺うために熊手の簪を買ってあげたが小さいと言われる始末。義姉の律から小遣いを貰いそびれたこともあって手持ちが少なかったのだ。それを髪に挿してこっちの方がよく似合うと褒めちぎるとお参りしようと言って誤魔化した。すると旅人がお勢以にぶつかり、落とした簪に血がついていたことから信蔵は追い掛けた。山伏の一行は男を斬りつけると信蔵の姿を見て逃げ出した。その後を追ったが見失い、元の場所に戻ると旅人も姿を消していた。だが大量の血痕が地面に点々と落ちていたため信蔵は跡を辿ることにした。するとその先には退耕斉の屋敷があり、ちのが箒で掃いて血の痕を消そうとしていたのだった。信蔵がいることに気づいたちのは屋敷に入ろうとする彼を必死に止めたが、いくら次男坊と言ってもうちは伊賀者だから門前の小僧よりは鼻が利くんだよと言って戸を開けた。部屋の奥では先程の男が横たわっており、その横には退耕斎がいた。この男を斬ったのは熊野山伏だったと説明すると、見た以上わしの味方になってもらわなきゃならんと退耕斎は言った。そして手付金の一両を渡すと今日見たことを他言せずに立ち去れと命じた。信蔵がいなくなるのを確認すると、退耕斎は男の懐にある包みを取り出し開いた。そこには丹生津姫縁起と書かれた巻物があった。

お勢以は大きな熊手を抱えて露月にやってきた信蔵を見て驚いた。ちょっとした金蔓が見つかったから三の酉のときにはもっと大きいのを買ってやると彼は軽口を叩くと二階へ上がって行った。しばらく煙草を吹かしながらくつろいでいるとお勢以がきたので退耕斎のことをさりげなく尋ねてみた。するとお勢以は退耕斎が町内の犬にまでお辞儀をするほど愛想がいいことと、ちのが養女だと言った。彼女がこの町へきたのは五年前ほどだったとお勢以が言い掛けたとき部屋の外で物音がした。刀の柄に手を掛けて音の方へ向かうと黒装束に身を包んだ退耕斎がいた。

屋台的映画館
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かげろう絵図

  • posted at:2017-09-10
  • written by:砂月(すなつき)
かげろうえず
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1959年
公開日:1959年9月27日 併映「化学の勝利」
監督:衣笠貞之助
製作:三浦信夫
企画:財前定生
原作:松本清張
脚本:衣笠貞之助 犬塚稔
撮影:渡辺公夫
録音:大谷巌
照明:加藤博也
美術:西岡善信
音楽:斎藤一郎
色彩技術:西村慶信
衣裳考証:上野芳生
装飾考証:内藤晋
邦楽:中本敏生
装置:梶谷輝夫
擬闘:宮内昌平
編集:西田重雄
助監督:西沢宣匠
製作主任:安達畄雄
現像:東洋現像所
出演:市川雷蔵 山本富士子 黒川弥太郎 志村喬 滝沢修
シネマスコープ カラー 84分

天保十一年、徳川十一代将軍家斉が隠居し大御所となって既に三年が経っていたが、幕府統括の実権は現将軍家慶に渡らず依然として家斉の手中にあった。春恒例となった江戸城内吹上の庭で桜見の宴が催されることになったが、大御所の希望で今回は大奥女中による歌くらべが行われることになった。家斉が寵愛する中臈の多喜の方は若い上に文学的な素養があり、最近懐妊したという話があった。言わばこの宴は彼女のためのものなのだ。それを知って苦々しい思いをしていたのは、大奥を取り仕切るお美代の方だった。彼女は御納戸頭取中野播磨守清茂(石翁)が法華宗智泉院日啓から引き取った美しい養女で、大奥へ差し出したことで家斉の目に止まり数多いお手付き中臈を追い抜いて君寵第一となった。そして家斉からの絶大な信頼を得た石翁は相談相手となった。石翁は将軍家の跡目として、お美代の方の娘溶姫が宿した家斉の子である犬千代を継がせようと様々な手段を用いて画策していたが、あと一歩のところで行き詰っていた。

吹上での花見の宴は奥女中にとって思い切り羽が伸ばせる年に一度の機会だった。その中で行われた歌合せでは八十二首が詠まれ、その内の十五枚の短冊から家斉が選んだのはお多喜の方の歌だった。桜の梢に短冊を結びつけることになり、お多喜の方が踏み台に上った途端足を踏み外し転び落ちた。彼女は身篭っていた子供を流産し自身も明け方に息を引き取ったのだった。石翁は家斉の寵愛が再びお美代の方に戻ったことを喜んだが、気になったのが踏み台を用意した雑用女中の登美だった。奉公を始めて四月目でお末から三の間に勤め替えをする程の異常な出世に、お美代の方の恩義だけでは説明のつかないことあるのではないかと考えていた。そして登美の受け親が元御廊下番頭の島田又左衛門であることを水野美濃守忠篤から聞いた石翁は、身上を八丁堀の与力下村孫九郎に調べさせることにした。

宿下がりの登美が屋敷の中に消えて行ったのを見かけた与力落合久蔵が門の前を行きつ戻りつしていると、孫九郎が何をしているのかと声を掛けてきた。知り合いに似ていたのでと久蔵が立ち去ると、孫九郎は仲間とともに門を見張った。その頃、屋敷の中では踏み台に細工しお多喜の方の命を奪ったことを悔いる登美を又左衛門が慰めていた。この事故をきっかけにして彼女はお美代の方に気に入られ異例の出世をしたが、これこそが裏で動く政道の正常化と大奥の粛正の第一歩だった。

屋台的映画館

ガメラ 大怪獣空中決戦

  • posted at:2017-06-11
  • written by:砂月(すなつき)
がめらだいかいじゅうくうちゅうけっせん
大映=日本テレビ放送網=博報堂
配給:東宝
製作年:1995年
公開日:1995年3月11日
監督:金子修介
総指揮:徳間康快
製作代表:加藤博之 漆戸靖治 大野茂
製作:池田哲也 萩原敏雄 澤田初日子
製作補:島田開 高橋博 齊藤久臣
企画:佐藤直樹 武井英彦 森江宏 鈴木伸子
プロデューサー:土川勉
ラインプロデューサー:南里幸
キャスティングプロデューサー:鈴木良紀
アソシエイトプロデューサー:門屋大輔 木嶋二郎 高橋千尋
脚本:伊藤和典
撮影:戸澤潤一
美術:及川一
録音:橋本泰夫
照明:吉角荘介
編集:荒川鎮雄
スクリプター:石山久美子
助監督:片島章三
製作担当:植野亮 及川義幸
音楽:大谷幸
音楽プロデューサー:三浦光紀
主題歌:「神話」爆風スランプ
特技監督:樋口真嗣
出演:伊原剛志 中山忍 藤谷文子 蛍雪次朗 本田博太郎
アメリカンビスタ カラー 95分

1995年5月23日午前1時過ぎ、プルトニウム輸送船「海竜丸」から並走する海上保安庁巡視船「のじま」に座礁したという緊急連絡があった。そこは水深が3000メートル以上の海域であることから一等航海士の米森良成はありえないと考えたが、海竜丸の船底が何かに乗り上げたことは事実だった。さらに海竜丸の船長は奇妙な報告をした。乗り上げた環礁が勝手に離れて行ったというのだ。それを聞いたのじまの船長は首を傾げたが、その環礁が自船のレーダーにも映っていたことで信用した。ミンダナオ島の南南東約300キロの海上で起きた出来事だった。

良成は今回の件に責任を感じていたこともあり、海上保安庁の初動調査のメンバーから外れたことに憤りを感じていた。そこで第三管区海上保安本部にきていた八洲海上保険の社員・草薙直哉と話す機会を作り自分も漂流環礁調査に参加させて欲しいと願い出たのだった。だが直哉は良成が民事に介入することに疑問を持っていたため、あの環礁の正体を確認するまで引き下がるつもりはないことを正直に話した。長期休暇を取った良成は、直哉の娘で女子高生の浅黄を味方につけると草薙邸に押しかけ家事一切を引き受けてご機嫌を取った。すると直哉は渋々許可を出したのだった。翌日、漂流環礁探しに出航した調査船「けんざき」で良成は持論を展開した。目撃情報などによりクリスマス島近辺からギルバート諸島、カロリン諸島を経てフィリピン海溝の東へ向かったとされる環礁は、北赤道海流から黒潮に乗って漂流していると考えて間違いないと言った。そして最後に確認された地点と黒潮の潮速から考えられる大まかな現在地として石垣島の南方を予測した。

九州大学・平田教授の研究室からの紹介で福岡市動植物園を訪ねた長崎県警の大迫力刑事は、五島列島・姫神島で起きたことの詳細を聞こうとしたが、園長は現場へ調査に出かけていた。代わりに応対した鳥類学者の長峰真弓に珍しい大きな鳥の雛が見つかったことを話すと、逆に島で何かあったのかと聞かれた。すると力は一昨日起こった嵐の夜のことを話し始めた。時化の中、船員は無線で助けを求めたが、その時に「鳥が!」という最後の通信を残して消息を絶ったのだ。それが何を意味することかわからず動植物園を訪ねたのだが、真弓にもさっぱりわからなかった。そこで二人は姫神島に向かったが、その惨状は嵐によるものだとしか考えられなかった。自分の知る限り建物を打ち壊すような生物などいるはずはないと考えていた真弓だったが、鳥が吐き出した巨大なペリットのような物が落ちていたため調べてみることにした。すると中から平田が愛用していた万年筆が見つかった。

屋台的映画館

怪獣総進撃

  • posted at:2017-05-23
  • written by:砂月(すなつき)
かいじゅうそうしんげき
東宝
配給:東宝
製作年:1968年
公開日:1968年8月1日 併映「海底軍艦」(短縮版)「海ひこ山ひこ」
監督:本多猪四郎
製作:田中友幸
脚本:馬渕薫 本多猪四郎
撮影:完倉泰一
美術:北猛夫
録音:吉沢昭一
照明:平野清久
音楽:伊福部昭
整音:下永尚
監督助手:谷清次
編集:藤井良平
音響効果:西本定正
現像:東京現像所
製作担当者:坂本泰明
特殊技術・撮影:富岡素敬 真野田陽一
特殊技術・光学撮影:徳政義行
特殊技術・美術:井上泰幸
特殊技術・照明:原文良
特殊技術・操演:中代文雄
特殊技術・合成:向山宏
特殊技術・監督助手:中野昭慶
特技監修:円谷英二
特殊監督:有川貞昌
出演:久保明 小林夕岐子 愛京子 田崎潤 土屋嘉男
シネマスコープ カラー 89分

20世紀も終わりに近づいた頃、月に探検基地を開設した国連科学委員会は、硫黄島にある第二宇宙空港から連日ムーンライトSY-3号を打ち上げていた。一方、小笠原諸島の周辺を利用して一大海底牧場を建設してあらゆる魚類の養殖を始め、それと同時に世界を恐怖を与えた怪獣を島に集めて研究を行っていた。怪獣たちが区域外に出ようとした場合、それぞれの本能と習性に応じた管制装置が働き科学的な壁が発生して脱走を防ぐのだ。島の周囲は食糧が豊富であることから怪獣たちが飢え死にすることはなかった。この怪獣ランド海底牧場は地底深く建設されたコントロールセンターで管理されていた。

SY-3号の艇長山辺克男は勤務する月基地から怪獣ランドに初出勤した恋人の真鍋杏子に冷やかしを兼ねて電話をしたが、電波障害によって通話が途切れた。その頃、地上では制御装置が全て故障するという異常事態が起きていたおり、大谷博士は職員に機材の点検を命じた。だが障害は自動的に短時間で復旧。その後、怪獣ランドは謎のガスに覆われた。突然連絡を絶った怪獣ランド調査のために、東京にある国連科学委員会は吉田博士の指揮のもとで通信衛星での査察を行った。電波障害を受ける中、入手した映像に映った怪獣ランドは見るも無残に荒れ果ており、新たな火山活動を示すような山の盛り上がり方をして途切れた。その後、モスクワ放送が緊急放送で午前11時25分に突如モスクワに飛来したラドンが建物を破壊し続けていることを伝えると、凱旋門前に地底から出現したバラゴンが破壊活動を行っていることをパリ放送が伝えた。世界の重要都市が怪獣によって破壊されており、北京に現れたのはモスラ、ロンドンにはマンダ、そしてニューヨークに上陸したのはゴジラだった。委員会に詰めかけたマスコミの質問攻めに遭ったスチーブンソン博士は答えに窮し、吉田も活動を予測できない怪獣に対して警戒が必要だとしか言えなかった。すると記者の一人が素朴な質問をした。怪獣ランドに一番近い東京が何故襲撃されないのか、と。それは吉田にとって答えを出すことが最も難しい質問だった。

月基地の西川隊長は地表の調査を行っていたSY-3号に帰還を命じたが、克男はその途中で謎の飛行物体を確認したため操縦士に追跡するように言った。だが目標を見失ってしまい、西川から大目玉を食らった。基地に戻ると委員会の吉田からSY-3号で怪獣ランドに向かえという指令を受けた。地球に戻り詳細がわからないままコントロールセンターの入り口に到着すると、吉田は新たな指令を出した。それは潜入した何者かの正体と目的を突き止めることだった。武装せよという言葉に只事ではないと感じた克男たちは気を引き締めた。

屋台的映画館

怪談佐賀屋敷

  • posted at:2017-04-12
  • written by:砂月(すなつき)
かいだんさがやしき
大映(京都撮影所)
配給:大映
製作年:1953年
公開日:1953年9月3日
監督:荒井良平
企画:菅沼完二
脚本:木下藤吉
撮影:牧田行正
録音:林土太郎
照明:島崎一二
美術:川村鬼世志
音楽:高橋半
編集:宮田味津三
特殊撮影:影山重雄
製作主任:黒田豊
装置:吉原多助
装飾:水谷秀太郎
背景:高橋作次
美粧:日樫義男
結髪:石井エミ
衣裳:大畠夘一
記録:新関良子
スチール:杉山夘一郎
助監督:古川俊男
撮影助手:大北治三郎
録音助手:江村恭一
照明助手:多田義孝
美術助手:神田孝一郎
移動効果:村若由春
擬闘:宮内昌平
演技事務:千賀滝三郎
進行:村上忠男
出演:坂東好太郎 沢村国太郎 杉山昌三九 南條新太郎 入江たか子
スタンダード モノクロ 97分

正室が生来の虚弱で子種に恵まれないことから、このままでは佐賀藩は他家からの養子を迎えなければならなかった。そこで城代家老磯早豊前は藩主鍋島丹後守に誕生日を祝う園遊会の提案をし開催する運びとなった。この園遊会は表向きで、本当の目的は家中の娘たちの中から側室候補を物色することだった。豊前はこのまたとない機会を利用して妹お豊のいる茶室に殿を呼び込み顔合わせをさせようとしたが、丹後守の目に留まったのは家老上席龍造寺又一郎の妹のお冬だった。焦った豊前は急いでお豊と引き合わせたが、もう丹後守の眼中にはなかった。茶を一服した丹後守は近習を呼び寄せると、又一郎に相談したいことがあると伝えた。屋敷に戻った丹後守は園遊会の目的を話したが、又一郎は本人の気持ちが大事だから自分の一存では決められないと答えを避けたのだった。その様子を知っておもしろくないのは豊前だった。彼は側室となったお豊に世継ぎを産ませ、行く行くは鍋島家の権力を一手に握るという目論見があったからだ。
  
又一郎はお冬、母お政の方を交えて話し合った。元来龍造寺家は鍋島の主筋に当る名家であり、両家が姻戚関係で結ばれることは喜ばしいことであった。だがそれは正室の場合でのこと。政の方は娘を思い、たとえ微禄であってもちゃんとした嫁入りをさせてあげたいと話した。すると又一郎も同意したことで、お冬は側室を断る決断をした。丹後守は碁の手合わせの機会を設け吉報を心待ちにしていたが、又一郎はお冬が話を信じようとしないと言い訳して許しを乞うたのだった。部屋から出てきた丹後守が立腹していたことから、豊前は又一郎が龍造寺の家来である鍋島家に妹を差し出せるかと家中の間に言いふらしていると根も葉もないことを耳に入れた。さらにお豊が丹精込めて育てたという室咲きの花を差し入れてご機嫌を取ったのだった。その後も酒席を設けて自宅へ招きお豊の舞踊を観賞させるなどの接待漬けで丹後守の心をわしづかみにした。

あの日以来、丹後守から呼び出しがないことは機嫌を損ねているに違いないと又一郎は感じていた。そこで彼は雨の日にも拘らず、盲目の体を押して伺うことにした。だがその日に限って愛猫のコマは袴の裾を噛んで彼を行かせようとしなかった。又一郎はきっと離れるのが寂しいのだろうと諭して出かけた。彼と入れ替わるように屋敷へやってきたのは、その日非番の城代家老小森半左衛門だった。教えを乞うためにきた半左衛門だったが、又一郎が不在であることがわかり残念がった。そんな彼を気遣ったお政の方はお冬を呼んで相手をさせ部屋を二人きりにした。その頃、又一郎は丹後守の碁の相手をしていた。敗北が濃厚となったことで悔しがる丹後守を見た豊前は彼が座を外した隙に一目隠した。だが戻ってきた又一郎にそのことを指摘されると、当初は思い違いと言い張っていたものの言い逃れが出来なくなり、丹後守はついに刀に手を掛けたのだった。

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